2023年創業の株式会社BiT & Companyは、業務効率化とDX支援をメインに、ITを中心とした総合的なコンサルティングサービスを提供している。昨今引き合いの多い生成AI活用では、東大発スタートアップ企業と協業し、先端的なAI技術とビジネスに精通したコンサルテーション力を組み合わせた企業支援に強みを持つ。
CEOの宮本駿氏は、コンサルティング企業での勤務を経て独立・創業。その背景にあったのは「仕事を生きがいと感じ、いきいきと働くことができる人を増やしたい」「そのように働くことができる場所をつくりたい」という思いだと語る。今回は宮本CEOに、これまでのキャリアや独立・創業を決意した思い、同社の事業などについて聞いた。
宮本 駿(みやもと・しゅん)
慶應義塾大学法学部を卒業後、株式会社ベイカレント・コンサルティング、株式会社 KPMG FASを経て、2023年4月に株式会社BiT & Companyを創業、CEOに就任。IT/DX、BPR/業務標準化、DD領域のコンサルティングを得意とする。主に通信、人材、航空、製造、小売業界のプロジェクトに従事。
合同説明会での出会いからコンサルの道へ。いきいき働けるあり方を追求し、独立・創業を決意
——宮本社長は慶應義塾大学法学部を卒業後、新卒でコンサルタントの職に就かれました。もともとコンサルタントを志望しておられたのですか?
いいえ、そうではありません。私は大学で野球部に所属していたのですが、周囲には総合商社や証券会社、銀行などに就職される先輩方が多く、当初は私もそうした分野に関心を持っていました。しかし、たまたま参加した合同説明会で、私が入社した株式会社ベイカレント・コンサルティング(ベイカレント)からお声がけをいただき、お話しするうちにコンサルタントの仕事に魅力を感じるようになりました。物事の動くスピードが速く、多様な業界を見ることができるコンサルタントという仕事は、チャレンジの幅があり面白そうだと感じたのです。
ベイカレントでは、構想策定、業務改善、ITなど、多様な案件を担当してコンサルタントとしての経験を重ねました。その日々は、入社前に想像していたように面白いものでした。その後、株式会社KPMG FASに転職し、ERPパッケージなど基幹システムの導入、ITのデューデリジェンスなどの案件を担当しました。
——約4年間会社員として勤められたのち、独立し、個人事業主としてコンサルタントの仕事を始められました。
コンサルティング企業ではすばらしいキャリアを築いている先輩方が大勢おられたのですが、他方で仕事とプライベートを両立させながら働いている方をお見かけすることは少なかったのではないかと思います。コンサルタントの仕事は激務で、終電近くまで会社で仕事するような日々の連続でした。ご家族がいる方は、パートナーやお子さんを家に置いて1日の大半の時間を仕事に充てているわけです。ハードワークに耐えられず、仕事を辞めていく方も少なくありません。
私としては先輩方全員がそんな働き方を望んでいるとは思えませんでしたし、そうした数多のコンサルタントの姿は「こうなりたい」と思えるものでは必ずしもありませんでした。この先、私がコンサルタントとしてキャリアを築いたとして、行き着くのがその姿であるならば、求めている形ではないと感じました。そう考えて別の企業に転職しましたが、思うことはあまり変わりませんでした。これを打開する道は転職ではない——。そう考え、個人事業主として仕事をする道を選択しました。
——独立することには不安はありませんでしたか?
私はまだ20代後半で、仮に個人事業主としてうまくいかなかったとしても、再度会社員として就職できると考えました。その選択肢があることを考えると、チャレンジするなら今ではないかという考えに至りました。
もちろん、退職前に情報収集もしていました。今はコンサルタントの仕事を紹介するサービスが多数ありますので、それらのサービスを利用することでどういった出会いを得て、どのようなオファーをいただけるのか、お声がけをいただける件数、単価感、業界はどのようなものなのか、そうした感触を確認しました。そのうえで「こういう状況ならやっていける」と判断し、独立を決めました。
業務効率化とIT/DXを中心としたコンサル事業を展開。東大発企業との協業による生成AI活用支援に強み
——個人事業主として活動した期間を経て、2023年4月に株式会社BiT & Companyを設立されました。起業を決意なさった経緯をお聞かせいただけますか?
