新規事業の成功事例13選|大手・中堅・海外企業の成功例と共通点を解説 - freeconsultant.jp for Business
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最終更新日:2026.09.23
新規事業

新規事業の成功事例13選|大手・中堅・海外企業の成功例と共通点を解説

新規事業を立ち上げる際、「他社はどのようなアイデアから新規事業を生み出しているのか」「成功している企業にはどのような共通点があるのか」と気になる方も多いでしょう。

新規事業というと、これまでにない画期的なサービスをゼロから生み出すイメージがあります。しかし、実際の成功事例を見ると、既存事業で培った技術や顧客基盤、データ、設備などを活かし、新しい市場や用途へ展開しているケースも少なくありません。

例えば富士フイルムは、写真フィルムで培った技術を化粧品に応用しました。Amazonは書籍販売の知見を活かして電子書籍へ展開し、Uberは配車サービスのプラットフォームをフードデリバリーにも応用しています。

本記事では、国内外の新規事業の成功事例13選を紹介します。各社が「何を強みに新規事業を生み出したのか」まで解説するため、自社で新規事業を検討する際の参考にしてください。

【一覧】新規事業の成功事例13選

今回紹介する新規事業の事例は、以下の13社です。

企業 新規事業・サービス もともとの強み・事業 ポイント
富士フイルム ASTALIFT(アスタリフト) 写真フィルム 既存技術を化粧品へ転用
ソニー PlayStation 電子機器・音響・映像 ハードとソフトの技術・ノウハウを融合
JR東日本 Suica・電子マネー 鉄道・交通 乗車券を決済プラットフォームへ拡張
リクルート SUUMO・じゃらんなど 情報・マッチング事業 顧客接点と情報流通の仕組みを横展開
サイバーエージェント Ameba・ABEMA・ゲーム事業 インターネット広告 成長市場へ継続的に新規参入
ラクスル アパレル・ユニフォーム 印刷EC 既存ECの仕組みを隣接市場へ展開
日本交通・GO タクシー配車アプリ タクシー・モビリティ 業界の不便をデジタルで解決
和多屋別荘 サテライトオフィス 温泉旅館 既存施設を新しい用途へ転換
タニタ タニタ食堂など 体重計・体組成計 「健康」のノウハウをサービス化
KIYOラーニング スタディングキャリア オンライン資格講座 既存顧客の次の課題へ事業を拡張
Uber Uber Eats 配車プラットフォーム 既存のマッチング基盤を別市場へ転用
Netflix 動画ストリーミング DVDレンタル 顧客行動の変化に合わせて事業モデルを転換
Amazon Kindle EC・書籍販売 既存市場をデジタル化して事業領域を拡大

事例を見ると、まったく新しい領域へゼロから参入するだけでなく、既存事業で持っている「技術」「顧客」「データ」「設備」「プラットフォーム」を別の用途へ展開している企業が多いことがわかります。

ここから、企業ごとの新規事業事例を詳しく見ていきましょう。

【大手・大企業】新規事業の成功事例5選

大企業には、技術力やブランド、顧客基盤、資金力など新規事業に活用できる豊富な経営資源があります。一方で、既存事業とは異なる市場へ参入するには、それらの資産をどのように新しい価値へ転換するかが重要です。

まずは、大手・大企業による代表的な新規事業の成功事例を5つ紹介します。

富士フイルム|写真フィルムの技術を活かして化粧品市場へ参入

富士フイルムの「ASTALIFT(アスタリフト)」は、既存技術を異なる市場へ転用した新規事業の代表例です。

富士フイルムはもともと写真フィルムを中心に事業を展開していました。しかし2000年代以降、写真のデジタル化によって写真フィルム市場が縮小。事業構造を転換する必要性が高まります。

そこで同社は、自社が長年培ってきた技術を棚卸ししました。その結果、写真フィルムの研究で蓄積した「コラーゲン研究」「抗酸化技術」「光解析・コントロール技術」「ナノ化技術」などが化粧品開発にも活用できることに着目します。2006年にヘルスケア・化粧品市場へ参入し、2007年にはスキンケアブランド「アスタリフト」を発売しました。

