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最終更新日:2024.10.02
人事/組織構築/業務改善

リーダーの素質がある人とはー21世紀に受け入れられるリーダーシップ

企業の組織において、目標達成や問題解決にはリーダーの存在は必要不可欠です。しかし、「リーダーの素質がある人とは?」「リーダーを育成する方法がわからない」このようなことでお悩みではないですか?

優れたリーダーには、自信、優れたコミュニケーション能力と管理能力、創造的かつ革新的な思考、忍耐力、リスクを負う意欲、変化を受け入れる姿勢、そして危機に際しての冷静さとしっかり判断を下せる能力などがあります。
一方で、従来私たちが思い描く、組織の頂点に立って人々を指揮していくリーダー像はもはや古くなりつつあります。

この記事では、リーダーの素質や育成に向けたステップ、また最近のリーダーシップにおける考え方の変化について解説していきます。

最後まで読んで、リーダーにふさわしい優秀な人材の育成につなげましょう。

こんな人におすすめ

  • リーダーシップの素質や特徴について理解を深めたいと考えている管理職レベルの方
  • 既にリーダーとしての役割を担っているが、改善策をお探しの方
  • 自分自身のリーダーシップ能力を向上させたいと考えている方
  • 職場の社員へリーダーシップ教育をしたい方

1.リーダーとは

リーダーとは、変化する社会で会社やチームを成功へ導く大切な存在です。リーダーは、古い考えに固執せず、新しいことに挑戦する力が必要となります。

企業が他社と差別化を図る為には、変化に対応できるリーダーシップがとても重要です。「意識しなくてもなぜかリーダーになってしまう人」もなかにはいるでしょう。

以下は2022年9月、株式会社リクルートマネジメントソリューションズが「職場のシェアド・リーダーシップに関する実態調査」として、一般リーダーに望むことの調査結果です。(従業員規模300名以上企業に勤務の正社員493名(20代~50代の一般社員))

1位は「指示が明確である」2位は「メンバーの話に耳を傾ける」となっており、明確に指示を出し、意見を聞いてくれるリーダーが求められていることがわかります。

参照:株式会社リクルートマネジメントソリューションズ「職場のシェアド・リーダーシップに関する実態調査」

ここからは、リーダーの役割や素質がある人を紹介しますので、リーダー選出の基準として活用してください。

2.リーダーの役割とは

リーダーの役割には大きくわけて以下の3つがあります。それぞれをくわしく紹介します。

ビジョンを決めて全員に伝える

リーダーの役割は、組織の目標や進むべき方向を明確に定め、ビジョンを決定し全員に伝えて共有することです。

ビジョンがなければ、チームは統一感を持って目標へ進むことができません。全員が同じ目標を理解すると、組織全体が一体感を持ち、効果的に目標達成に向かって進めるようになります。

そのために、ビジョンが決定したら、早めに全員に共有しましょう。

チームをやる気にさせ、成長をサポートする

リーダーの役割には、チームメンバーのやる気を引き出し、成長をサポートすることも含まれます。メンバーそれぞれの強みを理解し、強みを活かす機会を作りましょう。

また、フィードバックを適切に行い、成果を出したときには高い評価を与えると、チーム全体の士気が向上します。

リーダーが個々の成長をサポートすると、メンバーは自分の成長を実感し、さらに意欲的に取り組むようになるでしょう。
結果として、チームの全体的なパフォーマンスの向上につながります。

適切な判断で問題を解決する

リーダーは、問題が発生した際に冷静に状況を見極め、最適な判断が不可欠です。誤った判断は組織全体に悪影響を及ぼすため、迅速かつ的確な対応が求められます。

まず、問題の原因をしっかりと分析し、最適な解決策を見つけましょう。その上で必要なリソースを適切に配分し、チームが効率よく対応できるようにします。
迅速で適切な判断をして、問題解決に導くのがリーダーの重要な役割です。

3.リーダーシップが職場で重要視される7つの理由

リーダーシップは、組織の成功と方向性を決定する重要な要素です。

リーダーは、組織の使命、ビジョン、および目標を明確に伝え、現場を統率して組織の目標達成に向けてメンバーをまとめる役割を担い、中でも問題が発生した際には、リーダーシップの重要性が際立ちます。

