パ・リーグを3連覇したオリックス・バファローズのドラフト戦略は企業の採用戦略にも通ずる!? - freeconsultant.jp for Business
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最終更新日:2024.08.26
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パ・リーグを3連覇したオリックス・バファローズのドラフト戦略は企業の採用戦略にも通ずる!?

2023年のプロ野球の頂上決戦日本シリーズは、59年ぶりの関西ダービーであり、最終第7戦までもつれた混戦だったということで非常に盛り上がりました。

2023年の日本シリーズを制したセ・リーグ王者の阪神タイガース(以下、阪神)は、18年ぶりのリーグ優勝でしたが、パ・リーグ王者のオリックス・バファローズ(以下、オリックス)は、なんとリーグ3連覇であり、対照的なチーム同士の戦いでした。

しかしながら、実はオリックスも2021年の優勝が25年ぶりと長らく低迷が続いたチームでした。そんなオリックスがどうやって3連覇するほどの強さを身につけたのでしょうか?

その答えは『ドラフト戦略を中心としたチーム編制の上手さ』です。
もちろん監督、コーチ陣の能力の高さもありますが、指導に答える選手の能力や選手層が無ければ、優勝を成し遂げることはできません。

そしてプロ野球のチーム編成において、高い能力の選手を集める手段として、『ドラフト会議』は欠かせないものとなります。
ドラフト戦略の上手さが、3年から10年の強さを決めるといっても過言ではないためです。

そこで今回はオリックスにおけるドラフト戦略の上手さをひも解いていき、企業における採用戦略に通ずるポイントを解説していきます。


プロ野球におけるドラフト会議の重要性

プロ野球において、選手をチームに招く手段は沢山あります。

  • FA(フリーエージェント)制度
  • トレード
  • 外国人助っ人補強
  • 他球団戦力外選手など自由契約の選手との契約
  • 現役ドラフト
  • ドラフト会議

その中でも特に重要なのがドラフト会議です。
もちろん、優秀な選手な選手を集めることができるのであれば、どの手段を用いても問題ありません。

しかしながらドラフト会議以外の手法は全て、他球団や選手の意向などの外部要因に引きずられてしまうことが多いものとなります。
そのため、ある程度、自球団の思惑通りに選手を集めることができるのはドラフト会議のみとなるため、非常に重要となるのです。
※入団拒否などの例外もあるため100%ではございません。

またFA選手の獲得やメジャーで自由契約となった日本人選手の獲得は、過去の実績をもとにある程度の成績を予測して選手を補強することができる点で、ピンポイントでチームの弱点を補う手法としては非常に優れています。

しかしながら、そういった選手はある程度年齢を重ねているため、短期的な戦力強化となってしまいます。
一方でドラフト会議で入団する選手は、高卒もしくは大卒、社会人卒と比較的若い選手となるため、中長期的なチーム運営を見据えた選手獲得につながります。

そのため既存選手の年齢やポジションなどの分布図を鑑みて、バランスの良いチーム編制を行うことができるドラフト会議は重要な選手獲得手法となるのです。

オリックスのドラフト戦略

オリックスは、独自路線のドラフト戦略と評されることが多いです。
ドラフトで競合覚悟の候補に突っ込むことは少なく、ドラフト1位の競合くじ引きは、2023年ドラフトを含めた直近10年間では12球団で最少の4回と、単独指名で着実に良い選手を獲得するスタイルです。

また、2023年日本シリーズの第1戦に先発した山本投手が178cm、第2戦の先発宮城投手が171cm、第3戦の先発東投手が178cmとNPBに登録されている投手の平均身長181.1cm(2022年度)を下回っている選手も多く指名していることも特徴です。

特に上記の3名は全員が高卒で入団している選手です。
高卒の選手は伸び代を評価されて指名されるため、身体の大きさも1つの評価ポイントと考えることが定石となっており、それ以外のポイントで選手を評価して指名し、かつそういった選手がしっかりと活躍していることもオリックスのドラフト戦略が独自路線であり、近年のチーム強化につながっております。

実際に、2023年の日本シリーズで上記3選手は揃って勝利を挙げております。
さらに打者に関しても、日本シリーズで全7試合に出場した中心6選手のうち、紅林選手、頓宮選手、中川選手、宗選手などドラフトで指名した選手が4選手、FA加入した森選手、外国人助っ人のゴンザレス選手のような外部からの助っ人が2選手と非常にバランスの良い選手層となっていることが強さの秘訣と言えるでしょう。

採用戦略にも通ずる!?