写真フィルムと化粧品は一見すると関係がないように見えます。しかし、写真フィルムの主成分にもコラーゲンが使われるほか、写真の色あせを防ぐための抗酸化研究や、成分を微細化するナノテクノロジーなど、両者には技術的な接点がありました。現在もアスタリフトでは、写真分野で培った技術が製品開発に活かされています。

成功のポイントは、「自社は写真会社だから」と事業領域を固定せず、自社技術を顧客価値の観点から再定義したことです。

新規事業を考える際は、「自社の技術は現在の商品以外に何に使えるか」という視点で棚卸しすると、新たな事業テーマが見つかる可能性があります。

ソニー|PlayStationでゲーム市場へ参入

ソニーのPlayStationも、既存の技術や経営資源を新しい市場へ展開した事例です。

ソニーはもともとテレビやオーディオなどのエレクトロニクス分野で成長してきました。ゲーム専業企業ではありませんでしたが、新たなエンターテインメント市場として家庭用ゲームに参入します。

1993年にはソニーとソニー・ミュージックエンタテインメントの合弁でソニー・コンピュータエンタテインメントを設立。1994年12月に初代「PlayStation」を発売しました。ソニーが持つハードウェア技術と、音楽事業などを通じて持っていたソフトビジネスのノウハウを組み合わせた事業でした。

1996年にはPlayStationの全世界出荷台数が1,000万台を突破し、その後もシリーズとして拡大しています。

この事例から学べるのは、新規事業で必要な能力をすべて一つの部署や既存事業だけに求める必要はないという点です。

自社内に存在する技術、ブランド、コンテンツ、販売チャネルなどを組み合わせることで、新しい市場へ参入できる可能性があります。

JR東日本|Suicaを交通インフラから決済事業へ拡大

JR東日本のSuicaは、鉄道利用のために作られた仕組みを、生活インフラへ広げた新規事業・事業拡大の事例です。

Suicaは2001年にICカード乗車券として導入されました。その後、2004年3月には「Suicaによるショッピングサービス」が開始され、鉄道の乗車券としてだけではなく、買い物にも利用できる電子マネーへと用途が広がります。

さらに駅構内だけでなくコンビニなど街中へ利用可能な場所を広げ、交通サービスから決済サービスへと顧客接点を拡張していきました。2004年にはJR東日本が「駅ナカから街ナカへ」としてSuica電子マネーの利用拡大を発表しています。

ポイントは、新しい顧客をゼロから集めるのではなく、鉄道利用者が日常的に使うSuicaという既存の顧客接点を起点に、新しい利用シーンを増やしたことです。

新規事業を考える際には、「既存顧客が自社の商品を使う前後に、どのような行動をしているか」を考えてみましょう。その前後の行動まで支援することで、新たな事業機会を見つけられる可能性があります。

リクルート|情報・マッチングの仕組みを複数市場へ展開

リクルートは、人材領域だけでなく、住宅、旅行、飲食、美容など、さまざまな分野でサービスを展開してきました。

現在も国内では、住宅などの販促領域を中心に複数のサービスを展開しています。

一見すると「住宅」と「旅行」などは異なる市場ですが、事業構造には共通点があります。

例えば、住宅を探している個人と不動産会社、旅行を検討する個人と宿泊施設など、「選択肢を探しているユーザー」と「顧客を獲得したい事業者」を情報によって結び付けるという構造です。

つまり、新規事業を検討する際に既存の商品そのものだけを見るのではなく、「自社は本質的にどのような価値を提供している会社なのか」まで抽象化することが重要です。

「商品Aを売る会社」と考えると事業領域は限定されますが、「企業と顧客をつなぐ会社」「意思決定を支援する会社」と捉え直すことで、横展開できる市場が広がります。

サイバーエージェント|広告事業からメディア・ゲームへ事業領域を拡大

サイバーエージェントは、1998年の創業後、インターネット広告を軸に成長しながら、新しいインターネット市場へ継続的に事業を広げてきました。

2004年には「Ameba」を開始。2009年にはゲーム事業へ参入し、2015年にはテレビ朝日との共同出資で動画事業を担うAbemaTVを設立、2016年に「AbemaTV(現ABEMA)」を開局しています。

同社の特徴は、成長市場へ継続的に新規参入する一方、撤退基準を設けながら事業の選択と集中も行っている点です。新規事業コンテストなど、社内から新しい事業を生み出す仕組みも整備してきました。

