「SIerとITコンサルタントの違いは?」「SIerからITコンサルタントへの転職はできるのか?」という疑問はありませんか?
SIerとITコンサルタントの違いは、以下があげられます。
そもそもSIerとITコンサルタントは、業務の目的も仕事内容もまったく異なります。とはいえ、同じIT分野ということもあり未経験からの転職よりも格段に転職成功の可能性は高いです。
本記事では、SIerからのITコンサルタントの6つの違い、平均年収やキャリアパスなど網羅的にご紹介します。ITコンサルタントへの転職を考えている方は、ぜひ最後までご覧下さい。
※本記事に記載されている企業や求人に関する情報などは2023年時点のものです。
SIerとITコンサルタントの【目的】の違いとは?
SIerとITコンサルタントの違いを知るうえで重要なのが「目的」です。
- SIer:システム開発及び運用・保守を請け負う企業
- ITコンサルタント:IT技術を活かし経営課題を総合的に解決を目指す企業
最終的にクライアントの経営課題を解決に導く点では同じですが、担当する工程に違いがあります。
それでは、それぞれについて、詳しく解説していきましょう。
SIerの目的
SIerは、システム開発及び運用・保守を目的としている企業です。クライアントの課題に対して、システムを提供することにより解決に導きます。ITコンサルタントが提案した解決策をSIerが具体的に形にする、という流れが一般的です。
ただ最近では、ITコンサルタントと同じように、顧客の課題の洗い出しから行うSIerも増えてきているため、以前のような区別は少なくなりつつあります。
ITコンサルタントの目的
ITコンサルタントは、クライアントが求めている経営課題をITのノウハウを活かし改善することで、業務の効率化や収益アップを実現する企業体です。経営課題を探るところから始まるITコンサルタントは、SIerよりも上流の工程を担っていると言っても過言ではありません。
システム開発を行うにしても、プロジェクト全体の統括者としての役割を担うケースが多いです。
SIerとITコンサルタントの【仕事内容】の違い
SIerとITコンサルタントでは担当する仕事の領域が違うため、仕事内容も異なります。
ITコンサルタントが企画から要件定義までの上流工程を担い、SIerが要件定義から運用・保守までの工程を担当しています。
SIer | ITコンサルタント | |
上流 | 課題解決案の模索 | |
↓ | 計画 | |
要件定義 | 要件定義 | |
設計 | ||
開発・テスト | ||
下流 | 運用・保守 |
以下から、それぞれの仕事について詳しく解説していきます。
SIerの業務内容
SIerの業務内容は大きく分けて4つに分かれます。
- 要件定義
クライアントが求める要件(期待される効果)を決定する作業のこと。また、クライアント側・開発側の認識を共通のものとし、開発途中での齟齬をなくすことを目的としている。 - 設計
要件定義をもとに、開発するシステムの基本設計・仕様を決めます。主にSEが担当する工程で、ハードウェアの設計やプログラミング設計などがあります。 - 開発・デバッグ
設計した設計書や仕様書をもとにプログラミングを実施します。また、デバッグによりバグやエラーの修正を行うのもこの工程です。 - 運用・保守
クライアントが求める要件定義通りのシステムが稼働できているかを確認し、エラーが発生した際は、原因を究明・再発防止策を講じます。
以上が一般的なSIerの主な仕事内容です。しかし、ITコンサルタントと同じように経営課題の解決策を模索する部分から業務を担うSIerもあり、一概に全ての企業が同じ業務ではありません。
ITコンサルタントの業務内容
ITコンサルタントの業務内容は大きく分けて3つに分かれます。
- 課題解決案の模索
クライアントから経営課題を抽出し、課題解決に向けて戦略を話し合います。ITノウハウを活かした新システムの導入や既存のシステムの再構築などを提案します。 - 計画
採用された提案を骨子として、プロジェクトの詳細な計画を立案します。プロジェクトのスケジュールやガントチャートを作成し、各セクションの責任者を選定。 - 要件定義
