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最終更新日:2024.12.02
営業/マーケティング

ジオターゲティング広告とは?活用するメリット、デメリットから事例まですべて解説します

「ジオターゲティング広告とは?」「どんな場面で利用すればいいの?」と悩んでいる方は多いのではないでしょうか。

ジオターゲティング広告とは、位置情報データからターゲットを定めてピンポイントでWeb広告を配信できるサービスです。ターゲットとなるユーザーの居住場所や現在地、行動履歴に合わせた情報提供ができ、特定地域で認知拡大や集客を目的とする広告として効果があります。

この記事では、ジオターゲティング広告の概要や仕組み、メリットやデメリットなどを解説します。後半では実際にジオターゲティング広告を活用した事例も紹介していますので、Web広告の利用を検討している方は、ぜひ最後までご覧ください。

1.ジオターゲティング広告とは

ジオターゲティング広告とは、スマートフォンなどの位置情報データを活用し、ターゲットとなるユーザーに特化したWeb広告を配信するサービスです。位置情報はGPSやBluetooth、Wi-Fiなどのデータをもとに取得しています。

ジオターゲティング広告は、現在の位置情報だけでなく過去の行動履歴も活用して、ユーザーの興味や趣向を推測して広告を配信できる点が特徴です。たとえば、特定の地域にいるユーザーのうち「オープンキャンパスに参加」「楽器店に訪問」「予備校に長時間滞在」などの情報を持つユーザーに限定して広告を配信することができます。新聞のチラシやDMと比べて、地域や趣向の両面でユーザーを特定して配信できるため、新商品の認知拡大や潜在顧客へのアプローチに向いています。

2.ジオターゲティング広告とGoogle広告の「地域ターゲティング」との違い3つ

ジオターゲティング広告のようにエリアを指定する広告配信方法として、Google広告の「地域ターゲティング」があります。一見同じように感じますが、Google広告との違いは以下のとおりです。

①Google広告と比べて細かくエリア指定が設定できる

ジオターゲティング広告は、Google広告と比べてより細かなエリア指定ができます。ジオターゲティング広告は媒体によってエリア単位が異なりますが、おおよそ以下のとおりです。

広告種類 ジオターゲティング広告 Google広告
指定エリア 数m~数十m単位 1km単位

ジオターゲティング広告とGoogle広告の違いは、位置情報の計測方法があります。ジオターゲティング広告の場合は、GPSやBluetoothなどの位置情報データから直接エリアを指定します。一方で、Google広告の場合はユーザーの位置情報や検索履歴などからユーザー位置を割り出していると言われています。

またジオターゲティング広告はGoogle広告と比べて、半径500m以内や半径1kmなど細かい範囲指定が可能です。対象としたいエリアにピンポイントで配信できるのがジオターゲティング広告の魅力と言えるでしょう。

②Google広告では出来ないターゲティングができる

ジオターゲティング広告は、Google広告にはできないターゲティングが可能です。たとえば「〇〇店に過去2ヶ月のうち3回以上訪問したユーザー」というように、訪問頻度を細かく指定することができます。媒体によってターゲティングの種類は異なりますが、Google広告とは以下のような違いがあります。

広告種類 ジオターゲティング広告 Google広告
ターゲティングの種類
  • 都道府県、市区町村
  • 指定住所からの範囲
  • 訪問履歴
  • 検索履歴
  • 路線ターゲティング
  • 都道府県、市区町村
  • 指定住所からの範囲

Google広告は名前のとおり「地域ターゲティング」であるのに対して、ジオターゲティング広告は地域と独自データをかけ合わせることで、さまざまなターゲティングが可能です。独自データの例として、車種や走行距離など車検データを活用したターゲットができます。

店舗の特性に合わせて、対象としたい顧客を選定してアプローチできるのがジオターゲティング広告の強みといえるでしょう。

③媒体によって最低出稿金額が決められている

ジオターゲティング広告は、最低出稿金額が設定されている媒体が多いです。一方で、Google広告は予算を自由に設定できる点が異なります。

また、ジオターゲティング広告の場合はクリック数やインプレッション数に応じた単価が設定されている媒体もあり、広告のクリック単価だけで考えるとGoogle広告のほうがやや割安であると言えるでしょう。

ただし、ジオターゲティング広告は精度の高いエリア指定やバリエーション豊富なターゲティングなど、効果的な広告配信ができます。単純なコストだけで考えると割高に感じる方もいるかもしれませんが、ジオターゲティング広告配信の目的は「認知拡大」「集客増加」などを実現することです。効果的な利用ができれば、ジオターゲティング広告は費用対効果の面でお得な可能性を秘めています。


3.【ジオターゲティング広告の仕組み】位置情報の取得方法は?

