
プラットフォームビジネスとは、商品やサービスを利用する人と提供者側をつなぐ基盤を提供するビジネスのことを指します。

たとえばApple StoreやAmazonなどもそのひとつです。
AIの台頭やコロナ禍という非常事態が起きたことで、生活基盤がオフラインからオンラインに変わりつつある昨今において、顧客ニーズが以前と比べて大きく変化しています。
そこで、注目されているのがプラットフォームビジネスです。昨今において、プラットフォームビジネスは新規事業やDX推進において非常に注目されています。
本記事では、プラットフォームビジネスの概要やその意味合い、ビジネスとしてのメリット、利用者を想定した成功のポイント、すでにプラットフォームビジネスに参入している企業の成功事例などをご紹介します。

今後の企業運営のヒントになる内容を解説していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
■目次
1.プラットフォームビジネスとは?
まず「プラットフォーム」の意味をみていくと、もとは「台」「乗降場」などを意味する英で単語です。ITの業界においてはソフトウェアを動作させるための環境や、商品、サービスをやりとりするインターネット上のシステム、情報をやりとりするサービス基盤など、なんらかの製品、サービスを利用する「土台」を意味する言葉として幅広く使われています。
そのプラットフォームを提供している企業、事業者は「プラットフォーマー」「プラットフォーム企業」と呼ばれます。近年では、AmazonやGoogle、Facebook、Uberなどが世界的に有名なプラットフォーマーの代表例です。
日本企業のプラットフォーマーでは、ショッピングモール「楽天市場」を提供する楽天、Webアプリケーション構築プラットフォーム「SPIRAL(スパイラル)」を提供しているパイプドビッツなどが挙げられます。
今注目されている「プラットフォーム事業(プラットフォームビジネス)」とは、まさにそのプラットフォームを構築し、サービスとして提供することを事業とするものです。
プラットフォーム事業が注目される背景
例えば、ある企業がインターネット上で顧客に商品やサービスを販売するビジネスを展開する場合、販売のためのWebサイトやシステムは自社で内製するか、外部委託してシステム開発するという選択肢が主流であった時代がありました。
ところが今は、楽天やAmazonなどのショッピングモールやその他ECプラットフォームを利用すれば、短時間かつ低コストでサービスに参入することが可能です。
その場合、企業は利用するプラットフォーマーに利用料を支払うことでビジネスを継続することになります。
そのプラットフォームを介して幅広い顧客とつながれるようになれば、そこに経済圏がつくられることになります。裏を返せば、自社ビジネスの事業戦略にとって他社プラットフォームというサービスの存在が不可欠になるということです。
プラットフォーマーから見れば、その状態が続くだけ、利用者である企業から継続的に利用料を得ることができるわけです。このように、プラットフォーマーが顧客にとって魅力的なプラットフォームを提供し、顧客のビジネスに不可欠な存在となることができれば、プラットフォーマーは手堅く収入を得ることができるのです。
加えて2020年以降のコロナ禍をきっかけに多くの企業がビジネスモデルや経営戦略の見直しを迫られ、プラットフォーム事業に注目する事業者が増加しています。
日本貿易振興機構(ジェトロ)が2020年9月に発表したレポート(※1)によると、世界各国に進出する日系企業のうち、新型コロナウイルスの影響を受けて事業戦略やビジネスモデルを見直すとした企業の比率は平均6割程度でした。
不安定な社会情勢で変化の激しい顧客ニーズに的確に対応するという点からも、プラットフォーマーとしてプラットフォームを提供することで収益を上げられるプラットフォームビジネスに注目が集まっているのです。
2.プラットフォームビジネスの代表的な種類
プラットフォームビジネスは、大きく分けて下記の4種類に分かれます。
【プラットフォームビジネスの代表的な種類】
下記でそれぞれの特徴について解説します。
仲介型プラットフォーム
仲介型プラットフォームとは「商品やサービスを提供する側」と「それを求める利用者」を仲介するビジネスモデルです。プラットフォーム運営者は、自らが商品を持たずに、売り手と買い手をつなぐ場を提供し、取引の成立に伴う手数料などで収益を得ます。
仲介型プラットフォームの具体例は、以下の通りです。
| プラットフォームのタイプ | 代表的なサービス例 |
|---|---|
| マーケットプレイス型 | Amazon、楽天市場、メルカリ |
| フードデリバリー型 | Uber Eats、出前館、Wolt |
| シェアリングエコノミー型 | Airbnb、Anyca、タイムズカー |
| クラウドソーシング型 | クラウドワークス、ランサーズ、ココナラ |
| マッチングアプリ型 | ペアーズ、タップル、BizReach |
| 配車サービス型 | Uber、DiDi、GO |
| 学習、教育プラットフォーム型 | Udemy、Schoo、スタディサプリ |
仲介型プラットフォームは、個人でも簡単に市場に参加できる環境を作り出す手段として注目されています。

