2023年9月8日からラグビーワールドカップ2023がフランスで開催されます。今回で第10回となるラグビーワールドカップは、多くの方々から注目を集めています。
そこで今回は「ラグビーってどんなスポーツ?」「ラグビーワールドカップ前に知識をつけておきたい!」「ビジネスにも通じるラグビーの組織論について知りたい!」という方向けに、ビジネスにも通じるラグビーの基礎知識と組織論についてご紹介します。まずは、ラグビーとはどんなスポーツなのかみていきましょう。
1.ラグビーの歴史
さまざまな諸説はありますが、一般的にラグビーの歴史は1820年頃~1830年頃の頃にイギリスで始まったと考えられています。1823年イギリスでウェブ・エリスという少年がサッカーの試合中にボールを手に持って走ったことがラグビーの発祥ともいわれています。その後、ラグビーとして初めての正式なルールは1845年に作られました。
当時のイギリスではサッカーがとても盛んでした。一方で、共通ルールが定まらない中で試合がおこなわれており、正式にルールを取り入れたのが現在のラグビールールの原型と考えられています。
世界でラグビーが発展していく中で、日本はどのようにラグビーは発展していったのでしょうか。日本にラグビーが伝わったのは1900年頃で、大学生がおこなうスポーツとして発展していきました。そのため、早稲田大学、慶應義塾大学、同志社大学、明治大学などが日本ラグビーの中心となっていました。
2.ラグビーのルールと文化
ラグビーは15名、または7名からなる2つのチ一ムが、ボールを持って走り、パス、キックおよびグラウンディング(ボールを接地させる)をして、可能な限り多くの得点をとったチームが勝者となります。
ラグビーの試合時間は前半40分、後半40分の計80分で行われます。ハーフタイムは10分が主流ですが、ルールでは15分以内と規定されています。
15人制の試合はスクラムなどのセットプレーが重要とされます。コンタクトプレーの局面も多くなり、さまざまな局面が発生するため、力が強い選手や足が速い選手などの特性を持った選手が役割別に必要とされます。
攻撃ではグラウンドの縦横のスペースを活用し、ボールをパスし、ボールを持って走り、長短を使い分けるキックを活用して、ラックやモールなどの激しい密集プレーを行います。
防御では勇気あるタックルで攻撃を阻止し、ボールの奪取を目指します。 試合中にはさまざまな局面があり、局面に応じたさまざまな選択肢のプレーが可能です。
選手に求められるスキルや役割は多様性に富み、この点ではビジネスと同様に役割を明確にすることが重要です。たとえば、ナンバーエイトと言われるポジションは、万能なスキルを持ちチームを引っ張っていくリーダー的な選手がつくポジションです。全体を把握しスケジュール管理や全てにおける進捗の把握をし、問題があれば、改善策を講じるなど、ビジネスプロジェクトの重要な役割を果たすPMOによく似ています。
ナンバーエイトは、フォワードを最後方からコントロールし、統率する選手です。スクラムの時には、後方に運ばれた ポールを手で運び出すこともあります。 体の大きさ、スピードとパワー、的確な判断力など総合的に高い能力の求められるポジションです。
ラグビーは「One for all All for one」の精神のように、自己犠牲や仲間を信頼してプレーすることも大切な要素です。次にラグビーにおける「One for All、 All for One」の意味について詳しくみていきましょう。
3.「One for All, All for One」の本当の意味
「One for All All for One(ワンフォーオール オールフォー ワン)」この言葉はラグビーワールドカップの機会により有名になった言葉です。この言葉の意味は、「1人は全員のために、全員は1人のために」と言うふうに誤解されることが多いのですが、本来は「1人は全員のために、全員は1つの目標のために」と言う意味です。
選手一人一人が目標や戦術を共有することで、自分自身の役割を把握し、状況に応じてコミュニケーションを図り、一丸となって場面、場面の攻撃や守備を行うこと、多くの企業が求める「強い組織」も同様です。
企業においてもKGIやKPI等の目標を設定し、組織一丸となって目標に向かっていくことが重要です。
