【8つの改善策とは】人件費の計算方法まとめ|適正値や内訳、見るべき指標まで解説 - freeconsultant.jp for Business
ビジネスコラムColumn
最終更新日:2026.03.03
人事/組織構築/業務改善

【8つの改善策とは】人件費の計算方法まとめ|適正値や内訳、見るべき指標まで解説

コストを減らして収益を拡大する手法のひとつに「人件費削減」が挙げられます。最小限の人件費で最大限のパフォーマンスを発揮できれば、効率よく収益が得られるので会社の未来も明るいものになるでしょう。

とはいえ、人件費を削ることだけに集中してしまうのは危険です。なぜなら、自社にとってコアパーソンとなる人材が転職したり、人手不足により新商品の開発や既存商品の改善にまで手がまわらなくなったりすることが懸念されるからです。

困ったときは人件費を正しく可視化し、人件費率を項目別に算出しながら課題に合った施策を探しましょう。本記事では、人件費の計算方法を解説しながら、具体的な改善方法を紹介します。人件費の計算方法や、分析項目、正しい適性値などについても解説していくため、人件費削減について悩んでいる方は是非最後までご覧ください。

人件費とは?

人件費とは、企業が従業員に支払う給与・賞与・社会保険料・福利厚生費など、労働に対してかかるすべての費用のことを指します。単に給料だけでなく、企業が従業員を雇用するために必要なコスト全体を含むのが特徴です。

人件費は企業の経営や財務管理において非常に重要な項目であり、予算計画・利益計算・採用戦略などの判断材料にもなります。

また、人件費は固定費として企業の支出に大きく影響するため、経営改善やコスト削減の観点からも注目されることが多いです。

人件費と労務費の違い

「人件費」と「労務費」は似ている用語ですが、実務上では意味が異なるため注意が必要です。

人件費は、企業が従業員に対して支払う給与など、雇用にかかる総合的なコストのことを指します。一方、労務費とは、人件費のうち製品を生産するためにかかった部分の費用のことです。たとえば、製造現場の作業員の給与やプロジェクトチームの工数に応じた人件費が、労務費として計算されます。

つまり、人件費は企業全体の雇用コスト、労務費は個別の作業やプロジェクトに紐づく人件費と言えるでしょう。

人件費には管理部門の給与や福利厚生も含まれますが、労務費には直接的に成果物や作業に関わる費用のみが含まれる点がポイントです。

人件費に含まれる6つの項目

人件費は以下6つの項目で形成されます。各項目について、詳しく解説していきます。

①給与、各種手当

人件費として最初にイメージするのは、給与と各種手当ですよね。給与は基本的に時間給や月給として支払われ、従業員の役職、経験、スキル、業績に応じて決定されます。

その他、次のように基本給に上乗せされて支払われる給与もあります。

  • 家族手当
  • 役職手当
  • 職務手当
  • 資格手当
  • 住宅手当

これらを含めて「固定給」とすることが多く、毎月一定の金額で支払われるので計算しやすいでしょう。

「変動給」として挙げられるのが、残業代、出張手当、インセンティブなどです。残業代は残業時間数に応じて変動する他、出張手当も出張先のエリアや日数により、インセンティブは成果や売上額により変動するので事前の試算が難しいのが特徴です。

②賞与

賞与は年2回(会社によっては決算賞与を加えて3回)支給されることが多いですが、賞与に関する明確な規定や法律はありません。そのため、賞与を支給するもしないも企業の自由であり、金額の決定や査定方法についても企業側の裁量で決定できるのが特徴です。

特定の従業員や部署だけを特別な扱いにするなど明らかな法律違反がない限り、基本的には自由に定められます。

賞与を出す理由は、主に業績奨励と従業員のモチベーションアップです。賞与は従業員の業績や成果を評価し、それに対する報酬として支給されるものなので、優れた業績や成果を上げた従業員がいれば賞与で積極的にフィードバックしていきましょう。報酬が期待できると従業員はより高いモチベーションで働くことができ、金銭的なインセンティブややりがいの向上につながります。

③福利厚生費

福利厚生費とは、従業員の福利や健康面の支援、労働条件の改善など、従業員の生活や働きやすさを向上させるための費用です。「法定外福利費」は、法律、法令の定めはなく、自社独自で導入している福利厚生費を示す項目です。主に次のような者が該当します。

