「品質管理の具体的な取り組み方がわからない…」
「現場での品質向上活動をどのように進めればいいのだろう？」
このような悩みを抱えている品質管理担当者の方も多いのではないでしょうか？
実は、 効果的な品質向上を実現するためには、データにもとづいた体系的なアプローチと、全社的な取り組み体制の構築が重要なポイント となります。
本記事では、品質向上のための具体的な7つの方法と、それらを実践するための手順を詳しく解説します。さらに、実際に成果を上げた企業の事例も交えながら、あなたの会社でも実践できる品質改善のヒントをお伝えしていきます。
品質管理部門のリーダーとして成果を出したい方、現場での品質向上活動を成功させたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
品質向上させるには業務効率化も必要です。品質向上をさせたい方は、ぜひこちらの資料をご参考ください。
そもそも品質向上とは？
品質向上とは、顧客満足度を高めながら企業価値を向上させる取り組みです。品質向上させるには以下の2つの品質が必要です。
- 製品・サービスの品質
- 業務の品質
それでは、品質向上の具体的な内容を見ていきましょう。
製品・サービスの品質
製品・サービスの品質は、顧客が求める価値を最大限に提供することで実現できます。
製品やサービスの品質を向上させるためには、顧客の期待値と実際の提供内容のギャップを把握し、それを埋める施策を実施する必要があります。
たとえば、製造業では製品の耐久性や性能の向上、サービス業では接客の質や対応時間の短縮などが品質向上の具体例です。
また、品質の評価基準を明確にし、定期的なモニタリングを実施することで、継続的な改善が可能です。
顧客の声を積極的に集め、改善に活かしていきましょう。
業務の品質
業務の品質は、社内の作業効率と正確性を高めることで、顧客満足度の向上につながります。
業務の品質を向上させるには、作業の標準化やマニュアル整備、従業員教育の充実など、組織全体で取り組む体制づくりが必要です。
たとえば、事務作業のミス削減、納期遵守率の向上、社内コミュニケーションの活性化などが、業務品質向上の具体例です。
また、業務の可視化とデータ分析により、問題点の早期発見と改善が実現できます。
日々の業務プロセスを見直し、効率化と品質向上の両立を目指してみましょう。
品質向上に向けた取り組みの課題
品質向上を実現するためには、多くの企業が直面する4つの課題を理解し、解決する必要があります。
- 品質向上とコスト削減の両立
- 管理体制の不備
- 職場環境の改善
- 人材不足による個人依存の問題
それぞれの課題について詳しく見ていきましょう。
品質向上とコスト削減の両立
品質向上とコスト削減の両立は、生産性向上とプロセス改善によって実現できます。
多くの企業では品質を高めようとすると必然的にコストが上昇し、コストを削減すると品質が低下するというジレンマに悩まされます。
たとえば、製造業では検査工程の自動化やIoT技術(「モノ」をインターネットに接続する技術)の導入により、品質管理の精度をあげながらコストを抑制できます。
また、業務の無駄を省き、効率的な品質管理システムを構築することで、両立への道が開けます。
デジタル技術を活用した品質管理の効率化を検討してみましょう。
管理体制の不備
管理体制の不備は、品質基準の明確化と責任所在の明確化で改善できます。
多くの企業では品質管理の基準があいまいで、誰がどのような権限と責任を持つのか不明確なまま業務が進められています。
組織全体で共有される品質管理マニュアルの整備や、定期的な品質会議の開催が有効な対策となります。
また、品質管理部門と現場部門の連携を強化し、情報共有の仕組みを整える点も重要です。
部門間の壁を取り払い、全社一丸となった品質管理体制の構築を目指していきましょう。
職場環境の改善
職場環境の改善は、物理的な環境整備と心理的な安全性の確保から始まります。
品質向上には従業員が快適に働ける環境づくりが不可欠で、作業効率と集中力を高める職場の工夫が求められます。
たとえば、照明や温度管理、整理整頓の徹底、休憩スペースの確保などです。
また、従業員が意見や提案を自由に出せる雰囲気づくりも、品質向上には欠かせません。
従業員の声に耳を傾け、働きやすい環境作りに取り組んでみましょう。
人材不足による個人依存の問題
人材不足の解決には、業務の標準化と知識の共有が効果的です。