今後はAIやビッグデータ解析の発展によりマッチング精度やユーザー体験の最適化が進み、今後もさらなる拡大が期待できるでしょう。
OS型プラットフォーム
OS型プラットフォームとは、スマートフォンやパソコンなどのデバイス上で動作するOSを中心に構築されたプラットフォームのことです。OS自体が基盤となり、その上でさまざまなアプリやサービスが動作します。
OS型プラットフォームの具体例は、以下の通りです。
| プラットフォームのタイプ | 代表的なサービス例 |
|---|---|
| スマートフォンOS型 | Android(Google)、iOS(Apple) |
| PC OS型 | Windows(Microsoft)、macOS(Apple) |
| クラウドOS型 | ChromeOS(Google)、AWS Cloud Platform(Amazon) |
| 家電、デバイスOS型 | Fire OS(Amazon)、HarmonyOS(Huawei) |
アプリ開発者とユーザーをつなぐハブになるのが特徴で、アプリ配信、課金を自社の仕組みで管理できるため、収益性が高いビジネスモデルとして注目されています。

プラットフォーム依存度が高く、囲い込み効果を狙いたいときにも効果的です。
コンテンツ型プラットフォーム
コンテンツ型プラットフォームとは、動画や音楽、記事、電子書籍などのデジタルコンテンツを提供し、ユーザーに視聴や購読の機会を与えるプラットフォームです。主にコンテンツ制作者(クリエイター)と利用者(視聴者、読者)をつなぐ役割を果たしており、配信料、広告収益、課金モデルによって運営されています。
コンテンツ型プラットフォームの具体例は、以下の通りです。
| プラットフォームのタイプ | 代表的なサービス例 |
|---|---|
| ストリーミング型 | YouTube、Netflix、Spotify、AbemaTV |
| オンライン学習型 | Udemy、Schoo、スタディサプリ、Coursera |
| ソーシャルネットワーキングサービス型 | Facebook、Twitter、Instagram、LinkedIn |
コンテンツ型プラットフォームは単なる「配信サービス」ではなく、情報発信、エンタメ、教育、広告など多様な産業を横断するビジネス基盤となっています。

言語や国境を超えて利用できるため、コンテンツを迅速に拡散したい時にも役立つでしょう。
ソリューション型プラットフォーム
ソリューション型プラットフォームは、特定の課題解決や業務効率化を目的に、ハードウェア、ソフトウェア、サービスを組み合わせて提供するプラットフォームです。単なるサービス提供にとどまらず、ユーザーの業務や生活の課題を包括的に解決することを目指します。
ソリューション型プラットフォームの具体例は、以下の通りです。
| プラットフォームのタイプ | 代表的なサービス例 |
|---|---|
| 顧客管理システム(CRM) | Salesforce、HubSpot、Zoho CRM |
| 請求管理システム | freee、マネーフォワード、弥生会計 |
| 車両管理システム | トヨタT-Connect Fleet、Fleet Complete、Carview Fleet |
| 勤怠管理システム | ジョブカン、KING OF TIME、jinjer勤怠 |

業務プロセスの自動化、データ統合、分析など豊富な機能が搭載されていることから、企業のDX推進に活用されることも増えました。
クラウドでデータを一元管理し、他システムと連携して業務全体の効率化を実現できるなど、利便性の高いプラットフォームが注目を集めています。
プラットフォームビジネスの具体例3つ
ここでは、プラットフォームビジネスの具体例を解説します。それぞれのタイプ別に代表的なサービスや特徴に触れているので、ぜひご参考ください。
参考:農林水産省「(参考)プラットフォームビジネスの基礎知識」
クレジットカード
クレジットカードは、決済手段としてだけでなく仲介型プラットフォームとしても機能しています。カード発行会社がプラットフォームの運営者となり、消費者、加盟店、金融機関をつなぐ役割を果たすのが特徴です。
クレジットカード会社は自社のプラットフォーム上で、ポイントプログラムやキャッシュバックなどのインセンティブを提供することで、消費者の利用促進を図ります。ポイントや特典は消費者の行動データとして蓄積され、購買傾向や利用履歴の分析に活用できるので、個別のプロモーションもしやすくなりました。
「消費者は現金を持ち歩かずに商品やサービスを購入できる」「加盟店は売上の確保と決済業務の効率化ができる」など、誰にとってもメリットのあるプラットフォームとして世界中で広がっています。
検索サイト
検索サイトは、インターネット上の情報を整理、索引化し、ユーザーが必要な情報を迅速に検索できるサービスです。

