コンサル転職の際は、他職種での転職と異なり「ケース面接」が課せられます。独自の対策が必要な面接形態であり「コンサル転職は難しい」と言われる理由となっています
とはいえ、ケース面接がどんなものか知り、十分なトレーニングを積んでおけば問題ありません。本記事では、ケース面接の対策方法・勉強方法を例題つきで解説します。
ケース面接とは
ケース面接(別名:ケース・インタビュー)とは、コンサルティングファームなど課題解決型の提案業務が多い業種・職種にてよく取り入れられている面接手法です。面接官がクライアントになったつもりで提示する課題に対し、応募者はコンサルタントの立場で解決法を示します。
一問一答式ではなく、回答に対して更に質問が追加されることも多いので、自分の回答と矛盾しないよう配慮することが欠かせません。入社後にも実施するシミュレーション型のトレーニングであり、応募者にコンサルタントとしての基礎能力があるかチェックする目的で実施されます。
ケース面接の流れ
ケース面接は、基本的に下記の流れで進行します。
- 問題の解答作成
- 面接官に対してプレゼンテーション
- 面接官からの質問に応答
下記でひとつずつ解説します。
1. 問題の解答作成
ケース面接が始まると、面接官から特定のお題が出されます。企業側がどんな課題を持っているのか、最終的にどうなりたいのか、目指す理想像など、面接官もクライアントになったつもりでお題が出されるので、まずは前提条件を抑えましょう。
その後は、面接時間の半分程度を使って問題に対する解答を作成します。ケース「面接」ではありますが、一般的な面接と違ってテンポよく質問と返答を繰り返さない点に注意しましょう。面接官の目の前で解答を考える場合もあれば、別室でじっくり考える場合もあり、詳細は応募先企業によりさまざまです。
いずれの場合でも与えられた時間内にしっかり自分の意見をまとめ、相手に分かりやすく伝える準備をしておきましょう。
2. 面接官に対してプレゼンテーション
解答作成時間が過ぎたら、いよいよ面接官に対してプレゼンテーションを実施します。一般的な面接と同じく口頭のみで伝えることもあれば、ホワイトボード等を自由に活用できることもあるので、当日のアナウンスを聞き洩らさないようにしましょう。
プレゼンテーションでは、自分の意見を伝えることだけに集中することが大切です。自分がどんな解決法を考えたのか、その根拠は何か、実際にどんなアクションをすれば理想を叶えられるか…など複数の視点で話すと、説得力を増しやすくなります。
3. 面接官からの質問に応答
プレゼンテーションが完了したら、プレゼンテーションの内容について面接官から質問されます。実際のコンサルティング現場でもクライアントから質問されるシーンは多く、臨機応変な対応力や相手を納得させるマンツーマンでのプレゼンテーション能力がチェックされています。そのため、スムーズに質問に答えられるよう、臨機応変に対応することが大切です。
なお、面接官から一方的に質問されるだけでなく、複数の面接官や他の応募者を加えてディスカッション形式になることも多いです。自らリーダーシップを取りながら場をまとめつつ、クライアントにとってメリットのある手法を提案できるかが試されます。
ケース面接で面接官から評価されるポイント6つ
ケース面接では、主に下記のポイントが評価されます。
- 論理的思考力
- コミュニケーション力
- 数学的思考力
- 地頭力
- 説明力
- 傾聴力
どれかの要素が突出していても、他の要素が極端に欠けてしまっている場合、コンサルタントとして不向きだと判断されることもあるため要注意です。上記のポイントがバランスよく評価されるか、もしくは高いポテンシャルがあると判断された場合、内定の確率がグッと高まります。
内定の確率が高まるので、これから紹介するポイントを押さえて面接に挑みましょう。
1. 論理的思考力
論理的思考力とは「なぜ・どうして」など、理由を徹底的に考える力のことを指します。コンサルティングの現場では、クライアント本人ですら課題の背景や根本的な理由を把握できていないことも多いです。コンサルタントが代わりとなり、徹底的に課題の理由を考えていくことで具体的な解決法が見えてくるため、特に欠かせない能力と言えるでしょう。
