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最終更新日:2024.07.17
DX/最新技術

DXとは?実現するための課題や対策、成功例をわかりやすく解説

DXとは?実現するための課題や対策、成功例をわかりやすく解説
近年、DX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉を耳にする機会が増えています。DXとは、デジタル技術を使ったビジネスの変革を指しており、企業が今後も生き残るためにはDXに取り組み、組織全体の環境を整える必要があります。

しかし、DXを成功させる方法もわからず、目的も定まらないままDXに取り組んでも、目標とする企業の形にはたどり着けません。

今回は、そもそもDXとは何かを具体的に解説し、DXに取り組むうえで理解しておくべき課題や、成功に導く対策などを紹介します。DXに取り組みたい方は、この記事を読むところから始めてみてください。






1.そもそもDXとは?

 

DXに取り組むためには、まずDXへの理解を深めることが重要です。また、DXはIT化と混同されることが多く、それぞれの違いを理解できていなければDXを成功に導くことは難しいでしょう。

 

ここでは、DXの意味やIT化との違いを解説します。

「DX」は変革そのものが目的ではない

DXは「デジタルトランスフォーメーション」の略で、直訳すると「デジタルによる変革」と表せます。

DXの概念は、2004年、スウェーデンのウメオ大学に所属していたエリック・ストルターマン教授によって提唱されました。当時のDXは、情報技術の浸透が人々の生活を豊かにすることを意味していましたが、以降さまざまな産業のデジタル化にともない、DXがビジネス用語として使用されるようになったと考えられています。

なお、ビジネスにおけるDXについて、経済産業省の「デジタルガバナンス・コード2.0」では、次のように解釈しています。

「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」

出典:経済産業省 デジタルガバナンス・コード2.0

このように、ビジネスにおけるDXは単なる「デジタルによる変革」そのものが目的ではないといえます。

 

DXとIT化の違いは?

DXと混同されがちな言葉に「IT化」が挙げられます。DXとIT化は異なる意味を持つ言葉のため、それぞれ区別して理解しておきましょう。

IT化はIT技術の活用によって業務効率化などを図ることを指しており、IT化はDXを進める手段の一つだといえます。一方、DXはITを活用した組織・ビジネスの仕組みそのものの変革を意味し、企業成長によって新たな価値を生み出すことが期待されています。

IT化は戦術、DXは戦略といわれており、企業ごとに適した戦術・戦略を取り入れることがDXの成功につながるでしょう。

2.DXに必要な「デジタイゼーション」「デジタライゼーション」とは?

DX(デジタルトランスフォーメーション)とよく似た言葉に「デジタイゼーション」や「デジタライゼーション」があります。デジタイゼーション・デジタライゼーションはDXにたどり着くまでの段階を意味しており、この2つを理解すれば、DXへの順序を理解できるでしょう。

それでは、デジタイゼーションとデジタライゼーション、そしてデジタルトランスフォーメーションについて、それぞれ概要と相違点を解説していきます。

(1)デジタイゼーション

デジタイゼーション(Digitization)は、アナログでおこなってきた業務のデジタル化を意味します。

例えば、紙の書類をExcelファイルなどでデータベース化する場合や、RPAを導入して単純作業を手作業から自動化にシフトする場合がデジタイゼーションにあたります。

デジタイゼーションによって得られるメリットはさまざまです。アナログにはない検索性や恒久性をデジタル化で向上させることで、業務の効率化や生産性を向上させ、スピード感のある作業を実現できます。また、紙媒体での作業にありがちなヒューマンエラーの防止などの効果が期待できるでしょう。

(2)デジタライゼーション

デジタライゼーション(Digitalization)はデジタルを取り入れて業務プロセスを変革することを指し、単純なデジタル化による業務効率化を表すデジタイゼーションとは異なるものです。

デジタライゼーションの一例として、商談を「訪問」から「オンライン」に切り替えるデジタル化が挙げられます。業務プロセスをオンライン化すると、移動時間に割いていた時間を資料作成やリサーチなどの時間にあてられるようになり、結果として、商談の質の向上につながります。

また、広告媒体を紙からWebに切り替えるのもデジタライゼーションの一例です。Web広告なら、ターゲット層を絞り込んだプロモーションや効果測定の実施が可能になるでしょう。

(3)デジタルトランスフォーメーション(DX)

デジタルトランスフォーメーション(DX:Digital Transformation)は、製品やサービス、ビジネスモデルを変革し、競争上の優位性を確立する段階を表します。DXには企業文化や組織体制など、組織全体の変革が求められており、DXによって新たな事業や価値の創出が期待されます。

DXで懸念されるのが、組織全体の変革を実現する際に想定される、組織内からの反発などの諸問題です。これらの課題は、デジタイゼーションやデジタライゼーションなどの段階を踏んでノウハウを蓄積すると、解決しやすくなると考えられています。

