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【5ステップ】中期経営計画の作り方を解説!作成ポイントから注意点まですべて紹介


中期経営計画とは、3〜5年後の自社に関する理想的な姿を可視化し、それを実現するための具体的な経営戦略に関する計画のことです。

売上目標や客単価など収益に関する具体的な数字を示す企業もあれば、ブランディングやSDGsへの取り組みなど新たな戦略を示す企業もあり、内容はさまざまです。
いずれの場合でも、中期経営計画を立てておくことにより目標に沿って行動を取りやすくなるため、業種、企業規模を問わず活用されるようになりました。

本記事では、中期経営計画の作り方について解説します。作成時のポイントから注意点まで幅広く触れるので、ぜひ参考にしてみてください。

1.【5ステップ】中期経営計画の作り方とは

早速、中期経営計画の作り方を5つのステップで解説します。中期経営計画の作り方はもちろん、何から着手するべきか迷ったときにもぜひご活用ください。

<中期経営計画の作り方5ステップ>
 1.自社の経営環境を分析する
 2.自社の経営理念を明確にする
 3.経営戦略を決める
 4.課題解決のための数値目標、行動計画を設定する
 5.中期経営計画を完成させる

ステップ①自社の経営環境を分析する

まずは自社が置かれてる現状として、経営環境を分析しましょう。「人員不足ではないか、資金力の額はこのままでいいのか」など、自社の経営環境を明確に可視化するために弱みや強みを把握します。自社の弱みや強みを把握するにはSWOT分析が役立つので、活用していきましょう。

【SWOT分析を構成する4要素】
 1.Strength(強み)
 2.Weakness(弱み)
 3.Opportunity(機会)
 4.Threat(脅威)

上記のようにSWOT分析をすることで、自社が理想的な姿を目指すために必要な要素が浮き彫りになります。強みを伸ばすのか、弱みをカバーするのかなど戦略の方向性を決めるためにも、ぜひSWOT分析を活用してみてください。

ステップ②自社の経営理念を明確にする

次に自社の経営理念を明確にします。経営理念とは、経営者の哲学や信念に基づいて活動方針を示すものであり、最終的に自社がどんな姿を目指すかを明文化したものでもあります。

中期経営計画は3〜5年後の理想形を言葉にするものですが、10年後、20年後、そして最終的に目指す理想形があると考えれば、まずは根幹にある経営理念を意識する必要があるでしょう。

経営理念とは、下記4つの要素で構成されます。

【経営理念を構成する4要素】
 1.基本理念
 2.企業ビジョン(全社目標)
 3.経営指針
 4.行動指針

上記のような経営理念が可視化されていれば、中期経営計画を作成する際に軸がブレることもありません。経営計画を作成する前に再確認し、中期経営計画に具体的に落とし込んでいきましょう。

ステップ③経営戦略を決める

次に、具体的な経営戦略を決定します。長期、中期、短期の枠組みに捉われず、何をすれば自社の強みを伸ばし、弱みをカバーできるかを考えるのが近道です。

前項のSWOT分析により自社が置かれている環境を可視化できていると、自社がどのようなポジションで価値を発揮できるか再認識できます。その結果、経営資源である「ヒト」「モノ」「カネ」の分配がしやすくなり、どこにどの程度注力するべきかが決まります。

なお、経営戦略作りに困ったら「事業戦略」と「機能戦略」を分けて考えるのがおすすめです。

事業戦略は具体的な商品、サービスについてピンポイントで戦略を考える方式であり、事業数が多ければ多いほど事業戦略の数も増加します。複数の事業を適切に管理することにより、リスク分散を叶えられるのです。

一方、機能戦略はマーケティング戦略、財務戦略、人事戦略など、特定機能に関して個別に戦略を考える方式です。自社の運営を円滑にする意味合いが強く、事業戦略や営業活動に割けるリソースも増えます。

