新たな価値を創造し、輝かしい日本企業を取り戻す手助けをしたい グロービング株式会社 取締役副社長COO 和田菜穂子氏インタビュー

2021年に設立したグロービング株式会社。「内なる外」という考え方を全面に打ち出し、コンサルタントとしてクライアントの業務に深く入り込みながらも、第三者視点で戦略の立案や推進を支援できる点を強みにする。

加えて、女性が活躍できる環境整備も積極的に進めている同社。今回は、取締役副社長COOの和田菜穂子氏とシニアマネジャーとして活躍する矢野冴菜氏に、同社の展望や共に働きたい人物像、事業にかける想いなどを聞いた。

和田 菜穂子(わだ・なほこ)

取締役副社長COO

モルガン・スタンレーでM&Aに従事したのち、ボストン コンサルティンググループで十数年にわたって戦略コンサルティングに携わる。外資系のデジタルプラットフォーマーであるAgodaの日本法人代表、及び出前館の取締役副社長を歴任。マッキンゼーで再び事業創造・デジタル戦略などのコンサルティングに従事したのち、グロービングに参画。一児の母。

矢野 冴菜(やの・さえな)

シニアマネージャー

慶應義塾大学商学部卒業後、Accenture Strategy Manager を経て、現在に至る。通信業界・製造業界を中心に、事業戦略立案、ビジネスモデル設計、新規事業の戦略立案・実行支援、アライアンス戦略立案・実行支援などの複数のプロジェクトに従事。

目次

戦略コンサルティング、ジョイントイニシアチブ、クラウドプロダクトの3つの事業を展開

——まず、和田副社長にお聞きします。御社の事業内容を教えていただけますか?

当社は2030年に向けて、3つの事業を柱にして進もうと考えています。1つ目がコンサルティング事業、2つ目はジョイントイニシアチブ事業、3つ目がクラウドプロダクト事業です。

1つ目のコンサルティング事業は現在当社の基幹事業で、戦略コンサルティングやDXコンサルティングなどを指します。2つ目のジョイントイニシアチブ事業は、クライアントの実際の業務に私たちが携わり、一緒に事業をつくり上げるものを指します。3つ目のクラウドプロダクト事業は、当社がSaaSを提供していきます。

——SaaSとは具体的にどのようなものでしょうか?

コンサルティングのノウハウを基にしたサービスを、クラウド経由で提供できればと考えています。私はコンサルタントとしても約20年のキャリアを積んできましたが、コンサルティングに用いる分析手法や課題抽出手法は、20年前から大きく変わっていないものも多いのです。こうした手法や考え方を体系化し、かつリアルタイムで実データと連携させることで、企業の経営状態を可視化でき、経営の意思決定などを高度化・高速化させる余地は大きくあります。我々はそれらをSaaSとして提供し、経営に活用いただくことを想定しています。

将来的にはこの3つの事業がそれぞれ同じくらいの売上を出せるよう、2030年に向けて準備を進めています。

——コンサルティングを主軸としながら幅広く事業を展開する御社。コンサルタントとしては、御社でどのようなキャリアパスを描けるのでしょうか?

コンサルティング本部では、コンサルタントからシニアコンサルタント、マネジャー、シニアマネジャー、パートナーというような立場が上がっていくキャリアパスがまずあります。それに加えて、クライアント先の事業責任者やメンバーとして、数年間出向したり、AIやクラウドのプロダクト・ツール開発、事業開発に携わるというようなキャリアパスも実際にあります。当社ではAIの活用を進めており、コンサル経験を活かしてスピード感高く様々なDXソリューションを開発中です。。本人がどのようなキャリアを築きたいのか、そのためにどのような業務に関わりたいと考えているのかにより、柔軟なキャリアパスを描けます。

どのようなキャリアを辿るにせよ、日本企業に足りない「事業の創造」という分野において、当社は自分の力を大いに伸ばせる環境だと思っています。

自ら問いを立て、考えることが好きな人と共に働きたい

——どんな人と一緒に働きたいと考えていますか?

