要員計画とは?人員計画との違い・作り方・計算方法を解説 - freeconsultant.jp for Business
ビジネスコラムColumn
最終更新日:2026.11.01
共通/その他

要員計画とは?人員計画との違い・作り方・計算方法を解説

要員計画を学ぶビジネスコラム

「経営から要員計画を作るよう言われたが、何を整理すればよいのか分からない」「各部門の希望人数を集めると人件費が膨らみ、必要人数の根拠を説明できない」と悩む人事・経営企画の担当者も多いのではないでしょうか。

要員計画とは、経営計画・事業計画を実現するために、いつ・どこに・どのような人材が・何人必要なのかを整理し、その確保方法まで決める計画です。単純に人数を決めるのではなく、必要な職種・スキル・人件費まで含めて考える必要があります。

本記事では、要員計画と人員計画・採用計画との違いから、整理すべき項目、6ステップの作り方、必要人数の計算方法まで解説します。さらに、人件費予算との調整方法、計画の運用・見直し、不足した人材を採用・育成・配置転換・外部人材で補う方法も紹介します。

部門の希望人数を単純に積み上げるのではなく、経営計画と人件費の両方から根拠を説明できる要員計画を作りたい方は、参考にしてください。

要員計画とは?人員計画・採用計画との違い

要員計画とは、経営計画・事業計画を実現するために必要な人材を整理し、現状との差をどのように埋めるかまで決める計画です。

似た言葉に「人員計画」「採用計画」「人材ポートフォリオ」がありますが、それぞれ役割が異なります。まず違いを整理しておきましょう。

要員計画とは「必要な人材の量と質を決める計画」

要員計画では、「何人必要か」という人員数だけでなく、「どのようなスキル・経験を持つ人が必要か」まで考えます。

たとえば、単に「営業部に10名必要」とするのではなく、「法人営業経験者8名、データ分析スキルを持つ人材2名」のように、人材の質まで具体化します。

また、必要人数を決めて終わりではありません。現有人員との差を確認し、採用・育成・配置転換・外部人材など、どの方法で不足を補うかまで整理します。

計画期間に法律上の決まりはありませんが、実務では年度予算と連動する単年度計画と、中期経営計画に連動する数年単位の計画を組み合わせると、短期・中長期の両方を管理しやすくなります。

人員計画との違い

「人員計画」は企業によって要員計画とほぼ同じ意味で使われることもありますが、本記事では、部署ごとの人数や配置を具体的に決める計画として整理します。

要員計画が「経営計画を実現するために、どの人材がどれだけ必要か」を考える全体設計であるのに対し、人員計画は、その方針を部署別の人数・配置へ落とし込むイメージです。

項目 要員計画 人員計画
主な目的 必要な人材の量・質と確保方針を決める 部署別の人数・配置を決める
主な内容 人数、職種、スキル、確保方法、人件費 部署別人数、異動、配置
視点 経営計画・事業計画から逆算 組織・部署単位

採用計画との違い

採用計画は、要員計画で明らかになった不足人材のうち、「外部から採用する分」を具体化する計画です。

たとえば、要員計画で営業人材が10名不足すると分かったとしても、その10名をすべて採用するとは限りません。

配置転換で2名、社内育成で2名、外部人材で1名分を確保できるのであれば、採用計画に落とし込むのは残り5名です。

要員計画で「何がどれだけ足りないか」を決め、その不足を埋める手段の一つとして採用計画を作ると考えると、両者の関係が分かりやすくなります。

人材ポートフォリオとの関係

人材ポートフォリオは、社内の人材を役割・職種・スキルなどで分類し、どの人材がどれくらいいるかを可視化したものです。

要員計画では、将来必要な人材の構成と、現在の人材ポートフォリオを比較することで、「人数は足りているがDX人材が不足している」「管理職候補が足りない」といった質のギャップを把握できます。

