
「日本企業の女性管理職比率はどのくらい?」
「自社の女性管理職比率は平均より高いのか、低いのか知りたい」
「女性管理職を増やすには、具体的に何をすればよい?」
このような疑問を持つ企業担当者も多いでしょう。
女性管理職比率は、企業における管理職のうち、女性が占める割合を示す指標です。女性活躍推進やダイバーシティ経営を進めるうえで、自社の現状を把握する重要な指標の一つとなっています。
また、2026年4月1日からは女性活躍推進法の改正により、常時雇用する労働者が101人以上の企業に「女性管理職比率」の情報公表が義務付けられました。
一方、女性管理職比率は単に公表すればよい数値ではありません。なぜ自社の比率が現在の水準なのかを分析し、採用・配置・評価・育成・働き方まで見直すことが重要です。
本記事では、2026年時点の最新データをもとに、日本の女性管理職比率や政府目標、業界別の違い、女性管理職が少ない理由を解説します。女性管理職比率を高めるための具体的な取り組みや企業事例も紹介するので、自社の女性活躍推進を検討する際の参考にしてください。
女性管理職比率とは?定義・計算方法を解説
女性管理職比率とは、企業の管理職に占める女性の割合を示した数値です。
女性活躍推進法への対応だけでなく、自社で女性が管理職までキャリアアップできているか、性別にかかわらず昇進機会が確保されているかを確認する指標としても活用できます。
ここでは、女性管理職比率の計算方法と、女性活躍推進法における管理職の定義を確認します。
女性管理職比率の計算方法
女性管理職比率は、基本的に以下の式で算出します。
女性管理職比率(%)=女性の管理職数÷管理職全体の人数×100
たとえば、管理職全体が100人、そのうち女性管理職が15人の場合は、
15人÷100人×100=15%
となります。
ただし、企業が独自に「管理職」と呼んでいる役職と、女性活躍推進法上の管理職が完全に一致するとは限りません。
そのため、公表用の比率を算出する場合は、最初に「どの役職を管理職として数えるのか」を整理することが重要です。
女性活躍推進法における「管理職」の定義
女性活躍推進法における管理職は、原則として「課長級」および「課長級より上位の役職」にある労働者を指します。役員は含みません。
課長級については、一般的な役職名だけでなく、職務内容や責任の程度も踏まえて判断します。
たとえば、
- 通常「課長」と呼ばれ、2係以上の組織を管理している
- 本人を含めて10人以上の組織の長である
- 役職名は異なっていても、職務内容や責任が課長級に相当する
といった人が該当します。
一方、一般的な「係長」「主任」などは、原則として女性管理職比率の計算に用いる管理職には含みません。

自社内で使用している「マネージャー」「グループ長」などの呼称だけで判断せず、実際の権限や責任を確認することが重要です。
【2026年最新】日本の女性管理職比率は何%?
日本の女性管理職比率は徐々に上昇しているものの、上位の役職ほど女性の割合が低くなる傾向があります。
厚生労働省が2026年7月31日に公表した「令和7年度雇用均等基本調査」では、企業規模10人以上の企業における女性割合は、以下の通りです。
| 役職 | 女性の割合 |
|---|---|
| 係長相当職 | 20.9% |
| 課長相当職 | 13.2% |
| 部長相当職 | 9.2% |
| 役員 | 21.0% |
| 課長相当職以上(役員を含む) | 13.8% |
課長相当職では約8人に1人、部長相当職では約11人に1人が女性という状況であり、役職が上がるほど女性比率が低くなっています。
なお、女性管理職比率については、調査によって対象企業や管理職の定義が異なるため、数値が一致しない場合があります。
たとえば内閣府「男女共同参画白書 令和8年版」では、常用労働者100人以上の企業について、2025年の女性比率を以下のように示しています。
| 役職 | 女性の割合 |
|---|---|
| 係長級 | 25.2% |
| 課長級 | 16.1% |
| 部長級 | 9.3% |
自社と平均値を比較するときは、「どの調査を使った数字なのか」「企業規模や役職の定義が自社と近いか」まで確認しましょう。
業界・産業別の女性管理職比率
女性管理職比率は、業界によって大きな差があります。
令和7年度雇用均等基本調査における「課長相当職以上(役員を含む)」の女性割合を見ると、主な産業は以下の通りです。
| 産業 | 女性割合 |
|---|---|
| 医療・福祉 | 53.6% |
