ジョブ型とメンバーシップ型の違いは?今注目の「ロール型」の特徴・導入手順も解説 - freeconsultant.jp for Business
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最終更新日:2026.03.03
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ジョブ型とメンバーシップ型の違いは?今注目の「ロール型」の特徴・導入手順も解説

これまで日本企業では、新卒一括採用・年功序列・終身雇用を前提とし、人に仕事をつける「メンバーシップ型雇用」が主流でした。しかし、近年は職務内容を明確に定義し、仕事に人をつける「ジョブ型雇用」が主流になりつつあります。

しかし、ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用の二元論だけで働き方や組織設計を考えると、現代の多様な働き方には対応しきれません。そこで、第三の選択肢として新たに注目されているのが、両者のメリットを組み合わせた「ロール型雇用」です。ロール型雇用を取り入れることで、人材の専門性を高めながら、組織へのエンゲージメントを維持することができます。

本記事では、ジョブ型とメンバーシップ型の違いやメリット・デメリットから、ロール型雇用の概要、最適な雇用方法の選び方まで解説します。自社に適した雇用方法を探している方は、ぜひ最後までチェックしてください。

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■目次

  1. ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用とは
  2. ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用の違い9つ
  3. ジョブ型雇用が注目されている背景
  4. ジョブ型雇用のメリットとデメリット
  5. 企業・従業員から見たジョブ型雇用のメリット・デメリット
  6. 企業・従業員から見たメンバーシップ型雇用のメリットとデメリット
  7. ジョブ型とメンバーシップ型の二元論で捉える危うさと代替案
  8. ジョブ型雇用・メンバーシップ型雇用・ロール型(ハイブリッド型)雇用の選び方
  9. メンバーシップ型からジョブ型・ロール型雇用へ移行する手順
  10. 人事・採用でお困りの方は「フリーコンサルタント.jp」へご相談ください
  11. フリーコンサルタント.jpによる人事・採用に関する成功事例3選
  12. まとめ

1.ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用とは

最近は日本でもジョブ型雇用が増えていますが、従来のメンバーシップ型との違いについてみていきましょう。

ジョブ型雇用とは

ジョブ型雇用とは、職務内容や役割を明確に定め、それに応じて採用・評価・報酬を行う雇用方法のことを指します。メンバーシップ型雇用よりも個人の役割が明確化されるため、責任範囲がはっきりし、成果に基づいた公正な評価がしやすい点が特徴です。

特に、専門職や管理職の採用・育成において効果を発揮します。

近年、働き方の多様化やグローバル化が進む中で、専門スキルを持つ人材を適材適所で配置するためにジョブ型雇用が注目されるようになりました。また、リモートワークや副業といった新しい働き方にも対応しやすく、導入を検討する企業の増加につながっています。

メンバーシップ型雇用とは

メンバーシップ型雇用とは、職務内容よりも組織への所属や勤続を重視する雇用方法です。

日本企業では長年にわたり、メンバーシップ型を軸に研修、昇進、評価制度が構築されてきました。

新入社員は入社後にさまざまな部署を経験しながらスキルを身につけ、組織全体の一員として長期的に活躍することが前提となっています。社員が異なる業務や職務に対して柔軟に対応できるよう育成を行うことで、組織としても幅広い人材配置が可能です。

2.ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用の違い9つ

ジョブ型雇用とメンバーシップ雇用は、次の9つの項目で違いがみられます。

項目 ジョブ型雇用 メンバーシップ型雇用
採用制度 中途採用が一般的 新卒採用が一般的
職務内容 明確で専門性重視 曖昧で幅広い業務対応
昇進基準 成果や能力で決定 年功序列や貢献度重視
給与体系 成果や責任に応じて 年功や勤続年数に基づく
研修 専門スキルに重点 総合的スキルを育成
業績評価 成果重視 貢献度や協調性重視
労働契約 職務に基づく契約 企業全体の一員として採用
配置転換・転勤 基本的に行えない 部署移動や転勤を命じることが可能
解雇 能力や状況に応じて解雇可能 長期雇用前提のため、解雇は行いにくい
モチベーション 成果や専門性で向上 組織への帰属感で向上

それぞれ順番に解説します。

①採用制度の違い

ジョブ型雇用では、あらかじめ定められた職務や役割に対して適切な人材を割り当てるため、専門スキルや経験が重視されます。スキルを保有した即戦力人材を確保しやすく、中途採用が一般的です。

一方、メンバーシップ型雇用では個人を採用してから組織内で複数の仕事を経験させ、徐々に最適な役割を見つけて割り当てます。そのため、ポテンシャルや人間性を重視した長期的な人材育成を用いるケースが多いです。

