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最終更新日:2024.12.25
DX/最新技術

国内大手企業での生成AI活用事例とツール12選!!

「生成AIを使わないことが企業リスクになる!」
「生成AIの利用で単純業務を〇割削減!」

このような生成AIについての情報は、毎日のようにニュースでご覧になっていると思います。

しかしながら『正直、生成AIを使うリスクのほうが大きいのでは?』『具体的にどれくらい効果があるのかわからない』という疑問があり、なかなか生成AIの活用に踏み切れていない企業も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、大手企業の生成AIの活用事例や活用するリスク、使いこなすためのポイントを解説します。

1.生成AIとは?

生成AIと従来のAIの違い

生成AIとは、AIの中でも比較的新しく生まれたモデルであり、ジェネレーティブAIとも呼ばれます。ディープラーニングを用いて、クリエイティブなアウトプットを出すことができるのが特徴であり、2022年末にリリースされたChatGPTを皮切りに非常に多くのサービスが日の目を浴びております。

生成AIで生み出すことのできるアウトプットも、文書をはじめとして画像や動画、音楽など多岐に渡るため、多くの企業でそのアウトプットを活用して、いかに日常業務に貢献できるかについて注目が集まっております。

生成AIを活用した日常業務への貢献は業務の効率化です。
たとえば、コカ・コーラ社では、社内イントラ上に生成AIを活用した情報検索システムを構築し、社内資料の情報を学習させた生成AIに情報の要約を行うってもらうことで、情報を探した従業員が瞬時に資料の概要を理解することができる仕組みを作っております。

コカ・コーラ社のような大企業では、生成AIを用いた実証実験を複数部門で行っており、社内のBPR促進にも非常に多く活用されております。

2.【事例紹介】生成AIをビジネス活用している大手企業5社紹介

最新技術の活用により業務プロセスの改革や改善は従来から行われており、大手企業がその導入にいち早く舵を切るということ自体は特段珍しいことではありません。

しかしながら生成AIは、これまでの最新技術とは注目度が異なります。
それは、生成AIがビジネスそのもののあり方を変えるゲームチェンジャーになり得る存在だと考えられているためです。

実際に米IBM社のアービンド・クリシュナ会長兼CEOは「生成AIはインターネットの黎明期に似ており、今後10年の大きな転換点」になると発言しております。そんな生成AIの具体的な活用シーンとして、5社の事例をご紹介します。

パナソニック コネクト:AIアシスタントサービス開発で生産性の向上

パナソニックコネクト社では、生成AIを用いたツールの導入を国内の全社員を対象として行い、日本の大企業では異例の早さだったことで注目を集めました。

Microsoft Azure OpenAI Serviceを活用したAIアシスタントサービスConnectAIをベースに開発された「PX-AI」を社内イントラに実装し、全社員がいつでも社内情報をAIに質問できる環境を整備しています。
PX-AIは「耐薬品性や耐衝撃性を満たす樹脂材料のピックアップ」「事業アイデアの創造」のような質問やプログラミング、文書生成に活用されており、業務効率や生産性の向上につながっていると言えるでしょう。

大企業では他社の事例を待ち、効果を確認してからサービスを利用するといった流れが一般的ではあるものの、パナソニック社では、失敗を恐れずに挑戦することを評価する企業カルチャーを持っていることで、生成AIのいち早い導入に至っています。

江崎グリコ:人的コスト削減、開発期間の短縮

2022年に創業100周年を迎えた老舗お菓子メーカーの江崎グリコ社もAI活用に注力している企業のひとつです。

2023年3月には、バックオフィスにおける業務効率化の一環として、AIソリューションを提供するAllganize Japan株式会社と提携し、AIチャットボットの導入を行っております。AIチャットボットを導入することで社内外の両方でオペレーション業務を効率化しており、特に社外からの問い合わせ件数を約31%減らすことに成功しました。

また同社では、需要予測によるマーケティング強化や、健康食品企業としての認知率向上のため、商品開発にAIを用いて開発期間の短縮を図るなど、あらゆる場面で生成AIを活用しています。