  • 社内食堂の采井日
  • フィットネスジムとの連携
  • 託児施設の利用
  • 結婚祝い金や出産祝い金
  • 忘年会や新年会の費用負担

一度法定外福利を始めると取り下げのハードルが上がりますが、安定して維持できるのであれば従業員のモチベーションアップに貢献します。社員旅行やレクリエーション施設の利用など、社内コミュニケーション促進のきっかけとなる福利厚生もあるのでチェックしてみましょう。

採用市場での注目度も高まり、優秀な人材が積極的に応募してくれるなど人的資源の確保につながります。

④役員報酬

役員報酬とは、その名の通り企業の経営層や取締役会などの役員に支払われる報酬です。経営責任を負いながら戦略を組み立てる、負担の大きい仕事に対して支払われる報酬であるため、一般社員の給与より高く設定されています。

基本報酬の他、成果報酬や株式報酬が加わることもあり、年俸制での支払いをしている企業も多いです。

役員の地位や職務に応じて、役員手当や特別手当などが支給されるケースもあるので、まずは自社の役員報酬を計算してみましょう。会計年度ごとに金額を設定するため年度途中での急な変更が難しく、場合によっては役員会議や株主総会での承認、決議が必要なこともあるので、安定して支払える見込みの立つ金額で設定するのがおすすめです。

⑤法定福利費

どのような企業でも、必ず「法定福利費」が発生するので抑えておきましょう。法定福利費には、健康保険料、厚生年金保険料、介護保険料の会社折半分が含まれます。その他、労災保険や子ども、子育て拠出金など従業員の数に応じて会社が必ず支払わなくてはいけない項目も多く、人数や給与が変わる度に変動するので注意しましょう。

なお、法定福利費を意図的に削ることはできません。法律で定められている義務であるため、間違いなく支払えるよう資金繰りのシミュレーションをしておく必要があります。万が一支払いが滞った場合、社会的信用の損失や顧客、従業員の離脱を招くことが多く、会社として成り立たなくなってしまうので注意が必要です。

⑥退職金

退職金は、従業員が企業を退職した際に支給される金銭的な補償です。長年の勤続や貢献に対する報酬として支給されることが多く、一定の条件をクリアした従業員が支給対象となります。勤続年数、役職、もともとの給与に応じて定額で支払う他、定年退職後のキャリアプランや自社との関わり方次第で独自の加算をすることも多いです。

賞与と同じく運用手法は企業ごとの裁量にほとんど任されているので、感謝や貢献への謝意を示す手段として活用していきましょう。

なお、退職金が経費として計上されるのは、退職金を支払うタイミングです。一度に大きな金額が出ていくため、一度に退職が相次ぐと爆発的に人件費が増えてしまうので注意しましょう。計算的に退職金の経費計上をしたいときは厚生年金基金への積み立てや企業型確定拠出型年金への拠出で替えるなど、工夫が必要です。

人件費の計算方法

従業員の給与・賞与・各種手当・社会保険料・福利厚生費など、雇用にかかるすべての費用を合計することで「企業が従業員に対して支払う総コスト=人件費」を算出できます。

【人件費の基本的な計算式】

人件費 = 基本給 + 賞与 + 各種手当 + 法定福利費 + その他福利厚生費

【人件費の計算手順】
手順 詳細
①基本給の合計を算出する 正社員、アルバイト、パートなど全社員の毎月の給与
②賞与・特別手当を加算する 通勤手当、ボーナス、役員報酬など
③各種手当を加算する 残業手当、深夜手当、休日手当など
④法定福利費を加算する 健康保険・介護保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険など
⑤その他福利厚生費を加算する 退職金の積立金、社員旅行、健康診断など費用

正確な計算は、経営戦略やコスト管理、給与計算の透明化にもつながります。

企業の安定的な運営のためにも、人件費の計算方法は正確に把握しておきましょう。

雇用形態によって変動する人件費

人件費は、雇用形態によって変動する要素が大きいのが特徴です。同じ従業員100人の会社でも、100人全員が正社員なのか、過半数が非正規雇用なのかによって人件費の額は大きく変動するので注意しましょう。