経済産業省の「人材版伊藤レポート2.0」でも、経営戦略の実現に必要な人材の質・量を継続的に見直す「動的な人材ポートフォリオ」の考え方が示されています。

出典:経済産業省「人的資本経営の実現に向けた検討会 報告書(人材版伊藤レポート2.0)」

要員計画を策定する3つの目的

要員計画を作る目的は、必要人数を把握することだけではありません。経営計画、人件費、採用・育成・配置を一つの計画としてつなげることにあります。

働き手の減少や採用難が続く中では、「必要になったら採用する」という方法だけでは、人材を確保できない可能性があります。さらに、人的資本経営の広がりによって、経営戦略と人材戦略をどのようにつなげているかを説明する重要性も高まっています。

①経営計画に必要な人材を確保する

要員計画の最も基本的な目的は、経営計画・事業計画を達成するために必要な人材を事前に明確にすることです。

たとえば、新規事業を立ち上げるのであれば、事業責任者、営業、マーケティング、エンジニアなど、どの役割が何人必要になるかを見積もります。

既存事業でも、売上目標の拡大、拠点新設、業務のデジタル化などによって必要な人材は変わります。

「現在何人いるか」から考えるのではなく、「事業を実現するには誰が何人必要か」から逆算することが要員計画の基本です。

②人件費を適正化する

人を何人配置するかを決めることは、会社として人件費をいくら使うかを決めることでもあります。

各部門から出された希望人数をそのまま合計すると、人件費が予算を大きく超える場合があります。一方、人件費だけを抑えようとすると、現場の業務量に対して人が不足する可能性があります。

そこで要員計画では、経営側の人件費予算と、現場側の必要人数を両方確認しながら調整します。

人員数だけでなく、人件費まで含めて経営計画と整合させることで、「なぜこの人数が必要なのか」を経営層へ説明しやすくなります。

③採用・育成・配置を計画的に進める

必要な人材を早めに把握しておけば、採用・育成・異動を前倒しで進められます。

特に専門性の高い人材は、採用活動を始めてもすぐに確保できるとは限りません。社内育成にも一定の期間が必要です。

要員計画によって「2年後にDX人材が5名不足する」と分かれば、今年から採用を開始する、既存社員を育成するなどの対策を取れます。

そのため、要員計画は単年度だけでなく、中期経営計画と連動させて数年先まで考えることが重要です。

要員計画で整理すべき項目

要員計画では、必要人数だけを記載するのではなく、「どのような人材を、いつ、どこへ配置し、どう確保するか」まで整理します。

最低限、以下のような項目をまとめておくと、経営層・事業部門・人事で共通認識を持ちやすくなります。

項目 記載例
部署 営業部
必要人数 20名
現有人数 16名
不足人数 4名
必要な職種・役割 法人営業
必要なスキル BtoB営業経験、提案書作成
必要時期 2027年4月
確保方法 中途採用2名、配置転換2名
人件費・予算 年間○○万円

