
業務委託契約における指示や指揮命令って、どこまでOKでどこからNGなのか難しいですよね?実は、業務委託では指揮命令や指示は基本的にNGであり、違法となるケースもあります。違反すると罰則を受けるリスクもありますので、注意しましょう。
この記事では、以下の点について解説します。
- 業務委託における適切な指示の範囲
- 偽装請負のリスク
- 偽装請負と判断されやすい例(代表型、形式だけ責任型など)
- 違反時の罰則
- 業務委託のメリットや注意点
業務委託する前に違法になるケースを理解し、適切に運用することが重要です。この記事を読めば、法的なリスクを回避しながら、効率的に外部人材を活用する方法を学べます。
- 人材不足の解消方法について模索中の方
- 業務委託契約中だが違法行為をしていないか気になっている方
- 優秀な社員の穴埋めができる人材を探している方
■目次
業務委託での指揮命令、指示は違法行為?
そもそも業務委託での「指揮命令」と「指示」には明確な違いがあります。
- 指示命令:労働者に対して使用者側が指揮監督し命令できる権利
- 指示:業務遂行に必要な情報ややり方を伝達すること
業務委託契約では、委託元企業と受託企業の間に雇用関係がないため、委託元企業が受託企業の労働者に対して直接的な指揮命令を行うことは、原則として違法行為となります。
しかし、業務の円滑な遂行のために必要な情報提供や、安全確保のための指示など、一定の条件下では適法とされる指示も必要です。重要なのは指示が指揮命令に該当しないよう、適切な範囲内で行われることです。委託元企業は、受託企業の業務遂行を尊重し、直接的な管理や監督を避けるよう注意しましょう。
業務委託における指示として有効な例
業務委託契約においても、以下のような指示は適法とされる場合があります。
■業務委託における指示として有効な例
緊急時の安全確保のための指示
火災や地震などの災害時に、避難経路や集合場所を指示することは適法です。労働者の生命や安全を守るために必要不可欠な指示であり、委託元が直接行っても問題ありません。
法令遵守に関する指示
法令や規則の遵守に関する指示は適法です。個人情報の取り扱いや著作権に関する指示などは、委託元が直接行うことが認められています。
業務手順の指示
発注者が具体的な手順や方法を示すこと自体は問題ありません。ただし、請負事業主が労働者の配置や実際の指揮命令を行っている必要があります。
偽装請負と判断される指揮命令や指示の例外ケース
業務委託契約において、委託元企業による指揮命令や指示は原則として禁止されています。ここからは、偽装請負と判断されやすい4つの典型的なパターンを紹介します。
- 代表型
- 形式だけ責任型
- 使用者不明化型
- 一人請負型
以上の例外ケースから、適切な業務委託関係を維持するための注意点が明確になるでしょう。
代表型
代表型は以下のように定義されています。
※引用元:厚生労働省 東京労働局「あなたの使用者はだれですか?偽装請負ってナニ?」
代表型は、実質的に労働者派遣と変わらないため、偽装請負と判断されるでしょう。適切な業務委託関係を維持するためには、委託元と受託者の役割と責任を明確に区分し、それぞれの独立性を尊重することが重要です。
形式だけ責任型
形式だけ責任型は以下のように定義されています。
※引用元:厚生労働省 東京労働局「あなたの使用者はだれですか?偽装請負ってナニ?」
形式だけ責任型の問題点は、受託企業の責任者が実質的な管理や判断を行っておらず、単なる指示の伝達役に留まっている点です。これにより、業務委託の独立性は損なわれ、実質的に労働者派遣と同様の状態になってしまいます。
形式だけの責任型の偽装請負を避けるためには、以下の点に注意しましょう。
使用者不明化型
使用者不明化型は以下のように定義されています。
※引用元:厚生労働省 東京労働局「あなたの使用者はだれですか?偽装請負ってナニ?」
