
Excelで管理している売上、顧客、アンケート、プロジェクト進捗などを生成AIで分析したいものの、「NotebookLMにExcelをそのまま読み込めるのか」「数値集計まで任せてよいのか」と迷う担当者も少なくありません。
結論として、一般向けのNotebookLM(現Gemini Notebook)では、Google SheetsとCSVが公式の対応ソースに含まれる一方、通常の対応ソース一覧にMicrosoft Excel(.xlsx)は含まれていません。
一方、Gemini Notebook Enterpriseでは.xlsxが対応ファイル形式に含まれており、Excelブックを直接ソースとして追加できます。
一般的な利用では、継続更新するExcelならGoogleスプレッドシートへの変換、1枚の明細データならCSV、帳票やレイアウトを資料として読ませたい場合はPDFが扱いやすい選択肢です。さらに2026年には、対象ユーザー向けにコード実行による高度な分析や.xlsx形式の成果物生成も追加されました。
本記事では、Excelデータの取り込み方法、分析できること、実務で使えるプロンプト、Copilot in Excel・Gemini in Sheetsとの違い、誤集計や機密情報の扱いまで整理します。
- NotebookLMでExcelを扱う際の対応状況
- NotebookLMへExcelデータを取り込む方法
- NotebookLMでExcelデータを分析してできること
- NotebookLMでExcelを扱うメリットとデメリット
- NotebookLMとExcel・Gemini in Sheets・Copilot in Excelの違い
- NotebookLMでExcelデータを分析する実務手順
- NotebookLMでExcelを活用した実務検証例
- NotebookLMでExcelを扱う際の失敗要因と対策
- NotebookLM・Excelを含むAI活用の導入判断
- AI導入支援は「フリーコンサルタント.jp」へご相談ください
- まとめ
NotebookLMでExcelを扱う際の対応状況
NotebookLMは2026年7月に「Gemini Notebook」へ名称変更されました。
名称変更後も同じスタンドアロン製品ですが、一般向けサービスとGemini Notebook EnterpriseではExcelファイルへの対応が異なります。
まずは、「Excelをソースとして入れる」「Excel由来のデータを分析する」「分析結果をExcel形式で出す」の3つを分けて理解することが重要です。
NotebookLMからGemini Notebookへの名称変更
Googleは2026年7月16日、NotebookLMを「Gemini Notebook」へ名称変更しました。
Googleは、名称変更後も従来と同じ独立したリサーチ製品として提供を継続すると説明しています。
参考:Google公式ブログ
そのため、検索結果や現在の管理画面に「Gemini Notebook」と表示されても、この記事で扱うNotebookLMと別の製品ではありません。
本記事では検索時に馴染みのある「NotebookLM」を中心に表記し、必要な箇所のみ「NotebookLM(現Gemini Notebook)」と併記します。2026年には、名称変更だけでなく、セキュアなクラウドコンピュータを使ったコード実行や成果物生成なども追加されています。
2025年以前の記事だけを前提にすると、Excel・CSV・Google Sheetsの対応状況や分析機能を誤認する可能性があります。
一般版とGemini Notebook Enterpriseで異なるExcel対応
一般向けGemini Notebookの公式ヘルプでは、Google Sheets、CSV、Word、PowerPoint、PDFなどが対応ソースとして案内されています。
一方、Microsoft Excel(.xlsx)は通常の対応ソース一覧に含まれていません。
これに対し、Google CloudのGemini Notebook Enterpriseでは.xlsxが公式の対応ファイル形式に含まれています。
複数シートを含むExcelブックも扱えますが、各シートは個別に処理されます。
Google Cloudの公式ドキュメントでは、一般的なソースサイズ上限の範囲内で、Excelは1シートあたり約15万のアクティブセルを処理できると案内されています。
また、複雑な書式や多数のセルを含む.xlsxは、表構造や書式を解析用の中間形式へ変換することで処理量が増える場合があります。
一般利用ではGoogle SheetsまたはCSVへの変換、Gemini Notebook Enterpriseでは.xlsx直接取り込みも選択肢 と整理すると判断しやすくなります。
| 比較項目 | 一般向けGemini Notebook | Gemini Notebook Enterprise |
|---|---|---|
| .xlsx直接入力 | 通常の公式対応ソース一覧には含まれない | 対応 |
