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最終更新日:2026.01.13
DX/最新技術

物流DXとは?物流業界の課題やDX推進のためのポイントを導入事例を元に解説!

物流DXとは?物流業界の課題から見えるDX推進の取り組み事例

物流DXとは、物流業界においてAIやIoT、ビッグデータなどのデジタル技術を活用し、業務プロセスやビジネスモデルを変革する取り組みです。近年、さまざまな業界でDX化が進む中、物流分野でもその重要性が高まり、注目を集めています。物流DXの推進は、業務効率の向上やコスト削減、配送品質の安定化など、現場と経営の双方に多くのメリットが期待できるのが特徴です。

本記事では、物流DXによって改善できることや導入のメリット、デメリット、成功させるためのポイントや具体的な課題解決事例などを紹介します。記事の後半では、物流DXの推進を後押しする補助金制度についても紹介しております。

1.物流DX(デジタルトランスフォーメーション)とは

1.物流DX(デジタルトランスフォーメーション)とは

物流DXとは、国土交通省により「デジタル化や機械化により、物流ビジネスモデルを変革すること」と定義されています。物流業界における各プロセスでデジタル技術を活用し、人手不足や業務の複雑化といった構造的課題を解決する手段として、需要が高まっています。

物流DXは、単なる機械化や業務のデジタル化そのものが目的ではありません。デジタル技術を活用して、新たな価値や競争優位性を創出することを目的としています。

2)物流業界に物流DXが求められている背景とは

物流業界では「導入したシステムが十分に活用できない」「既存システムが過度に複雑化している」などの課題を抱える企業が少なくありません。システム導入後、部門単位でシステムが分断され、全社横断でデータを活用できない場合、経営層がDXを推進しようとしても、既存システムが障壁となり計画が停滞します。

経済産業省は物流業界のDX推進の遅れにより、2025年以降に年間最大12兆円の経済損失が生じる可能性があると予測しました。物流DXの停滞による経済損失は、業界全体で深刻なリスクとして懸念されています。

また、サプライチェーン上では複数の企業が関与するため、IT推進の主体が不明確になりやすい点も課題です。課題に迅速かつ柔軟に対応するために、物流DXの推進が求められています。

※2:D X レポート ~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~(経済産業省)

2.物流業界が抱える5つの課題

Amazonや楽天などのEC市場の発展により、消費者は自宅にいながら商品を購入し、迅速に受け取れるようになりました。一方で、物流への依存度は年々高まり、需要の増加に対して供給が追いつかず、物流業界ではさまざまな課題が顕在化しています。

以下では、物流業界が直面している中でも、特に喫緊の課題を5つ紹介します

1)小口配送の急増

EC市場の拡大によって、一般消費者がネットショッピングを利用する機会が増えたことにより、小口配送や再配達が一般化し、物流現場の業務負担が大きくなっています。経済産業省の調査によると、2024年の国内BtoC-EC市場規模は約26.1兆円となり、前年比で約5.1%増加しました。

物流DX BtoCにおけるEC市場の経年推移

※3:経済産業省HP

EC需要の拡大に伴い、迅速な配送が求められる一方で、トラックの積載効率低下や在庫管理の複雑化などの課題も顕在化しています。

2)人手不足

長時間労働や賃金水準の低さ、ドライバーの高齢化など複合的な要因による、慢性的な人手不足も深刻な課題です。

以下の課題国土交通省の調査結果によると、物流業界の有効求人倍率は約2倍の水準となっており、全業界に比べて人材の確保が行えていないことが分かります。

トラックドライバーの労働時間と賃金のグラフ

※4:国土交通省説明資料

少子高齢化の進行により物流業界の人材確保が困難になっているにも関わらず、全産業平均と比べて年間賃金は1〜2割低いため、若手人材の確保が難しくなっているのです。

しかし、人手不足が進めば、現場の負担増加やサービス品質の低下につながりかねません。そのため、IT活用や自動化による抜本的な業務改革が不可欠といえるでしょう。

3)長時間労働

物流業界の長年の課題としてあげられるのが長時間労働です。国土交通省の資料によると、トラックドライバーの年間労働時間は、全産業平均の約1.2倍という高い数値を記録しています。