また、DXでは現状のビジネス環境に対応するだけでなく、今後の技術革新などによってビジネス環境が激変した際にも対応できるようにしなければなりません。

DXには高い技術力や課題解決力、判断力などの総合的な力が求められています。

3.DXが注目されるようになった背景とは

近年注目されているDXですが、その背景には「2025年問題」と呼ばれる社会問題があります。2025年問題の概要を知り、社会問題の視点から、自社でのDXの必要性を考えてみましょう。

2025年問題とは、約800万人いるとされる団塊の世代が後期高齢者(75歳)になる時期に生じる諸問題を指します。労働人口が減って社会保障が必要となる高齢者が増えることで、医療・介護・福祉をはじめとしたあらゆる産業での影響が懸念されているのです。

IT分野も例外ではなく、この2025年問題を抱えています。経済産業省が2018年に公表したDXレポートでは、2025年以降に年間最大12兆円の経済損失が生じ、IT人材は約43万人不足すると試算されています。

IT分野も例外ではなく、この2025年問題を抱えています。経済産業省が2018年に公表したDXレポートでは、2025年以降に年間最大12兆円の経済損失が生じ、IT人材は約43万人不足すると試算されています。

2025年以降のビジネス環境下では、複雑な既存システムやブラックボックスが抱える課題を改善できる、DXの推進が急務となっているのです。

DXを推進しなければ市場の変化に対応できず、デジタル競争を勝ち抜くことが非常に困難となるでしょう。また、事故や災害によるシステムトラブルやデータ流出などのリスクも高まります。

DXでは既存システムの問題解決、業務全体の見直しが求められますが、これらを実行する際の各種課題を乗り越えなければ、DXの実現は難しいのが現状です。

実際に、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「DX白書2021」の日米企業調査によると、日本における全社的なDXへの取組状況は21.7%にとどまっています。同調査では米国企業の取組状況が36.6%であることも示されており、比較すると日本のDXが進んでいないことがわかります。

2025年の崖を乗り越えるためには、想定される問題を直視し、より積極的にDXに取り組む必要があるのです。

出典:経済産業省 DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~

独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「DX 白書 2021」

4.DXを推進するうえで乗り越えるべき課題

DXを進めるためには、企業が抱える課題の正確な把握が欠かせません。DXの妨げになりうる課題を3つの項目に分けて解説します。

デジタル社会に残る日本の商慣習

デジタル化が進んでいない日本では、決算書類や契約書にアナログで押印しなければならないケースがいまだ多いのが現状です。また、スピーディさが特徴のデジタル化したビジネス環境を、自分に合わないと感じる方も少なからずいるでしょう。

デジタル分野では最小限のサービスからアップデートを重ねていきますが、日本の商習慣では性格上、最初から完璧が目指されるのです。

このような慣れ親しんだルールを抜本的に変えるためには、組織的な意識変革も必要となります。早急な改革は反発を招く恐れもあるため、一つずつ確実に改革を進めていくことが大切です。

◇既存システムに対する依存

これまでの日本社会では、メンバーシップ型雇用制度を採用する企業が多く存在していました。業務は属人的で、業務に合わせてシステムをカスタマイズしてきたことから、古いシステムを捨てようと思っても、簡単には変えられない状況に陥っているのです。

DXの推進には、既存システムの見直しが欠かせません。しかし、既存システムへの依存、老朽化したシステムの運用費などが原因でDXの予算を捻出できず、システムの見直しが進まない現状があります。

ITリテラシーの低さ

通信インフラが充実している日本ですが、いまだに紙でのやり取りやFAXが必要な業務をおこなう企業が多く見受けられます。

近年では、ペーパーレス化やチャットツールの採用といった取り組みも増えてきましたが、欧米に見られるようなモバイル端末のみで仕事を完結する段階とまではいえません。

DXを推進するには、積極的にデジタル化を取り入れ、社員に教育をおこなうことでITリテラシーの向上を図る必要があります。ITリテラシーの低さを改善しないことには、DXの実現も遠のくといわざるをえません。

5.DXを推進するうえでの課題への対策

DXを推進するには、どのようなポイントに注意すればよいのでしょうか。ここでは、DXを推進するうえで起こりうる課題への対策を4つ紹介します。闇雲にDXを推進しようとせず、まずはポイントを押さえて一つずつ着実にDXを目指しましょう。

DXの目的の明確化

DXを推進するために、まずはDXの目的を明確化しましょう。

目的を定めずに何となくDXを始めると、ゴールへたどり着けずに計画が破綻してしまう可能性が高くなります。目的がないと何をしてよいのかわからず、不要なデジタル技術の採用によって予算を無駄遣いしてしまうかもしれません。また、デジタル技術を使うことが目的になってしまい、変革やビジネスの創出につなげられない場合もあるでしょう。

このような事態を防ぐためには、まずは目的を明確にし、組織全体でビジョンを共有する必要があります。

DXは今後の経営を左右するため、中長期的な観点でのDX推進をおこない、現場レベルまで意識変革する必要があります。スムーズにDXを推進するためにも、組織全体でDXに取り組めるよう、情報の周知徹底を図りましょう。