ジョブ型は即戦力重視、メンバーシップ型は育成重視と覚えておくと理解しやすいでしょう。

②職務内容の明確さの違い

ジョブ型雇用では、職務内容が明確に定義され、社員はその特定の職務に専門的に従事します。
これにより、専門性の高いスキルを持つ人材を採用しやすくなり業務の効率化が期待できるでしょう。
一方、メンバーシップ型雇用では、職務内容が柔軟で社員が幅広い業務に対応することが求められます。

明確な職務範囲がないため、状況に応じて柔軟に役割を変えることが可能ですが、専門性の深化が難しい場合があります。

③昇進・昇格基準の違い

ジョブ型雇用では、社員の専門スキルや成果に基づいた昇進・昇格が行われます。特定の職務で優れた成果を上げることでキャリアを積み上げるため、実力主義が強く反映され、優れた専門家を育てる環境が整います

一方、メンバーシップ型雇用では、年功序列や長期的な勤続による昇進が一般的です。組織内での経験や貢献度が重視され、チームワークや社内調整能力などが評価の対象となります。

④給与体系の違い

ジョブ型雇用では、職務内容や成果に応じた給与体系が適用されます。専門性が高く、職務ごとに給与が設定されるため、スキルや業績に直結した報酬が支払われます。これにより、優秀な人材を引きつけるためのインセンティブが強化されます。

一方、メンバーシップ型雇用では、基本給に加えて年齢や勤続年数に応じた給与が支払われることが一般的です。安定した給与体系が提供されるため、長期的な雇用の安定性が魅力となります。

⑤研修・育成のアプローチの違い

ジョブ型雇用では、特定の職務に必要なスキルを重視した研修・育成が行われます。社員は専門分野でのスキルアップに重点を置き、自己研鑽が求められるため、専門性の高い人材の育成が可能となります。

一方、メンバーシップ型雇用では、幅広い業務に対応できるジェネラリストの育成を目指します。社内でのジョブローテーションや長期的な育成計画が組まれ、社員がさまざまな分野で経験を積むことが重視されます。

⑥業績評価の方法の違い

ジョブ型雇用では、明確な職務内容に基づいて、業績や成果が評価の中心となります。職務に対してどれだけの成果を出したかが直接的に評価されるため、評価基準が職務ごとに明確なことが多いです。

一方、メンバーシップ型雇用では、社員の勤続年数や会社への貢献度、協調性が重要視されます。そのため、業績評価は定性的な要素が含まれる場合が多く、評価基準が曖昧になることがあります。

⑦労働契約の種類の違い

ジョブ型雇用では、特定の職務に対して労働契約を結ぶため、職務が変わる際には契約の見直しが必要です。
社員は自身の専門スキルを活かしてキャリアを形成できるため、契約内容が明確であることが求められます。
メンバーシップ型雇用では、包括的な雇用契約を結ぶことが多く、会社の指示に応じて職務内容が変更されることが一般的です。
これにより、長期的な雇用が確保される反面、社員のキャリアの方向性が曖昧になることがあります。

⑧配置転換・転勤の違い

ジョブ型雇用では職務やポジションごとに人材を割り当てるため、配置転換は基本的に行えません。そのため、配置転換や転勤が多い企業の場合、ジョブ型雇用の導入は慎重に検討する必要があります。

一方、メンバーシップ型雇用では業務内容を明記していないため、さまざまな部署や地域への配置転換・転勤を命じることが可能です。幅広い経験を積ませ、組織の柔軟な人材運用を実現できます。

⑨解雇の違い

ジョブ型雇用では職務内容や役割が明確に定義されているため、業務遂行能力や成果が一定の基準を満たさない場合、解雇の検討対象となります。また、業績悪化や業務縮小により職務がなくなった場合も、新規で職務を与えずに解雇することが可能です。

一方、メンバーシップ型雇用では社員の長期雇用を前提としているため、解雇は非常に慎重に行う必要があります。職務がなくなった場合でも、勤続年数や組織への貢献を考慮し、雇用継続に努めることが重要です。

社員のモチベーションへの影響の違い

ジョブ型雇用では、専門スキルの向上や成果の達成がモチベーションの源となります。社員は自分の専門分野での成長を実感しやすく、明確な目標に向かって努力する意欲が高まります

