【2026年公表義務化】女性管理職比率とは?義務化対応と比率向上の具体策 - freeconsultant.jp for Business
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最終更新日:2026.06.03
人事/組織構築/業務改善

【2026年公表義務化】女性管理職比率とは?義務化対応と比率向上の具体策

女性管理職比率について、何をどこまで公表すべきか、自社が2026年4月からの義務化対象に入るのか、どのように比率を高めればよいのか悩む企業担当者は少なくありません。

特に、女性活躍推進法の改正により、常時雇用する労働者が101人以上の企業にも「女性管理職比率」と「男女間賃金差異」の情報公表が義務付けられるため、早めの準備が必要です。

女性管理職比率の向上は、単なる法対応ではありません。人材不足への対応、企業イメージの向上、ESG評価の改善、意思決定の質向上にもつながる重要な経営課題です。

女性管理職比率とは

女性管理職比率は、女性活躍推進やダイバーシティ経営を進めるうえで、自社の現状を把握する基礎データになります。

ここでは、女性管理職比率の意味、女性活躍推進法における管理職の定義、計算方法を整理します。

女性管理職比率の計算方法と重要性

女性管理職比率とは、全管理職のうち女性管理職が占める割合のことで、次の計算式で算出します。

女性管理職比率(%)= 女性の管理職数 ÷ 全管理職数 × 100

たとえば、全管理職が100人で、そのうち女性管理職が15人の場合、「15人 ÷ 100人 × 100 = 15%」になります。

計算時には、次の点に注意が必要です。

  • 他社へ出向している管理職は、原則として出向元でカウントする
  • 育児休業中や病気休職中の管理職も、在籍していればカウントに含める
  • 係長級や主任級を管理職に含めない
  • 端数は小数点第1位または第2位まで表示し、必要に応じて四捨五入する

女性管理職比率は、単に女性管理職の人数を示す数値ではありません。企業において、性別にかかわらずキャリア形成の機会が開かれているか、女性が意思決定に関わるポジションまで昇進できているかを確認するための重要な指標です。

女性管理職比率が低い場合、次のような課題が隠れている可能性があります。

  • 女性社員の管理職候補が十分に育っていない
  • 昇進基準や評価制度が不透明になっている
  • 育児や介護との両立が難しく、昇進をためらう人が多い
  • 管理職に求められる働き方が長時間労働を前提としている
  • 社内に女性管理職のロールモデルが少ない

一方で、女性管理職比率を高める取り組みは、女性社員だけを優遇する施策ではありません。多様な人材が能力を発揮できる組織づくりを進めることで、男性社員を含む全従業員にとって働きやすい職場環境の整備にもつながります。

女性活躍推進法における「管理職」の定義

女性活躍推進法における管理職は、原則として「課長級」と「課長級より上位の役職」にある労働者を指します。役員はこの管理職数には含めません。

厚生労働省のQ&Aでは、管理職の定義について、従来の定義から変更はないとされています。具体的には、次のような役職が対象になります。

  • 課長級
  • 部長級
  • 本部長級
  • 事業部長級
  • その他、課長級より上位の役職

一方で、係長級は原則として女性管理職比率の「管理職」には含めません。

ただし、企業によって役職名は異なります。そのため、単に「課長」という名称があるかどうかだけでなく、実質的な役割を確認することが重要です。厚生労働省の定義では、課長級は次のいずれかに該当する者とされています。

  • 事業所で通常「課長」と呼ばれている者で、2係以上の組織からなり、またはその構成員が10人以上の長
  • 同一事業所において、課長のほかに呼称や構成員の規模が同程度である組織の長

実務上は、次のように確認すると整理しやすくなります。

  • 役職名だけでなく、組織上の責任範囲を確認する
  • 部下を持つ管理職かどうかを確認する
  • 人事評価や業務指示の権限を持つか確認する
  • 係長級や主任級を誤って管理職に含めないようにする

人事制度上の役職名と、女性活躍推進法上の管理職の定義が完全に一致しない場合もあります。そのため、算出前に社内の役職一覧を整理し、どの役職を管理職としてカウントするかを明確にしておく必要があります。

【2026年4月施行】女性管理職比率の公表義務化と対象企業

2026年4月1日から、改正女性活躍推進法により、女性管理職比率の情報公表義務が拡大されます。

これまで主に大企業を中心に対応が求められていた情報公表が、常時雇用する労働者101人以上の企業にも広がります。ここでは、対象企業、必須公表項目、対応を怠った場合のリスクを整理します。