SIerと共にクライアントが求める要件(期待される効果)を確定することで、後工程の開発・運用の方向性を決めます。
ITコンサルタントは、企業の課題解決をITツールを用いて模索・実行していくことが主な仕事内容です。プロジェクト進行のためのマネジメントも仕事内容のひとつで、プロジェクトの統括者としての役割を担います。
SIerとITコンサルタントの【必要スキル】の違い
SIerとITコンサルタントとでは、求められるスキルに違いがあります。SIerはITのスペシャリストとしてのスキルが必要ですが、ITコンサルタントは全体の統括的なスキルが重要視されます。
それぞれについて、以下から詳しく見ていきましょう。
SIerの必要スキル
SIerは開発の設計から運用・保守を任されるため、以下のようなスキルが必要になります。
- プログラミング言語を利用したシステム開発スキル
- 最新のトレンドに適応したスキル
- コミュニケーションスキル(要件定義に不可欠)
- ロジカルシンキング(論理的思考力)
高度なITスキルは当然必要ですが、コミュニケーション能力やロジカルシンキングといったソフトスキルも重要な要素です。
ITコンサルタントの必要スキル
ITコンサルタントは上流から下流まで全ての工程に関わるため、ITに関する知識以外も必要になります。
- 論理的思考力(現状分析・課題解決案の立案)
- マネジメントスキル(各部署、メンバーとの連携)
- 計画の進捗管理スキル
- コミュニケーションスキル(クライアントの交渉役)
- プレゼンテーションスキル
- ロジカルシンキング(論理的思考力)
- 業界のトレンド把握
プロジェクトの進捗を円滑に進める上で、ITコンサルタントに求められるスキルは多いです。なかでも現状分析や課題を解決するための立案の際には、論理的思考力は必須です。現状分析・課題解決策が立てられなければ、具体的な行動ができません。ITコンサルタントにとって、主観で考えるのではなく、論理的かつ冷静に考えることは非常に重要です。
SIerとITコンサルタントの【向いている人】の違い
どちらもITに関わる職種ですが、求められる役割が異なるため、向いている人に違いがあります。向いている人の特徴を知ることで、SIerとITコンサルタントへの適正を把握しましょう。
SIerが向いている人とは
SIerが向いている人の特徴は、以下のとおりです。
- 新しい知識を常に更新できる人
IT技術の移り変わりは早く、1年後には時代遅れになる技術もあるため、常に知識やスキルを更新できる意欲のある人が向いています。 - コミュニケーションを円滑にできる人
プロジェクトに関わるエンジニアは数十人規模になります。チームで作業を進める上でコミュニケーションを円滑に行うことは欠かせません。 - 地味な作業でも苦にならない人
品質を向上させるためのテストやドキュメント作成など、反復して行う地味な作業でも苦にならない人は向いていると言えます。
SIerは、システムの設計や開発が主な仕事ですが、システム開発に置ける新たな情報は日々アップデートされています。そのため、技術を日々キャッチアップしたり、実際に新しいシステムを使ってみたりと新しいものに挑戦できる人が向いています。また、SIerは、下請け企業とのやり取りやクライアントとのやり取りなども活発です。コミュニケーションスキルがあることで、より効率的かつスムーズに業務を進めていけるでしょう。
ITコンサルタントが向いている人とは
ITコンサルタントが向いている人の特徴は、以下のとおりです。
- ロジカルシンキング(論理的思考力)が高い人
クライアントが抱える課題を解決するためには、因果関係を体系的に捉え、道筋を立てることができる。 - 高度なコミュニケーションスキルがある人
クライアント企業の経営層や自社の各部門との折衝が多いため、ITコンサルタントはコミュニケーションをベースにした仕事と言えます。 - 経営に関わる基礎知識や業界の知見がある人
上流工程の作業を担うため、取引するクライアントの業界の基礎知識や知見・トレンドなどを把握する必要があります。 - 強いメンタルを持っている人
クライアントからの厳しい要求やハードスケジュールに対応できるメンタルの強さが必要です。
