2026.5.27 リリース情報
「日本企業におけるリスキリングの認識とAI影響に関する実態調査2026」を実施
~全社展開は約4割に広がるも、「職種転換型」の認識は1割未満。生成AIの影響で5割以上が施策見直し、推進の最大の壁は「指導者・メンター不足」~
株式会社みらいワークス(本社:東京都港区、代表取締役社長 岡本 祥治、以下「当社」)は、「日本企業におけるリスキリングの認識とAI影響に関する実態調査2026」を実施しましたので、お知らせいたします。

■ 調査概要
調査概要 :「日本企業におけるリスキリングの認識とAI影響に関する実態調査2026」
調査方法 :インターネット調査
調査期間 :2026年3月19日〜22日
有効回答数:400
調査対象 :従業員規模500名以上の企業で、経営企画部、総務部、人事・労務部などに2022年以前から所属し、人材研修や人材開発に関わる会社員(正社員)・会社役員
※構成比は小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計は必ずしも100とはなりません。
≪利用条件≫
・情報の出典元として「株式会社みらいワークス」の名前を明記してください。
・ウェブサイトで使用する場合は、出典元として、下記リンクを設置してください。
URL:https://mirai-works.co.jp/
なお、本調査について、当社が運営する「みらいワークス総合研究所」のコラム「AIの現在地から考える人材開発~生成AI幻滅期に考えるリスキリングとアップスキリング~」(https://mirai-works.co.jp/mwri/column/column-reskilling/)にて詳細解説しております。
■ リスキリングの全社展開は38.3%。特定部門での限定実施を含めると6割以上が進行中
「所属企業では現在、『リスキリング』を行っていますか(実施状況)」(n=400)と質問したところ、「全社施策として、実施している」が38.3%で最多となりました。「特定部門・特定職種などに限定して実施(20.0%)」や「パイロット実施中(6.3%)」を合わせると、64.6%で何らかの形でリスキリングを動かしている実態が明らかになりました。一方で、「過去も含めて実施していない」という回答も16.0%を占めました。

■ 「リスキリング」の政府定義とのギャップ。職種転換を伴う取り組みはわずか9.5%
「所属企業では『リスキリング』をどの範囲の取り組みとして捉えていますか」(n=400)と質問したところ、回答者の61.0%が「職務や役割の転換は前提にしない」取り組みをリスキリングと捉えていることが判明しました。

政府はリスキリングを「成長分野に移動するための学び直し」と表現し(2022年10月 所信表明演説より)、経済産業省は「新しい職業に従事するため、または、現在の職業で必要とされるスキルの大きな変化に適応するために必要なスキルを獲得させること」と定義しました。つまり、本来は「労働移動・職種転換」を前提とした企業主導の取り組みを指していました。
この定義に基づき本調査の選択肢を整理すると、実態は以下の通りとなります。
・既存研修の延長(選択肢①②):61.0%
「職務転換」を前提としない、従来の人事研修やOJTに近い取り組みです。
・個人主導の公募制(選択肢③):20.5%
企業の機会提供に対し、実際に移るかは個人の意思(応募)と選考次第であり、企業主導の転換運用とは設計が異なります。
・政府定義に合致する「学習+転換」(選択肢④):9.5%
転換先を企業が定め、対象者を選び、学習と配置転換を一連の流れとして運用する本来のリスキリングは、1割に満たないのが現状です。
・配置転換後の適応学習(選択肢⑤):7.3%
先に転換を行い、後から学習させる流れです。④と合わせて「職種転換を伴う」層は、計16.8%にとどまります。
2022年以降、「リスキリング」という言葉は普及しましたが、本調査が示すのは、言葉の普及と、その言葉が本来指していた「労働移動を伴う変革」の普及は別物であるという現実です。担当者の大多数は、既存の人事研修の延長線上にある取り組みを「リスキリング」と呼んでいるのが実態です。
■ 習得スキルの約半数は「DXと非DXの両方」。デジタルとビジネススキルの統合が進む
Q1でリスキリング実施中・実施済み・検討中と回答した方(n=321)に「リスキリングで身につけさせようとしている(していた)スキルテーマはどれですか」と質問したところ、「DX関連のスキルとDX関連以外のスキルの両方」という回答が47.0%に達しました。「DX関連のみ(26.5%)」を大きく上回っており、デジタル変革を支えるための土台として、従来のビジネススキルの刷新も同時に求められている状況が伺えます。