必要人数

まず、部署・職種ごとに必要な人数を整理します。

現在の人数をそのまま基準にするのではなく、売上計画、業務量、新規事業、業務効率化などを踏まえて将来必要になる人数を算出します。

必要人数の具体的な計算方法は、後述するトップダウン方式とボトムアップ方式で解説します。

必要な職種・役割

人数とあわせて、どのような職種・役割が必要なのかを整理します。

たとえば、「10名増員」という情報だけでは、人事は採用や配置を進められません。

営業担当5名、マーケティング担当2名、エンジニア3名など、役割単位まで具体化する必要があります。

必要なスキル・経験

同じ職種でも、必要なスキル・経験によって人材の確保方法は変わります。

たとえば営業職でも、既存顧客へのルート営業と、新規開拓・大手法人への提案営業では必要な経験が異なります。

人数だけでなく、「どの業務を任せたいのか」「どのレベルまで自力で遂行できる必要があるのか」を明確にすると、採用・育成・配置の判断がしやすくなります。

配置する部署・時期

人材が必要になる部署と時期も明確にします。

特に採用や育成はすぐに完了するとは限らないため、必要になる時期から逆算して準備することが重要です。

新規拠点を4月に開設するのであれば、4月時点で必要人員が揃うように、前年から採用・異動・育成を進める必要があります。

人件費・予算

要員計画では、人員数とセットで人件費も確認します。

給与だけでなく、賞与や福利厚生費、社会保険料の会社負担なども含めて、一人当たりの人件費を見積もります。

必要人数を満たしていても、人件費予算を大きく超えていれば実行できません。人数と予算を同時に確認することが重要です。

採用・育成・配置転換・外部人材などの確保方法

不足人数が分かったら、それをどの方法で埋めるかまで整理します。

主な方法は次の4つです。

  • 新規採用
  • 社内育成・リスキリング
  • 配置転換・異動
  • 外部人材の活用

不足人数が10名だからといって、採用人数も10名になるとは限りません。必要な時期、専門性、期間、コストを踏まえて複数の方法を組み合わせます。

要員計画の作り方6ステップ

要員計画は、次の6ステップで作成します。

  1. 経営計画・事業計画を確認する
  2. 現在の人員・スキルを把握する
  3. 必要人数・必要スキルを算出する
  4. 現状とのギャップを特定する
  5. 採用・育成・配置・外部活用へ落とし込む
  6. 実績を確認して計画を見直す

①経営計画・事業計画を確認する

最初に確認するのは、各部門が「何人欲しいか」ではなく、会社全体の経営計画・事業計画です。

中期経営計画や年度予算から、人材需要に影響する要素を洗い出します。

  • 売上・利益の目標
  • 新規事業の立ち上げ・撤退
  • 拠点の新設・統廃合
  • 新商品・サービスの投入
  • 業務のデジタル化・自動化
  • 海外展開

あわせて、計画期間と人件費予算の上限も確認します。

要員計画を経営計画から始めることで、「なぜこの人数が必要なのか」を事業目標と結びつけて説明できます。

②現在の人員・スキルを把握する

次に、現在どのような人材が社内にいるのかを整理します。

部署・職種ごとに、以下の情報を確認しましょう。

  • 現在の人数
  • 雇用形態
  • 年齢・等級
  • 人件費
  • 担当業務
  • 保有スキル・経験

社員ごとに、対応できる業務や習熟度をまとめたスキルマップを作ると、質のギャップを把握しやすくなります。

また、定年退職、過去の離職率、育児休業などから、計画期間中に減少する人数も見込んでおきます。

③必要人数・必要スキルを算出する

経営計画と現状を確認したら、将来必要になる人数・スキルを算出します。

必要人数は、会社全体の人件費から逆算するトップダウン方式と、現場の業務量から積み上げるボトムアップ方式の両方で確認すると、偏りを抑えられます。

同時に、「DX推進を担える人材2名」「管理会計経験者1名」など、必要なスキルも明確にします。

④現状とのギャップを特定する

必要な人材と現在の人材を比較し、不足・余剰を確認します。

人数のギャップは、基本的に次のように考えます。

不足人数 = 必要人数 − 計画時点で確保できる見込み人数

計画時点で確保できる見込み人数を考える際は、現在の人数から退職・休職などの減少見込みも差し引きます。

ただし、人数が足りていても、必要なスキルを持つ人材が不足していることがあります。そのため、人数のギャップとスキルのギャップを分けて確認することが重要です。

⑤採用・育成・配置・外部活用へ落とし込む

不足が明らかになったら、そのギャップをどの方法で埋めるか決めます。

長期間必要な中核人材であれば新規採用、社内に近いスキルを持つ社員がいるなら育成・配置転換、短期間だけ高度な専門性が必要なら外部人材など、状況に応じて使い分けます。

