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最終更新日:2024.10.29
DX/最新技術

DXの推進、実現で企業が得られる成果とは?企業が推進すべき取り組みも解説

近年注目が集まっているデジタルトランスフォーメーション(DX)。DXとは、直訳すると「デジタルによる変革」を意味します。このDXの推進が活発化している背景にはどのような理由があるか、ご存知でしょうか。

IT技術が目まぐるしく発達する現代社会において、市場で生き抜くためには、早めにDXに取り組んで対応できるようにしておかなければなりません。DXが推進される背景を知れば、DXに向けて講じるべき対策の糸口が見えてくるでしょう。

本記事では、DXが推進されている理由と、DXの推進によって期待される成果、成果を得るために必要な取り組みを解説します。

これからDXに取り組もうと考えている方や、DXへの取り組みで思うように成果が出せていない方は、ぜひ参考にしてみてください。

1.DX推進とは

DX推進とは、DX(デジタルトランスフォーメーション)を実現するために、企業がさまざまな取り組みを行うことを指します。最新ツールやデジタル技術を活用して、働きやすさの向上や競合優位性、生産性向上を計ることが目的です。

DXを推進することで社会の変化に適応することができ、業務への取り組み方や企業の立ち位置をより良い方向へ導くことができます。

2.企業でDXが推進されている背景とは

DXの推進が推奨されていることは知っていても、なぜDXが推奨されているのかまで細かく理解している方は少ないかもしれません。

ここでは、まずDX推進の社会的な背景を解説します。社会でDXが推進されている理由を知り、自社の現状と照らし合わせてみてください。

「2025年の崖」問題

2025年、日本では団塊の世代の多くが後期高齢者になり、さまざまな社会問題が発生するとされています。

経済産業省「DXレポート」では、DXに取り組まなかった場合、2025年以降に最大12兆円の経済損失が生じる可能性があると推察されています。

2025年に予想される諸問題の一因が、これまで使い続けられてきた既存システムです。部門ごとに構築されており、過剰なカスタマイズが施され、ブラックボックス化した既存システムは、事業の改善を遅らせます。変化するビジネス環境で、既存システムが変革の妨げとなっているのです。

既存システムの問題を解消するには業務全体の見直しが必要ですが、業務を見直すにも問題を解消するにも、越えるべき壁は多くあります。

また、システムや業務を見直すには長期的な取り組みが必要です。企業が今後も事業を継続するためには、既存システムの見直しが不可欠なため、早急に対策すべきでしょう。

働き方の多様化

近年、ITやICTが活用され、テレワークなどの働き方が普及しています。働き方の多様化にともない、会議や商談など、これまでは職場や取引先などでおこなっていた業務が、遠隔地でも実施できるようになりました。

多くの企業では多様な働き方に向けて環境を整えつつあります。まだ環境が整っていない企業では多様化する働き方に対応できず、今後の成長につながらない可能性があります。

3.DXの推進、実現で企業が得られる成果

DXの推進が重要なことはわかっていても、具体的にどのようなことが実現するのか想像がつかない方も多いでしょう。ここでは、DXで実現できる未来を具体的に解説します。

既存システムの刷新による業務効率化

現状として多くの企業では、合理的ではないアナログ作業が残っています。DXと聞けばアナログ作業をデジタルに置き換えることを想像しがちですが、単純なデジタル化だけではDXとはいえません。DXの目的は、改革を通じた新たな価値提供にあるからです。

DXを推進する過程で、多くの企業は既存システムの刷新を迫られます。システムの刷新時にはコストがかかりますが、処理速度の向上や高度なデータ分析の実現、レガシーシステムにかかる保守費用などの削減といった効果を得られます。

また、経済産業省「DXレポート」によれば、調査に回答した企業のうち約7割が、レガシーシステムがDX推進の足かせになっていると感じています。既存システムの刷新は多くの企業にとってDX推進の大きな壁ですが、壁を乗り越えれば大きな業務改善効果が期待できるでしょう。

