プラットフォームビジネスとは、商品やサービスを利用する人と提供者側をつなぐ基盤を提供するビジネスのことを指します。
たとえばApple StoreやAmazonなどもそのひとつです。
AIの台頭やコロナ禍という非常事態が起きたことで、生活基盤がオフラインからオンラインに変わりつつある昨今において、顧客ニーズが以前と大きく変わり、現在は新規事業やDX推進の検討アイデアとして、プラットフォームビジネスが非常に注目されています。
そこで、注目されているのがプラットフォームビジネスです。た昨今において、プラットフォームビジネスは新規事業やDX推進において非常に注目されています。
本記事では、プラットフォームビジネスの概要やその意味合い、ビジネスとしてのメリット、利用者を想定した成功のポイント、すでにプラットフォームビジネスに参入している企業の成功事例などをご紹介します。
今後の企業運営のヒントになる内容を解説していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
■目次
1.プラットフォームビジネスとは?
まず「プラットフォーム」の意味をみていくと、もとは「台」「乗降場」などを意味する英で単語です。ITの業界においてはソフトウェアを動作させるための環境や、商品、サービスをやりとりするインターネット上のシステム、情報をやりとりするサービス基盤など、なんらかの製品、サービスを利用する「土台」を意味する言葉として幅広く使われています。
そのプラットフォームを提供している企業、事業者は「プラットフォーマー」「プラットフォーム企業」と呼ばれます。近年では、AmazonやGoogle、Facebook、Uberなどが世界的に有名なプラットフォーマーの代表例です。
日本企業のプラットフォーマーでは、ショッピングモール「楽天市場」を提供する楽天、Webアプリケーション構築プラットフォーム「SPIRAL(スパイラル)」を提供しているパイプドビッツなどが挙げられます。
今注目されている「プラットフォーム事業(プラットフォームビジネス)」とは、まさにそのプラットフォームを構築し、サービスとして提供することを事業とするものです。
プラットフォーム事業が注目される背景
例えば、ある企業がインターネット上で顧客に商品やサービスを販売するビジネスを展開する場合、販売のためのWebサイトやシステムは自社で内製するか、外部委託してシステム開発するという選択肢が主流であった時代がありました。
ところが今は、楽天やAmazonなどのショッピングモールやその他ECプラットフォームを利用すれば、短時間かつ低コストでサービスに参入することが可能です。
その場合、企業は利用するプラットフォーマーに利用料を支払うことでビジネスを継続することになります。
そのプラットフォームを介して幅広い顧客とつながれるようになれば、そこに経済圏がつくられることになります。裏を返せば、自社ビジネスの事業戦略にとって他社プラットフォームというサービスの存在が不可欠になるということです。
プラットフォーマーから見れば、その状態が続くだけ、利用者である企業から継続的に利用料を得ることができるわけです。このように、プラットフォーマーが顧客にとって魅力的なプラットフォームを提供し、顧客のビジネスに不可欠な存在となることができれば、プラットフォーマーは手堅く収入を得ることができるのです。
加えて2020年以降のコロナ禍をきっかけに多くの企業がビジネスモデルや経営戦略の見直しを迫られ、プラットフォーム事業に注目する事業者が増加しています。
日本貿易振興機構(ジェトロ)が2020年9月に発表したレポート(※1)によると、世界各国に進出する日系企業のうち、新型コロナウイルスの影響を受けて事業戦略やビジネスモデルを見直すとした企業の比率は平均6割程度でした。
不安定な社会情勢で変化の激しい顧客ニーズに的確に対応するという点からも、プラットフォーマーとしてプラットフォームを提供することで収益を上げられるプラットフォームビジネスに注目が集まっているのです。
2.プラットフォームビジネスの代表的な種類
プラットフォームビジネスは、大きく分けて下記の4種類に分かれます。
【プラットフォームビジネスの代表的な種類】