| 教育・学習支援業 | 21.3% |
| 生活関連サービス業・娯楽業 | 20.1% |
| サービス業(他に分類されないもの) | 19.5% |
| 宿泊業・飲食サービス業 | 19.1% |
| 不動産業・物品賃貸業 | 17.5% |
| 情報通信業 | 14.7% |
| 卸売業・小売業 | 14.0% |
| 製造業 | 9.7% |
| 建設業 | 9.1% |
| 電気・ガス・熱供給・水道業 | 5.6% |
医療・福祉のようにもともと女性従業員が多い産業では、女性管理職比率も高い傾向があります。一方、製造業や建設業などは、管理職候補となる女性社員そのものが少ないケースもあります。
ただし、単純に全国平均や業界平均だけを見るのではなく、自社の女性従業員比率に対して、管理職への登用割合が極端に低くないかを見ることも重要です。
たとえば、女性従業員が全体の50%を占めているにもかかわらず、女性管理職が5%しかいない場合、採用後の配置・育成・昇進プロセスに課題がある可能性があります。
世界と比較した日本の女性管理職比率
国際的に見ても、日本の管理職に占める女性割合は低い水準です。
内閣府「男女共同参画白書 令和8年版」では、2025年の日本の就業者に占める女性割合は45.8%で、諸外国と比べても大きな差はありません。
一方、管理的職業従事者に占める女性割合は14.4%です。諸外国では30%以上の国も多く、日本との差が見られます。
つまり、日本では女性が働くこと自体は一般的になっている一方で、管理職や意思決定に関わるポジションまでキャリアアップする段階には依然として大きな男女差が残っています。
女性管理職比率の政府目標|2030年までに何%を目指す?
女性管理職比率について、「政府は30%を目標にしている」と認識している方もいるかもしれません。
しかし、民間企業の管理職について、すべての役職で一律30%という目標が設定されているわけではありません。
2026年3月に閣議決定された「第6次男女共同参画基本計画」では、2030年までの目標が役職別に設定されています。
第6次男女共同参画基本計画の目標
民間企業の雇用者について設定された2030年の目標は以下の通りです。
| 役職 | 現状値 | 2030年目標 |
|---|---|---|
| 係長相当職 | 24.4%(2024年) | 33% |
| 課長相当職 | 15.9%(2024年) | 24% |
| 部長相当職 | 9.8%(2024年) | 15% |
政府目標からも、単に女性管理職を増やすだけではなく、係長から課長、課長から部長へと継続的にキャリアアップできる人材パイプラインを整える必要があることが分かります。
「女性30%」は何を意味する?管理職と役員の目標を整理
「30%」という数字は、主に政策・方針決定過程や上場企業の役員に関する目標として使われています。
第6次男女共同参画基本計画では、東証プライム市場上場企業の役員に占める女性割合について、
2025年17.7% → 2030年30%
という目標が設定されています。
また、全上場企業については、
2025年14.0% → 2030年20%
が目標です。

「女性管理職比率を2030年までに一律30%にしなければならない」という意味ではありません。自社の業界・人員構成や政府の役職別目標を確認して目標値を設定しましょう。
【2026年4月施行済み】女性管理職比率の公表義務と対象企業
2026年4月1日から、改正女性活躍推進法による情報公表義務が強化されました。
常時雇用する労働者が101人以上の企業では、「男女間賃金差異」と「女性管理職比率」の公表が必須となっています。
すでに施行されているため、対象企業は「今後対応する制度」ではなく、現在対応が必要な法制度として認識しておきましょう。
従業員101人以上の企業が対象
企業規模ごとの公表義務は以下の通りです。
| 企業規模 | 公表が必要な項目 |
|---|---|
| 301人以上 | 男女間賃金差異、女性管理職比率に加え、「機会の提供」と「両立環境」の各区分から1項目以上ずつ。合計4項目以上 |
| 101〜300人 | 男女間賃金差異、女性管理職比率に加え、その他の対象項目から1項目以上。合計3項目以上 |
| 100人以下 | 情報公表は努力義務 |
「常時雇用する労働者」には、期間の定めなく雇用されている人だけでなく、一定の要件を満たす有期契約労働者なども含まれるため、自社が対象になるか確認する必要があります。
何を・どこに公表する必要がある?