ジオターゲティング広告における一番の強みは、位置情報をリアルタイムで取得できる点です。位置情報は以下の方法で取得されます。

ここからは、ジオターゲティング広告の位置情報を取得する5つの方法について解説します。

GPS

GPSとは、数多くの人工衛星から発せられた電波を受信することで、緯度や経度などの現在位置を特定する仕組みです。身近なものでは、カーナビやスマートフォンに搭載されており、地図アプリで自分の場所を表示することにも使われています。

ジオターゲティング広告においては、地図上でポイントを指定し、そのポイントで検知されたユーザー情報を蓄積する手法が取られています。ほとんどのユーザーがスマートフォンを持っているため、多くの情報が取得できるでしょう。

GPSは人工衛星を用いられているため、通話の際に介入する基地局を使用することによって、国や県、地域などといった広範囲エリアにおけるユーザーのターゲティングも可能です。

ビーコン

ビーコンとは、受信機能を持つ端末に対して一定間隔で情報を発信する情報端末です。店舗や建物内に取り付けられる固定型や、なくしものを探すキーホルダーに内蔵されているような移動型が存在します。

ビーコンの情報は一定距離に近づかないと情報を受信できない欠点がある一方で、地下や建物内でも受信できる点が特徴です。また、多くのビーコンはBLE(Bluetooth Low Energy)規格を搭載しており、スマートフォンに対してBluetooth電波を発信することができます。

ジオターゲティング広告においては、ビーコンを取り付けた店舗内でユーザーの回遊経路を把握することが可能です。また、GPSのように広範囲での発信は難しいですが、ある建物の2階にいる顧客など、特定の場所にいるユーザーだけに指定した広告配信を行うこともできます。小売店などでは、商品棚に設置することによってどの売場の滞在時間が長いのかなども把握することが可能です。

Bluetooth

Bluetoothは、ビーコンを使用して位置情報を取得することが可能です。Bluetoothに接続している通信機器がどの方向にあるかを正確に把握でき、細かい位置情報の特定ができます。

ジオターゲティング広告においては、ユーザーがBluetoothをオンにしていると店舗内での移動経路などを計測することが可能です。そのため、店舗内でアプリを起動したユーザーにクーポンを配信するサービスなどで活用することができます。

Wi-Fi

Wi-Fiは、スマートフォンやPCをインターネットに接続するWi-Fiルーターによる無線通信規格の一種です。Wi-Fiに接続することで、スマートフォンの位置情報を取得することができます。ユーザーがWi-Fi設定をオンにすることで自動で接続され、誤差数メートル〜数十メートルの精度で位置を把握することが可能です。

ジオターゲティング広告においては、空間的把握力が高いWi-Fiの強みを活かして、店舗内の特定階にいるユーザーを指定した広告配信を行うことができます。たとえば、建物内にてBluetoothとWi-Fiの両方を利用していても、Wi-Fi接続したユーザーのみに配信するといった配信方法が可能です。

IPアドレス

IPアドレスとは、スマートフォンやPCをインターネットに接続する際に割り当てられるナンバーです。ネットワーク上で通信先を識別するためのナンバーであり、インターネットに接続するすべての機器に割り当てられます。

ジオターゲティング広告においては、IPアドレスの精度はGPSやビーコンに劣るものの、インターネットにアクセスするとIPアドレスは必ず判別できます。固定IPアドレスをもとに企業や業種を特定することができ、ユーザーからの働きかけが不要である点が強みです。特にBtoB向けの自社商品やサービスを広めたい企業にとってはおすすめな位置情報取得方法になります。

4.ジオターゲティング広告のメリット4つ

ジオターゲティング広告はWeb広告配信ができるツールとして、以下のようなメリットがあります。

メリットを活かして活用できれば店舗売上の拡大が可能です。ここからは、ジオターゲティング広告のメリット4つを解説します。

①位置情報を活かした広告配信ができる

1つ目のメリットは、上述の通り位置情報を活かした広告配信ができる点です。

店舗への集客につながる広告を配信する場合、来店が期待できないエリアのユーザーに広告を配信しても成果はあまり見込めません。ジオターゲティング広告の場合は、位置情報に基づき細かくエリアを指定することで効果的な広告配信が可能です。具体的には以下のような活用方法が考えられます。