一方、メンバーシップ型雇用では、組織全体での貢献やチームワークがモチベーションを高める要素となります。

長期的な安定や組織への帰属意識が社員の満足感を高め、組織の一員としての役割を重視する風土が育まれます。

ジョブ型雇用が注目されている背景

dodaの調査によれば、ジョブ型雇用の認知度は32.3%です。さらに、メンバーシップ型雇用に肯定的な人の割合が68.4%なのに対し、ジョブ型雇用に肯定的な人の割合は76.2%にも上り、働き手の意識がジョブ型へと傾きつつある現状が見て取れます。

では、なぜ今ここまでジョブ型雇用が注目されているのでしょうか。その背景には、以下のような要因が挙げられます。

出典:「ジョブ型雇用」の認知度はどのくらい? 「メンバーシップ型雇用」との違いや年代ごとのイメージも調査|doda

①経団連の提言

日本経済団体連合会はSociety 5.0時代を見据えた働き方改革と、雇用制度の見直しの必要性を提起しています。2020年版の「経営労働政策特別委員会報告」では、デジタル化やグローバル化による経営環境の変化を踏まえ、日本型雇用システムの転換期にあることを指摘しました。特に、従来の新卒一括採用・終身雇用・年功序列を柱とする日本型雇用制度について、専門性の高い人材の活躍や企業競争力の強化に対応するためには、役割や職務に応じた雇用制度の導入・拡充が求められるとの考えが示されています。

経団連の提言は多くの企業が自社の雇用制度を見直すきっかけとなり、ジョブ型雇用への関心が一気に高まりました。2026年1月に公開された経団連の「トップ・マネジメント調査結果」では、実際にジョブ型雇用を導入している(導入予定・検討中含む)企業の割合は26.4%にも上り、実際に企業意識が変わりつつあることが伺えます。

②テレワークの普及

新型コロナウイルスの影響をきっかけに、テレワークをはじめとした多様な働き方が急速に普及しました。従来の職場中心の勤務を前提とした評価制度では、適切に社員の成果や貢献を測りにくくなっています。

その点、ジョブ型雇用であれば業務内容が定められているため、テレワーク時でも適切に評価が行え、公平性や透明性を高めることが可能です。

テレワーク普及に伴う評価の難しさを解消する手法として、ジョブ型雇用は注目されています。

③専門人材の不足

現在、多くの企業で専門スキルを持つ人材の不足が深刻化しています。メンバーシップ型雇用は社員を長期的に育成する仕組みのため、即戦力として活躍できる人材をすぐに確保することは難しいです。

一方、ジョブ型雇用であれば、必要な職務に応じて高いスキルを持つ人材を外部から迅速に採用できます。

専門性の高い業務においては、ジョブ型雇用の導入が企業競争力の向上に直結するでしょう。

企業・従業員から見たジョブ型雇用のメリット・デメリット

ジョブ型雇用には、メリット・デメリットがあります。企業・従業員それぞれの視点で、メリット・デメリットを見ていきましょう。

【企業側】ジョブ型雇用のメリット

ジョブ型雇用を採用することで、企業が得られるメリットは以下のとおりです。

① 即戦力人材が確保できる

ジョブ型雇用は、求めるスキルや経験を持った優秀な人材を採用できるため、スピード感を持ってプロジェクトや業務を進められます。また、職務内容や役割が明確に定められているので、社員は特定分野の専門性を磨きやすく、組織全体として高度な専門スキルの蓄積ができるのもポイントです。

企業は即戦力人材の活用と専門性向上を同時に実現し、競争力の強化につなげられます。

② 専門性が向上する

ジョブ型雇用は、特定の職務に特化した人材を採用するため、社員の専門性が向上します。これにより、企業は高度なスキルや知識を持つ人材を確保し、業務の効率化や品質向上に貢献できます。

また、専門的なスキルを持つ社員は、業界の変化に迅速に対応できるため、新しい技術やトレンドに追随しやすくなります。専門性の高い社員を採用することで、企業全体の競争力を強化することが可能です。

③成果主義にできる

ジョブ型雇用では、社員の職務内容と成果が明確であるため、成果主義を導入しやすいです。各社員の貢献度や達成状況を客観的に評価できるため、公平な評価制度の構築が可能です。

これにより、優秀な人材のモチベーションを高め、組織全体の生産性を向上させます。

また、成果に応じた報酬を提供することで、社員の意欲を高め、企業の成長に寄与することが期待できます。

【企業側】ジョブ型雇用のデメリット

ジョブ型雇用を採用する場合、企業にとって以下のようなデメリットがある点に注意が必要です。

① 柔軟性が不足する

ジョブ型雇用は職務内容が明確に定義されているため、従業員に特定の職務を期待します。このため、他の業務をカバーする柔軟性が低く、組織全体の迅速な対応や調整が難しくなる可能性があります。