ITコンサルタントはプロジェクトを取り仕切る立場でもあるため、ある程度のITスキルや知識は必要です。しかし、論理的に考えて方向性を決めたり、プロジェクトを取り仕切ることが主な仕事のため、コミュニケーション能力や経営課題を解決するための経営に関する知識の方が大切と言えるでしょう。なお、立場上非常にハードなスケジュールになることも多く、現場とクライアントの板挟みになることも少なくないため、強いメンタルを持っていることもプラスとして働きます。
SIerとITコンサルタントの【平均年収】の違い
SIerとITコンサルタントでは平均年収に違いがあります。結論を先に言うと、ITコンサルタントは平均928.5万円、SIerは400万円~500万円ほどと、ITコンサルタントのほうが年収が高い傾向にあります。
以下からは、SIerとITコンサルタントの年収、その高さの理由についてご紹介していきます。
SIerの平均年収
Sierで働くシステムエンジニアの年収は、約400万円~650万円と言われています。国税庁が調べた「令和4年分民間給与実態統計調査」を見ると、日本人の平均給与は458万円なので、平均よりも高収入を得られる可能性が高い職種と言えるでしょう。
また、大手SIerともなれば年収1,000万円を超えるケースも少なくありません。
平均年収 | |
野村総合研究所※1 | 1,242万円 |
電通総研(旧:電通国際情報サービス)※1 | 1,128万円 |
SAPジャパン※2 | 1,099万円 |
伊藤忠テクノソリューションズ※1 | 1,029万円 |
オービック※1 | 1,006万円 |
※2:Oper Workを参考
もちろん大手企業でなくても、実力次第で年収アップを目指せるので、年収アップを目指したい人は挑戦してみると良いでしょう。
ITコンサルタントの平均年収
経済水産省が発表した「IT関連産業の給与等に関する実態調査」によるとITコンサルタントの平均年収は約928.5万円です。およそ1,000万円という高収入はSIerの平均年収を大きく上回ることが分かります。
ITコンサルタントの平均年収が高い理由は、企業の経営課題を解決することで利益の向上が見込めることがあげられます。企業としても大きな課題のため何百万という高い金額での依頼が行われることも多く、重い責任が課せられるコンサルタントには大きな還元があるのです。
もちろんキャリアアップによっては1,000万円以上の年収が見込めます。ITコンサルタントもSIerと同様に実力主義の面が強いため、実力がつければつけるほど高収入が得られるでしょう。
SIerとITコンサルタントの【キャリアパス】の違い
SIerとITコンサルタントのキャリアパスの違いは、次のとおり。
SIer・・・エンジニアとしてスペシャリストを目指す
ITコンサルタント・・・上級職を目指すか、経験を活かし転職する
それぞれについて、詳しくみていきましょう。
SIerのキャリアパス
SIerのキャリアパスは、主にエンジニアとしてスペシャリストを目指すことが考えられます。
キャリアパスの例としては、次のとおり。
職種 | 仕事内容 |
フルスタックエンジニア | インフラ、アプリなどマルチ分野で活躍するエンジニア |
ITコンサルタント | クライアントの経営課題を解決 |
プロジェクトマネージャー | プロジェクトを管理・進行する役割 |
SIer営業 | 顧客との信頼関係を構築し、企業とSIerの懸け橋になる立ち位置 |
SIerからのキャリアパスは複数に渡りますが、どの職種を目指すにもスキルアップが欠かせません。役割もSIerで働くエンジニアとは若干異なるため、新たな知識を得たりスキルアップも必須です。そのため簡単な道ではありませんが、高年収を目指したり、より上流な仕事をしたい人は挑戦してみると良いでしょう。
ITコンサルタントのキャリアパス
ITコンサルタントのキャリアパスは2通りあります。1つ目はITコンサルタントとしてさらなるキャリアを築くことです。
ITコンサルタントでのキャリアアップは、以下のとおりです。
回想 | 役職 | |
上級職 | パートナー | ITコンサルタント企業の経営に関与 |
↑ | ディレクター・プリンシパル | パートナーと共同経営、プロジェクト管理者 |