経営層の理解

単純なデジタル化が可能とするのは業務効率化などに過ぎず、業務全体の変革までは実現しません。市場での競争の優位性を確立するためには、具体的な経営戦略を立てて実行にうつす必要があります。DXを推進するには、まずは経営層が強い意思を示して組織全体を整備することが重要です。

また、従業員が積極的にDXに取り組もうとしても、経営層の理解不足が原因で改革が進まない場合もあります。経営層に正しい知識がなかったために、コスト削減や業務効率化をしただけでDXを達成したと思い込んでしまうケースも考えられるでしょう。

経営層がDXの本質を理解したうえで、組織全体でDXに取り組む体制の構築が重要です。

レガシーシステムからの脱却

レガシーシステムとは、老朽化・ブラックボックス化した基幹システムを指します。

レガシーシステム導入以降、時間の経過で環境の変化に対応できるように、あらゆるカスタマイズやアドオンが開発されてきました。複雑化したシステムは非効率で維持コストもかかりますが、システム改善のために事業を停止するわけにもいかず、古いシステムを使い続けている企業も見受けられます。

DXへの着手をいかに早くおこなえるかは組織の今後を左右するため、早急にシステムを刷新する対策が必要です。システムを刷新する際には業務に支障が出るなどの問題も発生する可能性がありますが、これらの課題を踏まえてなお、DXを推進できる力が求められます。

DX人材の確保や育成

前述したように、システムを刷新して維持していくためには優秀なDX人材が不可欠です。システム開発や運用、保守をベンダーに丸投げするだけでは、社内に技術やナレッジが蓄積されません。社内でいかに人材を育て、活用するかがDXの要だといえます。

IT人材が必要とされる一方、少子高齢化し労働人口が不足する社会でデジタル人材は年々不足し、優秀な人材は常に需要が高くなっています。ナレッジが蓄積されていないことも人材不足の要因の一つとなっており、優秀な人材を在籍させ続けることはどのような業種の企業においても課題です。

変化し続ける市場でも優位性を担保するために、人材登用にも注力し、ベンダーと渡り合えるほどデジタル技術に精通したDX人材を確保、育成できる環境を整えましょう。

6.日本企業におけるDXの成功事例3選

ここまでDXの概要や推進のためのポイントを解説していきましたが、実際に、日本の各企業ではどのようにDXに取り組んでいるのでしょうか。

ここでは、日本企業におけるDXの成功事例を3社紹介します。自社に取り入れられる部分がないか、検討してみてください。

トライグループ

幅広い教育サービスを展開するトライグループは、インターネットを活用した映像学習サービス「Try IT」を提供しています。

サービスでは映像授業を無料視聴できるだけでなく、視聴者の質問に教師がその場で応えるオフライン授業のような体験もできます。これまでのノウハウを活かし、生徒にとって最適なタイミングで最適な指導ができるような仕組みも用意されており、継続的に学習を続けられるような工夫が施されています。

いつでもどこでも学習できるインターネットでのサービスならではの特徴を売り出し、会員登録者数は100万人を超えています。

ソニー損害保険

ソニー損害保険株式会社では、DXによって顧客の事故リスクに応じて保険料をキャッシュバックする仕組みを構築しました。開発したのは、スマートフォンで運転特性データを計測し、その結果から事故リスクを推定できるアプリです。

アプリを利用して事故時の補償やサービスを受けられるメリットに加え、キャッシュバックというメリットを顧客に提示して、顧客の事故リスクを低減させています。顧客がキャッシュバックのために自ら安全運転を心がける仕組みを作ることで、自動車事故の発生を抑える新しいサービスを提供しているのです。

ユニメイト

レンタルユニフォーム事業を手がける株式会社ユニメイトでは、自動採寸アプリを開発し、業務の効率化や顧客満足度の向上を実現しました。

AIによる画像認識技術を活用したアプリ「AI×R Tailor」を活用すると、正確な身体のサイズを簡単に把握できます。顧客自身が身体のサイズを把握可能となったことで、ブランドやメーカーによって異なる服のサイズ感を合わせられ、より自分に合った服選びができるようになりました。

企業側の視点で見ると、顧客が自分に合ったサイズを選びやすくなったことで、サイズが合わないことによる返品・交換へ対応する手間が減っています。アプリの開発が返品・交換にかかるコスト削減につながっているのです。

7.まとめ

ここまで解説してきたように、DXの実現には市場での競争力向上や業務の効率化など、企業にとってさまざまなメリットがあることから、その推進は業種を問わず急務といえます。

そのためには、自社にとって最適なDXとは何か考え、DXの推進に向けた課題を一つずつクリアしていくことが重要です。

しかし、自社にとってどのようなDXが最適なのか判断することは簡単ではないことから、具体的な取り組みの部分でつまづいてしまう企業も少なくありません。

そこで、こうしたDXの推進に関する課題を抱えている企業に向け、DXの進め方のポイントをまとめたお役立ち資料をご用意しました。ぜひダウンロードのうえ、ご活用ください。






(株式会社みらいワークス Freeconsultant.jp編集部)