特定の個人の経験やスキルに依存する体制では、その人が不在の際に品質が低下するリスクが高まります。
業務手順の文書化やマニュアルの整備、社内研修の充実により、誰でも一定水準の業務が行えるようになります。
また、デジタルツールを活用した知識共有の仕組みを構築することで、ノウハウの共有も容易です。
技術や知識の属人化を防ぎ、組織全体で品質を支える体制づくりを進めていきましょう。
品質向上に向けた取り組みに必要な具体的な方法
品質向上を実現するためには、以下の7つの段階的なアプローチが必要です。
- 可視化
- 定量化
- 課題化
- 実践化
- 標準化
- 自動化
- 定着化
それぞれの方法について、実践的な内容を解説していきます。
可視化
生産現場や業務プロセスの透明性を高めることで、品質向上につながります。
現場の状況をグラフやチャートといった可視化できるツールで表現すると、問題点や改善機会を素早く発見することが可能です。
たとえば、生産ラインの稼働状況をリアルタイムでモニタリングすることで、生産効率の低下や品質のばらつきを即座に把握できます。
また、データの見える化により、部門間のコミュニケーションも円滑になります。
重要な指標をダッシュボード化して共有してみましょう。
定量化
品質目標の具体的な数値の設定は、改善活動の成果が明確になります。
製造現場では不良率や生産効率、サービス業では顧客満足度や対応時間など、業界に応じた指標を設定します。
数値目標の設定は、チーム全体が同じ方向を向いて取り組むことが可能です。
また、定期的な測定と分析により、改善活動の効果を正確に評価できます。
目標値と実績値を常に比較しながら、PDCAサイクルを回していきましょう。
課題化
現状分析から見えてきた問題点を、具体的な改善課題として設定します。
品質データの分析結果をもとに、優先度の高い課題から取り組むことで、効果的な改善が可能です。
たとえば、不良品の発生原因を分析し、重点的に対策すべき工程や要因を特定します。
また、現場の声を積極的に集めることで、実態に即した課題設定ができます。
日々の気づきを改善課題として共有していきましょう。
実践化
計画した改善策を確実に実行に移し、その効果を検証する点が大切です。
小規模なテスト運用から始めて、段階的に展開範囲を広げることで、リスクを最小限に抑えられます。
現場での試行錯誤をつうじて、効果的な改善方法を見出せます。
また、実践の過程で得られた知見を、次の改善活動に活かすことも重要です。
計画と実践のバランスを取りながら、着実に前進していきましょう。
標準化
効果が実証された改善策を、組織全体の標準的な手順として確立します。
作業手順書やチェックリストを整備し、誰もが同じ品質レベルを維持できる体制を作る点が重要です。
標準化により、属人的な作業を減らし、安定した品質を確保できます。
また、新人教育やスキル伝承の効率化にもつながります。
定期的に標準を見直し、よい方法を追求していきましょう。
自動化
定型的な作業や検査工程をシステム化し、人的ミスを防ぎます。
AIやIoT技術を活用することで、24時間365日の品質管理が可能です。
自動化により、作業者は付加価値の高い業務に注力できます。
また、収集したデータを分析することで、新たな改善機会を発見できます。
技術の進化を味方につけ、品質向上の可能性を広げていきましょう。
定着化
改善活動を一時的なものに終わらせず、組織文化として根付かせるのが重要です。定期的な研修や報告会をつうじて、品質意識の維持・向上を図ります。成功事例の共有により、改善活動のモチベーションを高められます。
また、表彰制度といった制度を設けることで、従業員のモチベーションを高められ継続的な取り組みを促進可能です。
組織全体で品質向上の文化を育み、持続的な成長を目指していきましょう。
品質向上させるまでの手順
品質向上を確実に実現するためには、以下の5つの段階的な手順を踏む必要があります。
- プロジェクトを立ち上げる
- 目標の設定をする
- 段階的な計画を決める
- 継続的な情報共有と周知をする
- 品質向上の目標を達成する
それでは、各手順について具体的に見ていきましょう。
プロジェクトを立ち上げる
品質向上プロジェクトは、経営層のコミットメントと現場の協力体制から始まります。
プロジェクトメンバーには、各部門から実務経験が豊富な人材を選出し、横断的な体制を構築します。
たとえば、品質管理部門、製造部門、営業部門など、異なる視点を持つメンバーで構成することで、多角的な改善が可能です。