従業員101人以上の企業へ情報公表の義務が拡大

2026年4月1日から、常時雇用する労働者が101人以上の一般事業主は、「男女間賃金差異」と「女性管理職比率」の情報公表が必須になります。

従来、男女間賃金差異の公表義務は301人以上の企業が中心でした。しかし、改正により101人以上300人以下の企業にも対象が広がります。また、女性管理職比率についても、101人以上の企業に新たに公表義務が課されます。

対象企業は、次の点を確認する必要があります。

  • 常時雇用する労働者が101人以上か
  • 女性管理職比率を正しく算出できるか
  • 男女間賃金差異を算出できるか
  • 公表先をどこにするか
  • 社内で算出・確認・承認する体制があるか

公表先としては、厚生労働省の「女性の活躍推進企業データベース」や自社ホームページなどが考えられます。厚生労働省は、一般の求職者等から見て、情報がどこに掲載されているか分かるように公表する必要があると説明しています。

項目 内容
対象企業 常時雇用する労働者が101人以上の一般事業主
施行時期 2026年4月1日
必須公表項目 男女間賃金差異、女性管理職比率
女性管理職の範囲 原則として課長級以上の労働者。役員は含めない
公表先の例 女性の活躍推進企業データベース、自社ホームページなど
対応時の注意点 管理職定義、算出基準日、出向者・休職者の扱い、端数処理を整理する

公表義務を怠った場合のリスクと企業イメージへの影響

女性管理職比率の公表義務に対応しない場合、行政指導や企業名公表の対象となる可能性があります。

ただし、実務上のリスクは法的な指導だけではありません。女性活躍に関する情報は、求職者、取引先、投資家、従業員からも見られる情報です。公表義務への対応が遅れると、次のような影響が生じる可能性があります。

  • 採用市場で働きやすい企業として評価されにくくなる
  • 女性社員や若手社員がキャリア形成に不安を持つ
  • 取引先や投資家から人的資本経営への対応が不十分と見られる
  • 企業イメージやブランド価値に影響する
  • 社内で女性活躍推進が形式的な取り組みに見える

特に、人的資本開示やESG投資への関心が高まるなかで、女性管理職比率は非財務情報の一つとして注目されています。数値を公表するだけでなく、なぜその数値なのか、今後どのように改善するのかまで説明できる状態を整えることが重要です。

女性活躍推進法改正の対応のチェックリスト

2026年4月の改正に向けては、女性管理職比率を算出して公表するだけでなく、社内制度や育成体制の見直しまで含めて準備することが重要です。

次のチェックリストを使い、自社の対応状況を確認してください。

  • 常時雇用する労働者数が101人以上か確認した
  • 女性管理職比率の公表義務対象になるか確認した
  • 男女間賃金差異の公表義務対象になるか確認した
  • 管理職に該当する役職の範囲を整理した
  • 係長級や主任級を誤って管理職に含めていない
  • 出向者・休職者の扱いを確認した
  • 女性管理職比率の計算式を社内で共有した
  • 公表データの確認・承認フローを決めた
  • 公表先を決めた
  • 現状の女性管理職比率を把握した
  • 業界平均や政府目標と比較した
  • 女性管理職候補者の人数を把握した
  • 昇進基準や評価制度に偏りがないか確認した
  • 育児・介護と両立できる制度を整備した
  • 管理職候補者向けの研修やメンター制度を用意した
  • 経営層が女性活躍推進の目的を説明できる状態にする

チェック項目が多く未対応の場合、まずは「数値の把握」「管理職定義の整理」「公表体制の整備」から着手する必要があります。

そのうえで、女性管理職比率が低い原因を分析し、採用・育成・評価・働き方の改善につなげることが大切です。法対応だけを目的にすると、数値の公表で終わってしまい、実際の組織変革につながりにくくなります。

日本企業の女性管理職比率の現状と政府目標

女性管理職比率を高めるには、まず日本企業全体の現状を把握することが重要です。

ここでは、最新の厚生労働省データ、産業別の違い、政府目標やESG投資との関係を整理します。自社の数値を客観的に見るための基準として活用してください。

女性管理職比率の平均は13.1%%・国際比較でも低水準

厚生労働省の「令和6年度雇用均等基本調査」によると、課長相当職以上に占める女性の割合は13.1%です。

役職別では、部長相当職が8.7%、課長相当職が12.3%、係長相当職が21.1%とされています。上位の役職になるほど女性割合が低くなる傾向が見られます。

この数値は、日本企業において女性が管理職に登用される機会が徐々に広がっている一方で、意思決定層における女性比率はまだ十分とはいえない状況を示しています。

国際比較で見ても、日本の女性管理職比率は低い水準にあります。内閣府の「令和7年版男女共同参画白書」では、就業者に占める女性の割合は日本が45.5%で、諸外国と比べて大きな差はないとされています。一方、管理的職業従事者に占める女性の割合は、日本が16.3%にとどまり、諸外国ではおおむね30%以上となっています。