さらに、江崎グリコ社では、2022年の社長交代を皮切りにAIベンチャー出身の長谷川氏を常務執行役員として迎え入れるなど、急速にAI活用に舵を切っています。

ベネッセホールディングス:新運用体制の確立と人数体制の変更を実現

株式会社ベネッセホールディングスは、グループの社員1万5,000人に向けて自社開発のAIチャットツール「Benesse GPT」を提供しています。イントラネット上でキーワードを入力することで、知りたい情報がレコメンドされるシステムでセキュリティ面にも配慮されているためセキュリティ面にも配慮している仕様なため、安心して業務の効率化や商品開発に生成AIの活用ができるようになっています。

ちなみに「Benesse GPT」の活用の一例として、コーポレート部門が行っている業務分析をAI活用して業務の改善点を挙げることに使われています。実際に、生成AIが業務の改善点を挙げることで、社員のリソース不足を解消し、業務分析を効率的に進めることに成功しました。

今後はAi活用においてサービス自体の検証を引き続き重ねながら、継続的にバージョンアップを行うことを予定しているようです。

日本コカ・コーラ株式会社は、AI画像生成ツールを活用したプラットフォーム「Create Real Magic」を一般公開し、AI技術を活用して消費者との関係性を強化することに成功しています。

ボトルに貼り付けるロゴやボトル自体のデザインなど、広告アイデアやクリエイティブなアート作品を創出することができ、実際に利用者が生成した画像の一部は外屋広告やソーシャルメディアアカウントで紹介されました。

消費者に新しい体験を提供するという革新的なアプローチに重点を置き、消費者の注意を引いてブランドの信頼と信用を築き上げることを実現しています。

ヤマト運輸株式会社:配送業務量を予測

クロネコヤマトでおなじみのヤマト運輸株式会社は、約6500ある宅急便の拠点にて数ヶ月先の業務量を予測することができるAI「荷物量予測システム」を開発しました。そしてこの生成AIには、AIの開発や運用を円滑に管理するために「MLOps」が取り入れられています。結果として、拠点で働く従業員や車両を適正に配置することに成功しました。

ヤマト運輸では年間を通して膨大な荷物を顧客に届けています。各センターで扱う荷物には地域差があり、季節や曜日による繁閑差も大きいと問題視されていました。そこで3ヶ月、4ヶ月先の1ヶ月間の荷物量を算出し、従業員のシフト勤務作成、適正な車両手配ができるようAIを活用した荷物量予測システムが導入されたのです。

また、AIによる荷物量予測システムにMLOpsを導入することで機械学習プロセスを高速化、精度改善の加速に成功し、運用工数の大幅に削減したりデータの前処理作業時間を減らしたりと業務効率化を実現しています。

人手不足が進む物流業界において、AIの活用は業務の効率化を高めていく取り組みと言えるでしょう。

自社でも生成AIを活用して業務効率化ができないかと考えている方は、以下の資料の活用がおすすめです。フレームワークのほかにも、生成AIの活用事例を紹介しているため、理解を深めたうえで導入を検討できますよ。

3.生成AIをビジネス活用してできること8つ

生成AIはさまざまな場面で幅広く活用されている技術であり、具体的には以下のようなことができます。

ここからは、生成AIを活用してできることを8つ解説します。

テキスト生成、要約、翻訳

生成AIはWebサイトに存在する膨大な情報をもとに、さまざまな指示に合わせたテキストを生成できます。また、テキストデータの分かりやすい要約や、多言語間での翻訳も可能です。

活用例として、大手転職エージェントのビズリーチによる職務経歴書作成での生成AI活用が挙げられます。利用者が簡単な項目を入力するだけで、高レベルな職務経歴書を最短30秒で生成してくれます。生成AIにより作成した職務経歴書は、通常と比べてスカウト率が40%向上したとの検証結果も出ているため、AIの生成レベルの高さが伺えるでしょう。

音声処理、加工

生成AIの音声生成機能では、人の声を大量に学習させることで声色を再現することができます。また、単に文章を読むだけではなく、感情に合わせた表現などもできるため、自然に話しているような読み上げを自動で作成できる点が特徴です。

活用例として、コミュニケーションアプリを提供するLINEによる音声応対サービスでの生成AI活用が挙げられます。音声認識技術や音声合成技術、自然言語処理技術を組み合わせることで、人間のオペレーターと遜色がない応対を実現し、スムーズで満足度の高い顧客対応が可能です。

