「失われた30年」と嘆くのではなく、自分たちの手で日本を良くしたい―そんな熱い志を持つ企業がある。それが総合商社と戦略コンサルティングファームという2つの極致を経験した鈴木泰介氏が率いる、株式会社インテリジェントフォースだ。
同社が目指すのは単なるコンサルティング会社ではなく、次世代の「総合商社」だ。「クライアントが本当に求めているのはコンサルタントではなく、優秀な右腕(エース社員)である」と断言する鈴木氏。
なぜ今コンサルティングに加え、「愛嬌」や「泥臭さ」を大切にしたいと考えるのか。未経験からトップビジネスパーソンへと駆け上がるための独自のキャリア論と、その先に描く壮大なビジョンを聞いた。
鈴木 泰介(すずき・たいすけ)
三井物産にて経営管理業務、ベンチャー企業へ出向し経営企画を経験。 アーサー・ディ・リトル・ジャパンにて、事業戦略策定などのプロジェクトに携わった後、インテリジェントフォースを創業。京都大学法学部卒。
「コンサルタント」は不要? 顧客が真に求める「エース社員」による支援に注力

——コンサルティング以外にも幅広く展開されていると伺いました。インテリジェントフォースの事業内容について教えてください。
コンサルティング事業の中に大きく「ストラテジー&IT」「AI ソリューション」「クリエイティブ」の3つの軸で事業を展開しています。売上比率で言うと、ストラテジー&ITとAI ソリューションがセットで動くことが多く全体の約7割、残りの約3割がクリエイティブです。
社員数は現在40名で、内訳はストラテジー&ITとAI ソリューションを合わせて20名、クリエイティブが10名。残りが私自身も含めたコーポレート部門となります。
——プロジェクトの進め方について教えてください。
プロジェクトはマネージャーとアソシエイト数名からなる2〜5名のチームで臨むのが基本です。上流から入ることもあれば、特定領域から入ることもあります。
例えばストラテジー&ITのコンサルティングで言うと、事業戦略やIT戦略を立案した後、事業戦略の実行やITシステムの開発・導入まで進めるといった支援を手掛けます。抽象度の高い課題解決から関わり、業務プロセスの改善や新テクノロジーの導入などの施策に落とし込んでいきます。
——ありがとうございます。クリエイティブ領域ではどのようなコンサルティングを行っていますか。
クリエイティブ事業ではアーティストのブランディングに関わるほか、マーケティング施策の立案から実行支援まで手掛けることがあります。システム領域のコンサルティングと違い、どのような動画や写真、絵、音楽などを制作すべきか、これらをどのように活用すべきかを考えるケースが多いです。
どの事業にも言えるのは、当社が提供しているのは、従来の「先生」のようなコンサルティングに留まらないという点で、これが当社の何よりの強みだと考えます。
——何かを指南するだけではないということですね。
極論を言えば、クライアントは「コンサルタント」なんて雇いたくないはずです。外部の人間ではなく、本当は自社のことを深く理解し、泥臭く動いてくれる「優秀な右腕」や「エース社員」が欲しいと考えているはずです。しかし今の日本企業には、そういった人材を社内で一から育成する余裕も若手のモチベーションもなくなりつつあります。 だからこそ、インテリジェントフォースがその機能を代替しようと考えています。
——「コンサルタント」ではなく「代替不可能なエース社員」を送り込む、というイメージでしょうか。
その通りです。私が商社やコンサルティングファーム勤務時代に叩き込まれた、いわゆる「大企業の作法」、例えば、適切な根回しや会議のセットアップ、礼儀礼節といった、一見泥臭いけど組織を動かすために不可欠なスキル。これらを兼ね備えた人材が、コンサルティングの論理的思考力を持ってプロジェクトに取り組むべきと考えています。 「先生」としてアドバイスをするのではなく、横に並んで一緒に汗をかきながら推進するイメージです。これらを実現するのがインテリジェントフォースの提供価値であり、他社にはない強みだと自負しています。
——その感覚は非常によく分かります。現場で汗をかける「右腕」は大切な存在ですよね。
ありがとうございます。まさにその「現場感」と「論理」の橋渡しができる当社のメンバーこそが、今もっとも求められているのだと思います。
求めるのは「頭」と「愛嬌」。未経験から5年で事業家を目指す