例えば、急なプロジェクトの変動や異なる部門への異動が必要になった際に、ジョブ型では迅速な対応が困難になることがあります。

企業の採用担当者としては、変化の激しい環境での適応力を考慮する必要があります。

② 人材育成の幅が狭まる

ジョブ型雇用では、従業員が専門的な職務に特化するため、職務の範囲が限定されます。その結果、幅広いスキルの習得や異なる分野での経験が難しく、人材育成の幅が狭まる可能性があります。

特に若手社員やキャリアの初期段階にある人にとって、さまざまな業務経験を通じて成長する機会が少なくなります。

企業の採用担当者としては、長期的な人材育成の戦略を検討する際、この制約を考慮する必要があります。

③ 社内の協力体制が構築できない

ジョブ型雇用では、各従業員が自分の職務に集中する傾向が強いため、組織全体での協力や情報共有が不足する場合があります。部門間の連携が弱まることで、プロジェクトの進行に支障が出たり、組織全体の効率が低下したりするリスクがあります。

特に、複数の部門が連携して成果を上げるようなプロジェクトにおいては、協力不足が重大な課題となります。そのため、組織全体での協力体制をどう確保するかが重要です。

【従業員側】ジョブ型雇用のメリット

ジョブ型雇用は、従業員にとっても明確なメリットがあります。以下では、従業員側におけるジョブ型雇用のメリットを整理して解説するため、最後までチェックしてください。

① スキルに合った業務ができる

ジョブ型雇用では、あらかじめ職務内容や求められる役割が明確に定義されているため、スキルや専門性に合った業務に従事しやすいというメリットがあります。メンバーシップ型のように「配属後に仕事内容が決まる」のではなく「この業務を担う人材」として採用・配置されるため、個々の強みが発揮されやすいです。

その結果、従業員はスキルを活かして働ける実感を得やすく、モチベーションの維持にもつながるでしょう。

② キャリアパスが明確になる

前述の通り、ジョブ型雇用では職務内容や求められる成果、責任範囲が明確に定義されています。そのため「どのポジションに就くには、どのようなスキルが必要か」が可視化されやすく、キャリアパスを具体的に描きやすい点が大きなメリットです。

また、従業員は主体的にスキルアップに取り組みやすくなり、納得感のあるキャリア形成ができます

【従業員側】ジョブ型雇用のデメリット

ジョブ型雇用は従業員に多くのメリットがありますが、一方で注意すべきデメリットも存在します。

①失業リスクがある

ジョブ型雇用では従業員が担当する業務や職務が明確に定められているため、担当業務が不要になったり縮小された場合、仕事自体がなくなってしまうリスクがあります。特定の専門性や役割に特化していることは強みである一方で、職務の多様性が限られるため、他の業務に簡単に移行できないケースも少なくありません。

また、企業側も、社員が不要になるリスクを最小化するために柔軟な人材配置や再教育の仕組みを整えることが求められます。

②過度な期待へのプレッシャーを感じる

ジョブ型雇用では職務や役割が明確に定められ、求められる成果や責任がはっきりしているため、企業からの期待も高くなりがちです。その結果、従業員は過度なプレッシャーを感じやすく、ストレスや心理的負担が増す場合があります。特に即戦力として採用された場合には、精神的な負荷が大きくなることも少なくありません。

従業員が働きやすい環境を整えるためにも、一人ひとりの役割に見合った目標設定やサポート体制の整備が重要です。

企業・従業員から見たジョブ型雇用のメリット・デメリット

ジョブ型雇用だけではなく、メンバーシップ型雇用にも企業・従業員それぞれのメリット・デメリットがあります。

【企業側】メンバーシップ型雇用のメリット

メンバーシップ型雇用を採用することで、企業は以下のようなメリットが得られます。

① 人材活用の柔軟性が高まる

メンバーシップ型雇用では、職務に限定されず様々な業務に従事できるため、人材活用の柔軟性が高まります。企業がプロジェクトや組織の変動に応じて、社員の適性やスキルに基づいた配置転換を容易に行える点が魅力です。

また、急な人員不足に対しても対応しやすく、組織全体の業務効率を向上させる効果があります。

このため、企業が変化する市場環境に対応しやすくなり、長期的な人材戦略を構築しやすいでしょう。

② 長期的な人材育成ができる

メンバーシップ型雇用では、長期的な視点で社員を育成することが可能です。職務に限定されず多様な経験を積むことで、社員は幅広いスキルや知識を習得できます。これは、企業の持続的な成長に必要な総合力のある人材を育てる上で効果的です。