「自分は何を求めるのだろうか」と考えたときに、コンサルタントとしてもっといきいきと仕事したいと思いました。ただしそれだけであれば、個人事業主としてでも満足できたかもしれません。でも私だけではなく、そういうコンサルタントが増えてほしいし、多くの方が仕事を生きがいややりがいと感じ、いきいきと働くことができる場所をつくりたいと思ったのです。それが設立の大きな理由となりました。
——御社の事業について教えてください。
一言でいうと、ITを中心とした総合的なコンサルティングサービスを提供しています。なかでも業務効率化とDX支援をメインにさまざまな顧客のお手伝いをしています。
業務効率化については、属人化している業務を標準化し、ほかの方も同じように遂行できる業務フローを構築するケースが少なくありません。標準化した業務フローの工数をより少なくしたり、工数を減らした業務フローをITで自動化したりする取り組みをまとめてご依頼いただくことが多いです。
IT/DXについては、システム導入・リプレース全般において、DXというテーマで幅広くご依頼いただいております。業務自動化に関連して、最近は生成AI活用のご相談をいただくことも増えてきました。そのほか、新規事業開発やM&Aに関する案件、マーケティングなどの案件をお引き受けすることもありますが、9割方は業務効率化とIT/DXですね。
――今、生成AIのお話がありましたが、引き合いは増えていますか?
経済産業省および総務省が2024年4月に「AI事業者ガイドライン(第1.0版)」を公表しました。これは、AIの安心・安全・有効な活用を促進すべくAIガバナンスの統一的な指針を示したもので、日本において企業がAIを開発・提供・利用する際の基本的な考え方が提示されています。
そもそも生成AIに対する注目が集まっていること、そしてこうしたルールづくりが動きつつあることが両輪となって、日本の企業でもAI活用、昨今はとりわけ生成AI活用の動きが加速していると感じます。
——生成AIの活用に関する御社の強みをお聞かせください。
当社は、東京大学発のスタートアップ企業で生成AIの受託開発や現場活用に強みを持つ株式会社ロビンソンコンサルティングと協業しています。東京大学には、AIの権威として知られる松尾豊教授がおられますが、ロビンソンコンサルティングには松尾先生の研究室出身のAIエンジニアが多数在籍し、AIに関する知見や先端技術、新しい研究事例などに精通する点に強みを持っています。
企業の生成AI活用意欲は高まりつつあるものの、活用に向けた課題は山積し、まだまだハードルが高いのが実状です。また、生成AIに関する技術を有する企業はほかにもあると思いますが、企業の課題解決に寄与する生成AI導入を考えるには企業のビジネスや業務を理解し、それらの観点で導入や構築、運用を考えていくことが不可欠です。
当社は、業務効率化などの案件を多数経験し、ビジネスの現場や業務に関する知見を豊富に有しています。その知見をもとにしたコンサルテーション力と、ロビンソンコンサルティングの強みである生成AIの知見や技術を組み合わせて支援できる企業はそうそうないと自負しています。この力を生かし、顧客企業の課題解決に資する生成AIの活用を進めていきたいと考えています。
シニアコンサルタント/マネージャー職を募集。求めるのは自己発信力やリーダーシップ、失敗を楽しめるマインド
——現在、コンサルタントの方は何名ほどいらっしゃいますか?
コンサルタントは約20人で、そのほか営業担当者や採用担当者が5〜6人在籍しています。バックオフィス系の業務の多くは外部に委託しています。コンサルティング案件の規模はさまざまで、社内のメンバーで完結できることもありますが、そうでない場合は外部のフリーランスの方に業務委託で入っていただくこともあります。
仕事をお願いするフリーランスの方もいろいろな方がいらっしゃいますが、当社はDXやBPRなどの案件をフリーランスのコンサルタントにご紹介する「Pro-Freelancers」というサービスを運営し、サービスを通じてご縁のあった方にお願いすることもあります。
——現在、御社ではコンサルティング職の人材を募集されていますが、特にお求めになっている職種、ポジションについてお聞かせください。
コンサルティング職の人材は恒常的に募集していますが、今特に必要としているのはマネージャークラスのコンサルタント経験者、もしくはシニアコンサルタントで、マネージャークラスの仕事ができる人材です。当社の経営に参加して一緒に会社を動かしたいと考えてくださるようなアグレッシブな方がいれば、尚嬉しいです。
——年代としては30代くらいのベテランの方を想定しておられますか?
一般的に、若い方ですと27歳、28歳ぐらいからシニアコンサルタントになる方もいます。マネージャーも、20代後半から30代前半で就く方が少なくありません。20代後半から30代前半で若くしてシニアコンサルタントやマネージャー職を経験してきた方で、これからフロントに立ってもう1つ、2つ上のポジションの仕事をしていきたいと考えている方に来ていただけたらと思っています。
——採用にあたり、重視している点を教えてください。
最も重視しているのは、自己発信力やリーダーシップがあることです。頼まれたことを実行できる人材はたくさんいます。しかし、顧客が求めているのは、広い視野で物事をとらえ、目の前だけではなく先を見越して動き、顧客のためになることを自ら積極的に発信してくれる人材です。そういう行動力を備え、顧客をいい意味でリードしてくれる人材を求めています。
――どのようなマインドを持った方と一緒に働きたいと思いますか?