また、高い論理的思考力を発揮するためには、複雑かつ大量の情報を正しく理解する力も必要です。ひとつの情報を多角的に捉えつつ、最終的にシンプルな情報としてまとめることができれば、論理的な判断ができます。
2. コミュニケーション力
コンサルタントは課題解決を円滑に進めるためにクライアントと高い信頼関係を築く必要があるため、コミュニケーション能力の高さもチェックされます。一目で人に好かれる愛嬌や安心感があったり、不安を払拭してくれるような安定性があったりする人は、コンサルタント向きとして評価されます。
なお未経験でコンサル転職する場合、ケース面接で高い専門性が試されることはありません。一方、下記のようなノンバーバルコミュニケーション(言葉以外でのコミュニケーション)は特に細かく見られます。
【ノンバーバルコミュニケーションの一例】
- 話すスピード
- 声の大きさ
- 声の抑揚
- 身振り手振り
- 視線の配り方
- 表情
- 仕草
- 姿勢
- 服装
また、思いがけない質問が飛んできたときの咄嗟の対応なども見られているので、慌てずに落ち着いて行動しましょう。
3. 数学的思考力
数学的思考力とは、膨大なデータや複雑な図表を読み解く力のことです。ケース面接の際は経営資料のサンプルや具体的なデータが示されることも多く、限られた時間で効率よく目を通す力が試されます。また、目を通すだけでなく自分の提案を裏付ける根拠を探したり、課題の背景を見つけたりする力も必要です。
さらに、難しいデータをわかりやすくまとめて(モデル化して)クライアントに伝えるなど、臨機応変さも試されます。数学的思考力はトレーニング次第で十分伸ばすことができますが、入社の段階ですでに最低限求めるレベルの力が備わっている人は内定を得やすくなるでしょう。
4. 地頭力
地頭力とは、頭の回転の早さや将来を想定して素早く動く力のことです。「空気を読む力」と言われることも多く、言葉で言われずとも求められていることを理解して動くことができれば、地頭力の高い状態と言えます。知的好奇心が高い人、人に興味があってよく周りを観察している人は、地頭力が高いと言えるでしょう。
なお、地頭力は偏差値や知能指数(IQ)のように数値で測れるものではありません。だからこそ評価が難しい項目でもありますが「卓越した理解力がある」「高い推察力がある」と評価されれば、地頭力が良いと思われます。
5. 説明力
説明力とは、その名の通り今の状況・環境を分かりやすく説明する力です。機械の操作方法の説明、データの読み方の説明、自分の意見の説明、など説明する項目は多岐にわたります。いずれの場合でも自分なりに噛み砕き、難しい専門用語を使わずに説明できることが理想です。
また、1対1など少数での説明の他、大勢に向けたプレゼンテーション能力も試されます。コンサルタントは特にプレゼンテーション機会の多い職種であり、時には会社経営者や金融機関に対してプレゼンテーションをすることもあります。専門家として自信を持って前に立てそうな人であれば、ケース面接の場でも高評価を得られるでしょう。
6. 傾聴力
傾聴力とは、相手の話に耳を傾ける力です。「相手の話を遮らず最後まで聞く」「相槌を打ちながら傾聴している姿勢を示す」などの能力はどの職種でも必須のスキルなので、今のうちに見直しておきましょう。その他、話の背景にある価値観や気持ちを理解したり、共感しながら話を掘り下げたりすることができれば、更に高い傾聴力があるとして評価されます。
また傾聴力が高いと、コミュニケーション能力も高いと思われることが多いです。「話を聞いてくれる」という安心感が信頼につながることも多いので、ケース面接の際は特に意識しておきましょう。
【例題で対策】ケース面接の代表的なお題パターン5つ
ケース面接で出されるお題は、主に下記5つのうちいずれかになることが多いです。それ以外のオリジナリティ溢れる出題になるケースもありますが、ケース面接初心者であればまず下記を抑えましょう。
- 企業や組織の売上拡大策
- 企業や組織の利益拡大策
- 2肢からの意思決定
- 公共・社会問題の解決方法
- 新規事業の検討・立案
下記でひとつずつ解説します。
企業や組織の売上拡大策
新進気鋭のベンチャー企業やスタートアップ企業、新規商材を出したばかりの中小企業等においては、特に売上拡大が急務となります。そのため「来期の売上20%増を目指す方法」「客単価を+10%する方法」など、ケース面接でも具体的な目標を掲げることが多いです。