女性管理職比率は、求職者などが容易に確認できる方法で公表します。
公表先としては、
- 厚生労働省「女性の活躍推進企業データベース」
- 自社ホームページ
などがあります。
また、女性管理職比率だけを公開すれば終わりではありません。企業規模に応じて、男女間賃金差異や、女性の職業生活に関する機会提供、仕事と家庭の両立に関する項目なども公表します。
初回については、2026年4月1日の施行後に最初に終了する事業年度の実績を、その次の事業年度が始まってからおおむね3か月以内に公表する必要があります。
女性管理職比率を公表するまでのチェックリスト
公表対応では、以下を確認しましょう。
- 常時雇用する労働者数を確認した
- 自社が女性管理職比率の公表義務対象か確認した
- 女性活躍推進法上の管理職に該当する役職を整理した
- 役員・係長・主任などを誤って含めていないか確認した
- 女性管理職数・管理職総数を把握した
- 女性管理職比率を算出した
- 男女間賃金差異など、その他の必須公表項目を整理した
- 公表データの社内確認・承認フローを決めた
- 公表先を決めた
- 公表後の更新担当者・更新時期を決めた
公表はゴールではありません。
女性管理職比率が低い場合は、その背景にある採用・配置・育成・評価・働き方などの課題まで分析しましょう。
女性管理職比率が高い業界・企業は?
自社の女性管理職比率が高いのか低いのか判断する際は、全国平均だけでなく、同業界や他社の数値と比較することも有効です。
ただし、女性管理職比率は企業ごとに役職制度や公表基準が異なる場合があります。単純なランキングとして比較するのではなく、参考値として確認しましょう。
女性管理職比率が高い業界・低い業界
令和7年度雇用均等基本調査では、「課長相当職以上(役員を含む)」の女性割合が最も高い産業は医療・福祉の53.6%でした。
続いて、
- 教育・学習支援業:21.3%
- 生活関連サービス業・娯楽業:20.1%
- サービス業(他に分類されないもの):19.5%
- 宿泊業・飲食サービス業:19.1%
などが比較的高い水準です。
一方、
- 電気・ガス・熱供給・水道業:5.6%
- 鉱業・採石業・砂利採取業:8.7%
- 建設業:9.1%
- 運輸業・郵便業:9.4%
- 製造業:9.7%
などは相対的に低くなっています。
業界による差が大きい理由の一つは、そもそもの女性従業員比率です。
女性従業員そのものが少ない業界では、管理職候補となる女性の母集団も小さくなります。そのため、短期間で管理職比率だけを高めるのではなく、採用から定着・育成まで長期的に改善する必要があります。
女性管理職比率が高い・向上している企業例
各社が公表している数値を見ると、全国平均を上回る企業もあります。
| 企業 | 公表されている女性管理職比率等 |
|---|---|
| 第四北越銀行 | 26.8%(2026年3月期・代理級以上) |
| イオンモール | 23.7%(2024年度) |
| 丸井グループ | 23.3%(2026年3月現在) |
| サン太陽 | 管理職9人のうち女性4人 |
| 勇心酒造 | 管理職17人のうち女性4人 |
ただし、第四北越銀行は「代理級以上」の独自基準を用いているなど、企業によって管理職の範囲は異なります。
企業間で数値だけを比較するのではなく、「どのような人材を管理職に含めているか」「どのような施策によって比率を高めているか」まで確認することが大切です。
具体的な企業の取り組みは、後述する「女性管理職比率の向上に取り組む企業事例6選」で詳しく紹介します。
なぜ日本は女性管理職が少ない?5つの理由
日本では女性の就業率が高まっている一方、管理職に占める女性割合は依然として低い状況です。
その背景には、女性本人の意欲だけでは説明できない、採用・配置・評価・働き方など複数の構造的要因があります。
主な理由は以下の5つです。
①アンコンシャス・バイアスや固定的な役割意識
女性管理職が少ない理由の一つに、性別に対する固定的な役割意識があります。
たとえば、
- 育児中の女性には負担の大きい仕事を任せない方がよい
