DX人材の採用を成功させる5つのポイント|今後の企業成長にDX推進は必要不可欠
現代のビジネス環境において、DXを推進させることはもはや必須の項目となりました。競争力の強化や業務プロセス効率化を叶えるにはDXが不可欠であり、同時にDX人材のニーズも拡大しています。
今回は、DX人材の採用を成功させるポイントを解説します。DX推進に成功した企業事例にも触れるので、併せて参考にしてください。
- DX関連の人材を採用する必要がある企業の人事担当者や採用責任者
- 企業の成長や競争力を強化するために、DXを推進する必要性を感じている方
- すでにDXプロジェクトを進めている、または進める計画があり、専門的な人材を採用したい方
DX人材とは?
DX人材とは、デジタルトランスフォーメーション(DX)推進に必要な知識、スキル、経験がある人材のことです。デジタル技術について詳しく理解している他、自社の業種に合ったビジネスプロセスや戦略を構築できる人は、DX人材として高く評価されています。
また、膨大なデータを扱う分析力やユーザー視点で物事を見れる力なども重宝されることが多く、描いた施策を実際の行動に落とし込む推進力も必要なのが特徴です。
自社でDX人材を1から育成する方法もありますが、数年単位の期間がかかることを考えれば、外部からDX人材を雇用するのが最も手っ取り早い方法と言えるでしょう。近年は業種問わずDX人材を求める企業が増えており、転職市場におけるDX人材の市場価値が上がっています。
DXを担う主な職種6つ
ここでは、DXを担う主な職種について解説します。具体的な職種名は企業ごとに異なる場合もありますが、およその仕事内容を理解したいときにチェックしてみましょう。
- ビジネスプロデューサー
- ビジネスデザイナー
- アーキテクト
- データサイエンティスト
- エンジニア/プログラマ
- UX/UIデザイナー
➀ビジネスプロデューサー
ビジネスプロデューサーとは、ビジネス用のプロジェクトやイニシアティブの計画、実行、監督を担う職種です。プロジェクトの場合、特定のプロジェクトやプログラムの全体的な計画と管理を担うことが多く、スケジュールの策定から予算の管理まで幅広い業務を任せることになります。プロジェクトリーダーと似ていますが、ビジネスプロデューサーの場合は「プロジェクトを作るところ」から参画していきます。
➁ビジネスデザイナー
ビジネスデザイナーとは、ビジネス戦略、モデル、プロセスをデザインし、革新する役割を担う職種です。企業のビジョンや戦略を具体的な形にするために動くことが多く、デザイン思考やシステム思考を活用します。特に、戦略的なイノベーション創出やユーザーエクスペリエンスの向上のため、デザイン分野から貢献してくれるのが特徴です。
③アーキテクト
アーキテクトとは、組織全体の業務効率化、最適化を担う職種です。ビジネスプロセス、組織構造、情報フローなどを設計し、ビジネスの目標を達成するための道筋を提供することが多く、業務プロセスやワークフローの設計なども含まれます。組織内の各部門と連携する機会も多いため、コミュニケーション力を活かして行動してくれることも特徴です。
④データサイエンティスト
データサイエンティストは、大量のデータから有益な情報を抽出し、ビジネスの意思決定を支援する職種です。データ分析や統計学、機械学習、プログラミングなどの専門技術を有していることが多く、ビッグデータ解析などの現場で特に重宝されます。また、データの結果を視覚的にわかりやすく表示し、経営陣やステークホルダーに報告することにより、戦略立案を支援してくれるのもポイントです。
⑤エンジニア/プログラマ
エンジニアやプログラマーは自社のITソリューション開発を担うのが一般的であり、製品やシステムを設計、開発、運用する職種として確立しています。近年の急速なDX、AIニーズの拡大により、エンジニア人材の育成が急務とされたことで、経済産業省や厚生労働省も補助金を出してIT系専門職の育成を支援するようになりました。