| Google Sheets | 対応 | 利用環境・取り込み方法に応じて利用 |
| CSV | 対応 | .xlsx直接入力が必要な場合はEnterpriseを利用。CSVの利用可否は契約環境の最新仕様を確認 |
| Excelの複数シート | Google Sheets変換後は複数タブを1ソースとして取り込み可能 | 各シートを個別に処理 |
| Excel処理量の目安 | Google Sheetsは1ファイル10万トークン | 1シートあたり約15万アクティブセル。一般的なソースサイズ上限あり |
| 主な用途 | Google Sheets/CSVへ変換した分析、複数資料との横断 | .xlsxを含む企業管理下での分析 |
| 元ファイルの直接編集 | 不可 | 不可 |
Excelの入力・分析・出力を分けた理解
「.xlsxを直接入力できるか」と「Excelデータを分析できるか」は同じ意味ではありません。
一般向け環境でも、ExcelをGoogle SheetsやCSVへ変換すれば、表データをソースとして分析できます。
さらにGoogleは2026年6月、対象ユーザー向けにNotebookLMのコード実行機能と新しい成果物生成機能を発表しました。
参考:Google公式ブログ
セキュアなクラウドコンピュータ上でコードを実行し、データ分析やグラフ作成を行えるほか、成果物としてCSV、PDF、Microsoft Excel(.xlsx)などを生成できます。
2026年6月時点の発表では、これらの高度機能はGoogle AI Ultraと、AI Expanded Accessを持つ一部のWorkspaceビジネスユーザーから展開されています。
利用範囲は拡張される可能性があるため、実際の画面で提供状況を確認してください。
「Excelを直接読み込めない環境だから、NotebookLMではExcelデータを扱えない」とは限りません。
NotebookLMへExcelデータを取り込む方法
Excelデータの取り込み方法は、利用環境とデータ構造で選びます。
主な選択肢は、Gemini Notebook Enterpriseでの.xlsx直接取り込み、Googleスプレッドシートへの変換、CSVへの保存、PDFへの変換の4つです。
複数シートを継続更新するならGoogle Sheets、1枚の明細を分析するならCSV、帳票やレイアウトを資料として理解させたいならPDFが使いやすくなります。
Gemini Notebook Enterpriseで.xlsxを直接取り込む方法
Gemini Notebook Enterpriseを利用している企業では、Excelブックを.xlsxのままソースとして追加できます。
Google Cloudの公式ドキュメントでも、.xlsxはサポート対象のコンテンツタイプとして明記されています。
基本的な流れは次のとおりです。
- 分析対象 of Excelブックを用意する
- Gemini Notebook Enterpriseで対象ノートブックを開く
- ファイルソースとして.xlsxをアップロードする
- 読み込み後、対象シートや列を指定して質問する
複数シートはそれぞれ処理され、表構造や書式は解析用の中間形式へ変換されます。
そのため、すべてのシートを無条件に渡すのではなく、分析に必要なシートと列へ絞る方が扱いやすくなります。
ExcelをGoogleスプレッドシートへ変換する方法
一般向けNotebookLMで、複数シートや継続更新するデータを扱う場合は、Googleスプレッドシートへの変換が有力です。
手順は次の流れです。
- ExcelファイルをGoogle Driveへアップロードする
- Googleスプレッドシートとして開き、分析用ファイルとして保存する
- NotebookLMで「ソースを追加」を選ぶ
- Google Driveから変換後のGoogleスプレッドシートを追加する
- 列名、対象期間、集計条件を指定して質問する
現行の公式ヘルプでは、Google Sheetsは正式な対応ソースであり、1ファイルあたり10万トークンの上限が案内されています。
Google Driveから取り込んだ対応ファイルは自動更新され、ノートブックを開いた際などに同期されます。
必要に応じて手動同期も可能です。
週次の売上表、案件管理表、KPI表など、元データを定期的に更新する業務ではGoogle Sheets経由が扱いやすい選択肢 です。
ただし、Excel固有の数式、マクロ、複雑な書式をそのままNotebookLMで実行できるわけではありません。
変換後は、分析対象の値や列が意図どおり残っているか確認してから利用します。
ExcelをCSVへ保存して取り込む方法
1枚の明細表や行数の多い一覧データは、CSVへ変換すると表構造を単純化できます。
Excelで分析対象のシートを開き、CSV形式で保存したうえで、NotebookLMのファイルアップロードから追加します。
現行のGemini Notebook公式ヘルプではCSVが正式な対応ソースに含まれているため、古い記事にある「CSVを.txtへ変更する」といった手順は現在は原則不要です。
