
マーケティング戦略はビジネスの成功に欠かせない重要な戦略です。マーケティング戦略がなければ、どれだけ良い商品やサービスであっても、事業を成功させるのは難しいと言っても過言ではありません。しかし「具体的に何をすればいいのか分からない」「どうやって戦略を立てれば効果的なのか知りたい」と感じる方も多いでしょう。マーケティング戦略とは、企業が自社の商品やサービスを市場で効果的に展開し、顧客のニーズを的確に捉えて競争力を高めるための総合的な計画のことを指します。
本記事では、マーケティング戦略の基本的な考え方から、実際に使える立案手順や代表的なフレームワークまで、わかりやすく解説します。これからマーケティング戦略を学びたい方や、戦略の見直しを検討している方に役立つ内容です。ぜひ参考にして、あなたのビジネスに活かしてください。
■目次
1.そもそもマーケティング戦略とは?

マーケティング戦略とは、市場や顧客を深く理解し、自社商品やサービスを「誰に」「どのような価値で」「どう届けるか」を定める販売計画です。商品を売り込むのではなく、顧客が自然と選びたくなる「売れる仕組み」を構築する役割を担います。

よく混同される販売戦略や営業戦略との主な違いは、以下のとおりです。
| 項目 | マーケティング戦略 | 販売戦略、営業戦略 |
|---|---|---|
| 視点 | 顧客が何を求めているか(市場視点) | 企業が何を売りたいか(売り手視点) |
| 目的 | 顧客が買いたくなる仕組みをつくる | 既存の商品を販売する |
| 期間 | 中長期的に市場での地位確立を目指す | 短期的な売上目標を達成する |
また、戦略は「目的達成のためのシナリオ(地図)」で、戦術は「戦略を実行する具体的な手段(道具)」とされています。どんなに優れた道具があっても、地図がなければ目的は達成できません。

SNSや広告などの個別の手段(戦術)を考える前に、まずは全体の大枠となる戦略を確定させる必要があるでしょう。
3.マーケティング戦略のフレームワーク10種類
効率的なマーケティング戦略を立案するには、フレームワークの活用が有効です。フレームワークとは、ビジネスにおける課題解決や意思決定をスムーズにするための「思考の枠組み」を指します。ゼロから考えるのではなく確立された型に情報を当てはめることで、専門知識がない初心者でも精度の高い分析が可能です。
マーケティング戦略は、市場調査から実行、分析の流れで進めますが、各フェーズで求められる視点は異なり、目的に応じて複数のフレームワークを使い分ける必要があります。次項からは、ビジネスの現場で利用されている代表的な10種類のフレームワークをご紹介します。
それぞれの特徴と活用シーンを参考に、自社の課題解決に役立ててください。
1)自社の立ち位置を決定する:STP分析

マーケティング戦略を立案するには、まず市場をよく分析して自社の置かれている状況を把握することが必要です。これを実行するために役立つフレームワークが「STP分析」です。
STPはセグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングという3つのステップがあり、それぞれの頭文字から「STP分析」と呼ばれます。
アメリカの経済学者フィリップ・コトラーが提唱したもので、世界に普及しているフレームワークです。
①セグメンテーションで、市場を細分化する
まず市場をいくつかのグループに細分化して、自社の製品やサービスのニーズが高いと思われるグループを大まかに決めます。一般的には消費者の居住エリアや年齢・性別・職業のほか、ライフスタイルなどの要素をもとに市場を細分化します。
例えばコーヒーチェーンのスターバックスで言えば、「都市部」「若年層」「会社員」というように市場を細分化することが考えられます。
②ターゲティングで狙うべき顧客を明確にする
セグメンテーションで市場から絞り込んだグループの中から、より具体的なターゲットを見極めます。例えばニーズがあっても母数の少ないグループでは、売上にはつながりにくいですよね?(あえてニッチなところを狙う戦略もありますが)
ターゲティングでは、ある程度ボリュームがあり、購買力があり、ニーズが高いという魅力的な顧客グループを探すのがポイントです。
