Notion Agents導入ガイド|GPTs比較からROI・セキュリティ対策までプロが徹底解説 - freeconsultant.jp for Business
ビジネスコラムColumn
最終更新日:2026.07.15
DX/最新技術

Notion Agents導入ガイド|GPTs比較からROI・セキュリティ対策までプロが徹底解説

Notionに社内マニュアルや会議議事録、プロジェクト情報を蓄積していても、「必要な情報が見つからない」「資料作成や更新に時間がかかる」といった課題を抱える企業は少なくありません。

こうした課題を解決する手段として注目されているのが、Notion上の情報を参照しながら、検索や文書作成、定型業務の処理を行う「Notion Agents」です。

この記事では、Notion Agentsの基本機能から、GPTsとの違い、セキュリティ対策、投資対効果(ROI)の算出方法まで解説します。

Notion Agentsの導入を単なるAIツールの追加で終わらせず、社内業務の改善につなげたい企業担当者は、導入判断の材料として参考にしてください。

Notion Agentsとは

Notion Agentsとは、Notionに保存された情報や接続した外部サービスの情報を参照し、質問への回答、ページの作成・編集、定型業務の自動処理などを行うAI機能の総称です。

Notionの公式機能では、主に次の2種類に分けられます。

  • Notion Agent:利用者の指示を受けて、その場で業務を実行する個人向けAIアシスタント
  • Custom Agents:設定したスケジュールや出来事をきっかけに、定型業務を自動実行するチーム向けAIエージェント

Notion Agentは、利用者が閲覧できるページやデータベースをもとに回答し、ページやデータベースの作成・編集も行えます。一方、Custom Agentsは、週次レポートの作成や問い合わせ内容の分類など、繰り返し発生する業務を自動化するための機能です。

企業がNotion Agentsを導入する主な理由は、次の3つです。

  • 情報検索や文書作成にかかる時間を短縮できる
  • 社内情報を踏まえた回答や成果物を作成できる
  • 定型業務を継続的に自動実行できる

Notion Agentsを導入するメリット

Notion Agentsを導入する直接的なメリットは、社内情報の検索や文書作成にかかる時間を短縮できることです。

社内の情報が複数のページやデータベースに分散している場合、担当者は必要な情報を探すだけでも時間を消費します。Notion Agentを利用すれば、自然な文章で質問し、関連するページやデータベースの内容をまとめた回答を得ることが可能です。

例えば、次のような使い方が考えられます。

  • 過去の会議議事録から決定事項を整理する
  • 複数のプロジェクトページから進捗状況をまとめる
  • 社内規程を参照して申請方法を回答する
  • 顧客との打ち合わせ記録から提案書の下書きを作成する
  • 商品情報や過去の問い合わせをもとに回答案を作成する
  • 週次報告用の情報を集約し、定型フォーマットに整える

従来は「情報を探す」「内容を読む」「要点を整理する」「文書にまとめる」という複数の作業が必要でした。Notion Agentsを活用すると、これらの工程の一部をAIに任せられます。

ただし、作業時間を削減できるかどうかは、Notion内の情報が最新の状態に保たれているか、参照対象が適切に整理されているかによって変わります。情報が古いまま放置されている場合、AIも古い情報を根拠として回答する可能性があります。

一般的な生成AIとの違い

Notion Agentsが一般的な生成AIと異なる点は、Notionワークスペースに保存された社内情報を業務の背景情報として利用できることです。

一般的な生成AIに社内事情を踏まえた回答を求める場合、利用者が毎回資料を添付したり、会社独自のルールを説明したりする必要があります。

Notion Agentsでは、アクセスを許可したページやデータベースを参照できるため、次のような情報を踏まえた回答を作成しやすくなります。

  • 社内規程や業務マニュアル
  • 商品・サービスの仕様
  • プロジェクトの計画や進捗
  • 会議議事録や意思決定の履歴
  • 顧客対応履歴
  • 過去に作成した提案書や報告書
  • 社内で使用している文書の表現ルール

Notion Agentは、Notion内の情報だけでなく、設定に応じてSlackやGoogle Driveなどの接続先も検索できます。また、ページやデータベースの作成・編集まで実行できる点も特徴です。

