活用実績Case study
2024.05.13
技術・テクノロジー

クラスメソッド株式会社

AWS支援で世界トップクラスのクラスメソッド社が目指す、コンサルティング部門の理想形とは

AWS(Amazon Web Service)支援サービスで世界トップクラスと言われるクラスメソッド株式会社。2022年には「SI Partner of the Year – GLOBAL」を受賞し、国内外で多くの実績数を誇ります。

AWSを中心にアプリ開発やデータ分析など幅広いITサービスを手掛ける同社が、今注力している分野がビジネスコンサルティング。案件の増加に伴い、社員の採用とあわせてフリーランスを含む業務委託も積極的に活用しています。

「私たちの部門では、社員と業務委託の方の垣根はありません。人の流動性を高めるためにも、業務委託の方をもっと増やしていきたい」と語るのは、同社の業務支援グループ ビジネスコンサルティング部の部長を務める金子傑(かねこすぐる)さんです。今回は金子さんに、外部人材の活用状況や今後目指す組織の形について伺いました。

企業プロフィール:クラスメソッド株式会社

現在も代表取締役を務める横田聡氏が2004年に創業。「すべての人々の創造活動に貢献し続ける」という理念のもと、AWSをはじめとするクラウド総合支援をメインに、LINE活用支援・アプリ開発・データ分析などのサービスを提供する。

日本では数少ないAWSプレミアティアサービスパートナーであり、多数のAWS支援実績を誇る。現在は国内8拠点とあわせて、カナダやソウルなど海外にも5拠点を構える。

社員と業務委託の方を区別する感覚がない。組織がフラットすぎて驚かれることも


弊社はAWS支援がメインではありますが、自社ツールの開発も行っていますので、かなり広い範囲でのITコンサルティングを手掛けています。

私たちビジネスコンサルティング部門は、もともと弊社の子会社であるプリズマティクス社の1チームでした。昨年夏にクラスメソッド社の一部門へと昇格しました。昇格したばかりの頃は、私を含めてメンバーが6名しかいませんでしたが、現在は11名まで増やし、当初の倍近くまできました。さらに来月には2名入る予定です。案件が想定以上に増えてきたため、予定より速いペースで正社員の採用やフリーランスの受け入れを進めているところです。

私たちの部門では、社員と業務委託の方を区別する感覚がありません。これは私たちの部門がかつて所属していたプリズマティクス社代表の濱野がコンサルファーム出身者で、外部人材を採用することが当たり前という考えだったからです。

おそらくお客様から見ても、弊社のメンバーの誰が社員で誰が業務委託かわからないと思います。業務委託だから指示を待つということもありませんし、業務委託の方にリードしていただくこともあります。あまりにフラットすぎて、業務委託の方に驚かれることもあります。

ただマネジメントはどうしても社員がやることになりますし、見積についても基本的に社員が出します。ただそれ以外の業務では、社員と業務委託の区別はありません。同じ環境で働くことで、それぞれの得意な領域を教え合えるメリットがあると感じています。

みらいワークスさんへご相談しようと思ったきっかけも、濱野ですね。濱野は御社の岡本社長と同じアクセンチュア出身で、以前から岡本社長と懇意にさせていただいていたそうです。

弊社は部門ごとに裁量がありますので、採用も各部門で面接を全て行っています。私たちの部門では、カジュアル面接から1次、2次まで全て私が面接を担当しています。部門単位でベンチャーが作られているようなイメージですので、私としてはもうすでに独立したような感覚です。

採用にあたっては、社員か業務委託かに関わらず、まず手をしっかり動かせるかというところを重視しています。私たちの部門は、大手ファームのようにアシスタントがつく体制ではありません。資料作りなども自分でやる必要がありますので、手を動かせるかはすごく大事です。

あとはお客様の意向や背景や思惑をしっかり把握できるか、という点も重要です。すごいアイデアを出しても、お客様の意向を理解していなかったら意味がありません。現在は新規事業よりも、既存事業をどうにかしたいというニーズが多いので、お客様に業務内容をよく聞いて理解する必要があります。

人柄というところでは、やはり誠実さが重要だなと最近あらためて感じています。以前あるフリーランスの方を受け入れたところ、最初はややスキルが弱いかなと感じました。でもこちらがお願いしたことはしっかり対応してくれますし、わからないときはわからないときちんと伝えてくださいます。コンサルタントというとやや尖ったキャラクターの方が多いのですが、こういった目立たないけれど誠実な方も実はすごく貴重なのでは、と思うようになりました。

私の部門で扱う案件の幅も広がっていますので、「こういう人材が欲しい」というイメージを固定せず、状況に合わせていろいろな方を受け入れていきたいと思っています。

人材活用で重視しているのは「いかに面白いと思える案件にアサインできるか」


弊社のお客様は小売業や外食業がメインです。そのため社員や業務委託の方もやはり小売・外食業の出身というケースが多いです。

私自身も小売業界の出身です。簡単に経歴をお話しすると、新卒で大手商社に入り、システム営業に携わっていました。大学は理系でしたが、やはり営業の経験が必要だと感じていましたので、大手商社にいた3年間は営業職でした。その後は、コンビニチェーンへ転職しました。当時オムニチャネルというワードが出始めた時期で、コンビニとECの連携に可能性を感じていました。コンビニチェーンには約18年いて、その後弊社に移りました。