スターバックスの事例なら「都市部で働く30代の営業マンで、商談や休憩で喫茶店をよく使う、収入はそれなりにあり、コーヒーの味や店舗のおしゃれな雰囲気にこだわる人」というターゲットが想定されます。
③ポジショニングで自社の立ち位置を決める
ターゲティングで絞り込んだ顧客に対して、自社の立ち位置を決めます。ここではターゲットとなる顧客に対して、自社と競合の違いや競合に負けない自社の強みなどのポイントを明確にします。スターバックスの事例で言えば、他のコーヒーチェーンと比べて高級感やホスピタリティ、居心地の良さを重視している点が他社との違いと言えます。
STP分析は、市場や競合などマーケティング戦略を立てる上で必要な情報を整理できるのがメリットです。理論的なマーケティング戦略を立てる上で、欠かせないフレームワークです。
2)企業視点で販売戦略を検討する:4P分析

具体的なマーケティング戦略や施策を立てるフレームワークとしてよく知られているのが、「4P分析」です。これはアメリカのマーケティング学者「E.J.マッカーシー」が1960年に提唱したフレームワークであり、4項目の頭文字がいずれもPで始まるので「4P」と呼ばれます。
4P分析
- Product(製品・サービスの内容)
- Price(価格)
- Promotion(販促チャネル)
- Place(販売場所、つまり流通チャネルのこと)
4つのPはいずれも、マーケティング戦略を立案する上で外せないポイントです。
4Pを分析すれば「どんなサービスを、どんな価格で、どんな販促手法で、どんな流通経路で」ということが明確になります。4P分析によって、マーケティング戦略全体が決まるという考え方です。
例えば、新発売するエナジードリンクのマーケティング戦略を事例に考えてみます。
Productでは自社製品であるエナジードリンクがどんな成分や味で、どんな時に有効かを明確にします。また製品のパッケージデザインもProductに含まれます。
Priceでは、エナジードリンクの場合「機能を高めて高価格にするか、買いやすい低価格にするか」などの戦略を決めます。
Promotionではどんな媒体に広告を載せるのか、広告ではどんな点を訴求するか、といったことを決めます。エナジードリンクならテレビCMをどの時間帯に出すか、どんなタレントを起用するかなどを策定します。
Placeは提供場所、つまり流通チャネルのことです。エナジードリンクなら、あえて「自動販売機のみ」「コンビニ限定」など販売場所を絞る事例もあります。
3)4P分析の不足している部分を補う:7P分析

実は「4P分析」が生まれたのは、今から約70年も前です。現代のビジネス事情とは前提が異なります。そこで最近は現代にあうように4Pに3つの要素を加えた「7P分析」というフレームワークもあります。
7P分析では4つのPに加えて、以下の3つのPで始まる要素が加わります。
4Pに加わる残りの3P
- Personnel(人 = 接客サービスの質を上げるなど)
- Process(プロセス =キャッシュレス決済など)
- Physical Evidence(物的証拠 サービスの安全性を保障するデータや証明書など)
ちなみに、4Pは全てサービスを提供する企業側の視点です。
一方で最近は顧客目線に立ったマーケティング施策が注目されています。
例えば製品の機能が高くても、顧客が普段使わない機能ばかりなら訴求ポイントにはなりません。そこで顧客目線で4つの項目でマーケティング戦略を決める「4C分析」というフレームワークもあります。
4)顧客視点で販売戦略を検討する:4C分析

顧客視点からマーケティング戦略を策定するフレームワークとして「4C分析」があります。1993年に経済学者のロバート・ラウターボーン氏が提唱した手法です。
4C分析
- 顧客価値(Customer Value)
- 経費(Cost)
- 顧客利便性(Convenience)
- コミュニケーション(Communication)
企業視点で検討していく4P分析とは異なり、多様化する顧客ニーズの変化に対応する手法として注目されています。
宅配サービス業界を例にすると「お店に行かずに必要なものが手に入る」顧客価値を「アプリで簡単に注文できる」という利便性で提供可能です。一方で、お店に行かないことでかえってコストは「割高になる」ものの、割引クーポンで解消する、そして「SNSやインターネット」を通してコミュニケーションを取ることで、接点を増やす、ということが考えられます。