CSVは複数シート、セル書式、グラフなどを保持しません。
その分、「1行1レコード」で構成された売上明細、顧客一覧、アンケート回答、ログデータなどに向いています。
複数のシートをCSVへ変換する場合はファイルが分かれるため、「売上_2026Q2.csv」「顧客アンケート_202607.csv」のように期間と用途をファイル名へ入れると、NotebookLM側でも指定しやすくなります。

CSVは見た目の再現より、列と行の意味を明確にして分析したい場合に向いています。
ExcelをPDFへ変換して取り込む方法
月次報告書、予実表、帳票など、セル単位の再計算より「資料としての見た目」を確認したい場合はPDFが候補になります。
Excelで対象シートや印刷範囲を指定し、PDFとして書き出した後、NotebookLMへアップロードします。
これにより、表、見出し、帳票上の配置を含む資料として読み取らせやすくなります。
ただし、PDFに変換すると、Excelの数式やセル操作を実行できるわけではありません。
PDFは「表計算の代替」ではなく、「Excelから作られた資料の理解」に使う形式 と考える必要があります。
行単位の集計、フィルタ、数値検証が中心ならGoogle SheetsやCSVを優先します。
形式選択で迷う場合は、表②の「更新」「複数シート」「レイアウト」の3軸で判断してください。
| 方法 | 直接性 | 複数シート | 更新 | 表構造 | レイアウト | 向く用途 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| Google Sheets | Excelから変換 | 対応 | Driveソースは自動同期・手動同期 | 保ちやすい | 一部変化する可能性 | 週次売上、案件表、KPI表 |
| CSV | Excelから書き出し | 1ファイル1シート相当 | 再アップロードが基本 | 単純 | 保持しない | 売上明細、顧客一覧、アンケート |
| Excelから書き出し | 出力方法による | 再アップロードが基本 | 資料として参照 | 保ちやすい | 月次報告、予実表、帳票 | |
| Enterpriseの.xlsx | 直接 | 対応 | 静的コピーとして分析 | 書式・表構造を中間形式へ変換 | 分析用に保持 | Enterprise環境のExcelブック |
NotebookLMでExcelデータを分析してできること
NotebookLMの強みは、Excelのセルを直接編集することではなく、表データの意味を読み取り、他の資料と組み合わせながら傾向や理由を言語化することです。
売上やKPIの変化点、アンケートの自由記述、議事録との横断分析、表形式での再整理など、Excel単体では手作業が多くなりやすい工程を補助できます。
売上・KPIデータの傾向と変化点の抽出
売上表やKPI一覧を取り込むと、「前月比で落ち込んだ商品」「目標未達の部門」「売上増加率の高い顧客群」といった問いを自然言語で確認できます。
ただし、「売上を分析してください」のような曖昧な指示では、どの列を売上として扱うか、どの期間を対象にするか、顧客単位か商品単位かがAI任せになります。
たとえば、次のように条件を具体化します。
悪い例:「売上上位10社を出してください」
改善例:「『売上金額』列を『顧客名』ごとに合計し、2026年4月1日〜6月30日のデータのみを対象にしてください。返品区分が『返品』の行は除外し、合計売上金額の上位10社を降順の表で示してください。」
いわてデジタル活用室の公開検証でも、最初の曖昧な依頼では期待した集計にならず、「売上累計」「得意先名」といった項目を明示したことで目的のTOP10を取得できた例が紹介されています。
数値分析では、AIに列の意味を推測させず、列名・期間・計算方法・除外条件・並び順を明示することが重要 です。
アンケート自由記述からの課題・ニーズ整理
NotebookLMは、Excel関数だけでは扱いにくい自由記述の整理にも活用できます。
たとえば、顧客アンケートのコメントを「価格」「操作性」「サポート」などのテーマへ分類し、年代や顧客区分と組み合わせて傾向を確認できます。
プロンプト例は次のとおりです。
「『年代』列が20代の回答だけを対象に、『自由記述』列から不満点を抽出してください。内容を『価格』『操作性』『サポート』『その他』に分類し、各分類の件数、代表的な意見、改善仮説を整理してください。」
Yoomの公開検証では、アンケートの自由記述を使い、ポジティブ・ネガティブのニュアンス整理、20代に限定した不満傾向の要約、指定した観点での表形式整理が試されています。
厳密な統計処理と、文章の意味を整理して仮説を作る作業を分けること が重要です。
母数、比率、統計的有意差などを正式な報告に使う場合は、Excel、BIツール、統計ソフトなどでも確認します。
Excelと議事録・提案書・調査資料を横断した分析
NotebookLMがExcel単体のAI機能と異なる点は、表データ以外の資料を同じノートブックへ追加しやすいことです。