つまり、日本では女性の就業参加自体は一定程度進んでいるものの、管理職や意思決定層への登用では国際的に見て遅れが残っている状況です。

産業別・業界別の女性管理職比率の違い

女性管理職比率は、業界によって大きく異なります。

一般的に、医療・福祉、教育、生活関連サービスなど、女性従業員の割合が比較的高い業界では、女性管理職比率も高くなりやすい傾向があります。

一方で、建設業、製造業、インフラ関連、情報通信の一部領域など、もともと女性従業員の比率が低い業界では、女性管理職候補の母集団が少なくなりやすく、比率向上に時間がかかるケースがあります。

ただし、業界平均が低いことは、取り組みを進めなくてよい理由にはなりません。むしろ、女性社員の採用・定着・育成を計画的に進めることで、同業他社との差別化につながる可能性があります。

自社の女性管理職比率を見る際は、次の3つの視点で確認すると整理しやすくなります。

  • 全国平均と比べて高いか低いか
  • 同業界の平均と比べて高いか低いか
  • 自社の女性社員比率に対して、女性管理職比率が極端に低くないか

たとえば、女性社員比率が40%あるにもかかわらず、女性管理職比率が5%にとどまっている場合、採用後の育成や昇進プロセスに課題がある可能性があります。

政府の最新目標(2030年に30%等)とESG投資における重要視

政府は、女性活躍推進の重要な目標として、政策・方針決定過程における女性の参画拡大を掲げています。

企業分野では、2030年代の可能な限り早期に指導的地位に占める女性の割合が30%程度となることを目指す方向性が示されています。また、東証プライム市場上場企業については、女性役員比率に関する目標も示されています。

企業にとって女性管理職比率は、人事部門だけの課題ではありません。人的資本経営やESG投資の観点からも注目されています。ESGとは、環境・社会・企業統治を意味する考え方です。女性管理職比率は、特に「社会」や「企業統治」の観点で、企業が多様な人材を活かせているかを示す指標として見られることがあります。

投資家や取引先は、企業の成長性を財務情報だけで判断するのではなく、次のような非財務情報も重視する傾向があります。

  • 多様な人材が活躍できる組織か
  • 意思決定層に偏りがないか
  • 働き方や評価制度が公平か
  • 人材育成に継続的に投資しているか
  • 人的資本情報を適切に開示しているか

そのため、女性管理職比率の向上は、採用力や従業員満足度だけでなく、企業価値の向上にもつながるテーマといえます。

女性管理職比率を向上させる企業の4つのメリット

女性管理職比率の向上は、法対応のためだけに行うものではありません。

ここでは、企業が得られる4つのメリットを解説します。

多様な視点による意思決定の質向上とイノベーション創出

女性管理職が増えることで、意思決定に多様な視点が入りやすくなります。

同じような経験や価値観を持つ人だけで意思決定を行うと、顧客や従業員の多様なニーズを見落とす可能性があります。性別、年齢、職種、ライフスタイルなどが異なる人材が議論に参加することで、よりバランスの取れた判断につながります。

特に、女性消費者や子育て世帯、介護と仕事を両立する従業員など、これまで意思決定の場で十分に反映されにくかった視点を経営に取り入れやすくなります。

たとえば、次のような場面で効果が期待できます。

  • 商品開発において顧客視点の幅が広がる
  • 働き方改革の施策が現場実態に合いやすくなる
  • 採用広報で多様な求職者に響くメッセージを作りやすくなる
  • 組織課題を一面的に判断しにくくなる

女性管理職比率の向上は、単に人数を増やす取り組みではなく、意思決定の質を高めるための組織改革でもあります。

優秀な人材の確保と定着率(リテンション)の向上

女性管理職が社内にいることは、若手社員や中堅社員にとって重要なロールモデルになります。ロールモデルとは、自分の将来像を考えるうえで参考になる存在のことです。身近に女性管理職がいると、女性社員は「自分も将来的に管理職を目指せる」と感じやすくなります。

また、女性が長く働き続けられる制度や職場風土を整えることは、全従業員の定着率向上にもつながります。たとえば、次のような取り組みは、女性社員だけでなく男性社員にも有効です。

  • フレックスタイム制
  • テレワーク
  • 育児・介護との両立支援
  • 短時間勤務からフルタイム復帰しやすい制度
  • 管理職の業務負荷を見直す仕組み
  • 公正な評価制度