このように、4C分析は顧客目線で商品の開発を行うため、顧客のニーズに沿った製品を作り上げることができます。また、消費者にとってマイナスになるポイントの改善策も考えやすいと言えるでしょう。
5)外部環境を分析し今後の動向を予測する:PEST分析

自社や業界を取り巻く外部環境について分析するフレームワークとして「PEST分析」があります。PEST分析は、近代マーケティングの父と呼び名が高いフィリップ・コトラー氏によって提唱された考え方です。
PEST分析
- Politics(政治)
- Economy(経済)
- Society(社会)
- Technology(技術)
PEST分析は、自社ではコントロールできない環境を分析することにより、自社が成長できるのか、成長するとしたらどれくらいなのかなどが把握でき、今後起こりうるリスクも未然に防げるメリットがあります。
自動車業界を例に考えると「クリーンエネルギー」などの政治的要因や「EV、自動運転」などの技術要因は自動車開発戦略に影響を及ぼします。一方で「物価上昇」などの経済要因や「若者の車離れ」などの社会要因は、自動車販売数にマイナスとなりかねません。
このように、現在、そして今後起きるであろうリスクを把握できることで、リスクを乗り切るための施策検討が進められます。外部環境に影響される商品やサービスを提供している場合は、ぜひ活用してみてください。
6)自社の強みと弱みを客観的に把握する:SWOT分析

内部環境と外部環境の両面から自社の現状を把握するフレームワークとして「SWOT分析」があります。1920年代に経営学者のヘンリー・ミンツバーグ氏によって提唱された手法です。
SWOT分析
- Strength(強み、プラスの内部環境)
- Weakness(弱み、マイナスの内部環境)
- Opportunity(機会、プラスの外部環境)
- Threat(脅威、マイナスの外部環境)
SWOT分析では、自社が置かれた状況を客観的に評価し、それぞれの項目のクロス分析から多角的なマーケティング戦略が立案できます。プラス要因、マイナス要因を把握することにより、現状を客観的に理解することができ、弱みを強みに転換するなど、ビジネスチャンスが見えてくる場合もあります。
製造業界の一例で言うと内部環境では「優れた加工技術」の強みがある一方「技術者不足、高齢化」が弱みです。また、外部環境では「海外需要」の機会がある反面「低価格な海外製品」が脅威となります。
このように、強み、弱みを見える化することで、強みをどうアプローチすべきか、弱みを解消するにはどうすべきか、といった売上向上に向けた改善が可能です。SWOT分析は、自社にとって効果的なマーケティング戦略を立案できるため、まだ実践していない企業は一度試してみると良いでしょう。
7)購買行動を可視化し施策の土台にする:AIDMA分析
AIDMA(アイドマ)分析とは、ユーザーが商品、サービスを購入するまでの心理的なプロセスを段階的に可視化したマーケティングフレームワークです。主にマス広告(テレビCMやチラシなど)が中心だった時代から使われており、今もなお基本的なフレームワークとして活用されています。
| ステップ | 意味 | 消費者の行動例 |
|---|---|---|
| A:Attention(注意) | 商品を知る、気づく | 「テレビCMで初めてその商品を見た」 |
| I:Interest(興味) | 商品に興味を持つ | 「ちょっと気になる。どんな商品なんだろう?」 |
| D:Desire(欲求) | 欲しいと思い始める | 「便利そう。自分も使ってみたい」 |
| M:Memory(記憶) | 記憶に残す | 「今は買わないけど、次に買うときに思い出そう」 |
| A:Action(行動) | 実際に購入、申し込みする | 「ネットで注文してみた」 |
上記のように、消費者心理を詳細に分析できるため、買い物中の顧客心理の流れを理解したいときや、広告、販売戦略の見直しをする際の基礎分析がしたいときに活用すると良いでしょう。
AIDMA分析では、消費者の「気づき」から「購入」までの流れを整理できるのも強みです。どの段階でつまずいているかを分析し、改善策を考えられれば、各ステージに応じた広告やプロモーションの設計がしやすくなります。
