キャリア採用とは?中途採用との違いや事例、メリット、デメリット、進め方まで解説! - freeconsultant.jp for Business
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最終更新日:2026.01.15
人事/組織構築/業務改善

キャリア採用とは?中途採用との違いや事例、メリット、デメリット、進め方まで解説!

『キャリア採用と中途採用はなにが違う?』
『キャリア採用にはどんなメリットがある?』
と考える方は多いのではないでしょうか。

キャリア採用とは、募集したい職種のスキルや経験を持つ人材に絞って採用を行う方法です。即戦力となる人材が獲得でき、育成にかかるコストも抑制できる採用方法として注目されています。

本記事では、キャリア採用の概要やメリット、デメリット、成功させるポイントなどを紹介します。キャリア採用に興味がある方は、ぜひ最後までお読みください。

1.キャリア採用とは?

キャリア採用とは、企業が募集する職種に対して即戦力となる人材を採用する方法を指します。具体的には以下のような要素がある人材を採用することです。

  • 対象職種の就業経験がある
  • 対象職種に関するスキルがある
  • 専門知識や資格がある

詳細は「キャリア採用が注目されている3つの理由」で解説しますが、近年キャリア採用が注目される背景には、転職が一般的になったことが挙げられます。以前は定年まで同じ企業に勤めることが当たり前とされており、転職に対してネガティブなイメージがありました。

しかし終身雇用制度が崩壊した現在は、スキルのある人材の転職はむしろポジティブに捉えられるようになっています。

また、変化の激しい現在の社会において、新たなアイデアやノウハウを吸収できる点でも企業として歓迎すべきことと言えるでしょう。

キャリア採用と中途採用の違い

キャリア採用と中途採用の違いは「求める人材」の違いで、キャリア採用は中途採用の一部といえます。

中途採用は、社会人として働いた経験がある人材すべてが対象です。

新卒採用と対比した言葉と考えたらよいでしょう。

そのため、業界未経験の人材や社会人3年以内の第二新卒も対象となっています。

一方で、キャリア採用は募集する職種において資格や職務経験がある人材が対象で、入社後すぐに即戦力として活躍することを期待されています。

また、募集要項においても、それぞれ以下のような違いがあります。

採用方法 募集要項
キャリア採用 ・〇〇の経験が〇年以上
・〇〇ができること
中途採用 ・〇〇の経験がある方を歓迎
・未経験者歓迎

上記のとおり、中途採用が社会人経験のある人材を広く募集する採用であるのに対して、キャリア採用は特定の経験があって、即戦力となる人材を募集する採用です。

キャリア採用と中途採用の使い分け方

採用目的や解決したい課題によって、キャリア採用(経験者採用)と中途採用(未経験者、第二新卒採用)を使い分けることが重要です。即戦力を確保したい場合はキャリア採用、組織の若返りや将来の幹部候補を育成したい場合は中途採用が適しています。

それぞれの採用手法の特徴は、以下のとおりです。

項目 キャリア採用 中途採用
ターゲット 専門性、経験豊富な即戦力 未経験者や第二新卒などの若手人材
目的 特定スキルの確保、事業加速 人員補充、組織の若返り、将来への投資
教育コスト 最小限(即戦力として活躍) 一定の育成期間が必要
採用コスト 比較的高め 比較的抑えられる

求める人材要件や組織の課題を明確にした上で、最適な採用手法を選択しましょう。

採用基準を事前に設定しておくことで採用活動の軸が定まり、効果的な人材確保につながります。

キャリア採用が注目されている3つの理由

近年、多くの企業がキャリア採用に注目し、導入を進めています。キャリア採用が注目されている主な理由は以下の3つです。

それぞれの理由を理解することで、自社の採用戦略の方向性が決まるでしょう。

①転職が一般化している

かつての日本では、新卒で入社した企業に定年まで勤める終身雇用が一般的でした。しかし、近年ではキャリアアップやスキルアップを目的とした転職が当たり前になっています。

総務省の調査でも転職希望者は年々増加傾向にあり、人材の流動性は高いです。

「転職=ネガティブ」との認識は薄れ、自身のキャリア形成の一環として前向きに捉える人が増えています。企業側も変化を受け入れ、外部から優秀な人材を獲得するチャンスと捉えるようになりました。

転職者及び転職等希望者の動向グラフ
画像引用元:直近の転職者及び転職等希望者の動向について(総務省)