仕事内容は幅広く、アプリケーション開発からコンピューター制御まで多数の専門分野に細分化されています。
⑥UX/UIデザイナー
UX/UIデザイナーは、ユーザーエクスペリエンス(UX)とユーザーインターフェース(UI)のデザインに特化した職種です。ユーザーが製品やサービスを利用する際の一連のステップや体験を視覚的に表現し、問題点や改善点を明らかにするなどして製品開発、改善に役立てています。
その他、Webサイトやアプリケーションのボタン、アイコン、色彩など、ユーザーインターフェースに関する視覚的要素の改善を担当してくれることもあります。
なお、みらいワークスでは、DXはもちろん、マーケティングや経営戦略策定など上流工程を得意とする24,000名以上のプロ人材が在籍しています。DX人材を始めとしてあらゆる領域に対応ができるため、興味がある企業の方は、ぜひみらいワークスにご相談ください。
DX人材採用市場の動向とは
引用:経済産業省「参考資料(IT人材育成の状況等について)」)
直近の急速なDXニーズの拡大に対し、DX人材の不足が深刻化しています。2030年が到来する頃にはDX人材が41万人~79万人は不足するだろうと予想されており、育成が急務とされました。
とはいえ育成には長い期間がかかることが見込まれることから、今いる数少ないDX人材を早い段階で採用したいと考える企業が増えています。今後さらにDXニーズが拡大することを考えると、早い段階での採用と社内におけるノウハウの伝授が必須と言えるでしょう。
企業が採用するべきDX人材の特徴3つ
次に、企業が採用するべきDX人材の特徴を解説します。既に業務知識があり、課題に対して的確な施策が打てる人材であれば、DX人材として重宝されるので必見です。
- デジタル技術の知識と活用能力がある
- データサイエンスの知識がある
- DX化を推進する能力がある
➀デジタル技術の知識と活用能力がある
大前提として、デジタル技術に関する知識と活用能力があることが欠かせません。当然ながら「ビッグデータって何?」「データ分析の方法がわからない」という人では実務に貢献することができません。また、刻一刻と進化する最新技術に関する知識をハングリーに取り入れ、応用しながら業務に活かしていく力も求められます。
知識を「持っている」だけでなく「使えるか」の視点で評価するとわかりやすいでしょう。
➁データサイエンスの知識がある
DXは、データドリブンな意思決定を支援する手法のひとつであることから、データサイエンスに関する知識も必須です。膨大なデータをスピーディーに分析し、共通する部分や自社に足りない部分を見つけられる人であれば、その後の戦略立案も早くなります。
反対に、時間と工数ばかりかかってしまう分析になると、その後の一手が遅れて時代の波についていけなくなる可能性があるため注意が必要です。データ分析の結果を元に課題への意思決定、判断をするDXの現場においては、データサイエンスの知識が求められます。
③DX化を推進する能力がある
DX推進には、文字通り「DX化を推進する能力」も必要です。どんなにDXに関する知識があって具体的な戦略を描くことができたとしても、チームメンバーを巻き込んで実際の行動に移し、PDCAサイクルを回しながら定期的な効果検証と改善ができなければ意味がありません。部門が違う人も巻き込む高いコミュニケーション能力と、確実な予算を取る経営的な思考も必要です。
企業や組織においてデジタル技術を活用して業務の革新や効率化を実現し、競争力を高める人を優先的に雇用しましょう。
DX人材の採用を成功させるための5つのポイント
次に、DX人材の採用を成功させるためのポイントを解説します。具体的に何から着手すれば良いか迷ったときや行き詰ったときは、以下を参考にして自社の課題を洗い出しましょう。
- DX化を行う目的を明確化する
- 人材になにを求めるか考える
- 求める人物像を考える
- 具体的な業務内容や達成目標を伝える
- 働きやすい環境を整える
➀DX化を行う目的を明確化する