市場動向の分析と新規アイデアの提案

生成AIを利用すれば、市場動向の分析や新しいアイデアの提案が受けられます。調査の手間や時間をかけることなく、自社がこれから参入しようとしている市場規模が拡大しているのか、縮小しているのかを見極めることができるため、新規事業を始めるまでに多くの時間を要しません。

また、想定されるターゲットの消費者行動を導き出し、具体的に顧客の求めている商品やサービスはどのようなものかを分析することも可能です。分析した収集データから新しい商品アイデアの提案も行ってもらうことが可能なため、新商品の開発に行き詰ったときや、新しいアイデアの放出に画期的な案がほしいと思ったときに活用することで、より良い案を作成することができるでしょう。

競合企業の分析も行うことができるため、競合調査に時間を割くことなく、他社商品との差別化を図りながら商品やサービスの開発を進めることができます。

なお、新規事業のアイデアに悩んでいる方は以下の資料で紹介しているフレームワークを活用するのもおすすめです。アイデア立案にフレームワークを活用した事例も紹介しているため、是非チェックしてください。

オリジナル画像や動画の生成

生成したいイメージや、雰囲気、色などのテイストを生成AIへ入力することで、簡単にオリジナル画像や動画の生成を行うことも可能です。そのため、デザインの経験や知識がまったくない人でも、より魅力的かつ高品質なデザインを簡単に生成することができます。

また、人間が手作業で生成する場合は時間や費用がかかりますが、生成AIを利用することで一度に複数のデザインを低コストで生成することが可能です。これまで外部企業へ画像や動画の生成を依頼していた場合、生成AIを利用することでデザイン制作を内製化することもでき、生産性の向上とコスト削減に繋げることができます。

カスタマーサポートの自動応答

カスタマーサポートに生成AIを活用することで、顧客対応を行う社員の人数を削減することができるため、人手不足の解消や人件費の削減に繋げることができます。

これまでのAIの場合「はい」「いいえ」などの簡単な対応しかできず、顧客の質問内容に応じた適切な回答を行うことは不可能でした。しかし、生成AIは質問内容を判断し、膨大なデータの中から適切な答えを導き出してくれるため、顧客ひとりひとりの解決したい悩みに応じて対応することが可能です。多言語にも対応しているため、国内外の顧客の取りこぼしを防ぐことができます。

また、人間と違い24時間365日稼働することが可能です。顧客対応のクオリティを上げることができるため、企業イメージの向上にも繋げることができます。

なお、活用例として、世界的に有名な化粧品会社のロレアルによる、美容アドバイスアプリでの生成AI活用が挙げられます。アプリでは、チャットで美容相談やお肌の画像診断を行うことができるほか、ユーザーに最適な美容法や商品の自動提案が可能です。よって、店舗への足取りが重いユーザーの購買意欲も促進することができます。

プログラミングコードの生成や学習の補助

生成AIに自然言語で作成したいコードの指示を入力することで、自動でプログラミングコードの生成を行うことが可能です。回数を重ねるごとに生成AIが勝手に学習してくれるので、より細かな部分まで設計されたコードの生成を行うこともできます。

手作業でコード生成をする際にかかる時間や労力を大幅に削減することができるため、普段からコード作成を行っている方からすると非常に便利です。コードの間違いやエラー、バグなどの特定にも有効なため、業務の効率化に繋げることができるでしょう。

また、生成AIは学習の手段としても有効です。プログラミング問題の生成や実装の方法などを学ぶことも可能なため、プログラミングの知識をつけたいという方も利用してみると良いでしょう。

会議での議事録作成

生成AIを利用すれば、会議で話した内容を簡単にまとめることも可能です。議事録を生成AIにテキスト入力し、会議後に取り掛からなければいけないタスクや必要事項を分かりやすくまとめてもらうことができます。会議後に時間がかかりがちな議事録の作成もあっという間に完了し、メイン業務へ費やす時間が増えるため、業務の効率化にも繋がるでしょう。

さらに、生成AIによっては、会議中に音声文字起こしを行い、テキストでの議事録作成を行ってくれるツールもあるため、利用シーンや求める機能によって導入を考えてみてくださいね。

Web、UI、フォントデザインの生成

画像や動画生成の他に、Webサイトのデザインやフォントデザイン、UIデザインの自動生成にも生成AIが活用できます。

企業のイメージやターゲット、商品にあわせて生成AIが分析を行い、ぴったりのコピーライティングや構成、デザインフレーム、ロゴ、UIの作成を行ってくれます。通常、外部企業へ依頼すると1ヶ月~半年程度かかるWebサイトの制作もあっという間に行うことが可能です。