人材不足が続くなかで、採用だけで人材を確保することは難しくなっています。既存社員が長く働き、成長できる環境を整えることが、企業の競争力に直結します。

企業イメージ(ブランド力)の向上と社会的責任の遂行

女性活躍推進に積極的な企業は、求職者、顧客、取引先から「働きやすい企業」「多様性を重視する企業」として認識されやすくなります。

特に、採用市場では、給与や福利厚生だけでなく、企業の価値観や働き方を重視する求職者が増えています。女性管理職比率や育児休業取得率、男女間賃金差異などの情報は、求職者が企業を比較する際の判断材料になります。

企業イメージの向上は、次のような効果につながる可能性があります。

  • 新卒採用や中途採用での応募者増加
  • 女性候補者からの応募増加
  • 従業員のエンゲージメント向上
  • 取引先からの信頼向上
  • 地域社会からの評価向上

女性管理職比率を高めることは、社会的責任を果たすだけでなく、企業ブランディングの一部としても重要です。

ESG投資における評価向上とステークホルダーからの信頼獲得

女性管理職比率は、ESG投資においても注目される指標の一つです。

ESG投資では、企業の財務状況だけでなく、環境対応、人材活用、企業統治などの非財務情報も評価対象になります。女性管理職比率は、多様な人材を意思決定層に登用しているかを示す情報として見られます。

もちろん、女性管理職比率だけで企業価値が決まるわけではありません。しかし、女性管理職比率が極端に低く、改善方針も示されていない場合、人的資本経営やダイバーシティ推進への姿勢が弱いと受け取られる可能性があります。

企業がステークホルダーから信頼を得るためには、次のような説明が重要です。

  • 現在の女性管理職比率
  • 目標値
  • 目標達成に向けた施策
  • 育成・登用の進捗
  • 評価制度や働き方の見直し状況

数値を公表するだけではなく、改善に向けた取り組みを継続的に示すことで、企業の透明性と信頼性を高められます。

女性管理職比率が低い5つの原因・課題

女性管理職比率を高めるには、まず比率が低い原因を正しく把握する必要があります。

ここでは、多くの企業で見られる5つの課題を整理します。

根強い男女の役割意識とアンコンシャス・バイアス

女性管理職比率が低い原因の一つに、根強い男女の役割意識やアンコンシャス・バイアスがあります。アンコンシャス・バイアスとは、本人が気づいていない思い込みや偏見のことです。

たとえば、次のような考え方が該当します。

  • 女性には負担の大きい仕事を任せないほうがよい
  • 育児中の社員は昇進を望んでいないはずだ
  • 管理職は長時間働ける人が向いている
  • 営業や現場管理は男性のほうが向いている
  • 女性はリーダーよりサポート役に向いている

こうした考えは、本人に悪意がなくても、女性社員の成長機会を狭める要因になります。

たとえば、上司が「育児中だから大変だろう」と考えて重要なプロジェクトから外すと、本人は経験を積む機会を失います。結果として、数年後に管理職候補として評価されにくくなる可能性があります。

女性活躍推進では、制度だけでなく、管理職や経営層の意識改革も必要です。

長時間労働を前提とした働き方と両立の難しさ

管理職の働き方が長時間労働を前提としている場合、女性社員が昇進をためらう要因になります。特に、育児や介護を担う社員にとって、夜遅くまで働くことや急な呼び出しに常に対応することが管理職の条件になっていると、昇進後の生活が想像しにくくなります。

これは女性だけの問題ではありません。男性社員にとっても、長時間労働を前提とした管理職像は負担になります。次のような状況がある企業では、女性管理職候補が増えにくくなります。

  • 管理職の残業時間が多い
  • 会議が夕方以降に集中している
  • 業務が属人化している
  • 休職者や時短勤務者の代替要員が確保されていない
  • 管理職がプレイヤー業務も抱え込みすぎている

女性管理職比率を高めるには、女性社員に努力を求めるだけでは不十分です。管理職の仕事そのものを見直し、誰もが担いやすい役割に再設計する必要があります。

身近にロールモデルが不在

社内に女性管理職が少ないと、若手・中堅の女性社員が自分の将来像を描きにくくなります。

特に、管理職として働く女性が身近にいない場合、次のような不安が生まれやすくなります。

  • 管理職になると家庭との両立が難しくなるのではないか
  • 自分にリーダーが務まるのか
  • 女性管理職として孤立するのではないか
  • 失敗したときに過度に目立つのではないか
  • 相談できる相手がいないのではないか

