「デジタルコンサルタントは文系でも目指せる?」「デジタルコンサルタントの年収はどれくらい?」という疑問をお持ちではありませんか?
本記事では、そんな疑問の解決に役立つ内容を
- デジタルコンサルタントの仕事内容や年収
- 文系出身のデジタルコンサルタントについて
- デジタルコンサルタントに求められるスキルや役立つ資格
の順に解説します。
デジタルコンサルタントを目指している方に役立つ記事です。ぜひ最後までご覧ください。
デジタルコンサルタントとは
デジタルコンサルタントとは、デジタル技術を用いてクライアントの課題改善を支援するコンサルタントのことです。
AIやVR、ビッグデータなどの最新テクノロジーを取り入れてクライアントのDXを推進させることで、課題解決や収益拡大、事業成長などを目指します。
近年はさまざまな業界におけるDX化が進められており、デジタルコンサルタントへのニーズも高まっています。
それでは、ITコンサルタントとデジタルコンサルタントは何が異なるのでしょうか?
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ITコンサルタントとの違い
ITコンサルタントとデジタルコンサルタントの違いは「業務の対応領域」です。
ITコンサルタントは「システム開発全般(プロジェクトの下流)」に携わることが多いのに対して、デジタルコンサルタントは「戦略立案(プロジェクトの上流)」を行います。
ITコンサルタントはクライアントに課題解決を支援することがメインですが、デジタルコンサルタントは最新テクノロジーを活用して新たなビジネスを創出することが多いです。
ITコンサルタントについては、以下の記事を参考にしてください。
デジタルコンサルタントの仕事内容
具体的にデジタルコンサルタントはどのような仕事を行うのでしょうか?以下で、デジタルコンサルタントの主な仕事内容を紹介します。
デジタル戦略の立案
デジタルコンサルタントの1つ目の仕事内容は「デジタル戦略の立案」です。デジタル戦略とは、ITテクノロジーを活用し新たなビジネス価値を生み出すための戦略を指します(DX戦略と呼ばれることもあります)。
例えば、クライアントから「新規事業を創出したい」という要望があった際、AI技術を取り入れた新規事業を提案するなどの戦略です。
デジタルコンサルタントはテクノロジーに関する知識はもちろん、業界の動向や法規制、最新情報などを踏まえた上で戦略を考案する必要があります。
デジタルツールの提案
デジタルコンサルタントの2つ目の仕事内容は「デジタルツールの提案」です。具体的にどのような技術やツール、システムを活用して、クライアントの課題を解決していくかを提案します。
例えば、「顧客データ管理を効率化したい」というクライアントのニーズに対して、CRMツールを提案するなどの業務です。
既製品を導入すべきか、オーダーメイドで開発すべきかは、クライアントの置かれている状況によって異なるので、総合的に検討することが求められます。
プロジェクト管理
デジタルコンサルタントの3つ目の仕事内容として「プロジェクト管理」が挙げられるでしょう。
システムやツール、アプリケーションを開発する場合、プロジェクトの管理が必要になります。具体的には、予算やスケジュール、進捗、メンバー、タスクなどのマネジメントです。
システムのリリース時は、メンバーが多くのタスクを抱えやすい時期なので、一人ひとりのタスクを可視化して、業務フローを整えることもあります。
ITデューデリジェンス
最後に紹介するデジタルコンサルタントの仕事は「ITデューデリジェンス」です。
ITデューデリジェンス(IT DD)とは、M&Aを実行する際に買収先のIT資産を評価する取り組みを意味します。
買い手側はM&A戦略を立てる上で、デジタルに関する専門的な知識をもつデジタルコンサルタントに依頼することも多いです。
金額ベースで評価する必要があり、デジタルに関する知見が求められます。
デジタルコンサルタントの年収
それでは、デジタルコンサルタントはどれくらいの年収をもらえるのでしょうか?