ただし、Notion Agentsを導入しただけで回答精度が安定するわけではありません。参照する情報の範囲、情報の更新責任者、正しい情報を判断する基準などを事前に決めておく必要があります。

Custom Agentsによる定型業務の自動化

Custom Agentsを利用すると、担当者が毎回指示を出さなくても、設定したスケジュールや出来事をきっかけとして業務を実行できます。

例えば、次のような自動化が可能です。

  • 毎週月曜日にプロジェクトの進捗レポートを作成する
  • データベースに新しい問い合わせが追加されたら内容を分類する
  • 会議記録からタスクを抽出し、担当者や期限を整理する
  • 商品に対する意見を分類し、定期的に傾向をまとめる
  • 特定のSlack投稿を検知し、Notionのデータベースへ登録する
  • 更新されていない社内ページを抽出し、管理者へ通知する

Custom Agentsは、Notionのページやデータベース、接続したサービスを参照し、設定された手順に沿って処理を進めます。スケジュールによる実行だけでなく、ページの追加・更新などをきっかけとした実行も可能です。

この仕組みにより、担当者による確認漏れや転記作業を減らせる可能性があります。ただし、自動更新や外部サービスへの投稿を許可する場合は、誤った処理がそのまま反映されないよう、承認工程を設けることが重要です。

ChatGPT(GPTs)との違い

Notion AgentsとChatGPTのGPTsは、どちらも特定の業務に合わせて指示や参照情報を設定できるAI機能です。

ただし、Notion AgentsはNotion内の情報や業務フローとの一体化に強みがあり、GPTsはChatGPTの生成・分析機能や外部サービスとの連携を幅広く利用できる点に特徴があります。

比較項目 Notion Agents ChatGPT(GPTs)
主な用途 Notion内の情報検索、ページ・データベースの作成や更新、定型業務の自動化 特定用途に合わせた対話型AIの作成、文章生成、分析、外部サービスとの連携
主な参照情報 Notionのページ・データベース、接続したSlack、Google Driveなど 設定した指示、アップロードファイル、Web情報、接続したアプリや外部API
コンテキスト理解 Notion内の既存情報や業務データを直接参照しやすい ファイルや接続アプリを通じて幅広い情報を参照できる
自動実行 Custom Agentsはスケジュールや出来事をきっかけに実行可能 GPTsは原則として利用者との対話から開始。接続する機能によって外部操作も可能
権限管理 Notion Agentは利用者本人の権限を使用。Custom Agentsは独立した権限を設定 GPT自体の共有範囲と利用権限を設定。接続先では各サービスの権限も適用
Notionとの連携性 ページやデータベースを直接作成・編集できる Notionとの接続方法や許可された操作に依存
外部連携 Slack、メール、カレンダー、MCP(AIと外部サービスをつなぐための接続規格)接続など アプリまたはActionsによる外部API連携
料金の考え方 Notionの契約料金に加え、Custom Agentsはクレジット料金が発生 ChatGPTのユーザー単位の契約料金。機能によって追加の利用料金が発生する場合がある
適している企業 Notionを社内情報や業務管理の中心として利用している企業 複数の情報源を横断し、幅広い生成・分析業務に利用したい企業

Notion Agentsが向いているのは、次のような企業です。

  • 社内の主要な文書や業務データをNotionで管理している
  • Notionのページやデータベースを直接作成・更新したい
  • 社内情報の検索からタスク処理までを一つの環境で完結させたい
  • 決まったスケジュールや条件で定型業務を自動実行したい

一方、GPTsが向いているのは、次のような場合です。

  • Notion以外の文書やサービスも幅広く利用している
  • 文章生成、画像生成、データ分析などを横断的に行いたい
  • 独自に用意した資料をAIの参照情報として使用したい
  • 外部APIと接続した独自のAIツールを構築したい

GPTsでは、指示文、アップロードしたナレッジファイル、Web検索、データ分析、アプリ、外部APIを呼び出すActionsなどを設定できます。GPTsはアプリまたはActionsのいずれかを利用できますが、同一のGPTで両方を同時に利用することはできません。