トラックドライバーの労働時間の推移グラフ

※5:トラック運送業の現状等について|国土交通省

今後は、働き方改革で長時間労働に上限が設けられるものの、他の業界よりも上限規制は緩めに設定されているため、労働環境が劇的に変わるとは言えないでしょう。

働き方改革によるトラックドライバーの労働時間の変更

※6:時間外労働の上限規制について|厚生労働省

長時間労働が発生する背景には、荷待ち時間の長期化や人手不足、交通渋滞などがあり、個々の努力だけでは改善が難しい課題です。近年ではトラックドライバーの時間外労働時間に規制が適用され、960時間以上働くことは不可になりました。

しかし、運輸物の数は増加傾向にあるため、業務の効率化や省人化を進め、長時間労働を前提としない物流体制への転換が求められています。

4)DX化の遅れ

物流業界では、DX化の遅れが深刻な課題となっています。受発注や進捗管理に紙や電話を用いるケースも多く、たとえシステムを導入していても、部門ごとの一部業務にとどまっている企業は少なくありません。

独立行政法人情報処理推進機構の調査でも、物流業界では他産業と比べてデジタル技術の活用が十分に進んでいないことが指摘されています。


※6:独立行政法人情報処理推進機構:DX動向2024

5)在庫管理スペースの不足

EC市場の拡大により、在庫管理の倉庫スペースが不足していることが物流業界の新たな課題となっています。JLL日本の調査を確認すると、実際に在庫管理スペースの確保が難しくなっていることが見て取れるでしょう。

在庫の可視化が不十分なまま保管を続けると、滞留在庫が増加し、無駄な保管コストが発生しかねません。また、スペース不足は保管効率の低下だけでなく、ピッキングや出荷作業の非効率化にもつながります。

今後は、在庫情報の可視化や倉庫運用の高度化が不可欠です。


※7:JLL日本:首都圏・大型物流施設の賃料・空室率の推移

3.物流DXにより改善できること4つ

物流業界が抱える課題を解決するためには、従来のやり方を見直し、業務の進め方そのものを変えていくことが重要です。そこで重要な役割を果たすのが物流DXであり、業務の効率化や現場状況の可視化、判断スピードの向上が可能になります。

次項からは、物流DXを推進することで何が改善できるのか、4つの観点から紹介します。

1)在庫管理などの業務効率化

物流DXによって在庫管理業務を効率化することで、正確な在庫把握がリアルタイムで可能となり、作業のムラを抑制できます。

従来は、入出庫時の数量入力や在庫数の確認を人手に頼るケースが多く、業務負荷が大きい点が課題でした。また、管理方法が担当者ごとに異なる場合、業務が属人化してしまうことも少なくありません。

しかし、クラウド型在庫管理システムを導入することで、複数拠点の在庫を一元管理でき、在庫過不足の防止に繋げることができます。

その結果、在庫確認や棚卸にかかる時間が短縮され、従業員は企画や改善といった付加価値の高い業務に注力することが可能です。

2)コスト削減

物流業界においてDX化を行うと、コスト削減につながります。例として挙げられるのが、ペーパーレス化やAIまたはロボット導入による自動化です。

ペーパーレス化は、資料や契約書などの紙媒体を電子データで取り扱うことで、業務効率化やオンライン手続きの促進、印紙代の削減など多くのメリットを享受できます。また、集積した電子データをもとに、企業の現状分析や経営戦略の立案など、多くの課題解決につながるヒントも得られるでしょう。

AIやロボット導入による自動化は入出庫・在庫管理・ピッキング作業など、人による作業をAIやロボットにより自動化することで、労務費の削減につながります。

同時に、ヒューマンエラーが減少することで品質改善につながるため、物流全体でのトータルコスト削減に寄与できるでしょう。

3)配送ルートの可視化

物流DXにより配送ルートを可視化することで、輸配送の効率を大きく向上させることができます。車両の位置情報や配送状況をリアルタイムで把握することもできるため、トラックごとの稼働状況や空き時間を考慮した最適な配送計画の立案が可能です。

また、AIやビッグデータを活用したルート最適化により、走行距離や待機時間を削減でき、燃料費や人件費の抑制にもつながります。

突発的な渋滞や配送条件の変更にも柔軟に対応できるため、遅配リスクを低減させることも可能です。

さらに、スマートフォンやカーナビのルート指示により、新人ドライバーでも効率的に走行できるので、限られた人員で安定した配送体制を維持するために、物流DXは重要な施策といえるでしょう。

