「生成AIを使わないことが企業リスクになる!」
「生成AIの利用で単純業務を〇割削減!」
このような生成AIについての情報は、毎日のようにニュースでご覧になっていると思います。
ChatGPTをはじめとした具体的なサービスも多く目にし、利用されている方も多いのではないでしょうか?
しかしながら
『正直、生成AIを使うリスクのほうが大きいのでは?』
『ChatGPT以外の生成AIは正直分からない..』
こんな疑問、感想を持たれている方も多いと思います。
そこで今回は、大手企業でも続々と活用され始めている生成AIのリスクや活用方法、そして生成AIのツールを紹介していきます。
■目次
1.生成AIとは?
2.大手企業での生成AI活用シーン
3.生成AIのリスクとは?
4.生成AIツール12選!
5.まとめ
1.生成AIとは?
生成AIとは、AIの中でも比較的新しく生まれたモデルであり、ジェネレーティブAIとも呼ばれます。ディープラーニングを用いて、クリエイティブなアウトプットを出すことができるのが特徴であり、2022年末にリリースされたChatGPTを皮切りに非常に多くのサービスが日の目を浴びております。
生成AIで生み出すことのできるアウトプットも、文書をはじめとして画像や動画、音楽など多岐に渡るため、多くの企業でそのアウトプットを活用して、いかに日常業務に貢献できるかについて注目が集まっております。
生成AIを活用した日常業務への貢献は業務の効率化です。
たとえば、コカ・コーラ社では、社内イントラ上に生成AIを活用した情報検索システムを構築し、社内資料の情報を学習させた生成AIに情報の要約を行うってもらうことで、情報を探した従業員が瞬時に資料の概要を理解することができる仕組みを作っております。
コカ・コーラ社のような大企業では、生成AIを用いた実証実験を複数部門で行っており、社内のBPR促進にも非常に多く活用されております。
2.大手企業での生成AI活用シーン
最新技術の活用により業務プロセスの改革や改善は従来から行われており、大手企業がその導入にいち早く舵を切るということ自体は特段珍しいことではありません。
しかしながら生成AIは、これまでの最新技術とは注目度が異なります。
それは、生成AIがビジネスそのもののあり方を変えるゲームチェンジャーになり得る存在だと考えられているためです。
実際に米IBM社のアービンド・クリシュナ会長兼CEOは、「生成AIはインターネットの黎明期に似ており、今後10年の大きな転換点」になると発言しております。
そんな生成AIの具体的な活用シーンとして、日本の大企業でいちはやく導入したパナソニックコネクト社と、老舗お菓子メーカーの江崎グリコ社の事例をご紹介します。
*パナソニックコネクト
パナソニックコネクト社では、生成AIを用いたツールの導入を国内の全社員を対象として行い、日本の大企業では異例の早さだったため注目を集めました。
Microsoft Azure OpenAI Serviceを活用したAIアシスタントサービス「ConnectAI」を社内イントラに実装し、全社員がいつでも社内情報についてAIに質問を行える環境を整備することで業務の生産性向上につなげることを目指しております。
大企業では他社の事例を待ち、効果を確認してからサービスを利用するといった流れも一般的ではあるものの、パナソニック社では、失敗を恐れずに挑戦することを評価する企業カルチャーを持っていることで、生成AIのいち早い導入に至っております。
*江崎グリコ社
2022年に創業100周年を迎えた老舗お菓子メーカーの江崎グリコ社もAI活用に注力している企業のひとつです。
2023年3月には、バックオフィスにおける業務効率化の一環として、AIソリューションを提供するAllganize Japan株式会社と提携し、AIチャットボットの導入を行っております。
また同社では、生成AIを活用した需要予測によるマーケティング強化や、健康食品企業としての認知率向上のため、商品開発にAIを用いて開発期間の短縮を図るなど、幅広い分野でAIを活用した企業戦略の転換も図っております。
江崎グリコ社では、2022年の社長交代を皮切りに、AIベンチャー出身の長谷川氏を常務執行役員として迎え入れるなど、急速にAI活用に舵を切っております。
3.生成AIのリスクとは?