また、なかには自社や商品の露出を増やして認知を図る方法など、マーケティング要素の強い課題が与えられる場合もあります。
いずれの場合でも、既存のデータを活かして将来予測するフェルミ推定を活用して提案するのが一般的です。事前にフェルミ推定のやり方を知っておくだけでクライアントに売上拡大策を提案しやすくなるので、対策しておきましょう。
企業や組織の利益拡大策
売上拡大だけでなく、収益拡大を狙った課題を与えるケース面接も一般的です。収益拡大の場合、売上拡大だけでなく、経費削減や仕入れ額交渉なども施策に含まれます。人件費・原価・家賃・光熱費などさまざまなコストに関する知見が必要であり、ハイレベルな提案力を求められるのがポイントです。
なお、実際のケース面接では時間が限られていることも多く、コストの割合を仮定して時間計算することも必要になります。あまり神経質にならない程度に概算し、提案や質疑応答に力を入れるなど対策していきましょう。
2肢からの意思決定
2肢からの意思決定では、ほとんどの場合「賛成」または「反対」のどちらかを問われます。例えば「中学校において厳しい校則を設けることに賛成か」「自転車の免許制に賛成か」など、特定のテーマが与えられます。必ずしも応募企業の事業内容に関係のあるテーマになるとは限らないので、注意しましょう。
2肢からの意思決定の場合、基本的に難しい専門知識や高度なデータ分析力は要りません。初めてコンサル転職を目指す未経験者でも挑戦しやすい出題ですが、その分元々の考え方やコミュニケーション能力が浮き彫りになります。細かな条件が設定されないことが多く、正解も不正解もない問いになりやすいため、自分の考えを理由づけて話すトレーニングをしておくとよいでしょう。
公共・社会問題の解決方法
公共・社会問題に関する解決法を問うケース面接は、民間コンサルティングファームでもよく実施されています。例えば「少子高齢化の解消法」「保育士の待遇を改善する方法」など、特定のテーマについてディスカッションをするものです。2肢からの意思決定と同じく解答に高度な専門知識は要りませんが、普段の思考力や地頭力が試されます。
困ったときは、問題を定量化しながら「見える化」するイメージで動きましょう。いつからどの程度少子高齢化が進んでいるのか、保育士の平均給与や残業時間数はどの程度なのか、など数値で見ることにより、解決法が見えてきます。「見える化」することで説得力のある伝え方もできるため、効果的です。
新規事業の検討・立案
新規事業の検討・立案の際は、面接官が提示するクライアント企業の特徴・強み・業界内での立ち位置等を分析しながら検討していくのが一般的です。実際にコンサルタントに新規事業の相談が寄せられるケースは非常に多く、現場を想定したケース面接と言えるでしょう。
なぜその新規事業が有効か伝えることができれば、説得力のあるコンサルタントとしての素質を評価されるかもしれません。
また、新規事業を検討するときはどうしてもデータ頼りになってしまいがちですが、実現したい目標や理想像をヒアリングする姿勢も求められます。面接官と双方向のコミュニケーションを取りながら、最適解を導き出しましょう。
【計7ステップ】ケース面接の解き方をマスター
ケース面接をどう進めるべきか迷った場合、下記の解き方に沿って進めましょう。
- 前提確認
- 現状分析
- 課題特定
- 施策立案
- 実行計画
- 施策評価
- 施策決定
上記の解き方は「定番の解き方」のため、ケース面接対策もスムーズに進められやすくなります。
1. 出題されたテーマの背景を「前提確認」
まずは出題されたテーマの内容・背景・理由など、前提を確認します。主に下記のことを可視化しておくことで、その後の施策を立てやすくなります。
【前提確認でチェックしておきたいこと】
- どの立場で課題を感じているのか
- 具体的にどんな課題を感じているのか
- これまでどんな施策をしてきたか
- 理想の状態、目標があるか
- 課題解決までに想定している期間があるか
- 課題解決までに費やせる予算がどの程度か
上記のような最低限の前提について確認できていないと、クライアントのニーズに合う提案ができません。ケース面接なので必ずしも実現可能性のある提案でなくても良いとはいえ、上記のポイントを理解しておかないと主張に一貫性がなくなったり、説得力が欠けたりする恐れもあるので要注意です。まずは前提条件を設定し、課題をリアルにイメージできるような状態にするのが理想と言えるでしょう。
