Coum株式会社

クライアントのリピート率7割以上!その背景にあるのはチームワークや柔軟な働き方を大切にするティール組織 Coum株式会社代表 廣瀬 真彦氏インタビュー


デジタル領域の新規事業やマーケティング戦略において、構想・企画から実行まで支援するCoum株式会社。大手企業の案件は7割、さらにクライアントのリピート率も7割以上を誇る。多くの実績を持つプロフェッショナルファームながら、社員の平均残業時間は月間25時間程度だという。

高いパフォーマンスを実現できている理由のひとつが、従来のピラミッド型組織とは異なる「ティール組織」というフラットな組織形態だ。今回は同社の代表取締役を務める廣瀬真彦氏に起業の経緯や事業内容、さらに組織作りのために取り組んでいることを聞いた。

廣瀬 真彦(ひろせ・まさひこ)

上智大学理工学部卒業後、アクセンチュアへ入社。その後タワーレコードへ転職、定額制音楽配信の新規事業プロジェクトに参画する。フリーランスコンサルタントを経てスカイライトコンサルティングへ入社。約10年間デジタル領域の新規事業やマーケティング戦略など多数のプロジェクトに従事、在職中にMBAを取得。2019年にCoum社を設立。

目次

コンサルティング業界の課題を解決するため、自ら会社を立ち上げた

──廣瀬さんのご経歴を伺えますか?

大学卒業後はアクセンチュアに入社し、ビジネスコンサルタントとして主に通信やIT関連のプロジェクトに携わりました。当時はネットベンチャーが台頭してきた時代で、会社のブランドより個人のスキルが求められると思い、個人の力を磨けるコンサル会社を選びました。

その後キャリアチェンジして、タワーレコードに転職しました。当時はまだiPhoneも音楽のサブスクリプションサービスもない時代でしたが、新規事業として定額の聴き放題サービスの立ち上げを手掛けました。

それからコンサル業界に戻り、2年くらいフリーランスのコンサルタントとして活動していた時期もあります。20代でフリーのコンサルタントというのは、まだ珍しい時代でした。フリーランスになったのは、将来起業するための資金を貯めようと思っていたからです。

その後スカイライトコンサルティング社にジョインして、主にデジタル領域のプロジェクトを担当しました。スカイライトに約10年務めた後、2019年にCoum社を起業しました。

──社名の由来を教えていただけますか?

「Coum」は造語で、コラボレーションとかコミュニケーションに使われる「共同」という意味の「Co」と、日本語の「生む」をあわせたものです。社員同士もしくはクライアントと一緒に新しいものを生む、という意味が込められています。

──スカイライトコンサルティング社は御社に出資されていて、良好な関係が伺えます。そんな中で起業されたのはなぜでしょうか?

スカイライトに入り8年くらい経った頃、今の組織や環境のままでは難しいと感じることがいくつか出てきました。これはスカイライトというより、一般的なコンサル会社や業界に対する課題です。

1つはクライアントニーズに対応しきれていない、ということでした。クライアントとしては、事業の立ち上げはあくまでスタート地点です。そこから事業を育て、会社の柱にしていくこともとても重要です。私はデジタル領域の新規事業やマーケティングを担当していたので、PoCとしてのプロダクト構築のニーズがあったり、立ち上げ後にマーケティング運用もやってほしいという相談をいただきました。しかしこういった話はコンサル会社という立場ではお受けできず、もどかしさを感じていました。

もうひとつは働き方や組織の在り方です。スカイライトはすごく働きやすい良い会社でしたが、コンサルティング業界には働き手にとって共通の課題があると思っています。それは人生には子育てや親の介護など様々なライフイベントがある中で、特に女性など優秀であってもこれからの共働き世代はキャリアを継続しにくいということです。また、会社に対する帰属意識やロイヤリティを感じづらい職種で、プロジェクトが異なる組織の仲間と連帯感を持ちにくいとも思っています。

課題をクリアにするために、ご自身で会社を作ろうと考えたわけですね。

そうですね。ちょうどその時「ティール組織」という考え方と出会い、これなら今までと違う組織の在り方が実現できるかもしれないと感じたことが創業のきっかけです。

目指すのはフラットなだけではない、チームで経営する次世代型組織

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──ティール組織は従来の組織とどう違うのでしょうか?

