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営業のDX化を推進するメリットと今すべき施策

コロナ禍以降、顧客との打ち合わせもオンラインで実施することが増えた昨今、営業組織でもDX(デジタルトランスフォーメーション)に注目が集まっています。しかしながら営業組織のDX推進がうまくいっていない企業も多いようです(※1)。

「データを管理できる仕組みがない」
「自社内にDXを推進できる人材がいない」
「そもそもデジタルトランスフォーメーションの定義がよくわからない」
という課題を持つ企業も多いのではないでしょうか。
コロナ禍以降、営業活動そのものが変化してしまい、昔の当たり前が通用しなくなった現代で生き残るためには営業のDX化を推進することが急務です。

とはいえオンライン商談ツールを導入しただけでは、営業のDXが実現したとは言えません。
もっと根本的に変革する必要があります。 そこで本記事では、営業のDXを推進する上で、知っておきたいメリットや具体的な施策を解説します。

1.営業のDXとは?

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、データやITを活用して企業のサービスやビジネスモデルを変革することを指します。 営業におけるDXと言えば「オンライン商談ツールを導入すればいい」というイメージがある方も多くいらっしゃると思いますが、営業プロセスのデジタル化を推進することもDX化に必要なステップですが、これだけでは足りません

営業プロセスをデジタル化して蓄積したデータを活用、さらにそこから新たなビジネスを立ち上げるところまで踏み込むのが本来のDXが持つ意味です。
デジタルトランスフォーメーションとは、直訳すれば「デジタルで変革を起こす」ことを指します。つまり企業のビジネスモデルやシステム全体を、変革する必要があるわけです。

とはいえ急激な変化は、従業員がついていけず失敗してしまうこともあります。
まずは第1段階である営業プロセスや顧客データのデジタル化から取り組み、業務効率化と売上向上を成功させる、こうした緩やかな変化にするのも、ひとつの考え方です。

2.営業のDXを推進する3つのメリット

営業のデジタルトランスフォーメーション化を推進することは、企業にさまざまなメリットがあります。ここでは、特に3つのメリットについて解説します。
営業DX 推進メリット

1)現状の顧客ニーズに対応した営業ができる

1)現状の顧客ニーズに対応した営業ができる
コロナ禍をきっかけにオンライン営業が一般的になり、コロナが収束に向かっている現在でも、対面はNGであり、オンライン商談がマストという会社もまだ多いのではないでしょうか。
2020年8月に行われた調査によれば、なんと営業職の9割が「オンライン営業の機会が増えた」と回答しています(※2)。

実際にオンラインでの営業活動を実現するために、営業のDX化を推進しようとしている企業も増えてきています。

またオンライン営業の導入によって
「営業職でもテレワークが可能になり、働き方改革につながる」
「移動時間が減る分、多くの顧客を担当できる」
など営業の業務効率化につながります。

こうしたメリットに気づかず、従来の営業システムにこだわる企業はこれから生き残りが難しいとも言えます。時代の変化に適応するには、営業のDX化は避けられません。

2)営業活動の属人化を防げる

属人化の防止から活用
従来のアナログ型営業の大きな課題と言えば、属人化しやすいことではないでしょうか。
営業のノウハウや情報が属人化してしまうのは、大きな問題があります。

例えば属人化していると
「部下の仕事が見えづらくなり管理職がマネジメントしづらくなる」
「担当者が退職するとノウハウやデータが残らず社内で活用できない」
といった問題が発生します。

営業のDXに取り組むには、SFA(営業支援システム)やCRM(顧客管理システム)といったITツールを活用してデータを社内共有することが基本です。
顧客やマーケティングに関するさまざまなデータを社内共有できれば、「営業の見える化」につながり属人化を防ぐことができます。

属人化を防いで営業ノウハウを社内で活用できれば、管理職が部下を育成しやすくなったり、マーケティングに活用できたりするメリットも生まれます。
また営業システム全体の効率化やレベルアップにつながるメリットもあります。

例えば成約につながった顧客データを分析して活用すれば、成約につながりやすい顧客の特徴やポイントが見えてきます。こうしたポイントをもとに見込みの高い顧客を絞り込めば、効率よく成果の出る営業活動が可能になるわけです。
また営業ノウハウを蓄積することで、営業活動のオートメーション化の実現にもつながります。

3)新しいビジネスや新サービスの創出につながる

営業のDX化は業務効率化のメリットだけではなく、新しい事業やサービスの創出につながる可能性もあります。例えば自動車メーカーのテスラ社は、2019年資金繰りが厳しいこともあり、ほとんどの実店舗を閉鎖してオンライン販売へ移行しました。

テスラは全面オンライン販売にシフトすることで、購入後も一定期間返品を受け付けるというサービスを実現しました。また実店舗の閉鎖によってコストダウンにつながり、その分販売価格を下げることができました。営業のDX化によって、他の自動車メーカーにはない新たなビジネスモデルを生み出した事例と言えます。