多様化するニーズへの対応力強化

インターネットやモバイル端末が普及したことで、消費者はあらゆる情報を手軽に入手できるようになりました。これにともなって細分化・多様化した消費者のニーズに対応するには、相応のシステムの構築が不可欠です。

DXによる変革の例として、インターネットショッピングやキャッシュレス決済が挙げられます。インターネットを介して商品を購入し決済できる環境があれば、欲しいものを探すために何件も店を回る必要がなくなり、手持ちのお金が足りなくてATMに走るなどの手間もかかりません。

デジタル技術は、あらゆるサービスと結び付けられます。また、技術の発達により、近年では移動しながら楽しめるデジタルコンテンツも増えています。

デジタル技術を積極的に採用すれば、自社サービスの品質向上や新製品の開発につながり、結果的に、さまざまな消費者のニーズへの対応も可能となるでしょう。

競争力の向上と優位性の確立

変革を起こす努力をしてきた企業と、そうでない企業とで、市場での競争力に差が生じるのは想像に容易いでしょう。

レガシーシステムを捨てきれず作業効率や生産性が向上しなかったり、新たな事業・価値の創出が積極的におこなわれず現状に満足していたりすると、社会の変化にはついていけません。

DXによって競争力の向上が実現することで優位性が確立され、競合との競争から脱却できます。

BCPを充実させられる

BCP(事業継続計画)とは、緊急事態に遭遇した際にも被害を最小限に抑えつつ、事業を継続するための対策を決めておく計画のことです。

緊急事態は突然発生するため、何の対策も講じられていない企業では、廃業や事業の縮小などを検討しなければならないケースもあります。緊急時でも柔軟に対応できるようになると、初期対応が迅速になり業務へのダメージを最小限に抑えられ、早めの回復が期待できます。

通常業務の再開を早められれば、顧客からの信用も高まり、市場関係者からもよい評価を受けられるでしょう。

なお、BCPやDX推進についてお悩みの方は下記の資料をお役立てください。「なぜ自社でDXが推進できていないのか?」という部分が明確になるため、どのような取り組みを行っていけば良いのかが自ずとわかります。

4.DXを実現するために、企業が推進すべき取り組み

DXを実現させるためには、闇雲に取り組むのではなく、どのように進めていけばよいのかを具体的に把握しておく必要があります。

DXを実現させるにあたり、推進すべき取り組みを解説します。

DXを推進する目的を明確にする

DXを推進するうえで欠かせないのが、目的の明確化です。目的がはっきりしないままDXを進めてしまうと、DX自体が目的になってしまい、変革やビジネスの創出につながりません。

また、目的によっておこなうべき施策も異なってくるため、まずは目的を明確化し、会社全体でDXに向けた共通認識を持てるようにしましょう。

目的を設定する際は、中長期的な観点からの判断が大切です。DXは会社全体に変革をもたらすため、短期的な目的を設定してしまうと、すぐに目的を変更しなければならなくなる可能性があります。

経営層によるトップダウンを行なう

目的を設定したら、DXの推進を全社に周知し、意識を共有してください。DXのスムーズな推進をおこなうにあたって、従業員の不満を生まず、社内からの協力を得るためにも、全社的にDXを理解してもらう必要があります。

DXの目的を明確化したあとは、経営層にもDXについて理解してもらいましょう。トップダウンで周知していけば、理解を得られやすくなります。

DX推進体制を構築する

DXの推進は全社を巻き込む大きな事業です。そのため、従来事業と並行してDXを推進しようとすれば、業務過多となって従来事業に支障が出てしまいかねません。

DXを推進する際は、DX推進を専門に進める部署やチームの新設、さらには予算の確保をおこない、スムーズに事業を進められる体制を整えましょう。

DX推進には、デジタルに精通した知識やスキルを持った、いわゆる「DX人材」が不可欠です。DX人材には、データサイエンティスト、AIエンジニア、ビジネスデザイナー、UXエンジニアなどの職種があります。

技術的なことだけではなく、DXを推進するための姿勢や主体性など、人それぞれの個性を見極めて適切にアサインすることも重要です。

また、DX推進にあたって外部企業のサポートを受ける場合でも、すべてを任せるのはおすすめしません。DXに適した社内人材を育成し、ノウハウの蓄積をしていくためには、自社での取り組みも不可欠です。サポートを受ける際には、社内教育などのフォローアップも併せて進めるとよいでしょう。