- 女性は転勤を希望しないだろう
- 営業や現場の管理職は男性の方が向いている
- 女性はリーダーよりサポート役が向いている
といった無意識の思い込みです。
このようなアンコンシャス・バイアスによって、本人が希望しているにもかかわらず重要な仕事やプロジェクトを任されなければ、管理職に必要な経験を積む機会が減ります。
「配慮」のつもりで女性社員へ経験を与えないことが、結果として将来の管理職候補を減らしてしまう場合があります。
②長時間労働を前提とした管理職の働き方
管理職になると、長時間労働や休日対応が増えるというイメージが強い企業では、管理職を希望する社員が増えにくくなります。
特に育児・介護など家庭での責任を多く担っている社員にとって、時間的制約の大きい管理職は選びにくいキャリアとなります。
たとえば、
- 管理職だけ残業時間が長い
- 夕方以降の会議が多い
- プレイングマネージャーとして大量の実務を抱えている
- 部下が休んだ場合は管理職がすべてカバーする
- 場所や時間を選べる働き方ができない
といった状態です。
これは女性だけの問題ではありません。
女性管理職を増やすには、「女性が現在の管理職像に合わせる」のではなく、管理職そのものを持続可能な働き方へ変える視点も必要です。
③女性管理職のロールモデルが少ない
身近に女性管理職がいなければ、若手・中堅社員は「管理職になった後の働き方」をイメージしにくくなります。
特に、
- 育児と管理職を両立している人がいない
- 同じ職種の女性管理職がいない
- 相談できる先輩社員がいない
といった企業では、管理職に対する心理的なハードルが高くなる可能性があります。
ロールモデルは、一人の理想的な女性管理職を作ることではありません。
さまざまな働き方やキャリアを持つ管理職の事例を示し、社員自身が参考にできる選択肢を増やすことが重要です。
④評価・昇進基準が不透明
管理職への昇進基準が不明確な企業では、評価者の主観や過去の慣習が入りやすくなります。
たとえば、
- 長時間働いている
- 転勤に対応できる
- 上司との非公式なコミュニケーションが多い
- 積極的に自己アピールする
といった、本来の成果や能力とは異なる要素が昇進に影響する場合があります。
これでは、育児・介護などで働く時間や場所に制約がある社員が不利になりかねません。
必要なスキル、経験、成果を明確にし、誰が見ても分かる昇進基準を整備する必要があります。
⑤管理職候補を育てる機会・経験が不足している
女性社員を対象とした研修を実施するだけでは、管理職候補は十分に育ちません。
管理職になる前には、
- チームをまとめる
- 部下を育成する
- 予算を管理する
- 重要顧客を担当する
- 部門横断プロジェクトを推進する
- 経営層へ提案する
といった実務経験も必要です。
女性社員だけ重要なプロジェクトやライン業務への配置経験が少なければ、昇進候補を選ぶ段階で「経験不足」と判断されてしまいます。
女性管理職を増やすには、登用直前の研修だけでなく、数年前から管理職候補となる人材へ必要な経験を計画的に与えることが重要です。
女性管理職比率を高めるメリットと注意点
女性管理職比率を高めることは、法対応や目標達成だけが目的ではありません。
多様な人材が能力を発揮し、意思決定に参加できる組織を作ることは、人材確保や企業競争力にも関係します。
一方、数値目標だけを優先すると、かえって現場の納得感を損なう可能性があるため注意が必要です。
女性管理職比率を高める4つのメリット
主なメリットは、以下の4つです。
①意思決定に多様な視点を取り入れやすくなる
同じような属性・経験を持つ管理職だけで意思決定すると、顧客や社員の多様なニーズを捉えきれない場合があります。
性別に限らず、多様な経験を持つ人材が管理職へ登用されることで、議論の視点を広げやすくなります。
②優秀な人材の採用・定着につながる
女性社員が実際に管理職として活躍していれば、若手・中堅社員も将来のキャリアをイメージしやすくなります。
また、育児・介護との両立支援や柔軟な働き方を整備することは、女性だけでなく多くの社員の定着にもつながります。