2. 出題されたテーマの「現状分析」
現状分析では、クライアント(面接官)が置かれた状況についてリサーチします。顧客数・顧客単価・解約率・これまでの販売実績…など、主に過去のデータを参考にしていくのがポイントです。利益拡大を図る際は、項目ごとのコストについても同様に確認を進めます。
なお、現状分析でより細かくリサーチできると、リアルな施策になりやすいので力を入れましょう。反対に中途半端な現状分析になってしまうと、理想的な施策であっても説得力にかけてしまい、クライアント(面接官)に施策の良さが伝わらない可能性が高いです。
3. 出題されたテーマの「課題特定」
課題特定では、与えられたテーマに対して具体的な課題がどこにあるのか、深掘りしていきます。ひとつ前の現状分析で洗い出した要素に加えて、不足しているデータや条件があれば仮定しながら進めましょう。
なお、仮定する際はシーンを決めていくのが近道です。例えば、ビアレストランの客単価向上を狙う場合「夏なのか冬なのか」「昼なのか夜なのか」「土日なのか平日なのか」など、シーン次第で仮定する内容も変わります。どこに課題があるか明確にするためにも、シーンを決めて想像していくのがポイントです。
4. 特定した課題の「施策立案」
前提・現状・課題の情報が揃い次第、具体的な施策立案に移ります。最初の段階では施策を絞り込みすぎず、複数案を検討するのがよいでしょう。それぞれのメリット・デメリットを比較するような形で思考を整理していけば、最終的な施策も絞りやすくなるのでおすすめです。また、ケース面接で伝えるときの説得力も増しやすく「最適解」として提案する自信が身につきます。
なお、膨大なコストがかかる施策、クライアントの要望に合わない期間、日数が必要な施策は外しましょう。ある程度クライアント側の意向に沿う姿勢を見せ、正解だけを追い求めないようにするのもポイントです。
5. 施策の「実行計画」を検討
施策をイメージできたら、次に実行計画への落とし込みを進めます。「いつの段階で何をするのか」という具体的な行動を示すフェーズであり、やるべきことを可視化していく段階とも言えます。万が一施策を実行するのに不足している情報があれば、どう収集するべきかも提案していきましょう。
この段階では、実現可能性を特に重視するのが大切です。あまりにもタイトなスケジュールになっていたり、専門知識を使う高度な行動をクライアントに要した場合、かえって反発されてしまう恐れがあります。「実際に行動するのはクライアントである」という視点を忘れず、計画に落とし込みましょう。
6. 計画検討した施策の「施策評価」
実行計画を作成した後、施策を評価します。一度は最適解のつもりで作り上げた提案でも、後で見直してみると違和感たっぷりだった、という事例は少なくありません。自ら見直して突っ込みどころがないか探したり、思わぬ落とし穴があったりしないか検討してみましょう。
ただし、限られたケース面接時間内では、全ての施策について数値で評価する余裕がないことも多いです。ある程度定性的な評価にすることも検討し「見直し」程度の意味合いで捉えて効率化を図りましょう。
7. 準備した内容をもとに「施策決定」
最後に、施策評価の内容を参考に施策を決定します。仮説や見立てが達成できているか、クライアントのニーズに沿った提案になっているか、根本的な課題を解決できる施策か、など改めてチェックしましょう。例えば、売上20%増がテーマなのであれば、実際に自分が考えた施策で売上20%増を見込めるかシミュレーションします。
問題なければ、ケース面接のプレゼンテーションをしていきます。その後に想定される質問も想定し、答える内容についても考えておくとよいでしょう。
【初心者必見】ケース面接の対策方法4つ
初めてコンサル転職する人やコンサルタントとして実務経験がない人は、ケース面接があることを不安に感じるかもしれません。しかし、事前に対策しておけばある程度基本の質問ややるべきことがわかるので、対策法を学んでおきましょう。
- ケース面接対策用の本を読む
- ケース面接の問題を解く
- ケース面接の模擬面接をする
- フレームワーク・理論を押さえておく