また、フォントデザインの生成にも活用することができるため、斬新でより魅力的なデザインが作成できるでしょう。とはいえ、生成AIは、文字生成技術があまり進んでいない部分があるため、まれによくわからない文字や記号が生成される場合があるということを念頭においておきましょう。

そのほかにも生成AIが活用できる分野を探している方は、以下の資料を参考にフレームワークを実施してみるのもおすすめです。

4.ビジネス現場での生成AI活用事例

昨今では、大手企業にとどまらず多くの場面で生成AIの活用が進んでいます。ビジネスで実用化できるレベルまで生成AIが進化したことが背景です。身近なところで生成AIが活用されていることに気づくケースも多いのではないでしょうか。

ここでは、ビジネス現場で生成AIが活用されているサービスを紹介します。

チャットボット

チャットボットに生成AIを取り入れる事例は数多く見られます。チャットボットとはユーザーの質問に対して自動的に回答してくれるシステムであり、時間や人員にとらわれず均一的なサービスを提供できる点が強みです。

チャットボットに生成AIを導入することで、複雑な質問に対しても適切に回答するだけでなく、役に立つ情報を付け加えるなど、人間とやり取りしているような柔軟な問い合わせ環境を実現できます。

たとえば、大手航空会社である日本航空株式会社(JAL)では、AIチャットボットである「AIChat」を導入し、日本を含む世界26地域のWebサイトに「チャット自動応答サービス」をリリースしています。JAL便の予約や購入、運行状況や搭乗などのよくある問い合わせだけでなく、世界情勢の変化や入国制限、減便、運休などタイムリーな照会にも自動で応答できるシステムです。

また、総合化学メーカーである帝人株式会社では、社内問い合わせに対応するAIチャットボットを導入しています。イントラサイトで情報を探せない従業員からの問い合わせにAIチャットボットが対応することで、バックオフィスの業務効率化を実現しています。

医療サポート

医療サポート分野においても生成AIは活用されています。レントゲンやMRIなどの画像診断による異常発見や、カルテ情報や検査結果と最新医療情報を組み合わせた総合診断、患者とのやり取りを行う自動問診など、医療現場でAIが活用されているケースは豊富です。

AI活用により、人手不足が深刻化する医療業界において医療従事者の負担軽減が期待できます。また、重大な症状の見逃し防止や最新医療情報の反映などにより、医療品質の向上が可能です。

たとえば、AI画像診断による医療サポートとしては、MRI画像分析による肝細胞がんの判定や眼底画像診断支援システム、脳のMRI画像学習によるアルツハイマー病の進行予測サービスなどが挙げられます。AIによる画像診断はミスが少なく、医療従事者でも発見が難しい微細な変化でも検知できるため、AI活用が最も進んでいる分野です。

画像診断以外でも、会話データ分析による認知症やうつ病診断補助、AIによる心電図解析サービス、健康診断データに基づく疾病リスク予測AIサービスなど、幅広い場面でAIを活用した医療サポートが実用化されています。今後も生成AIによる医療サービスの進化は加速していくと言えるでしょう。

建築現場での異常検知や設備保全

建築現場では、異常検知や設備保全に生成AIが活用されています。作業員が発生させるヒヤリハットの検知や、建設機器の各種データ分析による異常検知、各種設備の監視を通じた予知保全など、AI活用は多岐に渡ります。

建築現場でのAI活用は、建築現場の作業員の安全、安心の確保や業務効率化など、人材不足が続く建築業界にとってメリットが大きいです。

異常検知の分野においては、建設機械の自律走行をサポートする制御システムや、作業員との接触を防止する検知システムが代表的です。また、膨大な災害事例をAIが学習し、安全担当者に対して類似する作業の災害事例を提示するシステムも存在します。危険と隣り合わせである建築現場において、事故抑制が期待できる点がメリットと言えるでしょう。

一方で設備保全の分野においては、ドローンで取得した赤外線データを分析し、外壁タイルの劣化や評価を判定するシステムが実用化されています。また、施工現場における鉄筋継手の画像をAI学習させることで外観検査を実施するトライアルも行われています。人間と比べて短時間で確実な保全を実施することが可能なため、業務の効率化に繋がるでしょう。

5.生成AIのリスクとは?

