かつてラグビー日本代表を率いて、日本ラグビーの急成長に貢献したのがエディー・ジョーンズ氏です。2012年から日本代表のヘッドコーチに就いたエディー・ジョーンズ氏は、持ち前のリーダーシップを発揮し、2015年のイングランドW杯ではリーチマイケル氏と共に格上と言われていた強豪南アフリカを破った「ブライトンの奇跡」は今でも多くのラグビーファンに語り継がれています。
今回は日本代表だけでなく、イングランド代表、オーストラリア代表のヘッドコーチ、さらにはビジネスにおいても、ゴールドマン・サックス日本アドバイザリーボードを務めるなどグローバルで活躍するエディー・ジョーンズ氏のリーダーシップ論をひも解きご紹介します。
■目次
1.名将エディー・ジョーンズ氏が語る「効果的なリーダーシップ」とは
-組織を率いる強力なビジョン
-一貫性のある計画と行動
-組織のバランス統制
-一人ひとりを理解して指示を出すマネジメント
2.まとめ
1.名将エディー・ジョーンズ氏が語る「効果的なリーダーシップ」とは
エディー・ジョーンズ氏の生い立ちは、オーストラリアのタスマニア州バーニーから始まります。オーストラリア メルボルン出身のオーストラリア人の父と日本の広島県をルーツに持つ日系アメリカ人2世ハーフの母の間に生まれます。
日本をルーツに持っていることもあり、ラグビー日本代表のヘッドコーチに就いた際には「私が持っているものすべてを注ぎ、日本が立ったことのない場所に連れていきたい」と意気込みを語っていました。
エディー・ジョーンズ氏は「リーダーシップ」を「周りの人たちのベストを引き出すこと」と定義しています。
そのために組織のリーダーシップで重要視しているのが
・組織を率いる強力なビジョン
・一貫性のある計画と行動
・組織のバランス統制
・一人ひとりを理解して指示を出すマネジメント
上記の4分野になります。
組織を率いる強力なビジョン
どのようなチームスポーツや企業組織においても強豪チームや有能な企業組織には「組織を率いる強力なビジョン」が存在します。時には強力なビジョンがチームの精神的支柱となり、チームを支えます。
エディー・ジョーンズ氏はとあるインタビューで、リーダーシップを効率的に発揮するには「強力なビジョンを持っていることを確認し、常にそのビジョンに立ち返る必要があります。そして計画を実行するわけですが、その計画には一貫性も求められます。
さらにメンバーを奮い立たせ、彼らが受け取ってきた以上のものを与えられるように取り組むことが大事だといえるでしょう。」と熱弁しています。それだけ組織においては”強力なビジョン”が重要だということが伺えます。
一貫性のある計画と行動
素晴らしく誰もが共感できるビジョンを掲げても、リーダーの言動に一貫性を持たなければ、メンバーからの信頼を失います。結果として、メンバーにリーダーがついていかなくなることもあるでしょう。そこで重要なのが「一貫性のある計画と行動」です。
チームが勝ち続けるためには、常に課題をみつけ改善し続けなければなりません。そのためには、リーダーは一貫した計画を提示し、組織やメンバーを動かすために鼓舞する必要があります。
「”勝者のメンタリティー”とは、私たちは常に改善を続けなければならない、という一貫した事実を表す言葉であるように思います。常に”まだまだ”という気持ちを持ち、決して満足しない心持ちのことです。」とリーダーとして一貫性の重要さとそのメンタリティについてエディー・ジョーンズ氏は語っています。
組織のバランス統制
リーダーシップにおいてビジョンの共有やメンバーを鼓舞することも重要ですが、同様に組織バランスを統制することも重要な仕事のひとつとなります。ある領域や人物が効果的な機能を果たしていない場合、機能するために手を打つ必要があります。
また、組織が一丸となるためにはコミュニケーションの機会も必要となります。たとえば、企業で例えると、社員旅行や会社のイベントなど個々がお互いを知り情報共有の機会を与えることで、組織のバランス統制がとれる場合もあります。
エディー・ジョーンズ氏はこの組織のバランス統制について「ラグビーのチームプレーも、会社の社員同士が調和して共に機能することも、人々が同じ屋根の下で共同作業を行うことも根は同じです。こうした調和した状態こそ、リーダーシップが力を発揮する領域でもあります。」と、リーダーシップを最大限に発揮するには組織のバランス統制が重要だと考えているようです。
一人ひとりを理解して指示を出すマネジメント
リーダーとして組織を率いる上で、メンバーや従業員一人ひとりを理解することは重要ですが、この点がなかなかできていないリーダーが多いようです。組織を管理することはリーダーとして重要ですが、組織は”人でできています”。
個々の能力を最大限に引き出し、一人ひとりをマネジメントすることはとても重要です。
組織を統率する際に全員一律に指示することはありません。
一人ひとりの違いを理解した上で、一人ひとりに合った指示を出し、しっかりと理解できる指示をすることが大事です。
エディー・ジョーンズ氏は個々のコミュニケーションについてこうも語っています。「日本代表には田中史朗という、とてもクレイジーな選手がいました。その一方で、福岡堅樹という、ピアノを弾くし、いつも勉強している選手もいました。この2人はまったく違うタイプです。日本代表には31人の選手がいたのですが、一人ひとりが理解できるように内容を変えて指示を出しました。紙で理解する選手には紙で、理解できない選手には別の方法で理解させたのです。」
と個々の指示方法についても気を付けてマネジメントや指示をしていたかがわかります。
単に押し付けるような指示を出すのではなく、受け手の立場に立って指示を出しているようです。そのため「効果的なコミュニケーションをするには、どういう媒体にするかを工夫し、みんなが関心を持つ刺激的な内容にしなくてはなりません。」と彼は語っています。
2.まとめ
今回は、2015年にラグビー日本代表を率い、強豪国南アフリカを破る大金星を成し遂げた名将”エディー・ジョーンズ”氏のリーダーシップ論についてご紹介しました。
彼は以下のの4つを意識し、実践することで様々な困難を乗り越えて、世界で実績を上げています。
「組織を率いる強力なビジョン」
「一貫性のある計画と行動」
「組織のバランス統制」
「一人ひとりを理解して指示を出すマネジメント」
ビジネスシーンにおいても、企業や部署などの組織を率いるうえで、上記4つの観点で組織をまとめることで、より強固で団結力のある組織となるでしょう。実際、ゴールドマン・サックス日本アドバイザリーボードでも経営陣に広く助言や提案をしています。
このように企業においては、時には有識者や外部人材からのアドバイスや支援などもリーダーシップを発揮するうえで必要になることもあり、非常に重要です。
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