GoogleやYahoo!、Bingなどの検索エンジンを中心に、今や私たちの生活に欠かせない存在となりました。
検索サイトは典型的な仲介型プラットフォームとして機能していて、情報提供者(ウェブサイト運営者)と情報を求めるユーザーをつなぐ役割を果たしています。ユーザーは検索サイトを通じて情報を得て、情報提供者(ウェブサイト運営者)は検索サイト経由でトラフィックを得られることから、情報面でのマッチングプラットフォームともいえるでしょう。
また、ユーザーの検索履歴や行動データを蓄積、分析する機能も活用されていて、パーソナライズされたマーケティングや情報提供にも活用されているのがポイントです。
その他
プラットフォームビジネスには、クレジットカードや検索サイト以外にも多様な分野での具体例があります。
たとえば交通系プラットフォームとして「Uber」や「DiDi」のような配車サービスが、フードデリバリープラットフォームとして「Uber Eats」「出前館」「Wolt」などが台頭しました。いずれも、情報提供者、サービス提供者、利用者を結びつけ、利便性向上と収益創出を両立させる仕組みとして幅広く活用されているのが特徴です。

需要と供給を効率的につなぐ仲介役を担い、リアルタイムでマッチングできるシステムは、今後も広く活用されていくでしょう。
プラットフォームビジネスのビジネスモデル(収益モデル)
プラットフォームビジネスのビジネスモデルは、下記4種類に細分化されます。
【プラットフォームビジネスのビジネスモデル】
下記でひとつずつチェックしていきましょう。
手数料課金型
手数料課金型のビジネスモデルでは、利用プランや利用量、利用金額に合わせて手数料が発生します。「利用額の一律〇%」など割合が決まっていることが多く、利用のボリュームが大きくなればなるほど手数料も大きくなるのが特徴です。
たとえばフリマアプリの場合、購入金額に対して10%前後の手数料が発生するビジネスモデルで運営しています。100円の商品が売れたら10%である10円がプラットフォーム側の利益となり、販売者の手元には差し引き90円の利益が残るのです。
フリーミアム型
フリーミアム型は、無料プランと有料プランとに分けてプラットフォームを提供するビジネスモデルを指します。基本機能は無料で提供しているのが特徴で、有料プランに切り替えると機能の拡大版が使えるようになるのがポイントです。
たとえば、遊び始めは無料でプレイできるゲームアプリや、会員になると全記事が読み放題になるニュースアプリなどが挙げられます。「とりあえず無料で試してみる」という使い方ができるので門戸を広げやすく、アプリのインストール率や無料プラン含めた会員数を上げやすくなるのがメリットです。
月額課金(サブスクリプション)型
月額課金(サブスクリプション)型は、その名の通り月額利用料を徴収するビジネスモデルです。毎月定額のみを徴収するため、会員数さえわかっていれば先々の収支見通しが立てやすくなるのがメリットとして広がりました。利用者にとっても「毎月の料金が変動しない」「家計の見通しが立てやすい」などのメリットがあり、直近十数年でサブスクリプション型サービスは爆発的に成長しています。
SpotifyやNetflixの他、AmazonなどのECサイトも月額課金制で運営しているのが特徴です。また、Amazonはフリーミアム型と月額課金(サブスクリプション)型のどちらの性質も併せ持つサービスであり、有料会員になって毎月定額を支払うことでお急ぎ配達等の特典を受けられます。
従量課金型
従量課金型とは、サービスを利用した回数、金額に応じて料金が発生するビジネスモデルです。利用しない限りゼロ円にできるという点では手数料課金型と似ていますが「1件あたり〇円」と定額料金が決まっています。
たとえばタクシー配車アプリにおける「迎車1件〇円」「予約1件〇円」などの設定が従量課金型に該当するため、自社で行いたいと考えているビジネスに近い業種のプラットフォームをチェックしてみましょう。その他、SNSの送信やオンライン電報など、文字数に合わせて料金が変動するモデルもあります。
プラットフォームビジネスの特徴3つ
ここからは、プラットフォームビジネスの3つの特徴について解説していきます。
特徴を理解しておくことで、自社のビジネスに取り入れる際のヒントになるでしょう。
(1)利用者の増加に伴い価値が高まる
プラットフォームビジネスは、利用者が増えれば増えるほど「ネットワーク効果」による価値が高まります。