経済産業省のガイドラインを活用して課題や対策を見える化

課題を洗い出して可視化し、整理します。現場の声を聞くことも課題を見つけるために必要なため、さまざまな立場の声を拾いながら、自社にとっての課題は何かを洗い出してください。

経済産業省は、経営者がDXの実現のために押さえるべき事項をまとめた「デジタルガバナンス・コード2.0」を公表しています。これは2018年に公表された「DX推進ガイドライン」と、2020年に取りまとめられた「デジタルガバナンス・コード」を統合したもの です。DXの全体像を把握し、必要なものが何かを考えるために、一度目を通しておきましょう。

現状をより詳細に分析したいなら、経済産業省の「DX推進指標」の活用もおすすめです。DX推進指標には、DX推進のための経営のあり方・仕組みに関する指標や、DXに必要なITシステムの構築に関する指標が盛り込まれています。 DX推進に向け、現状や課題の把握、認識の共有をおこない、アクションへ結び付けるためのツールとして役立つはずです。

洗い出した課題は細分化し、DXを推進するか、他の方法で解決するかを検討します。このとき、すべての課題を無理にDXで対応しようとせず、広い視野で解決策を検証しましょう。

検証の結果、DXを推進する場合は、どのような施策が効果的なのか、どのようなITツールがよいのかも含めて計画を立てます。一口にDXといっても、施策によってとるべき方法はさまざまです。自社にとって最適な手段を選択してください。

アジャイル開発を取り入れる

アジャイル開発なら、従来のウォーターフォール開発と比べて仕様変更に強い特徴があります。 ウォーターフォール開発は最初の段階で完璧な要件定義や設計をおこなうため、予算や計画が立てやすいメリットがあります。しかし、途中で不備が見つかると見積りからやり直しになってしまうため、小さなサイクルでテストできるアジャイル開発も採用してみましょう。

アジャイル開発はDXとの相性がよいとされていますが、新たな手法の導入にハードルを感じる企業も少なくありません。しかし、従来の開発方法でプロジェクトを開始してしまうと、途中から別の手法を取り入れるのは困難になります。だからこそ、早い段階で新しい開発方法を採用するのがおすすめです。

データを活用する

DXの推進では、正確なデータを収集して事業に活かすことが重要です。意思決定には経験や勘ではなく、データを活用した客観的な判断が欠かせません。 データ活用自体がDXではなく、DX推進に必要なプロセスであることを理解したうえで、データを収集しましょう。

データを収集する

DXの推進では、正確なデータを収集して事業に活かすことが重要です。意思決定には経験や勘ではなく、データを活用した客観的な判断が欠かせません。

適切にデータを活用するためには、闇雲にデータを収集するのではなく、データを収集する基盤の構築が必要です。

なお、DX推進について不安を感じている方や情報収集に自信のない方は、以下の資料をお役立てください。100社以上のリアルな事例からわかった、DX成功に近づくための法則を解説しています。

5.DX推進ガイドライン(デジタルガバナンス・コード3.0)に沿ってDXを推進しよう

DX推進ガイドラインとは、企業や組織がデジタル技術を活用して業務プロセスやビジネスモデルを変革し、自社の競争力を高めるための指針およびフレームワークを指す言葉です。「デジタルガバナンス・コード」とも呼ばれており、デジタル技術による社会変革を踏まえた経営ビジョンの策定、公表に必要な施策としてまとめられました。(※)

DXを推進したいとき、何から着手するべきかわからなくなったら、DX推進ガイドラインを参考にしてみましょう。ビジョンと戦略の策定方法から、施策実行後のプロセス見直し、データ活用の強化、技術基盤の整備など、ありとあらゆるノウハウが詰め込まれています。

参考:
経済産業省 デジタルガバナンス・コード2.0

6.DX推進に取り組んでいる企業3選

経済産業省がまとめている「DX銘柄2024」では、DX推進に取り組んでいる企業が22社取り上げられています。今回はそのなかからグランプリに輝いた3社について、ポイントや具体的な施策を解説します。