オリックスが3連覇した要因は、ドラフトを中心としたバランスの良いチーム編成を行っていることだと紹介しました。

高卒選手で1年目から一線級の活躍をする選手は、10年に1人いるかいないかといった確率でしょう。大卒、社会人卒の選手でも1年目から一線級の活躍をする選手は稀有な存在です。
そのため、自チームの育成能力と選手個々の伸び代を掛け算した、将来を見据えた指名を行っていく必要があります。

つまりドラフトは、3年から5年後を見据えた戦略のもと行っていく必要がある訳です。
そして中長期的な目線でのドラフト戦略が上手くいっているのが、数年前のソフトバンクホークスや広島カープ、そして今のオリックスや阪神といった近年の優勝チームという訳です。

実際にオリックスは、2021年から2023年まで3連覇しておりますが、2014年から2020年までにAクラス(3位以上)に入ったのが2014年の1回のみと、非常に苦しい時期を過ごしてきました。

オリックスの過去10年順位遍歴

  • 2014年:2位
  • 2015年:5位
  • 2016年:6位
  • 2017年:4位
  • 2018年:4位
  • 2019年:6位
  • 2020年:6位
  • 2021年:1位
  • 2022年:1位
  • 2023年:1位

そして今現在、2014年以降にドラフトで獲得した選手がチームの柱として活躍しております。
そこを鑑みると、いかに中長期目線でのドラフト戦略で選手を獲得し、育成していくかが重要になるかが分かるのではないでしょうか?

また、この考え方は企業の採用戦略にも通じます。
プロ野球で言う高卒選手は、「新卒採用」にあたり、大卒選手は、「第二新卒採用」、社会人卒選手は「若手の中途採用」にあたるでしょう。
一方で外国人助っ人の補強やFA選手の補強は「即戦力中途採用」や「外部のプロ人材の登用」にあたります。

プロ野球の選手獲得に紐づけたビジネスマン採用の立ち位置

つまり企業の組織編成もプロ野球のチームと同様に、育成に時間がかかる新卒採用や第二新卒、若めの中途採用に偏りすぎると、一時的な組織力は下がってしまいますし、逆に即戦力中途に偏りすぎても中長期的な組織発展には繋がらず、年齢分布の空洞化が起きてしまうと、企業そのものの存続にも繋がってしまうリスクをはらみます。

もちろん年齢構成だけが全てでは無いにしろ、短期と中長期を見据えたバランスの良い組織構成が数年後の常勝組織を作るための必要条件だと言えるでしょう。

まとめ

今回は近年ドラフト巧者と言われ、パ・リーグを3連覇したオリックス・バファローズのドラフト戦略をひも解き、企業の採用にも重なる点を解説してきました。

プロ野球のチーム編成と企業の組織編成は、重なる部分が多分にあります。
特に両者の共通項として考えられるポイントとして、年齢や役割などを含めた人員分布のバランスが非常に重要という点があります。

すなわち経験豊富なベテランだけを集めた組織は短期、中長期を見据えた際に、常勝軍団を作っていくことが難しくなるということです。

企業として軌道に乗るまでは、偏った組織編制になってしまうことは当たり前に起り得る事象ですが、企業基盤がある程度固まった後には、新卒や第二新卒の採用、育成を中心に実施した上で、どうしても足りないポジションには外部の助っ人を招へいすることがあるべき姿と言えるでしょう。

実際に、2023年のオリックスも前年までの絶対的主軸だった吉田選手のメジャー移籍に合わせて2022年オフのFA選手の中で目玉だった森選手を獲得しました。
こういったドラフト会議で獲得した選手の育成と、必要最低限の外部補強が、チーム編成のバランスを保ちつつ、常勝軍団を作っていく秘訣となるのではないでしょうか。

今季も絶対的エースの山本投手のメジャー移籍がほぼ確実となっています。
その移籍に合わせてどんな補強をするのか、しないのかといった球団の意思決定も注目ポイントとなるでしょう。

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(株式会社みらいワークス Freeconsultant.jp編集部)

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