このように大企業でも活用が始まっている生成AIですが、利用に当たってはリスクもあります。
そのため、リスクとリターンのバランスも非常に重要です。

生成AIのリスク

情報セキュリティのリスク

生成AIの活用におけるリスクの第一に挙げられるのが、情報セキュリティです。
生成AIを効果的に社内で活用するためには、当然のことながら社内情報の使用が必要不可欠です。生成AIを活用する際は、常に情報漏えいのリスクにさらされることを念頭に置かなければなりません。

そのため、どの社内情報は生成AIに利用しても良い、どの社内情報は利用不可のような明確な線引きが必要です。自社の情報だけではなく顧客情報も活用しなくてはならない場合、取り扱い方法などを定め、セキュリティの担保を図っていく必要があります。

既に生成AIを活用している企業だと、社内情報はOKで機密情報はNGなどのルール決めを行っている場合もあります。常に情報漏えいのリスクを考えた運用をしておかなければ、企業の存続すら危ぶまれてしまう可能性すらあることでしょう。

レピュテーションリスク

2つ目のリスクとして、レピュテーションリスクが挙げられます。

ChatGPTを触ったことのある方であれば、既にご存じだと思いますが、生成AIからアウトプットされる情報に誤りがあるケースがあります。そのため、生成AIからアウトプットされた情報をチェックせずに社外に出す行為なども企業の評判を落としかねないものとなります。

また、生成AIからのアウトプットが肖像権や著作権などの法令に遵守されているものなのかについても考える必要があります。そのため、業務で活用するにあたっては、ユーザーとなる従業員に対する教育や各種ルールの取り決めなどの仕組み作りが必須となるでしょう。

生成AIを利用しないリスク

3つ目のリスクは、逆に生成AIを利用しないリスクです。
競合他社が生成AIを活用し、業務効率化を行い、全社的な労働生産性を向上させている中、自社だけが取り残されてしまう可能性があります。

たとえば、貴社がプログラムの開発を行っている企業だとしましょう。
プログラムのコーディングはこれまでプログラマーの専売特許でした。
しかしながら生成AIを活用することで、その初案の作成は生成AIで代替可能です。
これにより、プログラマーはプログラミングの設計を考えるなどの、より上流工程に自身の工数を割くことができるようになります。

そうすると、これまで1つのプロジェクト対応しかできなかったプログラマーが2つ3つのプロジェクトを掛け持ちで実施できるようになる可能性があります。

貴社のプログラマーが従来通り1つのプロジェクト対応を行っている中、競合他社のプログラマーは2、3のプロジェクト対応を同時並行で行えるようになるため、1人のプログラマーが会社にもたらす売上や利益に2倍、3倍の差が出てしまいます。

これは、企業の存続にあたって明確な危機をもたらすリスクになり得るといって差支えないでしょう。

このように、生成AIには、利用するリスクと利用しないリスクが混在しております。
しかし、企業の成長や発展を考えるのであれば、生成AIを活用しない選択肢を取ることは難しくなってくるのではないでしょうか?
リスクヘッジの体制をしっかりと整えた上での積極的な活用が必要な時代に突入してきているということです。

また、AIを経営の中枢に活かすことで、経営サイクルを高速化させることができます。以下の資料では、AI経営革新を実現する効果やポイントを解説しているため、ぜひご活用ください。

6.生成AIツール12選!

ここで、生成AIのツールをご紹介します。
1でも述べた通り生成AIには、文章、画像、動画、音声など多岐に渡ります。
それぞれに汎用的なツールがあります。

もちろん全社導入など、企業全体で活用する場合には汎用的なツールを利用するのはセキュリティリスクが高まるため、生成AIを企業向けにアレンジしている企業のサービスを利用するほうがベターです。

しかしながら、どういった活用が可能なのかについて知らなければ、導入の検討土台に乗らないため、汎用的な生成AIがどんなツールなのかについては知っておくべきでしょう。

生成AIツール12選!

