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生成AIが人事にもたらす影響とは?活用法・事例・人事担当者が今後求められるスキルを解説

生成AI 人事(アイキャッチ)

近年では、優秀な人材の確保や育成を目的として、人事領域に生成AIを導入する企業が増えてきました。人材は企業の資産であり、今後は企業の経営状況を左右する要因として、生成AIの活用の有無が挙げられるようになる可能性も考えられます。

そこで本記事では、生成AIが人事にもたらす影響や活用法や活用事例について、詳しく解説します。人事担当者が今後求められるスキルやおすすめツールまで幅広く触れているので、ぜひ参考にしてください。

1.生成AIが人事にもたらす影響

「AIが人に変わって仕事をする」と言われてきた昨今ですが、生成AIの台頭によっていよいよ本格的に動き出しています。

生成AI(生成系人工知能)は、既存データの収集や分析だけでなく新たな情報を創出するAIであり、通常の「AI」と違って、少ない条件から人間と同じようなアウトプットができる使い勝手の良いツールです。

そのため人事領域に属する人材は今後不要になるとも言われており、とくに日本よりも生成AIの活用が進むアメリカでは、人員削減の推進が行われています。しかし、これらは退職を促すものではなく、主に現状の役割から別の役割を担う立ち位置の変化です。そのため、同じく生成AI活用の推進が顕著な日本でも、今後、人事業務そのものが廃止されることはないと考えられるでしょう。

これから先は、現在の手動による人事業務から生成AIを活用した人事業務への変動が考えられます。そのため人事業務の担い手は、技術進化の波に乗り遅れないよう、学び直しを行う必要があります。

2.生成AIを人事で活用する方法5つ

人事業務で生成AIを活用する方法は以下のとおりです。


生成AIをよく使うシーンを解説しながら、具体的にどんな業務に役立っているか紹介するので、参考にしてください。

従業員データの分析

生成AIは、既存の従業員データを効率よく収集して分析するのに役立ちます。

たとえば、高い成果を発揮している優秀な従業員を複数人プロファイリングし共通する要素を可視化できます。優秀な人に備わっている要素が統計的に分かれば、教育、研修体制も整えやすく、効率的な指導案を作成できるでしょう。また、個人へのフィードバックや人事評価体制も明確になるため「会社に何を期待されているかわかる」という従業員側のメリットにもつながります。

その他、個人ごとに異なる適性や素質、スキルレベルなどを可視化し、最適な人材配置案を考案することも可能です。個人の強みを活かせる部署に配属する「タレントマネジメント」の考え方を導入できるため、従業員のやりがいやモチベーションが上がります。結果、高いパフォーマンスを発揮する組織として機能でき、全体の生産性も向上できるでしょう。

自社にどんな人材がいるのか、正確に可視化するのは意外と難しいものです。人材情報を最適に活用できていないと感じるのであれば、生成AIの導入を検討してみてください。

従業員の公正な評価

生成AIを活用することで、評価対象期間中の成果や実績、貢献度合いを定量評価できるため、従業員の公正な評価ができます。営業成績など目に見えて分かりやすい評価軸だけでなく、自由参加の研修への出席率、360度評価の結果なども加味して評価すれば、客観的かつ透明性の高い人事評価体制を構築できるでしょう。

結果的に「上司による一方的な人事評価が確定してしまう」という不公平感や「一度大きなミスをしたイメージが払拭できずその後もずっと人事評価に影響している」という理不尽な評価も解消できます。頑張りを正しく評価してもらえる組織であれば、評価に対する従業員の納得度も高くなり、前向きな業務モチベーションを喚起できます。

従業員のキャリアパス提案

生成AIは類似の特性を持つ人材データの分析にも長けており、理想的なキャリアパスを提案することができます。個人ごとに異なる理想の働き方、出世欲の有無、やりたい仕事内容、求める年収などに合わせてキャリアパスを作成できるのがポイントです。「自分も将来成長できそう」という明るいビジョンが明確になるので、業務のモチベーションも上がります。

また、キャリアパスに合った研修に参加させるなど、副次的な利用も可能です。たとえばマネジメント思考の強い人にはマネジメント研修を受けさせたり、現場での仕事に喜びを見出す人には資格取得を促したりと、個別で最適化された指導が叶います。今まさに部下の特性に合わせた指導に四苦八苦している管理職の助けにもなるので、生成AIを導入するメリットは大きいと言えるでしょう。