③企業イメージ・採用ブランドの向上につながる
求職者が企業を選ぶ際、働き方やキャリア形成の実績を見るケースもあります。
女性管理職比率や男女間賃金差異などを公表し、改善に向けた取り組みも説明できれば、長期的に働ける会社か判断する材料となります。
④人的資本経営・ESGへの対応につながる
女性管理職比率は、多様な人材を意思決定層へ登用できているかを見る指標の一つです。
投資家や取引先などへの人的資本情報の開示においても、現在の比率だけでなく、目標値や改善施策を示すことが重要になっています。
比率だけを追う「数合わせ」にならないよう注意する
女性管理職比率を高める際に注意したいのが、数値目標だけを優先することです。
「2030年までに○%にする」という目標を達成するためだけに、十分な経験や支援がない状態で管理職へ登用すると、本人へ過度な負担がかかる可能性があります。
また、周囲から「女性だから昇進した」と受け取られれば、本人の能力や実績まで正当に評価されにくくなります。
重要なのは、女性を優先的に管理職へ登用することそのものではありません。
性別によって本来得られるはずだった経験や昇進機会が失われていないかを確認し、誰もが公平に管理職を目指せる仕組みを作った結果として、女性管理職比率を高めていくことが重要です。
女性管理職比率を高める6つの取り組み
女性管理職比率を高めるには、女性向け研修だけを実施しても十分ではありません。
採用から配置、評価、育成、働き方まで一連のキャリア形成プロセスを確認し、「どこで女性管理職候補が減っているのか」を特定することが重要です。
ここでは、企業が取り組みたい6つの施策を紹介します。
①管理職候補となる女性人材の母集団を増やす
管理職候補を増やすには、その前提となる女性社員の母集団形成が必要です。
特に女性従業員比率が低い職種・部門では、数年後に管理職へ登用できる人材も少なくなります。
採用段階では、
- 新卒・中途採用における男女別応募数・採用数を確認する
- 女性応募者が少ない職種を特定する
- 求人票や採用サイトの表現を見直す
- 実際に働く女性社員・管理職のキャリアを紹介する
- 採用担当者・面接官へアンコンシャス・バイアス研修を行う
などが有効です。
採用人数だけでなく、入社後の配置先や定着率まで追いかけましょう。
②評価・昇進基準を明確にする
管理職へ昇進するために必要な条件を明確にします。
たとえば、
- 必要な業務経験
- 必要なスキル
- 成果水準
- マネジメント経験
- コンピテンシー
などです。
また、男女別に昇進候補への推薦率や昇進率を確認することも重要です。
女性社員が候補者として推薦される割合だけ極端に低い場合、評価者の判断や配置経験に偏りがないか分析する必要があります。
③管理職の働き方と両立支援制度を見直す
育児休業や短時間勤務制度を作るだけでなく、実際に利用してもキャリア形成へ影響しにくい仕組みを整えます。
たとえば、
- フレックスタイム
- テレワーク
- 時間単位の有給休暇
- 育児・介護休業からの復職支援
- 休職者の代替要員確保
- 管理職の業務量削減
- 会議時間の見直し
- 業務の属人化解消
などです。
特に、制度利用者の仕事を周囲が無理に抱え込む状態になると、両立支援制度への不満につながります。
「制度があるか」ではなく、「制度を利用しながら管理職を目指せるか」という視点で見直しましょう。
④リーダー研修・マネジメント経験を計画的に提供する
管理職候補者へは、研修だけでなく実務経験も計画的に提供します。
たとえば、
- プロジェクトリーダーを任せる
- 後輩社員の育成を任せる
- 部門横断プロジェクトへ参加させる
- 予算・KPI管理を経験させる
- 重要顧客や新規事業を担当させる
- 経営会議などで提案する機会を設ける
といった方法です。
数年後に管理職へ登用したい人材から逆算し、必要な経験を計画的に積ませましょう。
⑤ロールモデル・メンター・スポンサーを設ける
女性管理職が少ない企業では、社内だけでロールモデルを見つけることが難しい場合があります。