4)ヒューマンエラー防止

ピッキングミスや配送ミス、再配達によるヒューマンエラーも、DXを導入することで少なくすることが可能です。デジタルピッキングを導入すれば、作業指示がデジタル表示されるため、紙のリストを確認しながら作業する必要がなくなります。作業手順が標準化されることで、ミスが起こりにくい環境を構築でき、経験の浅い作業者でも正確な作業が可能です。

ヒューマンエラーが減少すれば、再配達や返品といった二次的な業務負荷も軽減され、現場の負担を抑えながら品質を安定させることができます。

その結果、顧客満足度の向上にも寄与するでしょう。

5.物流業界が抱える課題と、物流DXによる取り組み事例

2.物流業界が抱える課題と、物流DXによる取り組み事例
物流DXを推進するには、まず会社として抱えている課題を明確にすることが第一歩です。ここでは物流業界で多くの会社が抱える課題をもとに、物流DXによってどんな解決策があるか実際の事例をまとめました。

1)EC利用急増に伴う商品管理の複雑化

EC利用の急増に伴い、物流現場では商品管理の複雑化が大きな課題となっています。経済産業省の調査によると、2024年の国内BtoC-EC(消費者向け電子商取引)市場規模は約26.1兆円となり、前年比で約5.1%増加しました。

この状況を解決するために京セラ株式会社では、物流倉庫の管理にモバイルアプリを導入し、約40万点に及ぶ在庫管理業務をデジタル化しました。棚卸データをクラウドで一元管理することで、現場作業の負担軽減とリアルタイムでの情報共有を実現し、業務プロセス全体の効率化と属人化の解消につなげています。

2)トラック積載効率の低下

小口配送の増加や多品種、小ロット化の進行により、トラックの積載効率低下が課題となっています。国土交通省の2024年度統計によると、営業用車両の積載効率は41.38%であり、稼働可能容量の半分以上を活用できていない状況です。積載可能量の約6割近くが未活用となっている状況は、燃料費や人件費の増加、配送単価の上昇を招く要因であり、物流DXの重要なテーマの1つとなっています。

日通NECロジスティクスでは、3Dセンサーカメラを活用し、トラックの積載状況を可視化するシステムを開発しました。積載率を把握することで、空きスペースのあるトラックと荷主のマッチングが容易になり、効率的な輸送計画の立案が可能となります。

さらに、AIと組み合わせることで業務効率化のみならず、新たな荷主獲得や収益向上、低負荷輸送の実現も期待できます。

3)配送ドライバーなどの人手不足

物流業界では、配送ドライバーを中心とした人手不足が深刻です。厚生労働省の調査によると、2025年10月時点でトラックドライバーを含む自動車運転職の有効求人倍率が約2.59倍となっており、全職種平均の1.2倍を大きく上回っています。つまり、ドライバーの供給が需要に追いついておらず、採用競争が非常に激しい状況です。こうした背景には、長時間労働や低賃金、高齢化による担い手不足などが影響していると考えられています。

CBcloud株式会社が提供するマッチングプラットフォームでは、フリーランス配送ドライバーと荷主を直接つなぐ仕組みを構築しました。荷主が依頼を出すと即座にドライバーとマッチングでき、迅速な配送を実現しています。

全国に存在するフリーランスドライバーの活用が進めば、ドライバー不足が解決できる可能性が高いです。

4)燃料などのコスト高騰

物流業界では、燃料費をはじめとする各種コストの高騰も大きなリスクとなっています。原油価格は新型コロナウイルス感染症の影響で一時的に下落したものの、過去には急騰を繰り返してきました。加えて、トラックやタイヤなど輸送に必要な設備、資材の価格も上昇傾向にあり、物流事業者の収益を圧迫しています。

佐川宅急便では、効率的に荷物を配送できるルートを案内してくれるシステムを開発し、配送効率アップを実現しました。最も効率の良い配送ルートを提案してくれるため、無駄な燃料消費も防げるほか、配送時間を短縮することにも繋がります。

従業員の労働環境改善や顧客満足度の上昇にもつなげられる好事例といえるでしょう。

4.物流DXを推進するメリットとデメリット

物流DXの導入により、人手不足やコスト削減、配送ルートの可視化などの課題が解決できます。一方で、物流DXの導入にはデメリットも存在するため、それぞれを十分に理解したうえで導入を検討しなければなりません。

