人材育成に必要なマネジメントスキルとは|マネジメント能力を高め人材育成を成功させるためのポイントも解説 - freeconsultant.jp for Business
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最終更新日:2024.12.05
人事/組織構築/業務改善

人材育成に必要なマネジメントスキルとは|マネジメント能力を高め人材育成を成功させるためのポイントも解説

人材育成には、育成する側のマネジメントスキルや指導力が必要です。マネジメント能力のない人が人材育成を担当したり、マネジメントスキルの育成をせず実務トレーニングばかりしたりすると、自社の将来性が危ぶまれてしまうので注意しましょう。

本記事では、人材育成に必要なマネジメントスキルとは何か、詳しく解説します。マネジメント能力を高める方法や成功のコツにも触れるので、組織の成長を目指したいときにご参考ください。

【こんな人におすすめ】

  • 部下やチームメンバーを育成する立場にある人
  • 社内での研修プログラムや育成計画を設計する役割を担う人
  • 自らのリーダーシップやマネジメントスキルを向上させたいと考えている人

人材育成とマネジメントの違いは?

人材育成とマネジメントはどちらも組織の成長に必要ですが、求められる役割が異なるので注意しましょう。

人材育成の目的は、社員のスキル、能力、経験を向上させ、成長を促すことです。ひとりひとりがより高いパフォーマンスを発揮できるようトレーニングすることで、組織全体の能力の底上げを図ります。

一方、マネジメントの目的は、組織やチームを効果的に運営して目標を達成することです。対象は人材だけではなく、資材や予算の管理などの「リソース」をマネジメントすることもあります。各リソースを適切に配分し、業務を効率的に進めることが求められます。

マネジメント力と人材育成が組織に必要とされる背景

マネジメント力と人材育成が組織に必要とされる背景には、市場競争が激化していることと、少子高齢化に伴う労働人口の減少があります。

近年は国際社会化が進み、海外の安価で便利な商品やサービスが多数参入するようになりました。複雑化するビジネス市場のなかで競争優位性を保ち続けるためには、変化に対応し、組織の方向性を適切に修正する人材を育てるマネジメントが求められているのです。

また、少子高齢化に伴う労働人口の減少が危険視されている昨今、人手不足に対応する業務効率化や最適化も求められているのがポイントです。そのため、リソースマネジメントにより働き方や業務効率の改善を行うことで、社員のモチベーションを高めて長期的に定着させることが欠かせません。

どちらの背景にもマネジメント力と人材育成が欠かせないからこそ、ニーズが高まっていると言えるでしょう。

人材育成を行うことによって得られる効果

人材育成を行うことによって得られる効果は、主に以下の通りです。

  • 生産性向上
  • 業務効率化
  • コスト削減
  • 社員個人のスキルアップ、自己成長
  • 社員のモチベーションアップ
  • 人材の定着率向上
  • 次世代リーダーの育成
  • イノベーションの創出

人材育成により社員個人のスキルアップが叶うと、短い時間でも効率よく業務を進められるようになります。それにより残業をせずともルーティンワークが完了して時間外手当の削減に繋がったり、働き方改革ができて人材定着に繋がったりなどの効果も期待できるのがポイントです。

また、従来の業務が早く終わることで他の業務にも時間を割けるようになり、イノベーションの創出にも繋がるでしょう。優秀なマネージャーがいれば次世代リーダーも育ちやすくなり、将来的な競争力向上も期待できます。

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人材育成を行う担当者がマネジメント能力を高めることも重要

効果的な人材育成を行うには、人材育成担当者のマネジメント能力が重要です。具体的な育成方法がわからなければ部下に対する指示が曖昧になりやすく、強力なリーダーシップで組織を牽引することも、高い共感力でモチベーションを管理することもできません。

反対に、マネジメント能力がある人が人材育成を担当することで「安心してついていける組織」「貢献したいと思える会社」を創ることが可能です。

効果的に人材育成を行うために必要なマネジメントスキル

ここでは、効果的に人材を育成するために必要なマネジメントスキルを解説します。人材育成に必要なスキルを紹介するため、人材育成担当は以下のスキルを身に着けるようにしましょう。

  • コミュニケーションスキル
  • 課題解決スキル
  • コーチングスキル
  • プロジェクトやスケジュールの管理能力
  • アセスメントスキル

コミュニケーションスキル

良好なコミュニケーションスキルを持つマネージャーは、チームのモチベーションを高め、業務の効率を向上させ、問題解決を円滑に進められます。情報や指示を明確に伝えることで誤解や混乱を防ぐ他、具体的な指示を出すことでチームメンバーが何をすべきか理解を促進するのがポイントです。

また、マネージャーにコミュニケーションスキルがあると、組織全体への心理的安全性を高められます。「この上司は自分の意見に耳を傾けてくれる」「自分のモチベーションを把握してアドバイスをくれる」などの満足感があれば、人材育成として指導する内容も浸透しやすくなります。