転職者等希望者は1,035万⼈にのぼり、過去最多の10期連続で増加し続けています。実際に転職活動へ踏み出す人も6期連続で増加しており、325万人と非常に多いです

転職市場が活発化したことで、即戦力人材を採用できる可能性が広がっています。

②働き方に対する価値観が変化しているため

働く人々の価値観が変化している点も、キャリア採用が注目される理由です。給与や雇用の安定だけではなく、仕事のやりがいや自己実現、自身の成長を重視する人が増えています。

特に、ワークライフバランスを重視する考え方が浸透しており、以下のような画一的な採用条件では人材が集まりにくいです。

  • 長時間労働や残業を前提とした勤務体系
  • 年功序列でスキルや専門性が重視されない
  • 副業、兼業禁止
  • リモートワーク、フレックスタイム未導入

多様化する求職者のニーズに応えるためには、経験や専門性を持つ人材を柔軟に受け入れる環境づくりが大切です。

求職者の価値観に合わせた採用活動を展開することで、自社にマッチした人材を確保できるでしょう。

③時代の変化に対応するため

現代は市場のニーズや顧客行動の変化が激しく、企業には迅速な対応が求められます。従来の「新卒を採用して時間をかけて育てる」前提のモデルだけでは、変化のスピードに追いつけないケースが出てきました。そのため、すでに専門知識やスキルを身につけた即戦力人材を確保し、事業成長を加速させる必要があるのです。

たとえば、以下のようなケースでキャリア採用が積極的に活用されています。

  • DX推進に向けたAIエンジニアやデータアナリストの確保
  • 海外拠点立ち上げに伴う、現地事情に精通した責任者の登用
  • SaaS事業参入のためのカスタマーサクセス経験者の採用

特にDX推進や新規事業の立ち上げなど、社内にノウハウがない領域では、即戦力人材を積極的に登用する企業が増えています。

外部の知見を取り入れることで、競争力を維持し、変化に対応できる組織体制を構築できるでしょう。

キャリア採用を導入する4つのメリット

即戦力の人材を求めるキャリア採用には、以下のようなメリットがあります。

ここからは、キャリア採用を導入する3つのメリットについて解説します。

①即戦力の人材が手に入り、事業成長スピードが上がる

キャリア採用による1つ目のメリットは、即戦力人材の獲得により事業成長スピードが上がる点です。

キャリア採用では、募集する仕事についてスキルや業務経験を持つ人材を獲得します。そのため、未経験者と比べて入社後早くから活躍してくれることは間違いありません。

たとえば、営業において新卒のような未経験者が入社した場合、当然ながらすぐに高い実績を出すことはできません。一方で、同業種での営業経験者が入社した場合は、自社商品について理解してもらうための教育をするだけで、即戦力としてすぐに独り立ちしてもらうことができます。

そのような即戦力人材を多く採用することで、事業の成長をさらに促すことに繋がるでしょう。

②人材育成のコストを削減できる

キャリア採用による2つ目のメリットは、人材育成にかかるコストを削減できる点です。

キャリア採用の場合は、社会人経験に加えて業務経験や実務スキルを持ち合わせています。そのため、企業理念や考え方、仕事の進め方など特有の知識は学ぶ必要がありますが、専門スキルについては必要な育成コストは少ないです。

一方で、新卒採用であれば社会人としてのマナーや心構え、基礎的な知識を研修などから行なわないと、そもそも現場に配置ができません。また、中途採用であっても未経験者の場合は、業務に関する知識を一から指導する必要があります。

人材育成にかかる時間やコストの面に加え、現場で指導する従業員が自身の業務時間を費やす面を考えても、キャリア採用は人材育成のコストが低いといえます。

③新しいアイデアとノウハウが吸収できる

キャリア採用による3つ目のメリットは、新しいアイデアやノウハウが吸収できる点です。

キャリア採用で入社する人材は、過去のさまざまな経験から以下のようなものを培っています。

  • 自社にはない経験やスキル
  • 自社とは異なる業務フローやノウハウ
  • 自社とは異なる価値観

これまで自社では当たり前になっていたことでも、採用者の新鮮な視点を取り入れることで、自社の課題が改善したり、さらなる成長を実現したりするきっかけになります。

変化が激しい社会で生き残っていくためには、常に変化をし続けていくことが必要です。そのため、新たな価値観やノウハウを持つ人材の採用は、積極的に行っていくべきといえるでしょう。

キャリア採用で確保した人材は、すでに必要なスキルや経験を備えています。新卒採用と比較して研修期間を短縮できるため、入社後の比較的早い段階から生産性向上を期待できる点がメリットです。

