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最終更新日:2024.10.29
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組織マネジメントとは?重要性や成功するフレームワークや事例も解説

柔軟で多様な価値観を持つチームをまとめ、変化に対応できる組織を作り上げる組織マネジメントは、企業の成長と成功には必要不可欠です。

しかし、実際には組織マネジメントの重要性や、成功させるためには何が必要なのかを知りたい管理職の方もいるのではないでしょうか。

本記事では、組織マネジメントの重要性や成功のために活用される「7S」フレームワーク、管理職に求められるスキルや役割まで詳しく解説します。

また、具体的な成功事例も紹介しますので、有効的な組織マネジメントの実施に向けて、ぜひ参考にしてください。

【こんな人におすすめ】

  • 組織の効率を高めたい経営者やリーダー
  • 組織運営やチーム構築に悩んでいる方
  • 新しい組織を立ち上げる予定の人

組織マネジメントとは

組織マネジメントとは、企業の経営資源である「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」を最適に管理し、目標達成に向けて組織全体を効率的に運営するための手法です。

組織は、ただの人の集まりではなく、共通の目標に向かって行動する集団です。そのため、管理職はチームの一体感を保ちつつ、個々の役割を適切に分配し、組織全体の成果を最大化する責任があります。

マネジメントがうまく機能すれば、経営資源の無駄を減らし、生産性を向上させ、競争力を高めることができるでしょう。

ここからは、組織マネジメントの目的や歴史、リーダーとの違いを説明します。

組織マネジメントの目的

組織マネジメントの目的は、経営資源を効率的に管理し、企業の目標を達成することです。
なかでも、「ヒト」のマネジメントは重要で、組織内の個々の力を最大限に引き出し、組織全体のパフォーマンスの向上が求められます。

感情や状況に左右されやすく、管理が難しいのが「ヒト」です。たとえば、課題を他人事とし、共有を怠ってしまうと問題解決にはなりません。

適切なマネジメントにより、全員で問題を共有しながら課題に取り組み、社員一人ひとりが組織の方向性に沿って効果的に動けるように導くことが重要です。

組織マネジメントの歴史と進化

組織マネジメントは時代と共に進化してきました。
従来は、上層部の指示を部下に伝え、従わせる「トップダウン型」の手法が主流でしたが、現代では変化に迅速に対応するため、現場からの意見を反映させる「ミドルアップダウン」型の手法が重視されています。

また、2018年に厚生労働省が調査した結果によると、企業と管理職で重要だと考えるスキルに、ギャップがあることがわかります。
ただし、マネジメント能力については一番重要だと思うスキルとして一致しています。

参照:厚生労働省「きめ細かな雇用管理」を担う管理職の育成に向けた課題について

マネジメントとリーダーの違い

マネジメントとリーダーシップは似ているようで異なります。
マネジメントは、組織全体の計画や戦略を策定し、それを実行・管理するのが役割です。
具体的には、リソースを最適に配分し、組織が目標を達成するためのプロセスに重点を置きます。
一方、リーダーシップは、メンバーのモチベーションを高め、チームをビジョンに向かって導きます。

リーダーは人々に影響を与え、行動を促進することで、組織の方向性を決める重要な役割を担います。
マネジメントはプロセス重視、リーダーは人間関係重視と言えるでしょう。

現代に求められる組織マネジメントの重要性

現代の組織マネジメントは、従来の管理手法に比べて柔軟性と迅速な対応力が求められます。
VUCA(変動性、不確実性、複雑性、曖昧性)時代において、組織が成功するためには、市場や技術の変化に対応し、適切に管理する必要があります。

ここからは、具体的に求められる内容を見ていきましょう。

変化に対応する柔軟性

現代の組織には、急速な市場の変化や技術革新に対処する柔軟性が必要不可欠です。
従来のトップダウン型では対応が遅れるため、現場からの意見を積極的に取り入れ、意思決定のスピードを上げることが重要となります。

また、管理職は現場との連携を強化し、迅速な判断をしなければなりません。
さらに、社員に適切な指導とサポートを行い、変化に対する適応力を高め、変化に強い組織を作るための柔軟性が求められます。

多様な価値観を持つチームの管理

多様な価値観を持つチームを管理するためには、管理職がメンバーそれぞれの強みを引き出し、適材適所で活躍させることが重要です。
現代の組織では、異なるバックグラウンドや価値観を持つメンバーが増えています。

個々の能力を尊重しつつ、全体としてのチームの一体感を保つために、管理職はメンバーの意見や提案を積極的に受け入れる姿勢が必要でしょう。

これにより、チーム全体の生産性と創造性が高まり、組織の目標達成につながります。

組織マネジメントを成功させるフレームワーク「7S」

「7S」は、組織マネジメントを成功させるためのフレームワークで、マッキンゼーが提唱したものです。

7つの要素に分けて組織を分析することで、組織全体を構成するハード面(目に見える構造)とソフト面(人や文化)をバランスよく把握し、経営資源を効果的に活用するための方法を明確にできます。

ここからは、7Sをそれぞれ解説します。

戦略(Strategy)

「戦略」は、組織が目指すビジョンやゴールを達成するための方向性や計画を指し、戦略は、さらに下記3つの要素に分けられます。

企業戦略: 企業全体のビジョンやミッションに基づき、長期的に競争優位を確立するための方向性を定める戦略。どの市場で活動し、どういった立場を取るかを決定します。

事業戦略: 特定の製品やサービスの展開に焦点を当てた戦略。市場での競争力を高め、製品やサービスの提供方法を計画します。

機能戦略: 企業活動を支える運営プロセスや機能(例:生産、開発、営業など)を最適化し、効率を上げるための戦略です。

組織全体の目標を達成するために、長期的な計画と短期的な施策を調整し、3つの戦略を明確にすることが重要です。

組織(Structure)