次項からは、物流DXを推進するメリットとデメリットをそれぞれ紹介します。

物流DXを推進するメリット

物流DXを推進する最大のメリットは、生産性向上による人手不足の緩和です。DXシステムを活用することで人に依存していた業務を自動化・省人化でき、限られた人員でも安定した運営が可能になります。

また、在庫管理や配送計画の最適化、ペーパーレス化により、業務効率化や労務費、管理コストの削減も可能です。配送状況の可視化や遅延防止も行うこともできるため、輸送品質の安定化も図れます。

正確で迅速な対応が可能になることで、顧客満足度の向上や信頼関係の強化にも寄与するでしょう。

物流DXを推進するデメリット

物流DXは、システムや設備の導入にあたって、多額の初期費用や継続的な運用コストが発生する点がデメリットです。特に中小規模の事業者は、投資回収の見通しを立てにくく、導入に対しては慎重な判断が求められます。

また、DX推進には、社内人材がDXに対する知識を持った人材が不可欠です。しかし、人材教育には時間がかかるため、DXの知見が豊富な外部人材を活用するのが良いでしょう。DXを効率的に進められるほか、プロの知見を吸収することで、今後のDXプロジェクトでも自走できるようになります。

なお、システム導入や業務プロセスの変更に伴い、一時的に現場の混乱や業務負荷が増加する可能性があります。

段階的な導入を行わなければ、期待した効果が得られないため、準備を念入りに行う必要があります。

3)計画的に進める

物流業界でDX化を推進するには、計画的に進めることが重要です。計画的に進めないと行き当たりばったりで※10に進まないばかりか、業務に支障をきたす可能性があります。
また、DX化は一定の時間が必要なことから、計画が杜撰だとコストがかさみ、計画が頓挫する可能性もあるでしょう。

そのため、DX化を推進するためにスケジュールをしっかりと組み立てて、計画的に進めることが重要です。

物流DXを成功させるためのポイント

物流業界では人手不足や業務の複雑化が常態化しており、DXの重要性は一層高まっています。一方で、物流DXの進め方を誤ると十分な効果が得られず、導入コストだけが先行してしまうケースも少なくありません。

次項では、物流DXを成功に導くために押さえておきたい3つのポイントを紹介します。

1)経営側と現場側が連携し合って取り組む

物流DXを成功させるには、経営側と現場側が連携して取り組むことが不可欠です。経営陣だけで推進すると、現場の理解や納得が得られず定着しないケースも少なくありません。

実際にシステムを利用するのは現場のため、業務負担の軽減や働き方の改善など具体的なメリットを丁寧に共有することが重要です。

経営陣はDXの目的や方向性を明確に示し、現場の意見を取り入れながら進めるようにしましょう。

2)DXに精通した人材を確保する

DX化を進める上で重要なのは、DXに精通した人材を確保することです。DXに精通した人材は、ITに関する知識を有しているだけでなく、各部門のシステム構築や業務プロセスを変革させる重要な人材になります。しかし、デジタル技術やITスキルに加えて、プロジェクトを達成させるためのマネジメントスキルなども求められるため、人材の確保が難しい状況です。経済産業省が調査した「IT人材需給の試算結果」によると、2030年には約79万人も不足すると予測されています。

※7IT 人材需給に関する調査|みずほ情報総研株式会社

DXを成功させるためにも、IT人材を社内で育成(リスキリング)しつつ、人材確保が難しい場合は、中途採用や外部組織との連携を考えるようにしましょう。早急にDXを進めたい場合は、外部からの人材獲得がおすすめです。

3)計画的に進める

物流DXは、自社の課題に合わないシステムを導入してしまうと、通常業務に支障をきたしたり、コストが膨らんだりする恐れがあります。

まずは自社の課題を明確にし、解決につながる施策やツールを選定することが重要です。そのうえで、段階的な導入スケジュールを策定し、検証と改善を繰り返しながら進めることで、無理のないDX推進が可能になります。

物流DXを促進する際に生じる4つの課題

物流DXは業務効率化や人手不足の解消に有効ですが、導入や運用の過程ではさまざまな課題が発生します。短期的な成果を求めすぎると現場の負担が増し、DXそのものへの抵抗感を生む恐れもあるため、慎重かつ現実的な対応を重ねていく姿勢が重要です。

