
情報過多な現代において、ステークホルダーとの強固な関係を築くためには戦略的な広報活動が欠かせません。しかし、広報活動は単に情報を発信するだけでは不十分です。目標とするステークホルダーに適切なメッセージを届け、共感を呼び、行動を促す必要があり、一方的な発信だけでは理想的な広報戦略とは言えません。
本記事では、広報戦略を成功させるポイントとフレームワークについて解説します。広報戦略を策定するメリットや理由、具体的な事例にも触れるので、ぜひご参考ください。
■目次
広報戦略とは
広報戦略とは、自社に関する情報を効果的に発信する戦略全般を指す言葉です。広告戦略の目的は、自社の活動や価値を広く知らせることにより、認知度や露出を向上する点にあります。企業や組織の理念、価値観を伝えて好意的なイメージを形成したり、積極的な情報開示や双方向のコミュニケーションを通じて信頼関係を築いたりするのがポイントです。
なお、広報戦略と広告戦略はどちらも情報発信という点で共通していますが、目的や手段が異なります。広報戦略は、客観的な情報発信を通じて、信頼関係を構築することを目的とします。メディアや第三者を通じて情報が発信されるため、信頼性が高いのが特徴です。
一方、広告戦略は製品やサービスの販売促進を目的としており、より「売るため」の戦略と考えるとよいでしょう。企業が費用を払って広告枠を購入し情報を発信するため、発信内容をコントロールしやすいのが特徴です。
広報戦略が必要とされている背景
ここでは、広報戦略が必要とされている背景を解説します。なぜ各社競うようにして広報戦略に乗り出しているのか、理由を探ってみましょう。
インターネットの普及やWebメディアの発展
インターネットの普及やWebメディアの発展が目覚ましい昨今、従来のテレビや新聞、雑誌などのマスメディアだけでなく、WebメディアやSNS、ブログなど情報源が多様化しています。情報が溢れているからこそ、広報戦略を練り上げていないと自社のメッセージを直接ステークホルダーに届けることができません。結果、思うように投資や融資が受けられないなど、機会損失に繋がってしまいます。
一方で、正確かつ有意義な情報や、顧客のニーズに合わせた情報を発信するなど効果的な広報戦略ができていれば、ユーザーやステークホルダーからの信頼を獲得できます。よって、投資をしてもらいやすくなったり商品やサービスを利用してもらうきっかけになったりするなど、メリットが多いからこそ広報戦略が重視されるようになりました。
SNSの普及
SNSの普及に伴い、良い情報も悪い情報も瞬く間に広がるようになっています。SNSで悪い情報が拡散されると企業のレピュテーションが大きく損なわれる可能性があり、時には「炎上」「バッシング」につながるケースも少なくありません。だからこそ、効果的な広報戦略により情報をコントロールし、時宜に合った情報発信や炎上のリスク管理が重要視されています。
SNSをうまくコントロールできれば、企業は顧客との関係性を深め、エンゲージメントを高めることが可能です。消費者の意見やフィードバックも直接収集でき、広報だけでなく効果的なマーケティングにもつながります。
ブランドイメージの形成
広報戦略で扱う情報は、商品情報だけでなく自社のMVV(ミッション、ビジョン、バリュー)や価値観など多岐に渡ります。ブランドヒストリーや自社のSDGs施策を効果的にアプローチできれば、ブランドイメージの向上につながるでしょう。
結果、ブランドへの愛着や忠誠心を育み、ユーザーのリピート購入やリファラルマーケティングを促進できたり、従業員の帰属意識を高めて組織全体のパフォーマンス向上に貢献できたりします。
なお、ブランドイメージは時間をかけて構築されるため、短期的な成果を求めすぎないことが重要です。だからこそ、軸がブレないよう長期的な広報戦略が重要視されているのです。
広報戦略を策定するメリット3つ
ここでは、広報戦略を策定するメリットを解説します。効果的な広報戦略がどのような効果につながるのか、探っていきましょう。
1.社会やステークホルダーからの信頼が得られる
広報戦略は企業や組織の活動や方針、価値観などを積極的に開示する手法であり、企業経営に関する透明性を高められます。透明性の高い情報開示はステークホルダーからの疑念を払拭し信頼感を醸成するので、信頼獲得のきっかけとなることも少なくありません。
企業や組織の社会的責任(CSR)活動や危機発生時の情報発信や対応策を事前に公開しておけば、安心度の高い企業としても評価してもらえます。