——貴社で活躍できる人物像についてお聞かせください。やはりコンサルティング経験や高いスキルが必要なのでしょうか?
いいえ。経験よりも重視しているのが「頭の良さ」と「愛嬌」です。 頭の良さというのは偏差値で表されるものではありません。「国語と算数ができる」―つまり論理的に会話でき、数字で物事を捉えられる力のことを指します。さらにもう1つ重要なのが「愛嬌」です。 優秀なビジネスパーソンは、総じてファンが多いものです。どんなに能力が高くても、周囲に応援されなければ大きな仕事を成し遂げられません。クライアントの懐に入り込み、可愛がられながら成果を出せるという「人としての魅力」を持つ方こそ活躍できると考えています。
——採用基準について、年齢などの制限はありますか?
20代あれば、未経験でもポテンシャル採用を行っています。一方で30歳以上の場合は即戦力として期待しており、コンサルティングの実務経験がないと厳しいと考えています。 もっとも面接だけで評価するのは難しく、数回会っただけでその人の全てが分かるはずもありません。 そのため当社では、入社後の実力や実績に基づいて評価・登用するスタンスを徹底しています。
——未経験で入社された場合、どのようなキャリアパスを描けるのでしょうか。
基本的には「5年で事業家レベルになる」ことを目指してもらいます。 最初の3年間は、コンサルティングやテクノロジーの現場で、徹底的にビジネスの基礎体力を身につけます。ここでは「トップビジネスパーソン」としての型を徹底的に覚え込んでもらいます。 次の2年間は、チームを率いて成果を出すことや、小規模な事業を回すことにチャレンジしてもらいます。そして5年後には、社内の事業責任者として予算や人事権を持ったり、新規事業を立ち上げたり、あるいはM&A先の経営に携わったりと、一人の「事業家」として活躍できる状態になってほしいと考えています。
——実際に未経験から活躍されている方の事例はありますか?
例えば社会人1年目で入社したメンバーがいるのですが、最初は理想と現実のギャップに悩み、すぐに辞めようと考えたこともあったようです。しかし踏みとどまって努力を続けた結果、今では見違えるほど成長し、現場で大いに活躍しています。 今の時代、若手は大企業に入っても「下積み」ばかりで、なかなか手触り感のある仕事に関われません。逆にベンチャー企業ではビジネスの基礎がおろそかになりがちです。 当社は双方の「いいとこ取り」ができる環境です。大企業レベルの「作法」と、ベンチャー企業の「スピード感・裁量」の両方を得たい人には、最適な環境だと自負しています。
総合商社と戦略コンサルを経て気づいた「勝てる領域」と起業への想い

——次に鈴木様のこれまでのご経歴と、起業に至った背景をお聞かせください。京都大学をご卒業後、新卒で三井物産に入社されていますね。
起業したのは、もともと「日本という国をもう少し良くしたい、ポジティブにしたい」という漠然とした想いがあったことに由来します。 さらに、父方は中華料理店などを営む、エネルギーのある商売人の家系、一方の母方は医者やトヨタ自動車の役員などを輩出した厳格な家系。全く異なる2つの空気が混ざり合う環境で育ち、漠然と「何かを成す」ことへの憧れもありました。
また学生時代に受けた講義で、「一人のカリスマが国を変えるのではなく、各領域で小さなリーダーが群雄割拠のように現れることで社会は変わる」という話を聞き、自分もその一人になりたいと考えたのが原点です。
——ご自身のルーツと学生時代の学びがリンクしたのですね。ちなみに、京都大学に進学した理由について教えてください。
1人暮らしがしてみたい、というのが原点です笑。他方で、高校の同級生の多くが東京大学を目指す中、自分も同じような水準の大学を目指そうという思いもあり京都大学を目指すことにしました。 就職活動で三井物産を選んだのは、直観的に自分の肌に合っていると感じたこと、かつ事業家になれる環境があると思ったからです。
——三井物産入社後は順調でしたか?
いいえ。最初はかなり苦労しました。学生時代まで自由奔放にやってきたので、組織の枠組みや、関係各所との合意形成といった「大企業の作法」に馴染むまでは大変でしたね。 それでも4年半在籍し、メキシコでの自動車関連事業やベンチャー企業への出向などを経験させてもらい、ビジネスの基礎を徹底的に叩き込まれました。
——そこからなぜ、アーサー・ディ・リトル(ADL)へ転職されたのでしょうか?
商社での経験を通じて「起業」が現実味を帯びてきたのですが、当時の自分にはまだ武器が足りないと感じたためです。「外資系戦略コンサル」という厳しい環境に身を置いて圧倒的なスキルを身につけようと考えたのです。 ADLでは本当に朝から晩まで、極限まで働きましたね。そのような環境で働いたからこそ起業してもやっていけるのではないかということに気づけたのだと思います。実際、これだけ働けるなら起業してもどうにかできるだろう、という根拠のない自信だけで起業を決めました。ADLと同じようなサービスラインで勝つことは難しくても、ズラしたサービスラインならばフリーランスや小規模コンサルティングファームであれば今の自分でも勝てると仮説を持ちました。結果、大変恐縮ながら半年ほどでファームを退職して、2022年にインテリジェントフォースを創業しました。
——非常にスピーディーかつ戦略的な決断ですね。社名の「インテリジェントフォース」にはどのような意味が込められているのでしょうか。
映画「インセプション」に出てくるような、プロフェッショナルな特殊部隊への憧れがベースにあります。「Force(力、軍隊)」という言葉と対極にある「Intelligent(知性)」をあえて組み合わせました。創業時は私一人で始めましたが、事前に「軌道に乗り始めたら来てほしい」と口説いていた大学の同級生などがすぐに合流してくれました。単なる体力勝負ではなく、知性を武器にした特殊部隊として、クライアントの課題を解決していく。そんな集団でありたいという想いを込めています。
目指すは「令和の総合商社」。人の生き死にに関わる産業へ