■ DX教育の最優先テーマは「生成AIの業務活用」で67.8%。データ分析やAI開発・導入を抑え突出
Q3でDX関連のリスキリングを行っていると回答した方(n=236)に「DX関連の中で、重点テーマはどれですか」と質問したところ、「生成AIの業務活用(適用・定着、ユースケース設計、業務再設計)」が67.8%と、2位の「データ分析・データサイエンス(44.9%)」を大きく上回りました。AIを「使いこなす」ことへの教育需要が高くなっています。

■ 非DX領域では「マネジメント」が33.3%で最多。次いで「経営戦略」「マーケティング」が続く
Q3で非DX関連のリスキリングを行っていると回答した方(n=225)に「DX関連以外で、リスキリングの重点テーマはどれですか」と質問したところ、「マネジメント・リーダーシップ」が33.3%で最も多くなりました。以下、「経営・事業戦略(30.2%)」、「マーケティング(27.6%)」、「新規事業・事業開発(27.6%)」が横並びで続いています。

■ リスキリング開始時期は「2023年(15.0%)」がピーク。コロナ禍以降の加速が鮮明に
Q1でリスキリング実施中・実施済み・検討中と回答した方(n=321)に「リスキリングを最初に立ち上げた時期はいつですか」と質問したところ、2023年が15.0%、次いで2019年以前が14.0%、2022年が12.1%となりました。

■ 生成AIの影響で「カリキュラム更新が必要」と回答した企業が37.1%。見直しが必要な層を含めると半数以上に影響
Q1でリスキリング実施中・実施済み・検討中と回答した方(n=321)に「生成AIの登場・普及(2022年11月以降)は、貴社のリスキリング(またはその検討・方針)に影響を与えましたか」と質問したところ、「影響があり、育成テーマ・カリキュラムの更新が必要となった」が37.1%で最多となりました。「影響が大きく、目的や制度設計の見直しが必要となった(17.4%)」と合わせると、AIの影響で5割以上が所属企業の施策の変更を迫られています。

■ 生成AIによる最大の影響は「必要スキル・役割の変化」で48.0%。職務内容の再定義も4割に迫る
Q7でAIの影響があったと回答した方(n=252)に「生成AI普及の影響の内容として当てはまるものは何ですか」と質問したところ、「AI活用を前提に業務プロセス再設計が必要となり、必要スキル・役割が変わった」が48.0%で最多となりました。また、「将来必要な職務・役割(ターゲット像)の再定義が必要となった」も38.9%に達しており、単なるツール導入にとどまらない、組織としてのルールや役割の抜本的な見直しが進行しています。

■ 生成AIを踏まえた施策変更、約半数が「実施済み」。29.0%が一部試行から開始
Q1でリスキリング実施中・実施済み・検討中と回答した方(n=321)に「生成AI普及を踏まえ、貴社のリスキリング(またはその検討・方針)を変更しましたか」と質問したところ、「変更済み(一部で反映・試行中)」が29.0%で最多となりました。「全社の標準として反映済み(19.9%)」を合わせると、すでに約半数の企業が具体的なアクションを起こしています。

■ 変更内容のトップは「スキルテーマの見直し(50.0%)」。ターゲット職務の変更も4割超
Q9で施策を変更する・決定済みと回答した方(n=202)に「具体的に何を変更しましたか」と質問したところ、「スキルテーマ(DX/非DXの比重や重点領域)」が50.0%でトップとなりました。次いで「ターゲット職務・役割(43.1%)」、「リスキリングの目的(38.6%)」となっており、AI普及に伴い「何を学ぶべきか」「何を目的とするか」という教育の核心部分が変化していることが浮き彫りになりました。

■ 施策変更ができない理由は「人員・予算不足」が32.6%。現場運用の遅れも課題に
Q9で施策の変更をしていない/未決定と回答した方(n=95)に「変更していない(または決めきれていない)主因は何ですか」と質問したところ、「人員・予算不足であり、変更に着手できていない」が32.6%で最多となりました。また、「生成AIガバナンス/セキュリティー/法務の整理が追いつかず、変更できていない(28.4%)」や「現場運用(OJT、受け皿、上司関与)が追いつかず、変更しても回せない(23.2%)」など、内部体制の未整備がブレーキとなっています。