また、信頼性の高い企業は投資家からの評価を得やすく、資金調達を円滑にできるのもポイントです。ブランド力を高めたい大企業から、開業間もないスタートアップやベンチャーまで、幅広い企業が広報戦略を重視するのは資金調達のためでもあるのです。
2.社内意識の統一が図れる
広報戦略を通じて企業の理念やビジョンを社内外に発信することで、社員一人ひとりに自社の目指す方向性を理解してもらえます。自身の役割を認識してもらうきっかけにもなるため、部門間の連携強化や効率的な業務遂行が実現できるでしょう。
また、共感できる広報戦略ができれば、従業員のエンゲージメントやモチベーションの向上にも役立つのがポイントです。従業員が「自身の仕事は企業や社会に貢献していること」と実感でき、仕事への誇りを持てるようになります。
3.費用対効果が高くなる
情報を届けたいターゲットを明確にしてから広報戦略を行うことで、手当たり次第に広報活動や広告出稿を行うよりも費用対効果が高くなります。無駄な広告費や広報活動費を削減したいときや、ターゲットへ確実に情報を届けたいときに有効な手法と言えるでしょう。
また、広報戦略では広報活動の効果を定期的に測定することで、実施した施策の良し悪しを確認することができます。費用対効果が低かった場合は、より効果的な広報活動に改善していくことで、無駄なコストを投下し続けるリスクを避けることが可能です。
広報戦略を立てる際の5つのステップ
ここでは、広報戦略を立てる際のステップを5段階に分けて解説します。どのように戦略を組み立て、実行すればよいか迷ったときにお役立てください。
1.企業戦略や課題を把握する
まずは、自社の企業戦略や課題の把握から始めましょう。広報戦略は、企業の経営目標達成を支援するために存在します。そのため、企業の全体像を把握せずに広報戦略を立てると、目標と手段が噛み合わなくなるので注意しましょう。
自社のMVV(ミッション、ビジョン、バリュー)を再確認したり、自社が抱えている課題を明文化したりすることで、やるべき広報戦略も自ずと見えてきます。
2.具体的なゴールやプランを策定する
具体的なゴールやプランを策定し、広報戦略の軸がブレないようにしましょう。はじめに、どのような成果を達成したいのか具体的な目標を設定することで、広報活動の方向性を明確にできます。具体的な目標を共有することで、関係者のモチベーションを高め、一体感を生み出せるのもポイントです。
また、定量的な目標を設定することで広報活動の効果を測定し、改善につなげていくこともできます。PDCAサイクルをスピーディーに回せるため、目標達成までのスピードもアップするでしょう。
3.策定したプランを具体的な施策に落とし込む
広報戦略の策定が完了したら、次は具体的な施策に落とし込む段階に進みます。このステップでは、計画を実行可能なアクションプランに変換し、目標達成に向けた具体的な道筋を描くのがポイントです。
まずはターゲット層に最も効果的な広報施策を選択します。たとえば、若い世代にはSNSキャンペーンやインフルエンサーマーケティングを採用したり、高齢世代にはテレビやセミナーを活用したりしましょう。
プレスリリース、メディア取材、SNS、イベント、Webサイトなど、シーンごとに最適な広報手段を選定してください。
4.広報活動を実施する
広報戦略を具体的な施策に落とし込んだら、いよいよ実行に移します。各施策の担当者、責任者、協力者などで構成されるチームを編成し、チームメンバーの役割分担を明確にしながら進めましょう。チーム内で情報共有を密にして連携を強化したり、進捗状況や課題などを共有して迅速な意思決定をサポートしたりなど、やるべきことは通常のプロジェクトと変わりません。
ただし、広報戦略ではターゲットやメディアの特性に合わせて、最適なタイミングで情報発信を行うことが重要です。機会損失にならないよう、トレンド情報の収集を心がけましょう。
5.広報戦略の実行結果を分析、評価する
広報戦略の実行結果の分析、評価は、広報活動の成果を最大化するために不可欠です。設定したKPI(重要業績評価指標)に基づいて広報活動の成果を客観的に評価し、改善を行うことで、安定して結果を出し続けられる状態を作り上げることができます。
具体的には、広報戦略で設定した目標が達成できたかどうか、各施策が期待通りの効果を生み出したかどうかを数値で確認するのがおすすめです。広報活動にかけた費用と得られた効果を比較しROIを算出するなど、コスト面での評価も欠かせません。広報戦略の実行結果を分析、評価しておけば、次の広報戦略でも大いに役立ちます。
