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最終更新日:2024.08.26
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キングダムの天才軍師は現代ビジネスにも必要な存在だった!?

キングダムの天才軍師は現代ビジネスにも必要な存在だった!?

幅広い層に圧倒的な人気を誇る漫画キングダムですが、そんなキングダムの醍醐味はなんといっても戦場での戦いでしょう。

戦に挑む軍の中でも様々な役職のメンバーがおり、多くのキャラクターが登場します。
キャラクターごとの背景や心情描写も細かく描かれており、感情移入しやすいこともキングダムが人気な一因ではないでしょうか。

その中で皆さまの好きなキャラクターは誰でしょうか?

回答は人それぞれだと思いますが、好きなキャラクターの役職で言うと“軍師”の方も多いと思います。軍師とは、戦の戦況を見ながら自陣の陣形や相手の攻めどころを定める戦略家であり、戦術家です。スポーツでたとえるとヘッドコーチのような役割を担っています。

戦において軍師が果たすべき役割は、時に自陣の大将よりも大きい場面もあります。
それは大将は戦の局面によっては、戦禍に巻き込まれてしまい、視野が狭くなってしまう場合があるからです。比べて軍師は常に戦を俯瞰で見ていなければならないポジションであり、より冷静な判断を求められ、それができなければ自陣の敗北を意味してしまいます。

これは、ビジネスでも全く同じ場面があるでしょう。
たとえば、企業やプロジェクトにおけるリーダーが、急激な外部環境の変化についていけず、冷静な判断ができないような局面において、軍師のように大局を見渡している役割のメンバーが居なければ、組織として全く機能しなくなってしまうなんてこともあります。

そこで今回は、キングダムにおける軍師の重要性をひも解いていき、現代ビジネスにも非常に重要な存在であることについて解説していきます。

※本コラムは原作の一部ネタバレを含みますのでご了承ください。




1.キングダムとは?

キングダムとは、「週刊ヤングジャンプ(集英社)」にて、2006年から連載中の人気漫画です。単行本も2024年7月時点で72巻まで発売されており、アニメ化、実写映画化されている超人気作品です。

物語の舞台は、古代中国の春秋戦国時代です。
後に初めて中華を統一し、始皇帝と呼ばれることとなる秦国大王の嬴政(えいせい 以下政)と、王に仕える武将である李信(りしん 以下信)のダブル主人公の物語です。

※詳細は『キングダムの合従軍から学ぶビジネス停滞時の打開策』をご覧ください

キングダムの一番の魅力はキャラクターの多様性でしょう。
様々な背景があるメンバーがそれぞれの正義をもとに戦うシーンが多く、敵味方関係なく感情移入してしまう場面があるのではないでしょうか。

また、多様なキャラクター性だけではなく、キングダムには多様な役割が存在します。
戦場だけに限っても、何万人、何十万人からなる軍全体の指揮を執る総大将から、伍(ご)と呼ばれる5人一組の歩兵隊までと非常に幅広い役割が存在します。

そんな中、自身は戦禍に加わらずに戦局を支配する異質な存在が“軍師”です。

2.キングダムの戦における軍師の重要性

冒頭にも記載しましたが、軍師は戦における大将よりも重要な存在になる場合があります。
キングダムでは一部例外として、趙国(ちょうこく)の李牧(りぼく)や秦国の王翦(おうせん)のようにずば抜けた軍略の持ち主でありながら、大将軍を兼ねている天才もおりますが、一般的には戦の才と軍略の才は別で描かれております。

キングダムにおける全ての戦で、軍略が光っている描写は描かれておりますが、特に軍師の重要性が分かる2つの戦いをご紹介します。

里井(りせい)の平定

里井の平定とは、秦国が直前の戦いで魏国(ぎこく)の山陽(さんよう)を堕とした直後、主人公の信が率いる飛信隊(ひしんたい)が、山陽の周辺地域である里井の平定に挑む戦です。

山陽の攻略戦で、信は魏軍の中でも最重要人物の一人だった将軍の輪虎(りんこ)を一騎打ちの末に破りました。この功績により信は三百将から千人将へ昇格し、里井平定戦は正式な千人称となってから望む最初の戦です。

しかしながら結果として、なんと6連敗を喫してしまいます。
その理由は、「戦略、戦術を描く人間がいないから」でした。

これまで飛信隊の戦術面を担当していた副長の羌瘣(きょうかい)が、自身の過去を清算するために一時離脱しており、里井の平定戦では、信が作戦を立てて戦っておりました。
しかし信には軍略の才が無く、連戦連敗を喫してしまいます。

そこで新たに飛信隊に加わったのが、軍師の河了貂(かりょうてん)です。
河了貂が加わった最初の戦いで、新生飛信隊は初勝利を納めます。

戦の序盤は、河了貂の力量を飛信隊のメンバーが信頼しておらず、信が采配を振るいます。
しかし、徐々に劣勢に陥ってしまい、そこで全滅するくらいならと河了貂に采配を譲る形となりました。

河了貂はまず戦場の地形を活かした戦い方で相手の兵を絡め取る戦術を執り、戦況の優劣をひっくり返しました。その後陣形を立て直した相手軍に対し、隊長の信を囮として相手の軍隊を引きつけることで生まれる隙に乗じて別動隊を突撃させて、敵将を生け捕りにするという作戦を取り、勝利を納めることとなります。

この戦の後、連戦連勝を重ね飛信隊はわずか10日ほどで里井を平定することとなります。

このように、信は一騎打ちでは敵国の強力なを将軍を討ち取ることができる武力をもっているものの、戦に勝つという目的を果たすためには、軍略に秀でている軍師の力が重要だと分かるエピソードとなっております。