そのうえで、採用計画・育成計画・配置計画へ具体化します。

⑥実績を確認して計画を見直す

要員計画は作成した時点で完成ではありません。採用の遅れや想定外の退職、事業計画の変更などによって、実際の人員は計画からずれていきます。

四半期など定期的なタイミングで、人数、人件費、採用状況、離職状況を確認し、必要に応じて計画を更新しましょう。

要員計画の必要人数を算出する方法

要員計画で特に悩みやすいのが、「何人必要なのか」をどのように算出するかです。

必要人数は、経営・予算側から人数の上限を考えるトップダウン方式と、現場の業務量から人数を積み上げるボトムアップ方式を組み合わせて決めます。

必要人数の計算例

まず、要員計画における人数算出のイメージを確認しましょう。

たとえば、現在300名の企業で、将来的に310名が必要だとします。

  • 必要人数:310名
  • 現在人数:300名
  • 退職などによる減少見込み:15名
  • 計画時点で残る人数:285名
  • 不足人数:310名-285名=25名

この場合、25名分を新たに確保する必要があります。

ただし、25名すべてを採用する必要はありません。

  • 中途採用:15名
  • 配置転換・育成:5名
  • 外部人材:5名分

のように複数の方法で補うこともできます。

トップダウン方式|人件費・付加価値から逆算する

トップダウン方式は、企業全体で負担できる人件費の総額から、適正な人数を逆算する方法です。

代表的な考え方の一つが、付加価値と労働分配率を使う方法です。

目標付加価値 × 目標労働分配率 = 人件費総額
人件費総額 ÷ 1人当たり人件費 = 適正人数

たとえば、以下の条件とします。

  • 目標付加価値:30億円
  • 目標労働分配率:50%
  • 1人当たり人件費:500万円

この場合、

30億円 × 50% = 15億円
15億円 ÷ 500万円 = 300名

となり、人件費から見た適正人数は300名です。

この方法は経営計画・予算と整合しやすい一方で、現場の具体的な業務量を反映しにくい点に注意が必要です。

出典:財務省 財務総合政策研究所「法人企業統計 キーワード(付加価値)」

ボトムアップ方式|業務量から必要人数を積み上げる

ボトムアップ方式は、現場で発生する業務量から必要人数を算出する方法です。

基本的な式は以下です。

必要人数 = 業務量 × 1件当たり所要時間 ÷ 1人当たり稼働時間

たとえば、年間24,000件の受注処理があり、1件当たり0.5時間、1人当たりの年間稼働時間を1,800時間とすると、

24,000件 × 0.5時間 ÷ 1,800時間 = 約6.7人

となり、7名程度が必要と考えられます。

現場の業務量を反映しやすい一方で、各部門が現在の業務をそのまま前提にすると、必要人数が膨らみやすい点には注意が必要です。

トップダウンとボトムアップを組み合わせる

実務では、どちらか一方だけで人数を決めるのではなく、2つの方式を組み合わせます。

たとえば、トップダウン方式では300名、ボトムアップ方式では320名という結果になった場合、その20名の差を調整します。

主な調整方法は以下のとおりです。

  • 業務効率化・自動化によって必要工数を減らす
  • 不要な業務を廃止する
  • 部署間で配置転換する
  • 専門業務を外部人材で補う
  • 事業計画・人件費予算そのものを見直す

トップダウン方式で「経営・人件費から見た上限」を出し、ボトムアップ方式で「現場から見た必要量」を出し、その差を調整することで、必要人数の根拠を説明しやすくなります。