8)成長の余地や商品価値を可視化する:PPM分析
PPM分析(Product Portfolio Management)は、企業が持っている複数の事業や商品を市場成長率と市場占有率の2軸で分類して、経営資源(人、お金、時間)をどこに集中させるべきか判断するためのフレームワークです。アメリカのコンサル会社「ボストン コンサルティング グループ(BCG)」が開発したため、頭文字をとって「BCGマトリクス」とも呼ばれます。
PPM分析では、市場成長率と市場占有率を以下の通り扱うのが特徴です。
- 縦軸:市場成長率(市場がどれだけ伸びているか)
- 横軸:市場占有率(その分野での自社の立ち位置)
上記の軸に沿って、自社の商品やサービスを4つのグループに分類します。
| 分類 | 特徴 | 戦略の例 |
|---|---|---|
| 花形(スター) | 成長率が高く、自社のシェアも高い | 投資を続けて市場をさらに伸ばす |
| 金のなる木(キャッシュカウ) | 成長は鈍化しているが、シェアが高く安定して収益を生む | 利益を活用し他の事業に投資 |
| 問題児(クエスチョン) | 市場は成長中だが、自社のシェアはまだ低い | 成長の可能性があれば積極投資、なければ撤退も検討 |
| 負け犬(ドッグ) | 市場も伸びず、シェアも低い | 撤退または最小限の維持 |
PPM分析をすると、自社全体の「事業バランス」を見て、成長戦略を立てやすくなるのが特徴です。将来性のある分野にリソースを集中できる他、収益源を明確にして無駄な投資を防げます。
ただし、PPMはあくまで「資源配分の目安」であり、すべてを機械的に判断するのは危険です。市場定義やシェアの基準を間違えると、分析結果がずれてしまうこともあるので注意しましょう。
9)商品の価値や希少性を可視化する:VRIO分析
VRIO分析は、企業の内部資源(ヒト、モノ、情報、ブランドなど)が競争優位を生み出せるかを判断するためのフレームワークです。
| 観点 | 内容 | 質問 | 競争優位性の可能性 |
|---|---|---|---|
| Value(価値) | 顧客にとって価値があるか? | それは利益や満足を生んでいるか? | なければ競争劣位 |
| Rarity(希少性) | 他社が持っていないか? | 多くの企業が持っていないか? | あれば一時的な優位性 |
| Inimitability(模倣困難性) | 他社が簡単に真似できないか? | 技術、歴史、ブランドなどで守られているか? | 難しければ持続的優位性の可能性あり |
| Organization(組織) | その資源を活かす仕組みがあるか? | 社内体制や文化、仕組みが整っているか? | 整っていれば競争優位性を実現できる |
VRIO分析の目的は、自社の「強み」が本当に競争優位につながるかを見極めることにあります。投資すべき経営資源を見極め、他社と差別化できる要素を明確にすれば、自社ならではのバリューを提供しやすくなるでしょう。
また、SWOT分析より深く内部資源を掘り下げられる手法として注目されており、単なる「強み」と「戦略的資源」の違いを明確にできるのもポイントです。成長戦略や差別化戦略を考える際のヒントとして活用しましょう。
10)商品の流通を可視化し強みを洗い出す:バリューチェーン分析
バリューチェーン分析とは、企業が提供する製品やサービスが「どのような工程を経て顧客に価値を届けているか」を分析するフレームワークです。企業活動を細かく分解し、どの部分が利益を生み出しているのか、また改善やコスト削減の余地があるのかを見つけるのに役立ちます。
バリューチェーン分析は「主活動」 と 「支援活動」 の2軸で分析できる点が特徴です。
| 活動 | 内容例 |
|---|---|
| 購買物流(Inbound Logistics) | 材料の仕入れ、保管、在庫管理など |
| オペレーション(Operations) | 製造、組立、加工など |
| 出荷物流(Outbound Logistics) | 製品の保管、配送、出荷など |
| マーケティング、販売(Marketing & Sales) | 広告、販売促進、営業活動など |