たとえば、売上表、商談議事録、顧客アンケート、製品資料を同じノートブックに入れると、次のような問いへ発展させられます。
- 売上が低下した顧客を売上表から特定する
- 該当顧客の商談議事録から共通する不満を抽出する
- 製品資料と照合し、現在の機能で解決できる課題と未対応課題を分ける
- 次回商談で確認すべき論点を整理する
Gemini Notebookのチャットでは、登録したソースを根拠に回答し、引用から元資料へ戻って確認できます。
そのため、Excelの数字だけでは判断できない「なぜ起きたか」を複数資料から探る用途と相性があります。
NotebookLMは「Excelを操作するAI」より、「Excelデータを他の資料と結び付けて意味を読み解くAI」と捉えると使い分けやすくなります。
分析結果の表・Google Sheets・Excel形式への出力
NotebookLMには、複数ソースから情報を整理した「Data Tables」を作成し、Google Sheetsへ書き出す機能があります。
会議記録からアクション一覧を作る、複数資料から競合比較表を作るといった用途に向きます。
Excelデータ分析でも、「案件リスク一覧」「顧客要望一覧」「改善施策候補」のように、文章と表データから抽出した情報を再び構造化し、Google Sheets側で加工する流れを作れます。
また、2026年の高度な成果物生成では、対象ユーザー向けにMicrosoft Excel(.xlsx)も出力形式として追加されました。
参考:Google公式ブログ
利用できる機能はアカウントやプランによって異なるため、自社環境で実際に表示される成果物形式を確認します。
NotebookLMでExcelを扱うメリットとデメリット
NotebookLMをExcel業務へ取り入れる価値は、自然言語で質問できること、複数資料を横断できること、回答から根拠へ戻りやすいことにあります。
一方、Excelブックそのものの直接編集や、確定値の計算を全面的に置き換えるサービスではありません。
導入時は、「何を便利にしたいか」と同時に「何をNotebookLMへ任せないか」を決める必要があります。
NotebookLMでExcelを扱うメリット
主なメリットは次のとおりです。
- 関数やピボットテーブルを組む前に、自然言語でデータの傾向を確認できる
- Excelだけでなく、PDF、Word、Webページ、議事録など複数のソースを横断できる
- 回答に引用を付け、元資料へ戻りながら内容を確認できる
- Data Tablesやレポートを使い、「読み取る→整理する→共有する」の工程を短縮できる
- 高度機能を利用できる環境では、コード実行による複雑な分析へ範囲を広げられる
特に、 数値の集計結果だけでなく、その背景や関連資料まで読んで説明を作りたい業務 で効果を出しやすくなります。
NotebookLMでExcelを扱うデメリット・限界
一般向けGemini Notebookでは、.xlsxが通常の対応ソース一覧に含まれていないため、利用環境によってGoogle SheetsやCSVへの変換が必要です。
また、NotebookLMは元のExcelブックを直接編集する表計算ソフトではありません。
数式セルを修正する、シートを追加する、PivotTableを組む、既存帳票のセルへ値を書き戻すといったExcelネイティブの操作は、ExcelやCopilot in Excelの方が適しています。
さらに、AIの出力は検証が必要です。
決算数値、請求金額、予算確定値、法定報告など、誤りの影響が大きい数値をNotebookLMの回答だけで確定させる運用は避けます。
NotebookLMは「傾向・仮説・説明」を支援し、確定計算はExcelや基幹システムで再確認する役割分担 が基本です。
NotebookLMとExcel・Gemini in Sheets・Copilot in Excelの違い
4つのツールは、同じ「表データ×AI」に見えても役割が異なります。
NotebookLMは複数資料の理解と横断分析、Excelは厳密な表計算、Gemini in SheetsとCopilot in Excelはスプレッドシート内でのAI支援に強みがあります。
最初から1つへ統一するより、業務の工程ごとに使い分ける方が実務的です。
判断の目安は次のとおりです。
- 複数資料を横断し、「なぜ」を調べる → NotebookLM
- Excelブックの計算、修正、グラフ、PivotTableを扱う → Excel/Copilot in Excel
- Google Sheets内で表作成、数式、ピボット、可視化を行う → Gemini in Sheets
- 調査と仮説形成はNotebookLM、確定計算と加工はExcel/Sheets → 併用
| 比較軸 | NotebookLM | Excel | Gemini in Sheets | Copilot in Excel |
|---|---|---|---|---|
