理想的なリーダーがいるチームは、メンバーのモチベーションやスキルが高まったり生産性、業務効率化が向上したりするのが特徴です。反対に、リーダーとしてのスキルが不足していると、人材の離脱やプロジェクトの失敗につながるので注意しましょう。
本記事では、リーダーに必要な素質について解説します。リーダーに向いている人材、向いていない人材の特徴や育成の方法にも触れるので、ご参考ください。
こんな人におすすめ
- リーダーシップの素質や特徴について理解を深めたいと考えている管理職レベルの方
- 既にリーダーとしての役割を担っているが、改善策をお探しの方
- 自分自身のリーダーシップ能力を向上させたいと考えている方
- 職場の社員へリーダーシップ教育をしたい方
1.リーダーに求められる素質とは?
リーダーとは、チームや組織を指導、統率して目標達成に向けて動かす人のことを指します。具体的な役割は以下の通りです。
- ビジョンを決めて全員に伝える
- チームをやる気にさせ、成長をサポートする
- 適切な判断で問題を解決する
以下は、株式会社リクルートマネジメントソリューションズによる「リーダーに望むこと」の調査結果です。1位に「指示が明確である」、2位に「メンバーの話に耳を傾ける」がランクインしました。
参照:株式会社リクルートマネジメントソリューションズ「職場のシェアド・リーダーシップに関する実態調査」
リーダーに求められる素質は多様化しており、組織や企業風土によって異なる部分も多いです。しかし、共通項もあるためリーダー選出の基準として活用してみましょう。
2.リーダーに必要な素質7つ
リーダーは誰がなってもいいものではなく、リーダーとしての素質が備わってこそ、本領を発揮できます。
ここからは、リーダーの素質がある人7選を紹介します。以下に当てはまる人をリーダーに選出し、人材を育成しましょう。
【リーダーに必要な素質7つ】
1.コミュニケーション力と信頼を築ける
リーダーには、誠実で円滑なコミュニケーション力が不可欠です。
コミュニケーションが多いとチーム内で意見交換が活発になり、信頼関係が築かれ、良い雰囲気が生まれます。
その際、リーダーは自分の意思を伝えるだけでなく、メンバーの意見を尊重し、意見を引き出すことが求められます。
コミュニケーションを通じて、メンバーが自由に意見を言える環境が整うと、チーム全体が成長しやすくなるでしょう。この信頼関係がチームの強化につながるのです。
2.判断力と行動力がある
リーダーには、状況を素早く把握し、適切な判断を下す能力と行動力が必要です。
具体的には、メンバーの仕事量や進捗状況を見極め、業務が順調に進んでいるかを常にチェックします。
さらに、問題が発生した場合は原因を突き止め、解決策を迅速に見つけ出さなければなりません。
判断したことをすぐに実行に移し、チームを正しい方向へ導くことができるリーダーなら、組織全体の成功に貢献できるでしょう。
3.責任感と結果への覚悟がある
リーダーには、強い責任感が求められます。部下がミスをしてもその責任を押し付けず、自分の責任として受け止める姿勢が大切です。
失敗を恐れず、チームが安心して仕事に取り組める環境を作ると、リーダーとしての信頼を得られやすくなります。
また、結果に対してしっかりと責任を持ち、結果が出なくても改善していく覚悟があるリーダーこそ、チームを成功に導く力を持っていると言えるでしょう。
4.学び続ける姿勢と適応力が高い
リーダーには、常に学び続ける姿勢が求められます。部下に指導するだけでなく、自らも新しい知識やスキルを学び続けることが重要です。
自ら学んだ内容をチームに共有すると、チーム全体の士気もあがります。さらに、リーダーは状況の変化に柔軟に対応し、適応する力も必要です。
学び続ける姿勢と適応力が、チームを成功へと導く鍵となるでしょう。リーダー自身が常に成長することで、チーム全体の成長につながります。
5.ポジティブ思考で前向きな姿勢を持つ
リーダーの素質がある人は、ポジティブな思考や、前向きな姿勢を持ち続けられます。リーダーが前向きであれば、自然とチームの士気が高まり、良い雰囲気が生まれます。
逆にネガティブな発言ばかりでは、チーム全体に悪影響を及ぼし、士気が低下してしまうでしょう。
ポジティブなリーダーは、困難な状況でも希望を持ち続け、チームを前向きに導きます。この姿勢がチーム全体の活力となり、目標達成に向かう力を与えます。
6.公平さと他者を尊重する心
公平さと他者を尊重する心を持つ人はリーダーの素質があります。リーダーは、チームメンバーの意見を尊重し、公平に判断しないとメンバーからの信頼は得られません。
リーダーが公平であれば、メンバーは安心して意見を述べ、チームの士気も向上します。
チーム内の多様な意見や能力を引き出し、個々を尊重するとチームの強みを活かすことに成功するでしょう。
7.メンバーを動機づけ、チームビルディングができる
リーダーの素質がある人は、メンバーを動機づけチーム全体をまとめ上げる能力があります。
メンバーの強みを理解し、強みを最大限に活かす方法を考えることが必要です。
また、チームビルディングを通じて、一体感のあるチームを作り上げることが求められます。