| サービス(Service) | アフターサポート、修理、カスタマーサポートなど |
| 活動 | 内容例 |
|---|---|
| 企業インフラ(Firm Infrastructure) | 経営戦略、財務、人事制度など |
| 人事管理(Human Resource Management) | 採用、教育、評価制度など |
| 技術開発(Technology Development) | 商品開発、システム開発、研究開発など |
| 調達活動(Procurement) | 設備、原材料、外部業者の選定など |
バリューチェーン分析のメリットは、組織全体を構造的に見直せる点にあります。どの活動が競争力につながっているかを明確にできるので、戦略的な改善ポイントが見つかるのがポイントです。
2.【7STEP】マーケティング戦略の立案手順と流れ

STP分析や4P分析などのフレークワーク単体では、マーケティング戦略は作成できません。実際にはフレームワークも組み込みながら進める必要があります。ここではマーケティング戦略を立てる6つのステップについて、解説します。
マーケティング戦略立案の流れ
1)市場調査(マーケティングリサーチ)
市場調査(マーケティングリサーチ)とは、市場や顧客の現状をデータに基づいて把握するプロセスです。顧客の姿をイメージだけで決めつけると、実際のニーズと乖離してしまいます。論理的な戦略を練るために、まずは客観的な事実を集めることが重要です。
Webアンケートや政府統計などを活用し、市場規模や競合の動きを正確に捉えましょう。
この段階で役立つ主なフレームワークは、以下のとおりです。
| フレームワーク | 役割 |
|---|---|
| 3C分析 | 市場、競合、自社の3つの視点で環境を整理する |
| PEST分析 | 政治や経済などマクロ環境の影響を把握する |
| SWOT分析 | 自社の強み、弱みと外部のチャンス、脅威を分析する |
フレームワークを活用して「どこに勝てる市場があるか」「競合はどのような動きをしているか」を明確にしましょう。集めたデータは、後工程のターゲティングやポジショニングを決める際の判断材料となります。
2)セグメンテーション(STP分析)
セグメンテーションとは、市場全体を似た特徴やニーズを持つグループ(セグメント)に分けることを指します。マーケティングの現場では「STP分析」を活用することが多く、一人ひとりの顧客に合わせて効果的に商品やサービスを提案できるので、費用対効果の高いマーケティング手法として注目されるようになりました。STP分析の詳細なやり方については、本記事の「自社の立ち位置を決定する:STP分析」で解説しているため、合わせてチェックしてください。
また、セグメンテーションでは、以下のように分類基準を定めて分析することも多いです。
| 分類 | 内容 | 具体例 |
|---|---|---|
| 地理的セグメンテーション | 地域、国、都市など | 都市部と地方、気候の違いに応じた商品の展開 |
| 人口統計的セグメンテーション | 年齢、性別、収入、職業、家族構成など | 子育て世代向けの商品、若者向けファッション |
| 心理的セグメンテーション | 価値観、ライフスタイル、興味、関心など | 健康志向の人向けのオーガニック食品 |
| 行動的セグメンテーション | 購買頻度、ブランドへの忠誠度、利用シーンなど | リピーター向けの割引サービス、新規顧客向けキャンペーン |
市場を共通の特徴やニーズを持つグループ(セグメント)に分けることで顧客を細かく分類し、効果的なアプローチができます。
3)ターゲティング(STP分析)
ターゲティングとは、セグメンテーションで分けた複数の顧客グループ(セグメント)の中から、自社が特に注力して狙うべき市場や顧客層を選ぶことです。限られたリソースを効果的に使い、最大の成果を出す目的で活用されます。
具体的には、以下いずれかのターゲティングをすることが多いです。
| 種類 | 特徴 |
|---|---|
| 単一セグメント集中型 | 1つのセグメントに集中して対応する方法。資源に集中しやすい。 |
| 複数セグメント対応型 | 複数のターゲットセグメントに対して、それぞれ別の商品やサービスを提供する方法。 |