以下では、代表的な雇用形態ごとの人件費について解説します。

役員の人件費

役員の人件費は会計年度ごとに決定することが多く、先の見通しを立てやすいのが特徴です。従業員における給与、賞与に当たる金額が「役員報酬」として支払われ、年俸制の場合でも基本的には月割りで支給されます。

ただし、役員は労働契約ではなく委任契約であり、役員報酬は「人件費」として計上しない点に注意しましょう。役員に支払う報酬のうち「人件費」として計上できるのは兼務役員に支払う報酬のうち、労働への対価として支払う金額に限定されます。

固定の支払いは役員報酬として、それ以外のインセンティブなどは給与、という扱いになるのがポイントです。

派遣社員の人件費

派遣社員への報酬は、派遣元である派遣会社経由で支払われます。派遣社員の所属先はあくまでも派遣会社であり、企業ではありません。法定福利費も派遣会社が負担するため、毎月固定で発生する人件費は抑えやすいのが特徴です。

労働への対価として発生する金額は、「外注人件費」あるいは「派遣人件費」などの科目で人件費に加えるので覚えておきましょう

。なお「外注費」などの別の勘定科目にしている場合、労働生産性の計算が難しくなる点にも注意が必要です。

契約社員の人件費

契約社員の人件費は、基本的に自社で直雇用している正社員と同じ扱いにできます。雇用形態が違っても、自社で雇用しているため法定福利費の負担義務も自社にあり、特別な違いはありません。契約社員の場合、インセンティブや退職金を用意していない企業もあるので、不定期に発生する人件費を抑える効果は高いです。

また、契約社員の採用、教育、研修にかかる費用も人件費として計上することがあります。今後経営コストを正しく試算したいのであれば項目を分けて管理し、報酬なのか教育費なのかを可視化しておくことがおすすめです。

業務委託の人件費

業務委託とは、企業が外部の個人や法人に特定の業務を委託する方法です。例えばフリーランスへの外注、専門家やコンサルタントへの相談、アウトソーシング企業など外部企業への委託などが挙げられます。

業務委託で支払う報酬は、基本的に「外注費」として扱います。給与や報酬ではないため源泉徴収票や社会保険料を支払う義務がない点に注意しましょう。つまり、人件費としてのランニングコストを最小限に抑えられる雇用形態とも言えます。

なお、業務委託の場合、会議の参加など無駄を省くことで稼働率を抑えてコストカットすることも可能です。その他「繁忙期だけ」や「変動的な業務」などフレキシブルな活用ができ、戦略的にコストを最適化できます。

株式会社みらいワークスでは、業務委託、フリーランスのプロフェッショナル人材とのマッチング事業を展開しています。

人件費を最小限に抑えつつ、業務パフォーマンスの最大化も狙いたいときはお気軽にご相談ください。

人件費の適正性を測る指標「人件費率」と「労働分配率」

人件費を決める際には、特に「人件費率」と「労働分配率」が重要です。「人件費率」とは、売上など自社収益に対する人件費の割合を示す言葉です。人件費率が高いと「売上の割にコストがかかりすぎている」ため、生産性や業務効率を改善する必要があります。

反対に、人件費率が低いと生産性の高い状態だと捉えることができますが、あまりにも低い場合は従業員への還元を検討しましょう。

「頑張りの割に報酬が低い」と従業員が不満に思うことで、従業員のモチベーション低下や離職を招きます。

「労働分配率」は、付加価値に対する人件費の割合を示すものです。付加価値とは、企業が仕入れた材料や情報に新しく価値をつけて販売した際に生じた利益と、仕入れの金額の差額を指します。

労働分配率が高いと人件費が付加価値を圧迫していると判断でき、利益の確保や経営の維持が困難になります。反対に、労働分配率が低いと従業員のモチベーションが下がりやすく、生み出せる付加価値も今後少しずつ減ってしまうことが懸念されます。

