「プロジェクトの進行が思うように進まない…」
「チーム内の役割分担が不明確で混乱している…」
そんな悩みを抱えていませんか?
良いプロジェクト体制図とは、指揮系統が明確であり、各人の役割が体制図を正確に理解できる図です。逆に悪いプロジェクト体制図では、これらが複雑かつ曖昧であり、リソースが適切に配分できなくなるといった悪循環を招きます。
本記事では、プロジェクト体制図の重要性、作り方の良い例と悪い例、作成方法のポイントについても紹介します。
プロジェクト管理者やチームリーダーの方々にとって、体制図の適切な活用法を知ることで、プロジェクトの成功率を高める助けとなるでしょう。
また、プロジェクトマネジメントのスキルアップを図りたい方向けに、プロジェクトマネジメントの成功に向けた具体的なフレームワークや活用事例を紹介していますので、ぜひご活用ください。
こんな人におすすめ
- プロジェクト全体を管理するPMやチームリーダー
- これからプロジェクトマネジメントのスキルを身につけたい人
- プロジェクトに参加するメンバー
1.プロジェクト体制図が必要となる3つの理由
役割と責任の明確化
プロジェクト体制図が必要となる1つ目の理由は、メンバーの役割と責任を明確にするためです。
体制図を作成することで、各メンバーの役割や責任、指示命令系統が明確になり、プロジェクトの進行がスムーズになります。
また、体制図はプロジェクトの透明性を高め、ステークホルダーや新しいメンバーにも理解しやすくなります。
さらに、チーム間の連携を強化し、迅速な問題解決やリスク管理ができるようになるでしょう。
コミュニケーションの円滑化
プロジェクト体制図が必要となる2つ目の理由は、チーム内のコミュニケーションの円滑化です。
各メンバーの役割や責任が明確になることで、情報の流れや連絡先を把握しやすくなります。
問題が発生した際も、誰に連絡すべきかがすぐにわかり、対応が迅速に進むでしょう。
また、指揮命令系統も明確になるため、指示を出す側も受ける側も効率的に業務を進められます。
プロジェクト管理の向上
プロジェクト体制図が必要となる3つ目の理由は、プロジェクト管理の向上です。
体制図を使用することで、チーム全体の配置やリソースの割り当てを一目で把握でき、タスクの効率的な割り当てや進捗管理が容易になります。
また、体制図はプロジェクト内外の関係者とのコミュニケーションを円滑にし、情報伝達のミスを防ぎます。
新入社員や社外の方にも、プロジェクト体制図を見せるだけで自社の体制を迅速に伝えることができるでしょう。
さらに、関連部署を含めたリスク管理の強化や迅速な問題解決ができ、プロジェクトの透明性を高める効果も期待できます。
2.プロジェクト体制図はいつ作成するの?
プロジェクト体制図を作成する最適なタイミングは、プロジェクトの目的とゴールが明確に定義され、参加するメンバーが選定された後です。
この時点で、プロジェクトの指揮命令系統や各メンバーの役割を正確に図示することができ、プロジェクトの効率的な運営に寄与します。
3.プロジェクト体制図に誰を入れるべき?
一般的に、プロジェクト体制図はPL(プロジェクトリーダー)やPM(プロジェクトマネージャー)が作成します。その際に、入れるべき人は誰になるでしょうか。
体制図にはプロジェクトオーナーをはじめ、関係者の役職、人数、氏名を体制図の枠内に記入し、指揮命令系統が明確になるように線で結びます。
関係者を入れる枠内には、基本的に以下のようなメンバーが入ります。
- PM(プロジェクトマネージャー): プロジェクトの全体的な設計管理と指揮を担当
- PL(プロジェクトリーダー): プロジェクト現場を率いる責任者で、プロジェクトが計画通り進行するよう参画メンバーを管理
- チームメンバー: 各分野の専門家で、プロジェクトの具体的な作業を実施
- ステークホルダー: プロジェクトの成果に直接的な影響を受ける人々や組織
- 顧客: 最終的なプロダクトやサービスを受け取る個人や組織
- サポートスタッフ: プロジェクトを支える管理や後方支援を提供するスタッフ
これらの関係者を明確にすることで、プロジェクトの進行における役割分担と責任範囲がはっきりし、効率的な運営が可能になります。
4.プロジェクト体制図の良い書き方・悪い書き方
それでは、具体的にプロジェクト体制図の良い書き方、悪い書き方について紹介します。
プロジェクト体制図の良い書き方
プロジェクト体制図の良い書き方のポイントは次の5つです。
それぞれ順番に解説します。
明確な役割と責任分担
プロジェクト体制図では、各メンバーの役割と責任を明確に示すことが重要です。
これにより、チーム全体が自分の担当業務を理解し、効率的に作業を進めることができます。
また、情報が多すぎると見づらくなるため、RACI(レイシー)図などを使って役割分担表も別途作成することをおすすめします。
※Responsible Accountable Consulted Informedの略