ティール組織(※)を簡単に言うと、権限委譲した上でチームに自発的な取り組みを促す組織です。

※ティール組織はマッキンゼー出身のフレデリック・ラルー氏が自書で提唱したもの。ティール(teal)は「青緑色」という意味で、ラルー氏が著書で組織モデルを5段階に色分けした中のひとつ。

ティール組織が成り立つには、いくつか条件があります。1つ目は、「組織の存在意義を強く意識すること」。社員みんながCoumという会社の存在意義を理解しているからこそ、チームの取り組みが異なっても全体として共通の価値観を持った組織となります。

2つ目が「全体性」です。わかりづらい言葉ですが、私なりに意訳すると仕事の自分とプライベートの自分を分け過ぎずに自然な姿で働くということです。そもそも仕事と生活を分けて、仕事では役割や責任に応じたある種の仮面をかぶって働くということは人類史でいったらごく最近の産業革命後に起こったことです。全体性とはそれらを分けず、自分らしい自然な状態でいることをいいます。

3つ目が「セルフマネジメント」です。権限委譲に伴いメンバーには自発性や自立が求められます。そのために欠かせないのが判断をするための情報です。全社員にあらゆる情報を積極的に公開していくことが必要です。

ティール組織はまだ知名度が低く、私たちはまだ実験段階であるため「チーム経営型組織」と呼んでいます。最大で10人くらいのチームを作り、各チームに権限移譲をしていこうとしています。

──組織作りにおいて、具体的にどんな取り組みをされているのでしょうか?

まず組織の存在意義を意識するには、会社のミッションを浸透させる必要があります。ミッションは、日々の業務とは遠いところにあるので、普段は意識しづらいと思います。そこで、半期の全体会議や社員旅行などの場面で、必ずミッションに関連した話をしています。

あとは評価のタイミングです。半年に1回ある評価の時に、ミッション、ビジョン、バリューに基づくポイントで自己評価をしてもらっています。

日々の業務の中でバリュー、つまり価値観を意識してもらうことも重要だと考えています。そのため、定例会議ではメンバーにバリューと最近の出来事を紐づけて話してもらっています。

例として、入社したばかりのAさんが会議で話してくれたことを紹介します。Aさんは入るプロジェクトが決まり、上司も新しくなりました。弊社はフリーアドレスなのですが、その上司は常にAさんの隣に座ってくれている。だから仕事の相談もできるし、雑談もできる。そこでAさんは「相互信頼」がすごく大事と感じ、これからも相互信頼を意識して仕事をしていきたい、という話をしてくれました。相互信頼というのは、私たちのバリューの一つです。

──会社の存在意義や価値観を共有できていると、会社の業績が悪い時にも自分事として考えられそうです。

会社の業績が悪い時もそうですが、今は働き方の自由度が増しています。「何を理由に会社に属しているか」「そもそも働く理由は何か」という意識は、これからさらに重要になると思います。

私自身、デジタルをやりたいという理由だけなら、おそらく起業していなかったと思います。他にも会社はたくさんあります。優秀な人たちが働く中で、やりがいを持ち、かつ働きやすさも両立できる組織が作れたらすごく意義があるのでは、共感してくれる人も多いのではと考えました。

──全体性については、どんな取り組みをされていますか?

コミュニケーションをすごく重視しています。オンラインでは、Slackでどんなことでも投稿していい「Hello Coum」というチャンネルを設けています。このチャンネルでは、家族とどこかへ行ったなどのプライベートな内容も歓迎しています。これはメンバーの人柄を知るきっかけという位置づけです。

通常雑談チャンネルでは、雑談する人としない人に分かれてしまいます。そこで「Collaちゃん」というボットを導入しました。

ボットが社員へ「一番仕事がはかどるのはどんな環境ですか?」とか「家庭菜園で何を育てたいですか?」といった質問をします。その回答は時間差で自動的に「Hello Coum」に投稿されます。

──オフラインでの取り組みはいかがですか?

全体会議とは別に、Monthly Updateという月に1回、3~4名でオフィスに集まる機会を設けています。上司やプロジェクトメンバーとは異なるメンバーで構成されます。

この場では過去1ヵ月と今後1ヵ月の自分の状況を共有した上で、例えば新人であれば「議事録がうまく書けず真っ赤になって戻されます」というような、自身の課題を話してもらいます。それに対して他の参加者は、直接アドバイスするのではなく「自分だったらどうするか」や「過去に自分はどのように対処したか」ということを共有します。

この場は各自の課題を解決することが目的ではありません。あなたはこうすべきだと指摘するのはNGです。その人がどんな仕事をしていて、どんなことで困っているか、これを理解して共感することが目的となります。

状況の理解と共感があれば、何かあった時に手を差し伸べやすくなります。懇親会や社員旅行といった仕事以外でのコミュニケーションも実施しますが、業務と人となり、両方を理解することでお互いの全体を理解し、受け入れてもらえる状況を設計しています。

──ティール組織では、セルフマネジメントを実現するため、情報公開が必要とのことでした。御社ではどんな情報を公開しているのでしょうか?