ネットワーク効果とは、サービスを利用する人が増えるほど、その製品やサービスの価値や利便性が高まる現象のことです。
プラットフォーム上に当てはめると「ユーザー数が増えることで取引や交流の機会が増える」という状態といえます。
価値の高まったプラットフォームの例として「口コミ投稿数の多いECサイト」「出品商品数の多いフリマアプリ」などが挙げられます。他にも、利用者が多いフードデリバリー型サービスでは、顧客もドライバーも自然に増えてサービス全体の利便性が向上していくのがポイントです。
利用者が増えるほどプラットフォームの価値が高まる構造は、他のビジネスモデルにはない独自の強みとなっています。つまり、プラットフォーム事業においては「ユーザーを増やしてプラットフォームの価値を上げ、さらにユーザーを増やす」というポジティブなサイクルを構築することが欠かせません。
(2)ユーザーは複数のプラットフォームを利用できる
プラットフォームビジネスでは、利用者が1つのサービスに限定されません。ユーザーは複数のプラットフォームを同時に利用し、それぞれの利便性や特性を比較しながら選択できるのが特徴です。
たとえば、プラットフォームのタイプごとに以下のような基準で併用されます。
| プラットフォームの種類 | 具体例 | 利用者が複数併用する理由 |
|---|---|---|
| フードデリバリー | Uber Eats、出前館 | 配達スピードやメニューの選択肢を比較できる |
| マーケットプレイス型 | Amazon、楽天市場、メルカリ | 商品や価格を比較して購入先を選択できる |
| 動画配信サービス | Netflix、Amazon Prime Video、Disney+ | コンテンツごとにサービスを使い分けられる |
プラットフォーム運営側にとっては競争力の向上や差別化の必要性を促す一方、利用者にとっては利便性が高まるのがメリットです。

しかし、プラットフォーム提供側にとっては「ユーザーの囲い込みが難しくなる」という課題もあります。
他社に負けない独自性や特徴を押し出していくことが、プラットフォーム事業における必須項目です。
(3)大きなプラットフォームであっても、構造は変化する
プラットフォームビジネスは、一度大きな規模に成長したとしても構造や競争環境が常に変化していきます。技術革新、規制の変更、利用者ニーズの変化、競合サービスの登場など、流動的な外部要因に影響されながら変化するのが特徴です。
以下では、主な変化の要因とこれまでの具体例をまとめています。
| 変化の要因 | 内容 | 具体例 |
|---|---|---|
| 技術革新 | 新しい技術やサービスが登場することで、従来のプラットフォームの優位性が揺らぐ | スマホ普及でPC中心のYahoo!検索からGoogle検索へ利用者が移行 |
| 利用者ニーズの変化 | ユーザーの嗜好や行動パターンが変わると、サービス構造も変化 | TikTokやInstagram Reelsの台頭によるSNS利用者の移動 |
| 競合サービスの登場 | 新規参入や既存競合の改善で市場構造が変わる | Uber Eatsや出前館の登場でフードデリバリー市場が再編 |
| 規制、法律の変更 | 法改正により運営方法や情報活用が制限される | 個人情報保護法や独占禁止法によるデータ利用の制約 |
| 社会、経済環境の変化 | 景気や消費行動の変化がプラットフォーム運営に影響 | コロナ禍でオンラインサービス需要が急増 |
| コンテンツ、サービスの革新 | 新しいコンテンツや機能が利用者を引きつける | YouTube ShortsやNetflixの独自コンテンツ戦略 |

市場や顧客ニーズの変化に合わせて柔軟にビジネススタイルを変えていけるプラットフォームが、長く生き残っていく理由になっていることがわかります。
規制や法律の影響を受けるシーンも多く、常に最新情報をキャッチアップし、プラットフォームに反映していくことが不可欠です。
4.プラットフォーム事業における4つのメリット