下記でそれぞれの特徴について解説します。
仲介型プラットフォーム
仲介型プラットフォームは、商品やサービスを提供する側と利用する側とをつなぐプラットフォームビジネスです。
例として、メルカリやラクマなどフリマアプリが挙げられます。リサイクルショップ等を仲介せず、中古商品を売りたい人と買いたい人を直接つなげられるサービスであり、CtoCビジネスの一例として大きく成長しました。
他にも、Uber Eatsなど「買い物を代行したい人と代行してほしい人の仲介サービス」や、クラウドワークス、ランサーズのような「仕事を依頼したい人と受注したい人の仲介サービス」など、多くのビジネスモデルが挙げられます。
近年はBtoBの仲介型プラットフォームも拡大しており、業種や職種に特化したサービスが生まれているのもポイントです。市場調査などを徹底的に行い、ニーズにマッチしたプラットフォームビジネスを行うことができれば、自ずと利用者も増加していくでしょう。
OS型プラットフォーム
OS型プラットフォームは、サードパーティーのアプリ、システム、サービス等を提供するプラットフォームビジネスです。多様なサービスのOSとして機能しながら利用料を徴収していくモデルになっていることが多く、OSを提供すること自体がビジネスとして成立しました。代表的な事例として、Apple社のApple StoreやAmazon社のAWSなどが挙げられます。
なお、OS型プラットフォームビジネスは、既存のOSを利用することで販路を拡大していく戦略でもあり、アプリやシステムを動かすためのベースとして使えるサービスも含まれます。利用者はOSを借りることでビジネスの機会が広がり、新規顧客獲得や自社の露出度向上などのチャンスが得られる点がメリットです。
OS型プラットフォームや関連するサービスを開発、運営する際は、上記のようなメリットを企業やユーザーに上手くアピールできれば、大きな利益も期待できるでしょう。
コンテンツ型プラットフォーム
コンテンツ型プラットフォームとは、多種多様なコンテンツを提供する場をつくるプラットフォームビジネスです。たとえば、YouTubeやNetflixが挙げられます。自主制作した動画コンテンツを手軽に掲載できるYouTubeや、映画、ドラマ、テレビ番組のサブスクリプションサービスであるNetflixは、動画視聴がひとつの娯楽となった今の時代にマッチするサービスとして定着しました。
同様に、ブックコンテンツを提供するAmazon Kindleや漫画アプリ、ミュージックコンテンツを提供するSpotifyなどもコンテンツ型プラットフォームの一種です。
コロナ渦を経て、コンテンツ型プラットフォームの利用者が急増しているため利用者が多く需要が高い一方で、競合も多くしっかりと戦略を練ったうえで参入しなければ成功する確率が低い点には注意しましょう。
ソリューション型プラットフォーム
ソリューション型プラットフォームは、特定の機能を持つアプリ、システム、デジタルツール等を提供するプラットフォームビジネスです。たとえば、決済アプリのPayPayや楽天ペイ、レジ管理ツールのPOSレジやエアレジなどが挙げられます。
いずれもビジネス活動を支援する役割が強く、キャッシュレス決済による現金管理を減らす、売上や客単価を一目でわかるよう管理する、など業務効率化にも貢献可能です。ソリューション型プラットフォームは需要が減少しづらいため、長期的なビジネスを行いたいと考えている場合にも最適と言えるでしょう。
プラットフォームビジネスのビジネスモデル
プラットフォームビジネスのビジネスモデルは、下記4種類に細分化されます。
【プラットフォームビジネスのビジネスモデル】
下記でひとつずつチェックしていきましょう。
手数料課金型
手数料課金型のビジネスモデルでは、利用プランや利用量、利用金額に合わせて手数料が発生します。「利用額の一律〇%」など割合が決まっていることが多く、利用のボリュームが大きくなればなるほど手数料も大きくなるのが特徴です。
たとえばフリマアプリの場合、購入金額に対して10%前後の手数料が発生するビジネスモデルで運営しています。100円の商品が売れたら10%である10円がプラットフォーム側の利益となり、販売者の手元には差し引き90円の利益が残るのです。