そのため、メンター制度や社外ネットワークを活用する方法があります。
メンターは、キャリアに関する相談や助言を行う役割です。
一方、スポンサーは、本人の能力や実績を理解し、重要なポジションや挑戦機会への推薦などを後押しする役割を担います。
女性社員本人にだけ「管理職を目指してください」と求めるのではなく、上司・経営層が成長機会を提供する仕組みも必要です。
⑥自社育成・中途採用・外部人材を使い分ける
女性管理職を増やす方法は、自社社員の育成だけではありません。
| 方法 | 特徴 | 向いている企業 |
|---|---|---|
| 自社育成 | 既存社員を中長期で管理職候補へ育成する | 管理職候補となる女性社員が一定数いる |
| 中途採用 | 管理職経験者を外部から採用する | 社内の候補者層が薄く、比較的早く管理職層を補強したい |
| 外部プロ人材 | 制度設計・育成・組織改革などの専門家を活用する | 女性活躍推進の知見や推進人材が社内に不足している |
自社育成は組織理解の深い人材を登用できる一方、成果が出るまでに時間がかかります。
中途採用は比較的早く経験者を確保できますが、管理職経験を持つ女性人材の採用競争は激しくなります。
また、自社で制度改革や育成施策を設計するノウハウが不足している場合は、外部のプロ人材を活用し、仕組みづくりから支援してもらう方法もあります。
女性管理職比率の向上に取り組む企業事例6選
女性管理職比率を高めている企業では、単に数値目標を設定するだけでなく、働き方や評価、人材育成、意識改革など複数の施策を組み合わせています。
ここでは、女性活躍推進に取り組む6社の事例を紹介します。
【不動産・小売】イオンモール株式会社|育成と働き続けられる環境を両輪で整備
イオンモール株式会社では、女性管理職の育成だけでなく、ライフステージが変化しても働き続けられる環境整備を進めています。
主な取り組みとして、
- 管理職研修・マネジメント研修
- キャリア形成や専門知識習得の支援
- キャリアプランの相談機会
- 事業所内保育施設
- 週休3日制度
などがあります。
同社の女性管理職比率は2024年度時点で23.7%です。
過去には2019年度末17.4%、2023年度末22.6%と推移しており、中長期で管理職登用を進めています。
管理職候補者本人への育成だけでなく、働き続けられる制度や上司の支援まで組み合わせることが重要だと分かる事例です。
【製造業】勇心酒造株式会社|性別にかかわらない採用・登用を継続
勇心酒造株式会社では、性別にかかわらず本人の能力を見ながら採用・登用を進めてきました。
もともとは日本酒造りを中心とする企業でしたが、米の発酵技術を活用した化粧品などへ事業を拡大する過程で、女性社員の意見や研究開発力が事業にも活かされてきました。
また、
- 育児休業を利用しやすい環境づくり
- 研究業務を効率化する設備投資
- 個々の就業状況を考慮した目標管理
- 社外研修などを活用した能力開発
などにも取り組んでいます。
2026年4月に取得された職場情報では、正社員に占める女性割合は53.0%、管理職17人のうち女性は4人となっています。
製造業では女性社員の母集団が小さくなりやすい企業もありますが、採用から定着、育成、登用まで継続して取り組むことで、女性管理職候補を増やせることを示す事例です。
【金融業】株式会社第四北越銀行|管理職候補から経営層まで段階的に育成
第四北越銀行では、女性管理職候補を育成する「女性活躍推進プログラム」などを通じて、計画的な登用を進めています。
さらに、
- アンコンシャス・バイアス研修
- 頭取による管理職向け説明会
- 経営陣と職員との対話交流会
- 法人営業などへの女性社員の配置拡大
- 女性取締役候補を対象とした育成
にも取り組んでいます。
第四北越銀行の独自基準である「代理級以上」の女性管理職比率は、2024年3月期26.0%、2025年3月期26.3%、2026年3月期には26.8%へ上昇しました。
また、2026年3月には、新潟県の「多様で柔軟な働き方・女性活躍実践企業認定制度」で知事賞を受賞しています。