著雍(ちょよう)の戦い

著雍(ちょよう)とは、山陽と同じく魏国の要所であり、秦国の中華統一という目的を果たすためには何としても手に入れたい場所でした。
その著雍を攻略するために、後に秦国の六大将軍の一人になる騰(とう)を総大将とし、飛信隊含む三軍の編成で攻略にあたるというストーリーです。

著雍の戦い全体が、攻める秦軍の軍略と、守る魏軍の軍略とのぶつかり合いになりますが、その中でも飛信隊が任されていた盤面の攻防戦が、軍師の重要性を表している描写となっております。

飛信隊を迎え撃つ魏軍側の大将は、魏火龍七師(ぎかりゅうしちし)と呼ばれる魏国の精鋭部隊の中の一人、凱孟(がいもう)将軍でした。凱孟将軍も信と同じく、部の才が圧倒的に秀でているタイプであり、軍略に関しては軍師である荀早(じゅんそう)に任せておりました。

その初日の戦いで飛信隊軍師の河了貂が狙われ、人質にされてしまいます。
一般的に、戦場において人質にされることは、死よりも恐ろしいことだと言われております。持っている情報を全て吐き出すまで拷問され続けるためです。
特に軍師ともなると持っている情報量が一兵卒と比較すると桁違いなため、激しい拷問が待ち受けていることでしょう。

ですがこの時は、河了貂が捉えられてしまったのを見ていた飛信隊副将の羌瘣が、とっさの判断で相手軍師の荀早を逆に捕まえておりました。
お互いの軍師が人質となったおかげで、人質交換で手打ちとなり、河了貂に対する拷問はありませんでした。

この描写で分かることとして、魏軍の凱孟将軍からすると、人質に取った秦国軍軍師の情報よりも自軍の軍師のほうが大事ということです。
そのぐらい、優れた軍師の戦場における影響力が甚大ということでしょう。

ちなみにこの戦は、飛信隊の軍師河了貂の軍略が荀早の軍略に勝り、頭脳戦を制した秦国側が勝利を納めております。

3.現代ビジネスにも軍師が必要だった!?

ビジネスにおける軍師とは、キングダムにおける軍師と同じく、常に俯瞰で大局を見ながら冷静に戦略、戦術を組み立てられる人材のことを指します。
企業の参謀と呼ばれるタイプがこの役割に近いのではないでしょうか。

一般的に、ビジネスにおける戦略とは「ビジネス目的を達成するためにヒトモノカネといった経営資源の選択と集中の配分を定めること」と定義されます。
一方で戦術は、「戦略を実行するためのプランのことを指します。

そのため、「目的→戦略→戦術→実行」の順でブレイクダウンされなければなりません。

目的達成アクションSTEP

ビジネスにおける軍師は、自社を取り巻くあらゆる状況を頭に入れつつ、ビジネス目的を達成するために、その時々における最適なリソース配分を加味しながら戦略を組み立てて行く必要があります。

特にキングダムにおける信や凱孟将軍のように、自分のビジネス戦闘力へ自信を持っている諸突猛進型のリーダーの場合には、軍師がストッパーにならなくてはならない場面もあります。

諸突猛進型のリーダーのよくある失敗例として、目的達成に向けた筋道をアクションプランから考えてしまうことが挙げられます。
戦略をすっ飛ばして戦術から考えてしまうと、最終的な目的達成から遠ざかっていたなんてことすらあります。

それは、最適なリソースの配分を考えずに具体的なアクションから考えてしまうことで、「実際にはリソースが足りていなかった」や「本来やるべきではないことにリソースを割いてしまう」なんてことが起こってしまうためです。

また、ビジネスを取り巻く環境は刻一刻と変化していきます。
特にVUCAと言われる現代はなおさらです。
それゆえ現代ビジネスにおける戦略はその環境の変化を敏感に察知し、スピーディーに修正されるなど、常に最適化された状態でなければなりません。

しかしながら諸突猛進型だけに限らず、多くのリーダーは自身の意思決定に絶対的な自信を持っています。そのため途中で戦略変更の必要性に自身で気付くことができ、変化を起こせるリーダーはごくまれでしょう。

そういった意味でも、常に大局を見渡しており冷静なジャッジを下せる軍師、参謀の存在は、現代ビジネスにおいても非常に重要な存在と言えるでしょう。

4.まとめ

今回、キングダムの軍師の存在感から、現代ビジネスにも通ずる考え方をひも解いていきました。キングダムにおける戦場は、現代のビジネス現場と似ています。
特に、瞬間瞬間で局面が動いていき、その局面を読み切った戦略、戦術を取らなければ淘汰されてしまう可能性が高いという点ではほとんど同じであると言えるでしょう。

そのため、局面を読んで瞬時に最適な戦略を導く軍師の存在はキングダムでも現代ビジネスでも重要性が非常に高いです。

しかしながらビジネスにおける軍師は、時にリーダーの意思決定に対してNoを突きつけた上で、最適な代替案を出さなければならない場面もあるなど、相当なスキルと経験を必要とする希少価値の高い存在です。

そのような存在が社内にいない場合、外部人材の活用も検討に入れたほうが良いでしょう。
なぜなら、現代ビジネスにおいて局面の読み違えなど、戦略失敗時の即時リカバリー能力が欠如した組織は淘汰されてしまう可能性があるためです。

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(株式会社みらいワークス Freeconsultant.jp編集部)

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