広報戦略を成功させるためのポイント3つ
ここでは、広報戦略を成功させるためのポイントを解説します。失敗を避け、成功の確率を高めるためにお役立てください。
1.リスクを回避しつつ柔軟に対応する
広報戦略を成功させるためには、リスクを回避しつつ柔軟に対応することが非常に重要です。現代の広報活動は、SNSの普及や情報過多な社会環境など、予期せぬリスクに直面する可能性が高くなっています。迷ったときは、炎上リスク、情報漏洩リスク、風評被害リスクなど、広報活動に関連するリスクを洗い出しましょう。また、過去の事例や業界の動向などを参考に、リスクを具体的に想定するのも効果的です。
時には具体的な回避策や対応策を策定したり、情報発信のガイドライン・SNS運用ルール・危機管理マニュアルを作成して標準化を図る必要もあります。
2.効果測定と改善を繰り返す
広報戦略は「やりっぱなし」ではあまり意味を成しません。一度策定した戦略をそのまま実行するだけでは、期待した成果が得られない可能性があります。効果測定と改善を繰り返すことにより、常に変化する社会情勢やメディア環境に対応していくことが可能です。
定量的な効果測定がしたいときは、メディア掲載数、広告換算値、Webサイトのアクセス数、SNSのフォロワー数、エンゲージメント数、問い合わせ数、売上などを確認します。反対に、定性的な効果測定がしたいときは、メディアの記事内容、SNSのコメント内容、顧客アンケート結果、ブランド認知度調査結果などを参考にしましょう。
3.専門家の力を借りる
広報戦略を成功させるためには、専門家の力を借りることも有効な手段です。広報活動は専門的な知識やスキル、経験が求められる分野であり、自社だけで全てをカバーするのは難しい場合があります。
広報の専門家は、豊富な知識と経験に基づいて、効果的な広報戦略を立案、実行してくれる心強いパートナーです。最新の広報トレンドやメディア動向に関する情報も提供してくれるので、目から鱗の広報戦略ができるかもしれません。自社にないスキルを補完することで、広報活動の質を高めていきましょう。
広報戦略のプロをお探しなら「フリーコンサルタント.jp」にお任せください
広報戦略のプロをお探しなら、プロのコンサルタントが多数在籍している「フリーコンサルタント.jp」を頼るのがおすすめです。「フリーコンサルタント.jp」には、大手PR会社出身者や、広報部門での豊富な経験を持つプロフェッショナルが多数登録しています。企業の課題やニーズに合わせて、最適なスキルと経験を持つコンサルタントを紹介してもらえるので、積極的に活用してみましょう。
広報戦略の場合、広報戦略の策定や実行、効果測定まで、企業のニーズに合わせた柔軟なサポートを受けられます。スポットコンサルティングから長期的なプロジェクトまで、幅広いニーズに対応してもらえるため、活用シーンを選ぶこともありません。広報戦略に関するプロのサポートを受けることで広報活動の質を高め、企業のブランドイメージ向上や信頼獲得につなげていきましょう。
広報戦略策定に役立てられる3つのフレームワーク
ここでは、広報戦略策定に役立てられるフレームワークを紹介します。自社で内製化する場合も、外部の専門家に外注するときもよく出てくるフレームワークなので、ぜひご活用ください。
1.SWOT分析
SWOT分析とは、企業の内部環境におけるプラス要因であるStrength(強み)、企業の内部環境におけるマイナス要因であるWeakness(弱み)、企業の外部環境におけるプラス要因であるOpportunity(機会)、企業の外部環境におけるマイナス要因であるThreat(脅威)について分析する手法です。企業の経営資源(ヒト、モノ、カネ、情報)や組織文化、技術力などを分析できるので、自社の現状を客観的に把握できます。
分析結果を基に、強みを最大限に活かして弱みを克服できる戦略を立案することで、競合他社よりも秀でた広報活動ができるでしょう。
2.STP分析
STP分析とは、市場を細分化するセグメンテーション(Segmentation)、ターゲット顧客を絞り込むターゲティング(Targeting)、自社の立ち位置を明確にするポジショニング(Positioning)について分析する手法です。ターゲット顧客を明確にすることで、効率的なマーケティング活動が可能になります。
また、競合との差別化を図ることで競争優位性を確立できるのもポイントです。市場のニーズに合わせた製品開発やサービス提供をしたいときに活用しましょう。