その他にも、以下のようなメリットが得られます。

  • 教育担当者の負担が軽減され、本来の業務に集中できる
  • 他社での経験を活かし、業務改善に繫がるケースもある

また、外部から新しい知識や異なる視点が持ち込まれることで、従来のやり方に固執していた組織に良い変化が生まれます。

既存社員にも刺激を与え、組織全体の活性化につながれば、結果として会社全体の利益拡大に寄与するでしょう。

キャリア採用を導入する4つのデメリット

キャリア採用にはメリットだけでなく、以下のようなデメリットもあるので注意が必要です。

ここからは、キャリア採用を導入する3つのデメリットについて解説します。

①採用コストが高くなる

キャリア採用による1つ目のデメリットは、採用コストが高くなってしまう点です。

キャリア採用は即戦力となる人材をターゲットとするため、紹介料金が高い人材紹介サービスなどを利用する必要があります。また、専門スキルや資格を持つ人材は多くの企業が必要としているため競争率が高いです。そのため、新卒や未経験者と比べてはもちろん、他の企業よりも良い条件を提示しなければなりません。結果として1名当たりのコストは高くなります。

しかし、採用後の育成コストは少なくすんだり、業績への貢献はプラスになったりとメリットがあることも間違いないので、入社後に企業に及ぼすメリットとコストを比較して計画的にキャリア採用を行うことをおすすめします。

②社内を乱す原因になりかねない

キャリア採用による2つ目のデメリットは、キャリア採用者が社内を乱す原因になりかねない点です。

キャリア採用で入社する人材は、他社で同じ職種のスキルや経験を積んできています。そのため、自分なりのやり方や考え方を確立している方も少なくありません。それがプラスに働いて職場が活性化する場合もありますが、マイナスに働く可能性もあります。

たとえば、自分のやり方に固執するあまり自社のルールに反してしまったり、上司や部下とぶつかったりすることで、社内の雰囲気を乱す原因となってしまいます。

せっかく業務能力が高くても、職場での関係性を構築できなければ良いパフォーマンスを発揮することはできないでしょう。

そのため、採用時にはスキルや経験だけでなく、自社の社風に合った人材かも判断基準とする必要があります。

③離職率が上がる可能性がある

キャリア採用による3つ目のデメリットは、離職率が上がる可能性がある点です。

キャリア採用で入社した人材は、自分なりのポリシーが強い傾向にあります。そのため、自分のポリシーと企業側の方針が合わなかったり、元々在籍している社員との関係性を良好に築けなかったりと会社に馴染めない場合も多く、それが原因で退職してしまうケースも少なくありません。

また、最近では「キャリアアップ」を目的に転職をする人材も増えており、より高みを目指したい、より高い条件で働きたいという考えから、せっかく入社しても条件の良い職場が見つかるとすぐに転職してしまう可能性があります。

どちらの理由にしても、せっかくの即戦力人材を逃さないためには、入社前に企業とマッチした人材かどうか、面接や面談を通して見極めておくことが重要です。

④適切な人材がすぐに見つからない場合がある

キャリア採用では、特定のスキルや実務経験が必須条件となることから、応募者の母集団が小さくなりがちです。そのため、採用競争が激化し、思うように人材を確保できない状況に陥る可能性があります。即戦力となる優秀な人材は市場価値が高く、多くの企業が獲得を狙っているのが現状です。

採用が難航した場合、以下のような影響が生じます。

  • 欠員補充が遅れ、既存社員の業務負担が増加する
  • 採用コストが上昇し、予算を圧迫する
  • 事業計画の遅延に繫がる可能性がある

上記の課題を解決するためには、採用要件を見直し、どうしても譲れないスキルと、入社後の教育で補える要素を明確に区別しましょう。

優先順位をつけて要件を緩和することで、母集団を広げられ、早期の人材確保に繋がります。

5.キャリア採用を積極的に行うべき職種

ここまでキャリア採用のメリット、デメリットを解説してきましたが、キャリア採用はとくに以下のような職種に適しています。

ここからは、キャリア採用を積極的に行うべき職種について解説します。

営業、営業企画

営業や営業企画は、キャリア採用を積極的に行った方がよいでしょう。

営業という職種において基礎となるコミュニケーション能力や交渉スキルは、これまで培ってきた経験に裏打ちされたものであり、短期間で得られるものではありません。とくに、自社と同じジャンルの製品を扱ってきた人材は、即戦力として成績に貢献できるでしょうし、これまでの経歴で築いた人脈も企業にとって貴重な財産となります。

