漫画、アニメ、実写映画と非常に人気のキングダムですが、ビジネスマンにも人気なことで有名です。一番好きな漫画と答える方も多いのではないでしょうか?
そんなキングダムでやはり人気の戦と言えば“函谷関の戦い”です。合従軍編とも呼ばれています。函谷関の戦いは、戦国七雄と呼ばれる7か国のうち楚、趙、魏、韓、燕の5か国が徒党を組み、ダブル主人公である嬴政(えいせい)、李信(りしん)のいる秦国に攻め入る戦です。その複数の国で徒党を組むことを、合従軍もしくは合従連衡と呼ぶため、合従軍編と呼ばれています。
実は合従軍、合従連衡は、現代のビジネスにも多く応用されている考え方です。
特に新規で事業を立ち上げる時、ビジネスをさらに加速させたい時、ビジネスが停滞気味の時に有効です。そこで今回は、キングダムの合従軍を現代ビジネスにも紐づけて解説していきます。
※本コラムは原作の一部ネタバレを含みますのでご了承ください。
1.キングダムとは
キングダムとは、「週刊ヤングジャンプ(集英社)」にて、2006年から連載中の人気漫画です。単行本も2023年9月時点で69巻まで発売されており、アニメ化、実写映画化されている超人気作品です。
物語の舞台は、古代中国の春秋戦国時代です。
後に初めて中華を統一し、始皇帝と呼ばれることとなる秦国大王の嬴政(えいせい 以下政)と、王に仕える武将である李信(りしん 以下信)のダブル主人公の物語です。
キングダムの特徴は、実際の史実を忠実に再現しているところです。
史実に残っている情報があまり多くないため、作者の解釈による脚色は多分に入っているところはありますが、基本の流れは史実の通りになります。
そのため、読者は結末を知っている(調べれば誰でも分かる)のにも関わらず、非常に人気が高いところが、他の人気漫画とは異なる部分でしょう。
キングダムは、主人公のひとりである信が「天下の大将軍」を目指すという、少年ジャンプ作品に近い王道漫画要素もあるため、幅広い層に人気の作品です。
また作者の原泰久先生が、サラリーマン出身であることから、組織の美学を物語の随所に散りばめており、ビジネスにも通じる要素が多くあることから、サッカー元日本代表の本田圭佑氏など、多くの著名人やビジネスマンからも人気の作品です。
2.キングダムにおける合従軍
キングダムで合従軍が起こった函谷関の戦いは、紀元前241年に起きた戦争であり、史実にも残されている実際の戦です。
秦国を滅亡させるために楚、趙、魏、韓、燕の5か国で合従軍を組み、秦国の国門である函谷関に同時に攻め入りました。
結果としては秦国の函谷関を守り抜き、合従軍を退ける形で終わっています。
キングダムの世界において、合従軍が起こった元々の要因は、実は秦国王である政の思想にあります。政は「恒久の平和のために、中華統一を果たす」という目的を掲げており、そのために6か国を滅ぼす計画を立て、その一手目として中央に位置し他国と隣接しているため、列強諸国を滅ぼすための拠点となる魏国の山陽を攻略しました。
その山陽攻略の真の意図を読み取り、危惧した各国が徒党を組み、秦国を滅ぼすための戦争を仕掛けたという訳です。
結局、函谷関を堕とすことができず、その後全ての国が秦国によって滅ばされてしまい、前代未聞の中華統一がなされてしまいました。
当然、実際の史実においても同様の結果となっておりますが、その後の歴史を振り返っても合従軍を組んだ函谷関の戦いが秦国を倒す最後のチャンスだったと言える戦でした。
函谷関の戦いで徒党を組んだ5国も、普段はお互いの領土を狙う敵国同士のため、函谷関の戦い以降に合従軍を起こすことはありませんでした。
3.合従軍がなぜ有効なのか
キングダムの世界における合従軍は、秦国によって返り討ちにあってしまい敗北してしまいました。しかしながら、合従軍、合従連衡は非常に有効な戦略のひとつです。
それは、戦争もビジネスも結局のところ「陣取り合戦」だからです。
戦争については言うまでも無いですが、自分たちの目的、戦略にとって有効な他国の拠点を獲得することが戦争での勝利に直結します。これはビジネスの世界でも全く同じです。