3.PEST分析
PEST分析とは、Politics(政治)、Economics(経済)、Society(社会)、Technology(技術)について分析する手法です。外部環境の変化を把握し、事業機会やリスクを予測できるのが最大の強みであり、経営戦略やマーケティング戦略の立案に役立てられます。
変化に対応するための意思決定を支援するフレームワークでもあるので、社会情勢に合う広報戦略にしたいときに活用しましょう。
【自治体/企業】広報戦略の成功事例4つ
ここでは、広報戦略の成功事例を解説します。自治体の広報戦略も企業の広報戦略もピックアップしているので、ぜひご参考ください。
- 【企業】株式会社富沢商店:法人市場を狙った広報活動でメディア露出が6.5倍に増加
- 【企業】TOTO株式会社:プレスリリースの活用でインターンシップ応募者が2割増しに
- 【自治体】茨城県:「いばキラTV」を2016年1月には日本1位に
- 【自治体】豊中市:市全体を活性化させる施策で人口増加
【企業】株式会社富沢商店:法人市場を狙った広報活動でメディア露出が6.5倍に増加
株式会社富沢商店では、法人市場を狙った広報活動でメディア露出が6.5倍に増加しています。それまでは一般消費者向けに特化していた富沢商店でしたが、法人顧客向けのニーズを的確に捉え、広報活動に反映させました。
食品・小売業界の専門媒体だけでなく、ニュース、ビジネス、IT、ライフスタイル系など、幅広いメディアにアプローチしたことで、会社名の露出も増加しました。結果、多様なメディアで取り上げられ、幅広い層への認知度向上に成功しています。
多様なメディアへのアプローチと、話題性のある情報発信がメディア露出増加につながるとわかる事例です。
【企業】TOTO株式会社:プレスリリースの活用でインターンシップ応募者が2割増しに
TOTO株式会社では、プレスリリースの活用でインターンシップ応募者を2割増やしています。プレスリリースでは、学生の関心を引くような情報やインターンシップで得られる経験などを具体的に記載し、参加後のイメージを抱かせるよう工夫しました。
学生が知りたい情報を的確に伝えたことでインターンシップに対する不安感を払拭し、参加することで得られる成長などもストーリーとして伝わった事例と言えるでしょう。
結果、より多くの学生に企業の魅力を伝えられたため、認知度向上に成功しています。プレスリリースは、企業の情報を効果的に発信するツールとして採用広報にも有効です。
【自治体】茨城県:「いばキラTV」を2016年1月には日本1位に
茨城県の広報戦略「いばキラTV」は、動画コンテンツを積極的に活用し、2016年1月にはYouTubeを活用した動画サイトとして日本一に輝きました。「いばキラTV」は茨城県の魅力を伝える多様な動画コンテンツを提供するチャンネルであり、WebサイトやSNSなど、多様な媒体で情報発信に努めました。
視聴者からのコメントやメッセージに積極的に対応するなど公官庁らしくない取り組みも積極的に導入し、視聴者の意見を参考にコンテンツの改善や企画に反映させています。
【自治体】豊中市:市全体を活性化させる施策で人口増加
豊中市は、市民の生活の質を高めるため、子育て支援や高齢者福祉、地域コミュニティの活性化など、幅広い分野で積極的な施策を展開しています。地域共生センター(まるぷらっと)西館の開設や健診(検診)の無料化および個別化などにも取り組み、安心、安全で暮らしやすい町としてのPRを意識してきました。また、より多くの世代に豊中市の魅力を伝えられるよう、SNSやパンフレット、ポスターなどを活用した情報発信にも注力しています。
結果、人口増加に成功し、多岐にわたる施策を展開する優位性も証明できました。今後も多様な媒体を活用した情報発信と、市民参加型のイベントなどを通じて、市民の関心を高めることが期待されています。
まとめ
広報戦略は、企業や組織がステークホルダーとの関係を構築し、維持するために不可欠な手法として確立されています。Webメディアの発展やインターネット、SNSの普及など、劇的に変化する今の時代において、企業規模問わず効果的な広報戦略を取ることはもはや必須の対策と言えるでしょう。
「フリーコンサルタント.jp」では、広報戦略が得意なフリーランスコンサルタントとのマッチングを手がけています。即戦力となるプロフェッショナル人材を求める企業から高く評価されており、業種や規模に応じた経験のあるコンサルタントを紹介できますので、お困りの方はお気軽にご相談ください。