課題解決スキル

課題解決スキルは、個人やチームが問題や障害に直面した際に効果的に対処し、望ましい結果を得るために必要な能力です。マネージャーに課題解決能力がないと「口ばかり」な指導に見えてしまうので注意しましょう。反対に、課題解決能力の高いマネージャーは人材育成のボトルネックを探すことができ、短期間で効果的な人材育成ができます。

また、解決策の実行過程で得られたフィードバックを収集し、問題解決のアプローチや実行の方法について振り返る機会も設けましょう。的確なフィードバックがあれば育成対象に自己反省を促すことができ、より成長に繋げることができます。

コーチングスキル

コーチングとは、相手が本来持っている能力や可能性を最大限に引き出す手法です。自ら行動する自発性を促して目標達成を支援する手法でもあり、初めての知識を授ける「ティーチング」とは指導法が異なるので注意しましょう。

マネージャーにコーチングスキルがある場合、安易に答えを教えない指導ができるので、チームの「考える力」を伸ばせます。マネージャーがいなくても自走する組織を目指したいときや、自主性のある人材を増やしたいときに必須のスキルです。

また、コーチングをする際はチームメンバーが直面している感情的な課題やストレスに対処し、サポートをすることも欠かせません。相手の感情を理解し、共感することで信頼関係を築ければ、より強固な組織が完成します。

プロジェクトやスケジュールの管理能力

マネージャーにプロジェクトやスケジュールの管理能力があると、人材育成のプロセスも可視化できます。いつからいつまで、誰を対象として、どの程度の予算で、どんな人材育成をするか全て可視化できるので、育成の方針がブレることもありません。事前に目標を定めることで効果測定もしやすく、人材育成の成否も見えやすくなります。

また、実際のプロジェクトにおいて管理が必要なのはスケジュールだけでなく、人的資源や予算など多岐に渡ります。人材育成「する側」のリソースも適切に分配していけば、マネージャー陣の成長にも繋がるでしょう。

アセスメントスキル

アセスメントスキルとは、組織をマネジメントする際にチームメンバーの能力、性格、勤務状況などを把握し、個人の能力を最大限に引き出す環境を察知するスキルです。業務内容や所属部署が同じであっても、全員が同じスキルを持っているとは限りません。個人ごとにスキルレベルが異なる他、業務に対する考え方やモチベーションも違うことが多く、適性次第でパフォーマンスは良くも悪くもなるので注意しましょう。

アセスメントスキルがある人が人材育成を担うことで、個人に最適なトレーニング手法を提供できるようになります。個別最適化されているからこそ成果が出るまでの期間も早く、メンバーのモチベーションも上がっていくでしょう。自己開示しやすいオープンなリーダーのいる組織や、視野が広く困っている人を見つけてくれるリーダーのいる組織は「適材適所」の人材配置もしやすくなるので人的リソースを有効活用できます。

マネジメント能力を高めるために必要な3つの考え方

ここでは、マネジメント能力を高めるために必要な3つの考え方を紹介します。行き詰ってしまったときは改めて以下の考え方をするよう心がけ、考えが偏らないようにしましょう。

  1. 物の見方を変える
  2. 相手の立場になって考える
  3. 信頼関係の構築を行う

①物の見方を変える

マネジメント能力が高い人は、物の見方を変えることも上手です。視点を変えたり新しい観点を取り入れたりすることは、問題や状況に対する理解やアプローチの刷新にもつながります。

具体的なやり方に困ったときは、まず異なる視点を試しましょう。たとえば顧客の視点で製品やサービスを評価することで、改善点が見えてきます。また、既存の情報やデータを徹底的に調べ、異なる意見や事例を取り入れるなど情報収集をして見方を変えることで「目から鱗のアイディア」「自分にはなかった視点」に気づくことができ、組織全体の可能性が広がるため将来性が高くなるケースも少なくありません。そのほか、問題や課題を再定義したり、自由にアイデアを出し合うブレインストーミングに挑戦したりするのもおすすめです。

②相手の立場になって考える

相手の立場になって考えることで、相手の考え方やモチベーション管理について学べることが多いです。まずは相手の話に集中し、言葉だけでなく感情や非言語的なメッセージも理解しようと努めましょう。アドバイスや指摘を一度グッと飲み込み、共感の姿勢を示すことで心理的安全性を感じてもらうことも重要です。たとえ最終的な意見が違っても「自分の話を最後まで聞いてもらえた」「むやみに否定することなく受け入れてくれた」という満足度が、組織での居心地の良さにつながります。

その他「どう感じましたか?」「どのような状況でしたか?」など、相手が自分の考えや感情を詳しく話すための質問を投げかけたり「おっしゃっているのは、こういうことですか?」と確認の質問をしたりするテクニックも有効です。相手の立場や状況に対する共感の言葉と混ぜていけば、より効果を発揮しやすくなります。