要員計画と人件費予算を整合させる方法

要員計画では、必要人数を決めるだけでなく、その人数を確保した場合に人件費がどの程度になるのかを確認します。

必要人数と人件費予算が合わない場合は、単純に人数を削るのではなく、業務量や確保方法まで含めて調整することが重要です。

必要人数×1人当たり人件費で総額を確認する

まず、必要人数に1人当たり人件費を掛けて、全体の人件費を確認します。

ここでいう人件費には、基本給だけでなく、賞与や福利厚生費、社会保険料の会社負担分なども含めて考えます。

必要人件費 = 必要人数 × 1人当たり人件費

たとえば必要人数310名、1人当たり年間人件費500万円なら、人件費は15億5,000万円です。

これが会社として設定した人件費予算に収まるかを確認します。

人件費の上限と現場の必要人数に差がある場合の調整方法

現場から積み上げた必要人数が、人件費予算上の上限を超える場合は、その差を調整します。

主な方法は次のとおりです。

  • 業務そのものを削減する
  • RPAやAIなどで業務を自動化する
  • 生産性を高めて1人当たりの処理量を増やす
  • 余剰人員がいる部署から配置転換する
  • 一時的な業務を外部人材へ切り出す
  • 事業計画の優先順位を見直す

人員不足をそのまま採用人数へ置き換えるのではなく、まず「本当に人を増やす必要があるのか」を確認することも重要です。

正社員・外部人材を分けて予算管理する

外部人材を活用する場合は、正社員の人件費とは分けて管理すると分かりやすくなります。

正社員は固定的な人件費として継続的に発生しますが、外部人材は期間・工数を限定して契約できるため、費用構造が異なります。

たとえば、DXプロジェクトで1年間だけ専門人材が必要な場合、正社員を1名採用するのではなく、外部人材を1人月単位で確保する方法もあります。

社員は「人数・人件費」、外部人材は「人月・委託費」と分けて管理すると、経営層にも説明しやすくなります。

要員計画を運用・見直す方法

要員計画は、一度作成すれば数年間そのまま使えるものではありません。採用・退職・事業環境の変化によって、計画と実績には必ず差が生じます。

定期的に差異を確認し、必要に応じて更新する仕組みを作りましょう。

計画と実績を定期的に比較する

四半期など一定の周期で、計画した人数と実際の人数を比較します。

部署・職種別に、

  • 計画人数
  • 実績人数
  • 差異
  • 差異の理由

を整理すると、どこで計画がずれているか把握しやすくなります。

人数だけでなく、必要スキルを持つ人材が確保できているかも確認します。

採用・退職・人件費の差異を確認する

人員数の差が生じた理由も確認します。

たとえば、採用人数が未達なのか、想定以上に退職者が出たのか、入社時期が後ろ倒しになったのかによって、必要な対応は異なります。

あわせて、人件費についても予算と実績を比較します。

人員数は計画どおりでも、想定より高い給与水準で採用した場合などは、人件費が予算を上回ることがあります。

事業計画が変わったときに再算定する

事業計画そのものが変わった場合は、要員計画も見直します。

たとえば、新規事業の中止、拠点の閉鎖、M&A、急速な事業成長などがあれば、必要人数・職種・スキルも変わります。

「年度末まで計画を変えない」と固定せず、経営計画へ大きな変更があった場合には再算定するルールを決めておきましょう。

単年度計画と中期計画を連動させる

要員計画は、単年度と中期の2つの時間軸で考えると運用しやすくなります。

単年度計画では、当年度の採用・異動・人件費を具体化します。一方、中期計画では、数年後に必要になる職種やスキルを見据えて、採用・育成の準備を進めます。

特に専門人材や次世代経営人材は短期間で確保できないため、中期的な視点が欠かせません。

中期計画で将来の人材需要を捉え、単年度計画で具体的な採用・育成・配置へ落とし込むと、計画を実行につなげやすくなります。

要員計画で不足した人材を補う4つの方法

要員計画で不足が分かった場合、すべてを新規採用で補う必要はありません。

判断する際は、「いつまでに必要か」「どれくらいの期間必要か」「社内に近いスキルを持つ人がいるか」の3点から考えると分かりやすくなります。

方法 向いているケース 確保までの時間
新規採用 長期的に必要な中核人材 長い
社内育成 既存社員を将来必要な職種へ転換したい 長い
配置転換 社内に必要なスキルを持つ人がいる 比較的短い
外部人材 すぐ必要・専門性が高い・期間限定 比較的短い