文章作成AI

ChatGPT(チャットジーピーティー)

ChatGPT(チャットジーピーティー)はOpenAI社が2022年11月末にリリースした対話型の文章作成AI(人工知能)です。生成AIを一躍有名にしたツールのため、ご存じの方が多いでしょう。

質問や命令文を入力すると、その内容に関する回答を人間との会話のような内容で返してくれるツールです。プログラム言語やExcelの関数など、業務に活用できる内容も返答してもらうことが可能です。

Bing AI

Bing AIは、Microsoft社が2023年2月にリリースした、検索エンジンのBingとOpenAI社の2023年現在最新言語モデルのGPT-4を掛け合わせた対話型のAIです。
Chat GPTでGPT-4を利用する場合、有料プランへの登録が必要ですが、Bing AIの場合、利用回数制限はあるものの無料で利用することが可能です。

GPT-4は、GPT-3.5と比較して問題への解決能力が向上し、より長文で整合性の取れた回答を得られるように改善されたモデルです。
また画像の入力に対して、文章での回答も可能となり、より利便性が向上しております。

Bard

Bardは、Google社が2023年3月にリリースした対話型AIです。
ユーザーの質問内容に対してGoogle検索と連動した最新情報を用いた回答をもらえることが特徴です。

画像生成AI

DALL・E2

DALL・E2は、Chat GPTと同じOpen AI社が提供する画像生成ツールです。

入力したテキストの内容からオリジナルの画像を生成してくれます。
写真のような画像からアニメ風など様々なスタイルでの画像生成が可能なツールです。

Adobe Firefly

PhotoshopやIllustratorなどのクリエイター向けサービスを展開するAdobe社が提供する画像生成ツールです。
オープン素材の画像などを学習させているため、著作権の心配無く利用できる点が魅力なツールです。

Canva

オンライン上で利用できるグラフィックデザインツールのCanvaが提供している画像生成ツールです。高品質な画像をテキスト入力から生成可能であり、そのままその画像に加工できるなど、グラフィックデザインを生業にしている方には非常に便利なツールです。

動画生成AI

FlexClip

無料で使える動画生成ツールです。日本語対応もしておりテンプレートも豊富なため、素早く動画制作を行うことのできる便利なツールです。

InVideo

直感的な操作が可能なUIを採用している無料で利用できる動画生成ツールです。テキスト動画エディターを活用することで、ブログなどを短期間で動画化できることが魅力なツールです。

Elai

セキュリティ面に強みがある無料で利用できる動画生成ツールです。
こちらもテキスト入力をもとに動画生成が可能なツールです。

音声生成AI

Speechify

無料プランでも10分間のナレーションを生成できる音声作成ツールです。
多言語対応しており、イントネーションやアクセントなども違和感の少ない高品質な音声を作成できるツールです。

Murf.ai

ナレーションだけではなく、AI音声による歌もアウトプット可能な無料でも利用可能な音声生成ツールです。120以上の音声が利用可能であり、多言語対応も可能な便利ツールです。

Natural Reader

トップクラスの評価を得ている無料で利用可能な音声生成ツールです。
音声アウトプットを細かく調整することが可能であり、ファイルの変換が簡単に行えるなど非常に便利なツールです。

なお、これまで紹介してきたツールはどのような分野で活用できるのか気になっている方は、ぜひ以下の資料も合わせてチェックしてください。

7.生成AIの導入を成功させるための5つのポイント

生成AIの導入にはメリットが多いものの、成功させるのは簡単ではありません。成功するためには以下のようなポイントが重要です。

ここからは、生成AIの導入を成功させるための5つのポイントを解説します。

1.生成AIを活用する業務の選定

生成AIを導入する場合、まずは現在行っている業務から生成AIを活用することができる業務を選定することから始めましょう。解決したい業務を先に選定することで、自ずとどのような機能を持った生成AIを利用すると良いのかが明確になります。同時に、人が行ったほうが良い業務も明確になり、人員配置の見直しや無駄な業務がないかを精査することも可能です。

生成AIを活用する業務の選定を行うことで、企業内の業務改善にも大きく影響を与えるでしょう。

なお、生成AIの活用分野を選定する際は、下記の資料もお役立てください。

2.生成AI活用後のゴールを決める

生成AI活用後のゴールを決めることで、導入後の効果計測を行いやすく、生成AI導入の良し悪しの判断に役立つでしょう。

たとえば、業務効率化や業務改善を目的とした場合、これまで業務にかかっていた時間がどれだけ削減されたのかを算出することで、生成AIの導入が労働時間の削減や人件費の削減に影響を与えたのかを効果的に計測することができます。