デジタルコンサルタントの平均年収は「約650万円」です。
国税庁の「令和4年度民間給与実態統計調査」によると全国平均は「458万円」であるため、全国平均よりも高い収入を期待できます。デジタルコンサルタントの年収は、個人のスキルや経験、コンサルティングファームの規模、プロジェクトの規模などによって左右されます。
以下で、大手コンサルティングファームの平均年収について確認していきましょう。
参考:国税庁「令和4年分 民間給与実態統計調査」
大手コンサルティングファームにおけるデジタルコンサルタントの年収
ここでは、大手コンサルティングファームの「PwCコンサルティング」と「アクセンチュア」の年収を紹介します。
PwCコンサルティング
PwCコンサルティングは、BIG4と称されるコンサルティングファームのひとつです。イギリス・ロンドンに本拠地を構えます。
以下の表で、PwCコンサルティングにおけるデジタルコンサルタントの平均年収をまとめました。
年代 | 平均年収 |
---|---|
20代 | 約789~1,000万円 |
30代 | 約841~1,600万円 |
40代 | 約1,529~2,500万円 |
40代になると役職や仕事内容によっては、2,500万円以上の収入も期待できます。BIG4に関しては以下の記事で解説しているので、ぜひチェックしてみてください。
アクセンチュア
アクセンチュアとは、アイルランド・ダブリンに本部を構えるコンサルティングファームです(実際の本社機能はアメリカのシカゴとニューヨークです)。
アクセンチュアにおけるデジタルコンサルタントの平均年収は、以下の通りです。
年次 | 平均年収 |
---|---|
1年次 | 約430万円 |
5年次 | 約700~1,000万円 |
10年次 | 約1,000万円~1,500万円 |
アクセンチュアでは、コンサルタントとして5年程度経験を積むと、1,000万円を超える年収も期待できます。
なお、PwCコンサルティングとアクセンチュアのデジタルコンサルタントについては、下記で詳しく解説しています。
デジタルコンサルタントは文系でもなれる?
デジタルコンサルタントに関して「技術系の知識が必要なのでは?」「文系出身は目指せないのでは?」と疑問を持っている方も少なくありません。以下で、これらの疑問について回答していきます。
文系出身でもデジタルコンサルタントになれる
結論から述べると、デジタルコンサルタントは文系出身者でも目指せる職種です。
文系出身者がデジタルに関連した職種を敬遠する理由として「プログラミングが書けない」ということが挙げられます。しかし、未経験でもプログラミングは習得可能ですし、実際に文系出身で活躍しているデジタルコンサルタントも多く存在するので心配する必要はありません。
IT業界における文理間の年収格差
IT業界では、文系出身者と理系出身者の年収にギャップはあるのでしょうか?スキルアップ研究所が実施した調査によると、文理間での年収に大きな差はありません。
IT業界は理系出身者が活躍しているイメージが強いですが、現在はIT人材不足が課題視されており、文系出身者が活躍できる機会も増えています。
もちろん、高収入を目指すためにはスキルアップや情報収集などに努める必要がありますが、文系出身者だからといって特別な心配は要しません。
参考:スキルアップ研究所「文系出身者のIT業界への転職に関する実態調査」
デジタルコンサルタントを募集している大手コンサルティングファーム
ここでは、デジタルコンサルタントを募集している大手コンサルティングファームを一覧で紹介します。
アクセンチュア株式会社
アクセンチュア株式会社とは、アイルランド・ダブリンに本拠地を構える世界最大級の経営コンサルティングファームです。
従業員数は世界で約74.2万人にもおよび、グローバルネットワークを活用したサービスを展開しています。
アクセンチュアはデジタルコンサルタントを募集しており、デジタルコンサルタントにはクラウドやインダストリーX、ビッグデータ、ロボティクスなどを扱う専門家としての役割が求められます。
マッキンゼー・アンド・カンパニー(マッキンゼー・デジタル)
マッキンゼー・アンド・カンパニーとは、アメリカに本社を置くコンサルティングファームです。1926年、シカゴ大学の経営学部教授を務めるジェームズ・O・マッキンゼー氏によって設立されました。
現在、マッキンゼー・アンド・カンパニーはデジタルコンサルタントをはじめ、データサイエンティスト、データエンジニアなどのデジタル人材の採用を行っています。
中途採用の場合、デジタルコンサルティングやITコンサルティング会社での経験があることが望ましいとされています。
ボストン コンサルティング グループ
ボストン コンサルティング グループとは、アメリカの本社を構えるコンサルティングファームです。世界50ヶ国以上に拠点をもち、従業員数は約3万人にも及びます。
ボストン コンサルティング グループの国内におけるデジタル領域を担うDigitalBCGは、現在デジタルコンサルタントの募集を行っています。具体的な業務内容は、デジタルトランスフォーメーションの戦略立案や新規デジタル事業の戦略立案などです。
ベイン・アンド・カンパニー
ベイン・アンド・カンパニーとは、アメリカ・ボストンを本拠地とするコンサルティングファームです。1973年にビル・ベイン氏を含む数名のコンサルタントによって立ち上げられました。