| 主な目的 | 複数資料の理解・横断分析・説明 | 正確な表計算・データ加工 | Google Sheets内のAI支援 | Excelブック内のAI支援 |
| Excel直接編集 | △ 高度成果物で.xlsx出力は可能だが元ブック編集ではない | ○ | × | ○ |
| 複数資料横断 | ○ | △ 手動での集約が中心 | △ シート内データの分析が中心 | △ Excelブック内の分析が中心 |
| 自然言語分析 | ○ | △ 標準機能のみでは限定 | ○ | ○ |
| 数式作成 | 主用途ではない | ○ | ○ | ○ |
| ピボット・グラフ | 成果物・コード分析で対応する場合あり | ○ | ○ | ○ |
| 根拠ソース確認 | ○ 引用から確認しやすい | △ | △ | △ |
| 向く業務 | 複数資料の調査、定性分析、仮説形成 | 確定計算、財務モデル、帳票 | Sheets上の表作成・数式・分析 | Excel上の編集・数式・PivotTable・グラフ |
Microsoftの公式サポートでは、Copilot in ExcelがExcelの組み込み機能を使い、ワークシート編集、数式生成、チャート、PivotTable、並び替えやフィルタなどを実行できると案内しています。
Googleの公式ページでは、Gemini in Sheetsが表作成、数式生成、ピボットテーブル、条件付き書式、データ分析、グラフ作成などに対応しています。
Excel内で直接変更したいのか、複数資料から意味を読み解きたいのかを分けることが、ツール選定の起点 です。
NotebookLMでExcelデータを分析する実務手順
業務導入では、Excelをアップロードしてすぐに分析を始めるより、「目的設定→データ整形→形式選択→質問→検算」の順に進める方が失敗を減らせます。
特にPoCでは、便利そうに見えるかではなく、既知の正解と一致するか、確認工数を含めて業務時間が減るかまで評価します。
ステップ1.分析目的と正解条件の設定
最初は1つの業務課題へ絞ります。
たとえば、「顧客別売上上位10社」「解約顧客の不満理由」「遅延案件の共通点」のように、答えを確認しやすいテーマが適しています。
分析前に決める項目は次の5つです。
- 目的:何の判断に使うか
- 対象データ:どのファイル、期間、列を使うか
- 正解値:Excelですでに確認できる合計や件数
- 出力:表、要約、分類、仮説など何を求めるか
- 合格条件:どの程度一致すれば業務利用を検討するか
PoCでは、AIの回答時間だけでなく、人が検算する時間も含めて従来作業と比較します。
「回答が速い」ではなく、「確認まで含めた業務全体が短くなるか」を評価すること が重要です。
ステップ2.NotebookLMが読み取りやすいExcelデータへの整形
AIへ渡す表は、見栄えよりデータ構造を優先します。
基本は「1行1レコード、1列1項目、1行目に明確な列名」です。
たとえば「売上」「金額」だけではなく、「2026年7月売上金額(円)」のように、意味と単位を列名で明示します。
次の要素は、可能な範囲で分析用シートから外します。
- 結合セル
- 複数段のヘッダー
- 途中の空白行
- 小計や合計の挿入行
- 同一シート内に混在する別表
- 分析に不要な装飾やコメント
数式についても、「数式のロジックを確認したい」のか、「数式で計算された値を分析したい」のかを分けます。
後者であれば、値を中心にした分析用シートを用意すると判断しやすくなります。
元ファイルは直接加工せず、 AI分析専用のコピーを作り、元データを戻せる状態を残す運用 が適しています。
ステップ3.用途に合う形式でのNotebookLMへの追加
データ構造と更新頻度に合わせて形式を選びます。
- 継続更新する複数シート → Google Sheets
- 1枚の明細データ → CSV
- 帳票、レイアウト、報告書 → PDF
- Gemini Notebook Enterprise利用企業 → .xlsx直接取り込みも候補
ソース名には期間や対象を入れます。「売上表」だけではなく、「売上_2026Q2」「顧客アンケート_202607」としておくと、プロンプトで参照元を指定しやすくなります。
Google Driveから取り込んだ対応ソースは自動更新されるため、継続利用では同期方式まで含めて形式を決めます。
ステップ4.列名・条件・出力形式を指定した質問
Excel分析用のプロンプトは、「何を」「どの列で」「どう計算し」「何を除き」「どの形式で出すか」の順に書くと整理しやすくなります。
汎用テンプレートは次のとおりです。
「[対象ソース]を使い、[数値列]を[集計単位の列]ごとに[合計/平均/件数]してください。対象期間は[期間]です。[除外条件]を除き、[並び順]で[出力形式]として示してください。分析結果の根拠となるソースも確認できる形にしてください。」
具体例:
「『売上金額』列を『顧客名』ごとに合計し、2026年4〜6月のみを対象としてください。返品データを除外し、売上上位10社を降順の表で示してください。結果を解釈する前に、対象行数と売上合計も示してください。」