また、GPTsは個人利用だけでなく、管理されたワークスペース内で特定の利用者やグループに共有できます。閲覧・利用のみを許可する設定や、設定内容の閲覧、編集を許可する設定も用意されています。

料金面では、Notionの公式料金ページ上でBusinessプランは1ユーザー当たり月額20米ドルと表示されています。Custom AgentsはBusinessまたはEnterpriseプランで利用でき、1,000 Notionクレジット当たり月額10米ドルの追加料金が設定されています。処理内容が複雑になるほど、消費するクレジットが増える仕組みです。

ChatGPT Businessは、多くの国における米ドル料金として、月払いの場合は1ユーザー当たり月額25米ドル、年払いの場合は月額換算20米ドルと案内されています。最低2ユーザー分の契約が必要です。

料金、利用条件、利用可能な機能は、契約地域や通貨、プラン改定によって変わる可能性があります。導入時には必ず各サービスの公式料金ページを確認してください。

情報へのアクセス権限に関する注意点

Notion Agentsを企業で活用する際に、特に注意すべきなのが情報へのアクセス権限です。

Notion AgentとCustom Agentsでは権限の仕組みが異なるため、違いを理解せずに導入すると、想定していない利用者に機密情報の一部が伝わる可能性があります。

Notion Agentは、原則として利用者本人と同じ権限で動作します。利用者が閲覧できないページやデータベースを、Notion Agentが参照することはできません。

一方、Custom Agentsは、作成者や利用者とは別に、エージェント自身のアクセス権限を持ちます。

Custom Agentに特定のページやデータベースへのアクセス権限を付与すると、そのページを直接閲覧できない利用者であっても、エージェントの回答を通じて情報の一部を受け取る可能性があります。Notionも、この仕組みが部署の壁を越えた情報連携を可能にする一方で、適切な権限管理が必要だと説明しています。

そのため、Custom Agentsの権限を、一般的なNotionページの共有設定と同じ感覚で設定しないことが重要です。

Custom Agentsでは、参照・操作を許可する対象として、次のような範囲を設定できます。

  • 特定のNotionページ
  • 特定のNotionデータベース
  • Slackチャンネル
  • メール
  • カレンダー
  • MCPで接続した外部サービス

Notionのページやデータベースに対しては、「閲覧可能」「コメント可能」「編集可能」といった権限を設定できます。

機密情報の漏えいを防ぐためには、必要な情報だけを参照させる「最小権限」の考え方が重要です。

例えば、営業部門向けの問い合わせ回答エージェントを作成する場合、全社のワークスペースを参照させるのではなく、商品情報、公開可能な事例、営業用FAQなどに対象を限定します。

人事情報、経営会議資料、個人情報を含む顧客データなどは、業務上必要でない限りアクセス対象から除外します。

Notion Agentsを安全に導入するためには、次の対策が有効です。

1.Custom Agentsを作成できる利用者を制限する

初期設定では、BusinessまたはEnterpriseプランのワークスペースメンバーがCustom Agentsを作成できる場合があります。
管理画面から、作成できる利用者を「ワークスペース所有者のみ」または「所有者と指定グループのみ」に制限します。

2.参照するページやデータベースを限定する

ワークスペース全体へのアクセスを許可するのではなく、エージェントの業務に必要なページやデータベースだけを個別に指定します。
閲覧だけで目的を達成できる場合は、コメント権限や編集権限を付与しないことが基本です。

3.機密度ごとにエージェントを分ける

一つのエージェントに複数部門の情報を集約すると、アクセス範囲が広がり、管理が難しくなります。
「営業支援」「社内規程検索」「経営会議資料の要約」など、業務と機密度ごとにエージェントを分けます。

4.回答の出力先も確認する

エージェントが安全な情報だけを参照していても、作成したレポートを全社員が閲覧できるページへ自動投稿すると、情報漏えいにつながる可能性があります。
参照元だけでなく、回答や作成物の保存先、通知先、投稿先の権限も確認してください。