いずれも初心者が挑戦しやすい対策法であり、かつコンサル経験者も良く活用している手法なので参考にしてみてください。
1. ケース面接対策用の本を読む
書店にはケース面接対策用の本が売られており、誰でも手軽に手に取ることができます。紙の本だけでなくデジタル書籍等も活用し、出先やスキマ時間で目を通すのもよいでしょう。
初心者向けの対策本であっても「ケース面接とは何か」といった、基本的な概要から具体的な対策方法までチェックすることができ、1冊で一通りの内容を学べます。
また、コンサルタントとして最低限理解しておきたい専門用語をチェックできる本もあり、活用の幅は多彩です。入社後に役立つことも多いので、自分にとって読みやすい本を1冊持っておくとよいでしょう。
2. ケース面接の問題を解く
ケース面接対策本と同じく、ケース面接対策用の問題集も販売されています。インプットは参考書で、アウトプットは問題集で、と使い分ければどちらもバランスよくできるのでおすすめです。具体的にどのような問題が出るか理解でき、さまざまなパターンで練習できるので、経験不足な人にも向いています。
なかには実際にコンサルティングファームで働く人が作成した問題集もあるので、チェックしてみましょう。ケース面接の大半は現場を想定した作りになっているので、入社前からコンサルタントの働き方や求められる要素を理解しておけば、面接対策もしやすくなります。
3. ケース面接の模擬面接をする
コンサル転職に強いエージェントでは、模擬面接をしてくれる場合があります。通常の面接だけでなくケース面接にも対応しているので、本番を想定したリアルなトレーニングがしたいときに最適です。緊張しがちな人や学んだことを活かせるか試してみたい人も、転職エージェントに登録して模擬面接を依頼しましょう。
また、模擬面接後にはマンツーマンで自分の良かった点・悪かった点を指摘してもらえるため、フィードバックを受ける場としても最適です。自己流の対策だけで良いか不安なときにも活用できるので、初めてコンサル転職する人はぜひ活用してみましょう。
4. フレームワーク・理論を押さえておく
ケース面接など限られた時間で効率よく情報分析したいときは、フレームワークに当てはめて考えていくのがおすすめです。代表的なフレームワークや理論だけでも抑えておけば多角的な分析ができ、ケース面接でも役立つでしょう。
代表的なフレームワーク・理論は、下記の通りです。
- 4P分析
- 3C分析
- SWOT
- AIDMA
- ジェイ・エイブラハム理論
ここでは、それぞれのフレームワーク・理論について解説します。
4P分析
4P分析とは、下記4つの「P」を使って販売戦略を考えるフレームワークです。
【4P分析の要素】
- Product(製品):商品・サービス
- Price(価格):商品・サービスの価格
- Promotion(販売促進):広告手法(ネット広告、電車内広告、街頭広告など)
- Place(流通):展開場所(都心、駅ビル、オンラインなど)
どの程度の価格で、どの流通経路で、どう販売促進していくか…などを具体的に深掘りしやすく、売上向上施策や新規事業施策の立案に役立ちます。また、競合他社について4P分析すれば他社の強みもわかるので、ぜひ活用してみましょう。
3C分析
3C分析とは、下記3つの「C」を使って企業が置かれた環境を可視化するフレームワークです。
【3C分析の要素】
- Company(自社):自社のニーズ、価値提供、リソース
- Competitor(競合):競合のニーズ、価値提供、リソース
- Consumer(顧客・市場):市場や顧客のニーズ
特に市場分析したいときに役立つフレームワークであり、マーケット全体を可視化できるのが強みです。クライアント企業を取り巻く環境を理解しておきたいときや、ミクロ視点で課題を見つけたいときに活用しましょう。
SWOT
SWOTとは、経営資源の最適な活用法や戦略策定に役立つフレームワークです。
【SWOT分析の要素】
- Strength(強み):自社・自社商品の強み
- Weakness(弱み):自社・自社商品の弱み
- Opportunity(機会):社会や市場の変化など外部のプラス要因
- Threat(脅威):社会や市場の変化など外部のマイナス要因