シニアマネージャー | プロジェクト管理(指揮・予算管理・顧客対応等) | |
マネージャー | プロジェクト管理(指揮・予算管理当) | |
シニアコンサルタント | プロジェクト管理・システム開発 | |
コンサルタント | 作業責任者・アナリスト管理・情報分析 | |
下級職 | アナリスト | 作業担当者(リサーチ・資料作成) |
上記の通り、コンサルタントと一概に言っても、階級が分かれており業務内容が異なります。まずはアナリストから始めることになるので、より高度な仕事を任せてもらうために、上級職を目指すことをおすすめします。ちなみに、上級職になるほど経営に関与することが増え、あわせて年収もアップします。
2つ目は、ITコンサルタントのスキルや経験を活かした転職です。
- 事業会社への転職(情報システムに関連する仕事)
- 大手企業への転職(国内・国外企業への転職)
- 同業他社への転職(他コンサルファーム)
- IT系以外のコンサルファームへの転職(総合系・戦略系など)
- ベンチャー企業への転職
ITコンサルタントの肩書きは転職に有利に働きます。企業は、プロジェクト進行や経営に詳しい優秀な人材を常に欲しているため、コンサルタント企業以外を目指す道もあります。
SIerからITコンサルタントへの転職する人が多い理由
SIerからの転職先として、ITコンサルタントを選ぶ人も多いのですが、その理由には、仕事内容や待遇面にあります。
転職された方の実際の声を聞いてみると、以下のとおり。
- 上流工程の構想段階から案件に関わりたい
- 決まった業務ではなく面白い仕事がしたい
- 自分の専門性を活かしキャリアアップしたい
- 成果を出すことで年収がアップする環境に魅力を感じる
より成果が求められる職場に身を置き、自身の付加価値を高め、年収を上げられる環境に魅力を感じて転職されるケースが多いようです。上記に当てはまる方は、次の就職先としてITコンサルタントへの挑戦もおすすめです。
SIerからITコンサルタントへの転職するメリット
SierからITコンサルタントに転職することで、どんなメリットがあるのでしょうか。
- ビジネスを学ぶことで今後のキャリアの選択肢が広がる
- 給料アップが見込める
- 大きいプロジェクトに関わることで自己成長につながる
以下から詳しく紹介するので現在SIerで働いている方は、ぜひ参考にしてください。
ビジネスを学ぶことで今後のキャリアの選択肢が広がる
ITコンサルタントは、ITの知識以外にもビジネス全般に関わる知識やスキルを磨けるため、今後のキャリアの選択肢が広がります。
例えば、他分野のコンサルタントファームへの転職も選択肢のひとつになります。
- 総合系コンサルティングファーム
- 戦略系コンサルティングファーム
- シンクタンク系コンサルティングファーム
- 国内独立系コンサルティングファーム
上記のとおり、ITコンサルタント以外にも多くのコンサル分野があるため、ビジネスを学ぶことでキャリアの選択肢は広がるでしょう。
給料アップが見込める
SierからITコンサルタントに転職した場合、年収アップが見込めます。SIerで働くエンジニアの年収が約400万円~650万円なのに対して、ITコンサルタントの平均年収は約928.5万円です。
ITコンサルタント会社の年収をランキング化してみると、以下のようになりました。
順位 | 企業名 | 平均年収 |
1位 | ドリームインキュベータ | 1,776万円 |
2位 | 野村総合研究所 | 1,242万円 |
3位 | ベイカレント・コンサルティング | 1,117万円 |
4位 | シグマクシス | 1,008万円 |
5位 | シンプレクス | 956万円 |
大手企業ともなると、年収1,000万円越えになるケースも多いです。キャリアパスによっては、年収2,000万円以上も狙えるため、より高年収を得たい人はITコンサルタントに挑戦してみると良いでしょう。
大きいプロジェクトに関わることで自己成長につながる