ここからは、プラットフォーマーとなりプラットフォームビジネスを展開することのメリットについて、具体的に解説します。
(1)少ない資本で参入しやすい
提供しようとするプラットフォームの種類にもよりますが、オンラインのプラットフォームをインターネット上に開設するのであれば、リアルのビジネスとは異なり土地や建物などを用意する必要がありません。
リアルの物品を販売するようなビジネスでは製品の製造や在庫管理も必要となりますが、プラットフォームビジネスではそれも不要です。
構築しようとするシステムの要件や機能に支障がなければ、レンタルサーバーやクラウドサービスを使えば自社でサーバーを設置する必要もありません。
基盤となるシステムの開発も、すでにあるさまざまなIT技術やサービスを活用することで工数を抑えることができ、クラウドソーシングなどで開発者を探すことも可能です。
プラットフォームビジネスは、少ない資本でも参入しやすいといえます。
(2)顧客数を増やしやすくなる
サービスのためのシステム開発やWebサイト開発を自社で独自に行い、そこに集客しようとすると、自社サービスだけで集客する必要があります。
戦略次第で必要な集客を実現することはもちろん可能ですが、最初のうちは特にハードルが高くなりがちです。
一方で、例えばAmazonや楽天市場のように多くの企業や事業者がサービスを展開し多数のユーザーがそのサービスを利用しているプラットフォームでは、プラットフォーム内でのユーザーの回遊などによる集客の選択肢が増えます。
企業間の競争が激化する可能性もありますが、その競争によって各社のサービスの品質が向上すれば、ユーザーはさらに増えるでしょう。
こうして参入企業やユーザーが増えれば増えるほど、参入企業やユーザーとプラットフォームの結びつきは強くなりますし、その魅力に引き寄せられる企業やユーザーの新規利用も期待できます。そうして顧客数を増やすことができれば、収益性がより高まるというわけです。
(3)顧客単価を上げやすい
前述のように、プラットフォームを利用してサービスを提供する企業や、その企業が提供するサービスを利用するユーザーが増え、それぞれとプラットフォームの結びつきが強まれば、企業やユーザーがプラットフォームにもたらす利益が大きくなります。
ショッピングモールのプラットフォームでいえば、ユーザーはあちこちのショッピングモールで購入するよりも、できるだけ一つのプラットフォームで購入するほうがポイント獲得や送料無料などの特典を受けやすくなるため、それだけプラットフォームの利用が増えます。
そうしてユーザーがたくさん利用するようになれば、サービス提供企業のビジネスはそのプラットフォーム利用を前提に伸びていきますから、プラットフォームの利用を継続することになり、それだけプラットフォーマーに費用を支払うことになります。こうしたメリットが、プラットフォーマーにとっては顧客単価の向上をもたらしやすくなるのです。
(4)データ活用ができる
サービス提供企業やユーザーがプラットフォームを利用すれば、その裏ではさまざまな行動データが蓄積されます。このデータを分析してマーケティング業務に使用することによって、プラットフォーム事業のさらなる発展につなげることができます。
近年のビジネスにおいて、ビッグデータは大いなる価値をもつ貴重な“資源”です。データの扱いには注意が必要ですが、自社マーケティングのみならずさまざまな活用方法を考えることができます。
この点もまた、プラットフォーム事業ならではのメリットといえるでしょう。
5.プラットフォームビジネスを行う際の4つの注意点
ここでは、プラットフォームビジネスの注意点を解説します。主に下記の4つが注意点となるため、あらかじめリスクのひとつとして検討しておきましょう。
【プラットフォームビジネスを行う際の注意点】
上記のポイントをチェックし、リスクを解消できるかシミュレーションしてから参入することをおすすめします。
最初のうちは集客コストがかかる
プラットフォームビジネスはユーザー数が増加すれば大きな収益に繋がりますが、ユーザー数が増えなければ収益に繋がりません。そのため、最初は利用者を増やすためにSNS運用をしたりWeb広告を出稿するなど、さまざまな施策に力を入れる必要があります。