次項より、物流DXを促進する際に生じる4つの課題を紹介します。

①初期費用やランニングコストの発生

物流DXを進めるうえで課題となるのが、システム導入や設備更新に伴う初期費用やランニングコストです。倉庫管理システムや輸配送管理システム、IoT機器などの導入には一定規模の投資が必要であり、中小事業者では負担が大きくなります。

一度に様々なシステムを導入すると費用負担が大きくなるのはもちろん、現場が対応できない可能性もあるでしょう。そのため、まずは在庫管理など影響範囲の限定された領域から段階的に導入する手法が有効です。

また、ROIを試算して投資回収の見通しを明確にするとともに、公的支援制度を活用することで、資金面の負担を抑えながらDXに着手できます。

②現場のITリテラシー不足

物流現場では、紙や電話・FAXなどを長く利用してきたため、新しいシステムに対する抵抗感や不安を抱く従業員も少なくありません。そのため、導入したツールが十分に活用されないケースも見られます。

現場のリテラシー不足を解消するためには、扱いやすい簡単なシステムから導入し、成功体験を積み重ねることが重要です。

マニュアル整備や研修などを徹底し、従業員が自信を持って利用できる状態を構築するようにしましょう。

③既存業務との連携

物流DXを推進する際に多くの企業が直面する問題が、既存業務との連携です。長年使われてきた基幹システムは独自仕様が多く、クラウドサービスやAIと接続しにくい場合や、導入により従来の業務フローが混乱してしまう恐れもあります。

そのため、ツール導入と並行して、業務フローを再設計することが重要です。データ形式などを整理、統一し、段階的な移行や並行運用を行うことで、現場の混乱を抑えながらDXを定着させることができます。

④社員の意識改革

物流DXの促進には、技術導入だけでなく社員の意識改革も欠かせません。物流業界では、DXを本社など一部の仕事と捉え、現場が自分事として受け止めにくい傾向があります。この状況を打破するためには、経営層がDXを重要な経営課題として位置づけ、継続的にメッセージを発信することが重要です。

また、物流DXによる成果を見える形で社内で共有することで、現場の理解と納得が得られるようになるでしょう。

物流DXには補助金が利用できる

物流DXはシステム導入や設備投資が伴うため、コスト負担が課題となる企業も少なくありません。企業の負担を軽減しながら物流DXを進めるには、国や関係機関が提供する補助金制度の活用が有効です。

次項では、物流DXの推進を後押しする補助金制度について紹介します。物流DXを推進する際には、必ずチェックしましょう。

①【独立行政法人中小企業基盤整備機構】IT導入補助金

IT導入補助金は、中小企業や小規模事業者がITツールを導入する際の費用を補助する制度です。

物流分野では、WMS(倉庫管理システム)やTMS(輸配送管理システム)、クラウド型在庫管理ツールなどが対象で、業務効率化やデータ活用につながります。通常枠では補助上限額450万円、補助率は原則1/2ですが、一定の賃上げ要件を満たす場合は2/3に引き上げられます。インボイス枠や複数社連携枠など、複数の申請区分が用意されている点も特徴です。

対象ツールとして認定されているシステムを選定することで、申請のハードルを下げながら物流DXをスムーズに進めやすくなるでしょう。

②【独立行政法人中小企業基盤整備機構】中小企業省力化投資補助金

中小企業省力化投資補助金は、人手不足に悩む中小企業を対象に、IoTやロボットなどの省人化、自動化設備の導入を支援する制度です。

製品カタログから設備を選ぶ「カタログ注文型」と、個別の投資計画を支援する「一般型」があり、事業内容や目的に応じた制度活用が可能です。カタログ注文型では、従業員数に応じて最大1,000万円、賃上げ要件を満たす場合は最大1,500万円、一般型では最大1億円まで補助されます。

物流分野では、自動倉庫や仕分けロボット・検品システムなどとの相性が高く、DXによる業務自動化を加速させる手段として有効です。

人手不足対策と生産性向上を同時に進めたい企業にとって、最適な補助金といえるでしょう。

③【経済産業省】物流効率化に向けた先進的な実証事業

物流効率化に向けた先進的な実証事業は、物流分野における構造的課題の解決を目的として、経済産業省が主導して実施している支援事業です。

AIやIoT、データ連携基盤などの先進技術を活用し、輸配送の効率化や需給調整、共同配送の実現などを検証する取り組みが対象となっています。単なるシステム導入にとどまらず、複数企業が連携した新たな物流モデルの構築を支援してもらえるため、自社単独ではチャレンジできない取り組みを、実証という形で試せる点が最大のメリットです。