以下に、リーダーシップが職場で重要視される7つの理由を挙げていきます。

1. 職場内コミュニケーションが活性化するから

リーダーは、職場内での効果的なコミュニケーションを促進する責任があります。これには、情報の透明性を保ち、全員が参加できる環境づくりをすることも含まれます。

メンバー同士が自由にコミュニケーションできるようになれば、相互の誤解を防ぎ、イノベーションの促進にも効果的です。

2. 社員の能力をポジティブに引き出せるから

強いリーダーシップの元に導かれる現場では、メンバー同士の信頼感が醸成され、互いに尊重するような組織文化が築かれます。

従業員の仕事に対する熱意ややる気も向上し、仕事が評価されていると感じると、より一層の努力をする意欲が高まります。

3. 仕事の生産性が上がるから

リーダーは、チーム内の熱意とやる気を高めることで、生産性を向上させることができます。これは、明確なチームの目標設定、適切なリソース配分を考慮していく能力が試されます。

4. チームの団結力が高まるから

良いリーダーシップは、チームが一丸となって目標に向かって努力するように導くことができます。チームメンバー各々が強みを活かし、互いを信頼しているからこそ柔軟にタスクを委譲できるようになるため、繁忙期でも業務の効率を最大化します。

5. 失敗を最小限に抑えられるから

リーダーは、日頃のメンバーとのやりとりの中から潜在的な問題を早急に掴み取り、迅速に対処することで、リスクや失敗を最小限に抑えることが求められます。特に重要なプロジェクトではこのリーダーシップがあるかどうかが、非常に重要な分かれ道となるでしょう。

6. 従業員のモチベーションが高まるから

優れたリーダーは、従業員一人ひとりの仕事に対する動機が異なることを理解し、個々のやる気を引き出すように最適化したアプローチを取ります。

これによってメンバーにリーダーに対する信頼感を与え、リーダーの期待に応えられるように職場で最大限貢献しようというモチベーションを高めることができます。

7. 良い手本の設定

リーダーは自身の行動で組織に良い手本を示すことが重要です。彼らの行動は、組織の価値観を反映し、他のメンバーにポジティブな影響を与えます。

これらの要素を通じて、リーダーシップは組織全体の競争力を高め、持続可能な成長と革新を促進します。リーダーシップは単に指示を出すこと以上のものであり、組織の核心部分として作用するのです。

4.リーダーの素質がある人7選

リーダーは誰がなってもいいものではなく、リーダーとしての素質が備わってこそ、本領を発揮できます。

ここからは、リーダーの素質がある人7選を紹介します。以下に当てはまる人をリーダーに選出し、人材を育成しましょう。

コミュニケーション力と信頼を築ける

リーダーには、誠実で円滑なコミュニケーション力が不可欠です。
コミュニケーションが多いとチーム内で意見交換が活発になり、信頼関係が築かれ、良い雰囲気が生まれます。

その際、リーダーは自分の意思を伝えるだけでなく、メンバーの意見を尊重し、意見を引き出すことが求められます。

コミュニケーションを通じて、メンバーが自由に意見を言える環境が整うと、チーム全体が成長しやすくなるでしょう。この信頼関係がチームの強化につながるのです。

判断力と行動力がある

リーダーには、状況を素早く把握し、適切な判断を下す能力と行動力が必要です。
具体的には、メンバーの仕事量や進捗状況を見極め、業務が順調に進んでいるかを常にチェックします。
さらに、問題が発生した場合は原因を突き止め、解決策を迅速に見つけ出さなければなりません。

