働き方改革推進で、BPRの機運が高まっています。
皆さまの会社でも業務プロセスの改革を進めようとされていらっしゃるのではないでしょうか??
ですが、、、
『正直、BPRと業務改善の違いが分からない….』
『現場から反発を受けてプロジェクトが進まない…』
なんて悩んでいる方も多くいらっしゃると思います。
そこで今回は、BPRプロジェクトを推進するにあたって重要となるフレームワークと、プロジェクトを進捗させるために必要な考え方について解説していきます。
■目次
1.BPRとは
2.BPRを推進するために有効なフレームワーク
2-1「シックスシグマ」
2-2「4C」
2-3「ECRS」
2-4「SWOT分析」
3.BPRプロジェクトを進捗させるためには
4.まとめ
1.BPRとは
BPR(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)とは、業務におけるプロセスの観点から業務フローや組織構造、情報システムなどを再構築し、業務改革することを指します。
1990年代にもブームが起こりましたが、働き方改革が広く提唱される昨今、再度脚光を浴びている考え方です。
BPRの目的は、業務フローの内容を「改善すること」ではなく、業務フロー「そのものを変える」ことです。業務の改革と聞くと、DXを思い浮かべる方も多くいらっしゃると思いますが、BPRとDXは以下のように明確に異なる考え方です。
・BPR:業務「フロー」の改革
・DX:IT活用を前提とした業務「モデル」そのものの変革
また、混同しがちな用語として“業務改善”もあります。しかしながら、BPRと業務改善もそもそもの前提が異なる考え方となります。
・業務改善:既存のプロセスをベースにした効率化
・BPR:既存のプロセスを自体を疑い、根本から変える
そんな既存の業務プロセスを否定し改革を行うBPRですが、大規模なIT化やグローバル化など、BPRの対象は企業活動全体の再構築となるため、経営陣が事業戦略としてBPRを推進しようとしても、業務を遂行している現場には中々理解を得ることが難しく、プロジェクトが進捗しないこともままあります。
現場からすると、既存のやり方を抜本的に変えることに心理的ハードルが発生してしまうためです。今までやってきたやり方を否定されるのは、気持ち良いものではないことは想像に難くありません。そのため、取り組みの目的やBPR実施後の未来を詳細に説明し、業務遂行者に腹落ちしてもらった上で改革を行う必要があります。
そこで重要なのが、「フレームワーク」です。
2.BPRを推進するために有効なフレームワーク
フレームワークを用いる理由は情報が整理され、取り組むべき課題や改善点が可視化されるためです。情報が細かく整理されてBPRに取り組む意義やAs is To beが明確になることで、業務遂行者の理解を得られやすくなります。この意味でBPRにおけるフレームワークの活用は、戦略的に有効な手段と言えるでしょう。
今回は、BPRに有効な以下の4フレームワークをご紹介します。
・シックスシグマ
・4C
・ECRS
・SWOT分析
シックスシグマ
シックスシグマは、アメリカのモトローラ社が開発したフレームワークです。
世界の名だたる企業が活用していることで知られ、製品やサービスの品質を一定に保ち、顧客の満足度を高める手法です。
シックスシグマの特徴として、統計学を活用して定量的な分析をしながらデータドリブンでプロジェクトが進められることが挙げられます。また、顧客の声(VOC)を活動起点とすることやリターンを明確に数値化することなども特徴です。
活用事例は生産部門だけでなくサービス部門や管理部門にも多く、業務において無理や無駄の排除に貢献できる有効なフレームワークとされています。
そのため製造業だけでなくさまざまな業種への導入が進められています。売上損失額を計算し、改革により利益額がどれだけ増えたか診断する不良品質コスト指標が設けられているのが特徴です。
4C
顧客視点を重視するマーケティングのフレームワークであり、4P理論(Product=製品、Price=価格、Place=流通、Promotion=販促)を発展させたものです。
4Cは以下の4単語の頭文字を取っております。
・Customer Value=顧客から見た価値
・Customer Cost=顧客が負担する費用
・Convenience=顧客の利便性
・Communication=顧客とのコミュニケーション
現代のマーケティング理論では一般的となっているマーケットインの考え方を取り入れることができ効果的です。
顧客にとって高い価値をいかに提供できるかに主眼を置き、商品やサービスを顧客の理想にすり合わせる手法であり、現状で企業側と顧客側との乖離が認められる場合、劇的な業務改革が成功する期待があるフレームワークです。
SCMなどのマネジメント手法と併用することで、製品が顧客の手元に届くまでの企業活動すべてを整えることができます。
ECRS