  • 店舗から半径〇km以内のユーザーに広告を配信
  • 特定の駅を週〇回以上利用するユーザーに広告を配信

店舗の周辺住民に広告を配信する点では新聞のチラシ広告と同じ目的ですが、通勤や通学で店舗を訪れる可能性があるユーザーにもアプローチできる点はメリットです。ジオターゲティング広告は、オンラインから実店舗への集客につながる有効な手法と言えるでしょう。

②ユーザーの動向を計測できる

2つ目のメリットは、ユーザーの動向を計測しながら広告配信ができる点です。

効果的な広告配信を行うためには、配信結果を計測、分析して改善していくことが求められます。ジオターゲティング広告の場合、広告を配信して終わりではなく配信対象としたユーザーの行動を把握できる点が特徴です。具体的には、以下のような計測ができます。

  • ユーザーによる配信広告の閲覧、クリック、Web検索などの計測
  • 広告配信ユーザーの店舗来店などの計測

期待する効果が得られた広告は継続しながらより精度を高め、効果の低かった広告は原因分析をすることで、新たな発見が得られるでしょう。ジオターゲティング広告は、広告配信を繰り返すことで、広告配信のレベルを高める効果があると言えます。

③潜在顧客へのアプローチができる

3つ目のメリットは、潜在顧客へのアプローチができる点です。

ジオターゲティング広告ではWeb検索や来店などをしたことがないユーザーから、潜在顧客を探し出して広告を配信することが可能です。たとえば、ユーザーの行動履歴やWebでの検索履歴、年収や国勢調査などのデータ活用によりペルソナの推定が可能です。具体的には以下のような活用方法が考えられます。

  • 同ジャンルのインターネット閲覧履歴が多いユーザーに広告を配信
  • 近隣に居住する特定年齢のユーザーに広告を配信

リスティング広告やチラシ広告などではこのような指定はできません。ジオターゲティング広告は、ユーザーの行動履歴などから人物像をあぶり出し、潜在的な興味関心を持つ新規顧客を開拓できる強みがあります。

④ユーザーへの通知ができる

4つ目のメリットは、適切なタイミングでユーザーへの通知ができる点です。

ジオターゲティング広告は、ユーザーの位置情報をリアルタイムで把握することができます。そのため、特定の場所にいる不特定多数のユーザーに対して、今伝えたい情報をタイムリーに発信できる点が強みです。具体的には以下のような活用方法が考えられます。

  • 店舗に来店したユーザーにクーポンを配信
  • 商業施設内のユーザーにお得情報を配信

オフラインでチラシ配りや声がけでアプローチする方法もありますが、全員に伝わるかも不確実で非効率な方法です。その点、ジオターゲティング広告であれば確実にユーザーへ通知ができます。また、過去のストックデータとリアルタイムデータを組み合わせることで、よりターゲットのペルソナを具体化して精度の高い配信もできるでしょう。

5.ジオターゲティング広告のデメリット3つ

ジオターゲティング広告には有効なメリットがある一方で、以下のようなデメリットも存在します。

メリットだけでなくデメリットも理解することで、自社に合っているか判断できるでしょう。ここからはジオターゲティング広告の3つのデメリットを解説します。

①コンバージョン目的の広告ではない

1つ目のデメリットは、コンバージョン目的の広告ではない点です。

ジオターゲティング広告は、位置情報や行動履歴、検索履歴などのユーザーデータに基づいてターゲティングします。認知拡大や潜在顧客への働きかけなどを通じて、店舗への集客に効果を発揮する手法です。

一方で、ジオターゲティング広告による配信は位置情報を基本としており「近くに住んでいる」「よく訪れる」ユーザーを選定しています。そのため、Web広告から商品購入や申込などのコンバージョンを直接訴求する目的には向いていないと言えるでしょう。とはいえ、間接的にコンバージョンに寄与する場合もあります。たとえば、商品やサービスに対してニーズのある人をジオターゲティング広告で顕在化し、その人に向けてリスティング広告など刈り取りを目的とした広告配信をすれば、コンバージョンに繋がりやすくなります。

ジオターゲティング広告を利用する際は強みや弱みを理解し、認知拡大によりユーザーを店舗へ誘導したり間接的にコンバージョンを獲得したりなど、目的に応じてジオターゲティング広告を使い分けると良いでしょう。

②効果測定するにはツール利用が必要

2つ目のデメリットは、効果測定や分析にはツールを利用する必要がある点です。

一般的にジオターゲティング広告の結果測定には、Googleが提供するアクセス解析ツールである「Googleアナリティクス」を連動させる必要があります。ただ、Googleアナリティクスは無料であり連動はそれほど難しくありません。

しかし、ツールを連動させることで配信結果のデータ化は可能ですが、データを分析、判断することは簡単ではありません。クリック数、インプレッション数、来店数など膨大なデータから、以下のような分析をしなければなりません。