コンビニチェーンにいた頃は、業務委託でフリーランスの方を受け入れる機会は全くありませんでした。ただフリーランスの方へ依頼することに抵抗はなかったです。私の両親が商売人だったということもあり、雇用形態は違っても社員も業務委託も仕事自体は同じだと考えています。

私たちの役割は、まずお客様の課題を分析して、弊社のプロダクトを軸にしたシステム開発を進めるというものです。やはり小売・外食業界のお客様がメインですので、オムニチャネルやOMO、CRMといったシステムが多くなっています。

しかし営業は私たちの部門ではなく、別の部門が行っています。開発に入る前の段階で「お客様から相談を受けているけれど、やりたいことがまだ明確になっていない」という話を営業から聞き、私たちの部門が入る形が多いですね。

プロジェクトは案件によりますが、PMまで入るものだと1年半くらいかかりますし、コンサルだけだと3か月くらいで終わるものもあります。1つのプロジェクトに最低2名、多い場合は4名をアサインしています。ここでも社員か業務委託かどうかは関係なく、案件に合いそうなメンバーを選ぶという感じです。

複数のプロジェクトをお願いすることもありますので、業務委託の方は稼働が100%ではないこともあります。できれば2つくらいのプロジェクトに入っていただきたいので、4割ずつ入ってもらって、残り2割はバッファとして取っておくような感じにしたいと思っています。

そういう意味でも、プロジェクト単位で業務委託の方を受け入れるというより、社員と同じく部門のメンバーとして入っていただくイメージです。プロジェクトが始まって人がいないから補充する、という感じではありません。今はいい人材の確保が難しい時代ですから、できるだけ早いタイミングで採用していく必要があると思っています。

現在入っていただいている業務委託の方は、わりと長く続けていただいています。働きやすい環境も大切ですが、私としては、「メンバーにどれだけ面白い案件にアサインできるか」を重視しています。ここがモチベーションにつながると思いますし、受け入れる時もそういった点に価値を感じてくれる方を選んでいます。

なお、私たちの部門には嫌な案件は断ってもいいというルールがあります。嫌な案件と言っても、先方のマネジメント役との相性に問題があるケースがほとんどですね。やはり相性はどうしてもありますし、そこがうまく合わないと進行も難しいと思っています。

自由な業務環境。リモートだけでお客様と直接会わずにプロジェクトが完結する場合も


また自由な環境というのも、業務委託の方に働きやすさと感じていただいているところかもしれません。働き方はリモートも可で、オフィスへの出社が必須ではありません。ミーティングもお客様に合わせて行うことが多く、対面とリモートを適宜使い分けています。お客様と直接顔を合わせないままプロジェクトが終わることもあります。

もちろんリモートで働く以上、よりプロアクティブな動きや高いコミュニケーション力が求められます。お互いにリモートで働いていることもあるので、やり取りは基本的にチャットツールで行っています。対面と違って表情まではわかりませんので、メンバーの細かな状況が把握しきれないこともあります。わからないことがあれば、あえて対面で集まって議論するなど、常に成果を最大化する姿勢が求められます。

社員4割で業務委託6割が理想形。人の流動性を高めた方が組織は面白くなる


部門メンバーの構成としては、社員4割、業務委託6割というのが理想だと考えています。やはり人の動きが活発な方が、社内にノウハウが蓄積できると思っています。

例えば社員が7割以上となると、風通しが悪くなると思います。特に私たちのコンサルティング部門は、弊社で唯一システム系ではない部門のため、コンサルティング部門に社員として入ると、他部署への異動はほぼありません。私たちの部門は社員が多くなると人の動きが少なくなり、考え方が固定化してしまいやすいです。業務委託の方が多い方が、いろいろなタイプの人が出入りするので、面白くなると思っています。

なお、私たちの部門では、必ずクラスメソッドのツールを紹介しなくてもいいとしています。もしお客様に別のツールが最適ということであれば、そちらを推薦してもいいことになっています。

かつて私たちの部門が所属していたプリズマティクス代表の濱野が、そういう考えだからです。大手ファームは自社や関係会社のツールを勧めることが多いと思いますが、お客様から見るとそのツールが最適ではないこともありますよね。濱野はツールの開発会社の代表にもかかわらず、自社のツールが合わないと判断したら個人的にコンサルティングをすることもあります。

ただ組織が大きくなっていくと、そうは言っていられないことも出てくると思います。私としては、将来はビジネスコンサルティング部門を別会社にしていくことを視野に入れて、今後も社員と業務委託の両面から人材を増やして、より事業を成長させていきたいです。

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