企業インタビュー

【株式会社データ総研 取締役 伊藤洋一氏インタビュー】「構造化スキル」を一生モノの武器に。データマネジメントの力で日本の業界標準を塗り替えるコンサルティングの真価とは

株式会社データ総研

データマネジメントの推進や組織戦略の策定を主軸に、企業の「あり方」そのものを変える支援を展開する株式会社データ総研。単なるツールの導入に留まらず、独自の「データモデリング」技術を中核に据え、日本を代表するリーディングカンパニーのDX推進を組織の根幹から支えている。

今回は、同社の取締役であり、これまでに多くの人材育成に携わってきた伊藤洋一氏にインタビュー。エンジニア時代に受けた「データモデル」への衝撃、そして民間から仕掛ける「業界標準化」という壮大なビジョンに至るまで詳しく話を聞いた。

伊藤洋一(いとう・よういち)
2002年よりIT業界に身を置き、情報システムの企画・開発・保守・運用を一通り経験。約20年間にわたり多くのプロジェクトを支援する中で、すべての組織が「データ」に関する本質的な課題を抱えており、それがやがて社会課題へと波及している現実に直面する。こうした課題の根本的な解決には企業内に「データを扱う力=人材」を育てることが不可欠と確信し、データマネジメントに特化した人材育成スクールを設立。創業40周年の歩みの中で培われた実践知を体系化し、研修・ワークショップ・OJTを通じて、延べ1万5000人以上の人材育成に携わる。現在はその経験を活かし、データガバナンス・データマネジメントの組織設計や体制構築支援に注力。単なる制度設計に留まらず、現場と経営の橋渡し役として、持続可能なデータ活用文化の定着を支援している。

目次

データ総研が提供するのは、「組織のあり方」そのものを変える支援

——現在の具体的な事業内容やプロジェクト体制について教えてください。

主力事業は、データマネジメントの推進支援と、それに伴う組織戦略の策定です。

データに基づいたプロセス設計や制度づくりを通じて、企業の「組織のあり方」そのものを変革することを目指しています。こうしたコンサルティングは、業務全体の約半数を占めています。

その変革を実現する中核的なアプローチが、「データモデリング」です。

データモデリングは、企業全体のデータの関係性や意味を整理し、いわば「データの地図」を描く取り組みです。

この地図を起点に、業務プロセスや意思決定に必要なデータの在り方を見直し、ビジネス視点での組織やプロセスの再設計へとつなげていきます。必要に応じて、その設計に基づいたデータ基盤の整備などを支援することもあります。

さらに、データ活用を現場に定着させるための教育支援にも取り組んでいます。単なる座学の研修ではなく、ワークショップやOJTを組み合わせた実践形式で人材育成を行っている点が特徴です。

こうした取り組みの中で、AIなどの先進技術も適宜活用しながら、実務に根ざしたスキルの習得を支援しています。

——幅広く手掛けているのですね。支援するお客様の業界などに特徴はあるのでしょうか。

お客様は、製造・小売・金融・公共団体など多岐にわたります。近年はDX推進部門や経営企画部門といった経営に近い部門からの引き合いが急増している傾向です。日本を代表するリーディングカンパニーが主なお客様となっており、非常にやりがいがありますね。

——プロジェクト体制や支援の流れについても教えてください。

社員・協力会社を含め約20名強の体制で、1プロジェクトあたり3〜4名で担当するのが基本です。プロジェクト期間は3~6ヵ月程度が中心で、この期間で仕組みづくりや組織変革の土台を整えます。

その後、運用フェーズにおけるコンサルティング支援として、1~3年にわたり継続的にフォローするケースも多く見られます。こうした支援を通じて、組織への定着と実践を支えています。