このように大企業でも活用が始まっている生成AIですが、利用に当たってはリスクもあります。
そのため、リスクとリターンのバランスも非常に重要です。
生成AIの活用におけるリスクの第一に挙げられるのが、情報セキュリティです。
生成AIを効果的に社内で活用するためには、当然のことながら社内情報の使用が必要不可欠です。そのため生成AIを活用する際は、常に情報漏えいのリスクにさらされることを念頭に置かなければなりません。
そのため、どの社内情報は生成AIに利用しても良い、どの社内情報は利用不可のような明確な線引きが必要です。自社の情報だけではなく顧客情報も活用しなくてはならない場合、取り扱い方法などを定め、セキュリティの担保を図っていく必要があります。
既に生成AIを活用している企業だと、社内情報はOKで機密情報はNGなどのルール決めを行っている場合もあります。常に情報漏えいのリスクを考えた運用をしておかなければ、企業の存続すら危ぶまれてしまう可能性すらあることでしょう。
2つ目のリスクとして、レピュテーションリスクが挙げられます。
ChatGPTを触ったことのある方であれば、既にご存じだと思いますが、生成AIからアウトプットされる情報に誤りがあるケースがあります。
そのため、生成AIからアウトプットされた情報をチェックせずに社外に出す行為なども企業の評判を落としかねないものとなります。
また、生成AIからのアウトプットが肖像権や著作権などの法令に遵守されているものなのかについても考える必要があります。
そのため、業務で活用するにあたっては、ユーザーとなる従業員に対する教育や各種ルールの取り決めなどの仕組み作りが必須となるでしょう。
3つ目のリスクは、逆に生成AIを利用しないリスクです。
競合他社が生成AIを活用し、業務効率化を行い、全社的な労働生産性を向上させている中、自社だけが取り残されてしまう可能性があります。
たとえば、貴社がプログラムの開発を行っている企業だとしましょう。
プログラムのコーディングはこれまでプログラマーの専売特許でした。
しかしながら生成AIを活用することで、その初案の作成は生成AIで代替可能です。
これにより、プログラマーはプログラミングの設計を考えるなどの、より上流工程に自身の工数を割くことができるようになります。
そうすると、これまで1つのプロジェクト対応しかできなかったプログラマーが2つ3つのプロジェクトを掛け持ちで実施できるようになる可能性があります。
貴社のプログラマーが従来通り1つのプロジェクト対応を行っている中、競合他社のプログラマーは2、3のプロジェクト対応を同時並行で行えるようになるため、1人のプログラマーが会社にもたらす売上や利益に2倍、3倍の差が出てしまいます。
これは、企業の存続にあたって明確な危機をもたらすリスクになり得るといって差支えないでしょう。
このように、生成AIには、利用するリスクと利用しないリスクが混在しております。
しかし、企業の成長や発展を考えるのであれば、生成AIを活用しない選択肢を取ることは難しくなってくるのではないでしょうか?
リスクヘッジの体制をしっかりと整えた上での積極的な活用が必要な時代に突入してきているということです。
4.生成AIツール12選!
