主にフィンテック領域のコンサルティングを手掛ける株式会社メンドレス。新たな金融サービス創出を見据えた新規事業開発の上流から携わり、PMOとしての役割を担いながら事業の成長までを伴奏支援する。今後はシンガポールにも拠点を構え、グローバルに事業を拡大する方針だ。
フィンテック領域の強みを武器に、金融教育サービスという新たな領域にも鋭意挑戦する同社。金融教育の意義や一緒に働きたい人物像、将来的な展望について代表の新関広樹氏に聞いた。
新関 広樹(にいぜき・ひろき)
アクセンチュアに新卒で入社し、フィンテックベンチャーのインフキュリオンへ転職。国内・東南アジアでのフィンテック事業戦略立案に従事した後、2019年にメンドレスを立ち上げた。同社では融資・決済・送金に関わるフィンテックサービスの新規事業をはじめ業務改善のコンサルティング事業を運営。現在はシンガポールを拠点とし、金融教育サービスの企画なども手掛けている。
フィンテック領域から金融教育の事業へと拡大を図る

――メンドレスの事業内容を教えてください。
フィンテック領域に特化したコンサルティング事業を主軸とし、銀行やクレジットカード会社、自動車メーカーなどを中心に金融領域の新規事業開発に従事しています。新規事業の構想を打ち立てる上流からシステムの要件定義に携わるほか、PMOとしての役割も担います。
今後はシンガポールにも拠点を構え、コンサルティング事業に加えて子供向けの金融教育サービスも提供する見通しです。表面的なお金の知識だけでなく、変化の激しい社会環境の中でも生き抜く知恵を身に付けられるようなプログラムの開発を手掛けています。
――なぜシンガポールで金融教育サービスを始めようと考えたのでしょうか。
シンガポールの拠点を皮切りに、世界中で事業を展開していくのが狙いです。シンガポールは日本から比較的近く、人口や資金、情報ともにアジア圏内では大きな規模を有する国です。親日家の方も多いため親和性も高いと判断しました。
シンガポールで金融教育サービスに切り込んだのは、日本では金融教育を受けようとする素地が不十分で、海外の方が需要があると気付いたためです。現在の日本では小・中学校の義務教育期間に金融について学ぶ機会はほぼなく、高校で経済を少し学ぶ程度。学校での金融教育はどうしても表面的な知識を学ぶ授業になりがちで、若い世代が金融に興味を持つきっかけすらないのが現状です。
一方、シンガポールを発端に進出を考えるベトナムやマレーシア、インドネシアなどの情勢を見ると、日本よりも金融教育のニーズが高まっていると感じます。例えばインドネシアは遷都を控え、金融や情報インフラの整備が急務となっています。インフラが整備されれば、フィンテックサービスも数多く出回るようになるでしょう。こうした社会的な動きが、金融知識の必要性を押し上げるのではないかと考えます。日本に金融教育が求められているのはもちろんですが、それ以上に諸外国では金融教育を貪欲に求めているのではないかと思い、グローバルをベースとしたサービスであるべきだと決断しました。
――具体的な業務内容をお聞きします。一般的なプロジェクトの期間やメンバー数を教えてください。
コンサルティング事業におけるプロジェクトは、メンバー数、プロジェクト期間ともに大きく2パターンに分けられます。1つは、システム開発のPMOや運用メンバーとして中長期的にプロジェクトに関わるパターンです。QRコード決済サービスをはじめとするさまざまな決済サービスの運用を担うことになります。こうした決済サービスの多くが、一度ローンチすると短期で終了することはほぼなく、原則として長期の運用を支援することになります。
もう1つは新サービスの立ち上げや新規事業開発で、多い時には10人ほどが携わるパターンです。プロジェクトに永続して関わるわけではありませんが、プロジェクトの規模などに応じて携わる期間は異なります。メンバー構成は企画チーム、業務チーム、システムチームに分かれ、各チームにリーダー1名、メンバークラスを2名ほど配置します。現在は後者である新規事業開発分野に携わる方を中心に募集しています。
――積極的に正社員を募集中とのことですが、現在の社員数を教えてください。
役員が1名、社員が1名、業務委託の方が5~10名ほど在籍しています。業務委託で関わっている方の数名は海外拠点への転籍を望んでいる方もおり、そういった方には、正社員として入社してもらい、シンガポールに拠点ができ次第転籍してもらう予定です。
シンガポール進出に伴い、国内で稼働できる方を確保したいという背景から正社員を募集しています。
――中途入社の方はどのようにプロジェクトに携わるのでしょうか。働き方についても教えてください。
業務やシステムの要件について、社内外含めた関係者と調整する業務から携わります。要件を決めるためにどのような関係者に合意を取り、自社の意見を伝えるのか。時には関係者の意見を聞いた上で要件を固めるなど、PMOに近い役割を担います。
働き方は、原則として顧客先に常駐します。ただし、顧客やスケジュールの状況によって、自宅で業務に従事することもあります。以前と比べてリモートワークの割合は徐々に増えています。
プロジェクトで主に相対するのは、部長クラスの方です。プロジェクトを実際に進める際の担当者は課長クラスの方になりますが、コミュニケーションを図ったり意見をやり取りしたりするのは上位役職のレイヤーの方が多い印象です。
相容れない他人と自分とを結ぶ「ルール」とは