ここでは「人件費率」と「労働分配率」の計算方法や最適な基準値について解説します。

人件費率の計算方法

人件費率には「売上高人件費率」と「売上総利益人件費率」があるので注意しましょう。

「売上高人件費率」は、売上に対する人件費の割合を示すものであり、簡易的な計算に役立ちます。

【計算式】

売上高人件費率 = 人件費 ÷ 売上高 × 100

一方「売上総利益人件費率」は、売上総利益(粗利)をもとに計算するため、変動費となる売上原価を含まないのが特徴です。

【計算式】

売上総利益人件費率 = 人件費 ÷ 売上総利益 × 100

人件費率をより正確に試算したいときは「売上総利益人件費率」の指標を活用しましょう。

【業種別】人件費率の最適な基準値

人件費率の最適な基準値は、業種ごとに異なります。直近の調査では、以下の数値が確認できました。

業種 最適な人件費率
飲食、サービス業 38.0%
製造業 20.8%
情報通信業 31.6%
小売業 13.0%
卸売業 6.8%

各業界の人件費率によって、かなりの差があることが分かります。

また、同じ業種でも提供する商品、サービスの特性や売り出し方によって人件費率は大幅に変わるので注意しましょう。例えばホテル業の場合、最小限のサービスによるセルフ式の宿泊や、大人数が泊まれるカプセルホテル等では人件費率が下がります。反対に、客数を大幅に絞り込んで限られた顧客に対して最上級のサービスを提供する高級ホテルの場合、売上の単価が高くてもその分人件費がかかるため人件費率も高く現れます。

同業他社の人件費率や自社の過去データと比較した人件費率を参考にしながら、理想となる数値を決めていきましょう。

労働分配率の計算方法

労働分配率の計算方法は、以下のとおりです。

【計算式】

労働分配率 = 人件費 ÷ 付加価値額 × 100

なお、付加価値額の計算方法には「控除法」と「加算法」の2つがあるので注意しましょう。

【控除法の計算式】

付加価値額 = 売上高 − 外部購入費

【加算法の計算式】

付加価値額 = 経常利益 + 人件費 + 賃貸料 + 減価償却費 + 金融費用 + 租税公課

控除法は、販売した価格から原料などの価値を差し引くだけで求められるため、比較的簡単に計算できるのが特徴です。反対に加算法は、各工程にかかる費用を足していくので工数はかかるものの、何にどれくらいの費用がかかっているのかを把握できます。

【業種別】労働分配率の基準値

労働分配率の基準値も、業種ごとに異なります。直近の調査では、以下のように算出されました。

業種 最適な労働分配率
飲食、サービス業 69.3%
製造業 46.2%
情報通信業 52.8%
小売業 49.0%
卸売業 46.4%

飲食、サービスなど多数の人手が必要な業種は、労働分配率が高くなる傾向にあると思われがちですが、実は情報通信業でも高い数値になっている点に注目しておきましょう。

情報通信業は最小限のスペースで外部購入費を抑えながら経営できるのが利点ですが、システムやソフトウェアの開発にはIT関連の高い専門知識が必要なため、人件費が高いのが特徴です。

特に近年エンジニアやプログラマーは人手不足になりつつあり、少ない人材を高額の報酬で獲得する動きが出ているため、労働分配率も高くなっているのです。

人件費の適正化を図るために確認すべき6つの項目と計算式

人件費の適性値を知るためには、まず自社の状態を客観的に評価することが大切です。口コミ、評判など定性的なものではなく、売上高や労働生産性など数値で判断しやすい定量評価の視点を加えましょう。

ここでは、人件費の適性値を知るために分析すべき項目と分析方法を解説します。

①1人当たりの人件費

1人当たりの人件費は、従業員1名にかかる総コストを把握するための基本指標です。1人当たりの人件費数値を知ることで、部門や職種ごとのコスト構造を比較したり採用・配置の判断に活用したりできます。また、人件費が高すぎる場合や低すぎる場合の原因(給与水準・手当・福利厚生費など)を分析することも可能です。さらに、1人当たり人件費の推移を年単位で追うことで給与改定や福利厚生の影響を把握し、適切なコストコントロールにつなげることもできます。

1人当たりの人件費の計算方法は、以下のとおりです。

【計算式】

1人当たりの人件費 = 総人件費 ÷ 従業員数

たとえば、総人件費が1億円で従業員が50名の場合、1人当たりの人件費は200万円です。

算出した数値を基準に、部署間のバランスやコスト効率をチェックしていきましょう。

②1人当たりの売上高

1人当たりの売上高は、文字通り労働者1人当たりが生む売上高を示す指標です。数値が高ければ売上に対する貢献度が高いと評価できます。

【計算式】

1人当たりの売上高 = 売上高 ÷ 従業員数

営業部門だけを対象に試算することもあれば、総務部や経理部などバックオフィス部門も加算して自社全体の売上高を把握することもあるので試してみましょう。部門ごとの試算は例年のデータと比べながら専用の教育、研修プランを考えるのに役立ちます。