リーダーが適切に動機づけを行うことで、メンバーはやる気を保ち、チーム全体が高いパフォーマンスを発揮できるでしょう。
メンバーを動機づけ、チームビルディングができるリーダーは、組織の成功を支える力として欠かせません。
3.リーダーに向かない人の特徴
リーダーに向かない人がリーダーになってしまうと、企業の目標とする基準に届かない場合があります。
以下に当てはまる場合は、リーダには向いてるとは言えません。
【リーダーに向かない人の特徴4つ】
1.優柔不断で決断力がない
優柔不断なリーダーは、判断に迷いが生じ、チームに不安を与えます。曖昧な指示や遅い対応は、ミスや混乱の原因になりかねません。
自信を持って判断し、指示を出すことができないリーダーは、チームを効果的に導くことが難しいでしょう。
その結果、チームのパフォーマンスが低下し、目標達成が遅れてしまう可能性があります。
2.他人の意見を聞かない
リーダーが他者の意見に耳を傾けないと、チーム全体の判断力が低下します。自分の考えだけに固執するリーダーは、問題が発生した際に適切な対処ができず、状況を悪化させてしまうでしょう。
また、部下のアイデアを受け入れず、全てを自分一人で行なってしまうと、チームの創造力や柔軟性が失われます。
部下の意見を尊重し、チーム全体の意見を取り入れて、より良い解決策を導き出しましょう。
3.全てを自分でやりたがる
他人の意見を聞かず、リーダーが全ての仕事を抱え込むと、チームは成長できません。部下に仕事を任せないと、メンバーは信頼されていないのではないかと感じ、不信感を抱くことになります。
リーダーはチーム全体の能力を引き出し、メンバーに成長の機会を与えるべきです。
他人の意見を聞かず、自分一人で抱え込むとチームの士気を低下させ、組織全体の成果にも悪影響を及ぼしてしまうことも否めません
4.責任逃れをする
リーダーは、チームの成功だけでなく、失敗に対しても責任を持つべきです。責任逃れをするリーダーは、部下からの信頼を失いやすく、チーム全体の士気を低下させます。
部下がミスをした場合でも、それを自分の責任として受け止め、チーム全体で改善策を考える姿勢が大切です。
責任を他人に押し付けるリーダーは、チームを効果的にまとめることができず、長期的には組織の崩壊を招きかねません。
4.リーダーシップが職場で重要視される7つの理由
リーダーシップは、組織の成功と方向性を決定する重要な要素です。
リーダーは、組織の使命、ビジョン、および目標を明確に伝え、現場を統率して組織の目標達成に向けてメンバーをまとめる役割を担い、中でも問題が発生した際には、リーダーシップの重要性が際立ちます。
以下に、リーダーシップが職場で重要視される7つの理由を挙げていきます。
1. 職場内コミュニケーションが活性化するから
リーダーは、職場内での効果的なコミュニケーションを促進する責任があります。これには、情報の透明性を保ち、全員が参加できる環境づくりをすることも含まれます。
メンバー同士が自由にコミュニケーションできるようになれば、相互の誤解を防ぎ、イノベーションの促進にも効果的です。
2. 社員の能力をポジティブに引き出せるから
強いリーダーシップの元に導かれる現場では、メンバー同士の信頼感が醸成され、互いに尊重するような組織文化が築かれます。
従業員の仕事に対する熱意ややる気も向上し、仕事が評価されていると感じると、より一層の努力をする意欲が高まります。
3. 仕事の生産性が上がるから
リーダーは、チーム内の熱意とやる気を高めることで、生産性を向上させることができます。これは、明確なチームの目標設定、適切なリソース配分を考慮していく能力が試されます。
4. チームの団結力が高まるから
良いリーダーシップは、チームが一丸となって目標に向かって努力するように導くことができます。チームメンバー各々が強みを活かし、互いを信頼しているからこそ柔軟にタスクを委譲できるようになるため、繁忙期でも業務の効率を最大化します。
5. 失敗を最小限に抑えられるから
リーダーは、日頃のメンバーとのやりとりの中から潜在的な問題を早急に掴み取り、迅速に対処することで、リスクや失敗を最小限に抑えることが求められます。特に重要なプロジェクトではこのリーダーシップがあるかどうかが、非常に重要な分かれ道となるでしょう。
6. 従業員のモチベーションが高まるから
優れたリーダーは、従業員一人ひとりの仕事に対する動機が異なることを理解し、個々のやる気を引き出すように最適化したアプローチを取ります。
これによってメンバーにリーダーに対する信頼感を与え、リーダーの期待に応えられるように職場で最大限貢献しようというモチベーションを高めることができます。
7. 良い手本の設定
リーダーは自身の行動で組織に良い手本を示すことが重要です。彼らの行動は、組織の価値観を反映し、他のメンバーにポジティブな影響を与えます。
これらの要素を通じて、リーダーシップは組織全体の競争力を高め、持続可能な成長と革新を促進します。リーダーシップは単に指示を出すこと以上のものであり、組織の核心部分として作用するのです。
5.トップダウン型リーダーシップは古い!