新規事業を単発のプロジェクトとして扱うのではなく、「新しい事業を継続的に生み出す仕組み」を組織内につくっている点が参考になります。

新規事業に継続的に取り組むのであれば、個人のアイデアだけに依存せず、提案制度や評価制度、検証予算、撤退基準などを仕組み化することも重要です。

【中堅企業】新規事業の成功事例5選

新規事業は、大企業だけが取り組むものではありません。既存事業の仕組みや顧客接点、施設などを活かすことで、大規模な先行投資をせず新たな市場へ展開することも可能です。

ここでは、中堅企業を中心とした新規事業の事例を5つ紹介します。

ラクスル|印刷ECの仕組みをアパレル・ユニフォームへ展開

ラクスルは、ネット印刷を中心とする印刷・集客支援のプラットフォームを運営する企業です。

同社は印刷だけでなく、ノベルティやグッズ、アパレル・ユニフォームなどへサービス領域を拡大しています。

2022年には「ラクスル アパレル・ユニフォーム」を正式オープンしました。法人向けユニフォーム市場では、対面営業やカタログによる発注が多く、「価格や納期がわかりにくい」「商品情報が分散している」といった課題がありました。

そこでラクスルは、商品検索から価格・納期確認、見積書発行、名入れデザインまでをWeb上で行える仕組みを提供しています。

印刷事業で培った「商品をオンラインで選び、デザインし、発注する」という顧客体験を、ユニフォーム市場へ応用した点が特徴です。

新規事業を考える際には、商品そのものだけでなく、「受注方法」「顧客体験」「サプライチェーン」といった既存事業の仕組みも資産として捉えるとよいでしょう。

日本交通・GO|タクシー業界の課題をデジタルで解決

タクシーアプリ「GO」につながる事業は、日本交通グループから生まれたタクシー配車アプリがルーツの一つです。

日本交通は1977年に現在のGO株式会社につながる日交計算センターを設立。2011年には「日本交通タクシー配車」を提供し、その後「全国タクシー」「JapanTaxi」へ発展しました。

一方、DeNAも「タクベル」、のちの「MOV」を展開していました。2020年にJapanTaxi側の事業とDeNAのタクシーアプリ関連事業が統合し、同年9月に新しいタクシーアプリ「GO」が誕生しています。

GOでは、タクシー車両の位置情報と配車ロジックを活用し、利用者と近くのタクシーをマッチングします。道で空車を探したり電話で配車を依頼したりしていた体験を、スマートフォン上で完結できるようにしました。

成功のヒントは、「新しいものを作ること」より先に、既存業界で顧客が感じている不便を見つけたことです。

新規事業のアイデアを探す際は、顧客が現在の業界慣習を「仕方がないもの」として受け入れている部分に着目すると、事業機会を発見できる可能性があります。

和多屋別荘|旅館の空きスペースをサテライトオフィスへ転換

佐賀県嬉野温泉の和多屋別荘では、旅館の客室や宴会場などを活用したサテライトオフィスを展開しています。

旅館内のスペースを企業向けオフィスとして提供するだけでなく、温泉や宿泊環境、地域とのつながりなど、温泉旅館ならではの資産を組み合わせています。

また、企業誘致や地域企業・自治体との連携、新規プロジェクトの支援などへも取り組んでいます。

この事例のポイントは、「旅館は宿泊する場所」という既存の用途をいったん外し、保有している空間や設備を別の顧客へ提供できないか考えたことです。

製造設備、店舗、倉庫、オフィス、データ、人的ネットワークなど、自社がすでに持っているものの稼働率が低い資産があれば、新規事業に転用できないか検討してみましょう。

タニタ|「健康をはかる」から「健康をつくる」へ事業を拡張

タニタは、体重計や体組成計など「健康をはかる」製品で知られる企業です。

一方で現在は、機器を販売するだけではなく、「健康をつくる」領域へ事業を広げています。

代表的なサービスが「タニタ食堂」です。健康的な食事の提供に加えて、体組成の計測や管理栄養士によるアドバイスなどを組み合わせ、食を通じた健康づくりを支援しています。

「体重を測る商品」から「健康になりたいという顧客の目的」まで視点を広げたことが、新しい事業領域につながっています。

これは新規事業を考えるうえで重要な視点です。

例えば「会計ソフトを提供している会社」であれば、顧客が本当に求めているのはソフト自体ではなく、「経理業務を効率化したい」「経営状況を把握したい」という成果かもしれません。