さらに、お客様によっては、運用そのものに深く関わりながら、10年規模でご支援を続けているケースもあります。これは「細く長く」伴走する支援の形といえるでしょう。

今後は中期経営計画に基づき、これまでの「仕組みづくり」中心の支援から、現場での「実践・実行フェーズ」をより重視した支援へと大きく舵を切っていく予定です。

——相対するお客様の方はどのような部門・役職の方が多いのでしょうか。

DX推進部門や経営企画部門といった全社的な戦略を担う部門の方と相対することが多く、役職としては部長・課長クラスが中心です。

先ほど述べたように、当社のお客様は大企業や業界のリーディングカンパニーなどの大きな組織が多いため、これらの部門を中心に、必要に応じて情報システム部門や法務部門とも連携します。

大規模な組織であるからこそ、部門最適にとどまらない全体最適のDXに課題を抱えているケースが多いと感じています。

——働き方についてはいかがでしょうか。

お客様先への常駐はなく、リモートワークを中心とした働き方を採用しています。社員同士のつながりを大切にするため、出社ローテーションを設け、4日に1回程度オフィスに出社しています。プロジェクトの立ち上げ時には、信頼関係の構築を目的としてお客様先を訪問し、対面でのコミュニケーションを重視しています。

一生モノとなる、未経験者でも身に付く構造化スキル

——貴社はコンサル未経験の方も採用しているとお聞きしました。未経験からコンサルタントを目指す方にとって、どのような成長環境がありますか。

当社にはお客様にも提供している自社開発の教育コンテンツがあるため、教育にはかなり力を入れています。さらに、講師専門のメンバーがいる点も強みです。座学の後は現場でのOJTが中心となり、先輩とともに学んでいくことになります。

——どのようなタイプの方が、貴社で活躍されていますか。

どの会社にも同じことが言えるかもしれませんが、「自律型」の方が活躍しやすいです。自分で考え、能動的に動けること。さらに、フィードバックを盲目的に受け入れるのではなく、自分の意見を持ちながらも相手をリスペクトして対話できる方です。そういった方は、未経験でもすぐに力をつけている印象があります。

また利他的な人も活躍しています。自分の意見を伝えつつも、目標に向かって楽しく切磋琢磨できる関係性を築ける方は、当社でも大変活躍しています。当社ではそういう方がリーダーとなり、組織を率いていると感じます。

——貴社で働くことでどのようなスキルや経験を得られるとお考えでしょうか。

一言で言えば「構造化スキル」です。要するに世の中の複雑な事象を自分なりに解釈し、意味を持たせて整理する能力ですね。

AIが普及する今だからこそ、局所的な対応になるのでなく「鳥の目」で俯瞰し、全体最適を考える力は非常に重宝されます。こうした全体を視野に入れた考え方を養えるのも当社の特徴だと思います。これはデータ総研だけではなく、あらゆるビジネスシーンで通用する一生モノのスキルになるはずです。

エンジニアからデータマネジメントの道へ。入社の決め手は「感動」から

——次に、伊藤さんのこれまでのご経歴を教えていただけますか。

システムエンジニアとして6〜7年ほど働き、2008年に当社へジョインしました。実は学生時代からデータ分析に強い関心があり、気象データと小売データを掛け合わせて売上への影響を分析する「ウェザーマーチャンダイジング」を研究していました。そのため卒業後は小売業のマーチャンダイジングに関わりたいと思い、エンジニア職としてキャリアをスタートしました。しかし、いざエンジニアとして働いてみると、財務会計からシステムの保守・運用や開発など、理想の現場とは違う世界が広がっていました。

そんな時、あるコンサルタントを通じて、当社の母体から派生した技術者集団が守り続けてきた「概念データモデル」という技術に出会いました。データベースを設計する上でもっとも大事な技術なのですが、複雑なシステムを抜本的に整理できるのを目の当たりにして感動しました。この技術こそが会社全体のアーキテクチャを変える鍵になると確信し、転職を決意しました。

——貴社にはコンサルタントとして入社されたとのことですが、エンジニアからコンサルタントへの転身に、不安はありましたか。

20代後半での挑戦でしたが、やはり壁はありました。エンジニア時代の「請負的な発想」から、自らお客様をリードしていく「コンサルタントとしての動き」へのマインドチェンジが必要でした。特に論理的な対話力や構造化のスキルを問われるため、ビジネススクールに通うなどして必死にキャッチアップしました。