また、営業企画においてもキャリア採用がおすすめです。営業企画において必要となるスキルには「マーケティング」「商品が売れるスキームの構築」など、一長一短でこなせる仕事ではないからです。

営業、営業企画のどちらも未経験者がすぐに結果を残せる仕事ではないため、即戦力人材を求めるのであれば、キャリア採用がおすすめと言えるでしょう。

人事、法務、財務

人事、法務、財務などバックオフィスで専門性の高い職種は、キャリア採用が合っています。

人事については、人員採用や人員計画の策定、人事トラブルへの対応など、人事としての経験がないと難しい業務が多いことが特徴です。また、法務については、大前提として法律知識が絶対条件です。そのうえで、コンプライアンスが重視される社会環境を踏まえ、ハラスメントや情報漏えいなど会社が抱えるリスクに対処できる人材が求められます。また、財務については、財務に関する基礎知識に加え、金融機関からの資金調達や決算業務など、ミスが許されない業務を担っています。

上記のいずれの職種においても、専門性が高く企業においても重要度の非常に高い仕事です。未経験者や社会人としての自覚が薄い新卒では荷が重い仕事とも言えるので、キャリア採用での人材確保をおすすめします。

エンジニア

プログラマーやSEなどのエンジニアも、キャリア採用がぴったりの職種です。

エンジニア職は、プログラミング言語などの基礎知識はもちろん、昨今ではDX推進やAIの活用などにより求められる知識も多様化しています。今やシステム構築は企業経営の根幹をなすものであり、システム構築やアプリ開発など、スピード感を持って進めていかなければならない状況です。

未経験者を採用した場合、実務で活躍できるようになるには相当の時間がかかるだけでなく、万が一経験不足が原因でトラブルが発生した場合には取り返しがつかない状態になる危険性もあります。そのため、エンジニア職にはスキルや実務経験の豊かな人材が必要であり、キャリア採用が適しています。

研究、開発職

研究や開発を行う職種は、キャリア採用が求められる職種です。

研究や開発を行う職種においては、対象となるテーマについて費用対効果の高い研究成果を求められます。そのため、社会人として研究、開発の経験がありコスト意識が高い人材が理想です。また、研究や開発は基本的にチームで取り組んでいくため、コミュニケーション力や協調性を備えていると円滑に業務が進んでいきます。

企業にとって有益な研究や開発を行っていくためには、未経験者を採用するよりも、研究、開発の経験があり人間関係を構築するスキルが備わった人材を獲得できるキャリア採用が望ましいでしょう。

【7ステップ】キャリア採用の進め方

キャリア採用を成功させるには、進め方が非常に重要です。

準備不足のまま進めると、求める人材に出会えなかったり、入社後のミスマッチにより早期離職を招いたりします。

適切なキャリア採用の進め方は、以下の7ステップです。

キャリア採用の流れを把握することで、自社に最適な戦略が見えてきます。各ステップの詳細を、順番に見ていきましょう。

①人物像の明確化、要件定義を行う

最初に採用の目的を整理し、求める人物像(ペルソナ)を具体化します。「なぜ採用するのか」「どのような課題を解決したいのか」を明確に言語化することが重要です。ペルソナが曖昧なままだと、その後の選考基準や求人内容にブレが生じます。

具体的には、以下の項目を定義しましょう。

  • 必須スキルと歓迎スキルの区分け
  • 具体的な業務内容と期待する役割
  • 求める人物像や仕事への価値観
  • 入社後のキャリアパスや待遇

既存の社員ともすり合わせを行い、現場の実態とかけ離れないように調整します。要件を明確にすることでターゲット人材へ的確にアプローチできるため、ミスマッチのない採用活動の実現に繫がるでしょう。

②採用手段を決める

求める人物像に合わせて、最適な採用手段を選定しましょう。採用手段にはそれぞれ特徴があり、コストやスピード、獲得できる人材の層が異なります。ターゲットとなる人材がどこにいるかを想定し、最も効果的な手段を選ぶことが重要です。

手段 特徴
人材紹介(エージェント) ・成功報酬型で採用時のみコスト発生する
・候補者選定を代行してくれるため、工数を削減できる
・専門職や管理職の採用に適している
・コストが高い傾向にある
求人媒体(求人広告) ・多くの求職者に周知できる
・幅広い層からの応募が期待できる
・掲載課金型で採用有無に関わらず費用が発生する
・自社で選考を行うため工数がかかる
ダイレクトリクルーティング ・企業から直接求職者にアプローチできる
・特定のスキルを持つ人材にピンポイントでアプローチできる
・人材紹介より採用コストを抑えられる
・スカウト送信などに工数がかかる