生成AIを活用した後に企業にどのような成果を求めるかを考えることで、企業全体の目指すべき方向性が明らかになり、社員のモチベーションのアップにも繋がるでしょう。

3.生成AI活用後も何度も成果を確認する

生成AIを活用することで、すべての業務がうまく進むとは言えません。生成AIへの指示が的確ではなかったり、学習機能が充実していない場合は、なかなか思った通りに活用することも難しいです。そのため、生成AI導入後は何度も成果を確認して改善し、結果を確認することを欠かさずに行いましょう。

4.情報漏洩や著作権侵害に関する対策案を作成しておく

生成AIの学習機能によって、知らぬ間に情報漏洩や著作権侵害などが発生するというリスクが考えられるため、事前に対策方法の作成を行うことでトラブルの回避ができるでしょう。

生成AIはユーザーが入力したデータを学習し、次回以降のデータ作成や分析時に活用することでより適切なデータの算出を行います。よって、入力した個人情報データや企業の機密情報などが次回以降のデータ算出の際にそれらを含むデーターを第三者に対して生成されることで、情報漏洩が生じてしまうのです。また、なんらかのバグや不正アクセスなどの原因によっても情報漏洩は考えられます。そのため、個人情報などの重要なデータに関しては、生成AIで活用しないようにしましょう。

また、画像や動画、テキスト生成に関しては、著作権侵害のリスクが考えられます。先述したように生成AIは学習したデータをもとにデータの生成を行うため、既存の画像や動画、文章を引用して生成されることも少なくありません。トラブルにならないように、社内で事前に対策案を考えておきましょう。

5.生成AIの知識を持つプロ人材に相談する

「生成AIを活用したいが自社には活用できる人材がいない」という場合や「生成AIを導入したはいいものの思ったような成果を実感していない」という方は、生成AIに関する知識を保有したプロ人材へ相談するのも良いでしょう。

プロ人材に相談することで問題点や課題が明らかになり、思ったような成果を実感できなかった原因も突き詰めることができます。現在行っている事業やプロジェクトと生成AIとの相性が良ければ、活用することでコスト削減や業務改善に関して良い影響をもたらすことは確かです。プロ人材に相談し正しい活用方法を自社へ取り入れましょう。

8.生成AIのビジネス活用ならフリーコンサルタント.jpにお任せください

「生成AIをビジネスで活用したい」「生成AIを導入して業務効率化や売上向上を目指したい」という方は、フリーコンサルタント.jpへお問い合わせください。生成AIの導入をこれまで何件も担当してきたプロフェッショナル人材が、貴社のニーズに合わせて最適な提案をいたします。

また、生成AIの分野に限らずRPAやデータドリブン経営についても強みを持つ人材が多数在籍しているため、現在抱えている課題やこれから起こりうる問題をまとめてご相談いただけます。相談は無料のため、以下のボタンからお気軽にお申し込みください。

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9.まとめ

今回、注目を集めている生成AIについて、日本の大手企業での活用事例をはじめとして活用にあたってのリスク、実際の生成AIツールをご紹介してきました。

本文でも紹介しましたが、米IBMのCEOが「生成AIが今後10年のビジネスシーンの転換点」と発言している通り、アメリカの企業による生成AIのツール開発合戦が非常に活発となってきており、日本においても富士通やNECなどのITトップ企業が日夜研究開発に励んでおります。

たしかに生成AIにはセキュリティ上でのリスクやレピュテーションリスクがあります。
しかし、活用しないことのリスクはそれ以上かもしれません。
時流に乗り遅れ、競合他社に差をつけられる前に、リスクヘッジの観点を忘れずに利活用に向けた準備を始めるべきタイミングが来ているのではないでしょうか?

もし社内だけでの検討が難しい場合、外部プロフェッショナルの意見も参考に検討を進めていく必要があることでしょう。

なお弊社は、日本最大級のプロフェッショナル人材データベースの運営企業です。
「AI活用戦略の立案に優れたプロフェッショナル」や
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ビジネス領域におけるプロフェッショナル人材に興味がある方は、お気軽にお問合せ下さいませ。



(株式会社みらいワークス フリーコンサルタント.jp編集部)

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