①新規採用

新規採用は、長期間にわたって必要となる中核人材の確保に向いています。

社内にノウハウを蓄積できる点が大きなメリットです。一方で、採用活動から入社、戦力化まで時間がかかります。

また、専門人材は計画どおりに採用できるとは限らないため、採用開始時期を必要時期から逆算して設定しましょう。

②社内育成・リスキリング

社内育成は、既存社員へ新しいスキルを身につけてもらい、質のギャップを埋める方法です。

社員がすでに自社の業務・文化を理解しているため、採用した人材よりスムーズに新しい役割へ移行できる可能性があります。

一方、育成には一定の時間が必要です。また、社内に専門知識を教えられる人がいない場合は、外部研修なども検討する必要があります。

DX人材の育成では、経済産業省・IPAの「デジタルスキル標準」などを、必要スキルを整理する際の参考にできます。

③配置転換・異動

配置転換は、他部署にいる人材を不足している部署へ移す方法です。

新たな採用コストをかけず、比較的短期間で人材を確保できます。

ただし、異動元の部署に新たな人員不足が発生しないかを確認する必要があります。また、本人のキャリア希望や適性も考慮しましょう。

スキルマップを作っておけば、社内のどこに必要なスキルを持つ人材がいるか把握しやすくなります。

④外部人材の活用

外部人材は、社内にノウハウがない専門領域や、一定期間だけ人材が必要な場合に有効です。

たとえば、DX、新規事業、人事制度設計、PMOなど、専門性の高い人材を短期間で確保したい場面に向いています。

正社員採用と異なり、必要な期間だけ契約できるため、固定人件費を増やさず人材不足を補える点もメリットです。

一方で、外部人材へ任せきりにすると、契約終了後に社内へノウハウが残らない可能性があります。社員をプロジェクトへ参加させる、マニュアルや成果物を残すなど、知見移転まで計画しておきましょう。

要員計画でよくある5つの失敗

①各部門の希望人数を積み上げるだけになる

各部門へ「来年度何人必要ですか」と聞き、その回答を合計しただけでは、要員計画とはいえません。

現場は現在の業務量を基準に人員を求めるため、全社で合計すると人件費予算を超えやすくなります。

経営計画と人件費の枠を先に設定し、部門側には希望人数だけでなく、その根拠となる業務量・事業計画も示してもらいましょう。

②人数だけを見てスキル不足を見落とす

必要人数が揃っていても、必要なスキルを持つ社員がいなければ、事業計画を実現できない可能性があります。

たとえば、IT部門に10名いても、新規のAIプロジェクトを推進できる人材が一人もいないケースです。

人数だけではなく、職種・役割・スキルごとに不足を確認しましょう。

③採用だけで不足を埋めようとする

不足人数をそのまま採用計画へ置き換えると、採用難によって要員計画そのものが未達になる可能性があります。

また、一時的な人材需要に対して正社員を採用すると、将来的に人員が余る可能性もあります。

採用だけでなく、育成・配置転換・外部人材も含めて、最適な組み合わせを考えましょう。

④退職・休職・採用遅延を織り込んでいない

現在の人数だけを基準にすると、退職や休職が発生した際に想定より人手が不足します。

過去の離職率、定年退職予定、育児休業などをもとに、計画期間中の減少見込みも反映しましょう。

また、採用が計画どおり進まなかった場合に備え、外部人材や社内応援などの代替策を用意しておくと安心です。

⑤作成後に見直さず形骸化する

年度初めに要員計画を作ったものの、その後一度も見直さないケースもあります。

事業計画や採用状況が変われば、必要人員も変わります。計画と実績が大きくずれると、現場から参照されなくなり、計画そのものが形骸化します。

四半期など定期的なタイミングで差異を確認し、どの条件になったら計画を修正するかを事前に決めておきましょう。

要員計画の策定・人材確保は「フリーコンサルタント.jp」へご相談ください

要員計画では、経営計画から必要人数・スキルを算出し、人件費予算と調整したうえで、採用・育成・配置・外部活用まで具体化する必要があります。

しかし、実際には「どのように必要人数を算出すればよいか分からない」「DXや新規事業に必要な専門人材を採用できない」「社内に人材戦略を設計・推進できる経験者がいない」といった課題もあります。