  • 広告はどのような効果が得られたのか
  • 今後の広告配信の改善点はなにか

独学で分析手法を学ぶ方法もありますが時間と労力もかかるため、ジオターゲティング広告の運用代行業者に依頼することも検討したほうが良いでしょう。

③ターゲティングを誤ると効果が出にくい

3つ目のデメリットは、ターゲティングを誤ると広告効果が出にくい点です。

ジオターゲティング広告は、位置情報だけでなくユーザーの行動履歴やWebでの検索履歴などをかけ合わせて広告配信できる点が強みです。一方で、エリアを絞り込みすぎたり詳細な設定をしすぎたりしてしまうと、以下のような問題が発生する可能性があります。

  • 対象が少なすぎて広告が配信できない
  • 設定した情報を持たないユーザーが多く広告が配信できない

誰でも効果的な広告を配信したいと思うものですが、ユーザーに広告が届かなければ意味がありません。ターゲティングを行う場合には、どのくらいのユーザーが対象となるか想定することが必要です。また、最初は広めの範囲で配信してデータを収集し、分析を重ねることで精度を上げていく方法も良いでしょう。

6.ジオターゲティング広告の活用事例

ここまでジオターゲティング広告のメリット、デメリットを解説してきましたが、実際の活用事例を知ることでよりイメージが膨らむでしょう。具体的には以下のような活用事例があります。

ここからはジオターゲティング広告の2つの活用事例を紹介します。

株式会社イトーヨーカ堂

大手スーパーマーケットである株式会社イトーヨーカ堂は、ジオターゲティング広告を活用して「ハッピーデーキャンペーン」という動画広告を配信しています。

広告配信を行っていたターゲットを変更したことで、以下のような成果が得られた事例です。

変更前ターゲット
  • 1都3県に住む25~49歳の女性
変更後ターゲット
  • 1都3県にある店舗から5km圏内の買い物客
  • スーパー、ドラッグストアのWebチラシを閲覧者
動画再生完了率 1.6倍
アクセス率 2.0倍

エリアを絞ったりチラシ閲覧の条件を加えたりと、ジオターゲティング広告を活用してターゲットをより来店してくれそうな層に絞ったことで広告効果を高められた代表事例です。「住んでいる場所」が近くても「買い物をする場所」が近くないと、広告効果が低いという仮説が想定されることが分かります。また「Webチラシの閲覧」をするユーザーであれば、お得な広告を見る可能性が高いと言えるでしょう。

なお、スーパーマーケットは新聞のチラシ広告が思い浮かびますが、新聞の購読者数が減少するなかで、ジオターゲティング広告はより効果的な方法です。

モンタナ州観光局

アメリカのモンタナ州観光局は、スキーリゾートへの観光客誘致のためにジオターゲティング広告を活用しました。一般的な店舗集客とは異なり、対象地域を広く設定する方法で成果を出した事例です。

モンタナ州は数多くのゲレンデが存在しスキーヤーにとって魅力的な観光地である一方、知名度が低い点が課題でした。観光局は打開のためにマーケティング投資を行い、ジオターゲティング広告によるキャンペーンを実施します。スキーヤーがスキー旅行に関して調べる場合、モバイル利用率が高いというデータに基づいて広告配信をした結果、以下のような成果が得られました。

ターゲット
  • スキーグッズ店、スキー場付近の空港、他州のスキーリゾートに訪れたユーザー
観光客数 1.7倍
投資額 2.5万ドル
増収益額 690万ドル

モンタナ州観光局のジオターゲティング広告活用は、投資に対して数百倍もの効果が得られた好事例といえるでしょう。

7.まとめ

ジオターゲティング広告とは、位置情報データからターゲットを定めてピンポイントでWeb広告を配信できるサービスです。位置情報や行動履歴をもとに潜在顧客にアプローチできる点や、ユーザーへの通知や動向把握が可能な点が魅力です。エリアを指定するWeb広告の仕組みは他にもありますが、ジオターゲティング広告は費用対効果の面で優れているといえるでしょう。

ただ、広告の効果測定やターゲティングの検討には専門知識が必要である点に注意が必要です。結果測定からデータを分析、判断するのに時間を要したり、そもそも分析や判断をしてからどうすれば良いのか分からなかったりという企業様もいるでしょう。

そのような悩みを持つ企業様は、ぜひみらいワークスにお問い合わせください。みらいワークスは、国内最大級のプロフェッショナル人材データベースを運営している企業です。
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(株式会社みらいワークス Freeconsultant.jp編集部)

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