ロールモデルがいない状態では、管理職への昇進が「特別な人だけが選ぶ道」に見えやすくなります。

不透明な評価制度と昇進基準

女性管理職比率が低い企業では、評価制度や昇進基準が不透明になっているケースがあります。

たとえば、明文化された基準では成果や能力を重視していても、実際には次のような要素が昇進に影響している場合があります。

  • 長時間働けるか
  • 急な転勤に対応できるか
  • 飲み会や非公式な人間関係に参加できるか
  • 上司に積極的にアピールできるか
  • 過去の慣習に合う働き方ができるか

このような基準があると、育児や介護と両立する社員、短時間勤務から復帰した社員、転勤が難しい社員などが不利になりやすくなります。

評価制度を見直す際は、次の点を確認する必要があります。

  • 昇進要件が明文化されているか
  • 評価者によって判断にばらつきがないか
  • 労働時間ではなく成果や貢献度を評価しているか
  • 管理職候補者の選抜プロセスが公平か
  • 女性社員が重要な業務経験を積める仕組みがあるか

女性管理職比率の向上には、公平で透明性のある評価制度が欠かせません。

管理職に特化した女性向け育成・教育制度の不足

女性管理職候補が十分に育たない背景には、管理職に必要なスキルや経験が体系的に提供されていないこともあります。

多くの企業では、管理職に必要な知識やノウハウが、現場経験や上司との関係のなかで自然に伝わってきました。しかし、男性中心のネットワークで情報が共有されている場合、女性社員にはマネジメント経験や昇進に必要な情報が届きにくくなります。

管理職候補に必要な支援には、次のようなものがあります。

  • リーダーシップ研修
  • マネジメント研修
  • メンター制度
  • スポンサーシップ制度
  • 経営層との対話機会
  • 部門横断プロジェクトへの参加
  • 評価面談でのキャリア形成支援

女性管理職の登用・育成手法の比較と自社に合った選び方

女性管理職を増やす方法は一つではありません。主な手法には、自社育成、中途採用、外部プロ人材の活用があります。

それぞれにメリット・デメリットがあるため、自社の状況に合わせて選ぶことが重要です。

手法①:自社育成

自社育成は、既存の女性社員を対象に、研修やメンター制度を通じて長期的に管理職候補へ育てる方法です。

既存社員を登用するため、企業文化や業務内容を理解している点が大きなメリットです。社内での信頼関係もあり、管理職になった後の定着もしやすい傾向があります。

自社育成が向いているのは、次のような企業です。

  • 将来の管理職候補となる女性社員が一定数いる
  • 中長期で女性管理職比率を高めたい
  • 自社の価値観や業務理解を重視したい
  • 離職率を下げながら内部登用を進めたい

一方で、自社育成は成果が出るまでに時間がかかります。研修を実施しても、実際に管理職として登用されるまでには数年単位の時間が必要になることがあります。

また、育成制度だけを整えても、評価制度や働き方が変わらなければ、管理職候補者が増えない可能性があります。自社育成を進める場合は、研修、評価制度、職場環境の見直しを一体で進めることが重要です。

手法②:中途採用(外部採用)

中途採用は、すでに管理職経験や専門スキルを持つ女性を外部から採用する方法です。

短期的に女性管理職比率を引き上げたい企業や、社内に女性管理職候補が少ない企業に向いています。外部から新しい視点や経験を取り入れられる点もメリットです。

中途採用が向いているのは、次のような企業です。

  • 社内の女性社員比率が低い
  • 管理職候補の母集団が不足している
  • 短期的に女性管理職比率を改善したい
  • 新しい組織風土をつくりたい
  • 特定領域の専門性を持つ管理職が必要

一方で、女性管理職経験者の採用は競争が激しく、採用難易度が高い傾向があります。また、外部から採用した人材が既存組織になじむまでには時間がかかります。

既存の男性管理職や組織風土との摩擦が生じることもあるため、採用後のオンボーディングや経営層の支援が重要です。

手法③:外部プロ人材の活用

外部プロ人材の活用は、人事制度改革や女性管理職育成の知見を持つ専門家を、コンサルタントやメンターとして活用する方法です。社内に女性管理職のロールモデルが少ない企業や、人事制度の見直しに専門知見が必要な企業に向いています。

外部プロ人材の活用が向いているのは、次のような企業です。

  • 自社育成を進めたいが、社内にノウハウが不足している
  • 女性管理職候補者向けの育成設計をしたい
  • 評価制度や昇進基準を見直したい
  • 外部メンターを導入したい
  • 経営層や管理職の意識改革を進めたい

