ラグビーワールドカップ2019日本大会は、日本全国を巻き込む大きな盛り上がりを見せ、ラグビー日本代表チームのみならず、ラグビーそのものの価値を飛躍的に高める結果となりました。
今年はラグビーワールドカップ2023がフランスで開催され、日本代表の活躍が期待されています。その期待の裏には日本ラグビーの緻密な戦略と施策がしっかりと組まれていることをご存じでしょうか?
日本ラグビーは大きな目標を掲げ、緻密な戦略を練り施策実行を進めてきています。
それにより、2019年のラグビーワールドカップのような日本全国を『あっ!』っと驚かせる偉業を成し遂げているのです。
これはビジネスにおいても同様のことが言えるでしょう。
企業としての戦略を明確にし、施策を組織全体で共有、着実に実行し改善し続けることで、一致団結して大きな目標を達成することができます。
今回は日本ラグビーが掲げる「JAPAN RUGBY 中期戦略計画 2021-2024」を紐解いていくことで、企業のビジネスに活用できる情報をお届けします。
■目次
1.日本ラグビーの歴史と文化
公益財団法人日本ラグビーフットボール協会(以下、日本ラグビー協会)の話に入る前に、まずは日本ラグビーの歴史と発展について簡単にご紹介をします。
ラグビーの発祥はイギリスだと聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。一般的にラグビーの歴史は1820年頃~1830年頃の頃にイギリスで始まったと考えられています。1823年イギリスでウェブ・エリスという少年がサッカーの試合中にボールを手に持って走ったことがラグビーの発祥と言われています。
日本では1874年にイギリスの船員が横浜に降り立ったことから、日本ラグビーの歴史が始まります。当時マイナースポーツであったラグビーはなかなか日本国内で広まらず、1899年に慶応大学の英語講師が学生に伝えたことにより日本最初のラグビー部が創設され、大学スポーツとして発展していきます。
その後はラグビーの大学リーグなどが始まり、徐々に日本全国にラグビーが広まっていきました。こうして、日本国内の大学生を中心にラグビーが発展し、現在大学ラグビーでは早稲田大学、明治大学、帝京大学、慶応義塾大学などの強豪校が大学選手権等で注目を集めています。
2.JAPAN RUGBY 中期戦略計画 2021-2024とは
日本ラグビー協会が日本のラグビー発展のために、中期戦略計画を立て公式HPに公開していることをご存知でしょうか?
「JAPAN RUGBY 中期戦略計画 2021-2024」は、2050年までの超長期的なビジョンや目標、大枠の重点分野を設定し2024年までの具体的な中期戦略計画を、より実務的な視点で策定しています。この中期戦略計画を公開することで、男子ラグビー、女子ラグビー、各年代のラグビー選手、監督、コーチが日本ラグビー協会の戦略を知り、活動することができるという仕組みになっています。
それでは具体的にどのような活動指針を公開しているのでしょうか?
自社と比べながら、見て頂くと新たな発見もあるかもしれません。
3.JAPAN RUGBY 2050活動指針について
日本ではサッカーや野球と比べると、ラグビーは身近にあるスポーツと言うのは難しいでしょう。一方で南アフリカのラグビー競技人口は63.5万人、イギリスは35.5万人となっており、10.9万人の日本の倍以上の競技人口です。
このような課題に対して、日本ラグビー協会はMissionに挑戦的な「ラグビーが、世界一身近にある国へ」を掲げ、Visionには「世界のラグビーをリードし、スポーツを越えた社会変革の主導者となる」という未来像を描いています。
また、2050年までのTargetには「再びワールドカップを日本に招致し、世界一になる」と明記しています。
企業においても、Mission、Vision、Targetというのは、組織において大変重要な活動指針になることは言うまでもありません。また、活動指針を設定したとしても、皆が理解できなければ活動指針の意味がありません。そういう点においては、日本ラグビー協会の活動指針は大人から子どもまで理解のできる内容となっています。
大胆な活動指針を掲げている一方で、中期戦略計画は実に具体的な5つの注力する領域と8つの目標を提示しています。次にこの具体的な目標についてみていきましょう。
4.中期戦略計画 2021-2024の5つの領域と8つの目標
前述でご紹介した日本ラグビー協会の活動方針(Mission、Vision、Target)に紐づく、5つの注力領域と具体的な目標設定が、日本ラグビー協会のウェブサイトに公開されています。
また、各目標に対して必要なアクションプランも実務レベルで細かく記載されています。
たとえば、「Ⅰ.協会刷新」の「目標1 強固な経営基盤をつくる」では、2021-2024の4年間という明確な期間が設けられ、ラグビー協会の組織強化のための具体的な体制整備や各地域にRegional Development Officer(RDO)地域責任者を配置することで大会などマネジメントや人材教育に力を入れていく旨が明記されています。
アクション実行中に目的を見失うようなことがあっても、再度これらの目標やアクションプランに立ち戻ることで、目的を見失うことを回避できます。これらの中期戦略は日本ラグビー界の”コンパス”となっているようです。
一方で、日本ラグビーには多くの課題も抱えています。2003年から2021年まで続いたトップリーグは、プロとアマチュアが混在した状態となっており、全選手がラグビーに専念できる環境ではありませんでした。このような状態に課題を感じたラグビー協会とラグビー関係者は、「完全プロ化」を目指した新たなリーグ、「ラグビーリーグワン」を2022年に開幕し、選手がラグビーに集中できる環境づくりに力を入れています。
「JAPAN RUGBY 中期戦略計画 2021-2024」では、戦略の進捗状況やアクションプランの振り返りも細かくレビューとして、公開しています。どれだけ素晴らしい戦略やアクションプランを立案しても、振り返りやレビューをしなければ改善することはできません。企業においても、同様のことが言えるでしょう。日々の業務が忙しくてしっかりとした振り返りやレビューができず一番肝心なことをおざなりになっている方もいるのではないでしょうか。
ラグビー日本代表が2019年に成し遂げた4戦全勝で初のワールドカップ8強という快挙の裏には、日本ラグビー協会と日本ラグビー全体がこれまで長期的な戦略を立てをし、着実にアクションプランを実行し、改善し続けるという血が滲むような努力の結果と言えるでしょう。
今年のラグビーワールドカップ2023フランスは、日本ラグビーにとってこれまで活動してきた結果が出る重要な年となります。日本ラグビー中期戦略計画2021-2024を掲げて、これまで多くの方々が関わり、積み上げてきた活動がどのような結果になるのか日本全国が固唾を飲んで見守ることでしょう。
5.まとめ
今回は、日本ラグビー協会の「JAPAN RUGBY 中期戦略計画 2021-2024」についてご紹介しました。ビジネスもラグビーと同様に戦略が組織全体の鍵となります。そして、戦略に紐づく各施策やアクションプランを考え、日々の活動に組み込むことが必要です。
このように戦略やアクションプランを考えるのは一人の力では到底できないでしょう。時には有識者や外部人材を活用することも重要です。
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