社員育成資料の作成

実施した社員研修を受講した後、期待していたようなスキルアップができているかのデータ分析をすることも可能です。研修参加前と参加後のスキルレベルを数値で可視化したり、その後に業務実績と研修参加歴を比較したり、さまざまな活用法があるのがポイントです。どの研修が有意義であったか示せるので、今後限られた時間でも効率よく学べる指導体制が作れます。

なお、データが揃っていけば育成プランに合わせた研修内容の考案もできるため「どんな人材になってほしいか」という理想像から逆算した研修内容を作成することも可能です。新入社員研修、マネージャー研修、エンジニア研修…など、属性や職域に合わせて研修内容を考えると良いでしょう。

求人情報の作成

生成AIを活用して効果的な求人情報を作成し、優秀な母集団形成と採用担当者の工数削減を同時に叶えることも可能です。より目に留まりやすい求人要綱を作成できれば、求人サイト等での露出を増やすことができ、PV数に対する応募率を伸ばせます。

また、転職エージェントであれば個人の経歴やスキル、実績を見てオリジナルのスカウト文章を作成することで、ヘッドハンティングにも役立つため、優秀な人材を「一本釣り」できることもポイントです。

もちろん、求人要綱に掲載する文面の作成や求人ページに掲載する社員インタビュー記事など、文章の生成もAIが担当できます。採用のクオリティを上げたい企業や、多職種を幅広く採用していて求人票の作成に手間がかかっている企業では、特に生成AIが有用だとわかります。

3.生成AIを人事で活用するリスク

生成AIは非常に便利なツールですが、人事で活用する際は下記のリスクが伴います。

  • 個人情報の流出リスク
  • 活用する情報の取り決めができないまま使い始めてしまうリスク
  • 生成AIの出力を100%信じてしまうリスク


人事で生成AIを使う以上、生成AIは大量の個人情報を記憶することとなるため流出対策は万全にしておきましょう。とくにメンタルヘルスの治療歴や家族のデータなどセンシティブな情報も登録して流出してしまった時の危険性を考え「どこまで生成AIに取り込むか」「どんな情報を活用するか」を社内で取り決めておくことも不可欠です。

活用する情報を取り決めないまま生成AIを使い始めた場合、不必要な情報まで広く知られてしまうこととなり会社への不信感につながります。

また、生成AIの出力は100%の成功を保証するものではありません。完全に信じ切ってしまうと、その後のPDCAサイクルも回せず、どこに課題があるのか見失ってしまうこともあります。生成AIはあくまでも人による意思決定を支援するツールであることを理解し、最終判断は人が下すよう意識しておきましょう。

人事の生成AI活用における課題

人事業務で生成AをI活用する際は、コンプライアンスの面で落とし穴となるケースがあるため注意しましょう。

生成AIからの出力が肖像権や著作権などの法令に抵触している場合、社内監査にて指摘されることがあります。また、自動生成した就業規則が最新の労働基準法等に沿っているとは限らず、労働基準監督署の審査を通らないこともあります。公的機関に指摘してもらい修正できればよいですが、気づかぬうちに誤った認識で就業規則を運用してしまう可能性も理解しておきましょう。

つまり、生成AIを人事で活用する際は、レピュテーションリスクがあることを承知するのが大切です。レピュテーションリスクとは「企業に関するネガティブな評価が広がって信用やブランド価値を下げてしまうリスク」のことであり、コンプライアンス違反がきっかけになるケースは少なくありません。

人を助けるはずの生成AIが引き金とならないよう、運用方法には細心の注意を払いましょう。

4.人事に生成AIを導入している企業の活用事例

ここでは、人事に生成AIを導入して成功している企業の事例を紹介します。人事業務の全てに対して生成AIを導入する必要はなく、自社の課題に合わせて活用していくのがポイントです。どのような課題に対しどのような使い方が最適か探るためにも、成功事例をチェックしてみましょう。

ソフトバンク:エントリーシートの確認・動画面接に活用

ソフトバンクでは、新卒採用の場面で、応募者を公正公平に評価するために生成AIを活用しています。エントリーシートのチェックを半自動化したことで書類選考の工数が少なくなり、短時間で効率よく次の選考への案内ができるようになりました。テンポよく選考が進むことは内定辞退率の低下や、その後の内定者研修の頻度を増やすことにも繋がるため、メリットが大きいと言えます。