ここで、生成AIのツールをご紹介します。
1でも述べた通り生成AIには、文章、画像、動画、音声など多岐に渡ります。
それぞれに汎用的なツールがあります。
もちろん全社導入など、企業全体で活用する場合には汎用的なツールを利用するのはセキュリティリスクが高まるため、生成AIを企業向けにアレンジしている企業のサービスを利用するほうがベターです。
しかしながら、どういった活用が可能なのかについて知らなければ、導入の検討土台に乗らないため、汎用的な生成AIがどんなツールなのかについては知っておくべきでしょう。
*文章作成AI
▽ChatGPT
▽Bing AI
▽Bard
▽ChatGPT(チャットジーピーティー)
ChatGPT(チャットジーピーティー)はOpenAI社が2022年11月末にリリースした対話型の文章作成AI(人工知能)です。生成AIを一躍有名にしたツールのため、ご存じの方が多いでしょう。
質問や命令文を入力すると、その内容に関する回答を人間との会話のような内容で返してくれるツールです。プログラム言語やExcelの関数など、業務に活用できる内容も返答してもらうことが可能です。
▽Bing AI
Bing AIは、Microsoft社が2023年2月にリリースした、検索エンジンのBingとOpenAI社の2023年現在最新言語モデルのGPT-4を掛け合わせた対話型のAIです。
Chat GPTでGPT-4を利用する場合、有料プランへの登録が必要ですが、Bing AIの場合、利用回数制限はあるものの無料で利用することが可能です。
GPT-4は、GPT-3.5と比較して問題への解決能力が向上し、より長文で整合性の取れた回答を得られるように改善されたモデルです。
また画像の入力に対して、文章での回答も可能となり、より利便性が向上しております。
▽Bard
Bardは、Google社が2023年3月にリリースした対話型AIです。
ユーザーの質問内容に対してGoogle検索と連動した最新情報を用いた回答をもらえることが特徴です。
*画像生成AI
▽DALL・E2
▽Adobe Firefly
▽Canva
▽DALL・E2
DALL・E2は、Chat GPTと同じOpen AI社が提供する画像生成ツールです。
入力したテキストの内容からオリジナルの画像を生成してくれます。
写真のような画像からアニメ風など様々なスタイルでの画像生成が可能なツールです。
▽Adobe Firefly
PhotoshopやIllustratorなどのクリエイター向けサービスを展開するAdobe社が提供する画像生成ツールです。
オープン素材の画像などを学習させているため、著作権の心配無く利用できる点が魅力なツールです。
▽Canva
オンライン上で利用できるグラフィックデザインツールのCanvaが提供している画像生成ツールです。高品質な画像をテキスト入力から生成可能であり、そのままその画像に加工できるなど、グラフィックデザインを生業にしている方には非常に便利なツールです。
*動画生成AI
▽FlexClip
▽InVideo
▽Elai
▽FlexClip
無料で使える動画生成ツールです。日本語対応もしておりテンプレートも豊富なため、素早く動画制作を行うことのできる便利なツールです。
▽InVideo
直感的な操作が可能なUIを採用している無料で利用できる動画生成ツールです。テキスト動画エディターを活用することで、ブログなどを短期間で動画化できることが魅力なツールです。
▽Elai
セキュリティ面に強みがある無料で利用できる動画生成ツールです。
こちらもテキスト入力をもとに動画生成が可能なツールです。
*音声生成AI
▽Speechify
▽Murf.ai
▽Natural Reader
▽Speechify
無料プランでも10分間のナレーションを生成できる音声作成ツールです。
多言語対応しており、イントネーションやアクセントなども違和感の少ない高品質な音声を作成できるツールです。
▽Murf.ai
ナレーションだけではなく、AI音声による歌もアウトプット可能な無料でも利用可能な音声生成ツールです。120以上の音声が利用可能であり、多言語対応も可能な便利ツールです。
▽Natural Reader
トップクラスの評価を得ている無料で利用可能な音声生成ツールです。
音声アウトプットを細かく調整することが可能であり、ファイルの変換が簡単に行えるなど非常に便利なツールです。
5.まとめ
今回、注目を集めている生成AIについて、日本の大手企業での活用事例をはじめとして活用にあたってのリスク、実際の生成AIツールをご紹介してきました。
本文でも紹介しましたが、米IBMのCEOが「生成AIが今後10年のビジネスシーンの転換点」と発言している通り、アメリカの企業による生成AIのツール開発合戦が非常に活発となってきており、日本においても富士通やNECなどのITトップ企業が日夜研究開発に励んでおります。
たしかに生成AIにはセキュリティ上でのリスクやレピュテーションリスクがあります。
しかし、活用しないことのリスクはそれ以上かもしれません。
時流に乗り遅れ、競合他社に差をつけられる前に、リスクヘッジの観点を忘れずに利活用に向けた準備を始めるべきタイミングが来ているのではないでしょうか?
もし社内だけでの検討が難しい場合、外部プロフェッショナルの意見も参考に検討を進めていく必要があることでしょう。
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