判断したことをすぐに実行に移し、チームを正しい方向へ導くことができるリーダーなら、組織全体の成功に貢献できるでしょう。

責任感と結果への覚悟がある

リーダーには、強い責任感が求められます。部下がミスをしてもその責任を押し付けず、自分の責任として受け止める姿勢が大切です。

失敗を恐れず、チームが安心して仕事に取り組める環境を作ると、リーダーとしての信頼を得られやすくなります。

また、結果に対してしっかりと責任を持ち、結果が出なくても改善していく覚悟があるリーダーこそ、チームを成功に導く力を持っていると言えるでしょう。

学び続ける姿勢と適応力が高い

リーダーには、常に学び続ける姿勢が求められます。部下に指導するだけでなく、自らも新しい知識やスキルを学び続けることが重要です。

自ら学んだ内容をチームに共有すると、チーム全体の士気もあがります。さらに、リーダーは状況の変化に柔軟に対応し、適応する力も必要です。

学び続ける姿勢と適応力が、チームを成功へと導く鍵となるでしょう。リーダー自身が常に成長することで、チーム全体の成長につながります。

ポジティブ思考で前向きな姿勢を持つ

リーダーの素質がある人は、ポジティブな思考や、前向きな姿勢を持ち続けられます。リーダーが前向きであれば、自然とチームの士気が高まり、良い雰囲気が生まれます。

逆にネガティブな発言ばかりでは、チーム全体に悪影響を及ぼし、士気が低下してしまうでしょう。

ポジティブなリーダーは、困難な状況でも希望を持ち続け、チームを前向きに導きます。この姿勢がチーム全体の活力となり、目標達成に向かう力を与えます。

公平さと他者を尊重する心

公平さと他者を尊重する心を持つ人はリーダーの素質があります。リーダーは、チームメンバーの意見を尊重し、公平に判断しないとメンバーからの信頼は得られません。

リーダーが公平であれば、メンバーは安心して意見を述べ、チームの士気も向上します。
チーム内の多様な意見や能力を引き出し、個々を尊重するとチームの強みを活かすことに成功するでしょう。

メンバーを動機づけ、チームビルディングができる

リーダーの素質がある人は、メンバーを動機づけチーム全体をまとめ上げる能力があります。
メンバーの強みを理解し、強みを最大限に活かす方法を考えることが必要です。
また、チームビルディングを通じて、一体感のあるチームを作り上げることが求められます。

リーダーが適切に動機づけを行うことで、メンバーはやる気を保ち、チーム全体が高いパフォーマンスを発揮できるでしょう。

メンバーを動機づけ、チームビルディングができるリーダーは、組織の成功を支える力として欠かせません。

5.リーダーに向かない人の特徴

リーダーに向かない人がリーダーになってしまうと、企業の目標とする基準に届かない場合があります。

以下に当てはまる場合は、リーダには向いてるとは言えません。

優柔不断で決断力がない

優柔不断なリーダーは、判断に迷いが生じ、チームに不安を与えます。曖昧な指示や遅い対応は、ミスや混乱の原因になりかねません。

自信を持って判断し、指示を出すことができないリーダーは、チームを効果的に導くことが難しいでしょう。
その結果、チームのパフォーマンスが低下し、目標達成が遅れてしまう可能性があります。

他人の意見を聞かない

リーダーが他者の意見に耳を傾けないと、チーム全体の判断力が低下します。自分の考えだけに固執するリーダーは、問題が発生した際に適切な対処ができず、状況を悪化させてしまうでしょう。

また、部下のアイデアを受け入れず、全てを自分一人で行なってしまうと、チームの創造力や柔軟性が失われます。

部下の意見を尊重し、チーム全体の意見を取り入れて、より良い解決策を導き出しましょう。

全てを自分でやりたがる

他人の意見を聞かず、リーダーが全ての仕事を抱え込むと、チームは成長できません。部下に仕事を任せないと、メンバーは信頼されていないのではないかと感じ、不信感を抱くことになります。

リーダーはチーム全体の能力を引き出し、メンバーに成長の機会を与えるべきです。
他人の意見を聞かず、自分一人で抱え込むとチームの士気を低下させ、組織全体の成果にも悪影響を及ぼしてしまうことも否めません

責任逃れをする

リーダーは、チームの成功だけでなく、失敗に対しても責任を持つべきです。責任逃れをするリーダーは、部下からの信頼を失いやすく、チーム全体の士気を低下させます。

部下がミスをした場合でも、それを自分の責任として受け止め、チーム全体で改善策を考える姿勢が大切です。

責任を他人に押し付けるリーダーは、チームを効果的にまとめることができず、長期的には組織の崩壊を招きかねません。

6.進化を続けるリーダーシップのスタイルとは

ここまではリーダーの重要性と素質についてみてきましたが、日本ではまだまだリーダーというと、トップダウン型のリーダーシップをとりがちです。

例えば、リーダーがチーム内のピラミッドの頂点にいるとしたら、部下はリーダーのいうことが絶対であるかのように行動してしまいがちです。
また、リーダーの意見を絶対視し、たとえ間違った意見だったとしても、それを鵜呑みにしなければならざるを得ない場合があります。

しかしながら、そんなリーダーシップを続けていれば、組織の成長の観点からはやはり限界があります。なぜなら上司とのやりとり自体がストレスになりやすく、上司の存在自体を受け入れられなくなってしまうリスクが発生してしまうからです。

