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最終更新日:2024.10.03
DX/最新技術

DX人材育成事例を紹介!人材育成プログラムやメリットも解説!

近年、DX(デジタルトランスフォーメーション)がビジネスに与える影響が大きくなっています。
しかし、それを支える「DX人材」の不足は深刻な経営課題です。そのため、企業は従業員をDX人材として育成する取り組みが欠かせません。

この記事では、 DX人材を育成するメリットや、育成プログラムのステップを解説します。
また、企業の育成事例と、DX人材育成で使える補助金も紹介します。

この記事を最後まで読んで、DX人材の育成を成功させましょう。

こんな人におすすめ

  • 自社の競争力を高めるためにDX人材の育成が不可欠だと感じている経営者や管理層
  • 企業内でDXを推進したい方
  • 企業内でDXを推進したい方

1.DX人材とは?

DX人材とは、デジタル技術を駆使して、ビジネスの変革を推進するために必要なスキルや知識を持つ人材を指します。

経済産業省によると、DX人材には、AIやビッグデータ・クラウド技術に精通し、ビジネス戦略とデジタル技術を結びつける能力が求められます。

また、変化の激しいデジタル環境に対応できる柔軟性や、組織全体を巻き込むリーダーシップも重要です。
DX人材は、企業の競争力を高め、持続的な成長を実現するために欠かせない存在と言えるでしょう。

2.DX人材不足の現状

日本企業におけるDX人材の不足は深刻な課題です。
DX推進が遅れている背景には、デジタル技術の知識やリテラシーの不足、そしてアナログな文化や価値観が根強く残っていることが挙げられます。

経済産業省のデータによると、2030年には先端IT人材が最大で約79万人も不足すると予測されています。

総務省が実施した2021年「我が国におけるデジタル化の取組状況」の調査では、約6割の企業が取り組めていません。

一方、大企業では約4割、中小企業では約7割がデジタル化へ向けて取り組んでいるのがわかります。

業種別では、情報通信業が約45%、サービス業等は約16%に留まっています。

参考:総務省令和3年我が国におけるデジタル化の取組状況

3.DX人材育成するメリットとは

外部からの採用や依頼に頼らず、社内でDX人材を育てるメリットは以下の3つです。
それぞれのメリットについて詳しく見ていきましょう。

リスキリング環境が整う

DX人材の社内育成は、リスキリング環境の整備に重要な役割を果たします。
リスキリング(Reskilling)とは、従業員が新たなスキルを学び直すことで、特にデジタル技術に対応できる力を身に付けることが重要です。

デジタルスキルを持つ人材を育てなければ、変化の激しいビジネス環境に対応できません。
既存の従業員にリスキリングを導入し、外部採用のコストや時間を抑えながら、持続的な成長を促しましょう。

リスキリング環境が整うと、DX人材を育てる強固な基盤が形成できます。

自社に最適なDX化の実現

社内でDX人材育成を行うと、自社業務やシステムに最適化されたDX推進が可能です。
外部のDX人材では、事業内容や既存システムの理解に時間がかかり、効果的なDXが進みません。

一方、自社で育てたDX人材は社内の状況や課題を熟知しているため、最適な解決策をすぐに見つけられます。
自社にとって最も効果的なDX化が実現し、競争力向上に大きく役立つでしょう。

一貫性のある社内システムの構築

社内で育成されたDX人材がプロジェクトを主導すると、企画から運用までの全過程で一貫性のある社内システムの構築が可能です。

DXを外部に依頼すると、システム開発や運用面において一貫性がなくなります。
なぜなら、外部ベンダーの技術力や理解度に依存するため、既存システムとの互換性が欠如してしまうからです。