失敗を楽しめる方と一緒に働けたらと思います。コンサルティングは面白いですが難しい仕事です。時には失敗することもあります。その失敗にくじけてしまうのではなく、その経験すら楽しみ、自己の成長につなげられる方は、当社での仕事を楽しんでいただけるのではないかと思います。
当社の仕事は、個人で動きたいという志向の方より、チームで動くことを好む方のほうが向いているように思います。コンサルティングの仕事は個人の持つ力が重要ですし、個人戦のようになることが多々あります。しかし、顧客が求めることを実現するにあたり、1人で動くよりはチームでいろいろな知見を組み合わせるほうが、できることは広がります。チームで力を合わせて何かを達成するスタイルを好む方は、仕事がしやすいと感じていただけるのではないでしょうか。
ステップアップを経て社外取締役や顧問の道も。思う存分チャレンジし、人生の選択肢を広げる人を応援したい
――御社に入社した場合、どのようなステップで仕事をしていくことになるのでしょうか?
シニアコンサルタントやマネージャー経験者であれば、自分で考えて動くことは問題ないと思います。まずは「この案件は是非あなたにお願いしたい」「今後も何かあったらあなたに相談したい」と、ご自身を名指しで求めてくださるお客様をつくっていただきたいと考えています。同時に、顧客の課題解決をお手伝いするための自分のチームをつくり、チームとしてご支援できる体制を整えて、多様な顧客のニーズに応えていただければと思います。
そのうえで次の段階は、現場と向き合うというよりは、顧客企業全体を見るような役割になっていただければと考えています。顧客企業の顧問のような立ち位置で、いろいろなご相談を受けて顧客の課題を整理し、チームを組んで具体的な解決策を進める統括担当のような動き方が求められます。
そういう仕事を複数の顧客企業に対して行えるようになったら、いずれかの企業の社外取締役や経営顧問になるメンバーが生まれるかもしれません。こうした人材を輩出できる会社は、当社が描く構想の1つですね。
——「御社で仕事をするとこういうメリットがある」というポイントを伺えますか?
当社は、仕事を生きがいと感じていきいきと働くことができる場所にするため、メンバーに対するインセンティブの充実に努めています。例えば、先ほどお話しした入社後のステップの「自分のチームをつくって顧客を支援できる体制を整える」では、チームの人数を増やすほどインセンティブを加算し、翌月の給与に反映する仕組みを導入しています。仕事をすればするほど目に見える成果となり、その成果が自分に還元される仕組みを設けることで、仕事を生きがいと感じ楽しく働けるようになる。そういう制度設計を心がけています。
一方で、仕事以外の生活ももちろん大切にしてほしいので、働きすぎないようにすることにも配慮しています。当社にはCOOが2人おりますが、2人とも遅くても20時や21時には仕事を終えますし、ほかのメンバーはPJの状況にも寄りますが軒並み定時には仕事を終えています。
——今後の展望をお聞かせください。
引き続き業務効率化、IT、DXを事業の基軸としつつ、かつ生成AIに一層注力したいと考えています。当社はアドバンシー以外にも、生成AIを扱う複数の企業とさまざまな取り組みを進めており、画像生成、言語生成、音声生成など、生成AIの多様な分野で先端的な技術を生かしたコンサルテーションを実現できる体制を整えています。この強みを生かし、顧客の課題解決に貢献できるような生成AIの活用をお手伝いしてまいります。
当社の企業規模を今後、外部のフリーランス人材も含めて3年以内に100人に、2030年には500人にしたいと考えています。メンバーが500人いる企業となると、コンサルティング業界でもある程度の存在感、インパクトを示すことができます。いきいきと働けるコンサルタントを増やしたいという価値観で活動する企業があると広く知っていただくことで、コンサルティング業界自体がもっと良いものになるよう貢献したいと考えています。
人は仕事を通じていろいろな人に出会ったり、いろいろな経験をしたり、お金を稼いだりキャリアを積み上げていったりして、人生の選択肢を増やすことができます。当社は、仕事を生きがいとしていきいきと働き、仕事を通じて選択肢を広げる人を称え応援する企業でありたいと思っています。当社に来てくださる方も、思う存分チャレンジし、ご自身の人生をよりよいものにしていただけたらと思います。
株式会社BiT & Company 企業情報
会社名 | 株式会社BiT & Company |
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代表取締役 | 宮本駿 |
設立 | 2023年4月3日 |
メンバー数 | 20名 |
本社所在地 | 〒101-0041 東京都千代田区神田須田町2-3-12-1001 |
事業内容 | IT×業務コンサルティングサービスを中心に、DD/PMI、M&A仲介、マーケティング、リサーチ、営業支援、アプリケーション開発等のサービスを提供。 |