たとえば独自の仲介型プラットフォームを始めた場合、まずは知名度と露出度を上げて利用者(登録者)を増やす必要があります。同じくコンテンツ型プラットフォームやソリューション型プラットフォームも、利用者が増えない限り収益化ができません。
また、利用者により満足してもらうことがさらなる集客につながるため、顧客満足度対策も必須です。十分な集客と満足度がないと、損益分岐点を超えられないのがデメリットと言えるでしょう。
後発の参入になるにつれ難易度が上がる
シェア率の高い大手プラットフォーマーが既に同じ業界に存在している場合、新規参入の難易度はかなり高いと言えるでしょう。
仮に、プラットフォームビジネスを始めようとしている業界に競合が少なかった場合「新しいサービス」として注目されればその分集客しやすくなり、ある程度市場に定着してからは「昔からある定番のサービス」「リーディングカンパニーが開発した間違いのないサービス」という評価も得られるのがメリットです。
一方、後発参入となった場合、先行プラットフォームを超えるサービスを提供するのが難しくなります。シェア率を拡大することができず、結局料金の引き下げなどコスト勝負になりやすいのも特徴です。既存サービスと似たようなサービスだけではシェアを取れないので、自社だけの付加価値をつける必要があります。
法規制に関しても注意する必要がある
プラットフォームビジネスを軌道に乗せるには、特商法や古物営業法、不当景品類および不当表示防止法などの理解が欠かせません。もちろん個人情報保護や改正プロバイダ責任制限法、セキュリティ対策などに関する理解も必須であり、新たなマーケットでビジネスを始める基盤を作る必要があります。
また、これらの法律は時代ニーズに伴って刻一刻と変化していくものであり、情報のキャッチアップや対応が遅れると深刻な法令違反になってしまうことがあるので注意しましょう。CtoCビジネスの場合、利用者同士のトラブルや情報開示請求に関する対応が求められるので、トラブル対策も必要です。
(4)利用者同士のトラブルが起きる可能性もある
プラットフォームビジネスでは、複数の利用者(消費者、出品者、サービス提供者など)が同じ場でやり取りします。利用者間でトラブルが発生するリスクをゼロにするのは難しく、期待値のズレで大きな問題につながるケースも少なくありません。
たとえば、プラットフォームでは以下のようなトラブルが発生する恐れがあります。
| プラットフォームタイプ | トラブルの例 |
|---|---|
| フリマアプリ | 商品が届かない、品質が説明と異なる |
| 配車サービス | 遅延、ドライバー、乗客間のトラブル |
| 宿泊予約 | 施設情報と実際が異なる、キャンセル対応 |
| マッチングアプリ | プロフィール偽装、マナー違反 |
| クラウドソーシング | 納期遅延、成果物の品質不足 |
| フードデリバリー | 注文間違い、配達遅延 |
トラブルを放置するとプラットフォームの評判や信頼性に直結するため、早期対応や予防策が欠かせません。以下のような対策を講じて、顧客満足度を上げつつトラブルを予防しましょう。
- 利用規約やガイドラインを明確に提示し、トラブル発生時の基準を周知する
- 取引やサービス提供の過程での評価制度を整備し、信頼度を可視化する
- 問い合わせ窓口やカスタマーサポートを充実させ、迅速な対応を可能にする
- AIやチャットボットを活用してトラブルの予兆を検知し、自動対応できる体制を作る
- 利用者教育や注意喚起を行い、ルールに沿った利用を促す
特に新規参入や急成長中のサービスでは、トラブル対応体制がビジネスの成否を左右することも多いです。
プラットフォームビジネスの問題点
プラットフォームビジネスの問題点として、透明性と公正性の確保が難しい点が挙げられます。
利用者や出店者が増えるほど、運営方針、手数料体系、アルゴリズムの公平性に関する透明性が不可欠です。不透明なルールや偏った表示順位などがあると信頼を損なうだけでなく、独占禁止法や消費者保護法に抵触するリスクもあるので注意しましょう。近年では、ブラックボックス化したAIやプライバシーに配慮しない生成AIなどのリスクも増えており、運営次第では却って大きな損失が出るという理解が必要です。
また、企業によっては組織風土や社風が原因となり、プラットフォーム事業を理解してもらえないケースがあります。新しいアイデアや挑戦が受け入れられにくいと、革新的なプラットフォームの構築や事業拡大が妨げられるかもしれません。