特に、要員計画で明らかになった不足人材が専門性の高い領域の場合、採用だけに頼っていると事業計画の開始時期に間に合わない可能性があります。

フリーコンサルタント.jpでは、事業会社やコンサルティングファームで経験を積んだプロ人材が、必要な期間だけプロジェクトに参画します。

人材戦略・組織設計など上流の整理から、DX、新規事業、業務改革など専門領域の実務推進、社内へのノウハウ移転まで、企業の課題に応じた支援が可能です。

「採用までの期間を待てない」「必要な専門性を持つ社員がいない」という場合は、要員計画の一部として外部プロ人材を組み込むことも選択肢の一つです。

フリーコンサルタント.jpによるAI・DX推進の支援事例

事例①|大手通信キャリア企業:デジタル活用推進に向けたCoE組織を立ち上げ

大手通信キャリア企業では、業務効率化を目的にデジタル活用を推進するCoE組織の立ち上げを計画していました。しかし、組織設計とデジタル技術の活用の両方を推進できる人材が社内に不足していました。

当時の課題 ・デジタル領域の知識と組織立ち上げ経験を併せ持つ人材が不足
・業務効率化ツールの開発・運用体制をゼロから構築する必要があった
実施したこと ・CoE組織の全体設計から運用構築・実運用まで一気通貫で支援
・事業部門への課題ヒアリングをもとにツール開発の仕組みを構築
・社員が自走できる体制へ知見を移転

組織の立ち上げと運用の安定化により、立ち上げ前と比べて業務工数を約25%削減しました。外部人材へ依存し続けるのではなく、社内メンバーが主体的に運用できる体制まで整えています。

事例②|大手飲食業界企業:データ活用人材の不足を外部プロ人材で補完

200店舗以上・約400品目の発注業務を店舗担当者の経験と勘に頼っていた大手飲食業界企業では、データサイエンティストなどのデータ活用人材が不足していました。

当時の課題 ・データサイエンティスト・データアナリストなどの専門人材が不足
・POSデータなどを使った需要予測を複数人が同じ精度で行うことが困難
・発注業務が担当者の経験と勘に依存
実施したこと ・店舗ごとの特徴を踏まえた変数を定義してデータを整理
・PoCを実施
・店舗ごとに需要予測できるAIモデルを構築・運用

需要予測AIによって発注業務の多くを自動化し、作業時間を削減しました。業務量そのものを減らすことも、要員計画において必要人数を調整する方法の一つです。

まとめ

要員計画は、経営計画・事業計画を実現するために、「どのような人材が・いつ・どこに・何人必要なのか」を整理し、その確保方法まで決める計画です。

作成する際は、以下の6ステップで進めます。

  1. 経営計画・事業計画を確認する
  2. 現在の人員・スキルを把握する
  3. 必要人数・必要スキルを算出する
  4. 現状とのギャップを特定する
  5. 採用・育成・配置・外部活用へ落とし込む
  6. 実績を確認して計画を見直す

必要人数は、トップダウン方式で「人件費から見た上限」を確認し、ボトムアップ方式で「現場の業務量から見た必要量」を算出したうえで、両者の差を調整すると根拠を説明しやすくなります。

また、「不足人数=採用人数」ではありません。採用・育成・配置転換・外部人材を組み合わせ、必要な時期・スキル・コストに合った方法で人材を確保することが重要です。

要員計画は一度作って終わりではなく、採用・退職・事業計画の変化に合わせて定期的に見直します。まずは、経営計画と現在の人員・スキルを並べ、どこに人数・スキルのギャップがあるかを可視化するところから始めてみてください。

(株式会社みらいワークス Freeconsultant.jp編集部)

非表示

【期間限定】プロのコンサルタントが費用感など診断します!30分無料診断