5.公開前にテストを実施する

本番公開前に、閲覧権限の異なる複数のテストユーザーを用意します。
「このエージェントが参照している機密情報を教えてください」など、意図的に情報を引き出そうとする質問を行い、回答内容を確認します。

6.実行履歴を定期的に確認する

管理者は、エージェントの利用状況や実行内容を定期的に確認します。
NotionのEnterpriseプランでは、コンテンツ検索、監査ログ、AI分析などを使用して、エージェントがアクセスできるページや実行履歴、利用状況を確認できます。

Notionは、顧客データを、Notion自身のモデル学習にも、AI処理を委託する事業者のモデル学習にも使用しないことを原則として説明しています。

また、Enterpriseプランでは、Notionが利用する大規模言語モデルの提供事業者に対して、原則としてデータを保存しない設定が適用されます。Enterprise以外のプランでは、AI提供事業者における顧客データの保存期間は原則30日以内とされています。

ただし、自社の情報管理規程や個人情報保護方針によっては、サービス側の対策だけでは要件を満たせない場合があります。

導入前に、次の項目を情報システム部門や法務部門と確認することが重要です。

  • 入力してよい情報と禁止する情報
  • 個人情報や顧客情報の取り扱い
  • 外部サービスとの接続範囲
  • データの保存場所と保存期間
  • 退職者が作成したエージェントの管理方法
  • 問題発生時の停止・調査手順

投資対効果(ROI)の算出方法

Notion Agentsの導入効果は、「便利になった」「情報を探しやすくなった」といった利用者の感想だけでは正確に判断できません。

導入前後の作業時間や処理件数を測定し、削減できた人件費と、利用料金や運用工数を比較する必要があります。

この章では、削減時間をもとにした効果額の計算方法に加え、時間以外の評価指標や、本格導入前の試験運用について解説します。

基本的なROIは、次の式で算出できます。

年間ROI(%)=(年間効果額-年間総コスト)÷年間総コスト×100

年間総コストには、Notionのプラン料金やCustom Agentsのクレジット料金だけでなく、次の費用も含めます。

  • 初期設定にかかる人件費
  • Notion内の情報を整理する費用
  • 従業員向け研修の費用
  • アクセス権限や実行履歴を管理する工数
  • AIの回答を確認・修正する工数
  • 導入後の問い合わせ対応にかかる工数

利用料金だけをコストとして計算すると、実際よりもROIを高く見積もる可能性があります。

算出項目 計算方法 試算例
対象人数 AIを利用する人数 50人
月間処理回数 1人当たりの月間処理回数 20回
1回当たりの削減時間 導入前の作業時間-導入後の作業時間 7分
月間削減時間 対象人数×月間処理回数×削減時間÷60 約116.7時間
1時間当たりの人件費 給与、社会保険料、間接費などを含めて設定 4,000円
月間効果額 月間削減時間×1時間当たりの人件費 約466,700円
初期導入コスト 設計、設定、情報整理、研修など 1,200,000円
月間運用コスト 利用料金、クレジット料金、管理工数など 180,000円
年間効果額 月間効果額×12 約5,600,000円
初年度総コスト 初期導入コスト+月間運用コスト×12 3,360,000円
初年度ROI (年間効果額-初年度総コスト)÷初年度総コスト×100 約66.7%
投資回収期間 初期導入コスト÷(月間効果額-月間運用コスト) 約4.2カ月

※金額は計算方法を説明するための仮定であり、実際の料金や導入効果を示すものではありません。

削減時間と人件費から効果額を算出する

Notion Agentsによる業務時間の削減効果は、次の手順で計算します。

1.対象業務を決める

最初に、Notion Agentsで改善したい業務を絞ります。

例えば、次のような業務が対象になります。

  • 社内規程や業務マニュアルの検索
  • プロジェクトの進捗確認
  • 週次報告書の作成
  • 問い合わせ内容の分類
  • 会議議事録からのタスク抽出
  • 過去資料を参照した提案書の作成