——最後に、今後の展望をお聞かせください。どのような会社を目指していくのでしょうか。
目指しているのは「新しい総合商社」です。最終的には三井物産のような、日本の産業を支える規模の会社を作りたいと本気で思っています。
私は常々、「年齢やフェーズに応じた適正な事業がある」と考えています。若手のうちは失敗が許されるWebサービスやコンサルティングのような領域でスピード感を持って経験を積むのが望ましいと思います。しかし年齢を重ね、責任ある立場になるにつれて、ミスが許されない領域、つまり「人の生き死に」や「社会インフラ」に関わる重厚長大な産業を担っていくべきだと考えます。 20代の若者がいきなり工場長になっても現場は回りませんからね。
——成熟度に合わせて事業領域も拡大していくということですね。具体的にはどのようなステップを想定されていますか?
まずは「AIネイティブ・コンサルファーム」として成長し優秀な事業家人材を育成・輩出し、軍資金を貯めたいと思います。AIネイティブ・コンサルファームとは、AIを前提にデザインしたコンサル会社という意味です。私は総合商社・外資系戦略コンサルを経て、文系の仕事というのは殆どAIに代替されると考えていました。その為、インテリジェントフォースは創業当初から、AIに代替されることには極力リソースを割かないで、人ならではの価値創造にフォーカスした業務プロセスをデザインしてきました。当社には、AI時代でも価値創造ができるビジネスパーソンになってもらえる環境があります。
次は、コンサルティング事業を経て知見を貯めている情報通信産業・エネルギー産業・エンタメ産業において、労働集約型ビジネスにAIを掛け合わせた事業に踏み出し、さらにその次はAIデータセンター、発電、スポーツ、アリーナ運営IPビジネスなどの資本集約型ビジネスにも進出します。労働集約型ビジネスだけでなく資本集約型ビジネス、それも物理性の高い重厚長大な事業に挑戦したいと考えています。
——まさに現代版の総合商社ですね。非常にワクワクするビジョンですね。
ありがとうございます。私たちが享受してきた豊かさを、次の世代にも残したい。そのためには、産業レベルで日本を良くする必要があります。 「コンサルタントになりたい」という枠に留まらず、「ビジネスで日本を元気にしたい」「圧倒的に成長したい」という気概のある方と、ぜひ一緒に働きたいですね。
【インタビュー後記】

インテリジェントフォースの鈴木代表にお話を伺いました。総合商社からベンチャー、戦略コンサルティングファームを経て起業され、「シン・総合商社」を掲げて重厚長大な産業への展開まで見据える壮大なビジョンに圧倒されました。「勝てる領域で勝つ」という合理的思考を持ちつつ、「日本を少しでも良くしたい」という熱い想いを併せ持つ姿が非常に魅力的です。
特に印象深かったのは、「地頭と愛嬌」を重視し、現代の大企業が育成しきれなくなった「トップビジネスパーソン」を輩出するという人材育成への考え方です。若手にとって最高の成長環境であると同時に、企業にとっても頼もしい存在になると確信しました。今後の同社の事業拡大が楽しみです。
コンサルネクスト・シニアコンサルタント
塚田真仁
株式会社インテリジェントフォース 企業情報
| 所在地 | 東京都港区虎ノ門3丁目5−1 虎ノ門37森ビル10F |
| 設立 | 2022年4月 |
| 代表者 | 代表取締役 鈴木 泰介 |
| 資本金 | 2090万円 |
| 事業内容 | コンサルティング事業 (ストラテジー&IT、AIソリューション、クリエイティブ) |