最初から大量の分析を依頼せず、次の順に分けると確認しやすくなります。
- 列名とデータの意味を説明させる
- 対象件数を確認する
- 集計する
- 結果の傾向を解釈する
- 改善仮説を出す
Google Workspaceの公式ブログでは、プロンプトの基本要素としてPersona、Task、Context、Formatが紹介されています。
Excel分析では、これに「列名」「計算条件」「除外条件」を加えると実務上の曖昧さを減らせます。
ステップ5.元データとの検算と業務への反映
AIが出した集計値は、業務へ反映する前に元データと照合します。
合計、件数、平均値、最大値など再現可能な数値はExcel側でも計算し、一致するか確認します。AIが示した「理由」「共通点」「改善案」については、引用元や該当ソースへ戻って根拠を確認します。
レポートでは、「元データで確定した数値」と「AIが整理した解釈・仮説」を分けて表示します。これにより、経営会議や営業会議でAIの説明が確定情報として扱われる事故を防ぎやすくなります。
問題なければ、Data Tables、Google Sheets、レポート、対象ユーザーではExcel成果物などへ展開します。
レビュー工程は「AI回答→根拠確認→数値検算→承認→共有」の順に固定化 すると、担当者ごとの差を抑えられます。
NotebookLMでExcelを活用したユースケース
公開されている検証例を見ると、NotebookLM is 「Excelを直接操作する」より、CSVやGoogle Sheetsへ変換したデータへ具体的な質問を投げ、結果を確認する使い方が実務へ落とし込みやすいと分かります。
ここでは、売上集計とアンケート自由記述の2つを紹介します。
売上分析|CSVの得意先別売上からの上位顧客抽出
いわてデジタル活用室では、販売管理システムから出力した売上データを使い、NotebookLMで得意先別の売上TOP10を確認する検証を公開しています。
最初に「売上トップ10を集計してください」と依頼した際は、NotebookLMから集計条件の確認を求められています。その後、「売上累計」を「得意先名」ごとに集計するよう項目を具体化すると、目的とする一覧を得られたと紹介されています。
この検証から得られる実務上の教訓は、AIへ業務定義を推測させないことです。
改善前:「売上トップ10を出してください」
改善後:「『売上累計』を『得意先名』ごとに集計し、売上累計の上位10社を降順の一覧表で表示してください。」
自社データでは、さらに期間、返品、キャンセル、税区分などの条件も明示します。
アンケート分析|自由記述と属性データからの傾向整理
Yoomの公開検証では、Excel由来のアンケートデータをGoogleスプレッドシートへ変換し、自由記述を含む非定型データの傾向分析を試しています。
検証では、ポジティブ・ネガティブのニュアンス整理、20代の主な不満点の要約、「価格・操作性・サポート」の3観点での分類と件数整理などが行われています。
この使い方は、Excel関数だけでは扱いにくい「文章の意味」を整理する用途に向いています。たとえば、営業企画なら失注理由、マーケティングならVOC、DX推進なら現場ヒアリングの自由記述を整理する場面へ応用できます。
一方、公開検証の結果をそのまま自社データへ一般化することはできません。データ量、列構成、表現のばらつきによって結果が変わるため、 自社の代表データで正解を用意し、分類結果を人が確認するPoC が必要です。
NotebookLMでExcelを扱う際の失敗要因と対策
NotebookLMをExcel業務へ組み込む際は、操作方法より「誤ったデータを正しいように扱うこと」を防ぐ設計が重要です。
主な失敗要因は、ファイル形式、複雑な表構造、曖昧なプロンプト、同期ずれ、数値の無検算、機密データの扱いの6つです。
| 失敗要因 | 主なリスク | 対策 | 確認担当 |
|---|---|---|---|
| 一般版へ.xlsxを直接追加 | 読み込み不可・手順停滞 | Google Sheets/CSVへ変換。Enterprise契約時は.xlsx直接入力を確認 | 利用担当・情報システム |
| 複雑な表構造 | 列誤認、小計の二重計上、対象範囲のずれ | 1行1レコード・1列1項目へ整理し、分析用コピーを作成 | データ担当・業務担当 |
| 曖昧なプロンプト | 業務定義と異なる集計 | 列名、期間、計算、除外、並び順、出力を指定 | 業務担当 |
| ソース更新のずれ | 古い数字を最新値として報告 | 継続更新はDrive連携、同期状態と更新日を確認 | データ担当 |
| AI数値の無検算 | 売上・予算・請求などの誤報告 | Excel・BI・基幹システムでクロスチェック | 業務責任者・承認者 |
| 機密データの無条件投入 | 規程違反、共有範囲の誤設定、情報管理リスク | 利用アカウント、情報区分、共有、保持、承認ルールを定義 | 情報システム・法務・セキュリティ |
失敗要因1.一般版での.xlsx直接追加による読み込みエラー
症状は、Excelファイルをソースとして選べない、または.xlsxをそのまま追加できない状態です。