| 全市場対応型(無差別マーケティング) | 市場全体を対象にする方法。ただし、競争が激しい場合は効果が薄れることもある。 |
たとえば、コーヒーショップがビジネスマンをターゲットにすると決めた場合「朝の通勤時間に合わせたテイクアウトサービスの強化」「会議利用を想定した静かなスペースの提供」「ビジネスマン向けのポイントカードや割引サービスの実施」などが具体的な施策となるでしょう。
ターゲティングを適切に行うことでマーケティング活動の効果が大きく向上し、無駄なコストも削減できます。次の「ポジショニング」へスムーズに繋げるためにも、ターゲティングはしっかりと行いましょう。
4)ポジショニング(STP分析)
ポジショニングは、ターゲットとする顧客層に対して、自社の商品やサービスが市場の中でどんな立ち位置(ポジション)を持つかを決めることです。簡単に言うと「お客さまの心の中で、自社ブランドがどんなイメージや価値として認識されるか」を設計することとも言えます。
具体的な例は、以下のとおりです。
- 高級車ブランドが「高級感、ステータス」を前面に出し、富裕層をターゲットにする
- カジュアル服のブランドが「手頃な価格でトレンド感」を強調し、若年層にアピールする
- スポーツドリンクが「運動中のエネルギー補給」を明確に打ち出し、アスリートや健康志向の人を狙う
ポジショニングはマーケティング戦略の中核です。ターゲットの心に響く明確な立ち位置を作ることで、競合に差をつけ、長期的なブランド力を築けます。つまり「誰にどんな価値を訴求するか」がポジショニングの肝といえるでしょう。
5)マーケティングミックス(4P分析)
マーケティングミックスは、ステップ4までのマーケティング戦略で定めた方向性を具体的な戦術に落とし込みを行う手法のことを指します。そのときに使用されるのが「4C分析」と「4P分析」です。
| 分析方法 | フレームワークの構成 | できること |
|---|---|---|
| 4C分析 | Customer Value、Cost、Communication、Convenienceの4つの要素を持つ | 顧客の視点から売れる仕組みが作れる |
| 4P分析 | Product、Price、Place、Promotionの4つの要素を持つ | 企業の視点から売れる仕組みが作れる |
成長を最大化するには、顧客に一貫したメッセージを届けなければなりません。たとえば、革新的なプロダクトアウト型製品に対して既存ニーズ向けのマーケットイン型プロモーションを行うと、メッセージにズレが生じ、顧客に真の価値が伝わりにくくなります。常に4P分析と4C分析の各要素を調整し、マーケティング戦略全体として最適化を図ることで、期待する成果達成に繋げられるでしょう。
6)目標値の設定
マーケティング戦略が成功したかを検証するには、目標値を設定する必要があります。
最終目標は売上金額を設定することが多いのですが、それだけでは施策ごとの成功、失敗を見極めるのが難しいですよね。そこで目標の達成度合いを見るために、KPIを設定しましょう。例えばWeb広告のクリック数などをKPIに設定するケースもあります。 計画に基づいてマーケティング施策を実行します。マーケティングでは、実行後の効果測定も重要。計画で設定した目標を達成できているか確認して、未達成なら改善点を洗い出し計画を修正しましょう。
7)実行と分析
マーケティング戦略を立てたら、いよいよ計画を実行に移します。実行のポイントは以下のとおりです。
- 立てた計画に沿って、商品開発や広告、販売促進などの施策を進める
- 担当者やスケジュールを明確にし、役割分担をしっかりする
- 顧客や市場の反応をリアルタイムで把握する
上記のポイントを踏まえて計画を進めた後は、必ず施策結果の分析を行いましょう。売上額やCV数など成果の測定、課題の発見、改善策の検討と実施を繰り返すことで、戦略が現実の市場でどう機能しているかを知ることができます。
マーケティング戦略は一度組み立てたら終わりではなく、実行しながら常に改善していくことが成功の秘訣です。計画や施策を「やりっぱなし」にしないためにも、データを活用して分析を怠らず、柔軟に対応していきましょう。
3.マーケティング戦略を成功させる4つのポイント