外部プロ人材を活用するメリットは、客観的な視点で制度や組織課題を整理できることです。社内だけでは見えにくい課題を可視化し、実行可能な施策に落とし込めます。

また、外部メンターとして女性社員に伴走することで、管理職になることへの不安や心理的ハードルを下げる効果も期待できます。

女性管理職比率を向上させる具体的な施策と進め方

女性管理職比率を高めるには、採用、働き方、評価制度、育成支援を一体で見直す必要があります。

ここでは、具体的な施策を4つに分けて解説します。

採用段階からの母集団形成と多様性確保

女性管理職比率を高めるには、採用段階から女性社員の母集団を確保することが重要です。

管理職は入社後すぐに生まれるものではありません。将来の管理職候補となる人材を計画的に採用し、育成していく必要があります。

採用段階では、次のような取り組みが有効です。

  • 新卒採用における女性応募者数を増やす
  • 中途採用で女性候補者への接点を増やす
  • 採用広報で女性社員のキャリア事例を紹介する
  • 面接官にアンコンシャス・バイアス研修を行う
  • 採用基準を明文化する
  • 職種ごとの女性比率を確認する

特に、技術職や営業職など女性比率が低い職種では、応募段階で女性候補者が少ないことがあります。その場合は、採用チャネル、求人票、採用広報、職場環境の見せ方を見直すことが必要です。

育児・介護と両立できる柔軟な働き方と代替要員の確保

女性管理職比率を高めるには、育児や介護と両立しながら働ける環境整備が欠かせません。

特に重要なのは、制度を用意するだけでなく、実際に使える状態にすることです。制度があっても、利用すると評価が下がる雰囲気がある場合、社員は安心して利用できません。有効な施策には、次のようなものがあります。

  • フレックスタイム制
  • テレワーク
  • 短時間勤務制度
  • 時間単位の有給休暇
  • 育児・介護休業からの復帰支援
  • 休業取得者の代替要員確保
  • 業務の属人化解消
  • 管理職の業務量見直し

中でも、代替要員の確保は重要です。休業者や短時間勤務者の業務を周囲が無理に抱える状態が続くと、制度利用者への不満が生まれ、職場全体の負担も増えます。柔軟な働き方を定着させるには、人員計画、業務分担、評価制度まで含めた設計が必要です。

透明性のある成果重視の評価制度への見直し

女性管理職比率を高めるには、評価制度の透明性を高める必要があります。

昇進基準が曖昧なままだと、管理職候補者が何を目指せばよいのか分かりません。また、評価者の主観や従来の慣習によって、特定の働き方をする人だけが評価される可能性があります。

評価制度を見直す際は、次の点を確認します。

  • 昇進に必要なスキルや経験が明確か
  • 評価基準が社員に共有されているか
  • 残業時間や転勤可否が過度に評価へ影響していないか
  • 短時間勤務者や育休復帰者も公平に評価されているか
  • 評価者研修を実施しているか
  • 管理職候補者へのフィードバックが行われているか

成果重視の評価制度とは、単に売上や数値だけを見る制度ではありません。役割に応じた貢献度、チームへの影響、業務改善、育成力などを適切に評価する仕組みです。

多様な人材が納得できる評価制度を整えることで、女性社員も管理職を目指しやすくなります。

リーダーシップ研修やメンター制度などの育成支援

女性管理職候補を増やすには、育成支援を体系的に行う必要があります。

管理職に必要なスキルは、日々の業務だけで自然に身につくとは限りません。チームマネジメント、目標設定、評価面談、意思決定、部下育成など、管理職特有のスキルを学ぶ機会が必要です。

有効な育成支援には、次のようなものがあります。

  • リーダーシップ研修
  • マネジメント研修
  • メンター制度
  • スポンサーシップ制度
  • 経営層との対話会
  • 女性管理職候補者向けのキャリア研修
  • 社外ネットワークへの参加支援
  • 外部プロ人材による伴走支援

研修だけで終わらせず、実際の業務経験、上司からの支援、登用機会と組み合わせることが重要です。

女性管理職比率の向上に取り組む企業の成功事例6選

成功している企業は、自社の課題に合わせて、働き方、評価、育成、意識改革を組み合わせています。

ここでは、公開情報をもとに、女性活躍推進に取り組む企業事例を紹介します。

【不動産・小売】イオンモール株式会社

イオンモール株式会社は、女性活躍推進に向けて、管理職研修、マネジメント研修、事業所内保育園、育児短時間勤務、週休3日制度など、さまざまな取り組みを進めています。

同社の公開情報では、女性管理職比率は2016年度の13.7%から、2023年度には22.6%まで上昇しています。また、2025年度に女性管理職比率30%を目指す方針も示されています。