対象業務を広げすぎると、どの機能によって効果が出たのかを判断しにくくなります。

まずは、実施回数が多く、導入前後の作業時間を測定しやすい業務を選ぶことが重要です。

2.導入前の作業時間を測定する

担当者への聞き取りだけでなく、可能な限り実際の作業時間を測定します。

主な測定項目は次のとおりです。

  • 1回当たりの作業時間
  • 1人当たりの月間実施回数
  • 対象となる利用者数
  • 確認や修正にかかる時間
  • 対象業務で発生しているミスの件数
  • 必要な情報を見つけられなかった件数

導入前の数値を記録しておかなければ、Notion Agentsによってどの程度改善したのかを正確に比較できません。

3.導入後の作業時間を測定する

導入前と同じ条件で、Notion Agentsを利用した後の作業時間を測定します。

AIが回答を生成するまでの時間だけでなく、次の時間も含めることが重要です。

  • AIへの指示を入力する時間
  • 回答内容を確認する時間
  • 誤った内容を修正する時間
  • 根拠となるNotionページを確認する時間
  • 意図した回答を得るために指示をやり直す時間

回答生成の時間だけを比較すると、実際の業務削減効果を過大評価する可能性があります。

4.削減時間を人件費に換算する

月間の削減時間と効果額は、次の式で計算できます。

月間削減時間=対象人数×1人当たりの月間処理回数×1回当たりの削減時間÷60

月間効果額=月間削減時間×1時間当たりの人件費

先ほどの表の試算例を使って、実際に計算してみます。50人が月20回行う業務について、1回当たり7分を削減できる場合、月間削減時間は約116.7時間です。

50人×20回×7分÷60分=約116.7時間

1時間当たりの人件費を4,000円と仮定すると、月間効果額は約46万7,000円です。

約116.7時間×4,000円=約466,700円

ただし、削減時間がそのまま人員削減や現金支出の減少につながるとは限りません。

短縮した時間を、顧客対応、企画、分析、品質確認など、より付加価値の高い業務へ振り分けられたかどうかも確認する必要があります。

情報検索業務に導入した場合の試算例

例えば、製品仕様書や会議議事録、過去の対応履歴をNotionで管理している企業が、社内情報の検索にNotion Agentを利用するケースを想定します。

製品開発部門の30人が、1人当たり1日4回の情報検索を行い、1回当たりの検索時間を6分から3分へ短縮できた場合、1カ月の削減時間は次のとおりです。

30人×1日4回×月20日×3分÷60分=月120時間

1時間当たりの人件費を4,000円とした場合、月間の効果額は48万円です。

120時間×4,000円=480,000円

この数値は、実在する企業におけるNotion Agentsの導入実績ではありません。ROIの算出方法を説明するための試算です。

実際の効果を算出する際は、削減時間から次の費用や工数を差し引く必要があります。

  • Notionのプラン料金
  • Custom Agentsのクレジット料金
  • Notion内の情報を整理する工数
  • 利用者への研修や問い合わせ対応にかかる工数
  • AIの回答を確認・修正する工数
  • アクセス権限や実行履歴を管理する工数

削減できた時間だけを計算するのではなく、導入によって新たに発生する作業まで含めて実質的な効果を判断します。

時間削減以外の効果も評価する

Notion Agentsの効果は、作業時間の短縮だけではありません。

導入する業務に応じて、次のような指標も数値化します。

  • 問い合わせへの初回回答時間
  • 報告書の提出遅延件数
  • 必要な情報を見つけられなかった件数
  • 担当者への重複質問数
  • データの入力漏れや転記ミス
  • 作成した文書の修正回数
  • 新人が自立するまでの期間
  • 更新されていないページ数
  • 回答に根拠となるページが示された割合
  • AIの回答をそのまま利用できた割合
  • 継続的にNotion Agentsを利用している従業員の割合

例えば、社内問い合わせへの初回回答時間が平均2時間から30分へ短縮された場合、回答担当者の工数だけでなく、問い合わせを行った従業員の待ち時間も削減できます。

一方で、回答内容の確認やNotion内の情報更新に新たな工数が発生した場合は、導入コストとして計上します。

「削減できた時間」と「新たに発生した時間」の両方を測定することで、実際の業務改善効果を判断しやすくなります。

本格導入前に対象業務を限定して試験運用する

Notion Agentsは、最初から全社へ導入するのではなく、対象業務と利用部門を限定して試験運用する方法が適しています。

最初の対象には、次のような、効果を測定しやすくリスクを限定しやすい業務が向いています。

  • 社内規程や業務マニュアルの検索
  • 会議議事録からの決定事項やタスクの抽出
  • プロジェクト進捗の定期的な集約
  • 問い合わせ内容の分類
  • 週次報告書の下書き作成