ITコンサルタントは、予算が数億から数十億以上の大きなプロジェクトを受注するケースもあります。大きなプロジェクトは責任も重いですが、その分やりがいがあり、成功させることで自己成長にもつながります。また、経験が浅くても、企業の経営層と一緒に仕事ができるため、ビジネスについて深く学ぶことができるでしょう。
ただし、Sierの場合はSEとしてキャリアをスタートすることが多く、システム開発のひとつの工程を担うため、まずはスキルを磨くことが優先されます。
SIerからITコンサルタントへの転職する注意点
SIerからITコンサルタントへの転職は、以下3つの注意点があります。
- 高い成果が求められる
- 会議が増えたり顧客との関わりが増える
- 会議などシステム開発・設計以外の仕事が増える
- 高いスキルが求められるためインプットを増やす必要がある
ITコンサルタントはSIerよりも要求される仕事のレベルが高く、仕事の範囲が広いため作業量が増加する傾向にあります。転職後に後悔しないためにもあらかじめ、注意事項について理解しておきましょう
高い成果が求められる
クライアントが求めているのは、目に見えて高い成果です。高い報酬を支払って仕事を依頼しているため、金額に見合った成果を求められるのは当然とも言えます。
企業が高い報酬を支払ってでも仕事を依頼する理由は、主に企業の経営にかかわる問題を解決するためです。
- 収益改善(経営が行き詰っている)
- 人材の不足(自社だけでは解決できない)
- 時間の短縮(専門領域は専門家に任せる)
今後の企業の進退も関わる経営問題ですが、自力では解決できないため「高い報酬を支払ってでも解決に導いて欲しい」というのが依頼企業の意図です。期待が大きい分報酬も大きいですが、その分責任も非常に大きな責任を背負うことになることには注意しましょう。
顧客やチームメンバーとの関わりが増える
ITコンサルタントになると、クライアントとの会議やプロジェクトチームでの会議も増えます。その他以下のような仕事も増えることで、コミュニケーション能力が必要とされます。
- 顧客へのヒアリング・提案
- プロジェクト進行
- チームのマネジメント
多くの人と共に仕事をこなしていくことになるため、コミュニケーションが苦手な方には非常にストレスを感じやすい環境と言えるでしょう。
システム開発・設計以外の仕事が増える
SIerの主な仕事はシステム開発や設計ですが、ITコンサルタントはそれ以外の仕事も増えます。
開発や設計以外に増える仕事は、以下のようなものがあります。
- 資料作成(現状分析・提案資料の作成)
- スケジュール調整(ITツール設計の調整など)
- 会議(クライアントとの折衝から部門間の打ち合わせ)
- 予算管理(限られたリソースでの運営)
- マネジメント(全体の統括からプロジェクトメンバーの統率)
ITコンサルタントになると、これまでの一工程の担当者からプロジェクトの全体を見渡す仕事に変わります。また、資料作成やスケジュール管理、プロジェクト進行など業務は多岐に渡るため、残業時間が長くなる傾向があります。
ただ、どの業界も働き方改革の影響で以前より残業時間が短くなっており、ITコンサルも同様に働きやすい環境が整いつつあります。
高いスキルが求められるためインプットを増やす必要がある
ITコンサルタントは情報や知識のアップデートが欠かせません。IT業界は同業他社との競争に日々さらされており、コンペを勝ち抜くためにも最新の情報や知識が必要だからです。
最近のITコンサルの市場動向として以下が挙げられます。
- 金融機関向けマイナンバー関連の需要拡大
- 金融とITが融合したフィンテック需要の拡大
- 情報システムのセキュリティ対策の強化
時代のトレンドに対応したサービスが求められていることから、否が応でも情報をインプットしなくてはなりません。
SIerからITコンサルタントへ転職するにあたって求められるスキル
ITコンサルタントに求められるスキルは、以下のとおりです。
- プロジェクトマネジメント力
- 課題解決能力
- 論理的思考力
それぞれどのような場面で必要になるのか、ご説明します。
プロジェクトマネジメント力
ITコンサルタントは、多くの部門にまたがり幅広い業務に関わるため、プロジェクトマネジメント力は欠かせません。
プロジェクトマネジメント力が必要になる場面は以下のとおり。