一般社員から管理職、さらに経営層までつながる人材パイプラインを構築している点が参考になります。
【医療・福祉】株式会社サン太陽|女性がキャリアアップできる仕組みを整備
株式会社サン太陽は、介護事業を展開する企業です。
厚生労働省の女性活躍・両立支援事例では、
- 業界未経験でも活躍できる体制づくり
- 女性社員のスキルアップ支援
- 女性社員のキャリアアップ支援
- 女性の積極的な管理職登用
などが紹介されています。
2026年5月時点の職場情報では、管理職9人のうち女性が4人、役員4人のうち女性が3人です。
また、女性活躍推進法に基づく「えるぼし」の最高段階である3段階目の認定も取得しています。
女性従業員の多い業界であっても、自然に女性管理職が増えるとは限りません。入社後の育成とキャリアアップの仕組みを作ることが重要だと分かる事例です。
【広告業】株式会社読売エージェンシー|数値目標と柔軟な働き方を組み合わせて推進
株式会社読売エージェンシーでは、女性の積極的な採用・管理職登用や、働きやすい環境づくりを進めています。
2017年に女性活躍推進への取り組みを本格化し、その後、管理職比率や部長職への女性登用について目標を設定しました。
2022年には、女性活躍推進に関する取り組みが特に優良な企業に認定される「プラチナえるぼし」を取得しています。
働き方についても、
- フレックスタイム制
- 在宅勤務
- 時間単位有休
- 産休・育休制度
- 社外研修費用の支援
などを整備しています。
女性管理職の登用だけを単独で進めず、キャリア形成と柔軟な働き方の両面から取り組んでいる点が特徴です。
【卸売・小売】株式会社丸井グループ|独自指標で女性活躍を継続的に可視化
株式会社丸井グループは、女性活躍に関する独自指標として「女性イキイキ指数」を設け、複数のKPIを継続的に公開しています。
2026年3月時点では、
- 女性社員比率:48%
- 女性管理職比率:23.3%
- 女性リーダー比率:41%
- 意思決定層に占める女性割合:22%
- 男性育休取得率:100%
となっています。
特徴的なのは、女性管理職比率だけを見るのではなく、男女の役割分担意識や男性の育児参加、女性の上位職志向なども確認している点です。
「結果としての女性管理職比率」だけでなく、その手前にある社員の意識や働き方まで指標化することで、課題を把握しながら改善を続けています。
女性管理職比率向上のための人事制度・育成支援は「フリーコンサルタント.jp」へご相談ください
女性管理職比率を算出したものの、「何から改善すればよいか分からない」と悩む企業もあるでしょう。
特に、
- 女性管理職比率が業界平均より低い
- 女性従業員は多いが管理職候補が少ない
- 評価・昇進基準を見直したい
- 管理職候補者向けの育成制度を作りたい
- 女性管理職のロールモデルやメンターが少ない
- 経営層・管理職の意識改革を進めたい
- 2026年4月からの公表義務へ継続的に対応する体制を整えたい
といった課題は、単発の研修だけでは解決できない場合があります。
女性管理職比率を高めるには、採用、配置、評価、育成、働き方、組織風土などを総合的に確認し、自社のどこにボトルネックがあるのか特定することが重要です。
フリーコンサルタント.jpでは、人事制度改革や人材育成、ダイバーシティ推進、組織開発などの経験を持つプロフェッショナル人材の活用を支援しています。
社内だけでは課題の特定や施策設計が難しい場合は、外部の専門家を活用して現状分析から制度設計、施策実行まで進める方法もあります。
自社の女性活躍推進や人事制度改革に課題を感じている場合は、ぜひご相談ください。
フリーコンサルタント.jpによる人事制度改革の支援事例
ここでは、フリーコンサルタント.jpによる人事・人材育成領域の支援事例を2つ紹介します。
女性管理職比率を高める取り組みそのものではありませんが、管理職候補の育成や人事機能の強化を外部プロ人材が支援した事例として参考にしてください。
事例①|大手電力会社のリーダー候補育成を支援