フリーミアム型
フリーミアム型は、無料プランと有料プランとに分けてプラットフォームを提供するビジネスモデルを指します。基本機能は無料で提供しているのが特徴で、有料プランに切り替えると機能の拡大版が使えるようになるのがポイントです。
たとえば、遊び始めは無料でプレイできるゲームアプリや、会員になると全記事が読み放題になるニュースアプリなどが挙げられます。「とりあえず無料で試してみる」という使い方ができるので門戸を広げやすく、アプリのインストール率や無料プラン含めた会員数を上げやすくなるのがメリットです。
月額課金(サブスクリプション)型
月額課金(サブスクリプション)型は、その名の通り月額利用料を徴収するビジネスモデルです。毎月定額のみを徴収するため、会員数さえわかっていれば先々の収支見通しが立てやすくなるのがメリットとして広がりました。利用者にとっても「毎月の料金が変動しない」「家計の見通しが立てやすい」などのメリットがあり、直近十数年でサブスクリプション型サービスは爆発的に成長しています。
SpotifyやNetflixの他、AmazonなどのECサイトも月額課金制で運営しているのが特徴です。また、Amazonはフリーミアム型と月額課金(サブスクリプション)型のどちらの性質も併せ持つサービスであり、有料会員になって毎月定額を支払うことでお急ぎ配達等の特典を受けられます。
従量課金型
従量課金型とは、サービスを利用した回数、金額に応じて料金が発生するビジネスモデルです。利用しない限りゼロ円にできるという点では手数料課金型と似ていますが「1件あたり〇円」と定額料金が決まっています。
たとえばタクシー配車アプリにおける「迎車1件〇円」「予約1件〇円」などの設定が従量課金型に該当するため、自社で行いたいと考えているビジネスに近い業種のプラットフォームをチェックしてみましょう。その他、SNSの送信やオンライン電報など、文字数に合わせて料金が変動するモデルもあります。
4.プラットフォーム事業における4つのメリット
ここからは、プラットフォーマーとなりプラットフォームビジネスを展開することのメリットについて、具体的に解説します。
(1)少ない資本で参入しやすい
提供しようとするプラットフォームの種類にもよりますが、オンラインのプラットフォームをインターネット上に開設するのであれば、リアルのビジネスとは異なり土地や建物などを用意する必要がありません。
リアルの物品を販売するようなビジネスでは製品の製造や在庫管理も必要となりますが、プラットフォームビジネスではそれも不要です。
構築しようとするシステムの要件や機能に支障がなければ、レンタルサーバーやクラウドサービスを使えば自社でサーバーを設置する必要もありません。
基盤となるシステムの開発も、すでにあるさまざまなIT技術やサービスを活用することで工数を抑えることができ、クラウドソーシングなどで開発者を探すことも可能です。
プラットフォームビジネスは、少ない資本でも参入しやすいといえます。
(2)顧客数を増やしやすくなる
サービスのためのシステム開発やWebサイト開発を自社で独自に行い、そこに集客しようとすると、自社サービスだけで集客する必要があります。
戦略次第で必要な集客を実現することはもちろん可能ですが、最初のうちは特にハードルが高くなりがちです。
一方で、例えばAmazonや楽天市場のように多くの企業や事業者がサービスを展開し多数のユーザーがそのサービスを利用しているプラットフォームでは、プラットフォーム内でのユーザーの回遊などによる集客の選択肢が増えます。
企業間の競争が激化する可能性もありますが、その競争によって各社のサービスの品質が向上すれば、ユーザーはさらに増えるでしょう。
こうして参入企業やユーザーが増えれば増えるほど、参入企業やユーザーとプラットフォームの結びつきは強くなりますし、その魅力に引き寄せられる企業やユーザーの新規利用も期待できます。そうして顧客数を増やすことができれば、収益性がより高まるというわけです。
(3)顧客単価を上げやすい
前述のように、プラットフォームを利用してサービスを提供する企業や、その企業が提供するサービスを利用するユーザーが増え、それぞれとプラットフォームの結びつきが強まれば、企業やユーザーがプラットフォームにもたらす利益が大きくなります。