――一緒に働きたい人材について教えてください。
元気で丁寧な方と共に働きたいと考えています。もちろんロジカルシンキングなどの素養は最低限必要ですが、弊社ではコミュニケーションが前向きで丁寧な方をより評価します。
大規模プロジェクトでは当然多くのステークホルダーが関わり、フェーズに応じて関係者や取引先も異なります。こうしたさまざまな立場の人の意見を踏まえながらシステムを開発するため、明るく元気なコミュニケーションを図れる方が向いています。一緒に働く当社のメンバーも元気のある方と同じ時を過ごすことでモチベーションは高まります。
もう1つは、相手の立場や状況を最優先に考えてコミュニケーションが取れる方です。例えば緊急のメールを送った後に電話で確認の一報を入れたり、分からないことを相手に確認する前に今一度自分で調べたりするなど、先回りして配慮できる方なら、顧客や取引先と円満な関係を築けるでしょう。
――相手に配慮した関係を築くためには、どんな姿勢や心構えが必要でしょうか。
自分はさておき、相手の立場になってどれだけ考えられるかが大切です。さらに、相手に配慮するために必要なルールを設けることも重要です。「他人は変えられない」と認め、コントロールできない他人を効果的に機能させるルールを考えるようにします。例えば、約束事を共有したり、お互いが求める条件を交換したりして、双方がメリットを享受できる仕組みを考えます。他人を変えようと心血を注ぐのではなく、変わらない他人と同じゴールを目指すための手段に目を向けます。他人の取り組み方や考え方を許容するが、最終的には同じゴールに辿り着くといった仕組みやルールを検討します。こうした取り組みが相手との良好な関係を築くきっかけとなるのです。
例えば、チャットで辛辣なメッセージを感情的に送ってしまったとします。文字に残る不適切な言葉は、後で見返した際に自分も相手も辛くなるものです。このようなケースの場合、まずは電話や対面で話してから補足的にチャットを送るなど、いったん相手に気持ちを伝える手段を考えることが必要です。お互い面と向かって会話ができるため関係がこじれるリスクは低くなります。相容れない人がいたとしても、その人と自分をつなぐ役割としてルールや制約が機能すれば解決できることはきっとあるはずです。
――金融領域に精通する知見やノウハウを持った方を求めていますか。
いいえ。金融領域の知識についてはこだわっていません。金融領域が未経験な20代の方も当社で活躍しています。業界を問わずコンサルタントとして2~3年ほど従事した経験を持ち、基礎が固まっている方であれば問題ないと考えています。
現在はフィンテック領域を主に手掛けていますが、将来的には業種を問わず、さまざまな業務改善に注力できるよう、コネクションを広げられればと考えています。金融領域の経験があるなしに関わらず、間口を広げて募集しています。
歩みを止めず、グローバルに活躍できる企業を目指して

――新関さんのこれまでの経歴と、創業に至った経緯を教えてください。
新卒でアクセンチュアの関連企業であるアクセンチュアテクノロジーソリューションズにシステムエンジニアとして入社し、3年目にアクセンチュアの金融セクターへ転籍しました。そこでロンドンのパートナーが立ち上げたチームに参画させてもらい、大規模プロジェクトに関わったことが、今後のキャリアにおける大きな分岐点となりました。
もともと学生時代にITバブル期の影響で起業したいと考えており、アクセンチュアでの経験を経て再び夢に向かって挑戦したいという気持ちが募っていきました。そこでアクセンチュアを卒業し、フィンテックベンチャーのインフキュリオンに転職。国内や東南アジアにおけるフィンテック事業に従事した経験から、グローバルで活躍したいという新たな目標も生まれました。
――社名の「メンドレス」に込めた思いや由来を教えてください。
「面倒なことを減らしていく」という思いが込められています。私はビジネスを興すというのは人間が楽をしたい時だと考えています。便利なシステムや仕組みを構築することで顧客にとってより自由な時間を増やせるなら、これほど嬉しいことはありません。
――最後に、今後の展望を教えてください。
国内ではフィンテック領域のコンサルティングのみならずオフショアによるBPO領域も手掛け、コンサルティング事業に厚みを持たせることを目標に掲げます。国内の事業と並行し、シンガポールの拠点から事業のグローバル化も加速させていきたいです。
まだ社員数の少ない当社ですが、国内外を問わず支援を任せていただけるよう、フィンテック領域を主軸に幅広く事業を展開したいと考えています。
株式会社メンドレス 企業情報
会社名 | 株式会社メンドレス |
設立日 | 2019年1月17日 |
代表者 | 代表取締役 CEO 新関 広樹 |
事業内容 | 金融教育サービスの企画・調査・研究開発 戦略企画・事業開発コンサルティング |
拠点 | 東京都渋谷区神宮前6−23−4 桑野ビル2階 |