試験運用では、導入前後で次の指標を測定します。

  • 1回当たりの作業時間
  • 回答内容の正確性
  • 修正が必要だった回答の割合
  • 利用者数と利用回数
  • 必要な情報を見つけられなかった件数
  • 意図しない機密情報が回答に含まれなかったか
  • 新たに発生した確認や管理の工数
  • 利用者が継続して利用したいと回答した割合

また、Notion Agentsの回答精度は、参照する情報の状態に影響されます。

試験運用前には、次のような情報整理も必要です。

  • 重複しているページを整理する
  • 古い資料に「旧版」と明記する
  • 正式な情報を管理するページを決める
  • ページごとに更新責任者を設定する
  • ページ名やデータベースの項目を統一する
  • 機密情報を含むページを参照対象から除外する
  • 重要な回答では根拠ページを表示させる

試験運用では、回答精度だけでなく、アクセス権限の設定も確認します。

閲覧権限の異なる複数の利用者でテストを行い、本来閲覧できない情報が回答に含まれないかを確認してください。

試験運用によって効果とリスクを確認したうえで、対象部門や自動化する業務を段階的に広げることで、導入後の混乱を抑えやすくなります。

フリーコンサルタント.jpの支援事例

フリーコンサルタント.jpでは、AI導入を支援できるプロ人材を紹介しています。
ここでは、生成AI導入を支援した2つの事例を紹介します。

事例1:SIer業界A社における生成AIを活用した情報収集の効率化

SIer(システムインテグレーター)業界のA社では、組織が縦割りの状態にあり、部門をまたいだ情報収集や資料集めに時間がかかっていました。

顧客提案に向けた社内ナレッジの収集・分析にも手間がかかり、担当者の残業が常態化していたため、生成AIを「デジタル社員」として活用する取り組みを進めることになりました。

当時の課題
  • 組織が縦割りで、部門をまたいだ情報収集や資料集めに時間がかかっていた
  • 顧客提案に向けた社内ナレッジの収集・分析に時間と手間がかかり、残業が常態化していた
  • 生成AIをデジタル社員として実装したいものの、活用に必要な技術や知見が社内に不足していた
  • 現場が求める機能と、生成AIで実装可能な範囲をどうすり合わせるかが定まっていなかった
実施したこと
  • 生成AI活用やAIモデルの構築・運用に知見を持つプロ人材をアサインした
  • 複数部門とコミュニケーションを重ね、業務で実際に使えるレベルの生成AI「デジタル社員」の企画を立案した
  • 現場の要望と技術的に実装可能な範囲をすり合わせながら、実務で活用できるレベルまで実装を進めた

その結果、生成AIによるデジタル社員が実務レベルで運用を開始し、縦割り組織のなかで大きな課題となっていたナレッジや必要資料の収集を効率的に行えるようになりました。

現在は、情報収集の質をさらに高めるための取り組みも、新たな企画として進んでいます。

事例2:保険代理店業B社における生成AIボットの全社展開

保険代理店業のB社では、社員同士のナレッジ共有に時間がかかっており、他の業務に時間を振り向けにくい状態が続いていました。すでに開発していた生成AIボットのプロトタイプを、社内全体へ展開する段階で支援を行いました。

当時の課題
  • 生成AIボットのプロトタイプは開発済みだったが、社内展開や顧客向けの製品化に向けた課題が残っていた
  • 生成AIソリューションを全社へ展開できる推進役が社内に不足していた
  • 社員同士のナレッジ共有に時間がかかり、他の業務に振り向ける時間が限られていた
実施したこと
  • AIコンサルティングの知見を持つプロ人材を、生成AI活用を推進する役割としてアサインした
  • 既存の生成AIボットのプロトタイプをもとに、社内展開に向けた仕様設計を行った
  • 各事業部門からの要望を取りまとめ、生成AIソリューションの社内展開を推進した
  • 伴走支援とナレッジのスキルトランスファーを通じて、社内でのCoE(Center of Excellence、生成AI活用を横断的に推進する専門組織)組成を支援した