毎月全体会議で経営数字は全部公開して、財務諸表も常に誰でも見られるようになっています。営業情報もSlackで常に共有しています。さらに採用情報もオープンにしています。採用部門と役員だけで決めるのではなく、現場メンバーも面接に入り、チームの仲間としてやっていけそうか判断してもらっています。

実は情報を公開する中で、経営層の資質や能力が求められることに気づきました。情報公開では清廉潔白さが求められます。また、経営数字はいい時ばかりではないので、それを積極的に公開するという胆力と、それでもメンバーを不安にさせないリーダーシップが必要です。

少数精鋭のプロ集団として、企画から実行までデジタル領域のあらゆる支援ができる

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──事業内容について教えていただけますか。

主にデジタル領域の新規事業、マーケティング戦略、営業戦略などについて、構想から実行まで少人数によるコンサルティングをしています。

デジタルによる新しい取り組みを行うとき、必ずしも全てが成功するというわけではありません。そんな中で、少人数でも効果的にお手伝いできるところが強みだと思っています。「まだ明確なイメージはないけれど、新しいことをやりたいから相談に乗ってほしい」というお話も多くいただいています。

テーマとして最近多いのは、ビッグデータ活用やデータサイエンスの領域です。現在も大手2社協業のビッグデータを活用した新規事業を構想・企画段階からお手伝いしています。最近話題になっている生成AI関連の案件も増えてきています。

──クライアントからのリピート率が7割とお聞きしました。

おかげさまで多くのお客様からリピートしていただいています。この7割とは、単に契約の継続ではなく新しいテーマでご依頼を受ける割合となっています。

例えばある大手メーカーさんは、毎年来年度の構想・計画を立案する際にお声がけいただいています。毎年テーマは様々ですので、そのときに見合った経営課題を一緒に検討しています。

チーム型経営だからこそ、社員の価値観やチークワークを重視している

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──社員は何名いらっしゃいますか?

社員は約20名です。バックオフィスの数名を除けば全員コンサルタントです。私たちのコンサルタントは大きく分けると「ビジネスコンサルタント」と「DXコンサルタント」という2職種があります。

ビジネスコンサルタントはいわゆる総合コンサルで、戦略企画や事業を立ち上げるプロジェクトの推進、事業拡大などを手掛けます。DXコンサルタントはウェブサイトをリニューアルして、マーケティングオートメーションを導入する案件や、DtoC型の自社ECを構築する案件など、DXに関連するテーマを担当します。

──今後人材を増やしていく予定はありますか?

ニーズは増えていますので、経験者はもちろんですが、コンサル未経験の方も積極的に採用しています。社内にいるコンサルタントの約半分は、コンサル未経験で入社しています。

──御社が採用で重視していることを伺えますか?

私たちが設けている採用基準は、大きく分けて3つあります。

1つ目は、価値観が合うかという点です。例えば私たちは「プロフェッショナルでも自分の優位性を主張するより、クライアントと協調しながら取り組む」とか「組織をよくしていくことに興味がある」という価値観を大切にしています。ティール組織では個々のメンバーが自分で意思決定するため、こういった価値観をメンバーが理解して、共感することが大切です。

2つ目はチームワークです。コンサルファームでチームワークを重視するところは少ないかもしれません。ただ私たちは、組織への貢献があって初めてチームとしてパフォーマンスが発揮できると考えています。

3つ目は思考スキルやコミュニケーション能力です。これは他のコンサルティングファームでも同様だと思います。弊社では新しい技術やサービスに触れる機会がすごく多いので、新しいものに関心を持ち、柔軟に対応できるスキルも大事です。

──採用後はどのようなプロジェクトに参画されるのでしょうか?

チーム型経営のため、営業提案とデリバリーはあまり分かれていません。そのため新しいメンバーも、提案から顧客へのサービス提供まで全て関わります。

小規模で企画系のプロジェクトが多く大手企業との直接取引も多いため、新人の方もクライアントの上位役職者と接する機会が多いです。クライアントとワークショップを実施して、一緒に企画を立てることもあります。未経験や若手の方がこういった経験ができるのは、Coumならではだと思います。

Coum株式会社 企業情報

社名Coum株式会社(コウム株式会社)
設立2019年3月11日
従業員数19名(2023年2月時点)
所在地〒107-0052
東京都港区赤坂8丁目4-14 青山タワープレイス8階
青山一丁目駅 4番北出口 徒歩1分
乃木坂駅 1番出口 徒歩9分
事業内容デジタル領域に関わる経営コンサルティング

顧客接点のデジタルトランスフォーメーション

業務プロセスのデジタルトランスフォーメーション
主要取引先オムロン ヘルスケア株式会社
株式会社学研ホールディングス
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株式会社テレビ東京
株式会社TBSホールディングス
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