RACI図とはプロジェクト内すべてのタスク、マイルストーン、成果物における役割と責任をメンバーに振り分けた表のことです。
そうすることで、業務の重複や漏れを防ぎ、プロジェクトの円滑な進行が期待できます。
シンプルで見やすい階層構造デザイン
プロジェクト体制図をシンプルで見やすい階層構造にデザインすることは重要です。
視覚的にわかりやすいデザインにすることで、チームメンバーが一目で全体像を把握できます。
また、見やすい体制図は、情報の伝達ミスを防ぎ、コミュニケーションの効率を高めるでしょう。
コミュニケーション経路が明確
プロジェクト体制図でコミュニケーション経路を明確に示すことは、情報共有をスムーズに行うために必要です。
誰が誰に報告するのか、どのように情報が流れるのかを視覚的に示すことで、誤解や情報の漏れを防ぎます。
明確なコミュニケーション経路は、迅速な意思決定を可能にし、問題が発生した際にも迅速に対応することができます。
これにより、プロジェクト全体の効率が向上し、仕事のしやすさも改善されるでしょう。
柔軟に変更や修正しやすい
プロジェクト体制図は、状況の変化に迅速に対応できるよう設計することが重要です。
デジタルツールを活用することで、オンラインでのコラボレーションやリアルタイムの編集が可能になり、チーム内での情報共有が円滑にできます。
役職ごとに役割や責任を明確にすることで、メンバーの異動やタスクの変更にも柔軟に対応できます。
また、バージョン管理や定期的なレビューを行い、体制図を常に最新の状態に保つことも大切です。
各人のスキルや経験を基に適切に配置
プロジェクト体制図を作成する際は、各メンバーのスキルや経験を考慮し、適切に配置しましょう。
その理由は、各メンバーが自身の強みを最大限に発揮できる環境が整い、業務遂行しやすくなり成果も出しやすくなるからです。
プロジェクト体制図を作成する際は、可能な限りメンバーのスキルと経験を最大限に活かせるよう、適切に配置しましょう。
プロジェクト体制図の悪い書き方
プロジェクト体制図の悪い書き方のポイントは次の5つです。
それぞれ順番に解説します。
指示命令系統に漏れやダブりがある
プロジェクト体制図において、指示命令系統に漏れやダブりがあると、チーム内で混乱が生じる原因になります。
指示が誰に出されるべきかが不明確だと、同じ指示が複数のメンバーに渡ったり、必要な指示が出されなかったりすることがあります。
そのため、業務の効率が低下し、プロジェクトの進行が遅れる可能性があります。
MECE(Mutually Exclusive Collectively Exhaustive)の考え方を活用して、指示命令系統を「モレ、ダブり」なしで明確に設定することが重要です。
担当者の漏れやダブりがある
プロジェクト体制図で担当者の漏れやダブりがあると、業務が円滑に進まないことがあります。
担当者が不在の場合、その業務は誰も行わないため、重要なタスクが見過ごされるリスクがあります。
また、同じ業務を複数の人が担当する場合、労力が無駄になるだけでなく、責任の所在が不明確になることも。
これらの問題を防ぐためにも、体制図では担当者をしっかりと明記し、業務の漏れや重複がないようにすることが大切です。
コミュニケーションの流れが複雑
プロジェクト体制図でコミュニケーションの流れが複雑だと、情報伝達の遅れが生じることがあります。
具体的には「複数の担当者から、一人の担当者に向けて多くの線がある」場合は、注意が必要です。
関係者が多く、報告経路が複雑になると、情報が正確に伝わらず、誤解や情報漏れが発生しやすくなります。
その結果、重要な決定や対応が遅れ、プロジェクトの進捗に影響を与えることも。
シンプルで明確な情報の流れを持つ体制図を作成することで、メンバー間の連携が強化され、迅速かつ正確な情報共有が可能になるでしょう。
役割や責任が不明確
プロジェクト体制図において役割や責任が明確でない場合、メンバーが自分の業務内容を理解できず、業務の重複や漏れが発生しやすくなります。
例えば、プロジェクトマネージャーと進捗管理責任者が同列に記載されていると、どちらにどの権限があるのかが不明確になりがちです。
混同されやすい役割には、プロジェクトリーダーと開発PM、品質管理担当者とテストリーダーなどがあります。
これらの役割を併用する際は注意しつつ、役割や責任を明確にすることが大切です。
リソースの割当が不均等
プロジェクト体制図でリソースの割当が不均等になると、一部のメンバーに負担が集中してしまい、チーム全体のパフォーマンスが低下する可能性があります。
過度な負担がかかると、担当者のモチベーションが低下し、業務の質が落ちることもあります。
また、逆に一部のメンバーがリソースを持て余している場合、効率的なプロジェクト運営ができません。
したがって、リソースを均等に割り当て、各メンバーがバランスよく働けるようにすることが重要です。
5.プロジェクト体制図を作った時のチェックポイント