「組織」は、企業の構造や役割分担を意味します。
組織は以下の3つに分類され、どの形態が自社の目標や戦略に最も適しているかを検討しましょう。

機能別組織: 各部署が特定の業務や機能に特化し、効率的に業務を進める組織

事業部制組織: 各事業部が独自に意思決定を行い、柔軟に事業運営を行組織

プロジェクト組織: 特定の目標達成のために、柔軟で迅速に動くチームで構成された組織

組織構造の最適化は、組織全体の生産性向上に直結します。

システム(System)

「システム」は、組織内のルールや手続き、運営プロセスを指し、目標管理制度や人事評価制度、会計システムなどが含まれます。

システムが整備されていると、社員全体が統一された基準で業務を進められ、パフォーマンスが安定するでしょう。

しかし、システムが不十分だと、組織全体の機能が滞るので、注意が必要です。

スキル(Skill)

「スキル」は、組織が持つ競争優位性や能力を示します。
企業が他者との競争に勝ち、成功するためには、独自のスキルを持っていることが重要です。

たとえば、スキルには技術力、マーケティング力、開発力などが該当します。
組織全体としてどのようなスキルを強化すべきかを明確にし、他社と差別化できる強みを持ち、優位性を確保していきましょう。

人材(Staff)

「人材」は、組織の成長には必要不可欠です。適材適所の人材配置を行い、必要な教育を行いましょう。

個々の能力が発揮できる環境の整備は、人材マネジメントとして必要であり、社員同士の信頼関係やモチベーションを高める施策も必要です。

組織内のコミュニケーションを活発にし、適切なフィードバックを行えば、人材の潜在能力を発揮することにつながります。

スタイル(Style)

「スタイル」は、企業の風土や経営方針を指します。
スタイルは、明文化されたルールだけでなく、社員の間に浸透している暗黙の了解や行動様式から成り立っています。

価値観がそれぞれ違うように、社風や行動などを簡単に変えることはできません。
組織に適したスタイルを選び、社員全体が一貫した方向に向かいやすくすることが、組織の長期的な成功に結びつくでしょう。

価値観(Shared Value)

「価値観」は、組織の存在意義やビジョンを示すものであり、社員全体に浸透しているかが重要です。

共通の価値観を持つことは、組織内での意思決定を迅速かつ一貫性のあるものにし、社員が同じ方向を向いて行動する基となります。

価値観がしっかりと共有されている企業は、組織としての一体感が強く、変化に対する適応力も高いでしょう。

管理職に求められるスキルと役割

リーダーシップとチームマネジメント

管理職には、リーダーシップとしてチームを統率し、目標達成に導く力が必要です。
また、メンバーの個性やスキルを理解し、適切な指導や動機づけを行い、適切な人員を配置するなどのマネジメントも欠かせません。

さらに、問題が生じたときには的確な解決策を提供し、メンバーの意欲を高めて信頼関係を築くことも必要です。

コミュニケーション能力

管理職にとってコミュニケーション能力は、部下との信頼関係を築くために必要なスキルです。
部下の意見をしっかり聞き、上司には現場の状況を伝えなくてはなりません。

特に、経営層とのやり取りでは、現場の声を反映しつつ、適切な提案ができるスキルが求められます。

管理職が積極的にコミュニケーションをとることで、組織全体が一つにまとまり、効果的なマネジメントが実現するでしょう。

組織マネジメントの導入事例

組織マネジメントの導入によって成功した企業の事例を紹介します。
これらの例を通じて、実際の企業がどのようにマネジメントを改善し、成功を収めたのかを学びましょう。

花王株式会社

花王グループは「働きがいのある職場づくり」を重視し、従業員のエンゲージメント向上を目的としたESG経営(環境、社会、ガバナンス)を推進しています。

特に「Kao Way」という企業理念に基づき、従業員が自主的に考え行動できる環境を整備し、社会的責任に貢献する企業文化を育みました。

また、従業員のワークライフバランスや健康管理を支援する「健康経営」も積極的に取り入れました。
その結果、2015年から8年連続で経済産業省と東京証券取引所による「健康経営銘柄」の選定を受け、健康経営のトップランナーとして評価されています。

さらに、定期的なフィードバックやアンケートを通じて従業員の意見を反映し、組織改革を実現しています。
従業員の満足度や生産性を向上させ、企業価値を高めています。

ユニリーバ

ユニリーバは「アジャイル組織」を導入し、変化の激しい市場に迅速に対応できる柔軟な体制を確立しています。

アジャイルチームはプロジェクトごとに機動的に編成され、従業員は役職に縛られず、複数の役割を兼任しながら働ける仕組みを導入しました。
これにより、迅速な意思決定とプロジェクト進行が可能になっています。

また、ユニリーバは「サステナビリティ」を企業戦略の中心に据え、社会的責任を果たす経営を進めています。
さらに、ダイバーシティとインクルージョンを重視した組織文化を育成した結果、従業員の創造性を促進し、組織全体の競争力を高めることに成功しました。

まとめ

現代のビジネス環境では、組織が柔軟に変化に対応し、異なる価値観を持つメンバーをうまくまとめる組織マネジメントが必要不可欠です。

「7S」フレームワークを活用し、組織マネジメントを成功させましょう。また、管理職にはリーダーシップやコミュニケーション能力が求められます。

しかし、社内に専門的な知見を持った人材がいないなどのお悩みを持つ方には、外部人材の利用もおすすめです。

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(株式会社みらいワークス Freeconsultant.jp編集部)

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