また、プロジェクトの目的や意義を全社に発信し、組織全体の理解を得る点も重要です。
積極的に意見を出し合いましょう。
目標の設定をする
具体的な数値目標を設定し、達成への道筋を明確にします。
目標は「品質不良率を50%削減」や「顧客満足度を20%向上」など、測定可能な指標で設定します。
現状分析のデータをもとに、達成可能でありながら挑戦的な目標値を設定する点が大切です。
また、中間目標を設定すると、進捗状況を把握しやすくなります。
部門ごとの目標と全社目標を整合させ、ベクトルを合わせていきましょう。
段階的な計画を決める
目標達成に向けた具体的なアクションプランを、段階的に設計します。
計画には、各施策の実施時期、担当者、必要なリソースを明確に記載します。
たとえば、最初の3か月で現状分析、次の3か月で改善策の試行、その後の6か月で本格展開という具合です。
また、リスク要因を洗い出し、対応策も事前に検討しておきます。
実現可能性と効果を考慮しながら、優先順位をつけて実行していきましょう。
継続的な情報共有と周知をする
プロジェクトの進捗状況や成果を、定期的に全社へ発信します。
週次や月次の報告会を開催し、達成状況や課題を共有することで、組織全体の当事者意識が高まり品質向上ができます。
成功事例や改善のノウハウを社内で共有し、組織全体のモチベーションを高められるでしょう。
また、従業員からのフィードバックを積極的に収集し、計画の修正に活かします。
双方向のコミュニケーションを大切にしながら、改善活動を推進していきましょう。
品質向上の目標を達成する
設定した目標の達成状況を評価し、次のステップへつなげる点も大切です。
データにもとづく客観的な評価を行い、成果と課題を明確にします。
目標達成の過程で得られた知見や教訓を文書化し、組織の財産として蓄積します。
また、達成後の維持管理体制を整備し、持続的な品質向上を図りましょう。
業務品質の向上に成功した企業事例
品質向上に成功した2つの企業の取り組みから、実践的なヒントを学びましょう。
株式会社ユナイテッドアローズ
シダックス大新東ヒューマンサービス株式会社
それぞれの成功事例について詳しく見ていきます。
株式会社ユナイテッドアローズ
セレクトショップ大手のユナイテッドアローズは、デジタル技術を活用した研修改革で、接客品質を大幅に向上させました。
従来の座学中心の研修から、動画マニュアルプラットフォームを活用した実践的な教育システムへと転換しています。
このシステムでは、マニュアル動画の視聴に加え、教育担当者との双方向コミュニケーションが可能になりました。
また、学習内容の理解度を確認するタスクや、実践での顧客対応に対するフィードバック機能も備えています。
その結果、接客レベルの目標達成者が従来の2.5倍に増加し、顧客満足度の向上を実現できました。
シダックス大新東ヒューマンサービス株式会社
学童保育サービスを展開するシダックス大新東ヒューマンサービスは、全社的な教育システムの統一で、サービス品質を標準化しました。
各施設での独自の研修体制により生じていた品質のばらつきを、オンライン研修プラットフォームの導入で解消しています。
発達障害児童への対応やいじめ防止など、専門的な研修コンテンツを全施設で共有できる環境を整備しました。
また、児童向けの学習コンテンツも充実させ、保育サービスの質的向上も同時に達成しました。
施設間の情報格差を解消し、均一で高品質なサービス提供を実現しています。
【まとめ】品質向上は実践と定着化で確実に実現しよう！
品質向上には、「可視化」「定量化」「課題化」「実践化」「標準化」「自動化」「定着化」という7つのステップが必要です。
特に重要なのは、データにもとづいた可視化から始め、具体的な実践を通じて組織全体に定着させる点です。
また実践においては、プロジェクトの立ち上げから目標達成まで、5つの段階的な手順で進めることが効果的です。
ユナイテッドアローズなどの事例が示すように、デジタル技術の活用や全社的な品質管理体制の構築が、品質向上の成功につながります。
品質向上は一時的な取り組みではなく、組織文化として定着させる点が重要です。本記事の方法と手順を参考に、継続的な品質向上活動を始めてみましょう。
品質向上させるには業務効率化も必要です。品質向上をさせたい方はぜひこちらの資料をご参考ください。
（株式会社みらいワークス フリーコンサルタント.jp編集部）