たとえば、動画メディアを運営している企業がまさしく陣取り合戦をしていると言えます。
Googleで言えばYoutube、Amazonで言えばPrime Video、あとはNetflix、Disney+、Hulu、U-next、Abemaなど挙げればきりがありません。
これは、視聴者個人の可処分時間の争奪戦をしているということです。
当然、視聴者数が多ければ多いほどクライアント企業からの広告を多く手にできる上に視聴者からのサブスクリプション収入も増加していきます。
そのため、各企業は各TV局との提携や場合によっては大型メディア企業のM&Aなどの合従連衡をしかけ、他社との陣取り合戦を制そうとしているのです。
現代のビジネスにおける合従連衡には様々な形があります。
たとえば上述したM&Aやアライアンスなどです。
陣取り合戦を制するために、その領域のビジネスにストロングポイントを持つ企業を買収するのがM&Aであり、資本関係を持たずにビジネス協業するのがアライアンスです。
また、通常のビジネスだけではなくYoutuberなども複数のチャンネル間で合従連衡を組み、互いのチャンネル登録者数を伸ばすような動きを行っております。
4.合従軍(合従連衡)の欠点
戦争やビジネスにおいて合従軍、合従連衡は非常に有効だと解説してきました。
しかしながら、そんな合従連衡にも欠点があります。
それは元々が異なる組織の集合体となるため、組織としてまとまりにくいということです。
まとまらない組織は、意思疎通がうまくいかず、意思決定スピードが落ちてしまうなど、かえって力が落ちてしまう可能性があります。
M&Aのように、組織そのものを傘下に入れることで上下関係がはっきりする場合は、ビジネスを伸長させるという目的のために一致団結する可能性が高いと言えるでしょう。
しかしながらアライアンスなどの事業コラボレーションの場合、パワーバランスがフラットな横並びの対等な関係性となってしまいがちであり、結果として意見が上手くまとまらず、アライアンス自体が先細りとなってしまうことも少なくありません。
そのため、組織としてまとまらなくなりがちな合従連衡の欠点を克服するためには、組織を先導し、束ねるリーダーが必要となります。
またそのリーダーは異なる組織の集合体において、皆が納得する人物でなければなりません。
キングダムの合従軍においては、大国“楚”の宰相(総理大臣に相当する役職)である春申君(しゅんしんくん)が総大将に任命されました。
史実においても戦国四君(中国の戦国時代に特に活躍した4名)に名を連ねる人物であるため、他国のリーダー達からも反対意見が出ないほどの人物であり、合従軍を束ねるリーダーとして最適な人物でした。
このように他の組織と合従連衡を組む場合、それぞれの組織のリーダーからも一目置かれる最適なTOPが必要となり、そうした存在がいなければ、合従連衡自体が共倒れとなってしまう可能性すらあると言えるでしょう。
5.まとめ
今回、大人気漫画キングダムの中でも人気な函谷関の戦いから、合従軍(合従連衡)の重要性を解説してきました。
合従軍とは異なる組織が集合し、共同で1つの目的達成を図る組織の集合体を指します。
この考え方は現代のビジネスにおいても広く活用されています。
たとえば
- M&A:戦略的な企業買収による市場優位性の確立
- アライアンス:戦略的事業提携による優位性創出
- 複数Youtubeチャンネル間でのコラボレーション
などが挙げられます。
ビジネスは戦争と同じく“陣取り合戦”となるため、事業の軌道修正が必要な時、ビジネススピードのアップを図らなくてはならない時などに、特に重要なビジネス戦略となります。
しかしながら、合従連衡は「全員から支持されるリーダーがいなければ失敗に終わる可能性がある」という側面もあります。
そこで全員が納得できるプロフェッショナルがいない場合、外部からの招へいも含めて検討が必要になってくるでしょう。
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(株式会社みらいワークス Freeconsultant.jp編集部)