また、長期間にわたって社員と信頼関係を築くことができるため、企業文化への深い理解や忠誠心の向上にもつながります。

③ 組織のチームワークが向上する

メンバーシップ型雇用は、組織全体での協力体制を強化するために有益です。社員が特定の職務に縛られないため、チームでの協働や部門間の連携が円滑に進みます。この雇用形態は、組織全体の一体感を高め、プロジェクトの成功に向けて社員が一丸となる環境を作り出します。

結果として、チームワークの向上やコミュニケーションの活性化が図られ、組織のパフォーマンス向上に寄与するでしょう。

【企業側】メンバーシップ型雇用のデメリット

メンバーシップ型雇用には様々なメリットがある一方で、企業にとって以下のようなデメリットもあります。

① 評価基準が不明確になりやすい

メンバーシップ型雇用では、評価基準が曖昧になりがちです。

社員の貢献度や能力を正確に評価するのが難しく、昇進や給与に関する判断が主観的になりやすいでしょう。

特に、全社員のパフォーマンスを平等に評価しようとすると、努力や成果が見過ごされる可能性があります。このため、優秀な人材が正当な評価を受けられず、モチベーションの低下や離職につながるリスクがあります。

② 専門性が不足する

メンバーシップ型雇用では、社員が多様な業務を経験するため、専門的なスキルの習得が難しくなります。特に高度な専門性が求められる分野では、社員が業務の幅広さに対応するために深い専門知識を習得する時間が不足しがちです。

これにより、組織全体での専門家不足が生じ、競争力の低下につながる可能性があります。

③ 人件費が負担になる

長期的な雇用を重視するメンバーシップ型では、社員のキャリアをサポートするために人件費が高くなる傾向があります。昇給や福利厚生、研修費用などが積み重なり、企業にとってのコスト負担が増大します。

特に、業績が伸び悩んでいる場合や景気の悪化時には、この人件費の負担が企業の財務状況に大きな影響を与える可能性があります。

【従業員側】メンバーシップ型雇用のメリット

次項からは、従業員側におけるメンバーシップ型雇用のメリットを整理して解説します。

①スキルアップできる

メンバーシップ型雇用は幅広い業務を経験できるため、スキルアップにつながります。入社後にさまざまな部署や業務を経験することで、専門性だけでなく総合的な業務能力や組織運営能力を身につけられるなど、キャリアの幅を広げることが可能です。

また、育成を前提とした研修やOJTの制度も整備されているため、自身の成長を実感しながら、安心して学習や挑戦に取り組める点も大きなメリットです。

②解雇リスクが低い

メンバーシップ型雇用は長期雇用を前提としているため、スキルやパフォーマンスが一時的に十分でなくても、すぐに解雇されるリスクはほぼありません。

能力向上や適性に応じた配置転換、研修やサポートを通じて成長を支援することで、従業員は安心して働き続けられます。

また、心理的安全性が高まるため、パフォーマンスの最大化やエンゲージメントの向上にもつながるでしょう。

【従業員側】メンバーシップ型雇用のデメリット

メンバーシップ型雇用は、従業員にとって自己成長や心理的安全性の確保など多くのメリットがありますが、注意すべきデメリットも存在します。

①業務内容が変化する可能性がある

メンバーシップ型雇用では、社員の職務があらかじめ固定されているわけではなく、組織全体の戦略やニーズに応じて業務内容が変化します。そのため、入社後に希望していない部署への配置転換や転勤が発生する点に注意しましょう。幅広い経験やスキルを身につける機会として捉えられる一方で、自身が専門的に深めたい分野の業務から離れる場合もあり、キャリア形成に影響することがあります。

また、会社都合で業務や勤務地が変わることにより、生活リズムや家庭環境の調整が必要になる場合も少なくありません。

②昇給しづらい

メンバーシップ型雇用では、昇給や昇進が年功序列や勤続年数を重視して決まることが多く、個人の能力や成果が直接的に給与に反映されにくい傾向があります。

高いスキルや業務成果を持っていても、短期間で大幅な昇給を得ることは難しいかもしれません。

特に、同じ組織内で長期間勤務することを前提とした評価制度では、若手社員や入社間もない社員が実力を発揮しても給与面でのメリットはほぼ感じられないでしょう。年功序列モデルは安定性や長期的な生活設計の安心感をもたらすものの、成果主義を重視する人にとってはモチベーションの維持が課題となる可能性があります。

ジョブ型とメンバーシップ型の二元論で捉える危うさと代替案

ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用の二元論だけで働き方や組織設計を考えると、現代の多様な働き方には対応しきれない点に注意しましょう。ジョブ型は専門性や即戦力を重視する一方、柔軟性に欠けている点が課題です。また、メンバーシップ型は安定性や育成を重視する一方、成果が反映されにくいという課題があります。