また、ソフトバンクでは動画面接にも生成AIを活用しており、評価を半自動化しています。全ての動画に目を通す工数を削減できるようになり、人事側の負担を大幅に解消できました。特に注目したい人材の動画は複数人でチェックするなど他の業務に時間を割く余裕も生まれています。

パナソニックコネクト:社内の情報をAIで質問できる

パナソニックコネクトでは、社内に関する情報を生成AIに質問できる体制を構築しています。たとえば「引っ越しして住所が変わったが会社にはどう届出すればいい?」「出産して家族が増えたが健康保険の扶養加入手続きはどうすればいい?」などの質問を従業員自ら生成AIに投げかけられます。社内FAQやライブラリのような使い方ができるため、人事部門の中でも特に労務管理業務の負担が削減されました。

従業員側にとっても、欲しい情報をすぐに引き出せる使い勝手の良さがメリットとなっています。わざわざメールや電話で人事に問い合わせする手間がなくなったり、提出書類の差し戻しが起こらなくなったりしたことで、本来の業務に多くの時間を割けるようになりました。

NEC:人事異動案の生成に活用

NECではタレントマネジメントシステムに生成AIを導入しており、個人の適性やキャリアパスに合わせた最適な人事異動案を生成しています。特性に合った配属先を考えるだけでなく、部署内に特定属性の人材だけ偏って配属されてしまったり、相性の悪い上司と部下が一緒になったりしないように考えてくれるのもポイントです。異動案に対して条件が合わないときは何パターンでも生成できるため、分析や比較に役立ちます。

組織が大きくなればなるほど、一人一人の配属先を考えるのは骨が折れる作業です。手作業での配属案づくりから自動化へのシフトを検討しているときは、生成AIの活用を検討してみましょう。

セプテーニ・ホールディングス:オンラインインターンシップに活用

セプテーニ・ホールディングスとは、オンラインインターンシップに生成AIを活用しています。オンラインインターンシップは、その名の通りオンライン環境で参加できるインターンシップであり、参加時の交通費や宿泊費の負担や学業との両立を支える仕組みとして昨今注目を集めるようになりました。

インターンシップ中は、個性に合わせたキャリアアドバイスや理解度に合わせた個別フォローアップができるように生成AIの能力が活用されています。人事担当者が個別にひとりずつ様子を伺っていくよりも効率よく、きめ細かなサポートができるのがメリットです。

松屋フーズホールディングス:店長昇格試験に活用

松屋フーズホールディングスでは、店長昇格試験に生成AIを活用しています。誰にどんなスキルがあるか、会社側が求めるスキルレベルに到達できているかなど、個別評価を生成AIが担ったことで昇格基準がより明確になりました。もし不合格になってしまっても今後強化するべきポイントが見えるようになったことから、評価に対する納得度も向上しました。

また、評価内容をフィードバックしてその後のスキルアップに活かすなど、発展的な活用法も考案されています。一定以上のスキルがある人を正しく評価し、昇進させ、基準に届かない人もきめ細かくサポートできるようになったことで、人材育成の効率化が進んでいます。

5.生成AIの活用にあたって今後の人事に求められるマインド・スキル

生成AIを活用するに当たり、人事にも従来以上のスキルが求められます。下記では生成AIを最大限活用するために必要なマインドやスキルを解説するので、チェックしてみましょう。

リスキリング

リスキリングとは、技術革新やビジネスモデルの変化に対応するため、業務上必要なスキルセットを習得し直すマインドのことを指します。いわゆる「学び直し」とも言われており、時代に合った最新技術を習得したり、最先端ツールを使いこなしたりするための再勉強がリスキリングです。

生成AIをどのようなシーンで活用するか考えたり、ツールを間違いなく使ったりするためには、使う側である人事担当者の知識力が問われます。生成AIに関する基本的な事項を学ぶため、リスキリングに力を入れることが欠かせません。

デジタルリテラシー

デジタルリテラシーとは、ITツールやデジタル技術を理解して業務に正しく使っていく力のことです。デジタルリテラシーが低いと、高度なツールを持っていてもどう使いこなせばよいかわからず、宝の持ち腐れになってしまいます。
セキュリティに関する知識が浅い場合、いつの間にか個人情報を流出させてしまうなど大きなリスクにもなるので注意しましょう。