プラットフォームビジネスは、常に時代に合った変化を好み、積極的かつスピーディーに対応できる組織に向いているビジネスモデルです。
6.プラットフォーム事業を成功させる5つのポイント

ここまで述べたように、プラットフォーム事業にはさまざまなメリットがありますが、ただ参入すればそのメリットを享受できるというわけではありません。
ここからは、プラットフォーム事業を成功させるために戦略上おさえておきたいポイントについて解説します。
(1)フリクションを減らしたプラットフォームであること
今や数えきれないほどのオンラインサービスが存在しており、それらは企業やユーザーに大きな価値をもたらしています。
しかし、会員登録を手間だと思われてしまう会員限定サイトや、利用することに不安があるマッチングサービスは、ユーザーを増やすことが難しいものです。
プラットフォームビジネスも同様に、より多くの企業やユーザーに利用してもらうためには、与える価値を最大化する一方で、利用を妨げる障壁をできるだけ減らす必要があります。
「フリクション」とは、日本語でいうと「摩擦」「抵抗」などを意味しますが、プラットフォームの業界では、人の行動を妨げる要因をフリクションと呼んでいます。
事業者としては新たにプラットフォームを開発してビジネスとして展開する際には、そのプラットフォームにフリクションが存在していないかどうかをチェックし、もしあればできるだけ減らすよう検討するプロセスが欠かせません。
(2)企業やユーザーが不満を感じないような仕組みにすること
フリクションを減らしてプラットフォームを構築した結果、企業やユーザーに利用してもらえたとして、実際に利用したときに受け取れる価値以上に強い不満を感じることがあれば、企業やユーザーは別のプラットフォームの利用を考えるでしょう。
この場合の「不満」とは、プラットフォームの使い勝手に対する不満もそうですが、プラットフォーマー自身への不満や不信も大きな影響力をもちます。
お問い合わせには真摯に対応するなど、誠実なサービス提供に努めて企業やユーザーと信頼関係を構築することが重要です。そして機能面でも使い勝手のいいプラットフォームにしてプラットフォーム利用の価値を高めることを重視しましょう。
(3)利用企業やユーザーを自然に増やす仕組みがあること
プラットフォームを利用する企業を増やすためには営業活動が必要となり、その企業が展開するサービスを利用するユーザーを集めるためには広告宣伝が必要です。
しかし、営業活動に多くの労力をかけなければ利用企業が増えない、あるいは広告宣伝にコストをかけ続けなければ利用者を増やすことができないといったプラットフォームでは、いつまでもコストを減らすことができません。
プラットフォームビジネスを成功させるためには、低コストで手離れのいい仕組みを構築することが重要です。特に集客面では、営業活動や広告宣伝になるべくコストをかけなくても規模を拡大できるような仕組みを構築し、プラットフォーマーが自ら集客せずとも企業やユーザーが自然に集まり利用するようなサービスのあり方やマーケティング戦略を考えることが肝要です。
(4)競合他社との差別化を図ること
プラットフォーム事業で成功するためには、競合他社との差別化が欠かせません。単に同じサービスを提供しているだけでは価格や利便性で比較されてしまい、ユーザーの流出が起こります。
たとえば以下のようなアプローチを行い、競合他社との差別化を図りましょう。
- 独自の機能やサービスを追加する
- 操作性やデザイン、サポート体制などの面で利便性を高める
- 信頼性や安心感を前面に出す
- 特定業界やユーザー層に最適化したサービスを提供する

差別化は単発の施策ではなく、継続的に改善、強化していく必要があります。
競合動向や利用者のニーズを分析し、常に新しい価値を提供することでプラットフォームの競争力を維持、向上させましょう。
(5)情報システムを構築すること
プラットフォーム事業の運営には、安定した情報システムの構築が不可欠です。
利用者や企業が増えるほど、データの管理、処理、通信環境の負荷が増えるので注意しましょう。一時的なユーザー増が起きても安定して稼働できるシステムがないと、不具合が生じて信頼を損ない、利用者離れにつながる可能性があります。
情報システム構築のポイントは以下の通りです。
- 利用者や取引量の増加に対応できる柔軟な設計を行う
- 取引データや利用者行動を適切に収集、分析できるようにする
- 最新のセキュリティ対策を導入し、情報漏洩を防止する
- メンテナンス、バックアップを定期的に行う
- システム障害にいち早く対応できるようにする
情報システムは単なる運用ツールではなく、プラットフォーム全体の信頼性や競争力を支える基盤です。