飽くなき好奇心とオーナーシップ・アントレプレナーシップを持ち、自分で問いを設定し、考え抜くことが好きな方と働きたいですし、当社はそういった方に向いていると思います。日本に根付く教育の問題でもありますが、日本人は予め決められた手順に従って、定型化した手法を駆使して作業をする、といったことには長けているのですが、そもそも、自分で『問い』を立て構造化したり、不確実なことに対して自分でアプローチを組み立てたりするのは苦手で、抵抗感を覚える方は少なくありません。

——日本人がたびたび指摘される部分ですね。

一昔前のコンサルティング黎明期に比べ、コンサルティング市場が拡大するにつれ、コンサルタントを志す方であっても、「解き方さえ教えてくれれば作業できます」という方も増えてきた印象を持ちます。ですが、AIが進化した今、今後はAIと人間が共生する時代になります。AIが進化すればするほど、ヒトは、定型化した作業をただこなすのではなく、目の前の事象を深く観察して仮説を立て、答えを導き出すためのアプローチを描き、それを基に組織を動かし、臨機応変に判断して先に進む、ということが重要になります。人間にしかできないこのチャレンジを楽しいと感じ、リスクを取ってでも自分から挑戦していく人こそ、当社が求める人材であると考えます。

—―自分で問いを立てて考えるというのは、AIに取って代わられない領域でもありますね。

AIの技術がどれだけ進化しても、人間にしかできないことは今後も残り続けます。

クライアントとの会話を重ねて本質的な課題を見つけるのも、人間にしかできないことの1つです。対話しながらボトルネックを探り、ヒトを巻き込んで必要な打ち手を高速に打っていく、といった一連の取り組みは、AI時代だからこそ重要性がより増していくように思います。このとき、深い観察力で事業の問題点を探れるか、さらには自分自身で問題提起し、解決するまでの過程を楽しいと思えるか。当社のコンサルタントに限らず、今後の世界において、自分の携わる事業を成功に導くためには、こうした人間らしい思慮がより求められると思います。

—―和田副社長が考える今後のビジョンを教えていただけますか?

グロービングは毎年60%を超える急成長を遂げている会社です。メンバーも、昨年90名あまりだったのですが、今は220名を超えました。ですが、当社はまだ設立3年目の会社。業績だけに目を向けるのではなく、発展途上である人材を育成・教育するための土台づくりを怠ることなく進めていきたいと考えています。

メンバーが幸せに働ける環境づくりは非常に重要だと考えています。私は外資系のコンサルティングファームでプロジェクトマネージャーだった頃に子供を出産したのですが、当時は今のような働き方改革や在宅勤務なども進んでいない時代だったため、子供が小さい頃は、ワークライフバランスの両立に大変苦労した時期がありました。両立に悩みぬいた結果が、約10年前にコンサルから事業会社に移った一つのきっかけでもありました。こうした実体験があるからこそ、これからの有能な若い世代のみなさんには、幸せにキャリアとライフの両立を働いてほしいと強く願っています。当社では、こうした働き方を支援するための制度や仕組みを充実させていきたいと考えます。働きやすい社会が醸成されたとき、私が幼少期に見ていた輝かしい日本企業の姿が再び見られるようになると考えています。

投資銀行勤務からコンサルタントに転身。グロービングへの入社を決めたきっかけは「6つの“Don’ts”」

—―次に、和田副社長のご経歴を教えてください。

モルガン・スタンレーの投資銀行部門で働いた後、2004年にボストンコンサルティングに入社しました。10年以上にわたって戦略コンサルティングに従事していましたが、アドバイザーとしてではなく自分自身も責任を持って事業に携わりたいという思いもあり、Agodaというオンライントラベル事業を展開する会社で日本法人代表を務めました。その後は出前館というフードデリバリーの会社でも副社長を務めましたが、買収を機に退任。戦略コンサルティングの視点を持ちながら事業を成長させることにやりがいを感じていたため、もう一度コンサルティングの仕事に立ち返ろうと思いマッキンゼーに参画、事業創造などに関するコンサルティングに携わってきました。

——投資銀行のモルガン・スタンレーからキャリアをスタートさせたとのことですが、なぜそこからコンサルタントになろうと考えたのでしょうか?