まずは、DX化を行う目的を明確にしましょう。
「なんとなくDXする必要がありそうだと感じたから」など目的が明確になっていない状態で始めても、ゴールが不明瞭なため、やるべきことも不明瞭になってしまいます。目的を明確にすることでDXの実施における方向性を定め、リソースの効果的な配分やプロジェクトメンバーの選定に役立てることができます。
また、目的が明確になっていると目標も立てやすくなります。目標を立てることができれば、その後の効果測定でも、良い結果なのか、悪い結果なのかが簡単に分かるようになります。「どんな状態を達成できたら成功か」など、後々効果測定しやすい目標を考えてみても良いでしょう。
➁人材になにを求めるか考える
前項で立てた目的、目標達成のため、DX人材に何をしてほしいかを具体的に考えます。データ分析を主にやってほしいのか、戦略の立案をしてほしいのか、データ分析から戦略立案、実行する際の進行役まですべて行ってほしいのか次第で、採用するべき人物像も変わります。
また、今の自社が持っているスキルセットやノウハウを可視化し、足りない部分を明確にしておくのも良いでしょう。足りない部分をDX人材に補ってもらうイメージをしていけば、何を求めているかも必然的に明らかになります。
③求める人物像を考える
人材に求めていることを達成するには、どんなスキルセットを持つ人材を採用するべきか考える必要があります。具体的には、役割、スキル、ノウハウなど、求める業務レベルを可視化していきます。人物像が明確であれば採用時の評価も正しく行いやすく、ミスマッチを防げます。
また、採用面接等の場で候補者に対して求めていることを伝え、入社後にミスマッチを感じさせない工夫も必要です。
④具体的な業務内容や達成目標を伝える
採用した(採用予定の)DX人材には、具体的な業務内容や達成目標を伝えます。自社が今何に困っているのか、何を目標として採用活動をしているのか、どんなスキルセットを期待しているのかなど、細かく伝えることがおすすめです。必要であればミートアップイベントを開催し、一方的な採用面接ではなく、相互コミュニケーションを取りながら理解を深めていく場を作っても良いでしょう。
期待されている役割が明確であり、自分がその期待に応えられると感じているDX人材であれば、より入社意欲を高めてくれる可能性が高いです。
⑤働きやすい環境を整える
せっかく採用したDX人材であっても、ミスマッチや働きにくさが原因で早期離職されては意味がありません。まずは労働条件や報酬が、DX人材の市場価値に見合っているか慎重に検討しましょう。
この際、自社の給与テーブルに則った条件にするだけでなく、同業他社や転職市場全般と照らし合わせた際の高低をチェックすることも大切です。
DX人材を確保する2つの方法
ここでは、DX人材を確保する方法を解説します。大きく分けて「内部育成」と「外部採用」とに分かれるので、それぞれのメリット、デメリットを理解しておきましょう。
➀社員をDX人材として育成する
既にいる自社の従業員をDX人材として育成し、長く貢献してもらう方法があります。社風や企業理念について理解してくれている既存社員であれば、自社に合ったDX戦略を考案してくれる可能性が高いです。コミュニケーションコストも最小限で済むため、コストパフォーマンスの良い方法と言えるでしょう。
ただし、教える人材がいないことでDXに遅れが出たりノウハウが培われなかったりすることも多いです。ある程度時間のかかる戦略となるため、急ぎでDXを実現したい企業には向きません。
➁業務委託でプロのDX人材に依頼する
もうひとつが、業務委託でプロのDX人材に依頼する方法です。社内にDX人材がいない場合は、業務委託など外部人材の採用を検討しましょう。DXが得意な人材を採用すれば人材を育成するコストや時間がかかりません。つまり、スピード感を持って企業のDX化を促進できます。
また、これから社内にスキルやナレッジ蓄積をしていきたい場合、プロのノウハウを社内人材が吸収することもできるでしょう。