時代が変われば、当然職場での考え方もどんどん変化してきています。

従来のリーダーシップから移行を遂げるサーバントリーダーシップ

人々を統率し、管理するリーダーシップ型が従来型とするならば、21世紀の現在人々に受け入れられやすいのは「サーバントリーダーシップ」の姿です。

サーバントリーダーシップとは、サーバント = 奉仕、召使いといった言葉のように、リーダーがチーム メンバーの生活を物理的に、また精神的にどのように楽にできるかといった姿勢に焦点が当てられています。
従来のリーダーは、先に「リーダーとして活躍したい」と言う思いが先に来るのに対し、サーバーントリーダーは、「まず人に奉仕したい」という自然な気持ちが生まれ、次にリーダーとして目指すようになるのです。

この考え方は、アメリカのロバート K. グリーンリーフが 1970 年に初めて出版したエッセイ”The Servant as Leader”(リーダーとしてのサーバント)の中で発表されました。

参考: Center for serveant leadership “The servant as leader”

この新しいアプローチでは、リーダーには共感力、思いやりの心、弱さを見せられること、感謝の心など、いわゆる私たちが思い描く従来のリーダーとは別の「奉仕精神」が求められます。

この奉仕精神をリーダー自ら積極的にチームメンバーに見せていくことにより、メンバーは心理的安全性を感じ、自ら行動していくように導いていくことができます。
例えば大きな目標を達成する途中の小さな仕事の成果を褒めたり、より平和な人間関係構築に注力していくことが大切です。

ここで誤解してほしくないのは、部下の言うことをなんでも聞く、と言う訳ではありません。サーバントリーダーシップの目標は、チームをより良い方向へ導くことです。
ですから、より広い視点で全体を俯瞰する能力、と言う意味ではサーバントリーダーシップの方が優れた手法であるとも言えるでしょう。

7.リーダーの育成方法

ここからは、リーダーの育成方法を解説します。
リーダーの素質のある人材を育成することで、即戦力として組織の軸となって企業の発展に貢献してくれるでしょう

メンター制度の導入

メンター制度は、経験豊富な上司や先輩が若手リーダーに対して個別に指導を行う仕組みです。特に1on1ミーティングを通じて、日常業務の中で直面する具体的な課題へのアドバイスをすることが重要です。

これにより、若手リーダーは実践的なスキルやリーダーシップを学びながら、自信を持って業務に取り組めます。

メンターの経験を活かし、個別のニーズに合わせた指導をし、成長するリーダーへの支援をしていきましょう。

リーダーシップ研修の実施

リーダーシップ研修は、リーダーとして必要なコミュニケーション力や、意思決定力などを体系的に学ぶためのプログラムです。

この研修では、eラーニングを活用し、時間や場所にとらわれずに学習できる環境があります。
リーダーシップの基礎から応用まで幅広い内容をカバーし、参加者は自分のペースで学べます。

さらに、実践的なケーススタディやグループワークを通じて、学んだ知識を実際の業務に応用できる力を養うことができるでしょう。

実践の場を提供する

リーダーシップの成長には、実践の場が不可欠です。OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)は、実際の業務を通じて、リーダーシップを発揮するために効果的です。

若手リーダーには、プロジェクトリーダーやチームリーダーとしての役割を与え、実際にチームを導く経験を積ませます。

これにより、理論だけでなく、現場での対応力や判断力が養われます。実践を通じて得た経験は、リーダーとしての自信とスキルを確実に高めることにつながるでしょう。

8.まとめ

本記事では、リーダーの素質や求められる能力、また最近進化したリーダーシップの形について解説しました。

リーダーとは、変化の激しい社会で組織を成功へ導く重要な存在です。リーダーには、ビジョンを明確にし、チームをやる気にさせ、適切な判断で問題を解決する役割が必要です。
また、リーダーとしての素質を持つ人は、コミュニケーション力や判断力、責任感などが求められます。

一方で従来の支配型のリーダー像は、もはや社会に受け入れられない存在になりつつあることにも注目すべきです。組織のために何が最良なのかを常に気を配り、メンバーが自らより良い方向へと向かうように導いていく姿勢が求められています。

これらのリーダーの素質を持つ人材の育成は、企業の成長にとっては欠かせません。

リーダー育成に関する詳細な情報や方法については、こちらの記事をご覧ください。DX人材の育成のポイントについてくわしく説明致します。

(株式会社みらいワークス Freeconsultant.jp編集部)

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