ベイン・アンド・カンパニーには200名を超えるテクノロジーの専門家が在籍しており、ITコンサルタントの募集を行っています。
主な業務内容は、Bain Rebooting ITSM(ITトランスフォーメーションの実現)やITパフォーマンス改善、IT M&Aなどです。
デロイト トーマツ コンサルティング合同会社
デロイトトーマツコンサルティング合同会社は、デロイトトウシュトーマツのグループ企業です。デロイトグループは世界150か国に本拠地を構え、グローバルネットワークを活かしたコンサルティングを提供しています。
デジタルを専門とするDeloitte Digitalでは、ストラテジー×クリエイティブ×テクノロジーを掛け合わせたサービスを展開しています。
他にも、Technology, Media & TelecommunicationsやTechnologyなど、デロイトトーマツコンサルティング合同会社はデジタルに関連した部門を複数抱えています。
KPMGコンサルティング株式会社
KPMGコンサルティング株式会社とは、1870年にイギリスで設立されたWilliam Barclay Peat&Co.をもとにする会計・経営コンサルティングファームです。世界146か国に本拠地を構え、世界で約23万人にもおよぶ従業員を抱えています。
同社は2022年に「デジタル人材育成サービス」をスタートするなど、デジタル領域に特化したコンサルティングサービスを展開しています。
PwCコンサルティング合同会社
PwCコンサルティング合同会社とは、イギリス・ロンドンに本拠地を構えるコンサルティングファームです。2016年にプライスウォーターハウスクーパース株式会社が分離・統合したことにより、同社が誕生しました。
現在、PwCコンサルティング合同会社は、デジタルコンサルタントを募集しています。新卒採用では、文理不問で他職種との併願も可能です。
EY アドバイザリー・アンド・コンサルティング株式会社
EY アドバイザリー・アンド・コンサルティング株式会社とは、イギリス・ロンドンに本部を置くコンサルティングファームです。日本においては、EY Japanがサービスを展開しています。
EY Japanは、テクノロジーを活用してクライアントの経営課題解決を目指すテクノロジーコンサルタントを募集しています。
デジタルコンサルタントに求められるスキル
デジタルコンサルタントに求められるスキルについて確認しておきましょう。
論理的思考力
論理的思考力(ロジカルシンキング)とは、結論に至るまで筋道をはっきりとさせながら考えるスキルのことです。
クライアントが抱える課題は一見するだけではわからない複雑なもので、解決に至るまでに論理的思考力が求められます。実際に、ビジネスフレームワークやロジックツリーを活用して、課題解決を目指すこともあります。
論理的思考力はデジタルコンサルタントだけでなく、他のコンサルタントにも共通するスキルと言えるでしょう。論理的思考力は、トレーニングを重ねることで身につけることも可能です。
コミュニケーションスキル
コミュニケーションスキルとは、相手の話の要点を汲み取るスキルや、相手の立場を考えてわかりやすく物事を伝えるスキルのことです。
デジタルコンサルタントは、クライアントをはじめプロジェクトメンバーやエンジニアなど、さまざまな人と関わる機会があります。そのため、コミュニケーションスキルは立場の異なる人と円滑にコミュニケーションを図るために、必須のスキルと言えるでしょう。
選考時もコミュニケーションスキルがあるかをチェックされるので、質問の意図を捉えてわかりやすく伝えることが大切です。
デジタルに関する知識・スキル
デジタルコンサルタントには、デジタルに関する知識・スキルが求められます。デジタル領域に特化した専門家として提案を行うため、デジタルに関する知識が不足しているとクライアントに満足してもらえません。
基本的なデジタルスキルだけでなく、AIなどの最新テクノロジーに関する情報にも常にアンテナをはっている必要があります。
精神力・体力
意外と思う方もいますが、デジタルコンサルタントとしての仕事をこなすためには、精神力や体力が欠かせません。デジタルコンサルタントは、さまざまなタスクを同時にこなす必要があります。さらに、クライアントの期待に応えるために、プレッシャーを感じながら提案内容を考案しなくてはいけません。
そのため、大きなプレッシャーにも耐えられる精神力や体力の強さが重要と言えます。
マネジメントスキル
コンサルティングにおけるマネジメントスキルとは、プロジェクト全体を管理する能力のことです。デジタルコンサルタントからマネージャーポジションへの昇進を目指すためには、マネジメントスキルを身につける必要があります。
タスクやスケジュール、予算、メンバーなどの管理を行い、プロジェクトの品質を維持しながら予定通りに完了させる必要があるので、高度なマネジメントスキルが求められます。
経営や事業に関する知識
経営や事業に関する知識があると、デジタルコンサルタントとしての活躍の幅が広がるでしょう。
プロジェクトの中には、デジタル技術を活用してクライアントの経営課題・事業課題を改善するといった内容のものも少なくありません。経営や事業に関する知識があれば、実現可能性の高い提案を行うことができます。
デジタルコンサルタントを目指す方法
それでは、デジタルコンサルタントになるためにはどうすればいいのでしょうか?