自社商品ではなく、「顧客はその商品を使って何を実現したいのか」から逆算すると、新しいサービスのアイデアを見つけやすくなります。

KIYOラーニング|資格取得後のキャリア支援へ顧客接点を拡張

KIYOラーニングは、オンライン資格講座「スタディング」や法人向け教育サービス「AirCourse」などを展開しています。

さらに同社は、資格取得者のキャリア形成を支援する「スタディングキャリア」を展開しています。

スタディングキャリアは、資格を持つ利用者と採用企業・転職エージェントを直接つなぐダイレクトリクルーティングプラットフォームです。利用者は求人への応募や転職相談などを行えます。

資格学習サービスの顧客にとって、資格取得は必ずしも最終目的ではありません。「資格を活かして転職したい」「キャリアアップしたい」という次のニーズがあります。

既存顧客の「商品利用後に発生する課題」を捉え、その課題まで支援することで新しい事業を作った点が参考になります。

【海外企業】新規事業の成功事例3選

海外企業の事例にも、既存事業の強みを新しい市場へ展開したケースが多くあります。

ここでは、日本でも広く知られている3社を紹介します。

Uber|配車プラットフォームをUber Eatsへ横展開

Uberは、スマートフォンを利用して乗客とドライバーをつなぐ配車プラットフォームとして成長しました。

その仕組みを「人の移動」だけでなく「料理の移動」に応用したのがUber Eatsです。

Uber Eatsのアプリは2015年に開始され、日本では2016年9月に東京でサービスが始まりました。東京での開始時には150店舗以上のレストランが参加しています。

Uberはすでに、アプリ上で需要と供給をマッチングし、位置情報をもとに効率的に移動させる技術と運用ノウハウを持っていました。

Uber Eatsでは、そのプラットフォームの基本構造を活かしながら、「乗客とドライバー」から「注文者・飲食店・配達パートナー」へ対象を広げたと考えられます。

既存事業で構築したシステムやプラットフォームを、別の需要と供給の組み合わせに転用できないか考えることも、新規事業の有効なアプローチです。

Netflix|DVDレンタルから動画ストリーミングへ転換

Netflixは、DVDを配送するレンタルサービスからスタートしました。

しかしインターネット環境の発展を背景に、2007年には会員がPCですぐに映画やテレビ番組を視聴できるストリーミング機能を導入しました。当初はDVD配送サービスを続けながら、追加の視聴方法として提供しています。

その後ストリーミングを世界へ展開し、2016年時点では190以上の国・地域へサービスを拡大しました。

この事例で重要なのは、DVDという既存の商品・提供方法を守ることよりも、「顧客が好きなコンテンツを好きなタイミングで楽しむ」という本質的な価値を優先したことです。

新規事業では、既存事業と競合するサービスを作ることに抵抗が生じる場合があります。しかし、市場環境や顧客行動が大きく変化している場合には、自社自身が既存事業を置き換える選択も必要です。

Amazon|Kindleで書籍販売をデジタル市場へ拡張

Amazonはオンラインでの書籍販売から成長した企業ですが、2007年には電子書籍リーダー「Kindle」を発売しました。

Kindleは単なる電子端末ではありません。初代Kindleでは、端末からワイヤレスで書籍を購入・ダウンロードでき、発売時点で9万冊以上のタイトルが用意されていました。

Amazonは、紙の書籍をインターネットで販売するだけでなく、書籍そのものをデジタル化し、購入から読書までを一つのサービスとして提供する方向へ事業を拡張しました。

また、初代Kindleと同じ時期にはセルフ出版サービスも展開し、著者が読者へ作品を届ける仕組みも広げています。

既存事業で扱っていた「書籍」という市場を深く理解していたからこそ、流通方法そのものを変える新しいビジネスモデルを作れた事例です。

新規事業の成功事例からわかる5つの共通点

ここまで紹介した新規事業は、業界や商品が大きく異なります。しかし、成功につながった取り組みを整理すると、いくつか共通する考え方が見えてきます。

①自社がすでに持っている技術・ノウハウを活用している

新規事業だからといって、すべてをゼロから作る必要はありません。

富士フイルムは写真フィルムの研究で培ったナノテクノロジーやコラーゲン研究を化粧品に応用しました。タニタも、長年蓄積してきた健康に関する知識やブランドを食事サービスへ展開しています。