もともとは、日本企業の戦略的な発展の手段と成り得るグローバルなM&Aに興味があり、モルガン・スタンレーからキャリアをスタートしました。

私は小学生の時に東南アジアに住んでいましたが、当時の1980年代の日本企業は、メーカーを中心に著しく成長していました。海外における日本企業の勢いを目の当たりにし、子どもながらに日本企業を誇らしく思い、自分も将来は日本企業の発展に携わりたいと考えるようになっていったのです。

ただ実際に企業のM&Aに関わるようになると、M&Aはあくまで一つの手段にすぎないことを痛感するようになりました。M&A自体が目的化するケースも多く見てきました。本来その企業に本当にそのM&Aは必要なのか?10年後・20年後のために今どのような手を打つべきなのか?―そういった企業戦略の本質的な『問い』に、正面から向き合いたい・深く携わりたいと思うに至り、戦略コンサルタントを志すようになりました。

——そのような経緯からコンサルタントを志したということですが、なぜマッキンゼーからグロービングへ転職されたのでしょうか?

ボストンコンサルティングやマッキンゼーは、素晴らしい組織でしたし、私を大きく育ててくれたと今でも思っています。ですが、数千人~数万人規模の大きな組織として、そしてグローバル企業として、様々な制約やしがらみがあることもまた事実でした。例えば、クライアントの現場で営業や人材採用などの面で責任者として動く、といったことは、コンプライアンス上の規則により行うことができません。あくまで黒子として、サポートに徹さざるを得ない、というのが実情です。

ですが、事業責任者を経験した身から言えば、そういった関与の在り方では、本当の意味で事業を大きく創造したり、推進したりということはなかなか難しいのが実情です。自らが主体となって行動し、顧客を開拓し、交渉し、ヒトを採用し、チームを作り上げる。そういった営みを続けてはじめて、事業は成長していくのです。外資系のコンサルティング会社にいては、それらを実現することは難しいのでは、と痛感していたとき、当社の輪島や田中と話をする機会があり、グロービングならやりたいことができそうと感じたため、2024年1月に参画しました。

——グロービングへの入社を決めたきっかけは何ですか?

代表の輪島が掲げていた「6つの“Don’ts”」が一番のきっかけでした。

1.デジタルを分からない、業務を知らない、ビジネスを知らないのに、××戦略を描くようなことは、しない

2.大きなSIやBPOなど、自社ビジネスのボリュームゾーンを自作自演で作り上げるようなことは、しない

3.本当のプロフェッショナルしか採用、しない

4.繰り返し使えるノウハウや知見はコンサルティングサービスとして提供、しない(インダストリアライズし安価で提供する)

5.本当に自社を変革する気のない、クライアントの変革ごっこにお付き合い、しない

6.自社ですべてのサービス提供を独り占めするようなことは、しない(強みを持つ他ファーム、ベンチャーと積極的にコラボレーション)

これらが「6つの“Don’ts”」です。コンサルティングに関わる際に陥りがちな失敗要因を洗い出し、言語化したものになります。これら6つの「しない」が示している通り、クライアントのために本気でチャレンジする会社は必ずしも多くないと、代表の輪島は言っています。私はその考えに深く共感し、クライアントと真剣に向き合うコンサルティング会社において、仲間と一緒に会社をつくり上げることに興味を持ち、入社を決めました。

設立して間もない会社だからこそ、しがらみなく自分の力で挑戦できる

——次に実際に現場で業務に従事する、シニアマネジャーの矢野さんにお聞きします。矢野さんが所属するチームでは今、どのようなプロジェクトを手掛けているのでしょうか?

私はIS(インダストリーストラテジー)というチームに所属しています。現在は、製造業のクライアントを担当し、新規事業を生み出すためのプロセスの設計から、具体的な案件に対する伴走のご支援をさせて頂いております。

——カウンターパートとなる方はどのような役職の方なのでしょうか?また、働き方についても教えていただけますか?

CxOの方と大方針を擦り合わせさせて頂きながら日々のコミュニケーションは、部長や課長クラス、実際に新規事業を推進するメンバーの方とやり取りをすることが多いです。新規事業の顧客候補をクライアントと共に訪問することもあります

当社の働き方は、グロービングのオフィスへの出社・クライアント先への常駐・リモートワークの3形態に分かれ、それぞれの比率は1:1:1という印象です。

——御社で活躍できる人はどのような方だと思いますか?