■ 施策要素は「学習機会の提供」が58.6%で最多。4割が「スキルの可視化」を導入
Q1でリスキリング実施中・実施済み・検討中と回答した方(n=321)に「リスキリング施策(または設計中の案)に、制度・運用として組み込んでいる(いた)要素は何ですか」と質問したところ、「研修・eラーニング等の学習機会の提供」が58.6%で最多でした。続いて「スキルの可視化がある(スキル標準、スキル診断、アセスメント等)」が多く、個人が持つスキルをデータで把握しようとする企業の意欲が伺えます。

■ 今後の方針は「中規模改善・強化」が24.6%。抜本的な再設計を予定する企業は1割強
Q1でリスキリング実施中・実施済み・検討中と回答した方(n=321)に「今後12~24カ月の方針として最も近いものはどれですか」と質問したところ、「中規模改善(業務適用やKPI、ガバナンス強化)」が24.6%でトップとなりました。「現状維持(21.2%)」や「小幅改善(20.6%)」が続く中で、所属企業では「抜本的再設計(11.8%)」や「規模拡大(10.0%)」を予定するという回答も一定数存在しています。

■ リスキリング推進の壁は「指導者・メンター不足」が25.9%で最多。時間不足も慢性的な課題
Q1でリスキリング実施中・実施済み・検討中と回答した方(n=321)に「リスキリングを推進するうえでの最大の阻害要因は何ですか」と質問したところ、「指導者・メンターが不足している」が25.9%で最多となりました。次いで「人材・スキルデータが整備されていない(24.3%)」、「学習・業務適用の時間が確保できない(21.5%)」が続いており、生成AI普及という環境変化の中、「リソース確保」が喫緊の課題となっています。

■ まとめ
従業員規模500名以上の企業で経営企画部、総務部、人事・労務部などに2022年以前から所属し、人材研修や人材開発に関わる会社員(正社員)・会社役員400名に、「日本企業におけるリスキリングの認識とAI影響に関する実態調査2026」を行いました。本調査の結果、日本企業における「リスキリング」は、生成AIの普及という「外部環境の変化」によって、新たな局面を迎えていることが明らかになりました。
●「言葉」の普及と「実態」の隔たり:職種転換へのハードル
現在、回答者の所属企業の6割以上がリスキリングを実施していますが、その定義については、61.0%が「職務や役割の転換は前提にしない」従来の研修の延長として捉えています。所属企業において、政府が本来意図していた「労働移動・職種転換を伴うリスキリング」を実践しているという回答は9.5%にとどまり、言葉の普及に対して、構造改革としてのリスキリングは依然として途上にあります。
●生成AIがリスキリングの「前提」を書き換える
生成AIの普及は、リスキリングのカリキュラムに決定的な影響を与えています。DX領域のリスキリングの重点テーマとして「生成AIの業務活用」を挙げる企業は67.8%に達し、突出した優先事項となっています。また、リスキリング施策においてAI普及の影響を受けた企業の48.0%が「業務プロセスの再設計」の必要性を、38.9%が「ターゲット職務の再定義」の必要性を感じています。
AIはもはや特定の専門スキルではなく、全てのビジネスパーソンが装備すべき「新時代のOS(基本リテラシー)」となり、人間が担うべき「役割」そのものを変容させていることを示しています。
●「リソース不足」と「データ未整備」が変革のブレーキ
今後の12~24カ月で、回答者の所属企業ではリスキリング施策の「中規模改善(24.6%)」へとかじを切っています。一方で、施策変更に着手できない最大の理由は「人員・予算の不足(32.6%)」です。
また、リスキリング推進上の最大の障壁として「指導者・メンターの不足(25.9%)」、次いで「人材・スキルデータの未整備(24.3%)」が挙げられました。外部環境の変化スピードに対し、社内の教育体制とデータ基盤の整備が追いついていない現状が浮き彫りとなりました。
● 未来への展望:外部知見との融合も視野に
今回の調査から、企業におけるリスキリングは単に「新しいツールを教える」段階を過ぎ、AIとの共存を前提とした「職務や役割の再定義」という、より本質的な組織変革フェーズに入ったと言えます。
自社内のリソースを把握し、指導者・メンターとして「外部プロフェッショナル人材」による伴走支援などを取り入れながら、「職務再定義」に向き合えるかどうかが、企業の持続的成長を左右する岐路となるのではないでしょうか。
プレスリリースに関するお問い合わせ先(報道機関窓口)
株式会社みらいワークス 広報
電話 :03-5860-1835
mail :pr@mirai-works.co.jp
※リリースのPDF版はこちら