社内で育成されたDX人材は、一貫性のある安定したシステムの構築ができるため、長期的なDXの成功につながります。

4.DX人材育成プログラム5つのステップ

社内でDX人材を育成するには、プログラムに沿って順番通りに進める必要があります。
ここからは5つのステップを詳しく解説します。

  1. DX向きの人材を選出する
  2. スキルやマインドセットを座学で学ぶ
  3. 実務でスキルを身につける
  4. 社内・社外でネットワークを構築する
  5. DX推進経験が豊富な外部プロ人材を活用する

DX向きの人材を選出する

DX人材育成の最初のステップは、DX向きの人材の選出です。まず自社に求められるDX人材のイメージを明確にし、各社員のスキルや強みを可視化していきます。

デジタル技術に精通し、業務の課題を理解している人材を選びましょう。部署や役職にとらわれず、幅広い候補者の中から選定することが重要です。

さらに、DXをリードする人材には技術力だけでなく、コミュニケーション能力やチームをまとめる力が求められます。選ばれた人材が自信を持って取り組めるよう、サポート体制も整備するといいでしょう。

スキルやマインドセットを座学で学ぶ

選出された人材がDXを推進するためには、座学での学習が欠かせません。座学やeラーニング、セミナーを通じてデジタル技術の基本的な知識を学びます。
従業員のITデジタルの知識の底上げには、国家資格のITパスポート試験もおすすめです。

さらに、技術面だけでなく、問題解決やリーダーシップといったマインドセットの習得も必要です。単に技術を習得するだけでなく、問題への取り組み方や解決方法も身につけます。

最終的には、学んだ内容を定期的に評価し、習熟度を確認する仕組みを整え、学びが実務に直結するようなプログラムが望ましいでしょう。

実務でスキルを身につける

次は、座学で学んだ知識を実際の業務に活かすOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)を取り入れ、スキルを実際のプロジェクトで活用する機会を設けます。

最初は小規模なプロジェクトから始め、徐々に難易度を上げることで、スムーズにスキルを実践に移せるようになるでしょう。

実際の業務で課題に直面することで、学んだ知識を活かし、問題解決力やプロジェクト推進力の強化に結び付きます。

実務でスキルと自信を同時に身につけると、より大規模なDXプロジェクトへ進むことができます。

社内・社外でネットワークを構築する

DXを成功させるためには、社内外でのネットワーク構築が欠かせません。
社内の知識やリソースを最大限に活用するだけでなく、外部の講座や研修やセミナーを積極的に活用します。

DX人材育成には、最新の技術や情報を習得し続けることが重要です。
また、社外のDX人材や専門家と交流することで、新たな視点やアイデアを取り入れられるでしょう。

交流でDXに関する知識やスキルがさらに深まり、企業全体で効果的にDXを進めるための強力なネットワークが形成されます。

社内外のネットワークを広げることで、困難な課題にも柔軟に対応できる力を育てられるでしょう。

DX推進経験が豊富な外部プロ人材を活用する

DX人材育成プログラムの一環として、DX推進経験が豊富な外部プロ人材を活用することは非常に効果的です。

プロ人材を活用するメリットとして、まず第一に即戦力としての効果があります。
なぜなら既に多くのプロジェクトを通じて経験を積んでいるため、スムーズにプロジェクトを進行でき、内製化に比べて迅速な結果が期待できます。

第二に、社内のスキル向上にも寄与します。
外部からの知見やノウハウがもたらされることで、従業員が新しい技術や手法を学び、内製化に向けた土壌を作りたければ、その威力を発揮するでしょう。
内製化に向けて外部から優秀な人材を投入し、その後蓄積したナレッジから社員が自走していく、といったやり方が一般的です。