どれだけ精度の高いマーケティング戦略を立案しても、必ずしも成功するとは限りません。戦略を成功させるためには以下のようなポイントを押さえる必要があります。
成功させる4つのポイント
ここでは、マーケティング戦略を成功させる4つのポイントを解説します。
①顧客分析を徹底した上で施策を実行する
1つ目のポイントは、顧客分析を徹底した上で施策を実行することです。
どれだけメリットの高い施策でも、自社商品のターゲットにマッチしなければ効果は期待できません。ターゲット顧客が興味を持つ方法でアプローチする必要があり、一例として以下のような取り組みがあります。
- 顧客の過去の購入履歴や閲覧履歴に応じてリコメンド情報を表示する
- 顧客データに基づき特定の顧客だけにDMを配布する
- 若年層をターゲットにSNSマーケティングを展開する
Webマーケティングにおける、個人向け「One to Oneマーケティング」や企業向け「アカウントベースドマーケティング」も同様の考え方です。顧客にマッチした施策の立案、実行により、効果的に成果を出せるでしょう。
②顧客データを蓄積する
2つ目のポイントは、顧客データを蓄積することです。
施策を検討するための顧客分析をする上で、顧客データの蓄積は欠かせません。特にウェブマーケティングやデジタルマーケティングにおいては、さまざまな顧客データを容易に蓄積できるため、マーケティング戦略の立案に効果的です。具体的には、以下のような顧客データが想定されます。
- 顧客属性(年齢、性別、居住地など)
- 購買履歴(購買商品、支出額、頻度など)
- 定性データ(アンケート、ヒアリング、SNS投稿など)
顧客属性や購買履歴などの定量データにとどまらず、アンケートやSNSなどの定性的な情報収集により、顧客ニーズを正確に把握できます。継続的な情報収集が的確なマーケティング戦略につながるでしょう。
③顧客に対するフォロー体制を整える
3つ目のポイントは、顧客に対するフォロー体制を整えることです。
マーケティング戦略においては顧客との接点構築が重視されますが、接点構築後の適切なフォローにより、顧客満足度の向上が期待できます。また、顧客ニーズに合った情報を定期的に提供すれば、顧客がリピーター化しアップセルに繋げることも可能です。具体的には以下のような取り組みが考えられます。
- チャットボットによる24時間体制のカスタマーサポート
- オウンドメディアによる関連情報の発信
- SNSによる問い合わせ対応
顧客への充実したフォローがファン化につながり、マーケティング戦略をより確実に成功へ導くでしょう。
④マーケティングツールを利用する
4つ目のポイントは、マーケティングツールを利用することです。
マーケティング戦略は、進捗管理や効果測定を行いながら適切に実行していく必要があります。そのためには、マーケティングツールを導入してデータ収集、分析をするほうが効率的です。具体的には、代表的なマーケティングツールとして以下のようなものがあります。
| ツール | 詳細 |
|---|---|
| SFA |
|
| CRM |
|
| MA |
|
マーケティング戦略は一度立案して終わりではなく、タイムリーに改善していく仕組みが重要です。戦略の是非を見える化するマーケティングツールは必須のアイテムといえます。
4.フリーコンサルタント.jpによるマーケティング戦略事例2選
マーケティング戦略の立案、実行により成功を収めたケースは数多く存在し、特に以下の企業での事例は有名です。
マーケティング戦略に成功した企業事例
ここからは、マーケティング戦略による成功事例を3つ紹介します。
①大手ネット証券会社様:デジタルマーケティング支援
若年層の顧客獲得に苦戦していた大手ネット証券会社様の事例をご紹介します。同社では、若年層の口座開設数を重要指標(KPI)として掲げていましたが、社内に若年層向けのマーケティングノウハウを持つ人材がおらず、目標未達が続いていました。
そこで、金融業界でのマーケティング経験を持ち、アプリ活用を得意とする30代のプロ人材をプロジェクトに参画させました。結果、長年の課題であったKPIを達成し、口座開設数の増加を実現しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 企業概要 | 大手ネット証券会社 |