全体での試算は将来的な経営維持の可能性を探りたいときに便利です。

③1人当たりの経常利益

1人当たりの経常利益は、従業員1名がどれだけ企業の利益に貢献しているかを示す指標です。単に人件費を管理するだけでなく、従業員の生産性や採算性を把握したいときに活用できます。

【計算式】

1人当たりの経常利益 = 経常利益 ÷ 従業員数

「経常利益」は、売上総利益から販売費、一般管理費、営業外収益を差し引いた利益を指します。経営利益を従業員数で割ることで、1人あたりの利益貢献度を算出することが可能です。

④人当たりの伸び率

1人当たりの伸び率は、従業員1名あたりの売上や利益が前年や過去の期間と比べてどれだけ成長しているかを示す指標です。1人当たりの伸び率を可視化すると、組織全体や部署ごとの生産性の向上状況を把握し、改善すべきポイントや成功要因を分析できます。

【計算式】

1人当たりの伸び率(%) = (今年の1人当たりの指標 - 前年の1人当たりの指標) ÷ 前年の1人当たりの指標 × 100

たとえば、昨年の1人当たり経常利益が100万円、今年が120万円であれば、伸び率は「(120万円-100万円) ÷ 100万円 × 100 = 20%」です。

人件費の増減だけではなく、従業員1人あたりの収益性や効率性の向上度合いを客観的に評価したいときに活用しましょう。

⑤労働生産性

労働生産性とは、労働者ひとり当たりの生産性を示す指標です。一定の期間内に従業員がどれだけの価値を生み出したか測ることができます。

【計算式】

労働生産性 = 生産物の物量 ÷ 労働量

労働生産性の数値が高ければ、従業員ひとりひとりが最適に業務遂行できていると判断できます。業務上の無駄や重複がなく、効率よく価値を創造できている理想的な状態です。

反対に、労働生産性の数値が低ければ、人数の頭数に対して期待していたような価値創造ができていない状態と言えます。

業務のどこかに非効率が出ていたり、反対に頭数だけ多くて手持ち無沙汰になっていたりする可能性があるため、現場の状況を確認してみましょう。

⑥人事生産性

人事生産性とは、時間当たりの生産性を出す指標です。労働者1人が1時間働いたときの生産性を確認することができます。どのくらいの時間をかけてどの程度稼いだかをチェックできるので試してみましょう。

【計算式】

人時生産性 = 粗利益高 ÷ 総労働時間

たとえば「1人当たりの売上高」や「1人当たりの経営利益」が非常に高く出ていても、人事生産性が低いのであれば問題です。残業、休日出勤や自主的な持ち帰り業務などで高額な売上高をカバーしている疑いがあり、マンパワーに頼る戦略になってしまっていると懸念されます。ワークライフバランス重視のトレンドと逆行する働き方になり、従業員の離脱を招く他、過労によるメンタルヘルスの崩れや心理的安全性の低下を招く可能性が高いです。人事生産性が低い状態を放置すると、今の売上水準を維持できなくなり、経営指標も悪化していきます。

「1人当たりの売上高」や「1人当たりの経営利益」が高くてもそれだけで安心せず、人事生産性も加味しながら理想的な働き方になっているか確認することが大切です。

人件費改善のための8つの施策

人件費は企業にとって大きな固定費であり、適正に管理・改善することで経営効率の向上や収益改善に直結します。しかし、単に給与を抑えるだけでは従業員のモチベーション低下や離職リスクを招く可能性があるため、バランスの取れた施策を検討することが重要です。

以下では、人件費の無駄を減らしつつ、組織の生産性を高めるために有効な8つの施策を解説します。

業務プロセスの最適化

業務プロセスの最適化は、人件費改善の基本施策のひとつです。無駄な作業や重複業務を見直し、効率的なフローに改善することで、同じ成果をより少ない工数で達成できるようになります。さらに、プロセスの改善は従業員の作業負荷の軽減にもつながるため、モチベーション向上や離職防止にも効果的です。