既存事業で培った資産を活用できれば、競合他社が簡単には模倣できない強みを作りやすくなります。

まずは以下のような自社資産を棚卸ししてみましょう。

  • 独自技術や特許
  • 業界に関する専門知識
  • 顧客データ
  • ブランドや知名度
  • 店舗・工場・設備
  • 販売チャネル
  • 取引先やパートナーとのネットワーク
  • システムや業務プロセス

「現在何を販売しているか」ではなく、「なぜ自社だから提供できるのか」を分解することが、新規事業アイデアの起点になります。

②既存の顧客・データ・販売チャネルを活用している

新規事業で難しいことの一つが、最初の顧客を獲得することです。

その点、既存事業と近い市場へ参入すれば、現在の顧客基盤や販売チャネルを活用できます。

例えばKIYOラーニングは、資格取得を目指す既存顧客に対して、その先にあるキャリア形成まで支援しています。JR東日本も、日常的にSuicaを使う鉄道利用者との接点を決済サービスへ広げました。

新規事業を考える際には、既存顧客に対して次のように問いかけてみましょう。

  • 商品を購入する前に、どのような課題を抱えているか
  • 商品を利用した後、次にどのような課題が生まれるか
  • 現在は他社の商品・サービスで解決していることはないか

既存顧客の前後の行動まで広げることで、隣接する新規事業を見つけられる可能性があります。

③顧客や市場の変化を捉えている

新規事業では、自社が「作れるもの」だけでなく、市場が「求めるもの」を捉える必要があります。

Netflixはインターネットを通じた動画視聴へと顧客行動が変化する中で、DVD配送からストリーミングへサービスを広げました。

ラクスルのアパレル・ユニフォームも、法人向けユニフォーム市場に残っていた「価格や納期がわかりにくい」「対面・カタログ発注が中心」といった不便に着目しています。

技術の変化、顧客行動の変化、法規制、働き方、人口構造などによって生じる「以前はなかった不便」は、新規事業のヒントになります。

④既存事業に近い領域から事業を広げている

新規事業と聞くと、まったく異なる業界への参入を想像しがちです。

しかし実際には、既存事業と接点のある「隣接領域」へ広げるケースが多くあります。

  • Amazon:書籍販売→電子書籍
  • KIYOラーニング:資格学習→キャリア支援
  • JR東日本:乗車IC→電子決済
  • タニタ:健康計測→食事・健康支援
  • ラクスル:印刷EC→ユニフォームEC

隣接領域であれば、既存のブランドや顧客、ノウハウを活用できるため、完全な異業種参入と比べて事業仮説を立てやすくなります。

⑤必要に応じて外部の技術・人材・パートナーを活用している

自社に強みがあっても、新規事業に必要なすべての能力を社内だけで保有しているとは限りません。

例えばソニーは、ゲーム事業の立ち上げにあたりハードウェアだけではなく、音楽事業などを通じたソフト領域のノウハウも活用しました。GOも、日本交通系のJapanTaxiとDeNAのMOVという異なる事業の統合を経て生まれています。

不足する知識や技術をすべて自社で育成してから始めると、市場参入が遅れる可能性があります。

「自社で持つべき強み」と「外部から補った方がよい能力」を分けることも、新規事業をスピーディーに進めるためには重要です。

成功事例から学ぶ新規事業アイデアの見つけ方

新規事業のアイデアは、突発的なひらめみだけから生まれるものではありません。

今回紹介した事例のように、既存事業や顧客、市場を一定の視点から見直すことで、新しい事業テーマを発見できます。

①自社の技術・ノウハウを別市場へ転用する

まず、自社で当たり前に使っている技術やノウハウを棚卸ししましょう。

富士フイルムの事例のように、自社では既存商品を作るための技術でも、別の業界から見ると価値の高い技術である可能性があります。

以下のような問いを使って考えると効果的です。

  • 競合他社より得意な技術は何か
  • 顧客から高く評価されている能力は何か
  • 他業界でも同じ課題は発生していないか
  • 現在の商品を作る過程で生まれた副次的な技術はないか

