サービス開発とは、顧客が求めるニーズを満たすために新しくサービスを開発することです。サービス開発を行うことで、顧客満足度の向上や、開発を通して従業員の成長が見込めるなど、さまざまなメリットがあります。
しかし、サービス開発の経験がなければ「サービス開発はどのように取り組めばいいの?」「どんなスキルが必要なの?」と、悩んでしまうでしょう。
そこで、本記事ではサービス開発の必要性やプロセスまで詳しく解説します。サービス開発を成功させるポイントも併せて紹介しますので、サービス開発について悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。
■目次
1.サービス開発とは?
サービス開発とは、顧客が求めるニーズを満たすために、新たなサービスを開発することです。顧客ニーズに沿ったサービス開発を行うことで、より大きな売上につながるだけでなく、顧客満足度の向上や組織力の強化など、さまざまなメリットを得られます。多くのメリットを享受することで、企業の業績は自ずと向上するでしょう。
なお、一般的にサービス開発は、インターネットにアクセスして利用するシステムやアプリを開発するIT開発の意味合いで使われることが多いです。しかし、実際はWebサービスに限らず、顧客へ提供する新サービスの開発全般を指しています。
▽サービス開発の例
サービス開発の例として、次のようなものがあります。
- 染色の設備と職人技を活かした染め直しサービス
- 墓石等の石材加工技術を応用した焼肉用プレート
- バーチャルとリアルが融合したオンラインバスツアー
- 完熟いちごと動画を活用した自宅でのいちご狩り体験
- カスタマイズバッグ製作
- ECを活用したオリジナルセーターの製造販売
- 特産品の五城目キイチゴを使ったスイーツ開発
- 地域資源のきびなごを活用した商品開発
※参照元:事例から学ぶ!「商品開発のヒント」 | 経済産業省 中小企業庁
手に取れる商品だけでなく、体験や自分だけのカスタムアイテムの制作など、サービス開発の事例はさまざまです。顧客ニーズを把握し、自社のコンセプトや魅力を反映したアイデアを生み出すことで、より優れたサービスが開発できます。
2.サービス開発とシステム開発、事業開発の違い
サービス開発と混合されやすい用語として、次の2つがあります。
それぞれの違いを把握しておかなければ、サービス開発を適切に行えません。サービス開発に取り組む前に、混合されやすい用語の違いを把握しておきましょう。
サービス開発とシステム開発の違い
サービス開発とシステム開発の違いは、開発する範囲です。
サービス開発はIT分野だけでなく、顧客のニーズを満たすサービスを開発することを指します。しかし、一般的にはインターネットにアクセスして利用するシステムやアプリの開発を指すことが多く、システム開発と混合されやすいです。
なお、システム開発とは、オンラインだけでなくオフラインでも使用できるシステム、アプリを開発することです。言い換えると「サービスを運用するためのシステムを開発する」ということになります。そのため、システム開発はサービス開発の一種である、と認識すると良いでしょう。
サービス開発と事業開発の違い
サービス開発と事業開発の違いは、目的が異なる点です。
サービス開発は、市場のニーズを満たすために顧客へ魅力的な商品やサービスを提供し、顧客に満足してもらうことを目的としています。対して事業開発は事業の発展が目的です。自社製品やサービスを売るにはどのような施策が効果的かを考え、長期的に顧客満足度を高めるための施策考案や実行、改善を繰り返し行うことで、企業の業績アップに繋げます。
上記のように、サービス開発と事業開発では取り組み方や目的が違うため、双方の違いを理解しておきましょう。
3.サービス開発が必要とされている背景
サービス開発が必要とされている背景には、目まぐるしい時代の変化が関係しています。SNSやインターネットの普及に伴い、消費者が情報を容易に得られるようになったことで、高品質、高精度なサービスが求められるようになりました。
近年のITや製造における技術レベルは高く、競合と差別化し顧客ニーズに応えるサービスを提供するには、新たなサービス開発が必要です。
高品質なサービスが求められる現代社会を生き抜くためにも、顧客のニーズに応えるサービス開発を行いましょう。
4.サービス開発の5つのプロセス
サービス開発のプロセスは、次の通りです。
各プロセスについて詳しく解説しますので、今後サービス開発を行う際の参考にしてください。
①市場調査を行いニーズを把握する
顧客ニーズを満たすサービスを開発するには、クレーム、口コミの調査やアンケートの実施など、市場調査を通して顧客の声に耳を傾ける必要があります。顧客ニーズを満たすサービスが開発できれば、需要と供給が釣り合うため、自ずと売上は伸びていくでしょう。
なお、アイデアを捻出する際には、1人で企画を考えるのではなく複数人で取り組むのがおすすめです。1人では考えが凝り固まってしまいがちですが、複数人で異なる観点からアイデアを捻出することで、より多くのアイデアを思いつく可能性があります。
経営層だけでなく、女性従業員や学生のインターン生など、立場や価値観の異なる人材の意見を取り入れることで、より良いアイデアが生まれるでしょう。
②サービスのコンセプトを作成する
市場調査によって顧客ニーズを把握した後のプロセスでは、商品やサービスのコンセプトを作成しましょう。具体的には、次のようなサービスのコンセプトを明確化します。
- ターゲット層
- 活用方法
- 使用する技術やノウハウ
どのようなターゲット層にサービスを提供するか、どのように活用できるサービスかなど、サービスのコンセプトを決めましょう。
また、サービスのコンセプトを作成する段階で、目安になる販売価格を定めて売上目標やランニングコストを計算しておくことをおすすめします。事前に売上目標や必要コストを計算しておくことで、稟議を通す際の材料になるほか、予算が目標よりも差し引かれてしまうこともなくなることでしょう。
③コンセプトに基づいたサービスを開発する