業務委託として個人で生計を立てる人材は、非常に優秀な人材が多いです。依頼されたことをただこなすだけではなく、熟慮の上、最適な進行方法やDX化のヒントを得られる可能性も高いです。
なお、みらいワークスでは、DXはもちろん、マーケティングや経営戦略策定など上流工程を得意とする24,000名以上のプロ人材が在籍しています。DX人材を始めとしてあらゆる領域に対応ができるため、興味がある企業の方は、ぜひみらいワークスにご相談ください。まずは具体的にどういう人材が欲しいと決まっていなくても大丈夫!とりあえず最新動向だけ知りたい方へ30分の無料相談も実施中です。
DX推進に成功した企業事例
最後に、DX推進に成功した企業事例を紹介します。同業他社の事例や革新的なDX事例は参考になる部分も多いため、ぜひ多くの事例をチェックしてみましょう。
リクルートホールディングス
リクルートホールディングスでは、転職支援サービス「リクナビNEXT」にAIサポート機能を搭載し、候補者と企業のマッチング精度を向上させました。候補者の過去の就労実績やスキルセットを可視化してプロフィール上に登録することでマッチングしやすくする他、企業が求める人物像も登録することで、より精度の高いマッチングを実現しています。
その他、レコメンド機能や自動紹介機能を搭載したことにより、お互いに「まだ発見できていない企業(候補者)」との出会いを促進しました。これによりひとりひとりに合わせてパーソナライズされた転職サポートが提供できるようになり、顧客満足度も上がっています。
なお、個別のスキルセットを可視化することは、キャリアアドバイザーによるサポートの質向上にも貢献しています。候補者が何を求めているか、どんな企業に適性があるのか知ることで、効果的な自己PRや履歴書、職務経歴書の作成なども支援できるのが強みです。
キヤノン株式会社
キャノン株式会社では、人事業務にRPAを導入し、ルーティンワークの半自動化に成功しています。RPA(=Robotic Process Automation)を使うことで、これまで時間と工数を割いていたルーティンワークが簡略化し、特にワークフローの改善につながりました。社内向けの案内や書類不備の差し戻しが自動化されたことで、人事部社員が他のコア業務に集中できるようになったこともメリットです。
RPAは人事業務以外とも関連性が深く、総務、経理、法務などのバックオフィス部門で導入している企業もあれば、生産、管理、予実などの部門で導入している企業もあります。一定のルールに沿って処理すれば良い業務は特にRPA向きなので、自社でも導入できそうな部分がないかシミュレーションしてみましょう。
株式会社トプコン
株式会社トプコンでは、フルオート検査機器とICTを組み合わせた遠隔診断、AI自動診断を導入しています。これにより地域ごとの医療格差是正に貢献できる他、医師の働き方改革や業務効率化もできるようになりました。とくに眼科医不足の解消に役立つと評価されており、プロセスの可視化や治療計画のデータ管理もできるようになっています。
その他、インフラ分野におけるICT自動化施工システムの開発や建設フローのデジタルデータ化にも着手し、生産性向上とコスト削減を支援するようになりました。「医、食、住」の
3分野でDXを推進し、社会的課題の解決に貢献しています。
【DX事例32選】業界別の成功事例から学ぶDX推進のカギと共通点を解説
まとめ
DX人材は今後さらにニーズが高まるだろうと予想されており、早い段階でDXノウハウの社内蓄積や育成に着手することが急務となっています。少しずつ成功事例も増えていることから、参考にしながら自社オリジナルのDX施策を考案できるようにしていきましょう。
本記事で紹介した内容をもとに、まずはDXをする目的、目標から可視化し、どんなDX人材がほしいかイメージを膨らませることがおすすめです。
みらいワークスでは、DX推進実績のあるプロやDXコンサルタントの採用支援を実施しています。プロフェッショナル人材がほしいときや自社にはない視点を求めているときは、ぜひご相談ください。