株式会社LIXIL

株式会社LIXILでは、AIをフル活用した接客システムの構築や、ビデオ会議を通じたバーチャルオフィスの実現を実現しています。

具体的な施策内容としては、AI 音声認識を活用した接客サービスの提供やAI技術を使った実際の3Dシミュレーションなどが挙げられます。顧客がほしい情報をスピーディーに提供し、完成後の部屋をシミュレーション画像として見せることで、短時間でもリアリティのある接客ができるようになりました。社内においてもバーチャルオフィスを使った仕事ができるようになったことで、テレワークやフレックスが使いやすくなり、多様な人材の活用が進んでいます。

今後もFAQ作成やチャットボットの提供など、自社の働き方改革と顧客サービスの向上を同時にかなえられる施策を打ち出す予定です。

三菱重工業株式会社

三菱重工業株式会社では、機械学習を用いた業務管理を徹底しています。機械学習で自動的に生産計画を作成してくれるスケジューラーを導入したことで、生産現場の負担が軽減されています。また、原材料の入手時期や在庫情報もリアルタイムに反映できるシステムにすることで資材のロスを防ぎ、収益の改善にも貢献しました。

その他、自然言語処理技術を使ったドキュメント作成や管理にも着手し、事務作業の効率化を図っています。これによって今まで多くの時間を費やしていたルーティンワークが簡略化され、社員がコア業務に専念できるようになりました。ドキュメントから自社ならではのノウハウを抽出して保存することもできるため、ナレッジの蓄積にも貢献しています。

株式会社アシックス

株式会社アシックスでは、歩行データをもとにした健康状態のスコアリングなど、DXにより新たな健康管理手法を打ち出しています。スポーツブランドならではの「運動×健康」を意識した取り組みであり、他社ではなかなかない事例として注目されました。「歩行寿命」を延ばすことで、病気ではないものの年齢とともに筋力や心身の活力が低下する「フレイル現象」を防ぐ効果も期待されており、社会貢献の一環にもなっています。

また、全年齢対象の若返りを支援する独自のプログラム「ASICS HEALTH CARE CHECK」も開発しており、数々の自治体や企業で導入されています。一人ひとりの心身の健康度合いを見える化することができ、従業員全体の健康増進を叶えることが可能です。このプロジェクトは最新技術を健康に活かす取り組みであり、地域と協力しながらできる施策として定着しました。

7.DX推進で成果を出すならフリーコンサルタント.jpにお任せください

フリーコンサルタント.jpでは、DX推進を支援する人材の紹介をしています。DXの指針づくりなど根本となる部分からの参画はもちろん、企画の立案、実行、改善など実務を重視できる人材までバランスよく揃っているので、これからのDX施策に不安がある方はお気軽にご相談ください。

なお、フリーコンサルタント.jpは、国内最大級のコンサルタント紹介サービスであり、25,000人以上のプロフェッショナル人材が在籍しています。稼働時間も自由に調整できるため「ツール導入時のみサポートしてほしい」「DX推進プロジェクトを中長期的にサポートしてほしい」といった様々なニーズにも柔軟に対応可能です。利用企業数は970社を突破しているため、同業他社の取り組みや似た事例を知りたいときにもお気軽にご相談ください。

8.まとめ

ここまで解説してきたように、DXは業務の効率化や顧客満足度の向上につながり、企業と顧客双方によい結果をもたらします。

その一方、DXを推進するなかで、IT人材の確保・育成に課題を抱える企業が少なくありません。社会全体でIT人材が不足している ことから、企業が外部からIT人材を確保(採用)することは難しくなっているためです。また、自社でIT人材を育成する場合でも、その環境が整っていなければ人材は育ちません。

そこで、こうしたDX推進に関する課題を抱えている企業に向け、成功事例や人材の育成についてまとめたお役立ち資料をご用意しました。ぜひダウンロードのうえ、ご活用ください。



(株式会社みらいワークス Freeconsultant.jp編集部)

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