原因は、一般向けGemini Notebookの通常の対応ソース一覧にGoogle SheetsやCSVはある一方、.xlsxが含まれていないことです。対策として、一般利用ではGoogle SheetsまたはCSVへ変換します。Gemini Notebook Enterpriseを利用している企業では.xlsx直接入力を検討できます。
ファイル形式でつまずいた場合は、ブログの手順より先に公式ヘルプの対応ソース一覧を確認 します。
失敗要因2.複雑な表構造による列・集計範囲の誤認
結合セル、複数段ヘッダー、空白行、小計行、別表が混在するシートでは、AIが列と値の対応や集計範囲を誤って解釈するリスクが高まります。
対策は、分析用シートを「1行1レコード・1列1項目」に近づけることです。不要列や小計行を除き、列名へ意味と単位を入れます。
元の業務用Excelは残し、AI分析用のコピーを別に作ります。これにより、分析しやすい形へ整形しても本来の業務帳票を壊さずに済みます。
失敗要因3.曖昧なプロンプトによる集計条件のAI任せ
「売上上位を出して」「伸びた商品を教えて」といった依頼では、対象列、期間、集計単位、除外条件が明確ではありません。見た目は正しい表が出ても、自社の業務定義と異なる集計になる可能性があります。
対策は、「列名+対象期間+計算方法+除外条件+並び順+出力形式」をセットで指定することです。
たとえば次のように書きます。
「『売上金額』列を『顧客ID』ごとに合計してください。対象は2026年4月1日〜6月30日で、『取引状態』が『取消』の行を除外してください。合計額の上位10件を降順の表で示してください。」
公開検証でも、対象項目を具体化した後に目的の売上TOP10を取得できた例があります。
失敗要因4.更新済みExcelとNotebookLMソースの同期ずれ
週次や月次で継続利用すると、「元の表は更新済みなのに、NotebookLMは古いソースを参照している」という問題が起こり得ます。
手動アップロードしたCSVやPDFは、元のExcelを更新しても自動で同じ内容へ変わるわけではありません。一方、現行の公式ヘルプでは、Google Driveから取り込んだ対応ファイルは自動更新され、必要に応じて手動同期もできます。
失敗要因5.AIの数値を検算しない確定値利用
NotebookLMで合計やランキングが表示されると、そのまま月次資料へ転記したくなります。しかし、AIによる分析・推論と、Excelや基幹システムで定義された確定ロジックは分けて扱う必要があります。
合計、平均、件数などは、Excel関数、PivotTable、BIツール、基幹システムなどでも算出し、クロスチェックします。
高度なコード実行機能を利用できる環境でも、決算、請求、予算、評価など重要数値は承認・検算工程を残します。
役割分担は次のように整理できます。
- NotebookLM:傾向、仮説、説明、関連資料の整理
- Excel/基幹システム:確定値、定型計算、業務ロジック
- 人:最終確認、例外判断、承認
失敗要因6.個人アカウントへの機密データの無条件投入
顧客情報、営業秘密、人事情報、未公開の財務情報などを扱う場合、「AI学習に使われない」と「企業として安全に管理できる」は同じ意味ではありません。
Googleは、対象となるGoogle WorkspaceやWorkspace for Educationの利用では、アップロード、クエリ、モデル応答を人間によるレビューやAIモデル改善に使用しないと説明しています。
Gemini Notebook Enterpriseでは、アップロードしたファイルをGCPプロジェクト内に保持し、企業向けの管理・セキュリティ機能が提供されます。
ただし、企業側では別途、次の項目を決める必要があります。
- 利用可能なアカウント
- 投入可能な情報区分
- 顧客情報や個人情報の扱い
- 共有範囲
- 管理者設定
- データ保持・削除
- AI出力のレビュー責任
- 社内規程や法務要件
機密データを扱う場合は、担当者だけで開始せず、情報システム、法務、セキュリティ部門と利用範囲を決めます。
NotebookLM・Excelを含むAI活用の導入判断
NotebookLMをExcelの代替として導入するのではなく、業務を「情報理解」「定性分析」「数値計算」「表編集」「継続運用」に分けて考えると判断しやすくなります。
NotebookLM単独に寄せるのではなく、Excel、Google Sheets、Gemini in Sheets、Copilot in Excelとの役割分担を前提に設計します。
NotebookLMを優先しやすい業務
NotebookLMを優先しやすいのは、複数資料を読み、意味を整理する工程です。
たとえば、次の業務が該当します。
- ExcelとPDF、議事録、調査資料を横断して要点を整理する
- アンケート、VOC、案件メモなど文章列を含むデータを分類する
- 数値と背景資料から経営層向けの論点や仮説を作る
- 回答の引用元へ戻りながらレポートを作る