3.営業のDX化に欠かせない3つの施策と事例とは

営業のDX化に必要な施策としては、「商談のオンライン化」「Webコンテンツの拡充」「営業系ITツールの選定・導入」という3つが代表的です。
ここではこれから営業のDX化に取り組みたい方に向けて、営業のDX化に取り組む上で外せない3つの施策と活用事例を紹介します。
営業DX化の主な3つの施策

1)Webコンテンツの拡充

電話や訪問で見込み客にアプローチする従来のアウトバウンド営業を続けても、業務効率は向上しません。見込み客の方からオンラインでアプローチしてもらうインバウンド営業への移行が必要です。そのためには営業資料などのコンテンツをWebサイトに掲載していく必要があります。

例えばグループウェアなどのクラウドサービスを手掛けるサイボウズでは、自社サービスに関する資料や情報をWebサイトで公開しています。さらに「サイボウズ式」というWebサイトを立ち上げ、働き方や組織作りといった幅広いテーマのコンテンツを掲載しています。
Webコンテンツの拡充は効果が見えづらい課題もありますが、サイボウズではWebコンテンツの拡充が売上向上に貢献したという声もあります(※3)。

2)商談のオンライン化

コロナ禍によってオンラインでの商談が一般的になった現在、ニーズの急増に伴って手軽に導入できるオンライン商談ツールも増えています。 商談のオンライン化は指標となる数値を設定しやすく、効果を実感しやすい点が大きなメリットです。

例えば転職サービスを手掛けるビズリーチも、オンライン商談を導入した事例の一つです。オンライン営業を導入したことで
「営業パーソン1人当たりの商談数が増加した」
「契約までのリードタイムを短縮できた」
「リード(見込み客)の範囲を全国に拡大できた」
など大きな効果につながった
と言います(※4)。

ビズリーチのように指標を設けて成果を見える化できれば、営業のDX化をさらに推進できるはずです。 ただし営業効率を上げるには、商談のオンライン化だけでは不十分です。最終的にはリードナーチャリング(見込み客の育成)、商談、契約といった一連のプロセス全てをデジタル化することがポイントです。

3)営業系ITツールの選定・導入

営業のDX化をする上で、営業プロセスのデジタル化がまず求められます。これを実現するには、SFA(営業支援システム)やCRM(顧客管理システム)、MA(マーケティング自動化ツール)といった営業支援系ITツールの導入、活用が必須です。

しかしツールの導入だけでは、効果は限定的となってしまいます。
自社の組織やビジネス全体を見直し、課題を明確にした上で活用できるツールを選定することがポイントです。

例えばNTT東日本は光回線の法人営業において、デジタルマーケティングから商談、契約まですべて行う専門部署を自社内に新設しました。さまざまな指標を見ながら、時には指標を見直して営業プロセスの課題を洗い出しました。
また新たな組織だからこそさまざまな営業系ITツールを試すことができ、最適なツールの選定に成功したと言います(※5)。

4.まとめ

コロナ禍をきっかけに、営業業務の全体的な見直しを迫られている企業も多いはずです。
そんな今こそ、営業分野でもDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進に取り組む機会とも言えます。

ただし単純に営業業務をデジタル化するだけではDXの成功とは言えず、効果も限られてしまいます。具体的には営業システムのデジタル化だけではなく、営業活動の全面見える化を行った上で、組織としての課題抽出、改善を行い、そこから組織やビジネスの変革まで実現すれば大きな効果につながります。

とはいえ中小企業では詳しい人材が足りないことも多く、いきなりゴールを想定しづらいかもしれません。DXも一歩一歩着実に進めていくことが不可欠ということです。
将来的な変革を見据えつつ、外部の専門家などに支援してもらいながら基本となる3つの施策から始めてみてはいかがでしょうか。


(株式会社みらいワークス Freeconsultant.jp編集部)


※1:中小企業 営業部門のDX化進まず~コロナ禍における中小企業営業部門のDX化実態調査で明らかに~(PR TIMES)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000063081.html
※2:9割以上が“オンライン営業”の機会が増えたと回答。ベルフェイス株式会社がオンライン営業の実態を調査(ベルフェイス)
https://corp.bell-face.com/news/3051
※3:サイボウズ式4年間500記事のオウンドメディア成果まとめ――売上を求めなければ売上につながる(Web担当者Forum)
https://webtan.impress.co.jp/e/2016/04/27/22198
※4:ビズリーチが“オンライン営業”をはじめた理由 スピード成長の舞台裏とは?(ITmedia)
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1703/01/news040.html
※5:リード獲得数10倍、受注率4倍に増やした、NTT東日本の「インサイドセールスセンター」(Web担当者Forum)
https://webtan.impress.co.jp/e/2020/05/13/35455?_fsi=qA3KruNq

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