入社後は、2015年頃からデータマネジメントの普及活動を本格化させました。2020年以降はDXの文脈で国内の需要が一気に爆発し、時代の変化とともに歩んできた実感があります。

——本も出版されたとお聞きしましたが、発信や啓発といった活動も活発に行っているのでしょうか。

そうですね。データマネジメントの考え方を普及できればと考え、ブログや無料セミナーなどに積極的に取り組んでいます。コロナ禍にはYouTubeを通じて発信していたのですが、その時に出版社の方にお声がけいただき、データマネジメントの本を上梓させていただきました。2025年12月には「概念データモデル」の入門書も出版しています。

民間から仕掛ける「業界標準化」の展望

——最後に、今後の展望やビジョンについてお聞かせください。

個人としての大きな目標は、日本の各業界における「データ標準化」の実現です。特に製造業の現場を支援していると、熟練工の技術継承問題や、工場ごとにバラバラな設計基準、サプライヤーデータの非標準化が大きな経済的デメリットを生んでいるように感じます。こうした状況の改善にぜひ関わりたいと思っています。

——支援されているお客様の現状は氷山の一角に過ぎず、業界全体の課題ということですね。

そうですね。各社が独自のデータ形式に基づいてデータを活用するのではなく、競合という枠を超えて製造データや設備データ、土木データなどの各業界の共通部分を標準化してデータの流通と活用を促すべきです。例えば鉄道業界なら、会社を越えて共通で使える「設備データベース」があれば、より創造的な仕事に注力できるはずです。電機メーカーが率先して進めている「共創の場づくり」のように、競合でありながら共存する関係性をデータ領域でも共存できるようにしたいと考えています。

国に任せるのではなく、民間からこの一石を投じていく。そんな挑戦を、新しく加わる仲間とも一緒に進めていきたいですね。


【インタビュー後記】

今回のインタビューでは、データ総研の伊藤取締役にお話を伺いました。就職氷河期に「手に職を」と考えエンジニアの道を歩み始めた伊藤取締役は、現場での苦労を経てデータモデリングの重要性に開眼されました。現在は経済産業省やIPAの委員を務めるなど、日本のデータマネジメントを牽引する存在です。

特に印象的だったのは、単なる技術習得に留まらず、複雑な事象を整理する「構造化スキル」を重視する姿勢です。また、個社の枠を超えた業界全体のデータ標準化により、次世代に負の遺産を残さず豊かな社会を繋ぎたいという熱い展望に深く感銘を受けました。個人が自律し、お互いにリスペクトを持って高め合える仲間を求める同社の姿勢に、これからの日本企業を支える力強さを感じました。

コンサルネクスト・シニアコンサルタント
塚田真仁

株式会社データ総研 企業情報

所在地〒103-0013 東京都中央区日本橋人形町3-3-6 人形町ファーストビル5F
代表者代表取締役社長 小川 康二
創立1985年10月3日
資本金90,000,000円
事業内容・企業情報システムの情報戦略立案からRFP策定、要件定義、システム開発、システム運用保守に関するコンサルティングサービス
・上記コンサルティングにかかわる設計技法・方法論・ツールの開発、提供
・IT人材育成のための教育コースの開発、提供
・ソリューション紹介セミナーの開催
・書籍出版

株式会社データ総研 求人情報

  • SHARE
  • Facebookでシェア
  • Xでポスト
  • LinkedInでシェア

企業インタビュー一覧に戻る

コンサルタント適性診断
無料転職相談する

コンサル転職をご希望される方へ

コンサルネクストは、
中堅コンサルティング会社に特化した
転職エージェントサービスです。

  • 設立14年目の上場企業・株式会社みらいワークスが運営
  • コンサルティング会社との豊富な取引実績あり
  • 20〜30代、未経験者向け求人多数
  • 職務経歴書の添削などにも対応

無料転職相談する