実証を通じて得られた成果については、業界全体への横展開が期待されており、先進技術を活用した物流DXに挑戦したい企業にとっては有効な機会といえるでしょう。

④【国土交通省】物流施設におけるDX推進実証事業

物流施設におけるDX推進実証事業は、物流拠点の高度化を目的として、国土交通省が実施している支援事業です。倉庫や物流センターを対象に、デジタル技術を活用した業務効率化や省人化、作業の可視化に関する実証が支援されます。具体的な支援対象は、以下の通りです。

  • 入出庫管理の自動化
  • 庫内作業のデータ化
  • 設備稼働状況の可視化

物流施設におけるDX推進実証事業を活用することで、施設運営に関する効率化だけにとどまらず、安全性や作業品質の向上も期待できます。また、現場データを蓄積、分析する基盤づくりにもつながり、将来的なDX展開の土台を構築できる点も特徴です。

物流施設を起点としたDXを進めたい企業にとって、実践的なノウハウを得られる機会となるでしょう。

物流DX化にお困りの方はフリーコンサルタント.jpにお問い合わせください

物流DXの推進に課題を感じている企業には、フリーコンサルタント.jpの活用がおすすめです。

フリーコンサルタント.jpでは、物流業界やDX領域に精通したプロフェッショナル人材を企業の課題やフェーズに応じてマッチングします。現状分析や課題整理といった上流工程から、システム導入支援・PMO・業務改善まで幅広く対応できる点が強みです。

また、登録人材は実務経験豊富な即戦力が中心で、スポット支援から中長期プロジェクトまで柔軟に活用できます。物流DX化に困っている際には、無料で相談が可能です。

6.まとめ

新型コロナウイルス感染症の影響も大きく、海外輸送の減少や国内小口配送の急増などの課題を抱える物流業界。経済産業省が懸念する「2025年の崖」と言われる中、輸送や配送、在庫管理といった業務やビジネスモデルを変革させるべき時期が迫っています。

こうした中注目されているトピックが、AIなどを導入してビジネスやサービスを変革する「物流DX(デジタルトランスフォーメーション)」。あまりデジタル化を進めてこなかった企業こそ、物流DXで事業や業務プロセスを大きく変化できるチャンスがあるとも言えます。

一方で、「既存システムをどう変えていいかわからない」「ITやデジタルに詳しい人材がいない」という悩みを持つ方も多いようです。最近では、物流業界に特化したITコンサルを手掛けるところも出てきています。

社内だけで物流DXを推進するのは、やはり厳しいのが現実。スムーズに物流DXを実現するためにも、他社の事例も参考にしてどう進めるか早急に検討しましょう。

お問い合わせはこちらから



(株式会社みらいワークス フリーコンサルタント.jp編集部)

■出典
※1:デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX 推進ガイドライン)(経済産業省)
※2:D X レポート ~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~(経済産業省)
※3:電子商取引に関する市場調査の結果|経済産業省
※4:国土交通省説明資料|国土交通省
※5:トラック運送業の現状等について|国土交通省
※6:時間外労働の上限規制について|厚生労働省
※7:IT 人材需給に関する調査|みずほ情報総研株式会社
※8:【コロナ禍の通販・EC市場】2020年は17%増の13.7兆円、2021年は10%増の15兆円超と予測(impress BUSINESS MEDIA)
※9:京セラが月2万円で実践した、現場主導のDXとは? − 巨大倉庫の棚卸業務プロセスを効率化した、ノーコードなアプリ活用(TECH+)
※10:物流分断・積載率低下、解決へ不可欠なIT活用とは(LogisticsToday)
※11:Logistics2030へ加速、NECが積載率可視化公開へ(LogisticsToday)
※12:トラック運送業の現状等について(国土交通省)
※13:ドライバーの労働環境と社会的地位を変える、物流版Uberの正体とは?(Future Stride)
※14:Enevoセンサーを活用した液体配送サービス【株式会社 FUKUDA様】(Enevo Japan株式会社)
※15:電力データとAIで宅配便の再配達を削減 佐川急便など実証実験(Response)

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