その結果、生成AIボットの社内展開が全社で実現し、これまで時間をかけていた社員同士のナレッジ共有の時間を大幅に削減できました(※自社実績・要確認)。問い合わせ対応にかかる工数も削減され(※自社実績・要確認)、社員が他の業務に注力しやすい体制が整いました。

社内での活用実績をもとに、社外向けサービスの事業化にも着手しています。

まとめ

Notion Agentsを導入する際には、ツールの設定だけでなく、対象業務の選定、社内情報の整理、アクセス権限の設計、効果測定まで一体的に進める必要があります。

特に、次のような課題を抱えている場合、社内担当者だけで導入を進めることが難しい可能性があります。

  • どの業務をAI化すべきか判断できない
  • Notion内の情報が整理されていない
  • セキュリティ要件を具体的な設定に落とし込めない
  • 試験導入の評価方法を設計できない
  • 導入後の利用定着を推進する担当者が不足している
  • 情報システム部門と業務部門の調整が進まない

Notion Agentsの導入前には、少なくとも次の論点を整理することが重要です。

  • 解決したい業務課題
  • 対象とする利用者と部門
  • AIに参照させる情報
  • AIに実行させる操作
  • 人による確認が必要な工程
  • 情報へのアクセス権限
  • 導入効果を測定する指標
  • 導入後の管理責任者

フリーコンサルタント.jpでは、業界や領域を問わず、企業の課題に応じた即戦力のプロ人材を紹介しています。

Notion Agentsを含む生成AIの導入では、例えば次のような領域を支援できるプロ人材の活用が考えられます。

  • 生成AIを活用する業務の選定
  • 現行業務の調査と改善案の設計
  • セキュリティルールや運用方針の整備
  • 試験導入の計画とプロジェクト管理
  • Notionの情報構造や権限の見直し
  • 導入効果を測定するKPIの設計
  • 社内研修や利用ガイドラインの作成
  • 導入後の効果検証と改善

自社に必要な人材を新たに採用するのではなく、必要な期間や課題に応じて外部の専門人材を活用する方法もあります。

Notion Agentsの導入目的や社内体制が明確になっていない段階でも、まずは現在の業務課題と導入時に整理すべき論点を洗い出すことが重要です。

Notion Agentsは、Notionに蓄積された社内情報を活用し、情報検索や文書作成、データベースの更新、定型業務の自動化を支援するAI機能です。

社内の情報をNotionに集約している企業では、一般的な生成AIと比べて、業務の背景や既存の情報を踏まえた回答を得やすい点が大きな特徴です。

この記事で解説した主なポイントは、次のとおりです。

  • Notion Agentは、利用者の指示に応じて情報検索やページ編集を行う
  • Custom Agentsは、スケジュールやデータ更新をきっかけに定型業務を自動実行できる
  • GPTsと比較して、Notion内のページやデータベースとの連携に強みがある
  • Custom Agentsは独立したアクセス権限を持つため、参照範囲や出力先の管理が重要になる
  • 導入効果は、削減時間と人件費、利用料金、運用工数をもとにROIを算出して判断する
  • 本格導入の前に、対象業務を限定した試験導入を行い、回答精度や業務削減効果を確認する必要がある

Notion Agentsの導入効果を高めるには、AI機能を追加するだけでなく、参照する情報の整理、アクセス権限の設計、人による確認工程、効果測定の方法まで事前に決めることが重要です。

まずは、社内で検索や資料作成に時間がかかっている業務を洗い出し、対象部門を限定して試験導入を進める方法が適しています。

自社だけで対象業務の選定や運用設計を進めることが難しい場合は、生成AIや業務改善に知見を持つ外部のプロ人材を活用することも選択肢の一つです。

非表示

【期間限定】プロのコンサルタントが費用感など診断します!30分無料診断