経営戦略が固まれば、中期経営計画に落とし込めるようになるのもあと少しです。やるべきことを可視化する段階なので、時間をかけてでも万全に対策しておきましょう。

ステップ④課題解決のための数値目標、行動計画を設定する

前項で作成した経営戦略を実現するため、数値目標、行動計画を設定します。

「目標を達成するためにはどのくらいのリソースが必要か」というように、最終的に達成したい目標から逆算して数値目標を決めましょう。その上で数値目標を達成するためにどういった行動を取るべきなのか、途中で通過するべき小ゴールを設定していくことにより具体的にやるべき行動まで可視化できます。

なお、この段階では各事業部単位で目標を立てておくことが大切です。

営業部門の場合は「3~5年後にA商品で年間〇円の売上を確保する」、人事部の場合は「3~5年後の次世代リーダー育成に向けて1年後に〇〇な人材を〇人採用する」など、数値を入れて目標を立てておきましょう。事業部単位の目標とすることで従業員が自分事として捉えやすくなる他、定期的なPDCAサイクルも回しやすくなります。

ステップ⑤中期経営計画を完成させる

数値目標、行動計画の設定を行った後は、これまで分析してきた自社の強みや弱み、数値目標などをもとに戦略計画を立てて中期経営計画を完成させます。

とはいえ、中期経営計画の作成を進めるなかで計画通りにいかない場合もあります。たとえば最終的に売上を2倍にする計画を立てたとして、進めていく中で資金操りが悪化してしまうこともあるでしょう。中期経営計画を計画通りにすすめるためにも、1通りだけでなく何通りもの計画を作り、最適な中期経営計画を作り上げましょう。

2.中期経営計画を作成する時の注意点2つ

中期経営計画を作成するときは、下記のポイントに注意しましょう。見た目は理想的な中期経営計画に見えても現実と乖離している、など思わぬ落とし穴になることも多いです。

<中期経営計画を作成する時の注意点2つ>

  1. 初めから完璧なものを作ろうとしないようにする
  2. 矛盾点がないかを確認する

①初めから完璧なものを作ろうとしないようにする

中期経営計画は、定期的な見直しや社会情勢の変化を受けての変更が前提となるものであり、初めから完璧なものを作ろうとしないことが大切です。完璧な中期経営計画を作成しようとするあまり数年を要したり、分析ばかりに時間がかかったりとなかなか中期経営計画が完成しないようであれば本末転倒です。

また、中期経営計画はスラスラと作成できるものではないためどこかで行き詰まったり、手が止まったりすることもあるでしょう。その場合は、他の会社の中期経営計画を参考にして進めていくことをおすすめします。

②矛盾点がないかを確認する

中期経営計画を作成するにあたって「矛盾がないか」の視点を持つことも大切です。たとえば「今は1日100人程度集客するのが精一杯なのに、中期経営計画では1日1,000人の集客目標を立てている」など、現実と数字の間に矛盾が生じることがあります。この場合、他の戦略を考えるか目標数値を下げる必要があるでしょう。目標が高すぎると、具体的な戦略や目標数値を立てる場合に矛盾が生じるため、矛盾点がないか確認しながら中期経営計画を作成しましょう。

同様に「1人あたり12時間働かないとクリアできない計画になっている」というような、労働基準法など各種法律に抵触した計画になっていないか振り返ることも大切です。

また、あまりにも現実と乖離した中期経営計画になっている場合、計画自体が形骸化してしまう点にも注意しましょう。「どうせクリアできない目標だから」と誰も本気で取り組まなくなったり、経営層による無茶な要望に辟易した従業員がどんどん離職してしまったりと、思わぬ形でマイナスの影響を与えます。

中期経営計画は現実的な範囲で作成し「目標をクリアできそう」「工夫次第でどうにかなりそう」という前向きなビジョンを与えることも重要です。

3.中期経営計画を成功させるためのポイント4つ

ここでは、中期経営計画を成功させるためのポイントを解説します。中期経営計画づくりのポイントではなく、中期経営計画を実行する際のポイントを紹介するので参考にしてください。
<中期経営計画を成功させるためのポイント4つ>