具体的には、以下のような取り組みを行っていきましょう。

①作業時間や作業方法の見直し

業務プロセスの最適化を行ううえで、まず注目すべきは作業時間や作業方法の見直しです。社員一人ひとりの能力や経験、業績に応じた業務配分ができているかを確認しながら可視化しましょう。

特定の社員に作業が集中している場合や、逆にスキルを活かせていない業務がある場合は、業務の割り振りを見直すことで効率が向上します。

また、作業手順の簡略化や重複作業の削減もポイントです。社員が本来の能力を最大限発揮できる環境を整えることで無駄な残業を減らし、人件費の適正化にもつなげることができます。

②人員配置の見直し

人件費の適正化を図るうえで重要なのが、人員配置の見直しです。各部署やチームに必要な人員が過不足なく配置されているかを確認することで、無駄な人件費を抑えつつ業務効率を高められます。具体的には、社員のスキルや経験、業務量に応じた適切な配置を行い、特定の社員に負担が偏らないよう調整しましょう。

また、業務の繁閑に合わせた柔軟な人員のシフトや、役割分担の見直しも効果的です。

従業員一人ひとりが能力を最大限に発揮できる環境を整えつつ、過剰な残業や人的リソースの無駄を防げます。

③リモートワークの活用

リモートワークを活用することで、通勤手当などの間接的な人件費を削減できます。

社員一人ひとりの移動費を抑えるだけでなく、オフィスの運営コストや光熱費などの経費削減にもつながるので、出社必須の業態でなければぜひ取り入れてみましょう。

また、リモートワークを導入することで社員の柔軟な働き方が実現し、生産性の向上や離職率の低減にも効果があります。企業全体で見ると人件費だけでなく総コストの最適化にも寄与するため、適切な制度設計と運用ルールの整備と同時に進めましょう。

収益構造・成果創出の見直し

人件費を適正化するためには、単にコストを削減するのではなく、社員の働きが収益に直結する業務構造に見直すことが重要です。業務ごとの費用対効果を把握し、成果創出に貢献する業務に人材を集中させることで、効率的に利益を生み出す体制を作れます。

具体的な方法は、以下の通りです。

①商品・サービスへの付加価値創出

人件費の最適化には、商品の価値やサービスの質を向上させることが重要です。付加価値を高めると販売単価や利益率を向上させられるので、人件費に対する収益性(人件費率)を改善できます。

具体的には、製品やサービスに独自性や品質向上の工夫を加える、UI/UXを改善するなど、より高い利益を生み出せる体制を作りましょう。

結果として、人件費を効率的に活かしつつ、企業全体の収益性向上につながる「一石二鳥」の施策になります。

②ツール・機器導入による工数削減

人件費の効率化には、業務にかかる工数を削減することも重要です。ツールや機器を導入して作業時間を短縮できれば、同じ業務量でも必要な人員を抑えられ、人件費の最適化が実現できます。

たとえば、書類作成やデータ集計、定型作業などを効率化することで、社員の時間をより付加価値の高い業務に充てられます

また、工数削減によって業務の属人化を防ぐことができ、組織全体の生産性向上にもつながるでしょう。

③人事評価制度の整備

人件費の適正化には、従業員の生産性向上を促す人事評価制度の整備が重要です。正当で透明性のある評価制度を導入することで従業員のモチベーションが向上し、業務効率や成果の向上につながります。

具体的には、成果や能力に応じた報酬や昇格の仕組みを明確にすることで、社員は自分の努力が正当に評価されていると実感できるでしょう。

無駄な残業や作業効率の低下を防ぎ、1人あたりの生産性を高めるなど工夫すれば、人件費の適正化と組織全体の業績向上を同時に実現できます。

管理体制・リソース配分の最適化

人件費を最適化するには、管理体制の整備とリソース配分の見直しが不可欠です。各部署やプロジェクトにおける人員や時間の配分を適切に行うことで、業務の過不足や偏りを防ぐことができます。

具体的な施策例は、以下のとおりです。

①エクセルを活用した人件費管理

毎回手作業で人件費を計算すると手間がかかり、過去のデータとの比較も難しくなります。そこで、エクセルを活用して人件費をまとめて管理することで、計算の手間を大幅に削減することが可能です。