大手電力会社では、DX推進室に所属する20代後半〜40代前半のリーダー候補を育成するため、高度なビジネススキルを体系的に身につけられる選抜育成プログラムの実施を検討していました。
しかし、「プロジェクトマネジメント力」「ファシリテーション力」などを体系的に定義し、育成できる人材が社内だけでは不足していました。
そこで、人事・教育領域の知見に加え、コンサルティングファームや事業会社での経験を持つプロ人材が参画しました。
| 当時の課題 | ・DX推進室におけるリーダー候補の育成が必要だった ・高度なビジネススキルを体系化した育成プログラムが必要だった ・人材育成と実務の双方を理解する人材が不足していた ・候補者に継続的に伴走できるメンターが必要だった |
| 実施したこと | ・現状把握とヒアリングを通じ、必要なスキルを整理 ・候補者に合わせた教育プランを策定 ・プロジェクト推進、ドキュメント作成などを伴走支援 ・毎月スキル評価を行い、評価軸と育成方法を継続的に改善 |
その結果、社内では定義が難しかったプロジェクトマネジメント力やファシリテーション力などを言語化でき、リーダー候補を継続的に育成するモデルを構築できました。
女性管理職候補を育成する場合にも、管理職に必要な能力を明確化し、研修・実務経験・評価・メンタリングを組み合わせる考え方は活用できます。
事例②|外資系SaaS企業の採用機能を外部プロ人材が支援
外資系SaaSサービス会社では、社員10名規模から組織拡大を進めていました。
しかし、採用担当者が不在で、CEO自身が採用活動を行っていたため、経営業務や顧客対応へ十分な時間を割けない状態になっていました。
そこで、採用戦略や人材開発の経験を持つプロ人材をアサインしました。
| 当時の課題 | ・採用担当者が不在だった ・採用業務に十分なリソースを割けなかった ・CEOが採用業務を兼任していた ・採用と人事マネジメント双方を理解する人材が必要だった ・外資系企業への理解や英語力も求められていた |
| 実施したこと | ・採用戦略と要員計画を整理 ・選考ステップを最適化 ・面接官・リクルーターを育成 ・スカウト数や面談数などのKPIを設定 ・CEOが担当していた採用業務の一部を切り出した |
その結果、停滞していた採用活動が動き始め、想定以上の面談数を確保できる状態へ改善しました。
また、CEOが採用に使っていた時間を削減し、社内のピープルマネジメントや顧客対応へ集中できる体制を整えています。
女性管理職候補の採用や育成でも、社内リソースが不足している場合は、必要な機能だけを外部プロ人材で補う方法があります。
まとめ
女性管理職比率は、企業の管理職に占める女性の割合を示す指標です。
2026年7月に公表された厚生労働省「令和7年度雇用均等基本調査」では、女性割合は係長相当職20.9%、課長相当職13.2%、部長相当職9.2%となっており、上位の役職ほど女性が少なくなる傾向が続いています。
また、内閣府の第6次男女共同参画基本計画では、2030年までに、
- 係長相当職:33%
- 課長相当職:24%
- 部長相当職:15%
とする目標が設定されています。
2026年4月1日からは、常時雇用する労働者101人以上の企業に女性管理職比率の公表も義務付けられました。
しかし、女性管理職比率への対応を「数値を算出して公開するだけ」で終わらせるべきではありません。
自社の女性管理職比率が低い場合は、採用、配置、評価、育成、働き方のどこで女性のキャリア形成が止まっているのかを確認することが重要です。
そのうえで、管理職候補となる人材の母集団形成、透明な評価制度、管理職の働き方改革、リーダー経験の提供、メンター制度などを組み合わせて改善していきましょう。
また、女性管理職比率という一つの数字だけを目標にするのではなく、男女を問わず、多様な社員が能力を発揮し、希望するキャリアを選択できる組織を作ることが本質的な目的です。
自社だけで課題分析や制度設計、育成施策の実行が難しい場合は、外部のプロ人材を活用することも検討してみてください。
(株式会社みらいワークス Freeconsultant.jp編集部)