そこで注目されているのが「ロール型」です。ロール型は、職務や役割を柔軟に設定し、個人の能力や組織のニーズに応じて役割を変化させる手法を指します。ジョブ型雇用とメンバーシップ雇用のメリットを取り入れており、多様な働き方に対応できる点が特徴です。

以下で、ロール型について詳しく解説します。

ロール型(ハイブリッド型)雇用のメリット

ロール型(ハイブリッド型)雇用は、ジョブ型とメンバーシップ型の長所を組み合わせ、柔軟に役割や職務を設定できる雇用方法です。企業と従業員の双方にメリットがあり、従来型の二元論では得られなかったバランスの良い働き方を実現します。

【企業側のメリット】

  • 専門性を維持しながら柔軟な役割調整が可能
  • 組織のニーズに応じた人材配置で生産性が向上する
  • 長期的な育成と即戦力の活用を両立できる
  • 役割の変化に応じて報酬を変化させられる

【求職者側のメリット】

  • 専門性を活かしつつ新しい挑戦ができる
  • 成果やスキルに応じた評価が受けやすい
  • 柔軟な働き方やキャリア形成が可能

ロール型雇用は企業と従業員の双方にとってメリットが大きく、現代の多様な働き方や組織ニーズに対応しやすい新しい雇用形態として注目されています。

ロール型(ハイブリッド型)雇用のデメリット

ロール型(ハイブリッド型)雇用は柔軟で多様なメリットがある一方、企業側・従業員側それぞれにデメリットも存在します。

【企業側のデメリット】

  • 役割や職務の境界が曖昧になりやすい
  • 評価制度や配置の整備が必要
  • 制度運用や調整にコストがかかる

【求職者側のデメリット】

  • 役割や責任範囲の変化で負荷が増す可能性がある
  • キャリア形成や専門性の蓄積が難しい場合がある
  • 高い自己管理能力や柔軟性が求められる

ロール型雇用は、柔軟性と専門性の両立が可能な一方で、運用の仕組みや従業員の対応力に依存する部分も大きいです。

メリットだけでなく、注意点を理解して導入や活用を進めましょう。

ジョブ型雇用・メンバーシップ型雇用・ロール型(ハイブリッド型)雇用の選び方

ジョブ型雇用・メンバーシップ型雇用・ロール型雇用にはそれぞれメリットやデメリットがあるため、どれを選べば良いか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。

各雇用方法が適している企業の特徴を、以下の表にまとめました。

ジョブ型雇用 メンバーシップ型雇用 ロール型雇用
中心となるスキル 専門的なスキル 汎用・ポテンシャル 専門性 + 適応力
業務の進め方 プロジェクトベースでチーム構築 プロセスベースでチーム構築 クロスファンクショナルチームを構築
評価方法 成果主義 能力・プロセス評価 ミッション遂行度
重視する部分 社員の専門性向上と生産性 人材の定着と組織の柔軟な配置 市場変化への即応性と内製化
おすすめの組織・フェーズ 特定の高度な課題解決(AI開発、高度なデータ分析など)が必要 企業の文化継承や、ゼネラリストとしての多角的な視点を育てたい 新規事業やDX推進など、変化が激しく役割が固定できない

ジョブ型雇用をおすすめする企業

ジョブ型雇用は、明確な職務内容と成果に基づく評価を重視する企業に適しています。
特に専門的なスキルが求められる職種や、プロジェクトベースで業務が進む場合に効果的です。
業績に直結する成果を期待する企業は、専門性の高い人材を適所に配置し、業績向上を図ることができます。

社員の専門性向上と自律的な働き方を重視し、成果主義の文化を促進したい企業にとっては、ジョブ型雇用が理想的です。

メンバーシップ型雇用をおすすめする企業

メンバーシップ型雇用は、柔軟な人材配置と長期的な人材育成を重視する企業に適しています。
多様な業務に社員を適応させ、組織全体のチームワークを高めたい場合に効果的です。
職務内容が固定されていないため、変化するビジネス環境に対応しやすく、長期的なキャリア育成が可能です。
社員の協力体制や組織内での人材活用を重視し、柔軟性と長期的視野での成長を図る企業に最適です。

ロール型(ハイブリッド型)雇用をおすすめする企業

ロール型(ハイブリッド型)雇用は、柔軟性と専門性の両立が求められる現代の企業に特に適しています。特に、複数のプロジェクトや業務を横断的に進める必要がある企業や、社員一人ひとりの専門スキルを最大限活用したい企業、また急速に変化する市場環境に対応する必要がある企業に最適です。