使用者不明化型の偽装請負は、複雑な業務委託の連続によって生じるため、特に大規模なプロジェクトや多数の協力会社が関わる案件では注意が必要です。適切な業務委託関係を維持するためには、契約関係の簡素化と透明性の確保が重要です。
一人請負型
一人請負型は以下のように定義されています。
※引用元:厚生労働省 東京労働局「あなたの使用者はだれですか?偽装請負ってナニ?」
一人請負型の問題点は、労働者が健康保険や厚生年金に加入できない点です。あくまでも個人事業主扱いになってしまうため、労働者は通常なら当然受けられる保証が無い状態で勤務することになります。
一人請負型は、受託者が企業に隠して労働者に依頼するパターンが多いです。そのため、企業は契約段階で受託者から労働者に依頼することを禁じるなど、対策を講じる必要があります。
偽装請負と判断された場合のリスク、罰則
偽装請負と判断された場合、企業は複数の法律違反に問われる可能性があります。罰金や懲役などの法的処分だけでなく、企業の社会的信用の失墜にもつながる重大な問題です。
以下、主な違反とそのリスク、罰則について解説します。
- 職業安定法違反
- 労働者派遣法違反
- 労働基準法違反
職業安定法違反
職業安定法とは、人材の不適切な斡旋や供給を防ぐことを目的としており、人材の斡旋や労働者の供給に関する法律に違反することを指します。偽装請負においては、職業安定法違反に該当すると、労働者供給事業の禁止規定に抵触する可能性が高くなります。
職業安定法違反(職業安定法第44条)による罰則は以下の通りです。
たとえば、労働者に対して発注者が指揮命令を下した場合は、職業安定法違反に該当してしまうため、注意しましょう。
労働者派遣法違反
偽装請負は、労働者派遣事業の許可を得ずに実質的な労働者派遣を行っているとみなされ、労働者派遣法違反となる可能性があります。
労働者派遣法違反(労働者派遣法第24条の2)による罰則は以下の通りです。
適切な契約形態と業務体制を確保することが重要です。
労働基準法違反
偽装請負により、実質的な雇用関係にある労働者に対して労働基準法上の権利を保障していない場合、労働基準法違反となります。
労働基準法違反(労働基準法第6条)による罰則は以下の通りです。
長時間労働や深夜労働が発生しやすい業界では、特に注意が必要です。
偽装請負が起こる原因は契約形態における指揮命令を理解していないことが理由
偽装請負が発生する主な原因は、企業が異なる契約形態における指揮命令の違いを正確に理解していないことにあります。特に、業務委託、直接雇用、派遣契約の違いを明確に認識せずに人材を活用してしまうことで、意図せず偽装請負の状態に陥ってしまうケースが多いです。
ここからは、具体的な違いについて解説します。
- 業務委託と直接雇用の指揮命令の違い
- 業務委託と派遣契約の指揮命令の違い
業務委託と直接雇用の指揮命令の違い

業務委託と直接雇用では、指揮命令の範囲と方法に大きな違いがあります。
■業務委託の場合
- 委託元企業は受託者に対して直接的な指揮命令を行えない
- 業務の進め方や具体的な実施方法は受託者の裁量に委ねられている
- 委託元企業は成果物や業務の完了のみを求められる
■直接雇用の場合
- 雇用主は従業員に対して直接的な指揮命令を行える
- 業務の細かい指示や日々の業務管理を行うことが可能
- 労働時間や勤務場所の管理も雇用主が行える
業務委託と派遣契約の指揮命令の違い

業務委託と派遣契約も、指揮命令の観点で大きく異なります。
■業務委託の場合
- 委託元企業からの直接的な指揮命令は認められない
- 受託者は独立した事業者として業務を遂行する
■派遣契約の場合
- 派遣先企業は派遣労働者に対して直接指揮命令を行える
- 雇用責任は派遣元企業にあるため、労務管理は派遣元が行う
- 派遣先企業は業務に関する指示を直接行えるが、人事権は有していない
以上の違いを正確に理解し、適切な契約形態を選択することで、偽装請負を防ぐことができます。また、契約形態に応じた適切な業務管理を行えば、効率的な人材活用につながるでしょう。
業務委託に関するお悩みはプロに相談しよう!