ショッピングモールのプラットフォームでいえば、ユーザーはあちこちのショッピングモールで購入するよりも、できるだけ一つのプラットフォームで購入するほうがポイント獲得や送料無料などの特典を受けやすくなるため、それだけプラットフォームの利用が増えます。
そうしてユーザーがたくさん利用するようになれば、サービス提供企業のビジネスはそのプラットフォーム利用を前提に伸びていきますから、プラットフォームの利用を継続することになり、それだけプラットフォーマーに費用を支払うことになります。こうしたメリットが、プラットフォーマーにとっては顧客単価の向上をもたらしやすくなるのです。
(4)データ活用ができる
サービス提供企業やユーザーがプラットフォームを利用すれば、その裏ではさまざまな行動データが蓄積されます。このデータを分析してマーケティング業務に使用することによって、プラットフォーム事業のさらなる発展につなげることができます。
近年のビジネスにおいて、ビッグデータは大いなる価値をもつ貴重な“資源”です。データの扱いには注意が必要ですが、自社マーケティングのみならずさまざまな活用方法を考えることができます。
この点もまた、プラットフォーム事業ならではのメリットといえるでしょう。
5.プラットフォームビジネスを行う際の3つの注意点
ここでは、プラットフォームビジネスの注意点を解説します。主に下記の3つが注意点となるため、あらかじめリスクのひとつとして検討しておきましょう。
【プラットフォームビジネスを行う際の注意点】
上記のポイントをチェックし、リスクを解消できるかシミュレーションしてから参入することをおすすめします。
最初のうちは集客コストがかかる
プラットフォームビジネスはユーザー数が増加すれば大きな収益に繋がりますが、ユーザー数が増えなければ収益に繋がりません。そのため、最初は利用者を増やすためにSNS運用をしたりWeb広告を出稿するなど、さまざまな施策に力を入れる必要があります。
たとえば独自の仲介型プラットフォームを始めた場合、まずは知名度と露出度を上げて利用者(登録者)を増やす必要があります。同じくコンテンツ型プラットフォームやソリューション型プラットフォームも、利用者が増えない限り収益化ができません。
また、利用者により満足してもらうことがさらなる集客につながるため、顧客満足度対策も必須です。十分な集客と満足度がないと、損益分岐点を超えられないのがデメリットと言えるでしょう。
後発の参入になるにつれ難易度が上がる
シェア率の高い大手プラットフォーマーが既に同じ業界に存在している場合、新規参入の難易度はかなり高いと言えるでしょう。
仮に、プラットフォームビジネスを始めようとしている業界に競合が少なかった場合「新しいサービス」として注目されればその分集客しやすくなり、ある程度市場に定着してからは「昔からある定番のサービス」「リーディングカンパニーが開発した間違いのないサービス」という評価も得られるのがメリットです。
一方、後発参入となった場合、先行プラットフォームを超えるサービスを提供するのが難しくなります。シェア率を拡大することができず、結局料金の引き下げなどコスト勝負になりやすいのも特徴です。既存サービスと似たようなサービスだけではシェアを取れないので、自社だけの付加価値をつける必要があります。
法規制に関しても注意する必要がある
プラットフォームビジネスを軌道に乗せるには、特商法や古物営業法、不当景品類および不当表示防止法などの理解が欠かせません。もちろん個人情報保護や改正プロバイダ責任制限法、セキュリティ対策などに関する理解も必須であり、新たなマーケットでビジネスを始める基盤を作る必要があります。
また、これらの法律は時代ニーズに伴って刻一刻と変化していくものであり、情報のキャッチアップや対応が遅れると深刻な法令違反になってしまうことがあるので注意しましょう。CtoCビジネスの場合、利用者同士のトラブルや情報開示請求に関する対応が求められるので、トラブル対策も必要です。
6.プラットフォーム事業を成功させる3つのポイント
ここまで述べたように、プラットフォーム事業にはさまざまなメリットがありますが、ただ参入すればそのメリットを享受できるというわけではありません。