「One for All All for One」を実現するために必要なこと
ラグビーのように「One for All All for One」な組織を実現するためには、次の4つが必要になります。
明確な目標の設定
1つ目は、明確な目標の設定です。自分たちの会社や組織が何を目指して実現しようとしているのかのゴール設定はとても重要です。目標がなければ、優先順位もつけられず、向かうべき方向が定まらず、チームとして崩壊する可能性もあります。
たとえば、ラグビーでは特定の大会やリーグの優勝やライバルである〇〇〇チームに勝利するという明確な目標ができれば、大会に向けてトレーニングや身体の調整ができたり、ライバルチームに勝つための戦略や戦術を考えることができます。
このような目標はチーム全員が理解し、腹落ちできている状況が必要です。ビジネスにおいても、組織としてどのような目標設定で、どこに進もうとしているのかを共有できなければ、組織としての目標達成は難しいでしょう。
メンバー個々の主体的な取り組み姿勢
2つ目に必要なことは、メンバー一人一人が自らの役割をしっかり認識できていて、主体的に取り組む意志を持っていることです。
ラグビーでは、指示がないとアクションしないという選手は誰ひとりいません。自分で考えチームが勝つために最善の選択を考え、動きます。なぜならば、何も行動をしないと負けてしまう(目標達成できない)可能性や選手交代をさせられてしまうからです。
シビアな世界ですが、企業においても指示待ちの人材は主体的に行動するようにOJTや上司からのアドバイスをもらうなど何かしらの改善が必要となるでしょう。特に組織強化に向けた個々の主体性向上という点においては、ビジネスと同様役割が明確に分かれているラグビーから学べる点は多くあるでしょう。
適切なコミュニケーション
3つ目に必要なことは、適切なコミュニケーションが取れていることです。必要な情報を伝え合い、瞬時に意思の疎通を図ることができる精度の高いコミュニケーションが必要です。企業でも定例会や個別の1on1でコミュニケーションをとることで、組織や個々の課題を切り分けをするなど、とても重要な役割を担っています。
メンバー個々の信頼関係
そして最後、4つ目は信頼関係です。ラグビーでは、見事なパスが観客を沸かせます。「必要なときに、そこに仲間がいる」、練習で培われた信頼関係があるから、あのようなパスができるのだと思います。仕事においても、深い信頼関係を築くことで、高度な連携が可能になります。
この4つの要素を高い次元で実現することで、企業に「One for All All for One」の強い組織を実現することが可能になります。ただし、ラグビーと同様、この実現には、練習とチーム力の強化が不可欠です。トップの掛け声だけで実現するものではありません。
企業における練習は「人材育成」、チーム力強化は「組織開発」にあたります。この2軸にバランス良く取り組むことが大切です。
4.外部人材活用による組織強化
組織強化の方法もトレーニング合宿や戦略、戦術の変更などさまざまな観点から強化ができますが、意外と見逃しがちなものが外部人材による補強選手の活用です。近年、ラグビーのプロリーグでは当たり前のように補強選手を活用しています。
たとえば、横浜キャノンイーグルスでは南アフリカ代表SHのファフ・デクラーク選手を補強しました。ファフ・デクラーク選手の日本初戦ではしっかりと勝利を飾り、その後も日本で活躍し続けています。
これは言うまでもなく、ビジネスシーンにおいても同様です。自社組織の弱い部分を補うためには、自社内だけでは限界がくることももちろんあります。そのような場合は、外部のプロフェッショナル人材を組織に招き、会社組織としてうまく活用することで目標達成に導くこともできるでしょう。
5.まとめ
今回は、ラグビーの基本的な知識とラグビーとビジネスにおける組織論についてご紹介しました。ビジネスもラグビーと同様に組織では、適材適所のポジション配置をし、目標達成に向けて、アクションをおこしていく必要があります。その中で、必要な人材の不足でメンバーの補強が必要な場合は、外部人材の力を活用することも重要になります。
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