自社の強みと別市場の課題が重なる部分を探してみましょう。

②既存顧客の「次の悩み」から考える

既存顧客は、新規事業のアイデアを探すうえで重要な情報源です。

例えばKIYOラーニングの場合、資格取得者には「資格を取得する」という課題の先に、「資格を活かして働きたい」という課題があります。

顧客が自社の商品を使い終えた後に、別の企業へお金を払って解決している課題があれば、自社の新規事業になる可能性があります。

顧客インタビューなどを通じて、商品利用後の行動まで確認するとよいでしょう。

③既存事業の資産を別用途で活用する

新規事業の資産は、技術だけではありません。

和多屋別荘のように、既存施設そのものを別用途で利用する方法もあります。

例えば、以下のような資産が考えられます。

  • 休日や夜間に使われていない店舗
  • 工場の空き時間
  • 保有しているデータ
  • 顧客向けに構築したシステム
  • 配送ネットワーク
  • 営業網
  • 会員コミュニティ

「新しいものを購入する」のではなく、「すでに持っているものの利用率を上げられないか」という視点で考えると、初期投資を抑えた新規事業につながる可能性があります。

④海外の新しいビジネスモデルを参考にする

海外ですでに成長している新しいビジネスモデルから、自社の新規事業アイデアを考える方法もあります。

ただし、海外で成功したサービスをそのまま国内へ持ち込むだけでは十分ではありません。

重要なのは、

  • なぜそのサービスが海外で必要とされたのか
  • どのような顧客課題を解決しているのか
  • 日本にも同じ課題が存在するのか
  • 国内の商習慣や法規制に合わせると何を変える必要があるのか

まで分析することです。

サービスの表面的な機能ではなく、「成立している理由」を抽出して国内市場へ置き換えることがポイントです。

大企業が新規事業を立ち上げる際に直面しやすい3つの課題

大企業は資金や人材、技術など豊富な経営資源を持つ一方で、その組織規模ゆえに新規事業を進めにくくなるケースもあります。

特に注意したいのが、以下の3つです。

①既存事業と同じ評価基準で判断してしまう

新規事業は、立ち上げ直後から既存事業と同等の売上や利益を生み出せるとは限りません。

にもかかわらず、既存事業と同じ売上規模や利益率を求めると、小さい市場で仮説検証する段階の事業が「規模が小さい」という理由だけで評価されない可能性があります。

新規事業の初期段階では、売上だけでなく、

  • 顧客インタビュー数
  • プロトタイプの利用率
  • 継続利用率
  • 顧客の課題が実際に存在することを確認できたか
  • 有料でも利用したい顧客がいるか

など、事業仮説を検証するKPIを設定することが重要です。

②意思決定に時間がかかり検証スピードが落ちる

新規事業は不確実性が高いため、最初に立てた仮説が外れることも珍しくありません。

そのため、小さく試して顧客の反応を確認し、素早く方向修正する必要があります。

しかし、企画の変更や少額の投資にも複数部署の承認が必要になると、検証のたびに時間がかかります。その間に市場環境や競合状況が変わってしまう可能性もあります。

新規事業チームには一定範囲の予算や意思決定権を持たせ、「どこまではチームで判断でき、どこから経営承認が必要か」をあらかじめ決めておくと進めやすくなります。

③新規事業に必要な経験・専門人材が不足する

既存事業で優秀な人材が、新規事業でも必ず同じように成果を出せるとは限りません。

既存事業では「正解がある業務を効率よく実行する能力」が重視される一方、新規事業では、

  • 市場調査
  • 顧客課題の探索
  • ビジネスモデル設計
  • 仮説検証
  • プロダクト開発
  • マーケティング
  • アライアンス

など、異なるスキルが求められます。

社内に経験者がいない場合、育成だけに頼るのではなく、新規事業経験者や外部の専門家をチームに加えることも検討しましょう。

新規事業で失敗を防ぐための3つのポイント

新規事業に不確実性はつきものです。そのため、「絶対に失敗しない計画」を作るよりも、失敗した際の損失を抑えながら仮説検証を進めることが重要です。

①市場ニーズを検証せずに商品・サービスを作り込まない

新規事業で避けたいのが、社内で長期間かけて商品を作り込んだ後に「顧客が必要としていなかった」と判明するケースです。

本格開発へ進む前に、想定顧客へのインタビューや簡易なプロトタイプなどを利用し、

  • 本当にその課題が存在するか
  • どの程度深刻な課題なのか
  • 現在はどのような方法で解決しているのか
  • 自社のサービスへ費用を支払う可能性があるか