それぞれの手段には一長一短があるため、ひとつの手法に頼るのではなく、複数の手段を組み合わせるとより効率的に母集団を形成できます。

予算や緊急度、求めるスキルの希少性に応じて使い分けることが、キャリア採用の成功に繋がるでしょう。

③採用基準を策定する

選考における評価基準を明確にし、面接官ごとの評価のバラつきを防ぎます。スキルや経験だけではなく、自社の文化や雰囲気に合うかどうかも評価項目に含めることが重要です。客観的な指標を設けることで、属人的な判断がなくなり、公平な選考が可能になります。

また、応募者が過去に挙げた実績が、自社でも再現可能かを見極める視点も必要です。前職の企業規模や環境要因による成果ではなく、本人の行動や判断によるものかを確認できる質問を用意しましょう。

上記のように、採用基準を統一することで、採用の精度を高められます。明確な基準があれば、迷った際の判断材料になり、スピーディーな意思決定にも繋がるでしょう。

④求人出稿する

ターゲットとなる人材に向けて訴求力のある魅力的な求人票を作成し、出稿します。

求人票を作成する際は、募集要項をただ載せるだけではなく、求職者が知りたい情報を具体的に記載することが重要です。特にキャリア採用では、以下のように即戦力としての期待値や裁量の大きさを伝えることが推奨されます。

  • 具体的なプロジェクト内容やミッション
  • 任せる業務の範囲と責任の所在
  • 得られるスキルやキャリアプラン
  • 一緒に働くチームの雰囲気やメンバー構成

入社後に働く姿をイメージできる内容は、応募を後押しします。自社の強みや魅力を整理し、他社との差別化を図る表現を工夫することが大切です。

求職者の視点に立った情報発信が、良質な母集団形成に繫がるでしょう。

⑤採用選考を行う

書類選考や面接を通じて、応募者のスキルと適性を見極めます。職務経歴書だけではわからない人柄や仕事へのスタンスを確認するためには、対話形式での面接が有効です。質問に対する回答から、論理的思考力やコミュニケーション能力を判断します。

なお、面接時には、転職理由と志望動機の一貫性を重点的にチェックしましょう。過去の退職理由と今回の応募動機がつながっていない場合、ミスマッチや早期離職に繋がる可能性があります。応募者のスキルや人柄だけでなく、長く働いてくれそうかどうかも慎重に判断することが重要です。

⑥採用した人材に対する内定~入社のフォローを行う

内定を出した後も、入社まで気を抜かずにフォローを行います。在職中の応募者は、退職交渉や引き継ぎで不安やストレスを抱えているケースも少なくありません。定期的に連絡を取り、相談に乗ることで内定辞退を防止できます。

効果的なフォロー施策は、以下のとおりです。

  • 面談での条件すり合わせ
  • 配属先メンバーとの懇親会やランチ
  • 社内イベントや勉強会への招待
  • 入社手続きや準備のサポート

入社前から良好な関係を築くことで、入社後のオンボーディングもスムーズに進みます。

歓迎している姿勢を伝え、入社意欲を高める働きかけを続けることが重要です。信頼関係を構築できれば、入社後の定着率向上にも繫がるでしょう。

⑦課題の洗い出し、改善する

採用活動終了後は、結果を振り返り、次回に向けた改善を行います。採用人数だけではなく、応募数、面接実施数、内定承諾率などのデータを確認し、成功と失敗の要因の両方を分析することが重要です。数値として可視化することで、改善するべきポイントを洗い出すことができます。

代表的な課題と改善策の例は、以下のとおりです。

課題 考えられる要因 改善策
応募が少ない ・求人票の訴求力不足
・ターゲット層への露出不足
・採用要件が厳しすぎる
・採用手段を追加、変更する
・MUST条件を最小限にする
辞退者が多い ・選考期間が長すぎる
・フォローアップ不足
・競合他社との競争
・選考スピードを上げる
・定期的な連絡とフォローの実施
・待遇や魅力の伝え方を強化
マッチング率が低い ・採用基準が曖昧
・ペルソナと実際の候補者にズレ
・選考での見極め不足
・採用基準を見直す
・ペルソナを再定義する
・面接の質問内容を改善する

採用活動はPDCAサイクルを回し続けることで、徐々に精度が向上していきます。データを蓄積し、成功パターンと失敗パターンを組織として共有することで、次回以降の採用活動をより効率的に進められるでしょう。