- プロジェクトの現況把握(予算や進捗の管理)
- トラブル発生時の軌道修正
- プロジェクトメンバーの統率(リーダーシップ)
クライアントへの納期(回答期限)は決まっているため、限られたリソースで最大限の成果を出すためにも、チームを統率するためのプロジェクトマネジメント力は重要です。
課題解決能力
変化の激しいIT業界では、課題解決能力が求められます。課題解決能力とは「企業が抱える課題を分析し、どうすれば課題を解消できるかを考え、答えを導き出す力」を指します。
クライアントの経営課題を解決することが、ITコンサルタントに与えられた至上命題なので、課題解決能力は最も必要なスキルです。
課題解決能力の高い人には、以下のような特徴が挙げられます。
- 論理的思考力が高い
- 自ら積極的に行動できる
- コミュニケーション力が高い
課題解決能力が身につけば、要求される以上のパフォーマンスを発揮することができ、より成果が出しやすくなります。
論理的思考力
課題を解決するためには、論理的思考力は必須です。論理的思考力とは「物事の因果関係を体系立てて整理し、難しい問題をわかりやすく説明する力」を指します。
クライアントや部門間でのプレゼンでは、わかりやすく物事を伝えられるかでプロジェクトの進捗が変わるため重要なスキルです。
論理的思考力で基礎となる考え方は以下のとおり。
- 事実にもとに考察する
- ゼロベースでものごとを思考する
- 情報の共通点を洗い出し、結論を出す(帰納法)
- 情報を足し合わせて、結論を出す(演繹法)
ただ論理的思考力で体系立てて説明できたとしても、受け手によっては理解されないケースもあるため、過信しないようにしましょう。
SIer・ITコンサルタントに関するよくある質問
ITコンサルタントに関連する質問は下記のとおりです。
よくある質問に回答します。
SIerとSEの違いは?
SIerとSEには大きな違いがあります。
SIerは職種ではなくシステム開発を行う企業であり、SEはシステム開発を担うITエンジニアを指します。つまり、SIerの中で働いているのがSEということです。
未経験からでもSIerやITコンサルへ転職できるか?
未経験からでもSIerへの転職は可能ですが、採用率をあげるには一定の条件をクリアする必要があります。
SIerへの転職 | ITコンサルへの転職 |
IT資格を保有(ITパスポート、FPなど) | IT資格や知識が豊富 |
アプリの制作実績がある | SIerでの業務経験 |
プロジェクトのマネジメント経験 | プロジェクトのマネジメント経験 |
営業経験がある | 論理的思考力が高い |
コミュニケーション能力がある | コミュニケーション能力が高い |
SIerもITコンサルタントも、ITの知識やプロジェクトのマネジメント経験があれば採用されやすいです。しかし、難易度としてはITコンサルタントへの転職の方が上がるので注意してください。
ITコンサルタントとして必要な資格はありますか?
ITコンサルタントとして働くにあたって、必ずしも資格は必要ありません。しかし、さらなるキャリアアップやスキルアップには下記の資格がおすすめです。
- 中小企業診断士
中小企業に対して経営面の助言や診断を行う専門家 - ITストラテジスト
ITを活用して企業の経営効率化やコスト削減など、経営戦略を立案する - 応用情報技術者(基本情報技術者の上位職)
ITを活かした戦略立案とシステム構築を行う - プロジェクトマネージャ
IT関連の深い知識とプロジェクトの責任者とし全体的な統括を行う
上記のような資格はコンサルタントとしての箔をつけられるため、取得しておいて損はありません。
まとめ
SIerとITコンサルタントとの違いには、以下の6つがあげられます。
- 業務の目的
- 仕事内容
- 必要スキル
- 向いている人
- 平均年収
- キャリアパス
同じIT分野ですが、業務の目的はもちろん仕事内容も異なるため、転職を考える方は新たなスキルを身につけ、一からのスタートとなることを理解しておきましょう。SIerからITコンサルタントへの転職となれば、年収アップにも繋がります。
今の年収では満足できない、さらに上流の仕事をしたいという方はぜひ挑戦してみてください。