業務委託に関する法的な問題や実務上の疑問は、専門家に相談するのがおすすめです。労働局の相談窓口や、労働関係の法律に詳しい弁護士、社会保険労務士などのプロフェッショナルに相談することで、適切なアドバイスを受けられます。
特に、契約書の作成や業務の進め方について不安がある場合は、早めに専門家に相談することで、偽装請負のリスクを回避し効果的な業務委託を行うことができるでしょう。
なお、みらいワークスでは、24,000名以上の即戦力人材の業務委託をサポートしています。プロジェクト管理や新規事業立ち上げ、経営戦略や事業企画が得意な人材まで幅広く在籍していますので、業務委託の人材をお探しの企業様はぜひ一度お問い合わせ下さい。
即戦力を求めるなら業務委託がおすすめ!メリット、注意点とは
業務委託は高度な専門スキルを持つ即戦力を獲得する、効果的な方法と言えます。市場の変化に迅速に対応できる点では魅力がありますが、同時に偽装請負のリスクにも注意が必要です。ここからは、具体的なメリットと注意点を見ていきましょう。
業務委託のメリット
- 育成コストや人件費が抑えられる
- 従業員がコア業務に集中できる
- 一時的に労働力を補うことができる
業務委託の注意点
- 人材選びを間違うとクオリティ管理ができない
- 自社にノウハウがたまりにくい
メリット➀育成コストや人件費が抑えられる
新たに従業員を雇用する場合と比較して、業務委託を活用すると、育成コストや人件費を抑えることができます。たとえば、デジタルマーケティングの専門家を業務委託で起用する場合は高度なスキルが必要となるため、社内育成する場合時間がかかりがちですが、業務委託であれば即戦力を得られ、社内で育成する時間とコストを省くことができます。
また、プロジェクトごとの契約が可能なため、必要な期間だけ人材を確保でき、固定費を抑制できるメリットもあります。
メリット②従業員がコア業務に集中できる
業務委託を利用すると、社内の従業員はより重要度の高いコア業務に集中することができます。
たとえば、SNSの運用やコンテンツ制作といった専門性の高い業務を外部に委託することで、社内のマーケティングチームは戦略立案や顧客分析などのより本質的な業務に注力できます。その結果、組織全体の生産性が向上し、競争力の強化につながるでしょう。
メリット③一時的に労働力を補うことができる
季節性の高いキャンペーンや短期プロジェクトなど、一時的に人手が必要な場合に業務委託は非常に有効です。具体的な例としては、繁忙期に期間限定で外部のクリエイティブチームを起用すれば、通常の人員体制では対応しきれない業務量をカバーできます。
また、特定のスキルが必要なプロジェクトにおいても、必要な期間だけ専門家を起用できる点もメリットと言えるでしょう。
注意点➀人材選びを間違うとクオリティ管理ができない
業務委託では、適切な人材や企業を選ぶことが極めて重要です。特にマーケティング分野では、ブランドイメージや顧客体験に直結する業務も多いため、質の高い成果物が求められます。
信頼できる実績やスキルを持つ委託先を選ばないと、期待する品質が得られず、プロジェクト全体に悪影響を及ぼす可能性もあるでしょう。また、委託先とのコミュニケーションや成果物の擦り合わせも重要で、これらが不十分だと品質の管理が難しくなります。
注意点➁自社にノウハウがたまりにくい
業務委託を多用すると、重要なスキルやノウハウが社内に蓄積されにくくなる懸念があります。たとえば、デジタル広告の運用を常に外部に委託していると、最新の広告技術やトレンドに関する知見が社内に根付きにくくなります。
長期的な競争力を維持するためには、委託業務から得られた知見を社内に還元する仕組み作りや、コアとなる技術について内製化を進めるなどの戦略が必要です。また、重要な顧客データや市場分析のノウハウが外部に流出するリスクもあるため、適切な情報管理が求められます。
まとめ
この記事では、業務委託における指示の範囲と偽装請負のリスクについて解説しました。重要なポイントは以下の通りです。
- 業務委託では直接的な指揮命令は原則禁止
- 安全確保や法令遵守に関する指示は可能
- 偽装請負には代表型、形式だけ責任型、使用者不明化型、一人請負型がある
- 偽装請負と判断された場合、職業安定法違反などの罰則リスクがある
- 契約形態による指揮命令の違いを理解することが重要
業務委託を活用する際は、適切な契約形態と業務管理を行うことで、効率的に人材を活用できるでしょう。不明点がある場合は、専門家に相談することをおすすめします。