キャリア採用、人材定着を成功させるための7つのポイント

キャリア採用で希望する人材を採用するには、以下のような点に気をつけましょう。

ここからは、キャリア採用を成功させるための4つのポイントを解説します。

①採用基準を明確化させる

キャリア採用を成功させる1つ目のポイントは、採用基準を明確にすることです。

キャリア採用は「採用担当の人事職」「新規開拓の営業管理職」のように募集する職種やポジションが決まっています。そのため、求める人物像を明確にすることが可能です。

もし曖昧な基準で採用すると、採用後に「思っていた人材と違う」という事態になるかもしれません。採用後のミスマッチを防ぐためにも、採用基準は明確にしましょう。

採用基準については、以下のような側面から検討していきます。

採用基準 内容
スペック ・職務経験や関連する資格
・マナーや一般常識
・コミュニケーション能力
人間性 ・積極性や向上心
・順応性や協調性
・誠実さやコンプライアンス意識

キャリア採用では、給料水準が未経験者に比べて高くなるため、ミスマッチを避けるための対策は非常に重要です。そのためにも、採用の際はより自社の社風や方向性に合う人材か、求めるスキル水準を満たしているかよく考えて採用を行いましょう。

②職種がキャリア採用に適しているか確認する

キャリア採用を成功させる2つ目のポイントは、キャリア採用に適した職種であるかを確認することです。

職種には、キャリア採用がふさわしいものとそうではないものがあります。具体的に言うと、専門スキルを要しない職種についてはキャリア採用を行なうべきではありません。たとえば、自社の受付業務や総務などが挙げられます。比較的誰でもこなせる職種のため、キャリア採用を行うと給与などのコストが必要以上にかさむ形になります。

また、自社特有の業務を行う職種や経験の有無にかかわらず、努力によって成果が出せる職種についてもキャリア採用者の強みは発揮しにくいでしょう。無理にキャリア採用を行うことでコスト負担が増加したり、既存社員の活躍機会が阻害されたりするデメリットも発生します。

そのため、やみくもにキャリア採用を行うのではなく、充足すべき職種やポジションによって採用方法を使い分けることが成功するコツです。

③採用希望に沿った環境を用意する

キャリア採用を成功させる3つ目のポイントは、採用希望に合わせた環境を用意することです。

キャリア採用で求めるような即戦力人材は、多くの企業も同様に求める人材であることを忘れてはいけません。給与水準や待遇、労働条件などが他社に劣っている場合は採用できる可能性は低くなるため、かわりに応募者が魅力的に感じるような条件を提示することが必要です。

また、キャリア採用者はさらなるキャリアアップを目指して転職をしてしまうケースが少なくありません。勤務時間や労働環境などを整備するとともに、キャリアアップができる環境作りも重要と言えるでしょう。

④キャリア採用した人材に過度な期待はしない

キャリア採用を成功させる4つ目のポイントは、キャリア採用した人材に過度な期待を寄せないことです。

キャリア採用によって採用した人材は、周囲が「キャリア採用なんだから」「即戦力として活躍してもらわないと困る」と過度なプレッシャーをかけてしまうケースがあります。その結果「このくらい出来て当たり前」と正しい評価ができず人材の不満に繋がったり、プレッシャーで心を病んでしまったりと、退職に追い込んでしまう可能性もあります。

一般的に、過去のスキルや経験を活かすためには、まずは企業の文化や風土に慣れ職場になじんでもらうことが重要です。

同じ業種経験があっても、長い目で育成する姿勢が成功するコツです。

⑤即戦力人材であっても育成を怠らない

「キャリア採用だから教育は不要」と考えるのは危険です。業界や職種の経験が豊富な人材であっても、自社の業務フローやルール、企業文化はまだ熟知していません。成果を出すためには、環境に適応するためのサポートが必要です。

入社後は、以下の育成、共有を実施しましょう。

  • 自社独自の業務フローやルールを説明する
  • 企業理念やカルチャーを共有する
  • 社内用語やシステムの使い方をレクチャーする
  • メンター制度による相談役を配置する

適切な育成は、早期の適応を促すだけではなく、会社への帰属意識を高める効果もあります。

自社を理解してもらうことで、前職で培った経験と自社の強みが融合し、より大きな成果に繫がるでしょう。

⑥既存社員へ理解を促す

キャリア採用の導入にあたっては、既存社員への事前の説明が欠かせません。説明が不足していると「外部から高い給与で人が来る」という状況に対し、既存社員が不公平感や心理的な抵抗を抱くケースがあります。また、協力体制が築けず、情報共有が滞る可能性も高いです。