ここからは、プラットフォーム事業を成功させるために戦略上おさえておきたいポイントについて解説します。
(1)フリクションを減らしたプラットフォームであること
今や数えきれないほどのオンラインサービスが存在しており、それらは企業やユーザーに大きな価値をもたらしています。
しかし、会員登録を手間だと思われてしまう会員限定サイトや、利用することに不安があるマッチングサービスは、ユーザーを増やすことが難しいものです。
プラットフォームビジネスも同様に、より多くの企業やユーザーに利用してもらうためには、与える価値を最大化する一方で、利用を妨げる障壁をできるだけ減らす必要があります。
「フリクション」とは、日本語でいうと「摩擦」「抵抗」などを意味しますが、プラットフォームの業界では、人の行動を妨げる要因をフリクションと呼んでいます。
事業者としては新たにプラットフォームを開発してビジネスとして展開する際には、そのプラットフォームにフリクションが存在していないかどうかをチェックし、もしあればできるだけ減らすよう検討するプロセスが欠かせません。
(2)企業やユーザーが不満を感じないような仕組みにすること
フリクションを減らしてプラットフォームを構築した結果、企業やユーザーに利用してもらえたとして、実際に利用したときに受け取れる価値以上に強い不満を感じることがあれば、企業やユーザーは別のプラットフォームの利用を考えるでしょう。
この場合の「不満」とは、プラットフォームの使い勝手に対する不満もそうですが、プラットフォーマー自身への不満や不信も大きな影響力をもちます。
お問い合わせには真摯に対応するなど、誠実なサービス提供に努めて企業やユーザーと信頼関係を構築することが重要です。そして機能面でも使い勝手のいいプラットフォームにしてプラットフォーム利用の価値を高めることを重視しましょう。
(3)利用企業やユーザーを自然に増やす仕組みがあること
プラットフォームを利用する企業を増やすためには営業活動が必要となり、その企業が展開するサービスを利用するユーザーを集めるためには広告宣伝が必要です。
しかし、営業活動に多くの労力をかけなければ利用企業が増えない、あるいは広告宣伝にコストをかけ続けなければ利用者を増やすことができないといったプラットフォームでは、いつまでもコストを減らすことができません。
プラットフォームビジネスを成功させるためには、低コストで手離れのいい仕組みを構築することが重要です。特に集客面では、営業活動や広告宣伝になるべくコストをかけなくても規模を拡大できるような仕組みを構築し、プラットフォーマーが自ら集客せずとも企業やユーザーが自然に集まり利用するようなサービスのあり方やマーケティング戦略を考えることが肝要です。
7.プラットフォーム事業の成功事例5選
最後に、プラットフォームビジネスの戦略を考える際の参考として、プラットフォーム事業の成功事例の一例をご紹介します。
(1)LINE
今や日本における“インフラ”の一部ともいえるLINEですが、最初は「モバイルメッセージングサービス」を掲げる無料通話アプリとしてスタートしました。
その結果、非常に多くのユーザーを獲得することとなりました。
その過程で、ゲームやニュース、音楽のサブスクリプションなどさまざまなサービスをLINEで提供するようになり、ユーザー数がさらに拡大しました。
そうしてLINEはプラットフォームと化し、そのビジネスを大きく伸ばすに至っています。
(2)Uber Eats
昨年来のコロナ禍では、フードのテイクアウトやデリバリーに対する需要が高まりました。
そうしたなかで存在感を発揮してきたサービスの一つが、フードの注文、配達プラットフォームを行う「Uber Eats」です。
「Uber Eats」は、フードのデリバリーを注文したいユーザーと、フードを提供したい飲食店、実際にフードを配達する配達員をマッチングするプラットフォームです。
操作はすべてスマートフォンアプリで完結するうえ、調理や配達などの状況、配達員の情報をアプリで確認できるなど、利用者のフリクションを減らしたことで好評を得ることができ、利用を拡大しています。
(3)クラウドワークス