自社の強みなど内部の情報を可視化できるだけでなく、機会や脅威など外部の情報も可視化できるので、総合的な分析をしたいときにおすすめと言えます。強みと機会が合わさる分野では勝負しやすく、反対に弱みと脅威が合わさる分野は手を出さない方が良い、など客観的な判断ができるのもポイントです。
AIDMA
AIDMAとは、消費者の購買が何に支えられているのか理解するためのフレームワークです。特に、売上向上施策の立案に活用しやすく「いかにして買ってもらうか」を探るきっかけとなります。
【AIDMAの要素】
- Attention(認知):商品やサービスについて知る
- Interest(関心):商品やサービスに興味を持つ
- Desire(欲求):商品が欲しい、サービスを利用したい欲求を感じる
- Memory(記憶):商品やサービスを記憶する
- Action(行動):商品の購入、サービスの利用をする
上記5つの要素が揃ったとき、消費者は確実に購買行動をすると言われています。反対になかなか購買につながらないのであれば、上記いずれかが欠けていると分かるため、課題を見つけるヒントとなるでしょう。
ジェイ・エイブラハム理論
ジェイ・エイブラハム理論とは、売上アップに必要な要素をまとめた理論です。
【ジェイ・エイブラハム理論の要素】
- お客様を増やすこと
- 単価をあげること
- 購入頻度を増やすこと
一見当たり前のことに感じるかもしれませんが、複雑なケース面接ではつい忘れてしまいがちな要素になります。売上拡大施策や利益拡大施策に関するテーマが与えられたときは、基本に立ち返ってジェイ・エイブラハム理論を思い出しましょう。
「お客様を増やす」「単価をあげる」「購入頻度を増やす」いずれかを達成できる施策になれば、売上や収益は改善します。
ケース面接でよくある失敗例3つ
最後に、ケース面接でよくある失敗事例を紹介します。コンサル特有の面接形態だからこそ特別な対策が必要であり、手を抜いてしまうのは厳禁です。特に志望度の高い企業に応募する際は、ケース面接対策を十分にしておきましょう。
- ケース面接の勉強が足りずミスをする
- 代表的なケース面接の問題を解いていない
- 正確性を意識しすぎている
ケース面接の勉強が足りずミスをする
ケース面接の勉強が足りないと、当日慌ててミスをする可能性が高まります。また、そもそも基礎の基礎が理解できていないと、与えられたテーマに対して何をすればいいかすらわかりません。時間ばかり過ぎてしまい「提案」ではなく「意見」を伝えるだけになってしまうなど、評価されない面接になってしまいます。
まずはケース面接が何のために実施されるのか、応募者の何を試されているのか理解しましょう。そのうえでケース面接対策をしていけば、効率よく自己アピールすることが可能
です。
代表的なケース面接の問題を解いていない
ケース面接にはさまざまな形式があるとはいえ、まずは代表的な問題を解いて対策していくのが近道です。基本的なフレームワークや考え方を理解し、どう伝えるかプレゼンテーションのコツを学んでおけば、珍しいテーマが出題されたときにも応用が効きます。
反対に、ヤマを張るような感覚で珍しいテーマ・問題に向けた対策ばかりしていると、付け焼き刃での知識に偏ってしまうので要注意です。面倒でも基礎・基本から学び、余裕があれば少しずつレベルアップしていくのが理想と言えるでしょう。
正確性を意識しすぎている
課題が与えられるケース面接を「試験」「テスト」だと感じてしまい、正確性を意識しすぎてしまうことがあります。もちろん正確性が高い方が良いとはいえ、正確性だけにこだわってしまうのはNGです。ケース面接でチェックされているのは「正解かどうか」ではなく、論理的思考力やコミュニケーション能力の有無なので注意しましょう。
つまり、一見不正解に見える解答であっても、説得力のある理由づけと論理的な仮説検証ができていれば、ケース面接を通過できます。本格的なコンサルティング能力は、入社後に身につける前提で採用活動をしているコンサルティングファームも多いので、肩肘張りすぎる必要はありません。
まとめ
ケース面接とは、コンサル業界でよく使われる面接形態です。テーマに基づいて解答やディスカッションをしていくため非常に難しく高度に感じますが、十分に対策しておけば焦らず対応できます。
コンサル転職に強いエージェントでは、模擬ケース面接も実施しています。自分に欠けている部分を理解しておきたい人や対策法を知りたい人は、相談してみましょう。