スムーズに求職者を受け入れるには、以下の点を共有しましょう。

  • なぜ今、外部の人材が必要なのか
  • 具体的にどのようなミッションを担うのか
  • 既存社員にどのようなサポートをしてほしいか

目的を明確に伝えると、既存社員も「自分たちの助けになる存在」としてポジティブに受け入れやすくなります。組織全体で歓迎する雰囲気を作ることで、新入社員も安心して業務に取り組めるでしょう。

⑦定期的にフォローを行う

入社後の定期的なフォローは、早期離職を防ぐための有効な手段です。中途入社の社員は「即戦力として期待されている」というプレッシャーから、悩みや不安を周囲に相談できずに抱え込む傾向があります。不満が表面化する前に、定期的な面談で状況を把握することが重要です。

時期 内容
入社1週間後 職場環境への適応状況を確認する
入社1ヶ月後 業務の進捗や人間関係の悩みを聞く
入社3ヶ月後 目標達成度合いの振り返りとフィードバックを行う

小さな違和感や不安を早期に解消することで、信頼関係が深まります。

人事担当者や上司が気にかけている姿勢を示すだけでも、心理的な安心感に繋がるでしょう。

定着率を高めるためにも、継続的なコミュニケーションを維持することが重要です。

キャリア採用面接で質問しておくべき4つの内容

新卒採用とは異なり、キャリア採用の面接では以下のような質問をすると採用のミスマッチが起こりにくくなります。

ここからは、キャリア採用の面接でしていくべき4つの質問について解説します。

①キャリアビジョンに関する質問

キャリア採用の面接で、キャリアビジョンに関する質問は必ずしておきましょう。

キャリアビジョンを質問する目的は、入社後のミスマッチ防止です。自社では実現できないようなキャリアを想定しているのであれば、早期離職が懸念されます。また、キャリアビジョンの明確さから、自社への志望度や長期的な視点を持った人材かどうかも見えてきます。

具体的には、以下のような質問が考えられます。

  • 入社したらどんなことに挑戦してみたいか
  • 仕事を通じてどのように成長したいか
  • 10年後にはどのような自分になっていたいか

キャリアビジョンに関する質問は定番のため、応募者も準備していることがほとんどです。

曖昧な回答しかできない人材は、採用するには不適切な人材と言えるでしょう。

②仕事への価値観に関する質問

キャリア採用の面接では、仕事への価値観に関する質問も大切です。

仕事への価値観を質問する目的は、早期退職者の振るい分けにあります。これから社会人になる新卒採用とは異なり、社会人経験があるキャリア採用者であれば何かしら仕事に対して価値観があるはずです。

スキルがあっても働くことに対する価値観が浅い場合は、辛いことがあるとすぐに退職してしまうことが懸念されます。また、企業の従業員は同じ方向の価値観を共有しているケースが多く、あまりにかけ離れた価値観を持った人材は馴染めない可能性が高いです。

具体的には以下のような質問をしてみましょう。

  • 仕事における価値観は何か
  • 仕事で大切にしていることは何か
  • 仕事におけるやりがいは何か

上記のような質問から、仕事に対して何を求めているのか、どのように捉えているのか見極めましょう。

③自社との相性を確認する質問

キャリア採用の面接では、自社との相性を確認する質問も忘れずにしましょう。

自社との相性を確認する目的は、キャリア採用した人材が実力発揮できるかどうかの見極めです。募集する職種に対してどれだけ有能な人材であっても、企業理念や職場風土に合わないと本来の実力を十分に発揮できません。

最悪のケースでは、不満を抱いて早期退職してしまうでしょう。

具体的には、以下のような質問をしてみることをおすすめします。

  • 自社のどのような点に魅力を感じているか
  • 転職先を選ぶ基準は何か
  • 転職先として他にどのような企業を検討しているか

自社に対する思いや転職活動の状況から、応募者の本音が引き出せるように意識して質問してください。

スキルに関する質問

キャリア採用の面接において、スキルに関する質問は必須です。キャリア採用に応募する人材と言っても、そのスキルのレベルはさまざまです。そのため、スキルに関して質問をしたり実践してもらうことで、自社が求める即戦力人材であるか見極めましょう。

面接前には明確化した採用基準を設定しておくことをおすすめします。資格や職務経験は履歴書でもわかりますが、具体的な経験や成果を掘り下げて質問することで、本当に即戦力として貢献できる人材かチェックできるでしょう。