を確認しましょう。

最初から完成度100%を目指すのではなく、「次の意思決定に必要な情報を得るために、最低限何を作ればよいか」という視点が重要です。

②KPIと撤退基準をあらかじめ決めておく

新規事業では、事業への思い入れが強くなるほど撤退判断が難しくなります。

そのため事業開始前に、「どの条件を満たせば次の投資へ進むのか」「どの状態になったら撤退・方向転換するのか」を決めておきましょう。

例えば、

  • 半年以内に有料顧客○社を獲得する
  • 継続率○%以上を目指す
  • ○件の顧客検証を行って一定以上のニーズを確認する
  • 一定期間で条件を満たさなければピボットまたは撤退する

などです。

実際にサイバーエージェントも、成長市場への新規参入とあわせて撤退基準を設け、事業の選択と集中を進めています。

撤退は新規事業そのものの失敗ではありません。早い段階で仮説が違うとわかれば、得られた知見を次の事業へ活かせます。

③不足する人材・ノウハウは外部リソースで補う

新規事業では、市場調査からサービス設計、システム開発、マーケティングまで幅広い業務が発生します。

これらをすべて社内人材だけで対応しようとすると、経験不足によって検討に時間がかかったり、既存業務との兼務によって新規事業が進まなくなったりする可能性があります。

特に、

  • 社内に新規事業経験者がいない
  • 特定市場に関する知識が不足している
  • システム開発やDXの専門人材がいない
  • 事業責任者を支援できる人材が必要
  • 短期間だけ専門人材を確保したい

といった場合は、コンサルタントやフリーランスなどの外部人材を活用する方法があります。

外部人材へすべてを任せるのではなく、社内メンバーと共同でプロジェクトを進め、外部の知見を社内へ蓄積していく体制を作ることも重要です。

新規事業立ち上げなら「フリーコンサルタント.jp」にお任せください

新規事業では、市場調査、事業構想、ビジネスモデル設計、プロジェクトマネジメント、システム開発など、立ち上げフェーズに応じてさまざまな専門性が必要です。

しかし、必要な経験を持つ人材が社内にいなかったり、既存業務との兼務によって十分なリソースを確保できなかったりするケースも少なくありません。

「フリーコンサルタント.jp」では、企業の課題に合わせて、経験豊富なプロフェッショナル人材をご紹介しています。

実際に大手通信キャリア会社の事例では、新しい収益源となる教育サービスの立ち上げに際して、データ分析をもとにしたシステム要件定義やプロジェクトマネジメントを外部人材が支援しました。その結果、全体設計を整理し、新規サービスのローンチまで進めています。

また、大手総合建設会社では、カーボンクレジット領域の新規事業について「何から取り組めばよいかわからない」という段階から、外部プロフェッショナルが事業構想の整理やプロジェクト推進を支援しています。

新規事業に必要な知識や実行人材が不足している場合は、すべてを自社内で補おうとせず、必要なフェーズに応じて外部の専門人材を活用することも選択肢の一つです。

まとめ

本記事では、大手企業・中堅企業・海外企業を中心に、新規事業の成功事例13選を紹介しました。

各社の事業内容は異なりますが、成功事例を見ると以下のような共通点があります。

  • 既存事業で培った技術やノウハウを活用する
  • 既存の顧客や販売チャネルを新しい事業にも活かす
  • 顧客行動や市場環境の変化を捉える
  • 既存事業と接点のある隣接領域から事業を広げる
  • 不足する技術や人材は外部から補う

新規事業というと、「誰も考えたことがない革新的なアイデア」が必要だと思われがちです。

しかし、今回紹介した事例の多くは、すでに持っている技術・顧客・設備・データ・仕組みを見直し、新しい顧客課題と組み合わせることで生まれています。

まずは自社の経営資源を棚卸ししたうえで、「別の市場でも使えないか」「既存顧客には次にどのような課題が生まれるか」「今まで当たり前だった業界の不便を解消できないか」と考えてみましょう。

そのうえで小さく仮説検証を始め、顧客の反応を確認しながら事業を育てていくことが、新規事業を成功へ近づけるポイントです。

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