  1. 具体的なタスクに落とし込む
  2. 頻繁に記録と分析を行う
  3. 進捗状況を見える化する
  4. 予材管理を意識する

①具体的なタスクに落とし込む

中期経営計画を作成した後は、目標達成に向けて具体的なタスクに落とし込んでいくことが重要です。

中期経営計画を掲げていても「結局何をすればいいの?」という疑問が生まれては行動に結びつきません。その結果、中期経営計画が形骸化していつまで経っても目標がクリアできない、というギャップが生まれます。

具体的なタスクに落とし込んでいけば、後は各従業員が手を動かしていくだけになります。月ごとの小目標に落とし込むなど工夫すれば、目先にやるべきことが自動で可視化されていくでしょう。「目標をクリアできそう」という前向きなモチベーションを抱かせるためにも有効な手法であり、各個人が自分事として中期経営計画を捉えるきっかけとしても活用できます。

②頻繁に記録と分析を行う

実行中の結果は頻繁に記録し、分析に役立てるのが原則です。「いつ、誰が、どんな行動をして、どの程度の結果が得られたのか」が分かれば、その後に役立ちます。

もし成功している場合は行動規範として落とし込み、理想的な行動として全社に共有すれば全体の平準化に貢献します。反対に、期待していたような効果が得られなかったのであれば、何が失敗の原因だったのかを分析する材料になります。同じような失敗を防ぐために情報共有することもできるので、繰り返せば繰り返すほど全体の行動が最適化されていきます。

なお、トライ&エラーの記録は自社ならではの知恵として蓄積していくことも可能です。自社にとって有益な事例、体験となる可能性があるので、必要なときに記録が見れるよう対策しておきましょう。

③進捗状況を見える化する

中期経営計画を実現するにあたり、進捗状況を見える化することも大切です。「今どの程度進んでいるか」が分かれば、期限までの達成度も見えてきます。予定通り進んでいないのであれば中期経営計画を早い段階で見直すなど、早期の振り返りにも役立つでしょう。

また、進捗状況を見える化することで、現場のモチベーションアップにつながることも多いです。自分がクリアしたタスクが全体の中期経営計画にどう影響しているのかが分かったり、日々少しずつ達成度が上がっていく様子を目にできたりすれば、次へのモチベーションも喚起できます。

ただし、何度チェックしても進捗状況が分からないと、却ってモチベーションダウンに繋がるので注意しましょう。中期経営計画の進捗状況を見える化することは定期的に目標を見直す理由のひとつでもあり、確実に目標達成に向かえるよう調整していくことができます。

④予材管理を意識する

予材管理とは、目標の2倍程度となる材料を予め用意しておくマネジメント手法です。本来は生産、製造の現場で使われることの多い手法であり、万が一のトラブルや急な市場変化に対応するための材料を確保しておく意味合いで使われています。

中期経営計画の場で「予材管理」と言う場合、目標に対する経営資源に余裕を持たせておくことを意味します。スケジュール面で少しゆとりを持たせたり、人員に余裕を持たせて誰もがタスクをクリアできるよう配慮したりすることで、中期経営計画の達成が容易になります。

反対にギリギリの予材管理をしていると、少しの変化が進捗状況へダイレクトに影響するので注意しましょう。計画と現実との間に僅かなズレが生じただけで目標未達が続いてしまうため、修正の手間もコストも大きくなります。最低でも達成できる目標と、できれば達成したいハイレベルな目標と分けて考えるのもおすすめです。

4.他社で作成した中期経営計画の事例2社

ここでは、実際に他社で作成した中期経営計画の優良事例を紹介します。実際に他社がどのような視点で中期経営計画を作成しているかを知り、自社にも役立つ要素がないかチェックしてみましょう。

荏原実業株式会社

荏原実業株式会社は中期経営計画「EJ2023」を公開しており、経営計画に沿って営業利益を1.5倍にする成長戦略を描いています。荏原実業は公共上下水道を中心としたエンジニアリング事業で知られており、水や空気に関するソリューションを提供するメーカーです。

中期経営計画では、特に近年ニーズが伸びている環境関連商品を核とした成長基盤づくりについて語られており、新事業のスタートと事業領域拡大の2つの側面で営業利益を向上させるとしました。荏原実業株式会社の中期経営計画は、過去の振り返りや長期ビジョンについても中期経営計画書で触れられているので、全体の流れを理解したいときの参考としておすすめです。