この事例からは、女性管理職比率の向上には、単に候補者を増やすだけでなく、働き続けやすい制度やキャリア形成支援を組み合わせることが重要だと分かります。

【製造業】勇心酒造株式会社

勇心酒造株式会社は、性別にかかわらず個人の能力に応じた採用や管理職登用を行っている企業です。

女性の活躍推進企業データベースの事例では、同社が「管理職(グループ長補佐以上)の女性社員を7名以上とし、その女性割合を30%以上とする」目標を設定したことが紹介されています。また、えるぼし認定※取得などの影響もあり、採用応募者の7割を女性が占めるようになったとされています。

製造業では女性比率が低くなりやすい領域もありますが、同社のように採用・登用で性別にかかわらない評価を徹底することで、女性の応募者増加やキャリア形成支援につながる可能性があります。

※女性活躍推進法に基づき、女性の活躍推進に関する取り組み状況が優良な企業を厚生労働大臣が認定する制度のこと

【金融業】株式会社第四北越銀行

株式会社第四北越銀行は、女性活躍推進に向けて、管理職の意識改革や職員間のコミュニケーション強化に取り組んでいます。

同社の公開情報では、アンコンシャス・バイアス研修、頭取による管理職向け説明会、経営陣と職員との対話交流会などを継続的に開催していることが紹介されています。

金融業界では、従来の組織文化やキャリア形成の慣習が残りやすい側面があります。そのため、女性管理職比率を高めるには、女性社員本人への研修だけでなく、管理職や経営層を巻き込んだ意識改革が重要です。

【医療・福祉】株式会社サン太陽

医療・福祉業界では、現場で働く女性比率が高い一方で、管理職や施設運営に関わるポジションへの登用をどのように進めるかが課題になることがあります。

株式会社サン太陽の事例では、女性スタッフが約7割を占める環境において、結婚・出産・子育て後も働き続け、スキルアップ・キャリアアップできる環境整備を進めていることが紹介されています。

【技術サービス業】株式会社読売エージェンシー

株式会社読売エージェンシーは、女性活躍推進に取り組み、えるぼし認定やプラチナえるぼし認定を取得している企業です。

女性の活躍推進企業データベースでは、えるぼし認定の取得を機に新卒採用での女性応募者が増加し、女性管理職比率の向上に向けて取り組みを継続している事例として紹介されています。

また、同社の採用サイトでは、女性管理職割合、残業時間、有休取得率、育休取得率、復職率などのデータも公開されています。求職者にとって働き方に関する情報が見えやすいことは、採用面での信頼形成にもつながります。

【卸売・小売】株式会社丸井グループ

株式会社丸井グループは、女性活躍推進に向けて「意識改革」と「制度づくり」の両輪で取り組みを進めています。

同社は、女性活躍に関する重点指標として「女性イキイキ指数」を設定し、女性社員比率、女性管理職比率、男性育休取得率、女性リーダー比率などを公開しています。

この事例からは、女性管理職比率の向上には、制度整備だけでなく、社内の意識改革、数値の可視化、継続的な情報開示が重要であることが分かります。

女性管理職比率向上のための人事制度・育成支援は「フリーコンサルタント.jp」へご相談ください

女性管理職比率の向上に取り組みたいものの、自社だけでは何から始めるべきか判断しにくい企業もあります。

特に、次のような悩みがある場合は、外部の専門家を活用することで、取り組みを前に進めやすくなります。

  • 女性管理職比率を算出したが、改善策が分からない
  • 管理職候補となる女性社員が少ない
  • 評価制度や昇進基準を見直したい
  • 女性社員向けの育成制度を設計したい
  • 社内にロールモデルやメンターが少ない
  • 経営層や管理職の意識改革を進めたい
  • 2026年の公表義務化に向けて対応を整理したい

女性管理職比率を高めるには、採用、評価、育成、働き方、組織風土を総合的に見直す必要があります。単発の研修や制度導入だけでは、十分な成果につながらないことがあります。

フリーコンサルタント.jpでは、企業課題に応じて、外部プロ人材の活用を支援しています。人事制度改革、女性管理職育成、ダイバーシティ推進、組織開発などの知見を持つプロ人材を活用することで、社内だけでは見えにくい課題を整理し、実行可能な施策へ落とし込むことが可能です。

自社の女性活躍推進や人事制度改革に課題を感じている場合は、ぜひご相談ください。

フリーコンサルタント.jpによる人事制度改革の支援事例

ここでは、フリーコンサルタント.jpによる人事領域の支援事例を2つ紹介します。

事例①

大手電力会社では、DX推進室において20代後半から40代前半のリーダー候補を育成するため、高度なビジネススキルを習得できる選抜育成プログラムの実施を検討していました。