生成AIを使いこなすにも、デジタルリテラシーが欠かせません。新しい技術でもためらうことなく率先的に使うマインドと、正しく使うための知識を備えておきましょう。

言語能力

「英語を使いこなせる」など言語能力が高い状態であれば、英語でプロンプトを書くなど生成AIの活用に役立ちます。

生成AIによってはマニュアルが英語でしか表記されていなかったり、日本語より英語の方がトークン消費量が少なく安価に使えたりすることも多いです。簡単な英語であれば手軽に翻訳できるようになりつつあるとはいえ、どんなシーンでも英語が使えるスキルがあれば、ツール活用の幅も広がります。

6.AIを活用している人事向けサービス

最後に、生成AIを活用している人事向けサービスを紹介します。自社用にゼロからアレンジするのでなく、既に完成されているパッケージ品を使ってオンボーディングを楽にしたいときは下記を検討してみましょう。

人事評価クラウド「あしたのクラウドHR」

あしたのクラウドHRは、社員データベースから目標設定、評価、査定、給与確定まで人事評価の運用を一元管理できるツールです。

【あしたのクラウドHRに搭載されている主な機能】

  • 社員情報管理機能
  • 目標設定機能
  • 評価機能
  • 給与査定、確定機能


その他、1on1ミーティングを支えるフィードバック機能や、手軽に360度評価できる機能なども搭載しております。売上管理システムと紐づけて定量評価したり、給与ソフトと連動して支払い変更を楽にしたりすることも可能です。

人事評価の透明性を高くしたいときや、属人的な人事評価から脱却できず悩んでいる企業には特におすすめと言えるでしょう。オンボーディングをサポートするカスタマーサクセスチームもあり、初めてクラウドツールを使う企業でも安心です。

高機能タレントマネジメント機能を実装「POSITIVE」

POSITIVEは、高度なグループ管理を実現する総合HCM(Human Capital Management)ソリューションです。人事、給与、就業規則、ワークフローなど人事が求める最低限の機能を全て網羅している他、タレントマネジメントシステムやモバイルデバイスでの利用にも使えるさまざまな付加価値がついています。

【POSITIVEに搭載されている主な機能】

  • 人事管理機能
  • 就業管理機能
  • 給与管理機能
  • 従業員向けWebサービス
  • モバイル申請、照会機能
  • タレントマネジメントシステム


マイナンバー管理などにも対応できる高度なセキュリティを構築しており、実務に使うツールとしてもおすすめです。オールインワンパッケージなので「何にでも使えるマルチな人事システム」を求めている企業にも向いています。人に関する情報の統合管理を実現したいときに検討してみましょう。

人事情報を一元化「タレントパレット」

タレントパレットはあらゆる人材データの収集、管理、分析を一元化するツールであり、特にタレントマネジメントシステムとして高い評価を得ています。人材情報のデータ活用ができるので、社内向けのマーケティングをしたときにも有効です。

【タレントパレットに搭載されている主な機能】

  • 人材データベース機能
  • 人材データ分析機能
  • 人的資本ダッシュボード機能
  • 異動シミュレーション機能
  • 人材育成、スキル管理機能
  • 人事評価機能


上記のほか、TPOD(組織診断)機能も搭載されており、部門別の状態をデータで可視化できます。ストレスチェックなど法令で必須とされている従業員サーベイにも対応できるツールなため、紙での管理からデータベース管理に移行したいときにも向いています。

7.まとめ

生成AIの活用幅は年々広がっており、採用、従業員育成、労務管理など人事領域への導入も拡大しています。セキュリティや利用に関するコンプライアンスに十分配慮しつつ、生成AIを使いこなせるデジタルリテラシーを習得していけば、業務効率化と組織最適化を同時に叶えるきっかけとなるでしょう。

みらいワークスでは、人的資本経営を支える人事コンサルティングが可能なプロフェッショナル人材に多く登録頂いております。人材の育成や採用から退職予防などさまざまな課題に対して、貴社と一緒に施策を考案し、実行に移すまでの一連の流れをお手伝いするプロフェッショナル人材が必要な場合は、お気軽にご相談ください。



(株式会社みらいワークス Freeconsultant.jp編集部)

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