地主株式会社

地主株式会社(旧・日本商業開発株式会社)は、2022年から2026年を対象とした中期経営計画を公開しています。事業用定期借地権を活用した土地投資ビジネスをしている会社であり、売上高、当期純利益、地主リート資産規模いずれも向上させる計画となっています。市場全体の伸びに乗る形で中期経営計画を作成しているのが特徴的で、目安とする経営指標についても「ROE13%程度」「自己資本比率30%以上」と明確に数値でピックアップされています。

計画の根拠となる市場拡大と業績推移の予想も掲載されているので、中期経営計画づくりの根拠をどう表すか悩んだときの参考にしてみましょう。

5.中期経営計画の作り方についてよくある質問

最後に、中期経営計画の作り方に関する「よくある質問」を紹介します。特に初めて中期経営計画を作成する場合は、下記に目を通しておきましょう。

長期経営計画、短期経営計画との違いは?

長期経営計画、短期経営計画とは、その名の通り対象としている期間に差があります。一般的に「中期経営計画」は3〜5年後について考えた計画であることが多く、長期経営計画は10年以上後、短期経営計画は数ヶ月から1年程度の単位について考えた計画とされています。

当然ながら、中期経営計画を作成するには長期経営計画や短期経営計画も大切です。最終的なゴールを目指すための長期経営計画、今すぐにでも取り掛かるべき目先の戦略について語る短期経営計画、と使い分ければそれぞれの役割も明確になります。

中期経営計画は必要?必ず作らないといけない?

中期経営計画を作らなければいけないというルールはないものの、作成しておいた方が多くのメリットを得られます。

【中期経営計画を作成するメリット】

  • 経営目標達成に向けて今なにをやるべきかわかる
  • 自社の置かれた環境や社会的要因を客観的に分析できる
  • 万が一のトラブルや想定外の事象が起きたときの計画改善が早くなる
  • 従業員と目標を共有しやすくなるためモチベーション向上に寄与する
  • 融資など資金調達するい際の信頼度が高くなる
  • 株主などステークホルダーへの戦略説明がしやすくなる
  • 経営の意思決定スピードが上がる

中期経営計画は経営理念や最終的な到達目標とリンクして作成するため、3〜5年後の未来を見据えて今やるべきことを可視化しやすくなります。形骸化しがちな戦略ではなく、タスクレベルに落とし込んだ計画にできるので、実行力が高くなるのもメリットです。今までさまざまな計画を作成してきたものの、いつの間にか自然消滅したり頓挫したりした経験がある企業こそ、中期経営計画の作成に踏み出してみましょう。

6.まとめ

中期経営計画の作成により、最終的な理想形に向けて今後3〜5年で達成するべきことを可視化できます。タスクレベルに落とし込んだり、進捗状況をチェックできるようにしたりすることで、実行力を高めることが可能です。

今後自社のやるべきことが見えてこないときは、積極的に中期経営計画を作成してみましょう。また、目先の業務に追われて将来的な自社の姿に思いを馳せる余裕のないときこそ、時間をかけて立ち止まってでも中期経営計画を作成した方が、優先順位をつけやすくなるケースも多いと言えます。

なお中期経営計画の作り方は次のとおりです。

<中期経営計画の作り方5ステップ>
 1.自社の経営環境を分析する
 2.自社の経営理念を明確にする
 3.経営戦略を決める
 4.課題解決のための数値目標、行動計画を設定する
 5.中期経営計画を完成させる

上記ステップを参考にして、中期経営計画を作成してみてください。

みらいワークスでは、高度なスキルを持つプロフェッショナル人材をご紹介いたします。
企業様の様々な課題に沿った人材をご提案可能です。
「中期経営計画を作成するにあたってどのように進めていけば…」
「中期経営計画を計画通りに進めるにはどうしたらいいのか」
など、お悩みがある方はお気軽にご相談ください。



(株式会社みらいワークス Freeconsultant.jp編集部)

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