日本国内最大級のクラウドソーシングサイト「クラウドワークス」は、仕事を発注したいクライアントと、仕事を引き受けたいワーカーのマッチングを行うプラットフォームです。
ワーカーがスキルや希望に応じて仕事を探しやすいシステム、クライアントが安心して仕事を依頼できる仕組み、費用の受け渡しを仲介する仕組みなどを構築し、フリクションを減らし信頼感を高めたことで利用者を堅調に獲得しています。
プラットフォーマーであるクラウドワークスは、問い合わせ対応やシステムの改善などを担いますが、仕事受発注のやりとりは基本的にクライアントとワーカーの間で完結するため手離れがよく、成功報酬から手数料を得ることで収益を上げています。
(4)楽天
楽天が提供するプラットフォームといえば、こちらも国内最大級のインターネットショッピングモールである「楽天市場」が有名です。
しかし、楽天というプラットフォーマーの手がけるプラットフォームビジネスの成功は、「楽天市場」も含めた多様なサービス展開にポイントがあります。
楽天は、ショッピングモールをはじめ、銀行、証券、クレジットカード、通信など、実に幅広いジャンルのサービスを展開しています。
そして、それらのサービスを相互に利用することで、ユーザーには多くの楽天ポイントを獲得しやすくなるメリットが生じ、そのポイントは実際の買い物などに使用することができます。
そのため、ユーザーには「生活上のさまざまなニーズをできるだけ楽天で解決するようにして、多くのポイントを集めよう」というモチベーションが生まれ、サービス利用が促されます。
この仕組みは“楽天経済圏”と呼ばれ、プラットフォームビジネスの経営戦略を考える上では外せない成功事例の一つとなっています。
(5)SPIRAL
多様な業界・業務の効率化を支援するWebアプリケーション構築プラットフォーム「SPIRAL(スパイラル)」は、パイプドビッツが提供する、企業や事業者の業務遂行上必要なアプリケーションを構築するためのクラウド型ローコード開発プラットフォームです。
アンケートの入力フォーム作成、顧客のデータ入力や管理、クライアント向け一斉メール配信などの業務を効率化するシステム構築を支援し、企業の営業やマーケティング業務の効率化に大いに貢献する「SPIRAL」は、多くの企業で営業、マーケティング業務担当者に支持されています。
8.まとめ
商品、サービス、情報などを提供したいと考える企業や事業者に、それを実現する“場所”であるプラットフォームを提供すると、その“場所”に利用者が集まり、そこには一つの経済圏が生まれます。
企業や事業者にとっては商品・サービス提供のハードルを下げやすく、利用者にとっては企業と利用者の1対1の取引よりさらに大きな価値を得やすいといったメリットが、プラットフォームの利用拡大につながります。
そして、自らが商品、サービスの提供者として営業活動を展開するのではなく、プラットフォーマーとして“場所”を提供する事業者への対価が生まれるのです。
今はインターネットをはじめとするITやデジタル技術の進歩により、オンラインのプラットフォーム提供が格段に容易になったため、参入障壁が低くなったことから、プラットフォーム事業は多くの企業の経営戦略策定プロセスにおいて注目を集める存在となっています。
しかし、注目が集まる分、市場は多様化しており、ただ“場所”を提供するだけではビジネスで成功を収めることはできません。
企業や事業者や利用者がプラットフォームに価値を感じて支持するということは、相応の価値を企業や利用者に提供しなければ利用拡大につながらないことを意味します。
プラットフォーム事業を成功へ導くためには、IT、デジタル技術の活用やオンラインサービスといったことにとどまらず、戦略をしっかり練り、事業としての営業活動を展開していく必要があるでしょう。
社内だけでは難しい場合は、外部のプロフェッショナルを招へいすることも1つの課題解決策になるでしょう。
みらいワークスは、国内最大級の19,000名以上が登録しているプロフェッショナル人材データベースを運営している企業です。
戦略策定に必要なスキルを持ったプロの人材をお探しの場合は、お気軽にお問い合わせください。
(株式会社みらいワークス Freeconsultant.jp編集部)
出典
※1:約7割が「販売戦略の変更」で、需要減少に対応