- 複数資料から比較表やリスク一覧を作る
「表の数値そのもの」より、「数値の意味・背景・関連資料を理解する時間」が長い業務ほどNotebookLMの適性が高くなります。
Excel・Sheets・Copilotとの併用を優先する業務
複雑な数式、財務モデル、定型帳票、厳密な集計ロジックは、ExcelやGoogle Sheetsを中心にします。
Excelブックを開いたまま、AIに数式、チャート、PivotTable、シート編集を依頼したい場合はCopilot in Excelが候補です。
Google Sheets上で数式、表、ピボット、条件付き書式、グラフなどを操作したい場合はGemini in Sheetsが候補になります。
実務では、次の流れが使いやすくなります。
- NotebookLMで複数資料を調査し、論点・仮説を作る
- Excel/Google Sheetsで確定計算とデータ加工を行う
- NotebookLMで議事録や報告書と再度突き合わせる
- 人が検算・承認し、レポートへ反映する
NotebookLMで仮説形成、ExcelやSheetsで確定計算、再びNotebookLMで説明資料化する役割分担 にすると、それぞれの強みを生かせます。
AI導入支援は「フリーコンサルタント.jp」へご相談ください
フリーコンサルタント.jpでは、事業会社やコンサルティングファーム出身のプロ人材が、生成AI・DX活用の戦略設計から現場のルール整備、社内への知見移転までを伴走支援します。実務経験豊富な人材が、上流の方針づくりから実行段階まで一貫して関わることで、導入後の定着まで見据えた支援が可能です。

まずは自社のどの業務・データで試すか、小さく始めるところから相談してみるのがおすすめです。
フリーコンサルタント.jpによるAI導入支援の事例
フリーコンサルタント.jpでは、AI・DX推進領域全般で企業の支援実績があります。ここでは、社内に専門人材が不足していた企業の支援事例を2件紹介します。
事例①|大手飲食企業:需要予測・発注レコメンドAIの開発支援
200店舗以上・400品目の発注業務を店舗担当者の経験と勘に頼っており、業務が属人化していた大手飲食企業の事例です。データサイエンティストなどAI活用の経験者が社内に不足し、AIの本格運用に向けたデータ活用の進め方が分からない状態でした。
| 当時の課題 | ・データサイエンティスト・データアナリスト人材、AI活用の経験者が社内に不足 ・店舗情報・POSデータをもとにした需要予測を、複数人が同じ精度で行うことが困難 ・発注業務が現場の勘に依存し、担当者の休暇・退職で業務が滞るリスクを抱えていた |
|---|---|
| 実施したこと | ・店舗ごとの特徴を踏まえた変数を定義し、データを整理 ・PoC(概念実証)を経て、店舗ごとに高い精度で需要予測ができるAIモデルを構築・運用 |
需要予測AIの活用により発注業務の多くを自動化し、作業時間を削減。バックオフィス業務の負荷が軽減し、店舗担当者が接客などの対応に時間を割けるようになりました。
事例②|大手通信キャリア企業:デジタル活用推進に向けたCoE組織の立ち上げ支援
業務効率化を目的に、デジタル活用組織(CoE=Center of Excellence。複数部門の知見を集約する専門組織)の立ち上げを決定したものの、組織立ち上げの推進とデジタル技術活用の両方を担える人材が社内に不足していた大手通信キャリア企業の事例です。
| 当時の課題 | ・デジタル領域の知見と組織立ち上げ経験を併せ持つ人材が社内に不足 ・業務効率化ツールの開発・運用体制をゼロから構築する必要があった |
|---|---|
| 実施したこと | ・CoE組織の立ち上げから全体設計・運用構築・実運用までを一気通貫で伴走支援 ・事業部門への課題ヒアリングをもとにしたツール開発の仕組みを構築し、プロパー社員が自走できる体制へ知見を移転 |
CoE組織の立ち上げと運用の安定化により、組織立ち上げ前と比較して業務工数を約25%削減。プロパー社員が主体的に運用できる体制を構築し、外部人材への依存から段階的に脱却しています。
まとめ
NotebookLMは2026年7月に「Gemini Notebook」へ名称変更されましたが、従来のNotebookLMと同じスタンドアロン製品です。
一般向けGemini NotebookではGoogle SheetsとCSVが公式の対応ソースに含まれる一方、通常の対応ソース一覧に.xlsxは含まれていません。
既存のExcelを活用する場合は、継続更新ならGoogle Sheets、単純な明細データならCSV、帳票やレイアウトを資料として読みたい場合はPDFを使い分けます。
Gemini Notebook Enterpriseでは.xlsxを直接ソースとして追加できます。
また、2026年に導入された高度機能では、対象ユーザー向けにコード実行や.xlsx成果物生成も提供されています。
NotebookLMの強みはExcelを置き換えることではなく、 Excelデータを議事録、PDF、提案書などと結び付け、傾向・理由・論点を整理すること です。