ロール型(ハイブリッド型)雇用であれば、固定的な職務に縛られず、社員の能力や組織のニーズに応じて柔軟に役割を変化させられるため、効率的かつ戦略的な人材活用ができます。さらに、若手や中途社員の育成・活躍の機会を増やすこともでき、組織全体の成長につながるでしょう。

メンバーシップ型からジョブ型・ロール型雇用へ移行する手順

メンバーシップ型からジョブ型やロール型雇用への移行は、単に制度を変えるだけではなく、組織文化や人事制度全体を見直す必要があります。従業員の役割、評価基準、キャリアパスの明確化を行いながら、段階的に移行していきましょう。また、移行プロセスでは、現場の理解や納得を得るためのコミュニケーション、研修、試行的な運用も欠かせません。

以下では、メンバーシップ型からジョブ型・ロール型雇用への移行を円滑に進めるための手順やポイントについて解説します。

ジョブ型雇用の具体的な導入方法・手順

ジョブ型雇用導入の手順は、以下の5つです。

  1. 職務定義の明確化
  2. 評価基準の整備
  3. 研修・育成プログラムの設計
  4. 労働契約の見直し
  5. 試行期間の設定と改善

ジョブ型雇用を導入するには、まず職務の範囲や責任を明確にし、それに基づいた評価基準を整備します。
その後、必要なスキルを育てるための研修プログラムを設計し、従業員が専門性を高められる環境を提供しましょう。

また、従業員との契約内容や福利厚生を再検討し、制度を整えることが大切です。
試行期間を設け、定期的に見直すことで、効果的なジョブ型雇用の運用が可能となります。

ロール型(ハイブリッド型)雇用の導入手順

ロール型雇用を導入する際は、単に職務や役割を柔軟にするだけでなく、組織全体の戦略や人材育成方針と整合させることが重要です。

以下では、ロール型雇用を導入・設計する際に押さえておきたい基本的な進め方を詳しく解説します。

①現状の役割・業務の可視化

ロール型雇用を導入する第一歩として、まずは現状の役割や業務を可視化しましょう。業務の必要性や各社員の関わりを明確にでき、ロール型雇用における柔軟な役割設計の基盤が整います

制度上の役割や職務だけでなく、日々の業務内容やプロジェクトでの実際の担当範囲まで整理し、組織図や業務マップとして可視化することがポイントです。

②ロールの定義

ロールの定義では「その役割で何を担い、どんな成果を出すことが求められるのか」を明確にします。

責任範囲・期待成果・意思決定権限まで具体的に言語化しましょう。

たとえば「営業担当」という定義ではなく、役割と成果基準をセットで整理します。その結果、従業員自身が自分の役割を正しく理解し、何に集中すべきかを明確にすることが可能です。また、ロールを明確にすることで、評価基準のブレを防ぎ、属人的な判断を減らすことにもつながります。

③ロールをレイヤー(等級)ごとに整理

ロールをレイヤー(等級)ごとに整理する目的は、同じロールの中に存在する責任の大きさや成果難易度の違いを明確にすることです。

「どのレイヤーでどの責任を担っているのか」を明確にすることで、“役割の大きさ”に応じた公平な評価・報酬設計が可能になります。また、従業員も自身の現在地と成長ステップを理解しやすくなるため、モチベーション向上に寄与します。

④評価・報酬・育成をロール基準で設計

ロールとレイヤーを整理したら、次は評価・報酬・育成制度をロール基準で設計しましょう。各ロールに応じた評価指標を設定し、レイヤー別に給与レンジを明確化することで、公平かつ透明性のある報酬体系を構築できます。

また、スキルギャップ分析を行うことで、一人ひとりが伸ばすべきスキルを可視化し、組織の成長支援に反映させることが可能です。

従業員が期待値を理解し、組織が柔軟な人材活用を両立できるようにしていきましょう。

⑤段階的に実行・浸透

ロール型雇用では、制度を一度作って終わりにせず、段階的に実行・浸透させることが重要です。部門長から順に全社員へ教育や説明を行って、組織全体に理解と納得を広げるのがポイントです。

導入後も定期的にロール定義を見直し、状況の変化に応じて柔軟に更新することで、社員の成長や組織の柔軟な人材活用に活かすことができます。

人事・採用でお困りの方は「フリーコンサルタント.jp」へご相談ください

人事制度の見直しや採用戦略の立案は、企業の成長や組織力向上に直結する重要な課題です。しかし、専門知識や経験が社内だけでは十分に補えず、制度設計や導入の進め方に悩む企業も少なくありません。