コンセプトを作成したら、実際にサービスを開発するプロセスに移ります。コンセプトに基づき、自社の技術やノウハウを生かしたサービスを開発することで、競合にはないオリジナリティを生み出せます。
サービス開発の際は、まず試作品をつくり、改良する余地がないか課題や問題点を洗い出します。ただ魅力的な商品やサービスを生み出すだけでなく、ターゲット層や活用方法、サービスに活かせる自社の強みなど、コンセプトに基づいたサービスを開発することが大切です。
また、サービス開発の際には予算や開発期限を確認したうえで、コストやスケジュールを考慮した開発計画を作成することをおすすめします。開発計画を作成しておくことで、プロジェクトメンバー内での認識が統一できるでしょう。
④テストマーケティングを行い、販売戦略を策定する
コンセプトに基づいたサービスが開発できたら、テストマーケティングを行い、販売戦略を策定しましょう。
開発したサービスの市場価値を測定するためにも、テストマーケティングの実施は必要不可欠です。テストマーケティングを実施することで、サービスの改善点や強みを可視化して、販売戦略に活かすことができます。試験販売やクラウドファンディングなどで、テストマーケティングを行ってから、サービスを市場に投入しましょう。
なお、改善点は必ず改良を行い、顧客ニーズに沿った商品になるよう試行錯誤を行うことで、顧客からの評価も高まります。さらに、自社特有の強みを入れ込んだ販売戦略を策定することでサービスの価値が上がり、より売上の向上に繋がる商品が出来上がるでしょう。
⑤市場に投入する
テストマーケティングを行って販売戦略を策定できたら、実際にサービスを市場に投入しましょう。
市場へサービスを投入する際には、広報活動やマーケティング戦略によって、潜在顧客にサービスを認知させる必要があります。どれだけ優れたサービスでも市場の認知度が低いと利用、購入してもらえる確率が下がってしまうでしょう。
また、市場にサービスを投入した後も、より良いサービスにブラッシュアップしていく必要があります。そのため、経過を測定しながら、販売戦略やマーケティング戦略を改良していきましょう。
5.サービス開発を成功させる3つのポイント
サービス開発を成功させるために、次のポイントを押さえておきましょう。
それぞれのポイントを押さえておくことで、サービス開発で失敗するリスクを軽減できます。
①サービスの目的をしっかりと定める
サービス開発を成功させるためには、サービスの目的をしっかりと定めることが重要です。サービスの目的が定まっていないと、ターゲット層やマーケティング施策を選定しにくくなってしまいます。目的をしっかりと定めることで、開発するサービス内容や狙うターゲット層や市場、マーケティング戦略を考案できるでしょう。
「どのような目的で利用するサービスか」「どのくらいの頻度で利用するべきか」など、サービスを利用する目的や活用方法を正確に定めておくことをおすすめします。
②価格の安さだけにこだわらない
商品やサービスを売るには、顧客が手を出しやすい価格設定が必要です。価格の安さだけにこだわりすぎると、商品やサービスの質が低下してしまいます。
現代社会では、顧客の評判、口コミがインターネットやSNSを通じて瞬く間に広がるため、どれだけ安いサービスでも、一定のクオリティが伴っていないと、顧客に満足してもらうことは難しいです。質が高く、費用対効果が高いサービスほどインターネットやSNSで評価され、リピーターの増加に繋がります。サービスの発展のためにも、価格の安さだけにこだわらず、自社の強みや技術を生かしたサービス開発を行いましょう。
しかし、相場よりも高すぎる費用感であったり、費用対効果が低い場合には、顧客獲得が難しくなってしまいます。あくまでも費用対効果の高いサービスを顧客は求めているため、場合によっては販売価格の見直しも検討しましょう。
なお、販売価格を下げるためには、開発コストを抑える必要があります。そのため、できるだけ不要なコストを省いてサービス開発を行う必要があるのです。
③信頼できる製造業者を見つける
サービス開発の際には、信頼できる製造業者を見つけることが大切です。商品やサービスの製造、制作を依頼する業者によって、完成するサービスの質が変わります。
高い技術力とアイデア力を兼ね備えた製造業者を見つけるためにも、口コミや評判を参考に依頼する製造業者選びを行いましょう。製造業者が提供するサービスの満足度や費用対効果を確認できれば、実際に依頼した後の費用対効果や、開発できるサービスの幅、質の高さなどを想定しやすくなります。
6.サービス開発に必要なスキル
サービス開発に必要なスキルは、次の通りです。
- 情報収集能力
- 分析能力
- 論理的思考力
- 専門的な知識、経験
- マーケティング力
- 発想力
自社に上記のようなスキルを持った人材がいれば、サービス開発をスムーズに進められます。開発するサービス内容によって必要なスキルは異なりますが、情報収集能力や分析能力、論理的思考力は、サービス開発に必須のスキルです。
万が一、自社に上記のようなスキルを持った人材が不足している場合は、外部企業へのアウトソーシングかプロフェッショナル人材を頼ってみることを検討する必要があるでしょう。
7.まとめ
サービス開発を成功させるためには、入念な市場調査を行い、市場のニーズに沿ったサービスコンセプトを決定することが重要です。さらに、自社特有の技術やノウハウを活かしてサービスを開発することで、売上が向上する可能性が高まります。
また、価格の安さだけにこだわらず、費用対効果が高いサービスを開発することで、商品価値や顧客満足度が上がり、よりサービスが発展していくでしょう。また、サービス開発を行った後は、テストマーケティングを実施したうえで市場に投入することで、サービスのブラッシュアップが可能です。
なお、より良いサービスを開発するために必要なスキルをリストアップして、自社にスキルを持った人材が不足している場合は、外部へのアウトソーシングも検討してください。
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