さらに、コスト効率の面でも有利で、特定の期間のみの採用も可能なため、長期的な人件費の負担を軽減できるといった魅力も多いのが、プロ人材活用です。

4.DX人材育成事例3選

ここからは、DX人材育成に成功している事例を3つ紹介します。DX人材育成の参考にしてください。

日本ガイシ

日本ガイシはDX推進統括部を設立し、社員一人ひとりの業務とデジタル技術を結びつけ、業務変革を進めています。

アナログ的なモノづくりの技術やノウハウをデータ化し、品質と生産効率の向上を実現するための取り組みを開始しました。

同社のDXの目標は、既存プロセスの改善に留まらず、新たな製品やビジネスモデルの創出を見据えています。

さらに、2030年までに1000人規模のDX人材を育成する計画を立て、選抜された社員が一年間業務から離れ、データ分析を学ぶ社内留学制度も導入しました。

また、新入社員には入社後1年間eラーニングでITスキルを習得させ、階層別にDX推進プログラムを展開しています。

この取り組みで、日本ガイシは2030年までにデータとデジタル技術が日常的に活用される企業へと変革し、カーボンニュートラルとデジタル社会へ貢献しています。

キリンホールディングス

キリンホールディングスは、DX推進に本格的に取り組むためにDX戦略推進室を設立し、組織全体での変革を進めました。

特に2024年までに1500人のDX人材を育成する「DX道場」を開設し、従業員に必要なスキルと知識を提供する教育プログラムを展開しています。

「DX道場」は、ビデオ会議を通じて実施され、他社のDX事例やデータサイエンスの基礎、顧客データの分析手法の習得が可能です。

さらに、従業員が自発的に参加する「DXチャレンジ」では、デジタル技術を活用して現場の課題を解決するアイデアを募集し、実際の業務へと反映しています。

キリンホールディングスは、全社的な変革を通じて、未来に向けた新たな価値創造と持続的な競争力の強化を目指しています。

参考:キリンHD:DX人材育成プログラム「DX道場」のプログラム概要

キヤノン

キヤノンは、DX人材の育成において就業時間を活用した半年間の専門教育プログラムを導入しました。

14系統190講座のプログラムがあり、プログラミング言語やセキュリティ・統計・解析・代数などの基礎知識を学べ、幅広い人材の職種転換を後押ししています。

グローバル人材の育成にも力を入れており、国際出向制度を活用し、2023年末時点で1,073人が国際出向を経験しました。
特に、欧米向けやアジア向けのプログラムを通じて、幹部候補を育成しています。

さらに、2021年より全職種を対象とし、IT基礎知識を学ぶITリテラシー向上研修を実施。2023年からは、より実践的なDXの理解を目的としたDXリテラシー研修を開始し、初年度は4,000人が受講しました。

また年3回、全職員対象の上司と部下の定期面接制度では、成果の達成と行動の改善に向けた助言と指導を行い、育成計画として活用しています。

これらの制度と研修を通じて、キヤノンはデジタル時代の競争力を高め、グローバル市場での優位性を確立しています。

5.DX人材育成には補助金を利用しよう

DX人材育成のスムーズな導入や運用を進めるうえで、各種助成金や補助金の活用は費用負担の軽減には欠かせません。

IT導入補助金は、主に中小企業がDX推進の初期段階で活用しやすい制度で、ITツールやソフトウェアの導入を支援します。

ものづくり補助金は、製造業やサービス業が対象で、生産性向上を目的とした設備投資を行う際に利用されます。

一方、事業再構築補助金は、企業が新たなビジネスモデルや事業分野に進出する際に活用され、最大7,000万円の支援が受けられるため、企業の大規模な転換期に特に有効です。

さらに、人材開発支援助成金やキャリアアップ助成金は、人材育成や非正規労働者の処遇改善に対応しており、企業が競争力を高めるための人材戦略に役立つでしょう。

助成金・補助金名 補助金額・助成率 概要
IT導入補助金 最大450万円 DX推進のためのITツールや
ソフトウェアの導入を支援
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 最大1,250万円 中小企業の生産性向上や設備投資を支援
事業再構築補助金 最大7,000万円 新分野展開や事業転換を支援
小規模事業者
持続化補助金
最大50万円 小規模事業者の販路開拓や業務効率化を支援
人材開発支援助成金 最大75% 職務関連訓練やデジタル人材育成を支援
キャリアアップ助成金 コースにより異なる 非正規労働者の正社員化や処遇改善を支援
人材確保等支援助成金
(テレワークコース)
最大30% テレワーク環境整備を支援

6.まとめ

DX人材は、企業の競争力を高め、持続的な成長を実現するために欠かせない存在です。
社内でDX人材を育成することで、リスキリング環境が整い、既存の業務に最適化されたDX化が可能です。

さらに、一貫性のあるシステム構築が可能となり、外部のリソースに依存せず、自社の課題に即した解決策を迅速に実行できるでしょう。

この記事では、DX人材育成事例3選を紹介しましたが、さらにDX人材育成について学びたい方は、下記の講座をご視聴ください。

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(株式会社みらいワークス Freeconsultant.jp編集部)

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