給与・賞与・手当・社会保険料などを項目ごとに整理し、月ごとや年ごとに集計することで、部署別・社員別の人件費を簡単に把握できます。

また、過去データとの比較や推移の確認も容易になり、コスト分析や改善施策の立案にも役立つでしょう。

②補助金・助成金の活用

人件費の最適化には、外部の補助金や助成金を活用することも有効です。採用・教育・研修・業務効率化にかかる費用の一部を国や自治体の制度で補助してもらうことで、実質的な人件費負担を軽減できます。たとえば、新規採用や若手社員の育成、業務改善プロジェクトなどに対する補助金を受け取ることが可能です。

補助金の活用は、投資コストを抑えつつ組織の能力向上を図れるほか、長期的な人材育成や業務効率化の取り組みを支援する手段としても役立ちます。

適切な制度を調査し、計画的に活用していきましょう。

人件費を削減するときの3つの注意点

以下からは、人件費削減を進める際に注意すべき3つのポイントを解説します。

社員の働きや組織のパフォーマンスに悪影響を与えず、効率的にコストを抑えるための具体的な考え方を理解していきましょう。

①基本的に給与カットは行わない

人件費削減を目的として最初に考えがちなのが、社員の給与カットです。しかし、給与を直接減らすことは社員のモチベーションや働く意欲を大きく損ない、生産性の低下や離職のリスクを高める可能性があります。特に、優秀な人材が離職してしまうと業務負荷やコストが増加するため、短期的な削減策としても非常に危険です。また、社員間の不公平感や不信感を生み、組織全体の士気低下にもつながります。

そのため、人件費の調整を検討する場合でも、基本的には給与を減らす手段は避けるべきです。給与を維持したうえで効率的な働き方や生産性向上を図ることが、社員のやる気を損なわずに人件費を最適化するための前提となります。

②業務見直しの際には従業員に周知する

業務フローを見直したり、新しいシステムやツールを導入する際には、従業員への周知が不可欠です。突然変更を加えると現場で混乱が生じ、作業の停滞やミスが増える可能性があるので注意しましょう。逆に生産性が低下し、人件費削減の効果が薄れてしまいます

事前に目的や変更内容を説明し、どのように対応すべきかを共有することで、社員がスムーズに新しい業務フローに順応できる点がポイントです。

また、従業員からの質問や意見を受け付けることで、現場の課題を把握しながら改善策を調整できます。

③外部委託は自社課題を整理したうえで活用する

人件費の見直しや削減を進める際、外部委託はコストの最適化と業務効率化を同時に実現できる有効な手段のひとつです。専門知見を活用することで、自社だけでは気づきにくい改善点を洗い出すこともできます。

しかし、ただ外部に業務を丸投げするだけでは狙い通りの効果を得られないケースも多いです。まずは自社の課題や業務フローを整理し、どの業務を外部委託すれば効率化やコスト削減につながるかを明確にすることで、ミスマッチを防止できます。

人件費の見直し・削減なら「フリーコンサルタント.jp」へご相談ください

人件費の適正化や削減は、単にコストを抑えるだけでなく、業務効率や社員のパフォーマンスを維持しながら進めることが重要です。

「フリーコンサルタント.jp」では、社内ワークフローの見直しや業務プロセスの最適化に加え、専門知見を持つプロ人材による外部委託の活用支援も行っています。社内リソースを効率的に活用しつつ、必要な業務を適切に補完することで、無理のない人件費削減を実現できるのがポイントです。

現場の混乱を避けながら、組織全体の生産性向上とコスト最適化を両立させる具体的な施策を考案したい方は、お気軽にご相談ください。

フリーコンサルタント.jpによるワークフロー改善事例3選

企業の業務効率化や人件費の最適化を進めるうえで、現場のワークフロー見直しは非常に効果的です。以下では、フリーコンサルタント.jpが実際にワークフロー改善を支援した3つの事例を紹介します。

事例①大手精密化学メーカー会社

大手精密化学メーカー会社では、業務効率化と人件費最適化を目的に、現場のワークフロー見直しを進めることになりました。通常の改修スケジュールよりも短期間でのプロジェクトでしたが、フリーコンサルタント.jpが支援することで改修計画は予定通り完了しています。既存のワークフローを6本から4本に減らすことに成功し、業務の簡素化と作業負担の軽減を実現しました。