トップダウン型リーダーシップとは、組織の上層部に位置するリーダーやマネージャーだけで意思決定を行い、それを部下やチームメンバーに伝達して実行させるリーダーシップのスタイルです。以前はトップダウン型が多く用いられていましたが、現在は「古いやり方である」という考えが広がりました。
その理由として、リーダーの思考力の限界が組織の限界になってしまう点が挙げられます。リーダーの意思決定が組織全体を左右してしまうため、斬新なアイディアを持つ部下や成功へのヒントを知っているチームメンバーがいても、意思決定に反映されません。結果、組織全体のパフォーマンスが下がったり、部下からの同意を得られず組織全体の舵取りが難しくなったりするのです。
現在はサーバントリーダーシップが多用されており、リーダーの理想的なあり方も変わっています。以下でサーバントリーダーシップについて詳しく解説します。
6.サーバントリーダーシップの採用がおすすめ
サーバントリーダーシップとは、リーダーが部下やチームメンバーから寄せられる声に積極的に耳を傾け、その後で組織を導くやり方を指す言葉です。「servant(=奉仕する)」という単語が語源であり、リーダーにはチームに対する奉仕精神の高さが求められます。自分の活躍だけでなく、部下のワークエンゲージメントや、やりがいにも配慮した働きが重視されているのです。
なお、サーバントリーダーシップの考え方は、アメリカのロバート K. グリーンリーフが1970 年に初めて出版したエッセイ『The Servant as Leader”(リーダーとしてのサーバント)』の中で発表されました。部下の言うことを何でも聞く「奴隷」になりすぎず、それでいてチーム全体の意見に耳を傾けてより良い方向に導くことがポイントです。
つまり、より広い視点で全体を俯瞰する力に優れているのがサーバントリーダーシップであり、組織で働く人の満足度も向上できる手法として確立しています。
7.リーダーの素質や必要なスキルを育てるための育成方法とは
ここからは、リーダーの育成方法を解説します。
リーダーの素質のある人材を育成することで、即戦力として組織の軸となって企業の発展に貢献してくれるでしょう
1.メンター制度の導入
メンター制度は、経験豊富な上司や先輩が若手リーダーに対して個別に指導を行う仕組みです。特に1on1ミーティングを通じて、日常業務の中で直面する具体的な課題へのアドバイスをすることが重要です。
これにより、若手リーダーは実践的なスキルやリーダーシップを学びながら、自信を持って業務に取り組めます。
メンターの経験を活かし、個別のニーズに合わせた指導をし、成長するリーダーへの支援をしていきましょう。
2.リーダーシップ研修の実施
リーダーシップ研修は、リーダーとして必要なコミュニケーション力や、意思決定力などを体系的に学ぶためのプログラムです。
この研修では、eラーニングを活用し、時間や場所にとらわれずに学習できる環境があります。
リーダーシップの基礎から応用まで幅広い内容をカバーし、参加者は自分のペースで学べます。
さらに、実践的なケーススタディやグループワークを通じて、学んだ知識を実際の業務に応用できる力を養うことができるでしょう。
3.実践の場を提供する
リーダーシップの成長には、実践の場が不可欠です。OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)は、実際の業務を通じて、リーダーシップを発揮するために効果的です。
若手リーダーには、プロジェクトリーダーやチームリーダーとしての役割を与え、実際にチームを導く経験を積ませます。
これにより、理論だけでなく、現場での対応力や判断力が養われます。実践を通じて得た経験は、リーダーとしての自信とスキルを確実に高めることにつながるでしょう。
8.リーダー人材育成ならみらいワークスにお任せください
みらいワークスでは、リーダー人材の育成サポートやリーダーシップ候補育成プロジェクトの企画、立案、実行に強い人材の紹介をしています。プロフェッショナル人材に特化したマッチングサービスとして多数のリーダー職経験者を有している他、人事コンサルタントや経営者なども紹介可能です。
効果的なリーダー育成ができれば、目先の目標達成はもちろんのこと、将来的な企業の安定性にもつながります。次世代リーダーのトレーニングやプロジェクトマネージャーの指導なども可能なので、お気軽にご相談ください。
9.まとめ
本記事では、リーダーの素質や求められる能力、また最近進化したリーダーシップの形について解説しました。
リーダーとは、変化の激しい社会で組織を成功へ導く重要な存在です。リーダーには、ビジョンを明確にし、チームをやる気にさせ、適切な判断で問題を解決する役割が必要です。
また、リーダーとしての素質を持つ人は、コミュニケーション力や判断力、責任感などが求められます。
一方で従来の支配型のリーダー像は、もはや社会に受け入れられない存在になりつつあることにも注目すべきです。組織のために何が最良なのかを常に気を配り、メンバーが自らより良い方向へと向かうように導いていく姿勢が求められています。
これらのリーダーの素質を持つ人材の育成は、企業の成長にとっては欠かせません。
リーダー育成に関する詳細な情報や方法については、こちらの記事をご覧ください。DX人材の育成のポイントについてくわしく説明致します。
(株式会社みらいワークス Freeconsultant.jp編集部)