しかし、「プロジェクトマネジメント力」や「ファシリテーション力」など、高度なビジネススキルを体系的に定義し、育成できる人材が社内だけでは不足していました。また、人事領域での育成経験に加え、高いレベルのビジネススキルを持ち、候補生のメンターとして伴走できる人材が求められていました。

当時の課題 ・DX推進室における20代後半〜40代前半のリーダー候補を育成する必要があった
・「プロジェクトマネジメント力」「ファシリテーション力」など、高度なビジネススキルを体系的に習得できる育成プログラムが必要だった
・人事領域での人材育成経験に加え、高いレベルのビジネススキルを持つ人材が不足していた
・候補生に対して、メンター役として継続的に支援できる人材が必要だった
実施したこと ・人事・教育領域の知見に加え、コンサルティングファームや事業会社での経験を持つプロ人材をアサインした
・現状把握やヒアリングを通じて、育成対象者に必要なスキルや課題を整理した
・教育プランを策定し、プロジェクト支援の伴走やインタビュー対応、ドキュメント作成、アクション検討などを実施した
・候補生一人ひとりに対して、毎月のスキル評価や評価軸の改善を行いながら、指導・改善支援を継続した

その結果、社内では定義が難しかった「プロジェクトマネジメント力」や「ファシリテーション力」などのビジネススキルを言語化でき、高度なビジネススキルを持つ人材の育成モデルを構築できました。

また、候補生に対して継続的なスキル評価と改善支援を行うことで、リーダー候補の育成を着実に進められる体制を整備できました。

事例②

外資系SaaSサービス会社では、社員10名規模のベンチャー企業として組織拡大を進めていました。しかし、採用担当者が不在で、採用業務に十分なリソースを割けず、採用活動が停滞していました。

CEO自ら採用活動を代行していたものの、日々の経営業務や顧客対応もあり、採用活動に十分な時間を確保できない状況でした。そのため、採用業務の経験が豊富で、人事領域の知見とマネジメント経験を持つプロ人材の活用を検討していました。

当時の課題 ・社員10名規模のベンチャー企業として組織拡大を進めていたが、採用担当者が不在だった
・採用業務を担う人手が不足し、採用活動が停滞していた
・CEOが採用活動を代行していたものの、経営業務や顧客対応により十分な時間を割けなかった
・採用業務の経験が豊富で、人事領域の出身かつマネジメント経験のある人材が必要だった
・外資系企業の文化への理解や、英語でのコミュニケーション力も求められていた
実施したこと ・人材開発、採用戦略、採用代行などHR領域で幅広い経験を持つプロ人材をアサインした
・採用戦略の整理から要員計画の策定、選考ステップの最適化まで支援した
・面接官やリクルーターの育成を行い、採用活動を継続できる体制づくりを支援した
・スカウト数や面談設定数などの目標値を設定し、初月からスカウト開始と面談数の増加を実現した
・CEOが担っていた採用業務の一部を切り出し、より優先度の高い社内ピープルマネジメントや顧客対応に時間を割ける状態を整えた

その結果、停滞していた採用活動がプロ人材の参画後すぐに動き始め、想定以上の面談数をセットできる状態に回復しました。

また、採用業務を外部プロ人材が推進したことで、CEOは採用活動にかけていた工数を削減でき、社内のピープルマネジメントや顧客対応など、より優先度の高い業務に集中できるようになりました。

まとめ

女性管理職比率は、企業における管理職のうち女性が占める割合を示す指標です。女性活躍推進法では、原則として課長級以上の管理職を対象に算出します。

2026年4月1日からは、常時雇用する労働者が101人以上の企業にも、女性管理職比率と男女間賃金差異の情報公表が義務付けられます。対象企業は、早めに管理職の定義、算出方法、公表体制を整理しておく必要があります。

女性管理職比率の向上は、単なる法対応ではありません。

  • 多様な視点による意思決定の質向上
  • 優秀な人材の確保と定着率向上
  • 企業イメージの向上
  • ESG投資や人的資本経営への対応

といった経営上のメリットにもつながります。

そのため、女性管理職比率を高めるには、採用、評価、育成、働き方、組織風土を一体で見直すことが重要です。

自社だけで制度改革や育成支援を進めることが難しい場合は、外部プロ人材を活用し、現状分析から施策設計、運用改善までを進める方法もあります。2026年の義務化をきっかけに、女性管理職比率を「公表する数値」ではなく、「企業価値を高めるための経営指標」として捉え直すことが重要です。

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