プロジェクト体制図を作ったら、以下の点を再度確認しましょう。
- 指揮命令系統がトップダウンに整理されているか
- 社内、社外関係者の役割が曖昧に書かれていないか
- 同一人物の重複がある場合は注意書きがされているか
- 最新情報が入っているか
特に関係者の役割記載には、十分に注意しましょう。誰が見ても何をする立場であるのか明確に分かる内容であることが大切です。社内と社外で相互に誤解があると、後に重大な問題を引き起こすリスクとなります。
6.プロジェクト体制図の正しい作成手順
プロジェクト体制図の正しい作成手順は、以下の5ステップです。
それぞれ順番に解説します。
① 目的を明確にする
プロジェクト体制図を作成する際には、まず目的を明確にすることが重要です。
体制図の目的がはっきりしていれば、どのような情報を含めるべきかが明確になります。
例えば、組織の階層構造を示すためなのか、コミュニケーション経路を明確にするためなのかによって、必要な情報やその配置が異なります。
目的を明確にすることで、体制図が効果的に機能し、プロジェクトの成功に向けた重要なツールとして役立つでしょう。
② 必要な情報を整理する
プロジェクト体制図を作成する際には、必要な情報を整理することが重要です。
これは、プロジェクトに関与するメンバーの役職や役割、責任範囲、報告経路などの情報を指します。
いきなり作図するのではなく、事前に情報を整理してから体制図に反映させることで、正確でわかりやすいものになります。
整理された情報は、プロジェクトの進行をスムーズにし、チーム内でのコミュニケーションを円滑にするでしょう。
また、混乱を避けるために、正確な言葉と意味を含めて作成すると良いです。
③ 構造やテンプレを決定する
③ 構造やテンプレを決定する
プロジェクト体制図を作成する前に、構造やテンプレートを決定することが大切です。
体制図の構造は、プロジェクトの規模や目的に応じて変わるため、最適な形式を選ぶ必要があります。
例えば、階層構造やフラットな構造など、プロジェクトの特性に合わせたテンプレートを使用することで、情報が視覚的にわかりやすくなります。
適切な構造やテンプレートを選ぶことで、体制図の機能性が向上し、プロジェクトの効率的な運営に役立つでしょう。
④ プロジェクト体制図を作成する
④ プロジェクト体制図を作成する
プロジェクト体制図を作成する段階では、収集した情報を基に、各メンバーの役割、責任、報告経路を視覚的に配置します。
体制図は、プロジェクト全体の流れや組織構造を一目で理解できるようにするため、できるだけシンプルかつ直感的なデザインが望ましいです。
適切なソフトウェアやツールを使用して、見やすく整理された体制図を作成しましょう。
⑤ 注釈や説明を追加する
プロジェクト体制図が完成したら、必要に応じて注釈や説明を追加することが重要です。
注釈があれば、体制図を初めて見る人でも、各要素の意味や役割がわかりやすくなります。
注釈は、例えば特定の役職が担当する業務や、報告経路の詳細などを補足するために使用されます。
説明を追加することで、プロジェクト体制図がより具体的で理解しやすくなり、チーム内でのコミュニケーションが円滑になるでしょう。
7.プロジェクトマネジメント体制図を効果的に活かす方法
体制図を活用することで、プロジェクトマネジメントの効率を向上させることが可能です。
具体的には、体制図を使ってメンバーの役割と責任を明確化することで、タスクの進行状況を把握しやすくなり、リソースを適切に分配することが可能になります。
また、コミュニケーションの流れを可視化することで、情報共有の遅延やミスを防ぎ、迅速な意思決定ができます。
これらを可視化するには、プロジェクト管理ツールを導入するのも、一つの手段です。
最近ではクラウドサービス、スマホで外出先でも進捗状況が分かるアプリケーションも豊富にあるため、それらを使いこなすことで関係者への説明工数も削減できます。
そしてプロジェクト進行中には状況が変化することもあるため、体制図を定期的に更新することが大切です。
プロジェクトの進捗に応じた適切な調整を行い、目標達成に向けた効率的な運営ができるでしょう。
8.まとめ|プロジェクト体制図を作り組織改善に繋げよう!
プロジェクト体制図は、メンバーの役割と責任を明確化し、チーム内のコミュニケーションを円滑にし、プロジェクト管理を向上させる重要なツールです。
正確で見やすい体制図を作成することで、業務の効率化やリスク管理が可能になります。
また、柔軟に対応できる体制図は、プロジェクトの進捗に応じて迅速に調整でき、チーム全体のパフォーマンスを最大化します。
組織改善のために、効果的なプロジェクト体制図を活用しましょう。
また、プロジェクトマネジメントのスキルアップを図りたい方向けに、プロジェクトマネジメントの成功に向けた具体的なフレームワークや活用事例を紹介していますので、ぜひご活用ください。
(株式会社みらいワークス Freeconsultant.jp編集部)