「高校野球は、監督の力が非常に大きい」
高校野球好きであれば、何度も耳にしたことがある言葉ではないでしょうか?
戦国千葉と呼ばれ、全国屈指の出場校数で毎年熾烈な予選が繰り広げられる千葉県でも、公立校ながら上位進出するチームは、名将と呼ばれる監督が率いていることが大半です。
公立高校だけではなく、私立高校野球部でも同じです。
2022年と2023年に限っても、創志学園野球部に東海大相模高校野球部前監督で、同校を4度の全国制覇に導いている門馬氏の就任や、2022年に甲子園出場している聖望学園野球部に、過去プロ野球選手を複数名輩出している飯牟礼(いいむれ)氏の就任が話題となりました。
なぜ名将と呼ばれる監督は、どこに行ったとしても強いチーム作りができるのでしょうか?
または、強豪高校の次期監督として、招へいされるのでしょうか?
それらは、彼らがプロフェッショナルだからに他なりません。
そこで今回は、高校野球の名将と呼ばれる監督から、プロフェッショナルについて考察していきます。
1.高校野球の名将とは?
高校野球に限った話では無いですが、スポーツの世界で「名将」と呼ばれる監督は、「チームを勝たせることができる」方を指します。
それは、高校野球で言うとチームを甲子園に連れていくことができる監督、甲子園での優勝、つまり全国制覇を成し遂げることのできる監督だけを指す訳ではなく、公立の弱小高校を率いて、甲子園までは届かなくても地方予選で上位に食い込ませるまでのチーム作りが再現性高くできる監督も当てはまります。
なぜなら一般的な公立高校の場合、野球エリートを推薦で集めてきている名門高校とは選手層が圧倒的に違いすぎるため、真夏の過密日程で連戦連勝が必要となるトーナメントでは不利となりがちだからです。
たとえば、出場校数が多い愛知や神奈川、大阪などでは甲子園の切符をつかむためには7回から8回の勝ち上がりが必要となります。真夏での連戦が続く地方大会では、レギュラー選手の疲労度が高いため、控えの選手を含めた総力戦が必須事項となります。そういった条件下において、選手を集めることが難しい公立高校を率いて上位進出を再現性高くできる監督は甲子園までは行かなくても、十分にチームを勝たせることができるという条件を満たしていると言えるでしょう。
もちろん私立高校は他県からも有望人材を集めることができる、公立高校と比較して監督としての任期が長い分有利とは言えるものの、一発勝負のトーナメントにおいて、率いている高校を何度も甲子園に導くことができる監督や、複数の高校を甲子園に導いているような監督は名将であることに間違いありません。
2.名将とは“プロフェッショナル”である
要約すると、「勝てるチーム作りを再現性高く行うことができる」ことが名将の条件と言えます。つまり、選手の質に依存しないチーム作りができる能力が求められます。
もちろん甲子園常連校や、名将がいる高校には、おのずと選手が集まってくるため、一定以上の選手の質は担保されています。
しかしながら、今年の代は選手の質が悪い、選手が期待していたほどは伸びなかったなどで、あっさりと予選の序盤で中堅私立高校や公立高校に負けてしまう強豪校なども中には存在します。そういった選手の能力に依存してしまうような監督は、残念ながら名将とは言えないのではないでしょうか。
強豪校を更に強くして甲子園常連校にするのが得意な監督、弱小公立や私立を率いて、中堅高校以上の実力にするのが得意な監督、それぞれに得意なパターンはあるのでしょうが、そのいずれも共通点があります。
その共通点を持っている方が名将であり、プロフェッショナルな監督と言えるでしょう。
▽高校野球における“名将=プロフェッショナル”の共通点
- 再現性の高い勝てるチーム作り
→勝てるチーム作りのGoalから逆算したロードマップの組み立て方がうまい - 選手の質に依存しないチーム作り
→現有戦力での戦略、戦術の最適解を導くのがうまい - 選手との強固な信頼関係の構築
→人心掌握術に長けており、選手との固い信頼関係を築くのがうまい
また、「再現性が高い結果を出すための仕組み作り」「現有戦力で最適解を導く力」「周囲との信頼関係構築能力」、これらは名将の共通点ですが、高校野球に限らず全てのプロフェッショナルに当てはまる条件と言えるでしょう。
ただしそんなプロフェッショナルですが、大きな問題があります。
それは、プロフェッショナルが同じ場所に一生いる訳ではないということです。
3.プロフェッショナルの宿命
プロフェッショナルが同じ場所に一生いる訳ではないということはどういうことでしょうか?
たとえば、高校野球の名将であれば、率いている高校から離れる事柄として以下が挙げられるでしょう。
▽名将が高校から離れる事例
- 人事異動(特に公立高校)
- 他校からの引き抜き
- ステップアップ(上位レイヤ―での監督、コーチなど)
- 不祥事による引責
- 健康上の都合
- 引退
この現場から離れる事例についても、他領域のプロフェッショナルにも当てはまります。
特にビジネスにおけるプロフェッショナルは、引き抜きやステップアップでの離脱が多いでしょう。
そのため、どの領域であってもプロフェッショナルはいつかその現場からいなくなってしまうということが宿命と言えます。
4.プロフェッショナルがいる間にやっておくべきこと
いつかはいなくなってしまうことが決まっているのであれば、プロフェッショナルがいる間に以下の2点は最低でもしておかなければなりません。
・プロフェッショナルの頭の中にある方程式を形式知化しておく
・プロフェッショナルがいなくても現場に支障をきたさない仕組み作り
つまり、成果の再現性を高めるための戦略、戦術、仕組み作りに長けているプロフェッショナルの頭の中を、誰もが理解できる形で共有していくことで、内製化できるようにしておく必要があるということです。
しかしながら、それは言うほど簡単なことではありません。
高校野球の名将も一番難しい仕事が「自身の後継者作り」だとよく言われます。
ですが、それができなければ、プロフェッショナルがいなくなった途端にチームの弱体化が急速に進行していくでしょう。
ビジネスにおいても同じです。
そのため、何としてでもプロフェッショナルの頭の中にある知見を可視化し、内製で結果を出し続けるための仕組み作りを行わなければならないでしょう。
5.まとめ
今回、高校野球界で名将と呼ばれる監督から、プロフェッショナルについて考察してきました。
名将=プロフェッショナルの条件として、以下3つがあると言えるでしょう。
- 成果の再現性を担保するための仕組み構築能力が高い
- 成果から逆算した戦略、戦術の組み立て能力が高い
- 安定した成果を生み出すための周囲との信頼関係構築能力が高い
しかしながら、どんなプロフェッショナルでも、いつかいなくなってしまいます。
そのため、プロフェッショナルが組織に在籍している間に、プロフェッショナルの頭の中を可視化し、内製で成果を出し続けられる環境を作っておかなければなりません。
それができれば、その組織にいるメンバーが次世代のプロフェッショナルとして羽ばたいていくことでしょう。
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