具体的には以下のような質問をしてみてください。

  • 自分がどんな取り組みを行い、どのような成果を出せたのか
  • どのようなことを意識して業務に臨んでいるか
  • 今までで最も難しかった仕事について、どのように乗り越えたか

キャリア採用を行うからには、即戦力として機能する人材を採用しましょう。

キャリア採用の事例3つ

キャリア採用を積極的に導入し、成果を上げている企業もあります。独自の戦略で採用活動を展開し、優秀な人材の確保に成功しました。

次項からは、日本を代表する大手企業の事例を3つご紹介します。

自社の採用活動に応用できるポイントを見つけてください。

①トヨタ自動車株式会社

トヨタ自動車は、自動車業界の大変革期に対応するため、新卒中心の採用から大きく舵を切りました。キャリア採用の比率を2023年度には47%まで引き上げ、将来的には50%を目指すなど、多様なバックグラウンドを持つ人材の獲得に注力しています。

トヨタ自動車株式会社の主な取り組み事例は、以下のとおりです。

  • 企業広報メディア「トヨタイムズ」での積極的な情報発信
  • 他業界からの人材獲得(キャリア入社者の約7割が異業種出身)
  • 入社後の定着率向上を目指したオンボーディング施策の強化

「トヨタで働くイメージが湧きにくい」という課題に対し、職場の様子や社員の声をトヨタイムズなどで発信し、課題の解消を図りました。また、入社後のミスマッチを防ぐために、キャリア入社者に対して定期的なアンケートで声を吸い上げ、必要に応じて人事施策へ織り込むなど、定着支援にも力を入れています。

②コクヨ株式会社

文具メーカーから「WORK & LIFE STYLE Company」への転換を目指すコクヨでは、事業領域の拡大に伴いキャリア採用を強化しています。自社の変革を加速させるために、異業種からの人材も積極的に受け入れる姿勢を打ち出しました。

コクヨ株式会社の特徴的な取り組みは、以下のとおりです。

  • 「実験カルチャー」を掲げ、挑戦を推奨する企業風土のアピール
  • 社員のキャリア自律を支援する社内複業制度「20%チャレンジ」の導入
  • オウンドメディアでの社員インタビューやプロジェクト事例の発信

「コクヨ=文具」という固定観念を払拭するため、事業内容や社員の挑戦的な働き方を具体的に伝えています。

自らの専門性を活かして新しい価値を生み出したいと考える層に対し、魅力的な環境であることをアピールし、採用に繋げている事例です。

③株式会社良品計画

「無印良品」を展開する良品計画は、地域社会の課題解決やESG経営を推進するため、多様な視点を持つ人材を求めています。「社会や人の役に立つ」という理念への共感を最重視し、キャリア採用においてもその姿勢を貫いているのが特徴です。

具体的には、以下のような施策を行っています。

  • 店舗と本部でキャリア採用を実施し、現場力を強化
  • カムバック採用や障がい者採用など、複数の採用チャネルを活用
  • 「公益人本主義経営」に基づいた人材育成と評価制度の整備

企業理念に共感する人材を集めるため、公式サイトなどで自社の思想や取り組みを丁寧に発信しています。また、一度退職した社員の再雇用(カムバック採用)にも積極的で、多様な働き方を認める柔軟な組織づくりを進めているのもポイントです。

理念に共感する人材の採用により、組織への定着率向上を目指しています。

まとめ

この記事では、キャリア採用のメリット、デメリットや、キャリア採用を成功させるポイントなどについて解説しました。

キャリア採用は即戦力人材を獲得でき、育成にかかるコストも抑制できる点がメリットです。一方で、採用コストの高さに加えて社内が乱れる可能性もあり、結果として離職率が上昇するデメリットもあります。

そのため、キャリア採用を導入する場合は、募集する職種や採用基準、採用条件を検討したうえで、適切な選考を行なう仕組み作りを心がけましょう。そのうえで、キャリア採用であっても長い目で育成することを念頭に置いておくことをおすすめします。

なお、キャリア採用に関する課題を解決するための制度設計や、人材育成プランの制定などにお困りの方は、その道のプロフェッショナルを頼ることも重要です。

みらいワークスは、25,000名以上のプロフェッショナルデータベースを運営している企業です。各企業の悩みに合わせて、最適な人材をご紹介することが可能ですので、お気軽にご相談下さい。


(株式会社みらいワークス Freeconsultant.jp編集部)

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