③信頼関係の構築を行う

マネジメントの効果を高めるには、チームメンバーとの信頼関係が欠かせません。マネージャーのスキルが高くても、信頼関係がないと指示やアドバイスも響かなくなってしまいます。信頼関係があることで、互いに支え合い、共通の目標に向かって効果的に協力できるようになるので決しておざなりにしないよう注意しましょう。

信頼関係の構築に必要なのは、誠実なコミュニケーションと透明性の確保です。プロジェクトに必要な情報は全て役職に関係なくオープンにし、時には役職の上下に関係のないブレインストーミングをするなどしてある程度対等な立場になるよう意識します。また、言ったことと実際の行動が一致していることが信頼を築く鍵となるため、マネージャー側の行動の一貫性も大切です。

人材育成を成功させるために欠かせないポイント

人材育成を成功させるために欠かせないポイントは、以下の通りです。

  • 明確な目標設定
  • 個別最適化された育成プラン
  • 適切なリソース配分
  • フィードバックと評価
  • モチベーションの維持、刺激

まずはどんな人材に育成したいのか、最終的な目標を明確にしておきましょう。そのために必要な育成プランを個別に用意し、確実に実行していけば人材育成は成功します。

同時に育成プロジェクト全体の予算、期間、工数、人員などを把握して適切なリソース配分ができれば、育成プログラム受講者の満足度低下や予算オーバーなど、想定外のことが起きるのを防げます。

人材育成やマネジメントの進め方

ここでは、人材育成やマネジメントの進め方を解説します。ひとつずつステップ式で詳しく解説するのでご参考ください。

  1. 課題の把握、可視化
  2. 目標の設定
  3. 人材育成計画を作成する
  4. 計画の実施、フィードバック

①課題の把握、可視化

まずは人材育成に関する課題を正確に把握、可視化していきます。「本当はこんな人材がほしいが社内で不足している」「こんなスキルを伸ばしてもらうことができれば収益に貢献するはず」など、明確なイメージ像を作っていきましょう。足りないスキルや経験を可視化することができれば、人材育成プランを考える際にも役立ちます。

②目標の設定

人材育成に当たり、具体的な目標を設定します。「この業務ができるようになったらOK」「業務に必須な〇〇の資格を取得した人が△△人になればOK」など、実務に関連する目標を設定するのが近道です。

その他、リスクマネジメントやコンプライアンスに関するトレーニングであれば、研修の参加人数、開催頻度、参加後テストの点数などを目標にしても良いでしょう。

明確な目標を設定することは、方向性の決定、リソースの分配、モチベーションの維持に役立ちます。「売上を増加させる」よりも「次の四半期で売上を15%増加させる」といった具体的な目標があった方が、全体で同じ方向を向きやすくなるので意識しましょう。

③人材育成計画を作成する

目標達成に向けた具体的な人材育成計画を作成することで、社員の成長を促しつつ組織全体のパフォーマンスを向上させることに繋がります。

なお、人材育成計画を作成する際は「SMART」の視点でチェックしてみましょう。「Specific(具体的)」「Measurable(測定可能)」「Achievable(達成可能)」「Relevant(関連性)」「Time-bound(期限付き)」の全てを満たせる人材育成計画であれば、完了後の高い効果が期待できます。後々の効果測定も可能なので、次のフェーズである「④計画の実施、フィードバック」にも活かせます。

④計画の実施、フィードバック

人材育成計画を実施した後は、フィードバックまで必ず行いましょう。当初の目的、目標を達成できているか数値評価をする他、個人の貢献度合いや成長度合いを可視化して個別に伝えていくことが大切です。何が良くて、何が不足しているかわかれば、次に繋がる学びになります。

外部人材を育成、マネジメントする方法

外部人材を活用する場合、当然ながらその外部人材に対するマネジメントも求められます。

外部人材のマネジメントにも、内部人材のマネジメント同様にコミュニケーションが欠かせません。コミュニケーションをしっかり取ることで、業務進捗を確認しつつ遅延を防ぐ事にも繋がります。また、外部人材に対しても自社の理念を浸透させ、ビジョンを共有しておきましょう。チームとして働いている意識を持ってもらうことで、信頼関係もより強固なものとなり、会社への貢献度を高くできますよ。

フリーコンサルタント.jpでは、プロのマネジメント人材の紹介が可能です。2万4千人以上のプロフェッショナル人材から、経営課題の解決につながる人材をピックアップできるのでお気軽にご相談ください。

まとめ

人材育成を成功させるには、マネジメントスキルの高い人材が必要です。見切り発車での指導や効果測定のない人材育成は却って組織への不信感や「やらされている感」を高める要因となってしまうので注意しましょう。

お困りの方はプロのマネージャーに外部協力を依頼するなど工夫し、自社で役立つマネジメントノウハウを取り入れるのがおすすめです。

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(株式会社みらいワークス Freeconsultant.jp編集部)

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