「フリーコンサルタント.jp」では、豊富な経験を持つコンサルタントが、ジョブ型・メンバーシップ型・ロール型など多様な雇用形態に対応した制度設計や運用支援を提供します。自社の現状や課題に合わせた最適な人事戦略の立案から導入まで、実務に即したサポートを行い、組織の柔軟な人材活用と成長を後押ししますので、お困りの方はお気軽にお問い合わせください。

フリーコンサルタント.jpによる人事・採用に関する成功事例3選

以下からは、フリーコンサルタント.jpのプロ人材が各企業の人事・採用課題を解決した事例を紹介していきます。

各事例から、課題の整理方法や解決アプローチ、成果のポイントを具体的に理解していきましょう。

事例①外資系SaaSサービス会社

社員10名弱の小規模ベンチャー企業では、常時人手不足のうえ採用担当者がおらず、採用活動が長期間停滞していました。

課題 CEO自らが採用活動を代行していたが、日々の業務も多く、採用に十分な時間を割けない
フリーコンサルタント.jpが提供した人材 人事領域の豊富な経験を持ち、マネジメントも経験しているプロフェッショナル人材
効果 ・停滞していた採用活動がプロフェッショナル人材の参画後すぐに動き始め、想定以上の面談数をセットできる状態に回復
・社員が面談対応に追われる、嬉しい状況へ変化

スカウト数、面談数など目標値を設定し、初日からスカウトを開始した結果、面談数が劇的に増加しました。また、CEOの採用にかけていた工数を、より優先度の高い業務に割り当てられるようになり、社内のピープルマネジメントや顧客対応等が円滑に行えるようになっています。

外部人材を活用することで、課題解決とコア業務へ集中できる環境の構築を同時に実現した事例です。

事例②大手素材メーカー会社

大手素材メーカー会社では、社員給与が市場の水準に見合わなくなり、採用活動にも影響が出ていたため、プロパー社員の給与制度を見直すプロジェクトをコンサルティングファームと共に進めていました。

課題 社内へのエスカレーションや情報連携を迅速に行いながら、コンサルティングファームと対等に話を進められる人材がいない
フリーコンサルタント.jpが提供した人材 採用支援、組織設計や制度設計を得意とするコンサルタント
効果 社内の意見や要望を柔軟にまとめて、求めていたレベルでの人事制度の策定を実現できた

「フリーコンサルタント.jp」がコンサルティングファームとのカウンター窓口として参画したことで、納得のいく人事制度を策定することができました。また、コンサルティングファームのコントロールと各ドキュメントの作成手順を人事部門にナレッジとして蓄積することにも成功しています。

事例③大手通信会社

大手通信会社では、人事制度の深い知見を持つ社員が社内にいなかったため、等級制度や評価制度などの制度設計が困難な状況にありました。

課題 制度設計だけでなく、現状分析や仮説設定、社内提案用資料の作成、グランドデザインまで、一貫して推進できる人材が不在
フリーコンサルタント.jpが提供した人材 人事制度設計・人事組織設計の知見とコンサルタント実績を持つプロフェッショナル人材
効果 ・経営層の要望をうまく取り入れた新しい人事制度の全体設計に成功

・今後の人事制度設計の改修可能性に向けて、人事部門へナレッジの落とし込み

プロフェッショナル人材を活用することで、経営層の要望を適切に反映した新しい人事制度を設計することに成功しました。また、社員とのコミュニケーションを円滑に行い、設計・導入プロセスをスムーズに推進しつつ、スキルトランスファーに成功したことも大きな成果です。

まとめ

人に仕事をつける「メンバーシップ型雇用」に対し、近年は仕事に人をつける「ジョブ型雇用」が広がりつつあります。メンバーシップ型雇用は育成や安定性に強みがある一方、評価が曖昧になりやすく専門性が伸びにくい点がデメリットです。ジョブ型雇用は専門性や即戦力の確保に強い反面、配置転換の柔軟性や長期育成との両立が難しいなどの課題もあります。

こうした二元論では対応しきれない現代の働き方・組織課題に対し、第三の選択肢として注目されているのが「ロール型(ハイブリッド型)雇用」です。ロール型雇用は、役割を柔軟に設定しながらも専門性を高め、評価・報酬・育成を役割基準で整合させるため、組織の機動力と納得感のある人材マネジメントを両立できます。

「フリーコンサルタント.jp」では、人事や採用に精通したコンサルタントが、現場に即した最適な制度設計と導入支援を提供します。自社に最適な雇用手法を採用したいときは、お気軽にご相談ください。

(株式会社みらいワークス フリーコンサルタント.jp編集部)

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