| 支援前の課題 | ・若年層向けの口座開設におけるKPIが未達だった ・社内に若年層向け施策の知見や人材が不足していた |
| 支援内容 | ・若年層をターゲットとしたUI/UX設計 ・スマートフォンアプリの企画、開発 ・ターゲットの行動分析に基づく広告運用の最適化 |
| 活用手法 | ・デジタルマーケティング(アプリ活用、UI/UX改善) ・ターゲット別行動分析 |
| 成果、効果 | ・慢性的なKPI未達状態から脱却できた ・若年層の口座開設数が継続的に増加している |
外部の専門知識を取り入れることで、社内だけでは生まれなかった新たな発想と実行力が効果をあげた事例といえるでしょう。
②STP分析:ユニクロ
日本生まれのファストファッションブランドであるユニクロでは、独自のSTP分析によるマーケティング戦略で世界的な企業へと成長しました。具体的な戦略は以下のとおりです。
| ユニクロの戦略 | |
| Segmentation |
|
| Targeting |
|
| Positioning |
|
ユニクロは、商品の開発、製造から直営店の販売まで一貫して行うSPA企業(製造小売業)であり、店頭での販売情報をスムーズに吸い上げ、マーケティング戦略に反映できる点が強みです。その結果、顧客ニーズにマッチした商品提供を継続的に実現しています。
大手衣料メーカー様:ヘルスケア事業のプロモーション支援
大手医療メーカーの、地域医療と介護を連携させる新プロダクトのプロモーション事例をご紹介します。施設と地域住民の双方へアプローチする必要がありましたが、社内に知見がなく、戦略立案や思考プロセスの言語化などに課題を抱えていました。
そこで、食品メーカー出身でブランディング経験豊富なプロ人材をプロジェクトに登用しました。BtoBとBtoCの視点を取り入れた戦略を策定し、社員へのノウハウ共有も進めた結果、プロダクトの早期成長と内製化体制の構築に成功しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 企業概要 | 大手医療メーカー |
| 支援前の課題 | ・施設と住民の双方に向けた戦略立案が必要だった ・社内にプロモーションの専門的知見が不足していた ・思考プロセスが属人化しており言語化が必要だった |
| 支援内容 | ・施設および住民向けプロモーション戦略の立案と実行 ・営業戦略とマーケティング戦略の策定 ・思考プロセスの言語化と社内への定着支援 |
| 活用手法 | ・ターゲット別戦略(BtoB/BtoCハイブリッド) ・伴走型支援によるノウハウの継承 |
| 成果、効果 | ・新規プロダクトの早期普及を実現できた ・ノウハウの仕組み化により内製化体制が整った |
外部人材の豊富な経験を活用し、事業成長と組織のレベルアップを同時に実現した好例といえます。
マーケティング戦略の立案、策定なら「フリーコンサルタント.jp」にご相談ください!
マーケティング戦略は、企業の成長を左右する非常に重要な要素です。どんなに良い商品やサービスがあっても、適切な戦略がなければ顧客に届かず、売上アップにつながりません。しかし、戦略の立案は専門知識や経験が求められるため、多くの企業で難しい課題となっています。
そんな時に頼りになるのが「フリーコンサルタント.jp」です。「フリーコンサルタント.jp」には、様々な業界、規模の企業を支援してきた経験豊富なフリーコンサルタントが多数登録しています。企業の現状や課題をしっかり分析し、最適なマーケティング戦略をゼロから立案してもらえるのが特徴です。
ターゲット選定、競合分析、ポジショニング、マーケティングミックス(4P)など、戦略の全体設計を丁寧にサポートしますので、お困りの方はお気軽にお問い合わせください。
4.まとめ
多くの企業では、マーケティングにかけるコストや社内リソースが限られていることがほとんどです。こうした状況で戦略を持たないままマーケティング施策を進めるのは危険です。
「せっかくコストをかけたのに効果が全然なかった」ということになりかねません。 効率よく成果を出すために、フレームワークを活用したマーケティング戦略が欠かせません。

(株式会社みらいワークス Freeconsultant.jp編集部)
出典
※1:マーケターの4割以上が重要業務に時間を割けていない実態(ITmedia マーケティング)