コンサルティングファームのIT部門で働く
デジタルコンサルタントを目指す方法として、IT系コンサルティングファーム、もしくは総合系コンサルティングファームのIT部門に就職する方法があります。
コンサルティングファームに就職することで、デジタルに関連した知識だけでなく、コンサルタントとしての知識を身につけることも可能です。
特に近年はDXに対するニーズの高まりから、IT部門の採用を積極的に行っているコンサルティングファームが増えています。
SIerの経験を積む
SIer(System Integrator:エスアイヤー)とは、システム開発を全面的に請け負う企業のことです。
システム開発に関する知識や技術が身につくため、デジタルコンサルタントとしてクライアントに提案する際も、システム開発を踏まえた提案を行うことができます。
SIerで働く場合、コンサルタントとしての提案力やコミュニケーションを身につけるために、プロジェクトの上流工程に積極的に携わることをおすすめします。
IT業界で経験を積む
デジタルコンサルタントを目指すために、IT業界で経験を積むのもひとつの手段です。コンサルティングファームにおけるデジタルコンサルトの求人に応募する場合、何かしらのIT経験が求められます。
例えば、システムエンジニアやプログラマー、インフラエンジニア、UX/UIデザイナーなどの経験は、選考時のアピールポイントとなります。
特にマネジメントスキルは評価されやすいので、プロジェクトマネージャーとしての経験を積むのも良いでしょう。
IT資格を取得する
ITやデジタルに関する知識やスキルを身につけるために、IT資格を取得すると良いかもしれません。特に初心者からデジタルコンサルタントを目指す場合、IT資格を取得することで基礎的な知識を身につけることができます。
例えば、基本情報技術者やITコーディネータ、CompTIA Project+、ITILファンデーションなどの資格です。これらの資格に関しては、下記で詳しく紹介しているので参考にしてください。
デジタルコンサルタントに役立つ資格
以下で、デジタルコンサルタントに役立つ資格を紹介します。
基本情報技術者
基本情報技術者とは、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が認定する国家資格です。基本情報技術者は「ITエンジニアの登竜門」という位置付けで、ITに関する基礎的な知識を有していることを証明できます。
IT戦略の立案からシステムの企画、要件定義、設計、開発、運用などを行う際に役立つ知識が身につくので、デジタルコンサルタントにも役立つ資格と言えるでしょう。
ITコーディネータ
ITコーディネータとは、ITコーディネータ協会が認定する資格です。
経済産業省認定の資格で、同資格を取得することでIT経営とDXの実現をサポートする能力があることを証明できます。また、これらの知識はデジタルコンサルトの仕事にも活かされます。
試験は「ITコーディネータ試験」と「専門スキル特別認定試験」の2種類があり、ITコーディネータ試験は誰でも受験することが可能です(専門スキル特別認定試験は特定の資格を保有する者のみ受験可能な試験です)。
試験内容としては、PGL関連の必須問題をはじめ、経営系問題(経営戦略・業務改革・IT戦略)や情報系問題(IT戦略・IT利活用)などの問題が出題されます。
CompTIA Project+
CompTIA Project+とは、The Computing Technology Industry Association (CompTIA) が認定する試験です。
同資格を取得することで、プロジェクトの基礎的な知識を有していることを証明できます。上流工程に携わる機会が多いデジタルコンサルタントにとっては、CompTIA Project+の知識が役立ちます。
デジタルコンサルタント以外にも、ITプロジェクトマネージャーやプロジェクトコーディネーター、ITサポートマネージャーなどの職種で活かされる資格です。
ITILファンデーション
ITILファンデーションとは、英国企業AXELOS(PeopleCertの子会社)が認定する資格です。
同資格を取得することにより、ITサービスマネジメント関連の知識や技術を有していることを証明できます。基礎的な知識が問われるので、しっかりと対策をすれば合格を目指しやすい資格です。
ITサービスに関連する知識は、デジタルコンサルタントとして提案内容を考案する際に活かすことができます。
まとめ
今回の記事では、デジタルコンサルタントの働き方に興味がある方に向けて、デジタルコンサルタントの仕事内容や年収、必要なスキル、役立つ資格などを解説しました。
近年はオンライン市場の拡大やDX化などの動きにより、デジタルコンサルタントへの需要が高まっています。ただ、デジタルコンサルタントを目指すためには、デジタルに関する深い知見が求められるので、未経験の方はスキルを向上させることが重要です。
コンサルネクスト.jpは、コンサルティング業界のさまざまな求人情報を紹介しています。興味のある方はぜひ一度お問い合わせください。
※本記事に記載されている企業や求人、資格に関する情報などは2024年時点のものです。