技術的な投資と運用体制の両面で強化することで、利用者が安心して長く利用できる環境を提供しましょう。
7.プラットフォーム事業の成功事例5選
最後に、プラットフォームビジネスの戦略を考える際の参考として、プラットフォーム事業の成功事例の一例をご紹介します。
(1)LINE
今や日本における“インフラ”の一部ともいえるLINEですが、最初は「モバイルメッセージングサービス」を掲げる無料通話アプリとしてスタートしました。
その結果、非常に多くのユーザーを獲得することとなりました。
その過程で、ゲームやニュース、音楽のサブスクリプションなどさまざまなサービスをLINEで提供するようになり、ユーザー数がさらに拡大しました。
そうしてLINEはプラットフォームと化し、そのビジネスを大きく伸ばすに至っています。
(2)Uber Eats
昨年来のコロナ禍では、フードのテイクアウトやデリバリーに対する需要が高まりました。
そうしたなかで存在感を発揮してきたサービスの一つが、フードの注文、配達プラットフォームを行う「Uber Eats」です。
「Uber Eats」は、フードのデリバリーを注文したいユーザーと、フードを提供したい飲食店、実際にフードを配達する配達員をマッチングするプラットフォームです。
操作はすべてスマートフォンアプリで完結するうえ、調理や配達などの状況、配達員の情報をアプリで確認できるなど、利用者のフリクションを減らしたことで好評を得ることができ、利用を拡大しています。
(3)クラウドワークス
日本国内最大級のクラウドソーシングサイト「クラウドワークス」は、仕事を発注したいクライアントと、仕事を引き受けたいワーカーのマッチングを行うプラットフォームです。
ワーカーがスキルや希望に応じて仕事を探しやすいシステム、クライアントが安心して仕事を依頼できる仕組み、費用の受け渡しを仲介する仕組みなどを構築し、フリクションを減らし信頼感を高めたことで利用者を堅調に獲得しています。
プラットフォーマーであるクラウドワークスは、問い合わせ対応やシステムの改善などを担いますが、仕事受発注のやりとりは基本的にクライアントとワーカーの間で完結するため手離れがよく、成功報酬から手数料を得ることで収益を上げています。
(4)楽天
楽天が提供するプラットフォームといえば、こちらも国内最大級のインターネットショッピングモールである「楽天市場」が有名です。
しかし、楽天というプラットフォーマーの手がけるプラットフォームビジネスの成功は、「楽天市場」も含めた多様なサービス展開にポイントがあります。
楽天は、ショッピングモールをはじめ、銀行、証券、クレジットカード、通信など、実に幅広いジャンルのサービスを展開しています。
そして、それらのサービスを相互に利用することで、ユーザーには多くの楽天ポイントを獲得しやすくなるメリットが生じ、そのポイントは実際の買い物などに使用することができます。
そのため、ユーザーには「生活上のさまざまなニーズをできるだけ楽天で解決するようにして、多くのポイントを集めよう」というモチベーションが生まれ、サービス利用が促されます。
この仕組みは“楽天経済圏”と呼ばれ、プラットフォームビジネスの経営戦略を考える上では外せない成功事例の一つとなっています。
(5)SPIRAL
多様な業界・業務の効率化を支援するWebアプリケーション構築プラットフォーム「SPIRAL(スパイラル)」は、パイプドビッツが提供する、企業や事業者の業務遂行上必要なアプリケーションを構築するためのクラウド型ローコード開発プラットフォームです。
アンケートの入力フォーム作成、顧客のデータ入力や管理、クライアント向け一斉メール配信などの業務を効率化するシステム構築を支援し、企業の営業やマーケティング業務の効率化に大いに貢献する「SPIRAL」は、多くの企業で営業、マーケティング業務担当者に支持されています。
プラットフォームビジネスについてのお困りごとは「フリーコンサルタント.jp」へご相談ください
プラットフォームビジネスは大きな価値を生み出す一方で、集客、競合対策、法規制、情報システム構築などさまざまな課題が伴います。特に新規参入や既存事業の拡張を検討している場合「どのプラットフォームモデルが自社に適しているのか」「どのように収益化を図るか」「トラブルや法的リスクへの対策はどうするか」など悩むことも多いでしょう。
「フリーコンサルタント.jp」では、経験豊富なフリーコンサルタントが事業内容や市場環境に合わせた最適な戦略を提案します。プラットフォームビジネスの設計、運営、改善に関する具体的なアドバイスはもちろん、法規制への対応支援に至るまで幅広く対応できるので、お気軽にご相談ください。「事業コンサルタントに相談したい」「情報システム構築のためエンジニアを頼りたい」など、得意分野の指定にも対応致します。

自社に合ったプラットフォーム戦略を立て、競争力を高めるためには、専門家の知見を活用することが成功の近道です。
8.まとめ
商品、サービス、情報などを提供したいと考える企業や事業者に、それを実現する“場所”であるプラットフォームを提供すると、その“場所”に利用者が集まり、そこには一つの経済圏が生まれます。
企業や事業者にとっては商品・サービス提供のハードルを下げやすく、利用者にとっては企業と利用者の1対1の取引よりさらに大きな価値を得やすいといったメリットが、プラットフォームの利用拡大につながります。
そして、自らが商品、サービスの提供者として営業活動を展開するのではなく、プラットフォーマーとして“場所”を提供する事業者への対価が生まれるのです。
今はインターネットをはじめとするITやデジタル技術の進歩により、オンラインのプラットフォーム提供が格段に容易になったため、参入障壁が低くなったことから、プラットフォーム事業は多くの企業の経営戦略策定プロセスにおいて注目を集める存在となっています。
しかし、注目が集まる分、市場は多様化しており、ただ“場所”を提供するだけではビジネスで成功を収めることはできません。
企業や事業者や利用者がプラットフォームに価値を感じて支持するということは、相応の価値を企業や利用者に提供しなければ利用拡大につながらないことを意味します。
プラットフォーム事業を成功へ導くためには、IT、デジタル技術の活用やオンラインサービスといったことにとどまらず、戦略をしっかり練り、事業としての営業活動を展開していく必要があるでしょう。
社内だけでは難しい場合は、外部のプロフェッショナルを招へいすることも1つの課題解決策になるでしょう。
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(株式会社みらいワークス Freeconsultant.jp編集部)
出典
※1:約7割が「販売戦略の変更」で、需要減少に対応