さらに、将来的に発生し得る現場での改修に備えたドキュメント整理やプロパー社員へのスキルトランスファーも実施したのがポイントです。その結果、社員の教育が進み、システムに関する知見が大幅に向上しました。

業務効率化とともに、現場の自律的な運用体制の整備にもつながった事例です。

事例②大手エネルギー会社

大手エネルギー会社では管理や財務会計の業務が煩雑化しており、業務改善の必要が急務となっていました。しかし、プロパー社員だけで推進するには負荷が大きく、業務フローの可視化もできていなかったため、効率化プロジェクトを支援する専門人材が必要な状況にありました。

フリーコンサルタント.jpでは、プロジェクトマネジメント業務を担当し、プロパー社員の補佐役として業務効率化を推進しています。その結果、手作業で行っていた登録業務の自動化に成功し、全体の業務量の約60%を削減できました。

また、プロジェクトに関する資料作成を通じて、業務改善のナレッジを社内に蓄積・活用できる体制も整えました。

管理・財務部署の業務フローが可視化され、効率化のポイントが明確になっています。

事例③大手人材サービス会社

大手人材サービス会社では、補助金処理業務において、業務手順・業務フロー・オペレーターの審査基準が定まっておらず、処理期間内に案件が滞留する問題が発生していました。関係省庁から指摘を受けても、どのように対応すればよいかが不明確な状況で、申請案件の停滞が多数発生していました。

フリーコンサルタント.jpでは、業務改善コンサルタントが経営層から現場オペレーターまで伴走し、全工程の可視化・分析・再設計・現場導入までを実施しています。
業務マニュアルの整備により既存オペレーターの生産性が向上するとともに、新規採用オペレーターの教育コストも大幅に軽減されました。

全社的なオペレーション改善により、短期間での即効性と費用対効果を両立した業務効率化を実現した事例です。

人件費に関する3つのよくある質問

最後に、人件費に関するよくある質問を紹介します。

Q.人件費は売り上げの何パーセントが目安?

企業における人件費の目安は、一般的に売上の20%~30%前後とされています。製造業や小売業などは20%程度、ITやコンサルティングなどは30%程度が適正です。

ただし、これはあくまで目安であり、会社の経営戦略や成長フェーズ、利益率によって適正割合は変動します。

目安を参考にしつつ、適切な人件費の管理と最適化を進めることが持続可能な経営につながるでしょう。

Q.一人当たりの人件費はどれくらいが適切?

一人当たりの人件費の適正額は、企業の業種、事業規模、社員の役割やスキルによって大きく異なります。一般的には、企業の総人件費を社員数で割った平均値を基準とし、役職や職種ごとに調整すると良いでしょう。

ただし、単純な平均だけで判断するのではなく、社員の生産性や売上への貢献度も考慮する必要があります。一人当たりの人件費を把握し、業務効率や成果とのバランスを考慮することで、企業全体のコスト最適化につながるでしょう。

Q.人件費が高い場合はどうすれば良いですか?

人件費が高くなっている場合は、単に給与を削減するのではなく、業務効率や生産性を改善する方法を検討することが重要です。

まずは業務フローや作業内容を見直し、無駄な作業や重複業務を削減することで、同じ人員でもより効率的に成果を出せる体制を整えましょう。また、業務の一部を外部委託や自動化ツールで補うことで、社員の負担を減らしつつコストを抑えることができます。

まとめ

人件費率が高いと収益の悪化が懸念され、反対に人件費が低いと従業員への還元が不十分なことが懸念されるとわかりました。人件費率は極端に高い、低い状態にあると望ましくなく、業種、業態に合った適正なバランスで維持することが重要です。

人件費率の改善に困ったときは、まずは自社の人件費の適正値を元に作業時間や作業効率の見直し、人員配置などの見直しを行いましょう。もし、自社での改善が難しいと判断した場合は、フリーランス人材の活用による業務委託を検討してみましょう。ノンコア業務を任せるなど実務面でも役立つ活用にしつつ、人件費を下げてその分従業員に還元したり新たな設備投資をしたりすれば、効果的な経営戦略にできます。

(株式会社みらいワークス Freeconsultant.jp編集部)

非表示

【期間限定】プロのコンサルタントが費用感など診断します!30分無料診断