当社のコンサルティングサービスは、外部からのアドバイザリーだけではなく、クライアントの「内なる外」として“変革実現のシェルパ”となり、最後まで伴走しながら具体的なビジネスの成果を生み出すことを目指しています。そのため、ベースとしてのコンサルティングスキルに加えて、クライアントの事業、業界に強い想いを持ち、自分事として推進できる人が活躍できると思います。

——求職者の方に向けて、御社での仕事を通して得られるものについて教えていただけますか?

大手コンサルティングファームは確立したブランドや手法がありそれは非常に魅力的ですが、当社はコンサルティング自体を再定義しながら新しいことに挑戦し成長しています。ですので、あるものに順応するのではなく、自ら新しいものを作り出していくという観点でたくさんのことを日々学べると感じます。将来に向けて挑戦したいことがある人、リーダーとして最前線に立ちたい想いを持っている人なら、業務を通じて多くを経験できる会社といえるのではないでしょうか。

設立して間もない会社であるため、しがらみや組織の壁もありません。社内の内情や環境に対して気を遣うことなく、クライアントに対して100%向き合うことができ、自分の価値も100%発揮できる環境だと思います。仕事に真正面から向き合える環境だからこそ、得られる経験や知識も多いと思います。

個人として挑戦できるような力を付けたい。将来を見据えた選択で、グロービングに入社

——次に矢野さんのご経歴を教えていただけますか?

新卒でアクセンチュアに入社し、マネジャークラスになるまで在籍していました。その後、グロービングに参画します。

当社は2021年3月に設立しましたが、それから2か月後の2021年5月、私はアクセンチュアを退職してグロービングに参画しました。入社当時、社員数はまだ10人ほどしかおらず、オフィスもない状態だったことを覚えています。

—―アクセンチュアでマネジャーにまで上がったにも関わらず、設立直後の会社に転職するというのは大きな挑戦ですよね。

やはりオフィスもない環境へ飛び込むことに躊躇する気持ちはありました。しかし、グロービングは、スタートアップでありながら戦略性の高い案件を数多く持っていたため、これまでのコンサルティングのスキルも生かしつつ、新たな挑戦ができると考えました。スタートアップと大手コンサルティングファームのどちらの良さも兼ね備えている企業はなかなかないと思います。

もともと私自身が何かに挑戦してみたい想いを抱いていたことも、入社を後押ししました。ベンチャー企業に飛び込むことで、大企業の大勢いる従業員の1人ではなく一個人としてより付加価値を高めていけるのではないかと考え、グロービングへの入社を決意しました。

——2021年にグロービングへジョインして約3年、現在はシニアマネジャーということですが、和田副社長然り女性が活躍している会社という印象を持ちます。

経営層は創業当時から、女性が活躍する環境づくりに取り組んできました。コンサルティング業界で働く女性はまだまだ少ないのが現状です。こうした状況を解消すべく、当社が業界に少しでも貢献できるよう、優秀な女性が長く活躍できる会社になれればと考えています。

——最後に、矢野さんの今後のビジョンについて教えていただけますか?

将来的には、時代や社会のカルチャーをつくるところに携わっていきたいと考えています。自分のつくったカルチャーが居場所になり、誰かがそのカルチャーに救われるようなことがあればとても嬉しいですね。

それを実現するためには、プロフェッショナルな人々の様々な想いが行きかっていることが大事だと考えますが、当社には幅広い分野に精通するプロフェッショナルが集まっているため、ここで勉強しながら将来の夢に向けて歩んでいければと思っています。

グロービング株式会社 企業情報

会社名グロービング株式会社 / Globe-ing Inc
URLhttps://www.globe-ing.com/
代表者代表取締役 輪島総介 
代表取締役社長 田中耕平
資本金9,000万円
従業員数200名
※2024年2月末時点、子会社社員数を含む概算値
所在地【外苑前新オフィス】
〒107-0062 東京都港区南青山3丁目1-34 3rd MINAMI AOYAMA 11F
【外苑前Southオフィス】
〒107-0062 東京都港区南青山2丁目24-11 フォーラムビルディング 10F
事業内容・デジタルサービスの提供(オクタゴンサービス)
・戦略コンサルティング
・DXコンサルティング
・Digital Analytics / Data Service の提供

グロービング株式会社 求人情報

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