現状の業務プロセスを改革するためのフレームワークです。
PDCAサイクルのように、ECRSの順番で業務をチェックしプロセスを改革します。
・Eliminate=不要な業務の排除
・Combine=複数の業務を統合
・Rearrange=IT化などで業務のやり方を効率化
・Simplify=業務の単純化
主に作業時間の圧縮につなげやすいため、長時間労働を解消し、ワークライフバランスを整えるために非常に有効なフレームワークと言えます。
SWOT分析
現状分析に非常に有効なフレームワークであり、有名なためご存じの方も多くいらっしゃることでしょう。
SWOT分析では、現在の経営環境を可視化することが可能で、内部環境と外部環境の両点からアプローチすることができます。
*内部環境
・Strength=強み
・Weakness=弱み
*外部環境
・Opportunity=機会
・Threat=脅威
内部環境と外部環境の両側面から企業について分析することが可能で、誰もが経営環境を客観視することができます。
どの部分において業務改革を行なうべきか、戦略を立てるポイントを割り出すことができるでしょう。前述のシックスシグマや4Cは具体的な戦略フレームワークですが、こちらのフレームワークはBPRプロジェクトスタート段階で実施するのが望ましいです。
3.BPRプロジェクトを進捗させるためには
もちろん、フレームワークを知ったからと言って、BPRプロジェクトが全て上手くいくわけではありません。
BPRの前提条件をないがしろにせず、しっかりと戦略を立てて実行することが鍵になります。
*BPRの前提条件
・既存のプロセスを疑う
・業務プロセスの「改革」を行うことを目指す
これらは上記で繰り返し述べていることですが、この前提がぶれてしまうと、BPRプロジェクトはうまく進捗しません。
目指すべきゴールを明確にし、そのゴールと現状のGAPから、フラットな視点で考える必要があります。
BPRプロジェクトのつもりが、一般的な「業務改善」のレベルに落ち着いてしまっていないか常にウォッチしていく必要があるでしょう。
また、この前提はブラさずに、戦略立案フェーズにおいては、「組織」「人」「システム」の3点のリソース状況の整理から始めるのが効率的だと考えられております。
BPRプロジェクトにおいては、数多ある経営資源の中でも特にこの3点が重要なファクターとなるためです。
目指すゴールからの逆算で
・「どの組織」の業務から変革するべきなのか?
・「どんなシステム」を入れるべきなのか?
・「どんな人」が必要なのか?
を突き詰める必要があるということです。
たとえばシステムの例でいうと、業務改革のツールとしてERPパッケージの導入は、多くの企業で実施されていることでしょう。
新規導入の場合、「課題を解決するためには、どのシステムを導入するのが有効なのか?」を考えなくてはなりません。また、「どの範囲でどのように利用するのか?」など、まずは要件を定義する必要があります。
またERPシステム導入を行うにあたり
・要件定義を行うことができる
・導入プロジェクトの全体計画を立てられる
・導入プロジェクトの旗振り役を行うことができる
などの人材が必要になります。
導入作業自体をERPサービス提供ベンダーに委託する場合でも
・ベンダーと対等に折衝できる
・ベンダーのコントロールができる
などの人材が必要です。これらの人材が社内にいるのか?それとも外部に依頼するのか、などを決めなくてはなりません。
このように、BPRプロジェクトにおけるシステム導入という1象限を考えても「組織」、「人」、「システム」の3項目は絶対に外せない重要ファクターとなるため、計画段階から考えておくことで、手戻りの少ないプロジェクト対応につながるという訳です。
4.まとめ
BPRプロジェクトの推進におけるフレームワークの活用は、組織内のメンバーが目的とゴール、やらなくてはならない事項などを整理でき、腹落ちした状態でプロジェクトを推進できるようにするための第一歩として非常に効果的です。
しかしながらフレームワークは、現状の分析や、思考の見える化に強みを持つものであり、フレームワークを活用したことだけで満足してしまうと、肝心の業務改革が伴わないことになります。
フレームワークを活用して、目的やAs is-To beを可視化したら具体的なプロジェクトの実行アクションを起こさなければなりません。
BPRプロジェクトにおいて重要な経営ファクターは「組織」「人」「システム」です。
この3要素を意識して戦略立案を行うことで、効率的にプロジェクトを推進していくことができるようになるでしょう。
プロジェクトを実行するうえで「人」が課題となる場合は、外部からプロフェッショナルを招へいし、プロジェクトを推進していくことが求められます。
なお弊社は、国内最大規模のプロフェッショナル人材データベースの運営企業です。
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